※当ページでは『三國志13』と、そのパワーアップキットについて扱う(判定は共に「なし」)。
三國志13
【さんごくしさーてぃーん】
ジャンル
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歴史シミュレーションゲーム
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対応機種
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Windows Vista/7/8.1/10 プレイステーション3 プレイステーション4 Xbox One
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メディア
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【Win】DVD-ROM 【PS3/PS4/One】BD-ROM
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発売・開発元
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コーエーテクモゲームス
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発売日
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2016年1月28日
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定価
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パッケージ版 【Win】9,800円 【PS3/PS4/One】8,800円 ダウンロード版 【Win】8,477円 【PS3/PS4】7,619円 【One】7,680円(各税別)
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判定
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なし
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ポイント
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久々の武将プレイ 『三國志』30周年記念作品 前作の下方修正をある程度改善
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三國志シリーズ
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概要
三國志シリーズの13作目。前作『三國志12』からおおよそ4年の歳月を隔てて製作された。
元々三國志シミュレーションの老舗である人気シリーズだが『三國志11』無印および『12』と相次いでクソゲーを連発してしまい、特に前作は登場人物大幅リストラ、あらゆる要素のカット、原理不明の魔法のような策を前提にした歴史をシミュレーションする気がない歴史シミュレーションと、とにかく評判が低く、前作のパワーアップキット発売後は音沙汰なしとなっていたため、シリーズとしては完全に終了した状態だった。
そんな中、本作は『三國志』シリーズの30周年記念作品という事で製作された
ゲームの内容としては『三國志X』以来12年ぶりの全武将プレイとなる。
システム
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全武将プレイ。好きな武将を主人公にしてプレイが可能。
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セミリアルタイム制。前作では内政画面はターン制、戦争画面ではリアルタイム制となっていたが、本作では両方ともリアルタイム制となった。
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都市マップから全体マップへの切り替えもシームレスとなり、ほぼ三國志11のような巨大な一枚マップに近いつくりとなっている。
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同社の『信長の野望 創造』と同様に内政と戦争が同時に進む形となるが、戦争中は専用の画面に切り替わり采配をとる形になる(オートも可)
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戦争中も時間が流れている為、全体マップで進軍していた軍勢が援軍として乱入して来たり、他勢力同士の戦争も同時進行している。
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采配はいつでも中断可能。戦闘中に自勢力の都市を襲われた場合などは一時中断して対処したのち、再開する事も出来る。
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任務状
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本作では武将への命令に「任務状」が必要となり、勢力の君主と言えど手持の任務状は2枚と少ない。その為、一度に自由に命令できる回数は限られている。
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新たに「重臣」という身分が追加された。「軍師重臣」「軍事重臣」「内政重臣」が存在し、それぞれの重臣が自身の手持の任務状を使って献策する事で、さらに多くの武将に任務を与える事が出来るようになる。
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プレイヤーが重臣の場合は自身の権限の範囲で自由に、プレイヤーが上司の場合は重臣が提案した献策を承認するかどうかで命令が行われる。
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重臣に任命した武将の能力が高ければ使用出来る任務状は2枚となり、多くの命令を実行できる他、重臣に任命すると特別な効果を発揮する「重臣特性」を持つ武将もいる。
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また、重臣でも君主の重臣、太守の重臣、都督の重臣であるかで扱いが異なり、君主の重臣が最も権限が強く、各軍団や勢力の評定にも参加を求められる。特に君主の軍師重臣となれば、外交に関しても提案する事が出来るようになる。
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都市の「太守」も必ず任命するものではなくなり、太守を任命する事で都市の権限を委任する形となった。その為、君主がいる都市にも太守を任命する事が出来、君主重臣、太守重臣がそれぞれ混在して都市に所属する武将に命令を与える事もありうる。
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操作できない部分の動向に関しては「勢力評定」「軍団評定」「都市評定」といった評定で「内政充実」「軍備充実」「都市攻略」といった目標を与える事で、それに沿った行動をとらせる事が出来る。
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つまり、本作は武将一人一人の行動を自分で決めるのではなく、大まかな方針を与えて後は任せるといったスタンスとなっている。
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また、配下武将でプレイした場合、昇進する度に「特権」が与えられる。「特権」を使用する事で、どんなに身分が低い状態でも一度だけ国の戦争や外交を自由に口出しをする事が出来る。
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戦争
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先述の通り、前作から引き続いてのリアルタイム制となる。
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攻撃側、守備側ともに全ての部隊を全滅させるか、本陣を陥落させるかが勝利条件となり、時間制限はない。戦争の勝敗が決まるか、主人公の部隊が戦場から退場するまで続く形となる。
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時間が経過する事で溜まる「采配ゲージ」を使用して各武将が持つ戦法を発動して戦況を優位に持っていく事が可能。前作ではカットされていた火計も戦法の一つとして復活している。
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前作ではカットされていた海戦の要素も復活し、戦闘時に軍勢のどちらかが水上にいた場合は海戦となる。この場合、「水練」の特技を持たない武将はみるみる士気が減っていく他、部隊の船と船をつなげて「連環」させる事で部隊の能力を上げる事が出来る。
もちろん、連環中の船が火攻船を受けた場合はすべての船が炎上するというお約束のデメリットも存在する。
