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ソードアート・オンライン フェイタル・バレット

【そーどあーと・おんらいん ふぇいたる・ばれっと】

ジャンル TPSRPG



対応機種 プレイステーション4
Xbox One
Nintendo Switch
Windows(Steam)
発売元 バンダイナムコゲームス
開発元 ディンプス
アクリア
他多数
発売日 通常版
PS4/One 2018年2月8日
Win 2018年2月24日
COMPLETE EDITION
PS4/One 2019年1月17日
Win 2019年1月19日
Switch 2019年8月8日
プレイ人数 1人
(オンライン対戦時1人~8人)
定価 通常版:6,280円
初回限定生産版:9,980円(各税5%込)
レーティング CERO:B(12才以上対象)
判定 なし
ポイント アバターが主人公の『SAO』
TPS初心者でも遊べる作品
シナリオの中盤から疑問と不満
『ソードアート・オンライン』だがソード冷遇
備考 COMPLETE EDITIONはDLCと限定特典を全収録
電撃文庫シリーズ



その選択は、銃弾よりも速く、重い。



概要

『ソードアート・オンライン』シリーズの一作でTPSRPG。携帯機での発売が多かった過去作とは異なり、本作は据置機のみでの発売となった。
作品について補足すると、「ソードアート・オンライン」とは作品中に登場する「剣と魔法を主体としたゲーム」で、
「ガンゲイル・オンライン(GGO)」とは同じく作品中に登場する「近未来の惑星で銃火器を使って機械生命体や原生生物と戦うゲーム」を指す。
『ソードアート・オンライン GGO編』は作中のメインキャラがGGOに挑戦するというストーリーであり、
本作もGGO編を踏襲した世界観なので皆が銃を活用し、キリトのように剣に固執する人間は少数派の世界である。
また、本作にはスピンオフである『ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン』からもキャラクターが登場する。
以下は『ソードアート・オンライン』シリーズについて詳しくない方でも世界観や各種設定が概ね理解できるよう解説を入れているが、あくまで「概ね」なので原作未見だと分かりにくい部分もあるのは留意していただきたい。


ストーリー

「SBCグロッケン」を訪れた主人公は、幼馴染みのクレハと共にダンジョンを駆け巡る。
その先でサポートAI「アファシス」にマスターとして選ばれる幸運ぶりを見せたが、肝心のアファシスパーツが一つもない。
主人公はアファシスパーツ捜索の為、各ワールドやダンジョンを探索するのだった。


特徴

  • 本作は原作での主人公であったキリトではなく、プレイヤー自身のアバターが主人公となる*1
    • 性別やボイス、体格等は自由にカスタマイズ可能。しかも女主人公の場合は胸囲を調整したり、男の娘のキリトの髪型にする事も…。
      • 戦闘時を除いて一切喋らないが、シナリオにおいて途中で入る選択肢は相手の会話に応じた内容となっており、無口ではなくなっている。
      • 但し、後述する問題点の様にこの選択肢における問題も少し抱えている。
    • チュートリアルをクリアするとNPCとしてパーティメンバーに加えられるアファシスも主人公同様にカスタマイズが可能。
  • 理想の武具を狙って「掘り続ける」というハクスラ要素が強いゲーム性だが、同時に経験値を稼いでステータスを伸ばす要素も存在するので、高難易度でなければレベルを上げてゴリ押せる。このおかげで、ゲームが下手で武具が揃わないプレイヤーでもストーリーを楽しむことができる。

