三國志X

【さんごくしてん】

ジャンル 歴史シミュレーションゲーム
対応機種 Windows 98~XP
プレイステーション2
発売・開発元 コーエー
発売日 2004年7月2日
パワーアップキット:2005年1月21日
判定 なし
ポイント 三國志風太閤立志伝
舌戦初登場
多すぎる強制イベント
粗の多い戦闘と戦役
三國志シリーズ


概要

『三國志』シリーズの10作目。『VII』『VIII』と同様に全武将プレイとなり、プレイヤーは三国志に登場する全ての武将の中から一人を選んで主人公として三国志の世界を生きていく。
勢力に仕える武将として君主や太守から受けた任務を遂行しつつ、酒場で依頼を受けて所持金や名声を稼いだり、在野武将でも私兵を率いて勢力に殴り込みをかける等の自由なプレイが可能となっている。


システム

  • 武将プレイに関しては『VII』や『VIII』を踏襲している部分が多い為、主に変更点を記す。
  • 時間の経過は月単位から日にち単位に変更、都市の施設の出入り、マップの移動、コマンド実行に応じて日にちが経過していく。
    • 前二作と大きく異なるのは一枚マップでの移動と言う概念が加わった事、これにより、マップを行き来している武将と知り合ったり、落ちている物を拾ったり、各地の名所を巡るといった要素が加わった。『太閤立志伝』におけるマップの概念と同じである。
    • 空いた時間を使って酒場で依頼事をこなす事でお金やアイテム、名声、経験を稼げる。
    • 戦争は始まってから1か月に亘って行われるようになっている。この間も時間が流れている為、戦闘中に自勢力の都市が攻撃を受けたり、他勢力が滅ぼされるといった変動が起こるようになった。
    • 全体的な雰囲気は同社の『太閤立志伝V』と似ており、それに『VII』や『VIII』のシステム(能力鍛錬、技能取得、義兄弟、連合)の踏襲を加え、三國志に落とし込んだのが本作だと思えばイメージがしやすい。
  • 舌戦
    • 「武将の登用」や「他勢力との外交」等で、成功か失敗かの瀬戸際な状況に陥った場合に「舌戦」を挑むことが出来、勝利する事で成功に持ち込めるようになった。
    • いわば文官同士の一騎打ちと言えるシステムで、一騎打ちと同様にミニゲーム形式で勝負が決まるまで舌戦を繰り広げる事になる。
    • 武将の能力や技能によって強弱はあるものの、一騎打ちよりもルールが複雑である為、ルールを理解して挑まないければ遥かな格下にも負けてしまう。
      • ルールは1~9までの数値が紐づけられたと3つの主張(道理・利害・情義)を3×3の数値が置かれたマスに置き、相手の手札と数値の強弱を競いつつ、ビンゴゲームのように同じ主張をそろえてコンボを決めるのが主なルールとなる。
      • 1列全てにバラバラの主張を置いてしまうと逆コンボになったり、すでに置かれた数値を別の主張で上書き出来たり、コンボが発生するとカードゲームの大富豪のように数値の強弱が逆転する等の要素がある為、単純に強い数値だけを選べばいいというものではない。
  • 身分
    • 『在野』『一般』『太守』『都督』『君主』の五つとなり、軍師は技能の一つに変更された為、身分としては無くなった。
      • 「在野武将」では維持費を払う事で私兵を雇う事が可能となり、他勢力の戦いに干渉できるようになった。この為、戦争で活躍して仕官したい勢力に自分を売るといった事が可能になった。
      • 「君主」は『VIII』で見られた放浪軍も含んでおり、黄巾の乱の劉備勢力のように支配する都市を持たない勢力も存在する。この場合は各地で寄付を募りつつ兵を集め、旗揚げを目指す事が当面の目的となる。
      • 「太守」になると時折、住民から「陳情」が出される事があり、放置したままにすると都市の「治安」が下がっていくので応える必要がある。
      • 軍師が身分ではなく称号系特技となった事により、従来と異なりプレイヤーが君主や太守でも特技さえあれば自分で計略の成否判定を行えるようになり、逆に知力が高くても特技が無いと助言を出せなくなった。