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『三國志11』に存在した兵科適性が復活、前作では武将によって兵科が固定だったが、本作では軍勢の編成時に好きな兵科に設定する事が出来、武将によってそれぞれの兵科の得手不得手が(S~C)の四段階で表現されている。
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投石車や衝車などの兵器は部隊毎に所持する形となった為、「兵器部隊」の概念はなくなった。騎兵隊で城門の前まで移動し、衝車を組み立てて門を破るという塩梅である。
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内政
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内政は武将にコマンドを命じる事で各都市の「農業」「商業」「文化」の三つのパラメーターを上げるという伝統的な形式に戻った。全てのパラメーターを一定の値に達する事で都市規模が拡大し、施設や都市の特性等を追加する事が出来る。
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また、都市と都市の間には「集落」が存在し、軍勢で制圧するか、説破の特技を持つ武将に「懐柔」させることで支配下に置く事が出来る。支配下に置くと「人口+20000」「商業+500」といった効果が得られるので積極的に支配していきたいところ
しかし、軍勢を差し向けると隣接する他勢力から攻撃される事もある為、簡単にはいかないようになっている。
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絆
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本作の肝となる要素。他の武将と交流を繰り返す事で武将間で「絆」が結ばれる事がある。
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交流を深めるには武将の仕事を手伝う、重臣に任命して献策を採用する、宴会を開くなど様々な手段が存在する。
こうして他の武将との交流を深める事で互いの「親近感」を高め、主人公に対して感情を抱かせた状態で訪ねると何らかの依頼(絆イベント)を受け、それを達成する事で互いに絆を結ぶ事が出来る。
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絆を結ぶと内政や戦争時などのあらゆる場面で有利な効果が得られるほか、互いの特技を伝授しあう、絆を結んだ武将ならば自拠点への異動提案が必ず通るといったメリットが多く発生する。
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覚えていない特技を新たに覚えるには絆を結ぶしかない為、プレイヤーの成長にとってかなり重要となる。基本的に絆を結べば結ぶほど自武将の特技が成長し、強くなっていく。
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また、絆を結んだ状態から更に内政や戦争を共にすることで絆レベルが強化され、最終的に「莫逆之友」になった状態である事をする事で同性武将ならば「義兄弟」異性ならば「結婚」を申し込む事が出来る。
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ちなみに義兄弟は自分を含め4人まで、結婚は(男性武将に限り)3人まで可能。つまりシリーズで初となる重婚が可能となる。劉備が甘夫人と糜夫人を妻にしているといった事象を再現する事が可能となっている。
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特定の武将達には専用の絆が存在する。劉備、関羽、張飛の「桃園の誓い」孫策、周瑜の「断金の交わり」など、三国志でお馴染みの組み合わせが多い。
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能力面
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各武将はそれぞれの能力値、所持戦法、重臣特性の他、「商業」「訓練」「連戦」「人徳」「一騎」といった「特技」とその特技のレベルで表現されている。
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前作と同様に「魅力」のパラメーターは存在しないが、劉備には「人徳9(面識がなくとも武将が面会に応じる、登用確率上昇)」という強力な特技がある為、しっかりとした個性となっている。
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英傑伝
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本編とは独立したチュートリアルを兼ねたステージクリア式のキャンペーンモード。三国志演義に沿ったストーリーの中で、ゲーム内に起こるあらゆる要素を学ぶ事が出来る。
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近年の作品ではチュートリアルは半ばギャグだったが、本作ではギャグ要素はなく、終始シリアスな三国志のストーリー上にてチュートリアルが展開される。
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例えば「董卓によって焼かれた洛陽の都に入った孫堅を操作し、洛陽を復興させるために内政値を上げる事で都市を発展させる」他
「貂蝉を操作して呂布、董卓と交流しつつ、呂布に作中索敵をかけて美女連環の計を完成させる」など、演義の名場面の再現をさせる過程で本作のあらゆるテクニックをムリなく学べる構造になっている。
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それぞれのステージには「期限」や「クリア条件」「失敗条件」が設けられており、クリア不能になるとゲームオーバーとなってやり直しとなる。
チュートリアルと侮るなかれ、一つでも拠点を失うと即ゲームオーバーになる「官渡死闘」や期限内に反董卓連合軍を蹴散らさなければならない「天下無双」など難易度が高いステージも存在する。
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それ故チュートリアル込みとはいえどやりごたえがあり、全編をクリアするだけでも一日は軽くかかるボリュームになっている。
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その他
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『三國志11』に存在した有名武将の老年グラフィックが再び採用された。
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『三國志11』のようにCG全体が変化するわけではなく、若年期と構図は変わらないが髭を生やしたり白髪になるといった違いとなっている。
また、同社の『太閤立志伝V』のように一部の武将は出世(皇帝や都督等、武将によって異なる)する事で服装や鎧が豪華になるという「高位」のCGも存在する。
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顔CGが変化する武将は『三國志11』に比べて大幅に増加しており、三国の主要武将に限らず、袁家の顔良、文醜といった将にも変化グラフィックが用意されている。
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中には史実通りならば早死にする孫堅や典韋といった武将にも老年グラフィックが用意されている事も…
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今作では今までのシリーズでは一貫して髭の生えてないイケメンとして登場してきた陸遜にも遂に髭が生えた。横山光輝「三国志」の陸遜に愛着がある人には念願(?)の登場かもしれない。
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また、一部の武将は内政時と戦争時でCGが変化するのも本作の特徴である。荀彧等の軍師武将が戦場では鎧を着るといった変化が見られたり、許褚の「平時は大人しいが、戦場に立つと獰猛になる」といった有名な特徴が再現されている。
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一方で単にポーズが変わるだけの武将が多いのも惜しい点ではある。
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音楽は引き続き大塚正子氏が担当、また、記念作品という事もあり、随所に初代『三國志』のBGMのアレンジが使用されており、菅野よう子氏の名もクレジットに入っている。
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CPUの勢力の拡大傾向を史実準拠にする事が出来るようになった。例えば195年のシナリオで史実準拠にすると
曹操は呂布を滅ぼした後に袁紹と戦い、孫策は江東を順当に平定した後に曹操に攻撃を仕掛けるようになる。
その結果、曹操が袁紹としのぎを削っている間に孫策に背後をとられてそのまま捻り潰されてしまう事も起こりうる為、
史実における曹操勢力が如何に危ない状況であったかをシミュレート出来るようになった。
評価点
