Samurai Jack: Battle Through Time / サムライジャック:時空の戦い

【さむらいじゃっく ばとるするーたいむ / さむらいじゃっく じくうのたたかい】

ジャンル アクションRPG

対応機種 Xbox One
Windows(Steam / Epic Games Store)
Nintendo Switch
プレイステーション4
DMM GAME PLAYER
発売元 【One/Win】adult swim games*1
【Switch/PS4/DMM】DMM GAMES
開発元 ソレイユ株式会社
発売日 【One/Win】2020年8月21日
【Switch/PS4/DMM】2021年1月21日
定価(全て税込) 【Win(Steam)】4,100円
【Win(Epic)】4,180円
【One】4,650円
【Win(DMM)】3,980円
【Switch/PS4】5,478円
プレイ人数 1人
レーティング ESRB:T(13才以上対象)
IARC:16+
Epic:16才以上対象
CERO:B(12才以上対象)
備考(英語版) ダウンロード専売
日本語表記対応
判定 なし
ポイント 日本初の『サムライジャック』CS機作品
徹底された原作要素
非常に丁寧な日本語表記
高難易度程極端になるゲームバランス
日本ではIP自体を取り巻く問題が目立つ


概要

人死にありのシリアスなシナリオと本格的なアクション描写で「カートゥーンアニメの革命児」とも言われたゲンディ・タルタコフスキー原作の作品『サムライジャック』を題材としたアクションゲーム。

2020年2月26日に『Samurai Jack: Battle Through Time』と題された動画が投稿され、本作の発売が発表された。
海外版と日本のOne/Win(Steam・Epic Games Store)版は当初の予告時期の通り同年8月21日に配信が開始された。
その後TGS2020オンラインにてDMM GAMESが本作の日本語ローカライズを行う旨を発表。
日本版の対応機種はSwitch/PS4/DMM GAMESの3種。ただし、One/Win版の方は原題で配信されてこそいるものの、字幕/UIは日本語に対応している。
音声については英語音声のみであり、吹替はなく字幕での対応のみとなっている。

+ 日本版トレーラー

なお、本作の開発は『NARUTO TO BORUTO シノビストライカー』や『ニンジャラ』を手掛け、iOS/Androidにて配信予定の『鬼滅の刃』のゲームアプリの開発にも関わっているソレイユ株式会社。
ディレクターは『DEAD OR ALIVE』シリーズや『NINJA GAIDEN』シリーズを手掛けた松井宏明氏。
シナリオは2017年に制作された『サムライジャック』シーズン5の脚本を担当したダリック・バックマン氏が務めている。


ストーリー

あのサムライが帰ってきた!アクとの因縁を断ち切る!

日本でも放送された2000年代カートゥーンネットワーク(CN)の代表作の一つ「サムライジャック」のアクションRPG!
プレイヤーは主人公の「ジャック」となり、宿敵「アク」に立ち向かう!アクの力によって未来へ飛ばされ、
アクが支配している未来で、過去へ戻る手段を探しながら、アクの手下や他の敵と対峙する。

アニメにも登場した仲間達と力合わせ、果たして、ジャックはアクとの決着に終止符を打てるだろうか。
(日本版の商品説明より引用)