      • また、成否判定自体も従来の実行武将選択時ごとの表示ではなく、計略とその対象の選択時に成功見込みのある武将が最大3名まで挙げられる形式に変わっている。
    • 太守や都督には階級の高い人物でないと任命できなくなった。
      • 太守等のいない都市は直轄都市となり、武将を常駐させる事はできないが、君主や都督の所在都市にいる武将を任務で派遣して内政を行う事はできる。
  • 特技
    • 『VII』や『VIII』と同じく様々な特技が存在し、覚える事で主人公を強化できる。
      • ただし内政や戦闘、一騎打ち、舌戦、名声など多岐にわたる要素で経験を積まなければならず、また、条件を満たしても身に着けるにはその特技を持つ武将や旅人と親しくなって師事をする必要がある。
      • これによって名声を稼いで許劭や橋玄に認められる事で「名士」の特技を得られるといった事が出来る。
  • 戦闘
    • 攻撃側、守備側の垣根は無くなり、部隊の士気や武将の統率力によってアクティブタイムバトルのように行動順ゲージが溜まっていき、『タクティクスオウガ』のように敵と味方が入り乱れて順番が回っていく。士気や統率力に大きな差があれば相手が行動する前に複数回行動する事も可能。
    • 移動、攻撃、計略のコマンドの垣根も撤廃され、全ての行動は部隊の「機動力」を消費する事で行われる為、機動力の範囲内ならばあらゆるコマンドが実行可能なので攻撃後に即座に距離を取る一撃離脱といった戦法を1ターンの間に行う事も出来る。
    • 「兵科による三すくみ」の概念があり、「歩兵>弓兵>騎兵>歩兵」と相性がハッキリしている為、優位な兵科ならば能力差があっても優位に戦える。
      • 戦闘で部隊の経験を積み、特定の都市の施設を使う事で兵科を強化する事も出来、さらに部隊の能力を高めることが出来る。
      • 一部の武将は強力な兵科を私兵に持つ事があり、曹一族や夏侯一族の「虎豹騎」「青州兵」や北方異民族の「突騎兵」、南蛮勢力の「象兵」「藤甲兵」「蛮族兵」等が該当する。
    • 従来と同様に「野戦」「攻城戦」が存在するが、本作では攻城戦で勝利した後の「市街戦」も加わり、市街戦で政庁を制圧する事で初めて都市を奪う事が出来るようになった。
  • 戦役
    • ある程度の勢力になり、大将軍になると地方に対して「戦役」を発令する事が出来るようになった
      • 普段の戦闘が「都市に対する戦争」ならば戦役は「地方に対する戦争」となり、あらゆる都市が巻き込まれる形となる。発令した地方の都市をすべて落とすか、発令した勢力が一つ都市を失うまで続けられる。
      • 1部隊が1都市全ての兵力となる為、通常の戦闘に比べても大規模な戦いとなる。また兵糧切れの概念も存在するので、「陣」や「味方都市」に移動して兵糧を回復する必要もある。
  • 歴史イベント
    • 従来の作品に比べて非常に歴史イベントが増えており、襄陽の戦い等の局地戦等、シリーズで初となる歴史イベントも多数追加されている。
      • 歴史イベントの発生により、勢力の版図ががらりと変わったり、特定の武将が死亡したりとゲームに少なくない影響を与える事も多い。
      • イベントによっては一騎打ちや戦闘を挟む物もあり、その結果如何でIf展開が起こる事もある。
      • 主人公によって内容が変化するものもあり、例えば「三顧の礼」イベントは諸葛亮でプレイする事で徐庶が劉備の下を去る際に訪ねて来たり、留守中に2度の訪問があった事が報告される等、特定の武将の視点のイベントが用意されている事もある。
    • 主人公に近しい勢力ならばイベントの内容が詳細にみられるが、別勢力に関するイベントの場合は伝令による顛末の報告だけとなり、かなりあっさりしている。
  • 結婚
    • パワーアップキットの導入が必要となるが、武将同士の結婚が可能となった。『VIII』PKと同様に二世武将の誕生と育成要素もある。

