ウシャス
【うしゃす】
ジャンル
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アクション
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高解像度で見る
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対応機種
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MSX2
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メディア
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1MbitROMカートリッジ
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発売・開発元
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コナミ
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発売日
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1987年11月1日
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定価
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5,800円
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プレイ人数
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1人
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レーティング
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CERO:A(全年齢対象)
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配信
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プロジェクトEGG:2015年6月23日/500円(税抜) 【WiiU】バーチャルコンソール:2016年8月24日/838円(税込)
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判定
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良作
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ポイント
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喜怒哀楽を武器性能に取り入れた感情システム 山下絹代氏が手掛ける良質なPSGサウンド 衝撃のエンディング そ ん な あ ほ な !?
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概要
1987年にコナミより発売されたMSXオリジナルのアクションゲーム。1人プレイ専用。
「ウィット」「クレス」2人のキャラクターを操作して「喜」「怒」「哀」「楽」4つのステージと「神殿」で構成された5つの遺跡を探索し、4つに分けられたウシャスの秘宝を全て集めてウシャス像の謎を解き明かすのが目的。
ストーリー
(マニュアルより抜粋・要約)
R大学東洋史学科で考古学を専攻するアトレ助教授はこの数年研究成果が全く上がらず、研究室の閉鎖の危機に直面していた。
そんな折、インドでウシャス(暁の女神)像が発見され、その額には500カラット台の宝石がはめられていた痕跡があった。
その宝石が発見されれば学術上今世紀最大の発見である事は間違いない――
そんな新聞記事を見ていたアトレ助教授は自らの研究室にウシャス像についての文献があった事を思い出し、書棚の片隅からその文献と、現代の地図とは少し違った遺跡群を印した古い地図を見つける。
アトレ助教授は研究生である「ウィット・スタンレー」「クレス・アルティ」の2名に対し、古い地図だけを頼りにウシャスの秘宝を手に入れる無謀とも言える遺跡探索を命じるのだった。
「何で俺らが行かにゃなんねぇんだー!」「冗談じゃねぇ!」
「クレス君はレポートが未提出でしたね……」「え」
「ウィット君は無断欠席が多い」「あっ、それはですねぇ……」
「君たちはまだ若い、留年の1年や2年!」「行きまーす!」「僕行きたかったんですぅ!」
システム・特徴
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サイドビューの画面切り替え式アクションゲーム
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MSXはハードウェアに横スクロール機能が搭載されていないため、本作では画面切り替え式が採用されている。『悪魔城ドラキュラ』や『魂斗羅』、『ガリウスの迷宮』など、同年代のコナミのMSXアクションゲームには画面切り替え式が採用されているものが多い。
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ステージ内は左右だけでなく上下にも広がっており、プレイヤーは左右に進むだけでなく梯子やリフトで上下に昇り降りし、遺跡内を探索する事となる。
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マップは画面切り替え後に破綻しないよう配慮されている。リフトから画面の右端にジャンプしたら次の画面に足場が無かった……と言った事態にはならない。
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操作方法は左右で移動、下でしゃがみ、上またはBボタン(キーボードの場合CTRLキー)でジャンプ、Aボタン(キーボードの場合スペースキー)で攻撃。空中制御はかなり効きづらく、『悪魔城ドラキュラ』に近い操作感覚となっている。
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遺跡は「喜」「怒」「哀」「楽」4つのステージと「神殿」で構成され、それぞれのステージのボスを倒し4つの鍵を集めて「神殿」に入り、巨神像を倒す事でその遺跡をクリアする事ができる。
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2人のプレイヤーキャラクター
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背が高くておっとりした「ウィット」は銃を得意とし、小柄ですばしこい「クレス」はキックなどカンフー技を得意とする。ウィットの攻撃は射程の長いものが多く、クレスの攻撃は射程が短い代わりに攻撃力が高い、全身が攻撃判定になるなどの利点があるものが多い。
