めっちゃ! 太鼓の達人DS 7つの島の大冒険
【めっちゃ! たいこのたつじんでぃーえす ななつのしまのだいぼうけん】
ジャンル
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和太鼓リズムゲーム
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対応機種
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ニンテンドーDS
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メディア
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512MbitDSカード
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発売・開発元
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バンダイナムコゲームス
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発売日
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2008年4月24日
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定価
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5,040円
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プレイ人数
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1~4人
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セーブデータ
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2個
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レーティング
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CERO:A(全年齢対象)
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その他
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専用タッチペン「バチペン」2本付属
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判定
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良作
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ポイント
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ストーリーモード搭載で出来も良好 他の要素もあらゆる面でボリュームアップ
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太鼓の達人シリーズリンク
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概要
幅広い世代に高い人気を誇る和太鼓リズムゲーム『太鼓の達人』。
ニンテンドーDS向け第2作目であり、前作『タッチでドコドン!』の続編となる作品である。
今作はDS版シリーズにおける「冒険編」としてプロモーションが行われており、それに伴い前作は後付けで「入門編」と位置づけられることになった。
ちなみに同時期に稼働していたアーケード版は『太鼓の達人11』である。
特徴・評価点
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演奏ゲームの仕様は前作とほぼ同じ。詳細については前作記事参照。
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音符を叩いた際に判定枠にどんの顔が光るようになった(ACと同仕様)。
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音色を変更した際に下画面の太鼓も音色に沿った楽器に変更されるようになった。操作判定は変わらないので安心。
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楽曲は全50曲(隠し14曲)。前作との重複は一切ない。
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前作が35曲(音源数だけでいえば33曲)だったので大幅なボリュームアップである。
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今作書き下ろしのオリジナル曲はテーマ曲「七色ハーモニー」、道場やぶりモードのボス曲「われら無敵のドコン団」「闇の魂」の計3曲。いずれも後にAC収録を果たしている。
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「七色ハーモニー」はありそうで意外と少なかった正統派のアニメ主題歌風といった感じの曲で好評だった。
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他の曲も直前に稼働開始していたAC版『11』からの移植が多い。
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本作の特徴としてゲスト踊り子が非常に多い点がある。その数なんと8組。
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同時期のAC『太鼓の達人11』で大幅にゲスト踊り子が増強されていたのだが、その流れを本作でも汲んでいる。
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ゲスト踊り子一覧+α
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自社キャラで3組、他社ゲームキャラから1組、アニメキャラで4組のゲストが登場している。
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自社枠
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『もじぴったん』
前作にも登場していたシリーズおなじみのもじぴったん。「バンビーニ」を担当。 ACとは異なり背景は汎用となっている。
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『アイドルマスター』
DSでは初登場。「Shiny Smile」および「エージェント夜を往く」を担当。 ちなみに前作の「GO MY WAY!!」では登場していなかった。
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『フコウモリ』
「フコウの国のお姫さま」を担当。バンダイのゲームキャラだがなぜかアニメカテゴリである(『11』ではバラエティだった)。