評価点

  • 武将プレイの自由度が高まった。
    • 『太閤立志伝』と違い、決められた期間に評定が開かれて必ず任務を言い渡されるわけではない為、空いた時間が比較的多く、好きな事が出来る。
      • 時折、太守や君主に呼び出されて任務を申しつけられるが、出世をしたくなければ断る事も出来るし、逆に連続して任務を受ける事も出来る。働きたくなった場合は任務を提案する事も出来るのでかなり好きにさせてもらえる。
      • 特技は様々な戦闘、内政経験を積む必要があり、覚えるのにはかなりの手間がかかる為、やりごたえがある。条件を満たしても、能力が低すぎれば師事出来ない等の制約も多いので、スーパーマンを作るのは難しい。
    • 在野での自由度もVIIIと比べて増している。
      • 酒場で依頼事を受けて資金や経験値を稼ぐと同時に名声を上げ、仕官や放浪軍結成に備える事ができる。
      • また、前述の通り私兵を集めて戦争に参加することで、味方した軍から登用を持ちかけられ仕官する事も可能。
      • 放浪軍結成時にも、同志となる武将を確保できなくても単独での決起が可能となった。
  • 原点回帰した一部の武将のグラフィックとBGM
    • 記念作品である事から特定の地方の都市内BGMや戦闘BGMに初代『三國志』のアレンジが使用されている事もあり、オールドユーザーからの支持を得ている。
    • VII以降、顔グラフィックが普通の鎧武者になってしまい、個性が埋没した孫堅や呂布といった武将が旧来の「演義準拠の赤い頭巾を被った孫堅」や「翎子(通称:触覚)を着けてオールバックな呂布」に回帰しており好評を呼んだ。
      • これらの武将は次回作以降もこの路線で定着しており、より洗練されるようになった。
  • 舌戦の登場
    • 呉と同盟する為に舌戦を繰り広げた諸葛亮のように文官に活躍の場が増えた。弱小勢力の場合でも同盟を結びやすくなる為、生き残る術が増えた。
      • 武将の登用でも信頼関係に持ち込めば、多少相性が悪くとも舌戦で口説き落とせるので好きな武将をスカウトしやすくなった。
  • 個人相性の導入
    • 従来のシリーズでは1種類だった相性値が、忠誠度に影響する勢力相性と親密度の上がりやすさに影響する個人相性に分かれた。これにより、元は親友同士だったが後に敵対した曹操と袁紹、仕える主君は違えど友人同士だった関羽と張遼などは、勢力相性は悪いが個人相性は良いため親密度が上がりやすくなり、VII・VIIIでこれらの組み合わせで親密度が上がりにくかった不自然さが解消されている。
  • 新武将登録時に父親と母親の両方を設定できる。
    • 以前のシリーズでは片親しか設定できなかったが、今作から両親を設定可能になり、新武将一家の子が母親を赤の他人と認識してしまう心配も無く新武将一族を登録できるようになった。
    • また、必ずしも両親が夫婦である必要も無い(異母兄弟も作れる)ため、複雑な(といってもこの時代には珍しい事でもないが)家族関係も設定可能。