システム

  • 原作の「GGO編」を再現してか、射撃を用いてエネミーを倒すシステムのが流れとなる。
    • 武器は銃がメインとなるが、タイトルにも書かれているようにTPSでのナイフに相当するソードも「光剣」として使用可能。
      • ある条件を満たすと一部の武器を2刀流にできる『デュアルアームズ』ソードと銃が両方装備可能になる『ガン&ソード』を習得する。
    • 但し、どちらも使用する為の要求ステータスが本来の武器の2倍となっているので、計画的なスキルの振りが重要。
    • マップは「SBCグロッケン」がメインとなっており、ロビーではオンライン共闘や対戦、動章と貴重なアイテムを交換できる。
    • キリトの部屋ではアスナが「衣装作成」、エギルが「アイテム鑑定」、リズベットが「武器の強化・改造」をしてくれる。
  • UFG(Ultimate Fiber Gun)という道具がプレイヤー操作キャラに与えられており、これは狙い撃って着弾した地点にプレイヤーを運ぶ銃である。『ゼルダの伝説』でいえばフックショットを移動用途のみに特化した道具。
    • ぶっちゃけた話になるが「UFG」や「アファシス」は今作を開発したディンプスの過去作『フリーダムウォーズ』の「荊」と「アクセサリ」の転用である。
      もちろん単なる使い回しではなく作品に合わせてチューニングしていて、特に今作は銃で撃ち合うシューティングとして「撃たれにくく撃ちやすい位置に陣取る」必要があるが、そこで場所移動をしやすいUFGが生きてくる。着弾地点に「相手を吸い寄せる効果」を持つ特殊弾から逃げるには便利。
    • …とは言え、無理にでも使わせたいのか、穴だらけのステージを用意してUFGでの移動を強制している節があり、ドロップのために周回しなければならないこのゲームでは、ただ面倒なだけである。
  • 左上には勲章ゲージが表示され、バフやデバフを掛ける、もしくはエネミーを大量に倒したり状態異常を掛けると上昇し、武器のアイコンも白く染まる。
    • この時にL1とR1を同時に入力すると「ウエポンアーツ」が発動し、その時に装備した武器の種類によって様々な効果を発揮する。なおパーティメンバーもこのウエポンアーツを使用する。
  • エイムアシストが設定されており、画面上の大まかなサークル内に敵を入れてロックオン状態のまま撃てば敵の体のどこかには必ず当たる。アシストを使わずに自分で敵の弱点を狙い撃つ方が遥かにダメージ量が大きいが、シューティング初心者はとりあえず当てられるサポートとして有用。あるいは弱すぎる敵を適当に処理したい時や、敵のどこに当てても効果がある攻撃ならいちいちエイムする手間を省くことができる。
  • バレットラインというシステムもあり「銃の引き金に指をかけて敵に銃口を向けると銃口から相手に赤い線が引かれ、狙われていることが敵に伝わる」というもので、これにより敵がこちらを撃とうとする直前に赤い線が出るのでそれを回避するように動けば攻撃を回避できる*2
    • エイムアシストとバレットラインは作中世界のゲーム『ガンゲイル・オンライン』に設定されているれっきとした「仕様」だが、それを我々がプレイするこのゲームにうまく落とし込んで初心者向けのサポートとして活かしている。
  • ちなみにSwitch版に限り、本体持ち寄りのローカル通信プレイとジャイロセンサーによるエイムが使えるので特にジャイロエイムを使いたい場合は注意。

アップデートで追加された新要素

  • ヒーロークエスト
    • 原作キャラを主人公として敵を倒すモード。
      • 一人で多数のライバルを薙ぎ倒して行く「ソロ」と他のNPCと協力してボスに立ち向かう「パーティー」に分けられている。 クリアするとそれぞれモードに応じた報酬を貰えるがパーティーの方が強い装備が手に入る。
  • ヒーローバトルモード
    • PVPに相当するモードで対人戦を行う。
      • こちらも原作キャラを操作することになるが、主人公を操作することも可能。