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前作で不評あるいは賛否両論だった点を概ね払拭したこと。
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前作で特に非難を浴びた武将の大幅リストラに関して、リストラ武将は概ね復活しており、武将数は700人と過去最大級。孫賁など今作がシリーズ初登場の武将や、史渙など久しぶりのシリーズ再登場となる武将など、マニアックな人選も多い。加えて「交趾」等のカットされた都市も復活しておりこちらは全60都市と初代『三國志』を抑えてシリーズ一となっている。
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舌戦要素が復活。外交や評定で相手を説き伏せる事により、自分の意見を押し通す事が出来る為、再び文官の活躍の場が増えた。
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先述の戦争の仕様の通り問題視されていた「武将の兵科は固定」「戦争の計略に火計すらない」「海戦もない」といった問題点もすべて解消されている。
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前作で簡略され過ぎた部分が概ね復活したので『三國志11』以前のシリーズに近いボリュームとなっており、従来の作品のファンからすれば嬉しい所である。
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Windows版は『信長の野望 創造 パワーアップキット』と同様にSteamのCDキーからインストールする形になった為、Steamへの登録のみでインストール後は面倒な入力やディスクを求められる事は無く、
アップデートも自動で行われる為、毎日キーを入れなければならなかった『三國志12(無印版)』に比べると非常に快適となった…というよりもあちらが問題過ぎる仕様なのだが。
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絆の導入により、自分以外の武将も優遇できるようになった。
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全武将プレイの醍醐味である、なりきりプレイの要素として、好きな武将と関係を結べるという要素は中々に楽しく、絆を結ぶことで互いを高めあえる。
また、寿命を延ばす名品を贈与した場合、その武将の寿命がしっかりと延長されるという点もシリーズ初でもある。
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絆によって能力を高めやすいが、ひと手間がかかる為に『VII』等のように能力が簡単に上がりすぎてしまう事は無く、この点に関してはバランスがいい
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コレクションモードの充実
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登場武将の能力や歴代顔グラフィックの変遷が見られたり、発生させた各種イベントの一覧など、ギャラリーモードがかなり充実している。
賛否両論点
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人間ドラマを重視し過ぎてゲームが複雑化
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交流を楽しめるというコンセプト自体は非常に良いのだが、そのせいで戦略シミュレーションとしてはやる事が細かかったり多過ぎるなど複雑化、更に人を選ぶ内容となってしまった。
問題点
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シナリオは前作に引き続き史実年の最後のシナリオが「214年 益州平定」となっている。
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三國志なのに三国が鼎立するシナリオがないという問題点が放置されている。前作は末期に登場する武将を重点的にカットしていたがためだったかもしれないが、
本作ではそれらの武将もちゃんと登場するのに、あえてこの問題点を放置した事に関しては残念としか思えない。
末期の武将を使いたければ後半のシナリオで粘るか仮想シナリオの「英雄集結」をプレイするしかない。
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嫁が空気
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女性武将との結婚は絆の一環にとどまっており、子育てや夫婦間のミニイベントと言った要素はなく、意図して一緒にしなければ空気となってしまう事が多い。
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そもそも、ゲーム上に登場する女武将の大半はとある有名武将の妻であるわけで、たいていは既婚状態となっており結婚出来ない事の方が多い。
結婚したければ王異といった数少ない未婚武将を探すか、女性武将が元服前のシナリオから始める必要がある。
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英傑伝
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「飛翔敗死」などのシナリオはナレーションだけで片づけられてしまったり、そもそも「官渡死闘」を最後に続きは有料DLCとなってしまう。
一応、官渡死闘まででチュートリアルとしては完成しているのだが、三国志のストーリーとしては壮大なぶった切りで半ば体験版のような扱いである。
基本無料のゲームならばともかく、本作は単独で一万円前後もする超高級品である。こういう所でケチられるのは正直な所抵抗感を否めない。
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上記のシナリオと相まって三国志のゲームとしては消化不良な面が否めない。
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チュートリアルとしては問題が多い。
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順序の脈絡の無さが目立つ。忠実に沿って進行するという構成上、いきなり内容の変わる事が多い。
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長過ぎる。遊び方を覚えてすぐ本編がプレイしたいというユーザーからは不評。
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せめて「従来のような遊び方を覚えるための専用シナリオ」と「ストーリーに沿ったショートシナリオ」とで分けておけば大分違ったと思われる。
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戦争の問題点
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ひたすら単調である。侵入できない山以外に地形に主だった特長がなく、防御効果が得られる地形や伏兵が行える森といった要素もない。実質広いマップ上にいる部隊を動かして殴るだけとなっている。
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他に戦術的に出来る事と言えばマップ上に点在する陣を落として敵の士気を下げるぐらいであり、あまり練られていない。
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全国一枚マップならともかく、専用のマップで戦うのだからこういった点を作り込めればより評価の高い作品になったと思われる。
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また、マップの種類も少なく、使いまわしの城や戦場で戦う事が多い。
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前作から部隊の視界の概念が廃止され、さらには敵軍の移動経路まで見えるようになった為、難易度が落ちた。一応、移動経路に関しては見えないように設定する事も出来る。
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多数の武将による包囲攻撃が強く、部隊複数で囲むと兵力が数倍ある敵でもあっという間に士気が激減して倒してしまう。寡兵で大軍を破るというのは戦争の醍醐味ではあるが、複数の部隊で突出した1部隊を囲んで殴るだけで大体OKというのはいささか問題。
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CPUの倒し方がわかれば、自兵力の何倍もの部隊でもほとんど損害なく、何度も蹴散らしながら行軍する事も可能。
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一騎打ちの頻度が多く、自勢力の他武将が一騎打ちになった際はわざわざ観戦しなければインチキ判定で負ける事が非常に多く理不尽になっている。例えば自勢力の関羽(武力103)対麴義(武力77)といった組み合わせでも観戦しなければ、麴義が大勝を収めるといったあり得ない事が普通に起こる。
