DOOM II: Hell on Earth
【どぅーむつー へる おん あーす】
ジャンル
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FPS
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対応機種
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MS-DOS Mac OS Windows PC-98 Tapwave Zodiac(海外のみ) Sega Saturn PlayStation Game Boy Advance(海外のみ) Xbox 360(XBLA・BFG版) PlayStation 3(BFG版) PlayStation 4 Nintendo Switch Xbox One Android iOS
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発売元
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GT interactive
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開発元
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id Software
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発売日
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1994年10月10日 【Win】1996年8月20日
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定価
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498円(Steam)
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配信
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Steamにてオンライン販売中
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判定
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良作
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ポイント
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『DOOM』をベースに多くの新要素を追加 原始的ながらオンラインマルチも可能 伝統の『水平二連』初登場 現在も改良が続けられる名作
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DOOMシリーズ
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概要
id Softwareの代表作であるFPS『DOOM』の続編。
エンジンは同一(Id Tech 1)ながら武器や敵・アイテムが大幅に増加し、またマップもより広大かつ複雑なものに変化。より複雑かつ白熱したゲーム展開、そしてダイヤルアップ接続による多人数協力プレイ・対戦などの諸要素が絶賛され、3ヵ月持つと予想されていた初版の60万本はわずか1ヵ月で完売。予約が殺到し、1999年までには当時のPCゲームとしては驚異的な155万本を売り上げる大ヒットとなった。
また、前作同様に「WAD」と呼ばれる本編改造用データの作成が可能。事実上のId tech 1の無償ライセンス提供(起動には公式のDOOMデータが必要)とも言える破格の内容により、多くのプレイヤーがさまざまなWAD作品を生み出し、更にこれを遊ぶためにDOOM IIを購入するプレイヤーも続出、一大コミュニティが築かれるに至る。
ドット絵セットのデータを用意するだけでもオリジナルFPSが作成可能という驚異的なハードルの低さも起因し、1994年当時から映画『エイリアン2』や『Dawn of the Dead(ゾンビ)』などの再現系を始め大規模MODが盛んに作られていたことでも有名。現在でもゲームシステム・アセットの改造やオリジナルマップなどの作成、それらを組み合わせたオリジナルFPSの作成が盛んであり、現代では独自改良エンジンの登場や有志による毎年のWAD表彰「Cacowards」など、コミュニティベースで勢いを長く保ち続けている。
ストーリー
UAC火星基地での事故は、一人の海兵隊員によって「スパイダー・マスターマインド」が撃破されたことで終結した。しかし地獄の主「罪の聖像(Icon of Sin)」は侵略を諦めてはおらず、地球にポータルを開いて悪魔の軍勢を送り込んでいた。
火星衛星からの決死の地獄道を経て地球へと帰還した海兵隊員が目にしたのは、悪魔に侵略され地獄絵図と化した人類の都市(と、無惨な姿になった彼のペット)。
生き残った僅かな人類は宇宙への脱出を目指していたが、地上唯一の宇宙港は悪魔に占領され、上空の火炎バリアが脱出を阻止していた。さらにその悪魔たちは海兵隊員の故郷の都市を前線基地に変えて攻め寄せてきていたのだ。
プレイヤーは地獄から帰還した海兵隊員となり、地獄の侵略を食い止めて地球と人類を救うべく、史上最大の悪魔祓いに挑む。
ゲームシステム
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基本的なゲームシステムは『DOOM』と同様。
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全30ステージ+隠しステージ二つの合計32ステージ構成。ステージはそれぞれ「UAC地上基地」「UAC宇宙港」「都市廃墟」「地獄」の4エリアで構成されているが、エピソード制が廃止されたため個別にプレイすることは不可能。
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そのため、内部MAP名も「map01」とシンプルに通し番号が振られたものに変わっている。
武器
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武器は一種類増え、8種類から9種類に増加。
