ハッピー☆アニマル牧場

【はっぴーあにまるぼくじょう】

ジャンル 牧場ライフ体験ゲーム
対応機種 ニンテンドー3DS
メディア 3DSカード
発売元 ユービーアイソフト
開発元 TANTALUS
発売日 2012年5月24日
定価 3,990円(税込)
プレイ人数 1人
レーティング CERO:A(全年齢対象)
セーブデータ 1個
判定 なし
ポイント SLGの入門用に適しているか
機械ひしめく忙しいゲーム

概要

オーストラリアに拠点を持つTantalus Mediaが手掛けた牧場経営ゲーム。

ガイドのルーファスとともに、ハッツワース先生から譲り受けた3つの牧場を、かつてあったにぎやかなものに復活させることが目的。
最初期の牧場はほぼ全土が荒地になっているため、水源を呼び込んで緑化していく必要がある。

本作は同社の『Funky Barn 3D』*1の日本語ローカライズ版に当たる。また、海外では『Funky Barn』のタイトルでWii U版がリリースされている。
尚、3DS版は全世界でUBIソフトがパブリッシャーとなっているが、Wii U版は505 Gamesがパブリッシャーとなっている。

システム

  • 生き物を管理し、生き物由来の資源を生産し、資源を売って、生き物を管理するための設備(施設や農業機械)を整えて…という牧場経営が主体のゲーム。
  • 通常モードとチャレンジモードの2つがある。通常モードはゼロから牧場を発展させていくモードであり、ゲームオーバー条件は特に無い。
  • チャレンジモードに関しては、制限時間が設けられており、そこまでに牧場レベルを上げられないと失敗。通常モードと異なり、すでに何かしらの家畜や機械が置かれている。
    • 壊れている機械は直すなど、適切に対処する必要がある。
  • 操作方法
    • 全編にわたってタッチペンで操作する。3DS上画面に牧場の風景が映り、下画面にはそのデフォルメがうつる。
    • 下画面に家畜や物体をタッチすると調べられる。L/Rボタンを押しながらタッチペンでさわった家畜や物体は持ち上げることができ、そのまま別の場所に動かすこともできる。
    • 家畜・物体は1度につき1つしか調べられず、持ち歩けない。
    • スライドパッドで牧場を見回すことができる。
  • 換金所(収入)
    • 家畜の動植物から得た資源(卵、毛糸、果物等)を換金所につかんで持っていくことで収入とすることができる。
    • いらない家畜や機械を放り込むこともできるが、たいした額のお金にならない。
  • 牧場レベル
    • 蓄えたお金で牧場の設備を充実させ、牧場にいろいろなオブジェを置いておくことで牧場レベルを上げていくことが本作の大きな目的となる。
    • 画面下に緑色のシークバーのようなものがあり、これがレベルアップのために必要な経験値のたまり具合を表記している。
    • レベルアップすると購入できる施設の数や種類、受け入れられる家畜の数や種類が増えていく。
  • 買い物
    • 機械、建物、植物といったものを購入可能。家畜を買うことはできない。
      • 家畜は一定時間経つごとに1匹ずつ牧場にやってくる。

家畜

  • 種類
    • ニワトリ、羊、牛、豚、ガチョウ、アルパカ、水牛の7種類を飼える。
    • 最初はニワトリしか飼えないが、上記の牧場レベルの上昇とともに飼える種類が増えていく。
  • 生産する資源
    • 家畜は換金所に持っていける資源を生成する。
    • 放っておくと勝手に資源を生産するものと、資源生産のために機械が必要なものがいる。
      • ニワトリ、ガチョウは卵を産み、豚はトリュフを掘り当ててくれる。
      • 羊、アルパカは体毛が伸びた状態の個体をバリカンマシーンに放り込むことで、毛を入手できる。
      • 牛、水牛はぽっちゃりした状態の個体を搾乳マシーンに放り込むことで、牛乳を入手できる。
    • 家畜によって、資源をとれる時期ととれない時期がある。季節は10分経つごとに移り変わる。
  • 家畜の習性
    • 餌・水を一定間隔で摂取する、休憩小屋に入って休息する、植物のそばに寄るといった行動をとる。
    • 適度な広さの囲いに囲われていると安心する。囲いがなかったり、囲いの広さに対して家畜の人口密度が高すぎると不満を訴えてくる。
    • 同族の動物が近くにいないと不安になり、違う種類の動物が近くにいるとおびえる。また道路を走る機械も怖がる。
      • 上記のどれかに関して不満を蓄積させていくと、動物が対応した「吹き出し」を表示して不満を訴えてくる。
      • それでもなお長期放置されると牧場から出て行ってしまう。
      • 家畜に寿命は存在せず、家畜の欲求が満たされ続ける限りは牧場にいつづける。
  • 動物の入手・消失
    • 一定時間が経つごとにコウノトリが一匹ずつ運んでくる。どの家畜がほしいかはプレイヤーが指定できる。
    • 上述の不満の蓄積で牧場から出て行ってしまうことがある。
    • そのほか竜巻で吹き飛ばされる、狼やUFOに連れ去られるといったことで動物がいなくなってしまう。
      • 狼やUFOにつかまれた動物をタッチペンで奪い返すことで、連れ去られずに防衛することが可能。