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討死も多めで(設定でなしにも出来る)一騎打ちをパスしていたらいつの間にか同僚が死んでいる事も多々ある。
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また「戦争中に倒した武将がその戦闘中に再出撃」してくることが非常に多い。
つまりは「部隊が壊滅してもに捕縛されずに所属都市に撤退、再出撃」という工程を踏まれてしまうので兵数が多い都市を攻める場合は際限なく同じ武将が出撃してくる。
城へ向かうまでの道中でも何度も襲われ、攻城中もしかり、一つの城を落とすのにわんこそばのように湧き出る敵部隊を相手にせねばならず、戦争の単調さも相まって非常に疲れる。
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一応、自勢力でも戦闘の采配を中断する事でマップに戻り、出撃元の都市から再度出撃させることでCPUと同じ事が出来るが、人がやると非常に手間である。
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戦争に勝った後に全体マップに戻ると例によって再出撃中の部隊が目の前に迫っている事がザラなのでまた即座に戦争マップに舞い戻る事になる。一応、オートバトルはあるが損害が大きくなってしまう。
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戦闘における兵力の減少にも問題があり、攻撃時に大半の兵士が戦死せずに負傷兵に留まる。10,000の損害を与えたとしても8,000程は負傷兵として生き残っており、すぐに回復してしまう。
その為、一大決戦で相手の兵力をボロボロにしたと思いきや、あっという間に復活して、結果として先述のわんこ武将と相まって永遠に敵が湧き出てくるという悪循環に陥る。特に大勢力と戦いで顕著。
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アップデートにより、負傷兵の回復速度を抑える事が可能となったがそれでも回復速度が早いと感じられることがある他、武将の再出撃は抑えられない為に対処がしんどいことには変わりはない。
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一度に戦闘に参加できるのは10部隊までという制限
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ゲームの進行はほぼリアルタイムであり、制限は少ないのだが、戦闘面に関してのみ、「一度に戦闘に参加できるのは互いに10部隊まで」という制限がかかる。
10部隊以上の軍勢で攻めた場合、一部の武将は待機状態となり、部隊が壊滅する度に参戦していくという形となっている。
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しかしこの仕様に問題点が多く、戦闘に参加する部隊を選べなかったり、援軍を大量に派遣したとしても、壊滅寸前の部隊が多数生き残っていた場合はわずかにしか参戦できず、大軍を派遣したのに劣勢を覆しづらい。
その上、すでにいる部隊を退却させる度に全部隊の士気が大きく下がってしまうというデメリットもついて回る。
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特に大勢力となると一つの都市の防衛に30部隊以上の武将を参加させるので1部隊倒す度に待機武将が援軍として1部隊ずつ参戦してくるので援軍の演出と相まってテンポが悪い。
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さらに問題になるのは攻城戦で本陣を落として勝利した直後であり、この際、都市に待機していた敵部隊はそっくり残っている為に即座に野戦に戻される上に、その交戦中に落としたはずの都市が敵の待機部隊に襲撃されて落城という事がザラに起こる。
都市を落とした直後に武将を配置する事や、都市を攻略した直後に軍勢を解散させるのは自殺行為ともいえる。
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細かい所で操作性が悪い
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絆武将の管理画面は面識武将の数が増えてくると画面中が埋まってしまい、非常に見づらい。検索機能もあるが煩雑であり、リストから探した方が早い。
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戦闘中の部隊の一斉選択はボタンを押しつつ範囲を選択しなければならなかったり、ほとんど意味が同じである移動と攻撃のコマンドがわけられていたりしている。
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都市の中にいて、別の都市に行きたい場合も主人公のいる都市にフォーカスを合わせて城門から律儀に出なければならないので手間となっている。行きたい都市を選択して直接移動するという項目が欲しい所。
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「部隊の兵糧補給」「都市の施設選択」などの設定がデフォルトではすべて手動となっており、非常に面倒くさくなっている。こういった設定を補助する項目が存在する事に関してはアナウンスがないため、設定項目をよくみて調整するしかない。
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全体マップで多数の部隊同士がぶつかり合っている箇所で互いに総兵力が表示されない為、状況をつかみづらい。
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太守や重臣達が次々に所属都市の武将に命令を与えていく為、武将が仕事で不在になっている事が多く、交友の障害となっている。この際にステータスは不在としか表示されないのでいつ戻ってくるかがわからない。
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AIは積極的に登用を行うので戦争後の捕虜の登用が劇的に楽になったのはよいが、都市の収入を度外視して登用を行う為、英雄集結シナリオを討死になしでプレイした場合などに次々と武将を登用されて財政難に陥る事が多々ある上に禁止も出来ない。
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シナリオ開始時のオープニングをスキップできない。
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歴史イベントによる大幅な版図の変更は相変わらず。
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『X』『12』では歴史イベントが発生すると強制的に勢力の版図が変わってしまう事が不評だったが、本作でも引き続き同じことが起こっている。
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一応、前作と同じく自分が主人公の場合は選択肢によって回避できるので武将の戦死イベントを起こさないでプレイする事も可能。
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気になる場合は歴史イベントを「発生しない」設定でプレイするしかない。
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在野プレイが暇
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在野の身分の内は全武将プレイ初出の『三國志VII』と同じように、放浪するか登用される(or 旗揚げ)しかする事がない。『VIII』や『X』に存在した「放浪軍」の概念もないので在野武将同士で集ったり私兵を集めるという事は出来ない。
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仇敵システムの問題点
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武将を討ち取ったり処断するなどして殺害すると、その武将の絆武将が殺害した武将を仇敵と見なすというもの。シナリオによっては孫兄弟(黄租)や馬超(曹操)のように最初から仇敵が存在する場合もある。
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仇敵と見なした武将と戦場で遭遇した場合、その武将に向けて脇目も振らずに突撃してくる。籠城戦だろうが構わず突っ込んでくるため、強力な武将を相手にする場合はあえて仇敵になった方が有利になる。
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一応、その武将が絶対に登用に応じなくなったり、暗殺者を差し向けられるというったデメリットも存在する。
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プレイヤー武将が絆武将を殺害された場合は相手を仇敵とするか選択できるが、プレイヤーの場合でも上記の仕様は変わらず、操作不能、戦法使用不可の状態で仇敵武将に突っ込んでいく。当然ながら大抵は袋叩きにされる。このため、あえて相手を仇敵するメリットがほぼ存在せず、恨みを忘れてしまった方が良いということになってしまう。