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その新武器「スーパーショットガン」は本作の舞台である地球でも古くから存在する中折れ式の水平二連型散弾銃で、一見他のSF武器と比較すると見劣りするが…散弾が広範囲に拡散するかわりに3倍近くの弾数を放つ。
最大でロケットランチャー直撃時に迫る近距離の圧倒的火力と第2ステージでいきなり入手可能という入手難易度の低さ、この当時ではあまり類を見ない格好良いリロード描写などから絶大な人気を得ることとなった。
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ゾンビ兵士などのザコ敵を貫通し、終盤の強敵にも十分通用する威力に対し、1発でshell弾薬を2個ずつ使う・連射速度が通常のショットガンの約6割と遅くスキが大きい、垂直方向にも拡散するため距離によって威力が激減しやすいと、ショットガンの長所・短所をより極端にしたものとなっている。
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『近接戦ではスーパーショットガン、そうでないならロケットなど他の武器』『スキは速い足回りで補え』というバランスになったことで、前作で後半ほど持て余しがちだったshell弾薬の有用性を引き上げている。エンディングでドゥームガイが使用しているのも本銃であり、開発者も本銃の活躍を想定して追加したことが窺える。
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本作のスーパーショットガンは、以降の『QUAKE』などにとどまらず他社のFPSにも影響を与え、世界観を問わず古風な中折れ二連ショットガンが登場していたり、『BATTLEFIELD1』のソードオフショットガンではリロード時に極稀に本作と同じレアモーションが仕込まれるなど、クラシカルなショットガンがFPS業界で愛される端緒を本作がつくったとされている。
アイテム
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新たにライフとアーマーを一気に200%(最大値)まで引き上げる「メガスフィア」が登場。シークレット地点に配置されている。
マルチプレイ
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前作同様ネット通信によるマルチプレイに対応。協力や対戦がプレイ可能であり、これを利用して会場に自分のPCを持ち込む「LANパーティー」を行ったり、対戦スコアを競う賞金トーナメントが盛んに行われた。
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本作で追加されたスーパーショットガンはマルチでは「適当に狙っても一撃でプレイヤーを倒せる兵器」としてロケット・BFGと共に愛用され、スーパーショットガンの3・ロケットの5・BFGの7を素早く押すための独自のキー配置「RDFG」が考案され、のちのWASDことThresh Bindの原型になるなどプロゲーマーによる様々な研究が為された。
拡張パック
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『Master Levels for Doom II』
id Softwareが1995年に発売した公式拡張パック。様々な作者が作った20のWADファイルの他、おまけとして「Maximum Doom」と呼ばれるユーザー自作による3000近いレベルマップも収録されている。全体的な難易度は高め。
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『No Rest for the Living』
本作のCS機移植を担当しているアメリカのNerve Softwareが2012年にXBLAで配信した「360版DOOM II」用の拡張パック。『Ultimate DOOM』と同様に8つの新レベルと1つのシークレットレベルが収録されている特別エピソード。
後に発売された『Doom3:BFG Edition』に収録されている本作にはこの内容が含まれており、PSN向けの『Doom Classic Complete』にも一部コンテンツとして収録されている。2019年のUnityエンジン移植版には無料アドオンとして配布されている。
評価点
非線形マップの高度化
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実質2D処理であることを感じさせない、高低の非常に大きいマップがさらに増加。全体的なマップサイズも巨大化し、より複雑なマップがプレイヤーの行く手を阻む。
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スイッチによって地形が変化する足場パズルが大幅に増加。『Marathon』のような2重構造で入り組んだマップこそないものの、完全に平らな構成のマップは一部を除けばほぼ存在しないと言って良い。
個性的なマップの数々
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練られたマップ構成と膨大なシークレット要素も強い印象を残したDOOMであるが、堅実な構成だった前作に対し本作はあまりストーリー性に縛られない、奇抜なマップが増えている。
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プレス天井の罠を使ってヘルナイトの群れまたはスパイダーマスターマインドを押し潰せる「THE CRASHER」、大きく開けた広場で無数の敵が襲いかかってくる「THE COURTYARD」など、兎にも角にも印象に残るステージが用意されている。
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全ての部屋に敵の待ち伏せなどの罠が仕掛けてある「TRICKS AND TRAPS」、サイバーデーモンVSスパイダーマスターマインドという前作の大ボス2種による同士討ちが見られる「GOTCHA!」、大量の爆発ドラム缶が初っ端からお出迎えの「BARRELS O' FUN」など、インパクト絶大な難所も。
より増加した敵
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回避困難な即着弾のチェーンガンを連射するヘビーウェポンデュード(Heavy Weapon Dude)、前作ボスであるバロン・オブ・ヘルの弟分ヘルナイト(Hell Knight)、巨大な図体から強烈な火炎弾を連射してくるマンキュバス(Mancubus)、耐久力は比較的低めだが強力な誘導ロケット弾と近接攻撃を持つレヴナント(Revenant)、