評価点

  • TPS初心者から上級者まで遊べるシステム
    • 主人公や仲間がスキルやガシェットを使おうとすると「バフを掛けるよ」や「グレネードを投げる」等と声を掛けてくれる。
    • エネミーに攻撃された時も同様でエネミーの攻撃範囲には赤いバレットラインが表示される他、「敵の攻撃に気をつけて」「グレネードが来るぞ」等とアドバイスしてくれてエネミーの攻撃がある程度予測しやすくなる。
    • シナリオを一度クリアするとエネミーのレベルが大幅に上昇した高難易度「Extreme」が解放される。オプションで自由に変更可能。
  • 個性豊かな新キャラ
    • 本作初登場キャラは前述の主人公とアファシスに加えメインヒロインのクレハとツェリスカ、そしてイツキとバサルト・ジョーである。
    • クレハ、ツェリスカ、イツキ、バサルト・ジョーの4人はそれぞれ佐倉綾音氏、能登麻美子氏、鈴木達央氏、小山力也氏とやはりベテラン声優で占めている。
      • クレハは主人公の幼馴染でありながら、GGO初期からプレイしているベテランプレイヤーで明るく・快活・世話焼きと三拍子揃っており、天然ボケ気味な主人公を保護対象と見ているフシもある一方でベテランプレイヤーだけあってGGOをやりこんでおり、主人公に旅のヒントを教えてくれたりもしてくれる。
    • アファシスは自己主張できない主人公の代役として意見を述べたりする「物語を転がす役」であり、プレイヤーによってはヒロインともなりうる役柄である。
      • そのため台詞の長さもずば抜けて多いが、無料アップデートで声優が男女で3人ずつ追加されて男女×4人の計8人からCVを選ぶことができる。
      • ツェリスカは「無冠の女王」と呼ばれる程イベントには消極的だが、主人公の実力を評価してくれる他、冒険のサポートもしてくれる優しさも見せてくれる。特にDLCで追加されたストーリーでの活躍ぶりは必見。
      • イツキは現実・作中共にイケメンと呼ばれるGGOベテランプレイヤーで、主人公の性別を変更できる関係で男性としては珍しく添い寝イベントも用意されている。
      • バサルト・ジョーはアファシスに執着しており、マスターである主人公に手段を選ばずに決闘を申し込むいわゆるライバルポジションだが、礼儀なところやフランクに接する等憎めないところもある。
  • 充実したファンサービス
    • 序盤からキリトをはじめとした原作キャラだけでなく、過去作で登場したゲームオリジナルヒロインも一部を除いてNPCとしてパーティメンバーに加えられる。
      • キリトはソードを二刀流持ち、アスナはヒール系のスキル、シリカは小竜ピナが今作でも続投しコンバットナイフを主に使ったりとこれでもかと原作の再現に力を入れている。
      • キリトをはじめとした原作キャラは全て衣装がオリジナルのものになっているが、黒の剣士等原作で着用していた衣装がDLCやアップデートで追加されている。
      • ゲームシリーズでは原作と異なる流れを辿っていることにより、シノンが数多くの仲間と共に精神的に成長した状態でGGO編に立ち向かう、本来はGGO編の後に登場していたユウキがGGOでも活動できるようになっている、など本作ならではの要素もある。
        + とはいうものの…。※本編キリトモード終了までのネタバレ 原作で悪役だったキャラが『ホロウ・リアリゼーション』で原作と違う経験をすることで改心しかける描写があるが、『ホロリア』後の時系列の本作で原作と全く同じ悪役に戻って同じ末路を辿る
        そのキャラが改心すると今作GGO編の話が崩壊するほど重要な悪役なので仕方ないのだが、同情の余地はあった上にifストーリーで改心しかけていたのでこちらの話でも「道を踏み外さなかったifストーリー」があってもよかったところ。
      • SAOゲームシリーズお約束の「デート・添い寝イベント」もほとんどのキャラに用意されている。アスナなどの原作の重要ヒロインはキリトモードで、ゲームオリジナルヒロインや外伝寄りのキャラは主人公とイベントが組まれている。よってアスナやシノンがキリトではない男主人公と『寝る』というような展開は起きないので安心。
      • フィールドを探索していると主人公を除いたパーティーメンバーがトークを行ってくれる。その中でもアファシス絡みの会話を行うゲームオリジナルキャラ、キリトと再戦する事を望んだり、アスナに謝罪するエイジやアスナとアリスの三角関係を敬遠しようとしてユージオに注意されるキリト、サチとの奇跡の再開に喜ぶキリトとアスナなど、原作ファンには笑いや涙を禁じえない内容のトークが豊富に用意されている。
    • ある条件を満たすとキリトが主人公の「キリトモード」が期間限定で選べる様になり、原作ファンにも嬉しい楽しみが用意されている。そして、プロローグは勿論あの男の娘の姿である。
  • 歴代最多のキャラクター数
    • アップデートにより「オルタナティブ ガンゲイル・オンライン」、劇場版「オーディナル・スケール」最新作である「アリシゼーション編」等からのキャラクターが追加され、本作で登場したキャラと合わせるとその数は30人以上にも昇る。
  • 豊富なやり込み要素
    • 中でも最終アップデートで追加された「深淵ダンジョン」はレベル1からダンジョンを駆け巡り、使用できる武器とアクセサリーがエネミーからのドロップ、もしくはトレジャーボックスからのみに限られる。いわゆる不思議のダンジョンシリーズの「もっと不思議のダンジョン」に相当するモード。
    • 仲間がやられてからしばらくすると消滅してしまい、後のダンジョン攻略が厳しくなるので、蘇生の重要差が大きく問われる。
    • 当然、ここでしか手に入らないレア武器はいずれも強力な物ばかりなのでチャレンジ精神が試される。