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初期体力は2人とも最大近くあるが、ジャンプ力はウィットの方が高く、スピードはクレスの方が高い。身長の差はグラフィック上でも反映されているが、当たり判定は2人とも同じ。
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遺跡内の各ステージは1人しか入る事ができず、プレイヤーは状況に応じてどちらか1人を選びステージ内を探索する事となる。
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ステージ内で敵の攻撃により体力が0になるか針山などのトラップに掛かるとミスとなり、そのステージのボスに捕われる。もう1人がそのステージのボスを倒す事で救出する事ができる。
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1人が捕われている状態でもう1人もミスした場合ゲームオーバーとなる。後述する例外を除きコンティニューはできないが、遺跡をクリアするごとに表示されるパスワードをタイトル画面で入力することで各遺跡の最初からリスタートが可能。
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ステータスの成長
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ゲーム中にF1キーを押す事で2人のステータス画面に移り、体力の回復やスピード・ジャンプ力の強化を行う事ができる。
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体力の回復や能力の強化はステージ内で集められるコインを使って行う。体力の回復は1あたりコイン10枚、能力の強化は能力の高さによって必要なコインが増減する。
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体力、スピード、ジャンプ力の最大値はそれぞれ16、5、3。初期能力が差別化されている2人とも、最終的には最大値まで能力を強化する事が可能。
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「喜」「怒」「哀」「楽」の感情システム
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本作最大の特徴。ステージ内に点在する「喜」「怒」「哀」「楽」のパネルを取る事でウィットやクレスの感情が変化し、攻撃方法を始めとする様々な要素が変化する。
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キャラクターやアイコンの表情が変化するだけでなくステージBGMの音程まで変わる。同じ曲が状況に応じて移調するのは『ドラゴンクエストI』の洞窟BGMが有名だが、本作ほどBGMが目まぐるしく移調する作品は他に例を見ない。
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「喜」の感情は攻撃が強力で、他の感情の時とは違い必殺技を使用する事もできる。一方で「哀」の感情は攻撃が目に見えて貧弱になるが、ステージ内の岩を押す速度が速くなるなどのメリットがあり使い道がないわけではない。
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それぞれの感情による変化
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喜
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怒
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哀
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楽
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攻撃方法(ウィット)
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三方向ショット
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火炎放射弾
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単発ショット
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連射ショット
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必殺技(ウィット)
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2段ジャンプ |
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攻撃方法(クレス)
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分身ショット
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前転体当たり |
単発キック
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連射キック
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必殺技(クレス)
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空中歩行 |
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岩を押す速度
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押せない
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やや速い
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速い
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遅い
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仕掛けの落ちる速度
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速い
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やや速い
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遅い