前作ラスボスの小型版でありプラズマ弾を連射するアラクノトロン(Arachnotron)、無限にロスト・ソウルを吐き出すペイン・エレメンタル(Pain Elemental)、強力な火炎魔法と敵を蘇生する魔法を使うアーチバイル(Arch-Vile)、そしてマップギミックを用いた攻略法を要求する最終ボス・罪の聖像(Icon of Sin)が登場。
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前作とエンジン部分になんら変更はないが、上述のマップだけでなくこれらの独自の個性を持つ新たな強敵によりゲーム性を拡張している。これらは敵によって対処法もある程度分かれており、戦略的な奥深さを広げることに貢献している。
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前作の敵は、即着弾以外は横移動しているだけで避けられる単純な攻撃しかしてこなかったが、誘導弾を撃ってくるレヴナントや弾をばら撒くマンキュバスが登場したことにより一筋縄ではいかなくなった。また、バロン・オブ・ヘルなども狭い通路で出現することが増えて厄介さが増している。
大量の敵と渡り合う爽快感
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武器バランスやアイテム配置はどれも絶妙であり、敵バリエーションが増えたにもかかわらず見事に釣り合いが取れている。通常プレイでも2面で「スーパーショットガン」が入手可能&エピソード区切りの廃止により全マップを通して装備引き継ぎが可能になるなどプレイヤーの火力が引き上げられており、敵を薙ぎ倒す爽快感は前作以上。
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サイバーデーモンやスパイダーマスターマインドなど、前作におけるボスキャラは前半からステージ道中に出現するようになったが、前半では無敵アイテムによるゴリ押しか同士討ち、マップギミックなどのように通常よりも比較的楽に対処が狙える配置になっていることもある。
本作も難易度「Ultra-Violence」では同士討ちの誘発が重要テクニックになるが、ボス級の強敵を上手く同士討ちで処理できたときの「してやったり感」はかなりのもの。
豊富な隠し要素
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やはりどのマップにも必ず複数のシークレットが隠されており、このシークレットを見つけていくのも本作のやりこみ要素の一つ。ステージクリア時には見つけたシークレットの割合が表示されるのも同様で、ダッシュによる足場飛び移りが必要な箇所・一定時間しか開かないシークレットへの入り口など、一筋縄では行かないシークレットも健在。
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今作のボーナスマップは2つ・その入り口であるシークレットゴールは作中の2つ(内1つはボーナスマップ内なので実質一箇所)だけだが、代わりに一連のボーナスマップは『Wolfenstein 3D』を再現したものになっている。SS兵士やコマンダー・キーンが登場するなど、ボーナスマップ限定の小ネタも仕込まれている。
雰囲気を盛り上げるBGMとSE
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前作同様にBGMの完成度は高く、ゲームの雰囲気を盛り上げるのに一役買っている。
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重厚感のあるスーパーショットガンの発射音や、豚か犬のようなマンキュバスの鳴き声など、新たに追加されたSEも雰囲気抜群。
オリジナルの「DOOM」を作れる
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今となってはレトロと行っても過言ではないゲームエンジン「id Tech1」の作品の一つだが、それを利用した二次創作が今もなお衰えぬ活気を見せている。
それは有志によって作成された専用のビルダーソフトなど様々なツールを用いる事で、自分だけのオリジナルのFPSへの改造制作ができることにある。
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当初から単純にマップの構造、武器やアイテム、モンスターといった"キャラ"の見た目、BGM・SEなどを差し替えることが可能であり、今では独自の挙動を持つキャラ・アイテムを実装するなど、最低限の疑似3Dアクションの下地を除くほぼ全てを改造する事ができるようになるに至っている。
この過程でソースポートと呼ばれる互換エンジンの開発も長く行われており、最新のソースポートに対応しているものではゴア表現やUIなどを強化するものやぶっ飛んだ威力の兵器を大量投入するもの、果ては完全な別ゲーと化すようなものまである。
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現在、旧DOOMを始めとするid Tech1シリーズに対応したMODは到底数えきれない程存在する。当然玉石混交だが、数あるWADの中から秀逸なものをピックアップする企画「Cacowards」が2004年から有志の手で開催されているなど、長寿コミュニティとしての盛り上がりを見せている。
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なお、現在製作されるWadの中でも、マップ差し替えのWADは9割ほどがDOOM IIの本編データを用いて起動することを前提としたもの。DOOMとDOOM IIは武器や敵の種類数以外にもマップデータ名が異なるなど互換性が薄い仕様のため、基本的にはそれぞれのWADに対応した本編で起動しないとステージデータの差し替えが成立しないのである。
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エンジン部分においてはほぼ互換性があるため前作と本作など公式のWADを統合するツール(WadSmoosh)も開発されているが、マップWADに関して『Ultimate DOOM』など前作の方に対応しているものは少なくなっている。
これらの追加マップをプレイする目的でSteamなどでデジタル購入する場合はUltimate DOOMとDOOM IIのどちらに対応しているかを区別しておくべきだろう。
変化球の真骨頂であるラスボス
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本作のラスボス「罪の聖像」は、その凄まじい見た目と当時例のない巨大さ、初見の戦術の凶悪さといったインパクトだけでなく、ただの撃ち合いではないギミック重視のボス戦という点でも知られている。