緑化

  • 牧場の大半のエリアが荒れ果てているので、序盤から中盤は適宜給水塔(ウォータータワー)を購入して設置し、緑地を広げていく必要がある。
  • 終盤は「飾り」として「池」を購入することができる。池をセットした周囲の土地が緑化される。

機械および施設

  • 家畜が健康的に生活するため、牧場の生産効率を高めるために機械や施設を買うことになる。
  • 基本的に、お金を消費することで修理・移設・処分が可能。アップグレードも2段階まで可能。
  • 経年劣化で壊れることはないが、雷雨が通った範囲にある機械や施設は故障してしまう。
  • しばらく壊れたままで放置すると、消失してしまいまた一から買いなおす必要がある。
  • 例外もあるが、基本的に機械や施設は緑地の上で無いと設置できない。
+ 機械および施設の詳細
  • 休憩所
    • 卵など、資源を生産できなくなった動物が休憩する小屋を設置できる。竜巻からも守ってくれる。
    • アップグレードすることで、一度に収容できる家畜の数が増える。
  • 餌やり場、水のみ場
    • お金を消費して満タンにできる。アップグレードで一度に蓄えられる餌や水の量が増える。
  • 資源を採取するための機械
    • 羊・アルパカから毛を刈り取るバリカンマシーン、牛・水牛から牛乳を得る搾乳マシーンがある。
    • 関係ないものを放り込むと故障する。
    • アップグレードすると、家畜を自動的に吸引して刈り取りをしてくれるようになる。
  • 資源を回収するための機械
    • 空中を移動するものと、地上の整備された道路を移動するものがある。
    • 道路を移動するものは、道路を整備しておく必要があるほか、家畜に近づけるとおびえられてしまう。
    • アップグレードすると一度に運べる資源の量が増える。
  • 災害対策
    • 天候操作装置、犬小屋、UFO撃退倉庫を設置すると、周辺の家畜や施設を守ってくれる。アップグレードすることで防衛範囲も向上する。

植物

  • 樹木・花は動物の不満度を上げないために必要。高価な植物ほど効果が高い。果物をならせる樹木からは果物を採取し、換金所にもって行くことができる。
  • 麦畑を作ることも可能。対応した刈り取りマシーンを購入することで、麦束を生産し換金所に持っていくことができる。

その他

  • 家畜をタッチすると、名前をつけられる。
  • ゲームをスタートボタンで中断すると牧場の進捗状況をセーブしたり、名前も変えることが可能。
  • 難易度
  • かんたん、ふつう、むずかしいの難易度を選べる。
    • 難易度が高いほど、緑化されていない範囲が増え、災害がやってくる頻度も高い。

評価点

  • 多様な要素
    • ただ家畜を世話して守るだけにとどまらず、材の出荷が必要だったりインフラのメンテナンスが必要だったりと、さまざまな要素が絡み合ってひとつのゲームとなっている。
  • 不思議な世界観
    • 家畜たちのキャラデザインが不思議。キノコを食べて爆発したりUFOがキャトルミューティレーションしにくるというアメリカゲーらしい描写が特徴的。
  • 牧場に発生するピンチに気づきやすい
    • 画面外で何かトラブルが起きている場合は、画面の端に赤い危険を知らせる噴出しが登場し、大まかにどの方向でトラブルが起きているのか教えてくれる。
    • UFOが襲い掛かってきたとき、狐が襲い掛かってきたときもSEやBGMの変化があるため気づきやすい。
    • 3DS下画面の図では、家畜・資源・設備が色分けして表示されるので、判別しやすい。
  • 初心者向け
    • 通常モードではゲームオーバーがない。家畜がゼロになったところで、1からやり直せるゲームバランスである。
    • どこに何を配置すべきか、といったところから効率のよい牧場経営を試行錯誤できる。
    • 序盤は資金が足りなくなりがちなので難しいかもしれないが、機械の置き方が気に入らなかった場合は後から別の場所に移動させることは可能。
      • 柵や道は移設させることはできず取り壊す必要があるが、たいした出費にはならない。