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普通
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敵の挙動
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逃げる
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逃げる |
向かって来る
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向かって来る
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BGMの音程
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高い
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やや低い
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低い
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普通
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それぞれのステージの最深部、ボスの部屋の前は「喜」「怒」「哀」「楽」いずれかの扉で閉ざされており、それぞれ対応した感情の時でなければ開ける事ができない。
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各ステージのボスは「感情の魔物」と言う別名のとおり、「笑いながら飛び回る怪物」「壁を昇ったと思ったら滑落して泣きわめく怪物」などそれぞれの感情に応じた個性あふれるボスとなっている。
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実は扉さえ開けてしまえば、一旦ステージを引き返して別の感情に変えてからボスに挑む事も可能。ボスの部屋のすぐ側に感情パネルが置いてある事も多く、不具合と言うよりは意図的に設けられた救済措置であると思われる。
評価点
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感情システムを軸に練り込まれた演出
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「感情に応じて攻撃方法が変わる」と言う一発ネタで終わる事なく、キャラクターの感情の変化を作中の様々な演出で活かしている。
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前述の通り表情やBGMの音程などが細かく変わるだけでなく、各ステージに入る前の2人の掛け合いまで感情によって変化する。
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共に「怒」の感情の2人が「行きゃあいいんだろ」「早く行けよ!」と罵り合ったり、かと思えば共に「喜」の感情の2人が「行ってくるぜー!」「行ってらっさーい!」とハイテンションで別れたり、時にはそれぞれ「哀」「喜」の感情の2人が「怖いなぁー……」「行ってらっさーい!」とまるで噛み合わないやり取りをしたりもする。目まぐるしく変化する感情と共にこれらのやり取りも目まぐるしく変化し、プレイヤーを飽きさせない。
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2人の掛け合いは各遺跡の最初のみ専用のものが用意されており、その内容に応じて各遺跡における2人の最初の感情が固定されている。
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例えば2番目の遺跡を共に「喜」の感情のままクリアしても、3番目の遺跡の最初で「この遺跡は女の匂いがするぞ」「変なこと言うなよ」と言う掛け合いと共に感情が「楽」「怒」に変化する。もちろんステージ内の感情パネルを取ればすぐに別の感情になるが、この細かい演出が遺跡を巡る2人の旅にストーリー性を与え、「1面、2面とクリアしていく」だけではない没入感をプレイヤーに与える事に成功している。
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グラフィック
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グラフィックは背景、キャラクター共に当時のMSX2の水準を超える精巧さであり、遺跡の細部まで描き込まれた背景の美しさは現在においても一目置くものがある。
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絢爛豪華な黄金の遺跡、青を基調とした清閑な遺跡、大蛇を模した柱が立ち並ぶ荘厳な遺跡など、遺跡ごとにがらりと変わる背景はステージに彩りを与えている。
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遺跡クリア後の合間には小規模なデモムービーが挿入される。このムービーの出来も良く、ウィットとクレスが旅路で起こる様々なアクシデントを乗り越える姿がコミカルに映し出されている。
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BGM
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『悪魔城ドラキュラ』でデビューを果たしたばかりの山下絹代氏が担当。
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当時のコナミのMSXゲームは独自開発したSCC音源に移行し始めていたが、本作はPSG音源のみを使用している。コナミのPSG音源時代の決算期とも言える時期に作曲されたBGMは、PSG音源の音色の特徴を充分に活かしたSCC音源にも聞き劣りしない音質となっている。
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ステージBGMは遺跡ごとに異なり、そのどれもが起承転結のしっかりとした旋律的な曲となっており遺跡探索のテンションを高めてくれる。水の遺跡らしく透明感溢れる曲調である2番目の遺跡のBGMと、最終面らしい勇ましさの中に旅路の果ての寂寥感が内包された5番目の遺跡のBGMが特に人気が高い。
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探索性が重視されたアクション
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本作のステージ内は迷路のように入り組んでおり、ただ前に進むだけではボスの部屋に辿り着けない。上下左右に伸びた通路を越えてステージに応じた感情パネルを取ったり、檻の前の穴から落ちて檻を開けるスイッチを踏んでから再び檻の前まで戻ってきたり……とステージ内を何度も行き来する事を求められる。時には別のステージで感情を変えて引き返してから挑んだ方が近道となる場合も。