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パターンを理解してやり込みさえすれば倒すにはさほど労力が要らないという点が、本作のタイムアタックなどに熱中するプレイヤーに評価された。
賛否両論点
きつめのゴア表現
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相変わらずゴア表現は凄まじい。特に新規キャラクターであるマンキュバスは音や死骸グラフィックともになかなかのものであり、人によっては嫌悪感を抱くかもしれない。
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本作のファンからは概して好意的に受け止められており、今日では血しぶきの表現を強化するなどより高度なゴア表現を実装するWADもいくつか作られている。
根本的なゲーム性に変化がない
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同一のエンジン・同一のグラフィックを用いている以上、技術的側面で見れば本作はDOOMのスタンドアローンで提供された拡張パックに近いものと言える。このため「新しいDOOM」を期待した一部ファンからは「何も進歩していない」と失望された。
マップデザインについて
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マップの高低が激しくなりバラエティ豊かなマップが増えたのは評価点にも挙げられている通り良点なのだが、上下の視点変更ができないにもかかわらず高所からの飛び降りが必須となる場所があったり、こちらが視認できないほどの高さから攻撃してくる敵がいたりと、DOOMのゲームシステムと合わない構成のマップデザインが見受けられる。
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この点が顕著なのがマップ13「Downtown」。建物から建物へ飛び移る必要があることに加えてテレポーターを使った移動も多く、オートマップを見てもルートを把握するのが困難である。このマップだけで数時間費やすことも珍しくなく、かなり不評なマップである。
問題点
環境によっては視認性が悪い
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当時のDOSの解像度は320x200であるが、この解像度では至近距離や遠方のグラフィックが粗くなり、状況が把握しづらい。動作を軽くするなどの目的で画面サイズを縮小させた場合はさらに顕著となる。
後発の移植やGZDoom、Zandronum等の現行のソースポートではこれよりも遥かに高い解像度を選択可能となっており、一部の移植版はフルHD(1920×1080)に、GZDoomでは4K画質(4096×2160)に対応している。
通常では絶対に入れないシークレットがある
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MAP15とMAP27ではシークレットゾーンの1箇所がテレポーター入り口と完全に重なっているため、普通に移動するだけでは絶対に該当のシークレットを達成できず、noclipによる壁抜けチートを使わない限りシークレット100%の達成ができないという不具合がある。
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MAP15のものは発売から24年後にZeroMaster氏のプレイで「ペインエレメンタルの吐き出すロストソウルに押し出されることでシークレットゾーンに入る」という手段が発見されたことで、チートコマンドを使わずにシークレット100%は理論上可能であることが実証されたが…
総評
非線形デザインによるマップ造形、悪魔崇拝的な世界観、強烈なゴア描写、痛快なゲームプレイとあらゆる面で評価・糾弾された衝撃作『DOOM』の続編。
前作から1年にも満たない開発期間ながらさまざまな要素が追加され、またマップ自体も大幅に強化。それに伴ってゲーム性は崩れることなく更に奥深くなり、DOOMの正当進化として前作プレイヤーから絶賛されることとなった。
北米ではDOOMファンを中心に大ヒット。前作で人気だった対戦プレイは更なる興隆を見せ、各種賞金大会も開催、売り上げの30%が発禁となったはずのドイツからであるなど様々な逸話を持つに至った。
ゲーム内容に根本的な改良が為されたわけではないが、それによってオリジナル版のDOOMの良さを損なわずに更なるアップデートを遂げることに成功している。このスタンスは一部ファンからの失望を招いたものの、多くのファンには好意的に受け止められた。
ファンによる研究や改良によって遊びきれないほど大量のWADや高画質可能なエンジンがネット上に存在し、それらMODの大半が本作ベースであるため現在も人気の絶えない作品。
Steamでも気軽に購入可能であり、プレイの敷居も低くなっている。FPSを遊び作る人々の手で極めて便利な環境が完成されたという点は、本作の最大の魅力と言っても過言ではない。
移植
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MAC OS版(1995年6月27日)
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海外のみのリリース。基本的にMS-DOS版と同等の内容。
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DOS/V版(イマジニア)
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PC-98版(1995年9月29日、イマジニア)
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Win95版(イマジニア)
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いずれもMS-DOS版『DOOM II』に忠実な移植。日本での発売は前作同様イマジニアが担当している。
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PC-98版への移植はインフィニティ株式会社が行った。
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プレイステーション版(1996年4月19日、ソフトバンク)