賛否両論点

  • 一部キャラの扱い
    • アルゴは情報屋ということもあってストーリーやサブイベントにも深く関わるのだが、情報を全購入すると、以降は存在意義がなくなってしまう。
      • 後にアップデートでコロンやパーティーメンバーの装備品に効果を追加するマシンが彼女の情報屋に入荷され、この点は改善された。
    • クラインとエギル、そして新キャラのバサルト・ジョーは当然とはいえ、添い寝イベントによるCGイラストが存在しないのだが、同じ男性キャラであるイツキですら、添い寝用のイラストが存在しているので、不公平を感じやすい。
      • もっとも、原作でもあんまりな扱いだったので、この辺りは仕方ないといえるか。そもそも男女が選べる主人公は男性と親密になるのはわかるが、キリトがクラインやエギルと添い寝する時点でどうなのか
  • キリトモードの内容が薄い
    • ネタバレなので詳細は伏せるが、キリトが因縁の敵の情報を掴む為に女装してその因縁の敵との決着を付けると言った原作ファンなら熱い内容だが、逆に言えばそれだけで、後はやるべき事はキリトの仲間入り達に着せ替えができるくらいである。
      • 良く言えば面倒な事が少ないので好みが分かれるところか。
  • DLCを購入すると、即時仲間として解禁される
    • 通常プレイ時は仲間キャラは、シナリオ進行などの条件を満たすと「いつでも力を貸す」という趣旨のメールと共に街に現れて戦いに誘えるようになる。
      また、ストーリークエストに参加して「その仲間がいたら不自然な状況」になっている間のみ姿を消すシステムとなっている。
      仲間の解禁には十数時間かかるケースもあるのだが、有料DLCを購入している場合条件に関係なく「いつでも呼んでくれ」メールが着信し、街中に立っている状態となる
      • これがシナリオのネタバレ、DLCのネタバレを招いている面がある。
        「こいつが仲間になる」という事実そのものが重大なネタバレになるキャラや、後半に登場するキャラ、DLCシナリオ登場キャラもお構いなし。そして、話しかけるとDLCの物語をほぼクリアした前提の会話を返してくる。
        致命的なネタバレというほどではないのが救いだが、DLC自体は本編の後に遊ぶことを推奨されており、時系列上も本編終了後か終盤の話になっている。いきなりDLCから遊ぶと攻略も苦労する上に話の理解に支障をきたす。
      • 早期解禁自体は「買ったキャラクター」なのにすぐに使えない場合不満を招く面もあるため、という見方もあるため一概に悪いとは言えないが、せめてセリフなどはセーブデータの進行度を参照して管理するなどの工夫が欲しいところである
        ※有料DLCに収録されたキャラはこの通りだが、無料アップデートで追加されたごく1部のキャラはちゃんと条件を満たすまで話を進めてから初登場イベントと仲間に入るフラグが解禁されている。つまり不可能なわけではない