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ステージ内には様々な仕掛けがありプレイヤーの行く手を阻む。縦方向・横方向に移動するリフトをはじめ、通過しようとすると開く落とし穴、押して移動させて上手く積み上げる事で足場となる岩、乗ると天秤のように他方を持ち上げながら落下する2個1組の仕掛け、室内に突如落下し転がり回る巨大な丸岩などその種類は様々で、ある程度の使い回しはあるもののそれぞれの遺跡に特徴を付加させている。
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前述のとおり操作感覚には若干の癖があるが、移動や攻撃などキー入力に対する反応は良好で「慣れれば思い通りに操作する事ができる」と言うアクションゲームにおける基本的にして重要な要件は満足していると言える。
賛否両論点
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リフトによる即死
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ステージ内には多くの縦リフトや横リフトがあり、それらに飛び乗って先に進んでいく事が基本となるが、本作ではリフトに挟まれると即死する。挟まれても不自然にリフトをすり抜けるゲームが多い中、問答無用で即死するゲームは意外と珍しい。
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本作においてミスとなる原因の大半がこの「リフトを渡り損ねて挟まれる」と言うものである。体力が最大で16もある上にボスを含めて1~2ダメージしか与えてこない、更に体力がいつでも安価で回復可能である本作では「体力が0になる」と言う理由でミスとなる事は実はほとんどない。
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最後の遺跡では「ジャンプのタイミングが僅かでもずれると頭を挟めて即死する縦リフトを2回渡らされる」と言う場所が存在し、本作最大の難所となっている。
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「一方がやられるともう一方が助け出すまで復活できず、おまけに復活時に能力が初期値に戻る」と言う残機制のゲームと比べて重いデスペナルティと「移動中のワンミスで即死する」と言うシビアさが合わさって本作の難易度を理不尽に高めている。独特な操作感覚に慣れないうちは、あっと言う間に2人ともリフトに挟まって即ゲームオーバーとなってしまう事も少なくない。
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もっともリフトによる即死が無かった場合いよいよもってミスの要因がほとんど無くなるヌルゲーと化してしまうので、程よい難易度を維持する為にはやむを得ない仕様だったのかもしれない。
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余談だが本作でミスをした際、ショッキングなBGMと共にキャラクターが顔を一回り大きくさせて白目を剥いて倒れると言う演出がある。リフトから足を滑らせた瞬間この演出を見せられるのは軽いトラウマとなる。
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エンディング
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長い遺跡探索の末に辿り着いたエンディングはあまりに衝撃的な内容であり、クリアしたプレイヤーの多くはエンディングの最後に表示される一文と同じ言葉を発し絶句した。
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エンディングの内容(ネタバレ)
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ひと言でいうと爆発オチである。
ウィットとクレスが集めた4つのウシャスの秘宝は互いに引き合うように1つとなった。2人はわくわくしながらウシャス神殿に入り、暁の女神・ウシャス像の額にウシャスの秘宝をはめる。 直後ウシャス像が激しく振動し、場面は宇宙から映し出された地球へ。画面が激しくフラッシュし、地球から一筋のキノコ雲が立ち上がる。
――その後アトレ助教授が新たに発見された資料を調べたところ、ウシャス像が古代文明の開発した核爆弾の起爆装置である事が判明する。 そのスイッチとなるのがウシャスの秘宝たる宝石であり、これを使用させない為に宝石を4つに分けて各地の遺跡に封印していたのだ。
そ ん な あ ほ な !?
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最後の一文が表示された後、特にBGMも変わらずに淡々とスタッフロールが始まる。終始希望に満ちた曲調のBGMも相まって清々しさすら覚えるバッドエンドである。
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ウィットとクレスがどうなったかについては明確に描写されていない。が、宇宙からでも観測できる規模のキノコ雲が全てを物語っているとも言えよう。留年したくなかっただけなのに……。
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余りにあんまりな内容に当時は「マルチエンディングなのではないか」との疑惑すら持たれたが、本作におけるエンディングは上記のもの唯一つである。
問題点
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キャラクターの性能格差
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当時のゲームにしてはかなりバランスが取れているものの、キャラクター性能に差別化が図られている以上どうしても格差は生じてしまう。
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本作ではクレスよりもウィットの出番が多くなる傾向がある。クレスのアドバンテージであるスピードは能力強化によって早々に追い付かれ、高威力なキックや高性能な前転体当たりも敵に近付くリスクが欠点となり敬遠されがち。
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「ダメージを受けると制御不能のまま大きく吹き飛ぶ」と言う仕様もあり、特に即死トラップの針山が多い終盤では上記のリスクが浮き彫りとなりやすい。
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ウィットの必殺技である2段ジャンプが格差に更なる拍車をかけている。マップが上下の道に分岐する事の多い本作において「通常の限界ジャンプ力より更に高く飛べる」と言うアドバンテージは想像以上に大きく、大幅なショートカットや難しい位置にあるコインの取得を「喜」状態のウィットだけが軽々とこなせてしまう。