賛否両論点

  • いくつかのBGMには男性声で「あっああああっあっあっあっあー」といった感じのコーラスが入っており、人によっては不快に感じられることもある。

問題点

  • 多すぎる歴史イベント
    • 関係のない勢力のイベントは簡略化される等の処置はあるものの、それを踏まえても歴史イベントが多発しすぎる
      • 例を上げると黄巾の乱シナリオでは、開始早々に張角病死→何進の台頭と暗殺→曹操や董卓の独立→董卓暗殺…と毎月のようにイベントが発生し、その度に勢力版図がガラリと変わる。
      • それまで必死で内政してきた都市を配置換えされたり、イベントで勝手に支配都市が増えていったり、敵対してしのぎを削っていた勢力が突然消えたりと、プレイにかなり水を差す要素となっている。
      • つまるところ、自由度が高い武将プレイのはずが、強制的に三国志の流れに沿ったプレイにされる事になり、自由度の低下を感じやすい要素になってしまっている。
      • 今までのシリーズでも武将の死亡や版図の変更はあるものの、条件が複雑だったり、イベントの数が少ない為にそこまで気にならない物だったが、簡単に発生する歴史イベントが大量増加した事によって問題点が露呈するようになった。
      • また、簡略化されるとはいえ、連続で伝令の報告を聞く羽目になるのでひたすらクリックをする必要があり、クリックゲーになってしまっている。
      • 無印ではこの現象を回避したければ仮想モードにするしかなく、その場合は武将の性格なども変わってしまうので興ざめする。史実モードで歴史イベントを発生させない為にはPKの導入が必要となる。
      • 続編の『12』『13』でも同様の現象が起きており、自勢力に不利になるイベントの場合は選択肢で回避可能と言う救済処置はあるものの問題点として指摘されている。
      • かと言って、ただ傍観しているだけで史実通りに三国鼎立まで進むというほど綿密にイベントが組まれているわけでもなく*1、武将になりきって三国志の物語をなぞりたい、あるいは歴史に流されながらもあえて必死に抗ってみたいというプレイヤーにとっても不満な出来になっている。
    • 不利なイベントを回避する手段が無いわけではない…のだが、選択肢だけで済むものから一騎打ちや舌戦に(時にはかなり不利な条件で)勝利する必要があったり、そもそもイベント発生したら回避する手段が無いケースもある。君主プレイ時ならイベント関連武将を遠くの都市に飛ばしたり解雇することで回避することもできなくはないが…
      • 一例として、赤壁の戦い・曹操軍では苦肉の策と連環の計を敵の計略だと曹操に進言し、曹操に舌戦で勝利すれば火刑の被害を軽減できる。…史実武将の中でも屈指の舌戦強者である曹操に勝てれば、というかなりの無茶振りである。
      • なお、当の曹操でプレイしている場合、イベント発生したら被害を抑える術が無い。
  • クリックゲー
    • 先述の歴史イベントも含め、伝令の報告が非常に多く、ひたすらクリックを求められる。
      • 武将一人一人の移動や、(面識のない武将でも)死亡時の報告等が頻繁に行われる。特に終盤になると両方ともかなりのクリックが求められて煩わしい。
  • 放浪軍での自由度の低さ
    • VIIIと比べて在野での自由度が増したのと引き換えに、放浪軍での自由度が著しく低下してしまっている。
    • プレイヤー担当武将が放浪軍に所属していると、専用の画面で仕事の命令・提案または待機しかできず、宿営地を離れて他の都市に出かける事はおろか、所在都市の施設を訪れる事さえできない。在野武将の登用や部隊の新設はおろか仲間との親密度上げすらできないので、結成してもすぐ旗揚げしないとまともに動けない。
  • 強すぎる軍師と兵器
    • このゲームでは「井闌*2」や「衝車*3」といった兵器が非常に強力だが、組み立てに大量の行動力を要する上に、接近攻撃には反撃できずに防御力も低いという弱点を持つ。
    • しかしながら「軍師」技能を持つ武将がいれば、「指示」コマンドを使うことが出来、これが軍師の行動力で好きな部隊を動かせるという凶悪な代物。
      • つまり、兵器部隊を配備した上で軍師を複数用意して、ブラック企業さながらに兵器部隊に指示を与え続ければ敵にターンが回る事なく1日で強力な部隊や強固な城門も壊滅させる事が出来るというイカれた性能を持つ。仮に攻撃されそうになっても事前に解体すれば防御が弱いという弱点も消失する。
    • 同様に弓兵の最強兵科である「元戎弩兵」は「矢が敵部隊を貫通する」という効果を持つ為に、軍師によるブラック(ryで、極端な話になると1兵も失わずに大軍を撃退可能とおかしな事が起こる。
      • 元戎弩兵に井闌を持たせると、井闌状態でも貫通効果が乗るためさらに手がつけられなくなる。
  • 戦争時のアホ過ぎるCPU
    • 総大将が全く戦わずに日和見をしたり、全く意味のない移動を繰り返すのは当たり前で、兵器にこだわり過ぎてサンドバッグと化したり、総大将がマップ端の水辺に移動して押し流されて敗北といった目を覆うようなAIとなっている。
      • 特に武将プレイの場合は自分の部隊しか動かせないので、味方が全く頼りにならず、敵の動きもマヌケ過ぎる為に10倍の兵を撃退したとしても達成感がまるでない。
      • 上記の「井闌+軍師」や「元戎弩兵+軍師」による虐殺も、このCPUが相手だからこそ成り立つ部分もある。