登場人物

+ 吹き替え版でも登場
  • ジャック
    • 主人公。髷を結い白い着流しに刀を差し、下駄を履いている日本人*2の男。無口気味であるが義侠心溢れる性格で、武芸全般に優れている。弓矢などの武具を自作していた事もあり、意外に手先は器用。
    • 未来に飛ばされた当初は機械音痴だったが、転移から50年が経過したシーズン5ではバイクやピストル、機関銃なども扱えるようになった。
    • また、彼の持つ刀は正義の力が宿った魔力の刀であり、凄まじい切れ味を誇るとともに、決して折れたり刃こぼれしたりすることはない。尚、未来世界に飛ばされた影響で肉体は不老になっている。
    • 「ジャック」と言うのは本名ではなく、未来世界のチンピラに「Hey, Jack!(訳:よう、あんちゃん!)」と口々に呼ばれたことから思いついた偽名。本名は明らかにされていない。
  • アク
    • ジャックの最大の敵で、全てを支配する悪の帝王*3。影のように黒い身体とシーサーのような顔を持ち、魔力の刀以外の攻撃では傷付けることが出来ない。
      かつてジャックに追い詰められたが、彼を時間の落とし穴に落としてタイムトラベルさせる事で事なきを得た。言動には茶目っ気があるが、本来の性格は残虐非道にして狡猾。
  • スコットマン
    • 『サムライジャック』シリーズ唯一の準レギュラーキャラ。本作ではシーズン4以前の姿で登場。
    • その名の通りスコットランド人。原作ではバグパイプを吹きながら狭い橋の上を渡っていたところ、同じく橋を歩き続けていたジャックと鉢合わせになり、どちらが道を譲るかで決闘に発展。
    • 得物はジャックの刀と同様、刃こぼれしない魔力が込められたクレイモアと、義足の役割を兼ねたマシンガン。その実力はジャックと互角で決着は付かなかった。
    • しかし、お互いを狙っていた賞金稼ぎを撃退するために共闘したことで和解。お互いを認め合って親交を深め、「若ぇの」「古き友」と呼び合う仲になった。
    • 本作では最初のステージボスを担当する。また娘も登場し、他のキャラ同様、ステージの各所で回復アイテムや強化素材を渡してくれる。
  • ロスチャイルド
    • 犬族の考古学者。ジャックが初めてジャックと名乗った相手であり、ジャックが未来世界で一番最初にアクの魔手から助けた人(?)物。
  • ダ・サムライ
    • 未来世界のとある酒場を縄張りにしていたサムライ。ジャックとどちらが真のサムライか決めるべく決闘を申し込み、結果その強さに惚れてジャックを信奉するようになった。
      • 本作ではアイテム売買や武器段位強化等のショップ担当。
+ シーズン5で登場
  • アシ
    • シーズン5のキーパーソン。アクがジャックに対して刺客として差し向けた「七人の娘たち」の1人。
      アクを崇める教団の指導者が産み落とした「人間と悪魔を合成した生物兵器」であり、アクと同じ能力を使うことが出来る*4
    • 当初はジャックを殺すという命令を遂行し、他の姉妹がジャックに倒されていったことでジャックに憎しみすら抱いていたが、ジャックと過ごす内に本来の優しい心を取り戻し、共に行動していく中でやがて恋仲になった。
      + 以下、『サムライジャック』の悲しい結末のネタバレを含むため格納 最終回でアシの力によって「自身が未来に飛ばされた直後」の時間に戻ったジャックがアクを完全に滅し、その後アクの力を失ったアシはジャックと結婚することになる。しかし、その結婚式の最中に「自身が生まれる時間よりも過去の時間軸の世界でアクを倒した」事が原因となり存在が消滅。愛の言葉を囁いた後、ジャックの腕の中には花嫁衣装だけが残されていた。
  • スカラムーシュ
    • アク御用達の殺し屋人型ロボット。超高周波振動を発する「チューニングナイフ」を用いてどんなに頑丈な武具でも一撃で破壊する*5他、笛の音色で物体を浮遊させたり、ゴーレムを生成して操ることが出来る。
      彼の特徴的な声は一度聴いたら忘れないこと請け合い。

システム

ソレイユ株式会社自体がTeam Ninja設立のヴァルハラゲームスタジオを本家としているためか、本作は『NINJA GAIDEN』と似通った仕様が多く散見される。

