彼女は最後にそう言った
【かのじょはさいごにそういった】
| ジャンル | 時間ループADV |  | 
| 対応機種 | iOS 6.0以降 Android 5.0以上
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| メディア | ダウンロード専売 | 
| 開発元 | SYUPRO-DX Inc. | 
| 配信開始日 | 2015年5月10日 | 
| 定価 | 無料(広告視聴あり) | 
| プレイ人数 | 1人 | 
| レーティング | 全ユーザー対象 | 
| セーブデータ | 30個 | 
| 判定 | なし | 
| ポイント | 切ないシナリオ 序章にすっ飛ばされるバグあり
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概要
株式会社シュウプロデラックスがスマホ向けに配信したADVゲーム。
あらすじ
8月14日に待宵村に帰省した大学生 シンタローは、水難事故で故人となった相楽ナナミを差出人とする手紙を受け取った。
この手紙をきっかけにシンタローはタイムリープを繰り返してしまうようになり、8月14日のうたかた祭りから抜け出せなくなってしまった。シンタローは相楽ナナミがなぜ死んでしまったのか解明を決意するのであった。
システム
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マップやキャラクターはすべて2Dドット絵で表示される。
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プレイヤーは主人公のシンタローを操作する。
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シンタローはタップした場所に向かって歩く。シンタローが接している人物や物体をタップすれば話しかけたり調べたりする。
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ゲームオーバーはない。
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会話やイベント以外では、任意にセーブ可能。章をクリアした際もセーブすることができる。
 
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章
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特定の人物を調べたり、特定の場所にたどり着くといった条件を済ますことでイベントが発生し、章が進むという流れ。
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次にすべきことは基本シンタローが心の中で思い浮かべるか、ボソっと口走るかする。これに従っていれば大方ゲームを進めることが可能。
 
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序章・第2章・第3章・最終章では、8月14日の夜を繰り返しながら村を調査して回り、なぜタイムリープしているのか、手紙の差出人とされるナナミがなぜ死んでしまったのかを解明していく。
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最終章をクリアすると、シンタローの机の上にとある変化が発生。第零章を開始できるようになる。第零章では水難事故が起こった日とされる8月13日にもどることができ…。
 
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ジンブツ
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シンタローが会って話をした登場人物は、登場人物一覧にリストアップされていく。どんな人物なのか、シンタローとはどんな関係なのかといった情報が載っており、世界観や事実関係の理解に役立つ。
 
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キオク
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シンタローが見聞きしたことが、メニューの「キオク」一覧の所にリストアップされていく。
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待宵村の設定や、ナナミの命日にまつわる事象など様々な情報が記録されていく。
 
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実績
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やりこみ要素として、シンタローにとある行動をさせることで「実績」が記録されていく。
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特定の場所を踏破したり、特定の登場人物と会話して何かしらの条件を達成するなどが求められる。
 
評価点
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ストーリー自体は分かりやすい
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タイムリープという設定こそ登場するものの、SFのような難しい理屈で考える必要は無く、登場人物に関しても複雑な設定などは用意されていないので話自体にはとっつきやすい。
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悪人は登場せず、それぞれの登場人物が、8月13日の水難事故に関してさまざまな後悔ややりきれない思いを持って行動している。
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最低限の起承転結があり、プレイヤーのモチベーションを保ったまま物語を読み進められるようになっていると思われる。
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各キャラクターの後悔に関する描写やエピローグに向けての盛り上がりは良好。中盤まではヒロインが死ぬことになった理由を調べ、終盤ではヒロインの死ぬ間際までにやりたかったことを知り、それがさらに後の展開に昇華されていく。
 