  • イベントの配分がおかしい
    • そもそも刊行数の多い原作作品のゲームに「新たに参加した来訪者」という立場で主人公が加入するため、オープニングイベントの直後にゲームオリジナルの関係者とは別に原作キャラ16人の顔合わせと自己紹介をしてからやっと自由に動けるようになる。
      原作を知らない人間にはいきなり20人越えの登場人物の顔と名前を紹介されると把握が難しく、オープニングイベントや各種チュートリアルをボイスをカットせず全て見るなら自分で操作して最初の冒険に出るまで2時間以上かかる。*3
      いくらアニメゲーとはいえちょっと詰め込み過ぎでは無かろうか。もしDLCを既に購入していればその直後に30人近いDLC追加キャラから「いつでも呼んでくれメール」が届く。
  • レイン(Rain)というソードアートオンライン関連作や過去作に出ているれっきとした公式キャラがいて、歌が好きでアイドルや歌手として活動しているのだが、本作でも仲間になる上にデート添い寝イベントも作られており、歌手という役柄上DLC「雪原の歌姫」で見せ場も作られている。
    …なのだが本作のモブNPCでRainyという歌が好きで街中でライブ活動をするキャラがいる。Rainyの方は大勢いるモブでそれ以上のイベントがあるわけではない。なぜ名前やキャラ設定まで被せたのか…。
  • 武器の1つであるソードが不遇
    • 原作でキリトのメイン武器であったソードだが、強化できるメモリーが少ない、弱点を狙いづらい、ソード専用スキルも使いづらいものが多い。
      • もっとも原作のGGOでは光剣(ソード)は銃と違いシステムアシストがなく、キリトのような一部の変わり者しか使わないし使いこなせない趣味武器という扱いなので、原作再現とも言える。
  • ボスエネミーが明らかに弱い
    • HPこそ非常に多いが、全体的に隙のでかい攻撃を使う割に火力が低くてかわしやすく、体型が大きい為にエイムショットを狙いやすい。
      • それだけなら上手ではないプレイヤーでもシナリオを読める、というキャラゲーとしての調整と言えるが、雑魚エネミーは火力の高いオートマチングスナイパーや敵対プレイヤー、様々な武器を使いこなすヒューマノイド系等、頻繁に出てくる割に強い個体が多く存在している。
  • 敵対時のキリト戦の難易度が高い
    • 『ソードバリア』で遠距離対策をしつつ突進系スキルで攻めてくる戦法が意外と強力で、対策を取らないとあっという間にやられてしまう。
    • 特に共闘クエストや深淵ダンジョンの終盤が顕著で、仲間がデバフや状態異常等でフォローしながら連携で果敢に攻めて来るという厄介な嫌がらせプレイングが頻発する。
      • 一応、ソードバリアでは跳ね返せない爆風攻撃を打ち込む、あるいは状態異常やソード主体で戦う等対処法は多いのだが、いずれもリスクが多いのが難点。
    • キャラゲーという側面を加味すると、彼が弱すぎても不満に繋がるので難しいところではあるのだが…。

