影の伝説
【かげのでんせつ】
ジャンル
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アクション
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対応機種
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アーケード
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発売・開発元
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タイトー
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稼働開始日
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1985年
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プレイ人数
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1人
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判定
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良作
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概要
江戸末期を舞台とした忍者活劇をモチーフとしたアクションゲーム。
主人公である伊賀忍者の影を操作し、さらわれた霧姫を救うべく、雪草妖四郎率いる魔性の軍団と戦う。
ゲーム内容
基本ルール
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サイドビューのアクションゲームで、敵に触れてもやられることはないが、敵の攻撃(刀、手裏剣、炎など)が当たったら一撃でミスとなる。
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残機制で、一定の点数に達したら1UPする。残機が0のときにミスするとゲームオーバーで、追加クレジット投入によるコンティニューはできない。
基本アクション
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8方向レバー+2ボタン(刀&手裏剣)で影を操作する。
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手裏剣は遠距離攻撃で無制限に同時に2発まで撃つことが可能だが攻撃範囲は小さい。ダッシュ中は攻撃方向は前方のみで、ジャンプ中のみ8方向への撃ち分けが可能。
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刀はリーチの短い近接攻撃で手裏剣よりも攻撃判定が小さいが、自分の腰から頭半分までの攻撃を弾き落とすことが可能(煙玉及び妖坊の火炎攻撃は不可)な他、敵の刀攻撃を受け止めることも可能。
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刀で敵を倒すと手裏剣で倒すときよりも獲得スコアが高くなる。また、敵の攻撃を刀で防御した場合も若干のスコアが入る。
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アイテムの巻物を取るとその場で停止し、操作不能になる代わりに一定時間、忍者たちを吸い寄せるかのように引き付けて自動的に倒していく「雅の術」を発動する。
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レバー上でジャンプ。レバーを入力の長短でジャンプの高さを調節できるが、いったんジャンプすると着地するまで一切のレバー操作が受け付けられなくなるため、ジャンプ後の微調整は不可。
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レバーの下でしゃがむ。敵の飛び道具攻撃をよけられる(妖坊の火炎攻撃は不可)
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「森」ステージの大木や「魔城」ステージ内の柱などのオブジェに重なってレバー上下を入れると昇り降りし、ジャンプ中にそれらに接触すると自動的に張り付く。
ステージ構成
ステージは「青葉の章」「紅葉の章」「雪の章」の全3章からなり、更に各章ごとに、5つのエリアに分かれている。
本作は2章で1周の周回制となっており、2章クリアごとにエンディングが挿入され、以降ループする。
1章ごとのステージ構成
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「森」
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木々の茂る森の中、上下左右にスクロールする広大なマップを縦横無尽に飛び回り、時に木の上に登り降りしつつ襲い掛かる忍者の群れを掻い潜り、妖坊たちを倒す。
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「抜け穴」
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敵城の外堀。左右にのみスクロールする。水路に出入りすることもできる。
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「城壁」
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縦スクロール面。四方八方から出現する赤忍者の攻撃を回避し、石垣をひたすら登って城を目指す。
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「魔城内」
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敵のアジトである城の中。階段を上って最上階に向かい、囚われている姫を救出する。
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クリア条件:最上階に囚われている霧姫の縄を切断する。
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「対決」
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脱出シーン直後に発生するボス戦ステージ。1回目は霧雪之助が、2回目は雪草妖四郎が相手となる。
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霧雪之助を倒すとそのまま次の章へ進む。雪草妖四郎を倒すとエンディングが流れた後、次周面が始まる。
登場キャラクター
影
霧姫
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魔性の軍団にさらわれ、魔城に囚われているヒロイン。
忍
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大量に出現する敵。青と赤の2種類があり、赤の方が若干強い。
妖坊
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炎を吐く怪僧
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身軽に飛び跳ねながら距離をとり、前方に向かって口からの火炎放射攻撃を行う。
妖珠坊
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森の章のボス的存在。妖坊を一定数倒すと出現する。攻撃パターンは妖坊と同様。
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彼の妖術で森の中に引き留められているという設定であり、彼を倒さなければステージを抜けることはできない。
霧 雪之助
雪草 妖四郎
評価点
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スピーディーなアクション
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全方向スクロールで颯爽と駆け抜けていくスピード感は当時としてはかなりのものだろう。
漫画や映画などの創作物で一般的な、超人的体術で四方八方に自在に飛び回る忍者のイメージが演出されており、木に素早く昇り降りしたり、敵と刀でかち合ったり、大ジャンプの爽快感を味わったりと、忍者を主人公とした時代劇らしいアクション活劇を味わえる。
