チョロQ ハイパーカスタマブルGB

【チョロキュー はいぱーかすたまぶるじーびー】

ジャンル レースゲーム
対応機種 ゲームボーイカラー(全GB共通)
発売元 タカラ
開発元 エレクトロニクスアプリケーション (エレカ)
発売日 1999年7月30日
定価 3,980円(税別)
判定 なし
ポイント 玩具同様の遊び方のチョロQ
内容としてはミニ四駆×ゴルフゲーム
チョロQシリーズリンク


概要

  • 携帯ゲーム機初のチョロQのゲーム。
  • 他ハードで発売されているチョロQのゲームは、あくまでもチョロQをモチーフとしたクルマのレースゲームとなっていることが多いが、本作は実際のチョロQのようにゼンマイ(作中ではエンジンという名称)を巻いて走らせる仕組みになっている。
  • 当時展開されていたカスタマブルチョロQをテーマにしており、ミニ四駆のようにローラーやタイヤ、スタビライザーなどの改造を施しレースを行う。ただし、カスタマブルチョロQはミニ四駆のようなコースを走らせる遊び方であり、本作のレース方式とは異なる。
  • ご存じの通り、チョロQは手のひらサイズの玩具ではあるが、パッケージやオープニングではミニ四駆くらいのサイズ感で描かれているのはご愛敬。

特徴

  • レース
    • 本作のコースはミニ四駆のようにマシンごとに決められたレーンを走らせるのではなく、トップビューで描かれた幅のあるコースにプレイヤーも対戦相手も一緒に走らせる。
    • レースはターン制で行われる。自分のターンで、チョロQを走らせる方向、カーブの角度を決め、ゴルフゲームのゲージのようにゼンマイを巻いて走らせる。ゼンマイが切れてチョロQが止まったら、相手のターンへ移る。これをどちらかのチョロQがゴールにたどり着くまでに行う。
    • ものすごくザックリ行ってしまえば、チョロQでパターゴルフを行っているようなものと言えばよいか。
  • カスタマイズ
    • ボディ以外は交換可能であり、シャーシやバンパー、ローラーにタイヤなどは変更できる。レースでは事前にコースを確認することが可能であり、コースに合わせてセッティングすることができる。
    • パーツはショップで購入するか、草レースのベット、シナリオ上の大会で入手できる。
      • 本作ではお金を入手する手段がパーツを売ることしかない。そのため、草レースでパーツを賭け、勝つことで対戦相手から分捕って売り払い、それを元手にショップでパーツを買うことになる。
    • バイオパーツと呼ばれるシナリオ上で重要な意味を持つパーツがある。これらのパーツは使用すればするほど能力が上がっていく特性を持つ。どの能力を上げるかはプレイヤーに委ねられるので、好きなパラメータを鍛え上げたパーツに仕上げることも可能。

評価点

  • 単純ながらも戦略性のあるレース
    • チョロQはある程度、方向を曲げて走らせることができるが、極端には曲げられないし、S字のような走行は不可能である。そこで、どのように狙った通りに走らせるか、カギを握るのが壁である。
      • パーツにローラーがあり、ローラーを付けた状態で壁にぶつけると、壁に沿って走る。逆にローラーを付けないと、壁に反射して方向を変えることができる。ローラーを付けて安定した走りを求めるか?それともローラーを付けずに壁の反射を利用して最短ルートを選ぶか?レース前のセッティングから駆け引きは始まっている。
      • ショートカットできるコースには、逆走を誘うように配置されている壁も多い。それらの壁をうまく突破できれば、勝利できる可能性がグンと上がる。
    • チョロQは走らせた後、相手のターンになってもコースに残り続ける。そのことを逆手によって、相手のチョロQの前にうまく止めて、走行を妨害することもできる。細い道であれば有効な戦略だ。
    • コースには通常のノーマルなコースのほかに、ダート、ウォーターハザード、アイスのコースが用意されている。これらのコースでは狙った方向へそのまま走らせることができず、走行中にブレが出てしまうので、どの程度ブレが発生するか予測して走らせる必要がある。
      • すべてがこれらタイプのコースになっているのではなく、コースの一部分がこれらのタイプになっている。避けて走ることもある程度可能であるが、これらのコースを走ることでショートカットできることも多いので、有利なタイヤを付けて突っ走ってしまおう。
    • ゼンマイを巻くゲージのバーは目押しがしやすく、常に最大値を狙って走らせることも容易にできるし、量を調整して望むところに止めるのもある程度慣れれば行える。
  • 王道ホビー漫画的なシナリオ
    • 父が残してくれたオリジナルのチョロQを片手に、研究所の爆破によって行方不明となった主人公の父を追い、各地で残されているバイオパーツを手に入れるため世界中を駆け巡るという、いかにもなシナリオが展開されている。
      • チョロQと拳法には通じるものがあるといい「Qりんじ」で修業に励む「チャン」、典型的なお嬢様キャラでありながら笑うと咽かえってしまい、どこかコミカルな「マリリン」、やみのチョロQレース場のチャンピオン「ジョー」など、個性豊かなキャラも多い。
    • いかにも原作がありそうな内容であるが、マッドブラックレーサー*1を除き、全員本作オリジナルのキャラである。
    • 各ステージのボスキャラとは負けてもシナリオが進んでしまう。しかし、終盤に再戦の機会は用意されており、本来入手するはずのバイオパーツもそこで勝つことで手に入れられる。