問題点

  • ロード時間が長い
    • マップを切り替えるだけでも10秒程のロード時間が発生し、イライラ感を感じやすい。
  • 表示される名前を別々に設定できない
    • 作中で表示されるNPCの名前は会話シーンではカタカナ、システム表示では半角英数と使い分けられているのだが、主人公とアファシスは自分で名前を入力する関係上どちらか片方で統一されてしまう。
    • カタカナで設定するとシステム上でもカタカナで表記され、逆に半角英数で設定すると会話シーンでも同じように呼ばれてしまい、どちらにしても違和感を拭えない。
  • 単調すぎるシステム
    • ストーリーにしろサブクエストにしろ、基本的には特定の敵やボスを倒して解決という流れに変わりはない。
  • パラメータのLUCの存在意義が薄い
    • アイテムの入手率や一部スキルの習得条件に影響するのだが、前者は元からLUCの数値が高いフィリアをパーティに加えるだけでも収集しやすく、やはり存在意義が薄い。
  • 取得できる動章が偏りやすい
    • バフやデバフを駆使する関係でサポート動章が入手しやすく、逆にエネミーを特定の武器で多数倒すことが条件なウエポン動章が集まりにくい。特にネームドエネミーで経験値稼ぎをしている時が顕著。
  • NPCのAIの問題
    • 味方NPCはジャンプをあまり使用しない為、階段エリアで密集するとこちらがジャンプで乗り越えない限り移動の邪魔になってしまう。
    • また、作戦コマンドで「待機」に変更しても稀にNPCが動くことがある。
  • 一部強力なスキル・システム
    • ハンドガン限定だが短いリチャージ時間と隙の少ない『クイックショット』、一定時間無敵になりつつ自動回復まで行える『シールド・マトリックス3』や攻撃と防御同時にデバフを掛けられる上に有効範囲も広い『ウイルス弾』が挙げられる。
      • この『クイックショット』の優秀さのおかげで武器はハンドガン一強になってしまっている。
      • 難点としては一発の火力が低いことだが上述の『デュアルアームズ』で火力をカバーできること、そして要求ステータスが低いことから他のステータスに回しやすいなどメリットになりやすい。
      • これらのスキルを使用できるストレアやサチ等は大変優秀で結果としてパーティメンバーの自由度が狭くなってしまっている。
  • NPCにプレゼントを渡す条件がやや分かりにくい
    • NPCと友好度ランクを4まで上げると衣装をプレゼント出来るのだが、その条件がアバターかキリトのどちらかに分けられている。
  • パーティーメンバーのモーションの手抜き感
    • 主人公にしろ原作キャラにしろモーションが全キャラで全く同じになっており、キャラの個性を引き出しにくい。
      • そもそも近年の3D作品はおろか過去作においても個別モーションが用意されるのが当たり前なので、もう少し作り込んで欲しいところである。
  • 武器やアクセサリー強化の水増し感が強い
    • アップデートにより、アクセサリーを強化できるアクセサリー加工屋や武器の個体値を上げる潜在能力解放チップが追加されたものの、単に強化要素を増やしていて面倒な印象が強い。
  • 描写不足かつ釈然としないメインストーリー
    + ゲーム本編エンディングまでのネタバレのため格納
  • 今作は、原作のGGO編とほぼ同一の世界観で「主人公が独自に冒険しつつ、キリト達原作のキャラ達と交流や共闘していく」という物語だが、その主人公のストーリーではラスボスと直接決着を付けずにシナリオが終わってしまう。
    ラスボスは自分の欲望のために違法かつ迷惑な行為を実行しており、 バッドエンドではラスボスのせいでヒロインが死ぬ展開 があり、トゥルーエンドでは主人公の健闘でラスボスの凶行を止められるのだが、ラスボスは逃げてメインストーリーは終了する*4