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ゲームテンポの良さ
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ステージはいずれも短めでクリア条件も分かりやすいため、テンポが良い。
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各章ごとのステージは基本的に使いまわしで背景も色違いであるが、テンポの良さといい意味でのシンプルさもあってあまり気にならない。
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良質な純和風BGMと効果音
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クールな忍者のカッコよさを表現したメインテーマ『走!』、儚く切ない風情を醸し出すネームエントリーテーマ『霧姫のテーマ「宴」』など、曲数は少ないながらも良質な和風BGMが時代劇アクションに花を添える。作曲者は『ダライアス』『奇々怪界』等の80年代のタイトーの代表作を多く手掛けたOGRこと小倉久佳氏である。
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また、『走!』のテーマ内に含まれる『ガーン!キーン!』という鋭い金属音風の音色や、刀を振り回すとき、敵と刀でかち合った時、手裏剣を防いだ時の金属音など、効果音全般も小気味良く、BGMと共にFM音源を最大に活かしている。
問題点
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融通の利かないアクション性とそれゆえに理不尽な側面
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跳躍がやたらと大きい上に、ジャンプしたが最後、一切のレバー操作を受け付けず微調整ができないため隙が大きい。
忍者らしい大ジャンプが気持ちいいのでつい連続ジャンプしたくなるが、とにかく融通が利かないのでうかつなジャンプはミスの要因となる。
ジャンプの瞬間にしゃがみこんで一瞬のタメが入るので一般的なジャンプアクションのつもりでジャンプで敵をよけるのも難しい。
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特に横方向・斜め横方向へのジャンプは飛距離もスクロール幅も大きくなるため、ちょうど着地点に敵がいたり敵弾が飛んできたりと、理不尽なミスに繋がりがち。
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融通の利かないジャンプ性能に対して敵側はすばしこく立ち回ってくるため、回避するのも容易ではない。
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敵弾も小さめなので目押し的にとっさに刀で回避することも難しく、連打で振り回し続けるのが安パイとなる。
総評
融通の利かない操作性ゆえに若干理不尽な面もあるが、それを補って余りある忍者ならではの爽快感あるジャンプアクション、そしてゲームを彩る純和風のBGMで、80年代のタイトーアーケードゲームの代表作の1つとして高い人気を集めた。
移植版
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PS4/Switch『アーケードアーカイブス』
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音源はYM2203版とMSM5232版の両方が収録されている。
余談
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2008年3月13日にはDSで20年以上ぶりの続編(『影之伝説 -THE LEGEDND OF KAGE2-』)も発売されている。開発は『世界樹の迷宮』や『ワイズマンズワールド』などで知られるランカース。
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AC版に使われている基板は搭載されている音源チップが異なる仕様が存在し、一般的に知られているFM音源(YM2203)が使われている基板の他に、沖電気製のシンセサイザー音源であるMSM5232が使われている基板がある。
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ちなみにMSM5232版を「PSG版」と平気で記載するケースが多く見られるがMSM5232は当時のKORG製シンセサイザーにも使われたオルガンICで同時発音数も8音あり、出自や音色発声の仕組みもPSGとは全く異なることから明らかに間違った記述であることは言うまでもない。
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「デモ画面でプレイヤー操作が可能」という事象が確認されている。
影の伝説 (FC)
【かげのでんせつ】
ジャンル
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アクション
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対応機種
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ファミリーコンピュータ
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発売・開発元
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タイトー
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発売日
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1986年4月18日
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プレイ人数
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1人
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定価
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4,900円
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判定
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なし
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ポイント
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蝶 助けても助けてもさらわれる姫
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概要 (FC)
AC版稼働の翌年に発売されたファミコン版。いくつか変更点が存在する。
変更点 (FC)
エンディング条件
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AC版は2章クリア毎のエンディングだったが、FC版は3章クリア毎になった。
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2回目のエンディングでは十二単を身に付けた姫が登場するというおまけがある(説明書に記載)。
アイテムの追加
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点丸
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色は白。スコアが10000点増える。50000点で残機が追加されるので割と有用。
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術丸
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色は赤。分身の術か阿修羅の術が発動する。前者は一定時間完全無敵になり、後者は一定時間手裏剣のサイズが大きくなると共に8方向すべてに手裏剣を投げられるようになる。