問題点

  • 先攻側があまりにも有利すぎる
    • 先にゴールしたほうが勝ちというシステム上、先攻側が絶対的に有利である。先攻側が先にゴールしてしまえば、後攻側には自分のターンを行使できる権利は用意されていないため、先攻側は常に後攻側より1ターン多く走らせることができる。
    • レースの序盤は先攻側も後攻側も似たようなルートで走らせがちになるため、後攻側が走行距離を稼げるセッティングを行っていても、走った先に先攻のチョロQがいると、チョロQにぶつかりそれ以上先に進めることができない。
    • 中盤以降はコースも複雑化してくるので、先攻とは別ルートで走らせること等で対応できるため、シンプルなコースである序盤ほどを辛い。プレイヤー側は必ず後攻なので常に劣勢を強いられる。
      • 対戦相手はある程度ミスをするので、それでバランスが取られているフシもあるが、ミスせず走りきることももちろんある。
  • チョロQに個性が薄い
    • プレイヤーのチョロQは序盤に貰える1台だけで他のチョロQは一切使用できない。
    • 各対戦相手はチョロQに強いキャラたちではあるが、ホビー漫画のように使用するチョロQの性能を自慢してくることもないし、使っているチョロQに思い入れがあるようなことも語ってくれない。
      • 各対戦相手が使用するチョロQはキチンと専用のグラフィックや名前が用意されている。しかし、レース前に相手のマシンを確認するコマンドを選ばなければ、それらの情報を知ることはない。
      • ホビー漫画でやたらと使用しているマシン等の名前を叫びたがるのは、玩具を販促する意味合いが強いため、それがない本作では行う必要性がなかったという事情もあるかもしれない。
    • レース中のチョロQはプレイヤー側が青のマシン、対戦相手側が赤のマシンで統一されているため、どれも全部同じチョロQに見えてしまう。
  • お金稼ぎが面倒くさい
    • 本作におけるお金の入手手段はパーツをSHOPで売却することのみ。そのためか、一般的なゲームであれば、売る時の値段は買う時の値段の半額であることが多いが、本作では買った時の値段で売ることができる。
    • パーツは草レースで入手できるが、パーツを賭けて戦うというシステムであり負けると逆にこちらがパーツを取られてしまう。
      • レース以外であればセーブはできるため、草レース直前はセーブ必須である。
      • シナリオには、賭けレースを行う非合法の賭博場が出てくるが、そのシナリオの中、このシステムはどうなんだろうか……。
    • 草レースで走るコースだからといって、短めのコースではない。本作はレースの一戦一戦が長くなりがちであるため、お金を稼ぐのが非常に面倒くさくなっている。
    • とはいえ本作では本編レースに勝つことで段階的に強力なパーツが手に入るようになっており、そのやりくりだけでさほど金を使わずクリアすることも可能である。草レースは必須ではない救済ややり込みのための要素である。

総評

意外とありそうでない現実のチョロQに即した遊び方をするゲーム。それ故、ハチャメチャさなど存在せず、レースシーンも地味の一言に尽きるが、代わりにレースにパズル的な思考や戦略性もあり、思いのほか手堅く纏まっている1本。こんなチョロQのゲームもたまにはどうだろうか。

余談

  • 翌年に本作と同様のシステムを採用している『パーフェクトチョロQ』がゲームボーイカラー専用ソフトとして発売されている。しかし、こちらは意志を持つチョロQという設定であり、人間キャラも出てこないため、世界観は全く異なるものとなった。
最終更新:2023年10月25日 22:31

*1 カスタマブルチョロQにおけるミニ四ファイター的なキャラで、実在する人物である。