賛否両論点

  • ボタン操作がほぼ不要なところ
    • 細かいボタンの使い方を覚える必要がなく、タッチで使えるので手軽である。
    • 一匹ずつ、機械や施設はひとつずつ動かしたり調べたりすることになるので、間違った対象を選ぶといった誤操作が頻発する。
  • 災害によって発生するトラブルが極端
    • 家畜を1匹さらっていく狐やUFOは問題ないが、竜巻や雷雨は対処を間違うとごっそり家畜を連れ去るので大損害を起こしうる。
    • ただし場合によっては牧場のどこにも通らないこともあったり、あっけなく天候走査装置に撃退されやすいこともあるので、いまいちゲームの障害としての機能が弱い。
  • 機械が有能すぎる
    • バリカンマシーンや搾乳マシーンはかなり遠くにいる家畜も吸い込める。卵・羊毛・牛乳を運ぶ機械もかなり遠くの資源を吸い込むことができるので、機械の配置さえ適切であれば中盤以降はほぼ自動で資源を回収できる。
    • 手動で裁ききる楽しみもあるだろうが、マシンを購入して一部機械化はほぼ必須のゲームバランス。
    • 竜巻・雷雨をよける施設を最大までアップグレードしてくれると、かなり広い範囲の被害を未然に防いでくれる。ゲームとしては便利だが、いまいち障害の少ないゲームにも思える
    • 牧場物語のようなスローライフは楽しめない。普通にプレイしていると機械が常に作動している牧場になり、こぢんまり区画整理された家畜たちの風景が完成する。
  • 忙しい時間と暇な時間が両極端
    • 同時にえさや水が切れたり、牧場の建物の修繕行動中に竜巻がやってきたりといったことが発生しやすい。
    • 特にニワトリの卵の集荷作業などは、早めに道を整備して機械導入でやってもらわないと序盤の作業量がとんでもないことになる。
    • 手動でうまく裁き切れれば、それはそれで達成感になるかもしれないが、上記の機械と道が充実してくると機械が勝手に収穫するのを眺めているだけの時間も発生しかねない。
    • なお餌場・水のみ場の補充は必ず手動で行う必要があるので、完全に暇になるゲームではない。

問題点

  • 操作説明がざっくりとしている
    • ゲームでは取引場をいきなり説明もなしに使わせようとする。またゲーム内では全体的な流れを一切説明せず、とにかくプレイヤーになにかを調べさせて、それについて説明するというスタイルが多め。
    • 前の牧場管理人であるルーファスの操作説明が雑なので、電子説明書に一回は目を通しておくことをお勧めする。
    • 購入を決定するボタンが○(丸)などではなくコインの絵。こちらもやや図の意味を理解するのに時間がかかる。
  • 誤タッチが置きやすい
    • 本作でのストレス要素。
    • 柵や家や餌場、動物が密集している場所だと目的のものにタッチできなかったり、目的のものをつかんで移動させられないトラブルに見舞われる。
  • 家畜の移動バグ
    • 搾乳機や休憩用の小屋から出てくる動物は、乱暴にたたき出される。そのためこれら施設を柵の隅においておくと小屋外に追い出されてしまうことがある。
    • 処理落ちなのか、柵から出るどころかまったく関係の無い僻地に家畜がワープする事がある。
  • ボリューム
    • ゲームの目的がポイントを稼ぐ以外にとくにない。
    • 難易度「かんたん」「ふつう」「むずかしい」の3段階用意されているが、牧場の地形が異なる、災害が起こる頻度がやや違うといった差しかない。
  • その他
    • メニュー選択で頻繁に長いロードが入る。牧場を選択したときのロードおは15秒程度と尋常ではない長さ。
    • 家畜や機械をタッチして詳細を確認したい際も、小さなフリーズが入る。
    • また一瞬BGMが途切れて無音になるのでフリーズ、あるいは故障を疑ってしまう。

総評

忙しさはあるものの、機械や牧場整備がしっかりしていれば着実に攻略できるゲームバランスなため、シミュレーションゲームの入門用にはもってこいかもしれない。 機械音がひしめく騒がしい風景になるので、自然を謳歌したかったりスローライフを送りたい人には不向きだろう。

最終更新:2024年03月22日 17:06

*1 ゲーム自体が立体視に対応しているため