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増丸
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色は青。いわゆるエクステンド(残機追加)アイテム。抜け穴ステージでのみ出現する。
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水晶玉
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敵を倒すとその場で出現することがある。取得すると影の服の色が赤から変化し、性能が強化される。
1段階目は服が緑になり、手裏剣のサイズが大きくなって貫通性能が付加される。
2段階目は服が黄色になり、1段階目の効果に加えて移動速度がアップする。
1回だけ敵の攻撃に耐えられるようになり、攻撃を受けると赤い服に戻る。2段階目になっていても2回は耐えてくれない。
「○丸」は特定の条件を満たすと画面左側から出現して横断していく。取り逃すと消えてしまう。
このほかAC版にあった巻物もアイテムとして出現する。
ボスの追加
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「対決」ステージのボスに「双妖坊」が追加された。
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白い僧衣の妖坊で、最初の章のボスとして2体同時に出現する。
その他
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ザコ敵「妖坊」の火炎攻撃が「火炎放射器のように限定された射程の炎を吹き出す」から「画面端まで飛んでいく火炎弾を吐く」に変更された。
評価点 (FC)
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音楽やグラフィックはグレードダウンしているものの、肝心のスピード感溢れるゲーム展開やジャンプの爽快感は忠実に再現されている。
賛否両論点 (FC)
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追加アイテムの存在でAC版に比べると死に易さは若干ながら軽減されているものの、ゲーム性自体は原作通りなこともあって、ジャンプアクションの融通の利かなさからくるシビアさはそのまま。
問題点 (FC)
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アイテムがあまり救済措置になっていない
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アイテムをストックできず、温存して難しい局面で使うという工夫ができない。
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阿修羅の術は八方に手裏剣を投げる効果であるが、全ての手裏剣が画面外から消えないと次の一発が打てないため、連射性能は通常時に劣ってしまう。
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更に、分身と阿修羅、どちらの術が発動するかはとってみるまで分からない。
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水晶玉は1回だけ敵の手裏剣や刀に耐えられるようになるが、刀で防げない炎攻撃には無力。
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巻物は発動中ずっと画面内の敵を倒し続けるという効果であるが、発動中は一切動けないので先に進む事もできず、スコアを多少稼げる程度の効果しかない。発動中に水晶玉が出ても取りにも行けず消えてしまう。
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妖坊系列の敵に対処し辛くなった。
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上述の通り、妖坊系の攻撃手段が火炎弾となったため回避し辛くなり、敵弾による理不尽な死亡の原因が増えた。
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AC版は火炎攻撃されてもしゃがんでいれば当たらなかったが、FC版の火炎弾はしゃがんでもかわせなくなった。もちろん距離を取っても無駄なので、樹に登るかリスクの大きいジャンプで避けるしかない。
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ボス戦の微妙な難化
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脱出後の対決ステージで戦うボスは、アーケード版では普通に攻撃が通ったが、ファミコン版では背景に飛んでる蝶を打ち落としてからでないとダメージが与えられなくなった。
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この点は遠回しなヒント程度に説明書に記載はなされているので全くノーヒントというわけではないが、少々わかりづらい。
また蝶は高い位置を飛ぶので対処しづらく、狙っている間にボスの攻撃に対して無防備になってしまう。
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序盤ほど難しい
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5つのステージのうち、最初の森ステージが一番敵の数が多く、しかも長い。森以外のステージは非常に短く、どれもクリアに1分もかからないほど。
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ボスは章ごとに3種類登場するが、はっきり言って最初の章で出現する双妖坊が一番苦戦する。理由は単純に二人がかりだからである。
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さらわれすぎな姫
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本作はゲーム開始冒頭で姫がさらわれ、更に城内ステージに捕らわれている姫を助け出して脱出後もすぐさまさらわれてしまう。
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エンディングまでに4回、2周目クリアまでに8回もさらわれることになる。途中でエンディングが挟まれるとはいえ、その演出自体はあっさりしており、全体的にステージが短いこともあってさらわれるまでのスパンも短いので、ファミコン版で初めて本作に触れるプレイヤーの中には達成感が沸きにくいという声もあった。
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2人プレイで始め、プレイヤー1が赤忍者の煙玉で死ぬと、プレイヤー2が初めから死んでいる状態で始まるというバグがある。
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木から下りてきて地面に着くと同時にバッタリ倒れる姿はシュールだが、理不尽極まりない。
総評 (FC)
AC版に比べると独自の問題点が多く、追加要素も微妙な出来であり評価は劣るが、完全再現とまではいかないもののスピーディーなアクションの面白さは健在である。
原作通りのシビアさはそのままであり、救済措置が追加されたことを考慮しても人を選ぶ点はないわけではないが、肌が合う人であれば楽しめるだろう。
余談 (FC)
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当時は実写のCMが放映されていたり、クリア画面の写真でおしゃべり霧姫、ヤマキのめんつゆで懸賞キャンペーンなど色々行われていた。
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ヤマキ版は箱が異なりカセットにシールが貼ってある以外は販売版と同じだが、マニアの間で高額取引されている。
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1988年3月29日、本作のシステムを引き継いだ『不動明王伝』が発売される。
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ゲーム性やグラフィックや演出も大幅に進化しており、ステージ数も使い回しではなく多彩なものとなっておりボスも数多く登場、影の伝説ACと比べても見劣りしない出来とも言える。
最終更新:2023年09月01日 06:57