  • 3Dマップと2D横スクロールマップで構成されたステージを敵を倒しながら進み、ステージの最後に待ち受けるボスを倒すという流れを繰り返すのが基本。
    • 難易度は低い方から「ジャック」「サムライ」「マスターサムライ」「マスターオブマスターズ」の4段階があるが、マスターオブマスターズは全てのステージをマスターサムライでクリアしなければ選択できない。
    • また、ステージ中時折スコットマンやロスチャイルド等の原作キャラが現れ、回復アイテムやスキル開放に必要な宝石を、一度のステージにつき各一回ずつ貰うことが出来る。
    • なお、難易度がサムライ以下であれば、体力0になっても一度だけ体力が微量回復した状態で再起してくれる。
  • 敵やオブジェクトを破壊すると「ファイア」「タマ」「ゴールド」が出現する。
    + ファイアとタマの種類、並びに用途と効果
  • スキルファイア、ブシドーファイア
    • スキルを習得するために必要なもの。スキルファイアは敵の撃破とオブジェクト破壊、ブシドーファイアはオブジェクト破壊と宝箱、そして武器が壊れた時等に入手できる。
    • オーギファイア
      • スキルでアンロックすることで体力上部に表示される炎のアイコン「奥義ゲージ」を溜めるのに必要。溜まれば奥義が発動可能になる他、スキルでストックの上限を増やすこともできる。
    • 元気ダマ
      • 白色で体力回復効果がある。 色々と大丈夫なのか気になる名前である。
    • 攻撃ダマ/防御ダマ
      • それぞれオレンジ色と水色をしており、取得すると一定時間対応した能力が強化される。
  • 操作方法はA~Hの8種類から選択可能。ここにはタイプAの操作、かつSwitchのボタン準拠で記載する。
    • Yで弱攻撃、Xで強攻撃、Aで回避、Bでジャンプ、Rスティック押し込みでロックオン、十字キーでメニューからあらかじめセットしておいた装備に切り替えるクイック装備、Lでガード、ZLで弓矢の照準モード*6、ZRでサブ武器の発射/投擲、マイナスボタンで行き先にカメラを向けるというのが基本操作となる。
+ また、スキルを習得することでこれらのアクションや能力を開放できる。
  • 取得したオーギファイアの量が一定に達するとLRスティック同時押し込みで使用できる「奥義」
  • 奥義ゲージ満タン時に被ダメージが減少する「金剛」と与ダメージが強化される「烈火」
  • 敵の攻撃に対してタイミングよくLを押すことで攻撃を弾いて反撃に移れる「ジャストガード」
  • ガード中にXで相手の攻撃を払ってスローチャンスに移行し、アイテムをドロップさせる「パリング」
  • 攻撃を当てた直後にガードに移行でき、強化すれば攻撃がガードされた場合でも使用できる「ヒットガード」
  • 移動中にガードを押すと、ガードしながら滑って移動・自動追尾攻撃ができる「ラッシングガード」
  • ジャンプ中に再度ジャンプボタンで滞空時間を延ばせる「ジャンプ宙返り」
  • Rで近くの敵に掴みかかり、ジャックが素手状態かつ投げでとどめを刺した場合はその敵の武器*7を強奪できる「掴み攻撃」
  • 敵からの投げ開始時にタイミングよくRで投げ技を回避できる「投げ抜け」
  • ステップ回避直後に再度回避入力で行える「回転回避」
  • 特定の攻撃を近距離で回避すると敵がスローモーションになる「ジャスト回避」
  • ガード中にジャンプ長押しで高くジャンプする「ジャンプ・グッド」