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仇敵は一人の武将につき一人までしか設定されず、仇敵が存在する状態でさらに絆武将を殺害された場合、殺害した武将を新たな仇敵とし、前の仇敵は仇敵でなくなる。ついさっきまで恨みを晴らすと息巻いていた相手と普通に交流が可能になってしまう。
総評
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前作の評判の悪さから期待値は低かったが、カットされた要素の復活や積極的なアップデートも相まって、発売当初は若干怪しかった評価も持ち直し、
三作連続でクソゲー評価を受けるという事態は免れた。とはいえ、まだまだ問題点が目立つ部分もあるので良作と言い切ることも出来ない作品である。
その後
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2017年2月26日にパワーアップキットが発売された。
余談
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Win版では復刻版の『三國志』が同梱されており、プレイ可能となっている。
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中国のドラマ『三国志 Three Kingdoms』とタイアップを行っており、ドラマ版の顔グラが配信されたほか、本作の諸葛亮のボイスはドラマ版吹替と同じく堀内賢雄が演じている。
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ちなみに曹操役はかつて日本テレビ系列で放送されたスペシャルアニメで劉備を、『三国志大戦』で孫策を演じた事がある井上和彦氏。(Twitterより)
三國志13(パワーアップキット)
対応機種
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Windows 7/8.1/10 プレイステーション3 プレイステーション4 Xbox One Nintendo Switch プレイステーション・ヴィータ
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メディア
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【Win】DVD-ROM 【PS3/PS4/One】BD-ROM 【PSV】PlayStation Vita カード 【Switch】ゲームカード
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発売・開発元
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コーエーテクモゲームス
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発売日
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【Win】2017年2月16日 【Switch】2017年3月30日 【PSV】2017年5月25日
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定価
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パッケージ版 【Win】11,880円 【PS3/PS4/One/Switch】10,780円 【PSV】9,680円(全て税込)
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判定
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なし
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ポイント
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シリーズ最高のパワーアップ 三國立志伝のひな型 Switch版は追加要素あり
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概要(PK)
もはや恒例である『三國志13』のパワーアップキット。無印の内容に大幅にメスを入れ、かなりの変更点が見られる作品となった。
無印コンシューマ版でもダウンロードコンテンツでパワーアップキット単体版を購入して適用可能。
適用済み版タイトルは『三國志13 with パワーアップキット』となっている。
追加要素
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同志が組めるようになった。
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同勢力内(自身が在野の場合は在野武将)で自分より低い身分である絆武将を「同志枠」に編入する事で同志として扱う事が出来るようになった。常に自分と行動を共にする武将であり、以下の利点が得られる。
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必ず自分と同じ都市に所属されるのため、太守プレイなどで君主から異動させられる事がなくなる。また、自分が下野した際等も必ず行動を共にしてくれる。
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他勢力への裏切ったり、寝返る事が無くなる。この為、たとえ呂布等のような裏切りやすい武将であっても同志に組み込むことで義兄弟にしなくても他勢力からの引き抜きを防ぐことができる。
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同志用の任務状を使って自由に命令をする事が出来る。自分の代わりに仕事をしてもらうといった事が出来る。
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新たに追加された「本拠」に滞在する為、訪問しやすくなり、さらには養子(養女)を結婚相手として紹介してくれることもある。
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戦闘においても同志の部隊の操作を任せてもらえるため、手柄を立てやすい。
優秀な同志の場合は主人公が空気になりかねないが…
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同志に編入する事で互いの能力値に補正がかかる。
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自分から別の都市へ移動させた場合や、戦争で捕虜になる、または自分よりも身分が高くなった場合などは解除されてしまう事もある。
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シナリオ1の劉備はイベントで君主になってしまう為、関羽や張飛でプレイしていた場合、同志にしていても外れてしまう。
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夫婦の場合は同志枠を消費しない専用の同志枠に編入される為、無印では空気だった配偶者の影響が大きくなった。序盤に枠を消費せずに同志として働いてくれるので心強い。
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絆武将と主人公の知己である武将に親書で関係を取り持つ事が可能となり、絆を結ばせる事も出来るようになった。
互いに絆で結ばれた武将は、片方の絆武将が同志にいるという条件で自分の同志に誘う事が出来る。
たとえば、諸葛亮を同志にした場合、諸葛亮の絆武将(夫婦)である黄月英も同志に誘う事が可能となる。絆武将の子も親子の絆で結ばれている為、親子揃って同志にする事も可能。
このため、親書で絆を結ばせることで同志を増やすための交友の手間を省く事が出来る。
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かなり便利な要素ではあるが、同志枠には限りがあり、拡張にはかなりの時間と金が必要になる他、同志を多数集う事で1都市に武将が集中する為、財源が圧迫されるという弊害も起こる。
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二世武将育成
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結婚後に配偶者に訪問する事で一定の確率で子供が出来るようになり、自身の後継者にする事が出来る。
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配偶者一人につき、二人まで子供を作る事が出来るので、最大6人もの後継者を作る事が可能。史実の子武将はカウントされないので曹操など子が多い武将で、新たに子を作ると後継者の数がとんでもない事になる。
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子が生まれた後は本拠に帰る度に様子を確認したり、育成方針を定めて育成していく。あまり育成に携わらないと有名武将の子と言えどボンクラになってしまうことも多い。
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同志から養女(養子)を配偶者に貰う事が出来る為、無印に比べて格段に結婚しやすくなった。また養子は養父(養母)の能力の影響を受けるので、名将から養子を貰う事で能力の高い後継者を作るといった事も可能。
