KARNOV
【かるのふ】
ジャンル
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アクションシューティング
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対応機種
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アーケード
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発売・開発元
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データイースト
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稼働開始日
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1987年
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配信
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プロジェクトEGG:2020年3月27日/500円(税別)
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判定
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バカゲー
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ポイント
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DECOの名物マスコット(?)爆誕 ジャンプシューティングハシゴアクション
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概要
データイーストがアーケード用に開発した横スクロールアクションシューティング。
後に多数のデコゲーにゲスト出演する名物キャラ・カルノフのデビュー作で、デコ三大奇ゲーの一角でありトップバッター。
勇者カルノフが、奪われた財宝を取り戻すために暗黒の帝王打倒を目指す。
特徴
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操作は8方向レバー+3ボタン(攻撃、ジャンプ、アイテム使用)。
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カルノフの攻撃は口から吹く火炎弾。最初は直線状にしか出せないが、パワーアップアイテムを取得すると最大3ライン攻撃に強化される。
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一撃死+残機制。ステージ中間に辿り着いていれば途中から再開され、パワーアップがなくなる。コンティニュー時には全てのアイテムが失われる。
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また、タイマーが設定されており、制限時間内にステージを攻略する必要がある。
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ステージ中に配置されているアイテムを取得すると画面上のアイテム枠にストックされていき、任意のタイミングで使用できる。
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使用するアイテムはレバーを左右に倒すたびに切り替わる。
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アイテムはいつでも使用可能なものと特定の場所でのみ使用可能なものの2種類が存在し、後者のアイテムは使用可能な場所に来ると点滅して自動選択される。一部のアイテムは複数所持が可能。
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他に「K」と書かれたアイテムがあり、これを一定数集めると1UPする。
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アイテム一覧
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種別
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名前
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効果
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任意使用
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スピード・アップ
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靴型のアイテム。使用するとカルノフのズボンが青くなり、一定時間移動速度とジャンプ力がアップする。
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爆弾
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使用すると目の前に設置し、一定時間後に爆発する。特定の壁などを破壊可能だが、爆発に巻き込まれるとミスになる。
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はしご
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カルノフのいる場所にハシゴを設置する。ハシゴは自由に上り下り可能。下段から降りきると回収できる。
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ブーメラン
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高威力のブーメランを発射可能になる。戻ってきたところをキャッチすれば何度でも使用可能。使用するとパワーアップが初期化される。
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火炎
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強力な炎を一定数発射可能になる。使用するとパワーアップが初期化される。
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特定地点
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魔法の翼
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背中に羽根がはえて一定時間空を飛べる。
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水中メガネ
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水中の移動速度が上昇する。
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魔法の仮面
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隠されたアイテムが見えるようになる。
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トロッコ
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特定の場所でのみ移動速度の速いトロッコに乗れる。
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評価点・バカゲー要素
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主人公が口から火を吐くスキンヘッドで上半身ハダカの太ったおっさんというインパクト大な見た目からして完全にバカゲーである。
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見た目は完全に『北斗の拳』のハート様。当時の広告のイラストでは筋肉モリモリの男性に描かれていたが、ゲーム中では見る影もない。歩くたびにボテボテと音を響かせ、おっさんの背中に天使の翼がはえるのである。もはや笑うなという方が無理。
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主人公が主人公なら敵側も濃ゆい。
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高速で岩を連射してくる岩人間、地上を歩く魚、全身金色で仁王立ちする超硬い雑魚(その名も24金の神)、攻撃すると涙を流す石像などなど奇妙奇天烈なヤツラばかり。
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後の作品ほどではないが、独特な世界観は一度目にすると忘れられない。ゲーメストムック『ザ・ベストゲーム2』では「一風かわった濃いゲーム」と評されている。
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作品を彩るどこかアラビア風のメインテーマも印象深い。後の出演作でもアレンジされて使用されており、カルノフと言えばこの曲と言えるだろう。
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天使の翼で空を飛ぶカルノフの図。
こんな天使は嫌だ
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見た目に反してゲームとしては手堅い出来
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後述の通り高難易度ではあるが、アイテムの使い分けやジャンプアクションを多用するゲーム性は手堅くまとまっている。