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他社ゲーム枠
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『スペランカー』
なぜか公式サイトに紹介がないスペランカー。同作のメドレーである「スペランカー」を担当。 出オチで死ぬ、曲中でも死亡を積み重ね最終的に5回死んでゲームオーバーになるという曲構成で、ご丁寧にも死亡ジングルがゴーゴータイムというインパクトある譜面。 一方で当時のおに★8としては相当骨がある内容でもあり、AC版『11』で高い人気を得ていた。現在の家庭用では本作が唯一の移植である。
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アニメ枠
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『炎神戦隊ゴーオンジャー』
「炎神戦隊ゴーオンジャー」を担当。 本作も基本的に踊り子が3人だが、こちらに関しては2・3人目の枠に2人ずつ同時表示させることによって踊り子5人表示を実現している。
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『おしりかじり虫』
「おしりかじり虫」を担当。こちらもゴーオンジャー同様最大5人表示。
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『ドラえもん』
「夢をかなえてドラえもん」を担当。 おに譜面は2020年現在でもなお★4の最難関という難易度超詐称の地雷譜面として知られる。
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『ゲゲゲの鬼太郎』
「ゲゲゲの鬼太郎」を担当。
ちなみに本作のアニメ曲は11曲。「フコウモリ」もアニメカテゴリなので、半分近くにゲスト踊り子が付いていることになる。
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また、踊り子以外にも「恋はみずいろ」の解禁を知らせる手紙の主として『みずいろブラッド』のみずいろが、衣装のプレゼントにコロコロコミックの「コロドラゴン」が登場。
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『みずいろブラッド』の方にも和田どん・和田かつが出張しており、相互コラボとなっている。
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コロコロ誌上で衣装募集が行われており、コロドラゴンがプレゼントする衣装はその受賞作である。受賞した読者の名前も本作のスタッフロールに刻まれている。
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その他のモード
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「道場モード」が新設され、その中に後述の「道場やぶり」と前作から存在する「毎日うでだめし道場」、チュートリアルの「初心者道場」が存在する。
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毎日うでだめし道場は前作の最上位称号である「大達人」の更に上が登場し、最高位は「太鼓神」となっている。ちなみに今作ではうでだめし道場での楽曲解禁はなく、衣装解禁のみである。
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「どんの部屋」も健在。今作でも着せ替えが可能で、衣装の数も前作から増えている。また今作での着せ替えは後述の「道場やぶり」の攻略に深く関わる。
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王冠を集めた際に入手出来るトロフィーと記念のショートムービーも健在。今作では王冠を50,100,150,200個(コンプリート)集めると入手出来る。200個ALLトロフィームービーのどんちゃんの異様なテンションは語り草。
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厳密にはモードではないが、今作では新要素「太鼓カウンター」が登場。プレイ中に音符(連打含む)を叩いた合計数がカウントされていき、一定数に到達するごとに楽曲が解禁される。最大99999で、解禁される楽曲は5曲。
ストーリーモード「道場やぶり」
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DS版では初めての本格的なストーリーモード。
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タイトル通り7つの島を転戦し、悪役「ドコン団」が占拠する各島の太鼓道場を破るのが目的。
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「甘口」「辛口」の難易度が存在する。「甘口」は難易度かんたん~ふつう、「辛口」はふつう~むずかしいの譜面で攻略することになる。攻略状況は共通であり、「辛口」での攻略が厳しければ「甘口」に切り替えて進むことも出来る。
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各島は1つのマップになっており、マスごとに課題と曲が設定されておりクリアするごとで先に進める。
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課題はスコアや良の数といったオーソドックスなものの他、通信対戦のシステムをベースにした対CPU雑魚戦など多彩。CPUのワルドンたちもシチュエーションに応じてコスチュームが替わるなど地味に細かい。
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一部のマスは進行のために和田どんを着替えさせる必要があるが、マップ画面からワンボタンにどんの部屋に飛べる。ちなみに進行のためのヒントはちゃんと貰える他、進行に必要なアイテムは全て道場やぶり内で揃えられる。
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道場主であるボスキャラはお互いに体力に相当する魂ゲージを削り合い、最後に多く魂ゲージを残すことが出来れば勝ちとなる。こちらが音符を叩くごとに相手にダメージを与えることができ、逆に音符を叩けないあるいは不可を出す、譜面に混ざるバクダン音符を踏んでしまうとダメージを受ける。
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道場主は隠し曲を所持している。キャラごとに固有視界妨害ギミックを持ち、それを対処しながら対戦することになる。撃破すると隠し曲を獲得できる。
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「道場やぶり」ということもあり、道場主に勝利した場合は道場の看板がプレイヤーの名前に架け替えられる。
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ストーリーは特に意外性重視の展開があるわけではないが、ゲームの添え物としては必要十分と行ったところ。プレイのテンポを大きく阻害することもなく、素直に楽しめる。