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威名の導入
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わかりやすく言えばRPGにおける職業(クラス)とスキルのようなものである。「将軍」「武官」「官吏」「軍師」「侠客」「商人」の系統があり、武将はそれぞれの理想威名に従って威名を名乗る。
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それぞれの系統に複数の威名が存在し、条件を満たす事で上位の威名を名乗る事が出来る。上位の威名になるにつれて複数の威名へ枝分かれしていく。
威名によって専用のコマンドが使えるようになったり、私兵を持つといった特殊効果が得られるようになり、更には条件さえ整えば変更も自由である。(一度名乗った威名は90日間名乗れないという制限はある)
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例を挙げるのならば『聖剣伝説3』のクラスチェンジのツリーであり、同じ系統(キャラ)でも名乗る威名(クラス)によっては出来る事が全く異なるという点も同じであり、プレイの幅が広がった。
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「侠客」と「商人」は在野武将専用の威名であり、在野武将における新たなプレイのためのものとなっている。
とくに侠客の系統は「大侠客」の他に「賊将」や「刺客」といった威名が存在する為、同じ系統でも特に振れ幅が大きい。
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NPCも時間の経過により上位の威名を名乗るようになり、君主の場合は威名に応じた「君令」の効果が発動し、勢力の収入や内政上昇値、部隊の能力などに補正がかかるようになった。
この為、時間をかけていると威名の上昇によって補正が掛かる為に歯ごたえが感じられるようになった。また、武将によっては専用の威名があり「君令」も専用のものとなり、それぞれの君主の個性が出やすくなっている。
後半のシナリオになるまで弱小勢力である劉備も「人口増加・特大、傷兵回復・大」という専用の補正がかかる為、生き延びやすくなっている。
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戦術の導入
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戦争中のマップが拡大され、あらゆる場所に「戦術拠点」が追加された。部隊を向けることで制圧する事が出来、そこにあらかじめ設置した「戦術」を任意のタイミングで発動させる事が出来る。
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「戦術」は拠点範囲内の槍兵を一時的に強化する「襲撃槍」、一定時間後に「落石罠」を発動する、範囲内にいる部隊の負傷兵を回復させる「医療陣」等の様々な効果を持つ。
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戦術拠点は部隊がいない状態で接触する事で制圧が開始されるので、敵が戦術を発動させた、あるいは発動準備が始まった後でもその拠点を制圧し返す事で発動を止める事も出来る。
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「戦術」の配置は戦争の軍議で行われる。参軍に命じた武将によって提案がなされ、総大将ならば採決するか自分で決めるかを選ぶ事が出来る。
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「戦術」の種類は参加している武将の威名によるため、様々な威名の武将を参加せると使用できる戦術が増加する。
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戦術を設置した拠点に敵を誘い込んで叩く、城門を守る際に足止めをかけるなど、単調だった戦闘シーンに深みが出た。
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城塞の導入
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無印における集落や港(要衝)に防衛施設を築く事が出来るようになった。城塞は一定の防御度を持つほか、城塞の上で一定期間待機する事で布陣状態となり、防衛戦で有利になる。
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要衝によってレベルが設定されており、レベルに応じた施設を作る事が出来る。負傷兵を回復させる「療養舎」や士気を素早く回復する「軍楽台」兵糧を補充できる「兵糧庫」等、攻略の鍵となる効果が得られるのでかなり重要
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城塞を使う事で防衛に有利になれる為、要衝の奪い合いがより激しくなった。
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在野武将によるプレイ
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威名で軽く触れたが、在野武将が「侠客」ないし「商人」の威名を名乗る事でそれぞれの生き方が出来るようになった。
この際、ゲームのクリア条件も全国統一ではなく、各威名に定められた目的を果たす事でゲームクリアとなる。
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「侠客」や「賊」は『VIII』や『X』でいう「放浪軍」に近く、私兵と同志を率いて大陸各地の武名依頼を達成して「武名」を一定の値まであげる事を目指す。
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同様に「暗殺者」ならば武将を暗殺して「風聞」を高める事で、「商人」ならば様々な手段で大金を稼ぐことでクリアとなる。
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在野武将の場合は配下を持てないので必然的に同志が配下扱いとなる。なので同志枠や同志の確保が仕官武将よりも殊更重要となる。
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商人は名品や兵糧を集めて高値で売りつけて資金を稼ぐほか、勢力へ介入する事が出来る。例えば贔屓の勢力へ一年間、投資する事で物資や兵力を増やす事が出来、
一年後にその勢力がうまく領土を拡大していれば利子を含めた返済を受ける事が出来る。なので成長しそうな勢力を見定めてお金を投資するというそれまでのシリーズにはない遊び方が出来る。
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「暗殺者」を除き、威名が高まるにつれて勢力へ介入出来るコマンドが使えるようになり、勢力間の戦争や同盟に口出しをするなどといった歴史を裏から操るという事も出来る。
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シナリオ、史実武将、歴史イベントの追加
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史実シナリオは3本、仮想シナリオが1本追加された。
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特に後期のシナリオである227年「出師の表」が追加されたため、三国鼎立後のシナリオがプレイできるようになったのは大きい。
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しかし、それでも孔明死後のシナリオはない為、三国志末期のファンには応えきれていないとも…
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仮想シナリオを何個も入れる余裕があるならそちらを優先すべきでは?という意見も少なくない。
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武将数はマイナーな武将を含め100人増加し、800人の大台に乗った。シリーズ最大級の規模であり、無印では『12』の流用であった一部の武将のCGも新規描きおろしとなっている。魏末期に活躍した「竹林の七賢」は、過去のシリーズでは演義でも出番がある王戎のみの登場だったが、知名度の高い阮籍、嵆康が追加された。
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「十面埋伏の計」などムービーを交えた歴史イベントも多数追加されている。
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災害の追加
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「疫病」「洪水」「いなご」「豊作」の4つのイベントが発生するようになった。
初代からある災害がパワーアップキットで追加される新要素というのは少々問題ではあるが、
災害によって米相場が著しく変動する為、商人プレイの場合は目の離せない要素でもある。