      • 城門前が渋滞している横で無駄に右往左往する味方部隊は日常茶飯事。歩兵なら城壁に隣接して待機し行動力を溜めることで雲梯による壁越えを狙える(失敗することもある)が、CPUはそんな応用を一切利かせてくれない。
    • 戦闘システム自体は上記のチート軍師と兵器といった粗はあるものの、三すくみや様々な兵科、技能等見るべき部分もあるが、それを打ち消すほどにCPUのAIがお粗末になっている。
  • あまりにも面倒すぎる戦役
    • マップが広すぎる上に構造が悪く、一本道の街道が多い為に渋滞が多発し、とにかく時間がかかる。
    • 通常の戦闘と違って時間切れによる終了が起こらないのでひたすら冗長、一度の戦役で2~3時間はかかるのに関わらず途中でセーブが出来ない。
      • 兵糧切れが起こると都市や陣に戻らなければまともに行動できなくなる上に、兵糧切れで補充に戻り再度移動中に兵糧が(ryと悪循環に陥る事もあり、「時間切れが無い」為に終わりの見えない戦いになっている。
      • 後期シナリオの魏に新君主で立ち向かう時等、到底かなわないような状況でCPUに発令されると嬲り殺しの憂き目にあう。
      • この様にゲーム終盤の消化試合を短縮する為に考えられたシステムの割には問題点が多すぎる為、本作の評価を下げる一因になってしまった。
  • 陳情がうっとうしい
    • 太守以上になると陳情に応える必要があるが、その内容が投資や施しを強要してくる物が多い。しかも断ると当然のように名声が下がる。『VIII』における乞食や町娘のような存在と化している。
      • 絶対に儲かる商売に投資しませんか?といった商人の申し出を断っただけで名声が下がるのは釈然としないものがある。
      • 成功すればリターンも大きいのだが、失敗すると渡した物資がそっくり取られる上に場合によっては罵られるのでよりストレスが溜まる。
    • また溜まる速度が速く、放置すると治安低下のペナルティが付いて回るので何かと足枷になる事が多い。
      • 陳情ひとつの処理に10日掛かり、その10日の間に新たな陳情が溜まることも珍しくない。
      • 前述の商人の投資を断った場合は即日終了するが、投資に応じた場合はなぜか10日間待ちぼうけを食わされる。
  • 賊がうっとうしい
    • マップの街道を少しでもそれるとかなりの頻度で賊に襲われて一騎打ちに持ち込まれる。金を渡すか、一騎打ちで倒すかで追い払えるが、負けると全所持金を奪われてしまう。
      • そのため一騎打ちが苦手な武将の場合は賊とまともにやり合えず、猛将でプレイする場合は弱すぎる上に倒しても名声が1上がるだけ、と旨みが少なすぎる。
      • 「名士」の技能があれば一騎打ちではなく舌戦に持ち込めるが、そもそも所持する武将が少なく、覚えるにしても手間がかかるのであまり救済処置になっていない。
      • 『太閤立志伝』でも同様の要素があるが、あちらでは酒場で用心棒を雇う、悪名を溜めすぎると向こうが逃げていく、交易品を持っていなければそもそも襲われないので交易時のみ山や海を避ければよいといった事で、文官プレイでも対処が可能なだけに気になる点でもある。
    • 説得を試みて失敗すると一騎討ちにすらならずに問答無用で所持金を全て奪われてしまう。迂闊に挑発のつもりでわざとはした金を差し出したりしたら、どんな豪傑でもあっさりと有り金全てを持って行かれてしまう。
      • 「間諜」の特技を持っていると使える「脱出」も、同様に失敗即所持金全ロストのためあまり役に立たない。
  • Win版の修正パッチは公式ユーザーズページでは配布されておらず、ゲームを起動して「ネットワークに接続」を選んでユーザーID・パスワードを入力する事でのみダウンロードできる。
    • この時、ゲームを再起動する必要があり、場合によっては何度も再起動するはめになってしまい面倒である。
    • さらにこの事によって現在ではさらなる問題が発生している。余談にて後述。
  • その他
    • 『太閤立志伝V』と同じく、輸送は一瞬で完了する。
      • 武将による都市間の移動に何十日もかかってしまうので不自然さが目立つ。特に前作では輸送にも時間がかかる為に計算に入れる必要があり、高い戦略性を生み出していたので非難される声もあがった。
    • 活躍した事で得られる特権(使用する事であらゆる進言を聞き入れてもらえる)の消滅。君主の方針に口を出す事は出来るが却下される事も多いので頭の悪い動きを制御できない。
    • 自動戦闘だと攻城戦で防御度が減りやすく、攻撃側が有利になってしまう。自分が参加している戦闘なら委任しなければいいが、自分が参加していないとあっという間に都市を奪われてしまう。このため攻略直後の都市が非常に落ちやすい。酷い時は攻略後に出陣元の都市に戻っている最中にもう落とされている。武将プレイの時は君主が太守を置かずにやられる事が多いのでイタチごっこになり、徒労感ばかりが増していく。
    • 武将の性格パターンが減少している。
      • 従来は義理・野望が16段階ずつで併せて256パターンあったのだが、謀叛による独立のしやすさが義理に統合され、「義士」「重視」「普通」「軽視」「無視」のわずか5段階、君主の時の勢力拡大のしやすさに影響する戦略傾向(「中華統一」「地方統一」「州統一」「現状維持」の4段階)と併せても20パターン、さらに漢室に対する態度(「重視」「普通」「無視」の3段階)と併せても60パターンとなっている。
      • 冷静・勇猛も8段階ずつで併せて64パターンあったのが、「小心」「猪突」「剛胆」「冷静」のわずか4段階となっている。