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シリーズ初の悪役となったドコン団の面々はキャラ描写も多く好評で、後の家庭用のストーリーモードでもたびたび登場する定番キャラとなっている。
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「辛口」でストーリークリアすると翌日に手紙が届き、各道場主の譜面がおにコース相当の「激辛」に変わる。譜面自体は通常と変わらないが、バクダン音符が混ざり視界妨害も掛かるためかなりのやり応え。
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前作でカットされていたエンディングおよびスタッフロールも復活。本作ストーリーを振り返ることが出来る内容である。
賛否両論点
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セーブデータの数が2つに減った。
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前作の初回版でセーブデータ関連の不具合があったことや、単純にセーブするデータの容量が増えたことによると思われる。
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一部の衣装解禁の難易度が相変わらず非常に鬼畜。
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金王冠(フルコンボ)200個という出現条件の「金の太鼓」が存在する。本作の楽曲は50曲、難易度が4段階。つまり全曲全難易度をフルコンボということである。
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ちなみに銀王冠(クリア)200個の「ギター」も存在する。
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前作の挑戦状鬼その9に匹敵する無茶振りであり、DS版プレイヤー間では有名。
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幸い、今作では楽曲解禁は全て太鼓カウンターおよび道場やぶり(甘口も可)で行われるので、楽曲を全て揃えることは決して難しくない。上記の入手難易度が高い衣装も道場やぶりモードの攻略には一切関与しない。
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また、隠し曲が増えたこともあり、「毎日うでだめし道場」で未解禁の曲に挑むシチュエーションも激増している。日付変更で一気に進められてしまうのも相変わらず。
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相変わらず曲はモノラルで音質もあまり良くない。
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本作ではROMが前作の2倍の512Mbitに拡張されているが、楽曲数も相応に増えていることを考えるとやむを得ないところである。
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再録曲の比率が高い。
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楽曲数は大幅に増えたものの過去の家庭用に収録経験がある再録曲が50曲中21曲を占める。実に4割以上。
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前作は約3分の1が再録曲だったので比率的にはむしろ増えてしまっている。また再録曲の多くは版権曲であり、これは「夏祭り」などといったシリーズの定番曲を収録した都合上やむを得ないという声も多かった。
また同作では譜面変更が多く行われたため過去作との差別化も十分されており、これらのことからそこまで問題視されていなかったのである。
一方、今作の再録曲はほとんどがナムコオリジナル・クラシック・ゲームミュージックのナムコ枠。シリーズを広く遊んでいるプレイヤーほど見慣れた曲が多く感じてしまう。また今作では譜面の変更等もほとんど行われなかった。
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もちろんDS版という括りで見れば全曲が初収録なのだが、当時から見ても収録頻度が高かった「さいたま2000」などはいい加減食傷気味という指摘は少なくなかった。
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ちなみに家庭用初収録曲自体は総じて高評価であり、特に「スペランカー」「EkiBEN2000」「カレ・カノ・カノン」など当時のACで人気を博していた曲の収録は好評であった。
特に「ヌムジカac.10」は反響が大きかった。これはAC版『10』で人気があったにもかかわらず1作で削除されており、『11』で「STAGE0.ac11」に差し替えられたため「acシリーズはAC1作限定の楽曲なのではないか」という憶測が当時のユーザー間で上がっていたためである。
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また、「CHA-LA HEAD-CHA-LA」は再録曲だが「影山ヒロノブの本人音源」「AC版『8』以降の現行譜面」の両方を満たす移植は本作のみとなっており、現在では非常に貴重な存在である。
問題点
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楽曲の難易度バランスがおかしい
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「Ridge Racer」「ドラゴンスピリットメドレー」は過去作通りむずかしいとおに譜面が共通のまま。
特に前者は完全にむずかしいコースの水準を超えた譜面となっている。
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また、「Ridge Racer」おに譜面はAC版『7』で★9に格下げされていたにもかかわらず、なぜか本作で★10に返り咲いた。当然当時の基準でも明らかに1段階劣る逆詐称譜面となっている。
他の★10も「闇の魂」と「クラシックメドレー(ロック編)」は当時の水準でもかなり弱め。最難関の「EkiBEN2000」を除くと前作よりかなりデフレしている。
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一方で、おに★4の「夢をかなえてドラえもん」は低速ながら12分・24分の複合が入り乱れるというえげつない譜面で、当時の基準で★6~7クラスとまで言われるほどだったり、「アンパンマンたいそう」と「アルプス一万尺」は元から強めの譜面だったにもかかわらず、本作のおにモード最低難易度である★2に降格して当然地雷扱いされている等全体的に難易度表記があてになっていない譜面が多い。
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同時期のAC版『11』も下位レベルの曲の難易度設定に疑問符が付く作品として知られており、その問題点をそのまま引き継いでしまっている形である。
本作もおに★1を除く各難易度の全てのレベルにバランス良く譜面が揃っているのに残念なことである。
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おに譜面の解禁条件が前作よりかなり面倒。