  • 弓を引き絞る速度が速くなる「速射」
  • 「心」「技」「体」のスキル
    • 習得したスキルファイアに、ブシドーファイアや宝石を追加で消費することで新アクションや新コンボ、ボーナス効果などを開放することができる。
  • 敵の攻撃を受けるとジャックは傷つき、衣服が破れていく。
    • 減った体力は回復アイテムの使用や緑色に光っている回復ポイントの通過、元気ダマの取得で回復可能。
  • ジャックは5種類の得物による近接攻撃と、4種類のサブ武器による遠距離攻撃を使うことが可能。
    • 武器には耐久度があり、使い続けると壊れてしまう。耐久度が減った武器はショップで修復することもできるが、必要額が非常に高いので壊れるまで使い切るか、ショップに売り払う方が良い。また、両方とも所持数上限をスキルで増やすことが可能。
      • コンボの種類や火力はスキルの習得やショップでの武器段位強化によって増加していく。
+ 得物一覧
    • リーチは短いが、素早い連撃が可能でゾンビに特攻を持つ。また、耐久力無限かつアク特攻持ちの「マジックソード」も選択可能。
  • ハンマー
    • 振りは最も遅いが横の攻撃範囲が広く、ビートルドローンに特攻を持つ。コンボが増えれば長押しで溜め攻撃に派生することが可能。
    • 振りの速度は中程度だが、コンボが増えれば連打で攻撃回数を増やす事が可能。そのため、前方の敵に対して非常に強い。
  • 棍棒
    • 振りが遅く、攻撃の最終段にガード崩し効果が無いが、石と骨の敵に対して特攻を持つ。
  • 素手
    • リーチも範囲も短いが、耐久力無限かつ高火力に最速の攻撃速度を持つ。また、スキルを習得することで敵の武器を強奪することも可能になる。
+ サブ武器一覧 サブ武器は投げ武器を除いて、基本的に銃身と弾丸の両方セットで装備する必要がある。
  • 弓矢
    • サブ武器の中で唯一、プレイヤーによる照準の細かい調整が可能。後述する家紋を集めるのにも重宝する。
  • ハンドガン
    • 耐久力が低いが、一発当たりのダメージは高い。
  • マシンガン
    • 全武器中最高のDPSを誇るが、攻撃速度の関係上一番壊れやすく、弾切れも起こりやすい。
  • 投げ武器
    • 小刀、手裏剣、手鎌、手榴弾がこれに分類される。
  • メニュー画面から「クイック装備」に4種類まで得物かアイテムを設定でき、十字ボタンでそれらの武器へ即切り替えたり、アイテムの使用が可能。
  • コンボや攻撃の威力はスキルの習得やショップにお金を払って行う「段位強化」で成長させることが出来る。
  • なお、得物にはそれぞれ特定の敵に対する特攻効果がある他、サブ武器は最寄りの敵に自動的に照準を合わせる効果がある。
  • また、ショップで売られている数珠を装備することで、攻撃力強化や守備力強化、ゴールド取得量増加などの追加効果を得ることも可能。
  • 収集要素として、ステージの各地に隠された「アクに封じられた家紋」を50個集めるというものがある。
    • 家紋に攻撃を当てることで収集可能。ステージ進行上立ち寄る必要のない隠し場所や、特定の場所から特定の角度にカメラアングルを調整しないと発見できないような場所、背景の果てにあるギリギリ目視できるか否かといったような場所にも隠されている。
      • なお、隠しエンディングを見るためにはこれを全て集めるというのが条件の1つになっている。