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ギリギリ画面から見えない上空に隠されたアイテムや攻撃して入口を破壊すると入れる隠しエリア、一見落とし穴のような秘密の地下道など単純なアクションゲームに終わっておらず、プレイヤーごとに攻略しやすいルート構築が可能など作りこみは良好。
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本作を象徴するアイテムと言えばハシゴ。
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どんな場所でもハシゴを立てられ、アイテムを取得したり敵の攻撃を回避したり出来、一見ネタ枠のようだが非常に重要なアイテムとして存在している。
問題点
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難易度が非常に高い
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カルノフの動き(特にジャンプ)は癖があり、見た目通り当たり判定も大きく、簡単に被弾しやすい。3面ボスなど、敵の中には弾幕を張ってくるものもいるため、状況によっては回避不可能に陥ってしまう。
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序盤からこちらを囲むように出現する敵、初見殺しの多さなどもあって1面から高難易度となっている。
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また、同じ敵を相手にするにも地形によって戦い方を変える必要があり、状況の見極めが重要。一撃必殺のブーメランをどこで使用するかといった戦略も必要になってくる。
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攻略には緻密なパターン構築と上空のアイテム配置、隠しエリアなどを憶えていく必要がある。
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ステージを憶えても被弾しやすさから簡単にパターンを崩しやすい。一応、復活パターンも存在するが当然難易度はさらに上昇する。
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フォローしておくと、決して適当な調整ではない。かなりのやりこみが必要ではあるが、最終ステージまでパターン構築は可能で、1コインクリアも十分可能である。そこに辿り着くまでが大変なのだが。
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アイテムの選択に慣れが必要
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レバーを入れるたびにカーソルが移動してしまうため、間違ったアイテムを選択してしまいやすく、ブーメランや火炎を使って思いもせず弱体化…といった事故が起きやすい。
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ステージ5の海中など、やたらと「K」マークが大量配置されている場所が存在する。
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難易度の高さからすれば救済措置ともとれるが、一通りアイテムを回収できれば簡単に残機が増えるため、残機潰しをしつつスコアをカンスト出来てしまう。
総評
見た目の絶大なインパクトが印象に残りやすい一方、見た目に反して超硬派なアクションゲームである。
ゲームとしての出来は決して悪くないのだが、ちょっとやそっとでは進めない難易度の高さゆえにクリアを断念するプレイヤーも多かったらしく、色々と惜しいゲームである。
移植版では難易度を下げる措置が行われ、バカゲーとしての側面が話題となり後のDECOを代表するキャラクターとなっていった。
ある意味ではデコゲーの方向性を決めた記念すべき(?)タイトルである。
移植
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FC カルノフ(1987年12月18日、ナムコ発売/データイースト、酒田SAS)
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もっとも有名な移植。『魔界村』のごとく2回ダメージ制に変更され、難易度が下げられた。敵配置の変更も行われるといったアレンジ移植となっている。
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設定がAC版から変更され、生前の罪の償いのために神の使いに転生させられた元大悪党という設定になった。
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ゲームオーバー時に裏技でコンテニューができる。ただし回数制限あり。
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2020年9月15日より、プロジェクトEGGにて配信開始。
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Win プロジェクトEGG カルノフ for アーケード(2020年3月27日、D4エンタープライズ)
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33年目にして初のAC版完全移植。2019新型コロナウイルスによる外出自粛が呼び掛けられる中、緊急前倒し配信という形で発売された。
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元DECO社員のデザイナーによる協力で当時のブラウン管の色味を再現する画面明度の変更オプションが追加、基板のシステムをそのまま再現したディップスイッチなどアーケードゲーマー感涙の移植となっている。
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権利元はDECOの一部権利を引き継いだパオン・ディーピー。
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この他、海外ではZX Spectrumやコモドール64、旧MacなどのレトロPCに移植されている。
余談
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その後、カルノフはDECOのマスコットキャラの一人として様々な作品にゲスト出演していった。
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メインテーマを引っ提げてボスとして登場する『ドラゴンニンジャ』、わらわらと雑魚敵として登場する『トリオ・ザ・パンチ』、まさかのラスボスに抜擢された『ファイターズヒストリー』(と続編の『ファイターズヒストリーダイナマイト』)など他にも多数。
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『ファイターズヒストリー』では、格闘ゲームなだけあってデブの汚名を返上し、マッチョな見た目になった。
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……が、続編『ダイナマイト』ではイメージ通りの太ましい体型に戻った。しかしスライディングや高速突進技、バグによる瞬間移動などで画面を縦横無尽に駆け巡る高機動デブ。デコの顔に恥じない暴れぶりを見せた。
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FC版にて、主人公カルノフのフルネームが「ジンボロフ・カルノフスキー」であると明かされた。
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そもそもカルノフのモデルとなったのは当時のデータイーストの常務であった神保氏という人物であるといい、FC版発売時にそのことを知った当人は烈火のごとく怒り狂ったとか。
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FC版の開発スタッフが語ったところによると、AC版の企画書は下ネタオンパレードのおふざけはなはだしい内容だったという(参照)。
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このため、FCの移植にあたっては移植チームが修正に相当苦労したという逸話が残っている。
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「カルノフ=神の使い」設定は修正のために施された設定変更の一環であり、AC版の企画書段階ではカルノフは勇者でも何でもなく、ただの大泥棒だったらしい。
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AC版のED演出について「勇者なのに財宝見つけてウハウハしてるってどうなの」とよくツッコまれることが多いが、恐らくはこの初期設定の名残なのだろう。
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「美食倶楽部バカゲー専科」に本ゲームも収録されている。
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それによると、主人公は元々普通の見た目のキャラで開発されていたが、デコの社長の一言でデブでハゲで上半身裸のおっさんになったそうな。
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ただし裏が取れている実話とは言いがたく、ただのギャグ漫画のようなものだった。
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一方、『チェルノブ』や『トリオ・ザ・パンチ』の企画者である伊井俊一氏が本作の開発後期にアシストで入った際、「『他社とかぶらないようにする』という暗黙の了解があったのか、カルノフのデザインは自分が参画したときにはアブドーラ・ザ・ブッチャーの様な風体で口から火を吹くようなイメージが元からあったので、そこから更にイメージを固めるため仮のデザインを作ってそれを担当に渡していた」旨を述べている(ソース)。また、「カルノフ」の名前は「ソ連ブームだったので多分自分が(勝手にイメージして)カルノフって名前をつけた」とも伊井氏は述べている。
最終更新:2024年11月04日 07:20