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編集機能の強化
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シリーズでは初となる「イベントの作成」機能が搭載された。
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新たに歴史イベントを作ったり、確率で発生する反乱イベントなどを作ってバランス調整を行う等、様々なイベントを登録する事が出来る。
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発生条件や結果はかなり細かく、また選択肢を交える事も出来るので自由度はそれなりに高い。
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既存の「戦法」をベースに新しい戦法を作成できるようになった。
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効果の種類を変更する事は出来ないが、名前や威力や持続時間といったパラメーターを変更する事が出来るので、オリジナルの戦法を新たに作る事が出来、登録武将や史実武将に持たせる事が出来る。
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チュートリアルの追加
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『三國志13』にチュートリアルも兼ねて収録されている「英傑伝」に加えて、PK版では「英傑伝・外伝」も追加された。
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趙雲が主人公の章ではなんと夏侯蘭が相棒として登場するなど、意外な会話を楽しむことができる。
変更要素(PK)
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バランスの調整
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全体的に部隊の攻撃力が抑えられ、関や都市の門などが強固になった。
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行軍の際に部隊全体の士気が低下するようになった。なので遠方からの援軍は士気が低くてどんなに大軍でも役にたたないために遠征の難易度が上がった。
これにより城塞を活用する必要が出てきたリ、都市間の街道が長い巴蜀の地が中原に比べて防衛しやすいといった地の利が表現されるようになった。
戦闘させずに待機させる事で士気を回復できるが、その間に城塞に布陣されたり、攻撃を仕掛けられるなどのリスクも出てくる。
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君主のAIが賢くなった
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コーエーテクモ製の全武将プレイゲームにありがちな、仕える君主がバカすぎて苦痛という点にメスが入り、それなりに賢くなった。
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無印では敵に攻められた際は棒立ちだったが、PKでは自ら積極的に防衛をするようになった他、主人公が攻めている場所に対して援軍を派遣して手助けをしてくれる事もある。
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相変わらず攻撃中の敵勢力と勝手に停戦するなどの暴走はあるが、一品官になると年に一度、「特権」が得られる為、勢力の外交及び戦争に関しても口出しができる。
その為、「君主があほやから統一が出来へん」という事は少なくなり、プレイしやすくなっている。
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一騎打ちと舌戦の仕様が変更
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一騎打ちは闘志メーターを溜めてコマンドを入れるのではなく、あらかじめ手持のコマンドを入れて一度に進行する形となった。
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相手と実力差がある場合、相手の手札が見える事がある為、優位に立てるが、相手からも選択した札の裏を悉く書かれる事もある。
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舌戦は『三國志11』と同様に一合ごとに有利となる話題が切り替わる方針へと変わった。能力に応じて初期の手札の数が変わる。
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仕様の改善
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「出兵」コマンドの追加。出陣とは異なり、特定の拠点に対して複数の都市から一斉に軍勢を向かわせる事が出来る為、援軍や総力戦の際の出陣の手間が省かれるようになった。
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君主が配下に地位を譲渡したり、都督が所有する拠点の変更を提案する事が可能になった。
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一度見たシナリオオープニングはスキップが可能になった。
Switch版での独自要素
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モーションIRカメラを用いた新武将作成機能
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対象物の形状や質感によって様々な武将が作成できるという機能。
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タッチスクリーンを活かした直感操作
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テーブルモードと携帯モードでのみ使用可能。タッチスクリーンに触れることで、画面のズームイン・ズームアウトや、部隊移動などが直感操作できる。
評価点(PK)
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追加要素は概ね成功している。
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威名によって「一騎打ちに明け暮れる武官」「怜悧狡猾に他国の将を貶める軍師」「私兵で都市兵力を賄いながら弱小勢力を守る」といったプレイが出来るようになり、
プレイのボリュームが大幅にアップし、自分の好きなように活躍出来るようになった。また、威名によってエンディングの内容も変わる為、繰り返しのプレイにも向いている。
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同志の導入によって自分の腹心を作る楽しみが出来た。無印では固い絆で結ばれておきながら下野してもついてこなかった関羽や張飛もちゃんとついてきてくれるようになった。
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戦術もリアルタイムに発動する為に使い時を図る楽しさがあり、ようやくリアルタイム戦闘にする意味が出てきた。
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イベント作成や戦法登録によって登録武将にも十分な個性を与えられるようになった。
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登録武将がからむ歴史イベントを作ったり、登録武将専用の戦法を作れるため、今までのシリーズ以上にオリジナルの武将に個性を持たせる事が出来る。PC版ならば顔CGも思いのまま
問題点(PK)
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在野プレイが練り込み不足
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侠客、賊は基本的にモブの賊や一般市民を相手に戦う事になるので単調なプレイになりがち、特定の勢力を畏怖させたり敵対されたりする事はあるものの、イベントが少ないので、敵対された所でさして困るわけでもない。
一応、勢力が支配する都市を襲って空白地に解放する事も出来るが、解放した所であまり旨味がないため、ゲームの大半は各国の群雄が割拠する裏で賊をいびるだけという地味なプレイになる。
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侠客プレイ時は同志が皆、侠客系の威名を名乗る為に戦術が少なくなり、戦闘が単調化してしまうという問題点もはらんでいる。
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暗殺者になると任務状が一切なくなるので、今作の肝である絆や同志といった様々な要素が死んでしまう。さらにそれまでに集めた私兵も解散してしまうため、侠客や賊に戻る場合はまた私兵を1から集めなければならない。