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セガサターン版(1997年7月11日、ソフトバンク)
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Ultimate版と『DOOM 2』の同時収録。
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最大の特徴として、BGMがダークアンビエント調のものに一新され、同様に一新された重苦しいSEと共にホラー要素が強くなっている。
BGMはオリジナルのロバート・プリンス氏ではなくオーブリー・ホッジズ氏が担当。
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セガサターン版はプレイステーション版と同内容だが、動作のもっさり感が目立つ。
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ゲームボーイアドバンス版(2002年10月28日、アクティビジョン)
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日本未発売。前作同様の携帯機向け移植版。TorusGames社が移植を担当。
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サウスポーエンジンと呼ばれるGBAのFPS向けエンジンを使用しており、SFC相当程度のスペックであるGBAにしては良好な移植。
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ゲーム内容は一部グラフィックの劣化、ショットガンの拡散範囲が水平から円形に、スーパーショットガンは連射間隔短縮、プラズマライフルの後隙削除、チェーンソー攻撃時の敵ノックバック追加、血液色が緑に変更、死体消失、ナチ要素の修正などが行われている。
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Tapwave Zodiac版(2004年)
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ポケットPCのTapwave Zodiac向け移植。日本未発売。
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内容はMS-DOS版に忠実だが、音楽のテンポが速くなっている。
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Xbox版(2005年、アクティビジョン)
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『Doom 3 Limited Collector's Edition』(日本未発売)に収録。
解像度や音質が悪くバグが存在するなど移植度は低い。
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Xbox 360(Xbox LIVE ARCADE)版(2010年5月26日、アクティビジョン→ベセスダ・ソフトワークス)
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MS-DOS版のほぼ忠実な移植で、フルHDおよび5.1chサラウンド、デスマッチ・CO-OPに対応。
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『DOOM 3 BFG Edition』に収録されているものと同じ内容。このため、ナチ要素のあるシークレットステージMAP31・32が削除されている。
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Xbox One版の配信に伴い、2019年7月に配信が終了した。360版を購入している場合、Xbox Oneに無料でインストール可能。
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Windows(Steam)版(2007年8月4日)
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MS-DOS版をエミュレーターで動作させており、WADはオリジナルと同等のため各種ソースポートへも転用可能。
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2020年9月5日のアップデートにてUnity移植版(下記のPS4/Switch版と同一内容)が追加され、Unity版とオリジナルのDOS版(Legacy Version)のどちらかを選択して起動できるようになった。また、これに伴い『Master Levels for Doom II』は『Doom Classic Complete』バンドル限定での販売になっている。
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プレイステーション4/Nintendo Switch/Xbox One版(2019年7月27日、ベセスダ・ソフトワークス)
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Unityベースの移植版で、開発はNerve Softwareが担当。
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システム面において『DOOM』同様近代的調整が加わっており、レベルセレクト機能や、エンディング後のスタッフクレジットの追加、クイック武器選択機能、アドオン機能などが実装されている。基本的にオリジナル版よりも快適に遊べるようになっているが、WADには変更点があり、赤十字ロゴの規制(初期版はピル・後に緑十字に変更)ほか、BGMのみMIDIから録音(OGG形式)に差し替えられたためシームレスに再生されず、無音が挟まるという問題がある。
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Xbox360版同様、フルHDおよび5.1chサラウンドに対応。
さらに人数分のコントローラーがあればオフラインでマルチプレイが可能。
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追加モンスターのグロさ故か、CERO:D (17歳以上対象)と前作よりもやや高くなった。また、BFG edition版で削除された隠しマップ自体は復活してはいるのだが、鍵十字が逆三角マークに変更、ヒトラーのチョビ髭が削除とかつてのスーファミ版『Wolfenstein 3D』と同じ規制が蘇っている。