    
    
        | + | ネタバレ | 
死んだはずの差出人から消印のない手紙をもらうといった、いかにも不穏な雰囲気で始まる。しかしゲームを進めていくと、実際は主人公を思う健気な女の子の純愛モノと判明する。
彼女の献身的な態度と悲劇性に関して、良い意味で序盤との印象の落差を感じられれば、特に泣けゲーとして機能するポイントになると思われる。
逆に言うと最初から泣けるゲームだと期待しすぎると、肩透かしを食らう可能性はある。
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BGMが良い
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プロローグのやさしいピアノの旋律や、「うたかた祭り」時のどこか美しくも切ないBGMを楽しめる。
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重要なシーンの開始時にBGMを流しだし、場面を盛り上げるといった工夫もある。
 
賛否両論点
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理屈で説明できないようなシーンが多い
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なぜタイムリープすることになったのかが、物語の大きな謎としてテーマアップされるのだが、結局のところ、「ナナミの死に対する一種の無念」がタイムリープの原因ということにされる。
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主人公がタイムリープできることを活かして、終盤は良い意味でのどんでん返しを巻き起こすので、単なる舞台装置無意味なシステムとはなっていない。
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8月14日をループして調べたことを活かして、推理ゲーのように8月13日のとある悲劇を回避できる。
 
 
問題点
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サブキャラへの掘り下げは弱め
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待宵村は、自然資源の取り扱いに関して村民同士が対立しているといったイベントが起こるのだが、特に掘り下げがなくなしくずし的に和解してしまうなど、消化不良感が否めない。
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ゲームの序盤でシンタローの友人と再会するシーンがあるのだが、その親友たちのイベントもあまり印象に残るものは用意されていない。勉強が得意だったり、お寺の息子だったりする友人を利用して、特定の場所を調べるのを手伝ってもらうといったシーンしか用意されていなかったり。
 
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地形がつかみづらい
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全体を見通すマップがない。広くはないとはいえ村の「うたかた祭り」の会場には似たような地形が多く迷いやすい。
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いくつかの民家に立ち寄ることにはなるが、家のグラフィックも正直どれも似ている。ゲーム中は「○○の家に行け」という指示が出されることがあるが、結局目的の家がどれなのか判別しづらい。
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グラフィックが多少は差別化されてはいるものの、初見ではどこに誰の家があるかはほぼ判別がつかない。
 
 
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セーブデータが機能しないバグの存在
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スマホの機種にもよると思われるが、セーブデータがまともに機能しない場合があり、気軽に中断できないという携帯ADVとしては致命的な問題が存在する。
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第2章、第3章、最終章でセーブして中断・再開すると、シンタローの自宅付近を移動(エリアチェンジ)した拍子に「序章」にもどってしまうバグが存在する。シンタローの家付近に近寄らなければ発生しない模様だが、中断した状況によっては行かざるを得ない場合もあり、序章をやり直さざるを得ない状況もありうる。
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スキップできる会話もあるが、序章、2章、…と行ってきたイベントをすべてやり直しさせられる羽目になる。
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対策としてはセーブせずに一気に終章までやりきってしまうなど。一応クリアまで1時間かからない量とはいえるが…。
 
 
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ロードしたときに次の目的を見失いやすい
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次に何をすべきなのかのガイドが乏しい。基本はシンタローが次に何をすべきか口走ったり思い浮かべるなど、本当にさりげないワンテキストで表示してくるので、うっかり読み飛ばしたり、時間を空けてプレイして目的を忘れると悲惨。
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今まで集めた「キオク」も、セーブしてからリロードするとリストから抜け落ちてしまうことが多々。間をあけてプレイすると登場人物や世界観の設定や、何をすべきなのかが分からなくなる可能性あり。
 
総評
オーソドックスながらもプレイヤーを引き込む展開が楽しめる。泣けるゲームとして期待しすぎると肩透かしを食らうかもしれないが、ひと夏の祭りに繰り広げられる切ないストーリーも特徴。
ただし、序章にやり直しにさせられるバグが痛い。ボリューム自体はあまりないので、終章まで一気にプレイしてしまうのが吉か。
最終更新:2022年07月27日 07:10