総評

前々作の要素を組み込みつつ、太閤立志伝のシステムも加わった全武将プレイの決定版ともいえる作品だが、
多発する歴史イベント、粗の多い戦闘システムと戦役等から評価を落としてしまったと言わざるを得ない。
また、『VIII』の発展形としてみれば自由度も高まっているものの、同時期に発売された同じく全武将プレイが可能である『太閤立志伝V』と比較すると、
様々な職業やそれによる要素の多さ、豊富なミニゲームといった観点で後れを取っており、どうしても見劣りする部分が目立つ作品になってしまった。

余談

  • 本作以降、起動時に初代『三國志』の「英雄のテーマ」のフレーズが使われるようになった。
  • パワーアップキットはPC版のみで、『VII』と同様にコンシューマー版は未発売となっている。
  • 2018年3月30日にオンライン認証が終了し、ネットワークコンテンツが利用不可能になってしまった。これにより(例え新品で購入していても)修正パッチもダウンロードできなくなっており、うっかりアンインストール&再インストールしてしまうと困った事になる。
  • 本作のBGM担当は刑事ドラマ『相棒』のチーフ・コンポーザーでもある池頼広氏。オーケストラに対して胡弓や京劇に用いる打楽器を混ぜ込んだ曲が多く、中国的な雰囲気を自然に醸し出している。
    • 菅野よう子時代の旧作BGMをリスペクトした小品や、ナムコ三国志のBGMによる変奏曲を含むなど作曲者の遊び心が感じられる。
    • 一方、賛否両論点のとおりで男声合唱が重過ぎていたり、一騎打ちのBGMがもろに『相棒』テイストであったりとネタになるところも少なからず。
最終更新:2024年07月07日 20:23

*1 特に孫家は孫策暗殺イベントが存在せず、不自然死設定のため放っておくと史実よりも長生きするのでいつまでも孫権に代替わりしない。

*2 範囲が広大な弓攻撃が可能な兵器。通常の弓兵よりも攻撃回数や攻撃力が高く、城壁等の高い所にいるとさらに射程が伸びる。

*3 城門に大ダメージを与えられる兵器