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特殊なプレイを強いられるのが悪いわけではないのだが、出来る事は「段取りを取る」「武将を暗殺する」のたった二つであり、さすがに単調すぎる。
また、さしたる理由もなく武将をひたすら暗殺していくというのも不自然である。暗殺を成功させても風聞があがる以外の報酬がない上に、襲撃の際の一騎打ちに負けるとそのまま殺されるのでリスクを冒してまでやる意義がわからない。
誰かから依頼を受けたり、成功によって報酬を手に入れる、場合によっては依頼人を裏切るぐらいの選択肢は持たせてほしかったところ。
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見方によっては、滅ぼされた勢力の残党や遺児が仇討ちを狙う、といったロールプレイをプレイヤーの側で行いやすいとも言える。実際に公式で配布されているサンプルイベントには、「呂布が曹操に滅ぼされた後、その娘が父の形見である方天画戟を託されて打倒曹操を誓う」という暗殺プレイにうってつけのものが存在する。
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大金を払う事で段取りを一度に済ませる要素があるが、暗殺自身の報酬がないために金銭を稼ぐのが至難の業となっているので尚更である。一応、賊時代に金を稼いでおくといった手段も取れるが、使い切ったらそれまでである。
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暗殺手段は一騎打ちに勝利する事のみ。そのため対象の屋敷に侵入して暗殺に及んだのに、わざわざ荒野に移動し、互いに騎乗して武器を持っての決闘という不自然な状況になってしまう。
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さらには襲撃対象の前には前座と闘わなければならない。相手が君主や太守の場合はその都市の武将が出てくるが、一般武将を相手にした場合でも、武力90といったそこらへんの猛将よりも強い兵士が出てくる。前座との戦いで減った体力は回復しないため暗殺の難易度が跳ね上がっており、一騎打ちが強い武将以外には全く向かない。こちらも一騎打ち以外の手段を用意できればプレイに幅が広がるのだが…。
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また、暗殺自身を在野専用のコマンドではなく、仕官武将でも出来るようにしてほしいという声もあり、三国志の物語でも曹操を暗殺しようとした董承、張飛を暗殺した范彊、張達等の例があるので、原作再現の意味でも暗殺が在野専用という事に疑問点があがる。
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NPCの設定もガバガバであり、商人プレイで出会う浮浪者(知力5)が
都市の収支ほどの金
を支払ってくるなんてことがザラに起きる。
もはや浮浪者ではない
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結婚相手としての武将の養子の登場をOFFに出来ない
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親密度が上がりいざ結婚しようと武将を訪問したら先に養子を差し出されるという事態が多々起きる。これでは興醒めである。
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変更された一騎打ち
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一騎打ちはルールの変更により、テンポは改善されたものの、相手の手札を予測しづらくなり理不尽感が増してしまった。
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「防御」中に「崩し」を受けるとダメージを受けて次のターンも棒立ちになってしまうが、「攻撃」を「防御」されてもダメージが通らずデメリットが見合っていないといった不平等なじゃんけんである為、
確実にわかる手札以外にはひたすら攻撃をする方がよいという微妙なシステム。
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威名関連
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威名を変更するとそれまでの威名の要素が引き継がれない。私兵を雇った状態で私兵が使えない威名に変更するとすべて解散されてしまう等。
特に在野武将から勢力に仕官した場合は威名の系統を変える必要がある為、この問題にあたりやすい。
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細かなバグ・不具合の存在。
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PC版は動作が不安定。
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無印が問題なく動くPCでも、パワーアップキットでは動作が不安定になる事が多く、設定を下げる等の手段が必要になる場合がある。
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威名変更画面が開けない、シナリオが始まらない、強制終了が多い、セーブしようとするとフリーズ…といった無視できない問題点が多い。
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一方のコンシューマ版に関しても、PC版とは違い重大なバグは確認されていないものの、細かな不具合が皆無というわけではない。
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例えばPS3版では過度に編集機能を使い過ぎると戦闘中に処理落ちやカーソルが消える現象が起こりやすかったり(特に海戦では開始から終了まで常時処理落ち状態になる)、登録武将を重臣に任命すると進行中にしばしばプチフリが起きたり等、少なくともプレイ中にストレスが溜まるような不具合が多い。
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もっとも、PS3版では無印の地点でも細かな不具合が多かった上、また本作に限らずコーエーの末期PS3ソフトはPS4とのマルチで展開するにあたってその多くはPS4準拠のゲームエンジンに仕上げられている為、ハードスペックの関係上今後アプデによる改善を重ねても不具合の完治は困難であるのは仕方がないともいうべきか。
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Switchでは特定の状況でエラー落ちが発生することがある。特にエンディングに入った直後はかなり落ちやすい。
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同じイベントが起こりやすい
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増加はされたものの台詞やイベントパターンが少なく、クリアまでに何十、何百と同じセリフやイベントを見る事になる。
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ルールが複雑怪奇になっている部分もある
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元々が個人を重視したゲーム内容というのもあるが、様々な要素が入った結果説明不足でわかりづらくなった部分も増えた。舌戦などもチュートリアルこそあるが初見ではルールがわかりづらい。
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英傑伝の構成も変わっていないので、相変わらずチュートリアルとしては優しくない仕様。
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未だに改善されていない無印の不満点
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部隊数10人制限や、倒してもひたすら沸き続けるわんこ武将、負傷兵が多すぎるといった無印の大きな不満点は改善されていない。
総評(PK)
いつものコーエー商法ではあるが『信長の野望 創造』と同じく、旧作以上に無印との落差が激しく、別のゲームと言えるほど劇的なパワーアップを遂げたといえる。
無印の不満点をある程度改善しつつ、威名の導入によってシリーズでは初となる中華統一以外のクリア方法など、画期的な部分も見られる。
在野武将プレイに練り込み不足な部分も見られるが、同志と共に思うように三国志の時代で活躍出来るという点においては、全武将プレイが出来るシリーズの中でも屈指の良作に入り、
この路線をさらに洗練する事が出来れば、今も根強いファンを持つ同社の『太閤立志伝V』の後釜を担いうるだろう。
余談(PK)
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Win版予約特典
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シブサワ・コウ35周年として、コーエー(の最初の名前である光栄マイコンシステム)のゲーム第1作目である『川中島の合戦』のリメイクが付属していた。
最終更新:2024年04月11日 06:53