    8,000円近い価格のゲームで、エンディングでラスボスに逃げられて動機も分からず終了という有様は批判を浴びた。
    ただし有料追加DLCでストーリーも追加されることが発表されており、当初はそちらでラスボスと決着を付けると思われていた。
    • なお、本作のヒロインは二人いるが「どちらが好きか」という選択肢で選ばなかった方が死亡する。主人公をかばってラスボスの凶弾に倒れることになるが、仲間になってからただの一度もパーティに加えなかったとしてもしっかりかばってくれるため唐突感が否めない。
    • さらに、ヒロインの1人のクレハは、内心では悩みやコンプレックスを抱えていてそのために一時的に主人公と険悪になる展開もあるのだが、そのコンプレックスも本編中で解決せず何となく流れて終わってしまう。
      即座に解消できる悩みではないのでそれだけなら不満点となるほどではないが、前述の通りラスボスと決着がつかないのに加えてヒロインの悩みも解決できずに終わることで、シナリオの消化不良感がより強調されてしまっている。
  • + 追加DLC3本+「雪原の歌姫」ストーリー最終盤のネタバレ
  • 有料DLCのストーリーは新たな敵と戦う物語だったので本編のラスボスの描写はほとんど無かった。
    それだけならまだしもDLCストーリーの敵の黒幕ともゲーム内では戦えない。
    DLCで主人公が戦う原因を作った黒幕は原作GGO編より後で戦うことになる悪役なので、原作をそこまで見ているプレイヤーならば「こいつが黒幕なら、この時点で倒せないのは仕方ないな」と納得できるのだが、原作未見プレイヤーは「こいつ誰?こいつとは戦えないの?」となってしまう。
    この黒幕は原作を追いかければキリト達が倒してくれる…のだが、今作だけ遊んでいるプレイヤーはそれすらわからないというのは描写不足というレベルではない。
    この結果、本編から何ヶ月も待った後に出たDLCを購入したのにまたしても歯切れの悪い終わり方となってしまった。
    ちなみに黒幕の手先として襲ってくる敵自体は人気のあるキャラなので、そいつと決着を付けることで満足することもできなくはないのだが…。
  • + 最終アップデート「深淵の仮面」のネタバレと問題点
  • 最後に追加されたアップデートでついに本編ラスボスと再会するのだが、そこで主人公がラスボスを勝手に許してしまう。
    正確にはラスボスが現れて釈明や反省の意を示すのだが、主人公の返答はラスボスを許して受け入れる選択肢しか選べない*5
    反省したとしてもラスボスが悪事を働いたのは事実であり、パラレル扱いとはいえバッドエンドではヒロインを殺していること、何よりもメインストーリーをラスボスの逃亡で終わらせたのだから、戦って決着を付けさせる、許すかどうかの選択もプレイヤーが選べるのが普通だが、それすらさせていない。
    今回のアップデートがラスボスとの決着を付けさせる事実上、最後の機会であったが、キャラクリエイトゲームである『フェイタル・バレットの主人公』はここでしか存在していない以上、今後ラスボスが敵として再登場しても(例えば、代わりにキリトが倒したとしても)それで決着が付くわけではない。
  • さらには、主人公=プレイヤーであるこのゲームで「許す流れにするために、主人公がピンチになる状況を作り、それをラスボスに助けさせる」ことで和解まで進めていく展開にも問題がある。*6
    開発側(シナリオライター)から言わせると、これで「禊を済ませた」つもりなのだろうが、許すかどうかの選択肢すら与えていないにもかかわらず、プレイヤーからすれば、今まで自分が操作してきた主人公を「免罪符」として利用されていることになる。
    「人気があるキャラ」とは言ってもストーリー中での行い、添い寝イベントの存在も相まって、ラスボスを毛嫌いするプレイヤーも少なくない中、和解ありきで「ラスボスを許すために用意された」と受け取られても仕方の無い内容のため、押し付けがましさが目立つ。*7