評価点

  • 丁寧に取り入れられた原作の要素
    • ソレイユ株式会社が本作の開発に当たって原作側と綿密な摺り合わせを行ったと言うこともあり、キャラクター達の3Dモデルや表情、各種所作やステージはもちろんのこと、原作アニメをイメージしたコマ割り画面の演出、さらに切断武器で敵を倒せばトドメの一閃で斬った通りに敵の身体が斬れる、アビリティを習得すれば原作同様に敵から武器を強奪して自身の武器にできるようになるなど、非常に細かく原作の要素が再現されている(参照)。
    • ダメージを受けるとシーズン4までのサムライジャック同様衣服が破け、最終的に髷が解けてざんばら髪に変化する。しかもジャックのダメージ状態はゲーム中に挿入される実機イベントにもしっかり反映される
    • メニュー画面の装備変更画面でも、選択中の武器に応じて画面右側のジャックのイラストが細かく変化する。
    • タイトル画面に戻ろうとするとアクが「セーブされていないデータは消えるぞ」とプレイヤーに忠告してくれる。本作のシナリオ中でのアクは本来併せ持っている残忍さや狡猾さが強調されているため、プレイヤーへのメタ発言という形でシーズン4以前の茶目っ気を再現していると言える。
    • 回復アイテムも、原作でジャックがよく飲んでいた白湯と、スコットマンの妻救出回でネタにされたハギス*8というチョイス。
    • 一部のスキル開放に使用する宝石も全て原作アニメに登場しており、原作を丁重に扱う開発の姿勢が窺える。
    • さらに、本作のキャストは全て英語アニメ版のオリジナルキャストという豪華ぶり。十数年の時を経て渋くなったフィル・ラマール氏のジャックの声が宇梶剛士氏に近い事もあって非常によくマッチしている*9他、シーズン4終了から2年後の2006年に逝去したアク役のマコ岩松氏もオープニングイントロでライブラリー出演を果たしており、事前情報に無かったことも相まって英語圏のサムライジャックファンを歓喜させた。
  • 原作から良改変された結末
    • 『サムライジャック』完結編に当たるシーズン5の最後はとても哀しく、視聴したユーザーの間で賛否が分かれる結果になっていた。しかし、本作ではノーマルエンドがそのクライマックスシーンを大胆にカットすることでハッピーエンドを連想できる内容に改変し、さらに条件を満たせば見られる隠しEDは、シーズン5視聴勢からも絶賛される内容となった。
  • 日本のゲーム開発会社が手掛けた事もあって、日本語表記が非常に丁寧。
    • ジャックの侍口調やスコットマンの荒くれ者口調もよくできており、二か所の誤字脱字を除けば吹き替え版と比較しても全く遜色ない仕上がりになっている。
      • ただし、オープニングイントロは動画サイト等にも吹き替え版があるにもかかわらず、英語版の原文に合わせた翻訳になっている。
    • また、実績やPS4のトロフィーも自然な日本語に仕上げているという力の入れようである。