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その他、Jaguar版やArt Data Interactiveによる外注開発の3DO版などは企画されていたものの、諸事情により発売には至らなかった。
余談
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ラスボスである罪の聖像の内部(額部分)には、チートを使わなければ進入できない小部屋が存在する。その中には開発者の一人であるジョン・ロメロの生首が存在。
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もともとプログラマーの一人が雑誌の写真を使ってジョークで入れたものだったが、途中でバレたことでロメロ本人も悪ノリし声を当てることに。当たり判定とHPが存在し、ロケットの爆風を3発当てると罪の聖像が倒されたときの音が鳴り、そのステージは強制的にクリアとなる。つまり、プログラム上のラスボス=罪の聖像の実体は壁の内側に配置された彼。
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ちなみに、通常のプレイでは姿を見ることができないにもかかわらず、ダメージを受けるとわざわざ苦しそうな表情を浮かべる。
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本作の描写に関してはそのグロテスクさも勿論のこと、隠しマップにナチ要素を入れてしまったことでそちらからも規制を受けることになった。
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結果ドイツ語版ではシークレットステージが削除。BFG版も同様の規制が反映されているため、これによって『DOOM 3』BFG版に収録されたDOOM2のIWADが一部のマップPWADと互換性がない不具合が生まれている。
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本作、及び『Wolfenstein 3D』の規制が解除されたのは2019年。現在ではドイツ国内でも制限無く購入し遊ぶことが出来る。
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1999年4月20日に発生した学生による銃乱射事件「コロンバイン高校銃乱射事件」の犯人の一人、エリック・ハリスは、本作DOOM IIのWAD製作者でもあった。彼はどこのDOOMサイトにも自作を投稿せず、自前のサイトで配布を行っていた。
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彼の自殺後にこれが報道された後、サイトはFBIによって閉鎖。その結果、怖いもの見たさで「ハリスの製作したWADを持っていないか」と相談するプレイヤーや報道関係者が続出、DOOM WAD公開サイトは事件の片棒を担ぐのを嫌いこぞって一連のWADの取り扱い拒否を表明するなど、DOOMプレイヤー内でも大問題となった。
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現在ではFBIによるサイト閉鎖直前にかろうじてサルベージされたいくつかのWADデータが、コロンバインの情報を保存するプロジェクトによって当時のハリスを知るための魚拓として公開されているに留まる。
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製作途中と完成時の設定が異なるため、一部敵キャラクターのエンディングでの呼称と内部データの名称も一致していない(ヘビーウェポンデュードのデータがChaingunguyとなっている、マンキュバスの内部データがFatsoになっている、インプの内部データがDoomImpになっているなど)。一部敵をsummonコマンドで召還する場合の内部アクター名はZDoomWikiで確認できる。
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本作が問題となったのは本編内容だけではない。2012年には本作のトータルコンバージョンである『Grezzo 2』がイタリア人のDOOMプレイヤーニコラ・ピロによって公開。風刺要素を全面的に盛り込んだ同WADは教皇やイタリア政府を冒涜し、大量の他のModからのスプライトやソースコードの盗用に加えキリストを殺害するFPSという前代未聞の内容が批判や論争を呼び、Twitchの禁止ゲームに指定されるなど様々な反響を残した。
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Cacowards 2012は『Grezzo 2』を栄誉賞としてサイドコーナーに併記し、「今年リリースされた最も精神病的なもの」と批判しつつ、過激な表現に関して「馬鹿馬鹿しすぎて素晴らしい」と賞賛した。
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本作に登場したスーパーショットガンは『HoverTank 3D』から続くid software製FPSで最初に「リロードが描写された武器」である。ただこの時はまだ任意装填ができずそもそも2発を1回で打ち切る形で、仕様としては通常ショットガンの「ポンプアクション」と同じ扱いになっている。その後も2001年の『Return to Castle Wolfenstein』まで装填数・任意リロードの概念は導入されなかった。
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宇宙海兵隊...ではなく現実の米国海兵隊にシステムが採用されていた時期が存在する。採用されたのは本作のマルチプレイが高い人気を誇っていた1996年。現在ではこのMODバージョンも無償公開されており、通称『Marine DOOM』と呼ばれている。
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軍事機関が採用したFPSとして見ると、後の米国陸軍による『Full Spectrum Warrior』『America's Army』といったFPS作品の先祖とも言える。ただし本作のシステムから分かるとおり銃器の現実性などはあまり考慮されておらず、あくまで4人マルチプレイ機能を活用した三次元の戦術シミュレーション空間として想定された作りとなっている。
最終更新:2023年08月01日 01:33