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おにモードの解禁条件はむずかしいクリア35曲以上。本作のデフォルト曲は36曲であることを考えればいかに多いかわかる。
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楽曲数が増えた一方で、アンロック要素の条件までセットで増えてしまっている。
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「道場やぶり」関連
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課題のマスではPS2の七代目の「わくわく冒険ランド」では目標を達成した時点で演奏が終了していたが、本作では達成しても最後まで演奏させられる。
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ただし、今作は太鼓カウンターがあるため、課題を達成したらあとのプレイは全て無意味になるというわけではない。
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ワルドン戦の調整不足。
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ワルドン自体はあまり強くないが全てアイテムありでの対決の為、アイテムの引き次第ではフルコンボや全良したのに負ける等の理不尽な事が起きて再挑戦する羽目になってしまう。
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特にボタン操作の場合、下画面にお邪魔キャラが送られてきた場合、強制的にタッチ操作でキャラを避けながら演奏するか、早々にタッチやスライドでキャラを処理するかの2択を強いられるが、爆弾だった場合はタッチするとロスになる為消えるまで避けながらタッチするしか無い。
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一部ボス戦の譜面について。
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基本的に演奏モードの譜面がベースになっているが、後作品と違って2面のボス戦以降ばいそくと一部さんばいが全面的に掛けられており、爆弾音符や妨害も合わさって、人によってはまず譜面が見えず全てを暗記しないとクリアは厳しい。
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その反面ドコン団のリーダーである牡丹戦は妨害地帯は暗記推奨なものの、常時低速で爆弾音符が一切無いので部下であるニャンキーとドラボットより楽との声も。
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一応、これを踏まえてか「辛口」では表記難易度が「むずかしい」となっているが実際は「ふつう」の譜面が流れてくるものが多くなっている。
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配点が引き続き他作品と異なる。
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前作同様、難易度ごとのスコア配点が他作品と異なったままである。
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次作では他作品と同様に戻った。
総評
前作からあらゆる部分で大幅にパワーアップしており、以降の家庭用作品のスタンダードを築き上げた。
特にDS・3DS系列の作品はいずれも本作の影響を色濃く受け、独自の路線を歩んでいくことになった。
余談
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今作のメインテーマ曲「七色ハーモニー」の歌唱は今井麻美氏。
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当時の太鼓チームスタッフのタカハシ氏がこの曲のプログラム用のIDを「72cm」にしようとしてプログラマーに止められたという逸話がある(当時の公式ブログのアーカイブ)。中の人繋がりであることは言うまでもない。
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更に余談だが、本作にも収録された「エージェント夜を往く」はAC版『10』~『12』では選曲した際に一瞬「とかちつくちて」と表示されるギミックがあったがこれもタカハシ氏によるものである。こちらも後にアイマスチームに止められてオミットされている。
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これらのように、どうもこの時期の太鼓の達人シリーズはアイマスのファンサイド発のネタをゲーム内に仕込む傾向にあった。
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当時の『ファミ通DS+Wii』に漫画が連載されたり、携帯電話用『太鼓の達人もばいる』にも本作の発売を記念して楽曲が配信されたりするなど、かなり力の入ったプロモーションが行われていた。
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実際前作および本作は当時の太鼓シリーズとしては爆発的な売り上げを記録し、当時の公式ブログには前作と合わせ100万本を達成したことが報告されるほどであった。
以降、ぽ~たぶるDXを除き長く任天堂ハード中心での展開にシフトすることになる。
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ちなみに本作の評価に関する逸話として、台湾のゲーム情報サイトで2009年ベストDSゲーム大賞を受賞したことが公式ブログで報告されている。
ただ、太鼓チームのスタッフが誰1人このサイトの存在を知らず、ナムコにトロフィーが贈られてきて初めて受賞の事実を知ったというオチが付くのであった。
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上述の通り本作の書き下ろし曲はいずれもアーケードへの移植を果たしているが、これはかなり異例なことである。
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というのも、過去の家庭用書き下ろしのテーマ曲は大抵の場合1作のみの収録に終わることが通例であり、本作のあとに発売されたタイトルについてもWiiシリーズや『ぽ~たぶるDX』などは通例通り移植されていない。
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『11』の時点で移植されていた「七色ハーモニー」はともかく、『12』以降も本作からの楽曲移植が続いたのは非常に珍しく、かなり優遇されていたのがわかる。
その裏に隠れて『ヨーカイ大決戦!!』の書き下ろし楽曲が異様に冷遇されてしまっていたのだが……。
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新筐体稼働以後はこの傾向が薄れ家庭用テーマ曲もそれなりに移植されるようにはなっていったが、なぜかWiiUシリーズの作品のテーマ曲だけは一切移植されない。旧作の曲もほとんど拾われないままの状況が続いている。
最終更新:2024年12月13日 21:41