賛否両論点

  • 高難易度程狭まる戦略
    • 何故かハンマーのラッシングガード攻撃のみ動作中無敵になるため、攻撃が苛烈になる高難易度ほどハンマーのラッシングガード攻撃に偏った立ち回りをせざるを得ない場面が増えていく。
      • 後述の仕様の関係上仕方ない事ではあるのだが、これを救済措置と捉えるか手抜きと捉えるかで賛否が分かれている。

問題点

  • 原作アニメの視聴が前提のゲーム内容
    • 本作最大の問題点。本作のシナリオは「シーズン5最終回のIFストーリー」となっているのだが、肝心のシーズン5は放送から3年が経過した本作発売時点でも日本で放送されていない。
    • キャラゲー故に仕方ない面もあるが、日本未放送分であるシーズン5のストーリーはシーズン4以前と状況が大きく異なるため、シーズン5の内容についても最低限しか補完されないこともあって開幕から置いてけぼりを食らってしまう。
    • また、ゲーム内には日本放送分のキャラクターも出てくるのだが、シーズン4までのアニメは動画配信サービスでの取り扱いがない上、ゲーム内にアニメ設定の補完などが出来るシナリオやギャラリーもない。
      • アニメ吹き替え版の放送は再放送を除くと15年以上も前であるため、これが無いのは日本のジャックファンにとってはかなり残念。
  • 日本語ボイスが未収録
    • ゲーム起動時に流れるアニメOPのアクの語りはマコ岩松氏のものしかない。
    • マコ岩松氏も菅原文太氏も共に故人となっていること、そして本作の日本語表記が非常に丁寧なことも相まって、「菅原さんのアクの語りを聞きたい」と思ったファンは決して少なくない。
    • 吹き替え版声優の宇梶剛士氏や沢木郁也氏は健在であるため、本作発表時にも「吹き替えボイスも収録してほしい」という期待の声は少なくなかった。しかし、残念ながら日本版も英語音声+日本語字幕である。
      • ただ、吹き替え版のキャストについてはアニメ放送当時から「豪華すぎる」と言われていたため、ギャラ的な意味でも致し方ないのかもしれない。
  • 難易度が全体的に高め
    • 初期状態のジャックでは難易度「サムライ」でさえもやや難しめのゲームバランスになっている上、少な目の回復アイテム所持数上限*10や、マスターサムライ以降の難易度ではアイテム無しで1回だけ復活できる仕様が無効化される点、初見時には敵ボスの無敵状態が攻撃しないとわからない仕様に、難易度によって出現する敵の種類や使用する攻撃パターンが変化する仕様が重なって高難度に拍車をかけている。
    • また、本作は被弾時の無敵時間が短すぎるため、ハメられることも珍しくない。特に敵の大砲による砲撃は一発食らうと完全に無防備な状態でお手玉されるため、被弾=死に繋がる高難易度では非常にストレスが溜まる。
    • 本作の戦闘は「いかにして攻撃を受ける前に倒すか」「いかに攻撃を防いで攻撃を叩き込むか」といったことが重要になるため、攻撃が苛烈になる高難度ほど難易度が理不尽に感じやすくなっていく*11
  • ステージ5のとあるギミックが凶悪
    • そのギミックというのが、「壁面に回転している棘を伝って下っていく」というもの。カメラの視認性が悪く、足場の判定がシビアで抜け落ちやすい上、棘の先端部分にかなりのダメージを食らう攻撃判定があり、棘に当たるとそのまま落下ダメージも食らってしまうため、全て降りる頃には復活アイテムを消費させられた上で瀕死になっていることも珍しくない。
  • ゴールドとブシドーファイアの入手量が少ない
    • ゴールドとブシドーファイアは敵の撃破や宝箱にオブジェクト破壊、さらに前者は武器売却、後者は武器破壊によっても得ることができるのだが、双方とも慢性的に枯渇する程入手量が渋めに設定されている。
    • そのため、高難度を攻略したい場合は必然的に武器を集め、売却・破壊しながら進むプレイスタイルが必須となる*12
  • ステージクリア時の仕様
    • ボスを倒すとムービーとリザルト画面を挟んだ後に強制的に次のステージが開始されるため、特に初回起動時は本作にメインメニューからのステージ選択機能がある事に気付きにくい。
  • クリア後のやりこみ要素の難易度が高すぎる
    • どの難易度でもラストステージまでクリアすると「ミッション」が解放されるのだが、進めるにつれて最高難易度だったはずのマスターオブマスターズがヌルゲーに感じるほどの超絶難易度と化す。
    • コンプリートを目指す場合は相当な熟練を要求されるが、トロフィーや実績には一切関係ないのが救いか。
    • 一応、コンプリートするとジャックのシーズン4以前とシーズン5時の容姿を任意で切り替えられるようになるという特典がある。
  • 隠しEDの条件が厳しめ
    • 本作は条件を満たすと「シーズン5のラストシーンを変更した隠しエンディング」を見ることが出来るのだが、その条件が「50の家紋を全回収+マスターオブマスターズで全ステージクリア」という非常に難しい内容になっている。
    • 家紋は探す際に一切ヒントがなく、背景のギリギリ見えるか否かぐらいの場所や「分かるか!」と思わず言いたくなるような場所に隠されていることも少なくない。ステージマップやヒント機能、ステージ内に残っている数が分かるような機能は一切無いため、収集は非常に骨が折れる。
    • また、マスターオブマスターズはジャックの完全強化が前提の難易度となっており、上述した高めの難易度も相まって本当に難しいため、自力で隠しEDを見ることを諦めたプレイヤーも少なくない。
  • 一部機種での難点
    • Win版は本体のスペックによってはヒロインであるアシの口紅のグラフィックが口紅を剥がしたような見た目になってしまう他、ゲーム側がゲームパッドに非対応の為、ゲームパッドで遊ぶにはJoyToKeyの導入と設定が不可欠となる。
    • Switch版は携帯モードだと遠近グラフィックの切り替えに遅延が起こる他、一部の状況でグラフィックが一気に荒くなる事がある。
  • 価格格差
    • 作品情報にあるとおり、Switch/PS4版の値段だけ他と比べて千円以上高い。同機種の海外版であれば39.99ドル*13で購入出来る上にゲーム内容も全く同じ*14であるため、DL版の購入を検討しているのであれば(準備に多少の手間はかかるものの)海外アカウントを作って英語版を購入する方がお得である。
  • 事前の宣伝情報との齟齬
    • 事前情報では「スコットマンなどのお馴染みの仲間を集めて~」と書かれていたため、「操作できるのか!?」と勘違いするユーザーが少なくなかった。

総評

原作の要素をふんだんに盛り込み、版権タイトルとしての出来栄えが充分であることは間違いない。
しかし、如何せん『サムライジャック』という作品そのもののブランクが長すぎる事と、日本では展開されなかったシーズン5前提のシナリオであることが足枷となっていることは否めず、高い難易度も相まって、懐かしさだけを理由に本作を購入することはあまりお勧めできない。

