ファミコン名人戦
【ふぁみこんめいじんせん】
| ジャンル | 将棋 |  
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| 対応機種 | ファミリーコンピュータ | 
| 発売元 | SNK | 
| 発売日 | 1988年9月2日 | 
| プレイ人数 | 1~2人 | 
| 記録方式 | オートセーブ | 
| 定価 | 5,900円 | 
| 判定 | なし | 
| ポイント | 初心者お断り オートセーブ
 付加価値は詰将棋とグラフィック
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概要
SNKから発売された将棋ゲーム。
リーグ戦を勝ち抜いて名人を目指すというものであるが、対局以外にも詰将棋などの付加価値が用意されている。
内容
構成
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「本将棋」
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「詰将棋」
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「リーグ戦」
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「再現」
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直前の対局の棋譜観賞。
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一番最後の対局をオートセーブで自動的に上書き保存という仕様。
 
登場人物
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C級
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森山九段、五十嵐、倉多八段、田村四段
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西方九段、姑娘、倉内、天森
 
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B級
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丸山九段、竹内九段、高沢、森山九段
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姑娘、倉多八段、クリスティーナ、西方九段
 
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A級
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深津16世、竹内九段、江頭竜王、高田九段
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丸山九段、クリスティーナ、高沢
 
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人物が重複していたり、女流棋士が混じっているのは仕様である。
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各クラスで全8勝(A級は7勝)をすると次のクラスへ進めるようになる。
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全部で20局以上になるが、オートセーブが用意されているので少しずつ進められるようになっている。
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A級を勝ち抜くと坂西名人との名人戦になる。
 
評価点
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詰将棋が用意されている
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解いても何も起こらないが、3手、5手、7手と力量に応じて選べる。
 
素材・グラフィックが良い
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タイトル画面
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丸形の枠に竹林、そしてその背後には満月という構成で緻密に描き込まれており非常に高品質。
 
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モード選択の際、等身大の人物が簡素ながらもアニメーションで動きを見せる。
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盤上
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盤と駒台は、真上視点ではなくやや斜めからの対局者目線。足までしっかり描画されている。
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パースが不自然で、高層ビルのような高さに見えるのはご愛嬌か。
 
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対局中には相手の顔グラが表示され、しかも形勢に応じて表情が変わる。
 
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対局後の演出
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対局が新聞に載るという仕様で凝っており、●本日のことば●には色々な格言が表示される。
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盤面と全く関係ない格言になることが多いのが玉に瑕。もっともファミコンに盤面まで読ませるのは無理があるが。
 
 
エンディング
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名人戦で勝つとお辞儀をしてくれるアニメーションを用意。
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簡素な演出が多いファミコン将棋の中で、本物の棋士人生を歩むような演出は評価できる。
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しかも、背景には中原誠名人(当時)による「無心」の掛け軸がある。
 
賛否両論点
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初心者には厳しい
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CPUが極端に強いわけではなく、対局では時間に追われる事もないのだが簡単には勝てない。
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パックマン戦法も刺さり勝勢になれるが、それでも終盤力は強いので初心者が勝ち切るのは容易ではない。
 
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駒落ちは4枚落ちまであるがプレイヤー側のみで、CPU側の駒は落とせない。
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一方詰将棋は3~7手詰めで初心者向け。この詰め将棋で終盤戦を鍛えれば対局でも勝てるようになるかもしれない。
 
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オートセーブ
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毎回、自動でセーブするおかげで前回のデータはすぐに消えてしまう。
 
問題点
対局内容
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リーグ戦の仕様
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各クラスで8人と対局するのだが、昇格するには勝ち越しではなく8局全勝しなければならない。リーグ戦という名の暗黒武術会トーナメントである。
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オートセーブはあるものの、敗北した際も自動的に記録される。そのため1局でも落としたら残りは捨てて再度8局全勝に臨まなければならない。
 
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相手の強さも似たりよったりなので、パックマンを使いこなせるならクリア自体は難しくない。
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指し手は多少違った事をやってくるものの、誰であろうが刺さることは刺さる。
 
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名人戦は本来七番勝負のはずだが、1局で終わってしまう。
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王手や大駒取りで笑顔になるのはいいが、敗勢で苦し紛れの打駒王手でも笑顔なのはプロ棋士の演出としてどうなのか。
 
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詰将棋
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選択がランダム出題であり、正解した後は勿論、間違えた後も別な問題に切り替わるのでリトライ性が悪い。
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全部解いても何か起こるわけではなく、あとはループで繰り返すのみである。ファミコンゲームだからと言えばそれまでだが……
 
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反則は指摘してくれない
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王手放置、相手の駒の効きに王を動かす、打ち歩詰めは即負け。その際の敗因は自分で気づかなければならない。
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「反則手は打てない」というのは初のファミコン将棋である『本将棋 内藤九段将棋秘伝』でもできていたことである。
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とはいえ実際の対局で反則手は打って相手が気づいたら負けであるからこちらの方がリアルであろう。反則手が打てないほうがおかしいともいえる。
 
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千日手は反則にならない。CPUにやられると、こちら側が違う手を指さざるを得なくなってしまう。
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千日手に関しては、将棋では珍しい引き分けを適用するルールであるため、リーグ戦の得点処理で引き分けを処理しきれずあえて無視した可能性がある。
 
 
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相手同士の対局
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CPU同士では17分はかかってしまう。放置しておいてリプレイを後から見ることはできる。
 
操作性が非常に悪い
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キー入力
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駒台に置くためにはAボタンを1回ではなく2回押し、または十字キー長押しが求められる。大した事はなくとも何度も行うのでどうしても気になる。
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リプレイの際も、十字ボタンの上下を押しっぱなしで再現していくのでやりづらい。
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また経過時間も時間経過も指し手毎ではなく総合タイムのみ表示。
 
 
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対人戦
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スタートボタンの暴発
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うっかり押すと、選択肢が出る事もなくタイトルへ戻ってしまい何もかも棒に振ってしまう。再現からそこまでの過程を見ることは出来るものの、そこからの再開は出来ない。
 
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CPUとの対局では4枚落ちまで用意されていたが、対人ではそれも出来ない。
 
その他
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フォント
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漢字が使われているのは良いのだが、「江頭竜王」の竜の字がつぶれてしまっており読めない。
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駒落ちの際は先手後手ではなく上手下手とすべきである。ゲーム性を損なうわけではないのだが、気になる人は気になる。
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メニュー表記の「対局1」がCPU対局、「対局2」が対人対局というのは分かりづらい。
 
総評
はっきり言って欠陥が多いため将棋ゲームとしてはかなり微妙なところであり、以前発売されている『森田将棋 (FC)』の後では余計に目立つのは仕方のないところである。
しかしながら、グラフィックの素材が良く、詰将棋も用意されており光るところもある作品とは言える。
余談
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当時の実際の名人戦
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当時の名人戦の保持者は中原誠名人であり、3連覇されている。
 
最終更新:2022年04月01日 17:47