    そもそも、こういう事態になったのは「メインストーリー中に決着を付けさせなかった」からであり、DLCでも、ほとんどラスボスには触れず先延ばしにした結果である。結局は開発側、特にシナリオライターの怠慢であり、これらの後始末を体よく主人公に押し付けて解決させたようなもので、とてもではないがストーリーでの消化不良感・不信感が払拭できるようなものではない。

    主人公でこれなら、アファシスもアファシスで扱いが悪く、追加シナリオでは色々と理由を付けて喋れないようにしている。*8
    結局は「今まで出来ていたこと」をしなくなっただけであり、このことで追加シナリオを評価するには値しない。

    さらには、追加シナリオ中は別のキャラクター(当然、普通に喋っている)に事ある毎に 「アホシス、アホシス」と連呼されている。アファシスも主人公同様にキャラクリエイトができ、 人によっては他キャラクターよりも、愛着を持っていることは想像に難くない。 メインストーリー中のように、アファシスが喋ることを期待していたプレイヤーも少なくないだろう。 にもかかわらず、わざわざ喋らせないシナリオを用意して上記のことをさせている。 配慮に欠けているとしか思えない内容である。

    キャラクリエイトしたキャラクターが喋っていることは、シナリオの数少ない評価点だったが、今回それすらも取り上げられたことになる。


    総評

    原作の「GGO編」を再現したTPSと、初心者から上級者まで楽しめるシステムに原作ファン歓迎のファンサービス、そしてアバターが主人公といった要素を意欲的に盛り込んだ「ソードアート・オンライン」シリーズの1作。
    一方でシナリオ面では不安と疑問が多くあること、ロード時間の長さによるストレスの溜まりやすさ、そして肝心のシステムは単調な面を感じやすいなど、ややチグハグな印象を受ける。
    とは言え原作の魅力はそれなりに盛り込まれており、遊びやすいのは間違いないので新旧ファン、及びTPSマニアなら十分に遊べる出来である。


    余談

    • 初回特典はパッケージやダウンロードによって異なっており、例えば通常版ではアスナがSAOで着用していた血盟騎士団の衣装と銀の銃がゲーム内で使用できるダウンロードコードが、Switch版のパッケージでは『ディープ・エクスプローラー』で使用できるシノンのヒーローログが付属していた。
    • 2021年1月27日時点で売上は全世界累計150万本以上にも渡った。
    • 本作オリジナルキャラのクレハ・ツェリスカ・イツキの3人は後にアニメの『アリシゼーション編』にカメオ出演を果たした。一瞬だが本作のロゴが書かれた看板も登場している。
      • ゲームオリジナルキャラクターがアニメに出演するのは本作が初。
      • またアニメ化での追加エピソード内でGGO版のアスナ、リズベット、シリカ、クラインが描かれた。ただしいずれも本作とは異なるデザインの衣装となっている。
    • 2020年7月9日にシリーズ最新作『ソードアート・オンライン アリシゼーション リコリス』が発売された。
      • しかし発売初期に多数のバグやエラーが確認され、現在はそれらの要素は改善されたものの評価は未だに芳しくない。
      • ちなみに今作のヒロインのクレハとツェリスカは『リコリス』にも登場するが、正確には本人の人格等を忠実に再現したAIが参戦しているため、幸い「2人がキリトにNTRれる惚れる」という展開にはなっていない。
    最終更新:2024年12月17日 08:29

*1 アバターが主人公の構想は『ホロウ・リアリゼリーション』の頃からあったのだが、「キリト以外のキャラで他のヒロインと縁を結ぶのは難しい」と言う理由で没になった模様。なお、一部のアプリゲームにてアバターが主人公となる作品は既に存在していた。

*2 ちなみに設定上は相手もバレットラインは見えているのだが、NPCがそれを意識して回避することは少ない。(作中設定で凄腕の人間プレイヤーとなっている者も含めて)そこを厳密に再現しても攻略が困難になるので、意図的な調整と思われる。

*3 Switch版は無料体験版があるので試してみれば本当にこの通りなのがわかる。

*4 ラスボス自体は人気のあるキャラクターで、そんな人物がなぜ凶行に走ったのかを考察するファンもいるが、裏を返せば考察が必要なほどにラスボスの動機の描写が少ないということでもある。

*5 これに限らず、このゲームの選択肢は選んだ直後の相手の反応が少し変わるだけだったり、そもそも同じ内容を言い換えてるだけでどちらを選んでも同じような選択肢が多い。

*6 メインストーリーのシナリオでヒロインに助けられるルートはあるが、今回それとは全く意味合いが異なることは強調しておく。

*7 キリトが出した条件も、人気が出たラスボスを『次回作以降も出したい』開発側の思惑の現れだろうか。

*8 理由は不明。声優代の削減と考えるのが妥当か。