アダルトスイムの公式サイトで英語版を無料で視聴できるため、アクションゲームが得意、かつシーズン5の内容を一通り把握した状態であるのなら購入すると良いだろう。


余談

  • 海外では2003年に『Samurai Jack:The Amulet of Time』(GBA)、2004年に『Samurai Jack:The Shadow of Aku』(PS2/GC)とサムライジャックのゲームが2作発売されていたため、本作は3度目のゲーム化タイトルとなる。
  • 長らく再放送が途絶えていた原作アニメだったが、リマスター版の放送が2020年11月末に発表され、ファンの間で話題になった。
    • その後、本作の発売直前である2021年1月15日から放送が開始。
      しかし、そのスケジュールは平日深夜の連日放送かつシーズン2までだったこともあり、当時の視聴者達からは嘆きの声が上がった。
  • 先述した原作のシーズン5のラストは、日本のロボットアニメ『天元突破グレンラガン』のそれと酷似していたことが海外では話題となった。
  • 英語圏のSwitch/PS4版も日本語表記と日本式のボタン操作に対応しているのだが、購入には欧米アカウントの作成とドル版のプリペイドカード番号が必要になるため、他機種と比べて購入に手間がかかっていた。
    • Switch/PS4で遊ぶことを期待し、実際に海外アカウントを作ってそれらの機種でプレイしたユーザーからは「これだけ丁寧に日本での商業展開を想定している作りなのに何故売らなかったんだ?」という疑問を抱かれることになった*15
    • 後に日本での発売も決定したため、この点については解消されたと言える。しかしDMM GAMESが日本版の発売を発表したのはTGS2020オンラインでの9月25日。
    • 英語版の発売から一か月も経過していたため、「もう買ってしまった」「せめて英語版の発売前にこの情報が欲しかった」「存在を知ったユーザーの声を後から認知したのでは?」「ゲーム発売するよりもシーズン5を輸入しろ」と言った声が上がった。
  • エンドロール後に「前田泰志を偲んで」という一文が出てくるが、こちらは『DEAD OR ALIVE 2』などの作品にも携わったソレイユのプログラマーで、『NARUTO TO BORUTO シノビストライカー』や本作にもプログラマーとして開発に参加していた。
    表記内容から、本作が彼の遺作と見て間違いないだろう。
  • 海外版は基本的にDL専売となっており、パッケージ版は数量限定生産となっている。
    • 日本版はパッケージ版も同時発売。

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ARPG
最終更新:2024年05月23日 19:47

*1 アメリカのアニメ専門チャンネル「カートゥーン・ネットワーク」のビデオゲームパブリッシング部門。

*2 吹き替え版では日本人"風"となっている。

*3 吹き替え版では「恐怖の大魔王」となっている。

*4 ただ、その事実は最終回でアシが気付くまでは分からなかった。

*5 本作でも実際に使用し、該当する攻撃を受けた際にマジックソードか拳以外の武器を装備していた場合は強制的に破壊される。

*6 狙う必要が無いのであればZRで即発射も可能。

*7 ボス敵の武器含む。

*8 羊の内臓を羊の胃袋に詰めて茹でたスコットランドの伝統料理。

*9 シーズン4までのラマール氏の声はかなり高く、日本人の耳にはやや合わない声質であった。

*10 2割回復の白湯が10個、5割回復のハギスが5個、死亡時復活アイテムの神々の贈り物が1個となっている。

*11 特に最終ステージ「アクの城」に至っては、ラスボスであるアクよりもその手前のデモンゴの方が強いと感じるユーザーも少なくない。アクの城のデモンゴはステージボスの巨大ビートルドローンを平然と召喚してくるのが原因。もちろん能力は本家据え置き。

*12 武器破壊は面倒ではあるものの、スカラムーシュの武器破壊攻撃を利用すれば稼ぎを行う事が可能。

*13 発売当時の相場でおよそ4500円相当。

*14 強いて違いを挙げるとすれば、ゲーム起動時の企業ロゴにDMMがあるかないかという程度。

*15 推測ではあるが、単純にIPにブランクがありすぎたために日本市場のパブリッシャーがなかなか見つからなかったためと思われる。