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一方でクレスの必殺技である空中歩行は「横リフトの面倒な乗り移りを省ける」程度の使い道になる事が多く、行動範囲は思ったよりも広がらない。これは「同じ高さを維持したまま空中を歩き続ける事しかできない」と言う仕様と「通常ジャンプで越えられない幅の谷が左右に広がる場所がほぼ皆無である」と言うマップデザインの双方が原因となっている。
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とは言え攻略の根本的な妨げになる程の格差ではなく、慣れればクレスだけで攻略する事も充分可能な程度には性能が保証されている。もちろんクレスを積極的に起用し、高威力のキックを使いこなした方が攻略速度が速くなる場面も多い。
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パスワードによるリスタートの仕様
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原則的にコンティニューが無い本作ではゲームオーバー時は遺跡ごとに設定された固有のパスワードによって復帰する事になるが、パスワードで復帰した際はゲーム開始時と同じ能力初期値、所持金ゼロの状態でスタートする。
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言うまでもなく最初の遺跡と比べて最後の遺跡は敵やトラップの配置が苛烈であり、能力を強化し直すためのコインを集めるだけでも一苦労である。
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能力を強化するどころかダメージを回復するコインにすら困る事も頻発し、「最初からやり直した方が早い」と言う結論になってしまう事も。せめて後半の遺跡のパスワードではある程度能力値や所持金が増加されていれば良かったのだが。
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画一的で飽きやすい構成
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ここまで述べたとおり本作では様々な演出によりプレイヤーを飽きさせない工夫が為されているものの、同じ構成の遺跡が続くゲームデザインはどうしても攻略方法も似たものになってしまい、アクションゲームとしては「同じ事の繰り返し」と言う印象を持ってしまう。
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各ステージのボスがどの遺跡においても同じである事が特に目新しさの無さを印象付けている。神殿の巨神像も攻撃方法こそ毎回異なるものの、攻撃を避けながら像の周囲を回る弱点を攻撃し続ける攻略法は変わらない。
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ヒロイン(?)の空気感
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3番目の遺跡の神殿にはウシャスの秘宝は無く、代わりに一人の女性が捕らわれている。助け出した女性は「Bee」と名乗り、助けたお礼としてコインを200枚くれた後「ウシャス様の神殿はもうすぐです」と言う情報を話してくれる。
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……が、彼女の出番はこれだけである。恐らくパッケージのイラストに描かれている女性と同一人物であろう彼女なのに、エンディングも含めて以後の話には全く登場せず、ウィットとクレスの会話内ですら言及されない。
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そもそも彼女が誰に捕らわれたか、何のために捕らわれたのかも一切不明。これではまるで「ウシャスの秘宝は4つだが遺跡は5つある」と言う状況を穴埋めする為だけに存在するキャラクターである。
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そんな彼女だがきちんと顔アイコンは用意されており、別れ際にはウィンクまでしてくれる。もしかしたら当初は2人の旅路に付いて来る想定だったのが何らかの事情でカットされたのかもしれない。
総評
当時のコナミ作品らしい良質なグラフィックや音楽、アクション性に加え、感情システムと言う特異性とそれを軸にしたアクションゲームらしからぬドラマ性の高さを持たせる事に成功した作品。
ファミコンなど当時の他機種には移植されず、またMSX界隈でも『メタルギア』『グラディウス2』『ハイドライド3』などの話題作に埋もれて大きく取り沙汰される事は無かったものの、それらの作品に決して劣る事は無い隠れた名作である。
後述のとおり現在はいくつかのハードで配信されているので、機会があれば今もなお色褪せない音楽と背景描写を味わい、遺跡探索の旅に想いを馳せて欲しい。
余談
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2015年6月にプロジェクトEGGで、2016年8月にWiiUのバーチャルコンソールでそれぞれ配信が開始されている。
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当時のコナミのMSX作品に多く見られた「スロット2に別のROMカートリッジを挿す事で特殊な効果が得られる」と言う仕様は本作でも健在で、『ガリウスの迷宮』を挿すと最初の所持金がコイン100枚となり、『メタルギア』を挿すとダメージ半減、『グラディウス2』を挿すとコンティニューが可能となり、『F-1スピリット』を挿すと「喜」以外の感情でも必殺技が使えるようになる。
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特に『F-1スピリット』を挿した時の効果が劇的に高く、あらゆるステージでウィットが2段ジャンプを駆使した瞬間ゲームバランスは崩壊してしまう。
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開発陣が本作を意識していたかどうかは不明であるが、マリオシリーズのスピンオフとして作られたピーチ姫が主役のアクションゲーム「スーパープリンセスピーチ」は、本作とよく似た作風になっている。
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2021年9月30日から始まった、コナミの過去作を題材に新たなゲームの企画を作る『KONAMIアクション&シューティングゲームコンテスト』の対象タイトルの一つとして、
どういう訳か本作が選出されている。
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欧州でも「The Treasure of Usas」のタイトルで発売されたが、喜・怒・哀・楽のパネルは漢字のまま使用されている。
最終更新:2024年08月02日 18:42