探偵 神宮寺三郎 GHOST OF THE DUSK
【たんてい じんぐうじさぶろう ごーすと おぶ ざ だすく】
ジャンル
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アドベンチャー
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対応機種
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ニンテンドー3DS
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発売元
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アークシステムワークス
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開発元
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オレンジ
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発売日
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2017年8月31日
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定価
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【パッケージ版】5,370円 【ダウンロード版】4,991円(共に税別)
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レーティング
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CERO:B(12歳以上対象)
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判定
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良作
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探偵 神宮寺三郎シリーズリンク
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ストーリー
西新宿にある謎の屋敷で起きたホームレス男性の事故死。
何の変哲もない事故現場に、不思議な違和感を覚える神宮寺。
一人捜査を進める神宮寺は、旧友の力も借りて、見事真犯人を突き止めることに成功する。
そんな彼の能力を見込んで屋敷の主・矢上は、とある依頼を持ちかける。
「また、近いうちに連絡をする」
そう話す矢上と別れ、一人帰途につく神宮寺。
次の日、事件は思わぬ方向に急展開を迎える…。
30年前の事件をきっかけに、いま再び新宿に激動が走る!
とある“屋敷”に隠された秘密と“亡霊と呼ばれた男”の苦悩を、神宮寺はまだ知らない…。
(公式サイトより)
概要
コマンド選択式の探偵物アドベンチャーゲーム『神宮寺シリーズ』の第17作目で、シリーズ30周年記念作品。
前作まで開発を担当していたワークジャムの解散に伴いアークシステムワークスが事業権利を取得、また開発を主導した初の神宮寺シリーズとなる。
表題作に加えCS移植されていなかった携帯アプリ版4作品が収録。
謎事件簿も新作が1作品収録されている。
初回生産特典として『横浜港連続殺人事件』FCアレンジ版のダウンロードコードが付属していた。
収録作品
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『鬼姫伝』
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『愛ゆえに』
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『勿忘草の想い』
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『揺らめくひととせ』
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『GHOST OF THE DUSK』
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表題作。シナリオは『赤い蝶』を担当した金子光恵氏。
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『学園祭密室事件』
評価点
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シナリオは安定の神宮寺クオリティ。
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携帯アプリ版の移植作は全編にサーチパートが追加されており、全体的にボリュームアップしている。
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逆にDS版で行われたムービーの追加がなくなっており、ゲームテンポもさほど変化していない。
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表題作『GHOST OF THE DUSK』は6章構成に加えサーチパートやTPS、推理パートも随所に挟まれるためボリュームも十分。
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最初の事件は割合あっさり解決するが、そんなものは序の口と言わんばかりに次々と事件が発生する。状況や立場が二転三転し、それらを乗り越えて事件の真相に迫っていく神宮寺シリーズらしいシナリオを楽しめる。
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過去作にありそうでなかった洋館サスペンスの要素も含まれており、今までと同様に事件の犯人を捜すのと並行して屋敷に隠された秘密を解き明かすのがもう一つの目的となっている。
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シナリオ自体がかなり長いため、表題作のみチャプターごとにプレイできるようになっている。ただし全チャプターを自由にプレイするにはラストに当たる6章まで進めたセーブデータが必要。
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BGM
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こちらも安定の神宮寺クオリティ。
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今までと同じくしっとりとしたジャズをメインにしているが、前述の屋敷の探索ではおどろおどろしい曲調により緊張感と恐怖感を存分に煽ってくる。
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オープニングテーマ「ключ」は表題作に深く関わるロシア語の歌詞と女性ボーカルによる美しくミステリアスな曲調。ムービーとの親和性も高い。
問題点
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物足りなさ
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本作もメインはモバイル版の移植のため、本作のみの完全新作は表題作と謎の事件簿のみ。
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ただし、前述のように表題作のボリューム自体が多いので、ミドルプライスであることも踏まえれば十分なシナリオ量である。当然、アプリ版未プレイであればさらにボリューム感は増す。
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表題作の一部推理
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ネタバレにつき格納
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最初の事件の犯人に関する手掛かりとして「左利きである」という情報が得られるが、実際に犯人を特定する場面での情報が「フリント式のライターを左手で扱っている」というもの。
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フリント式のライターとはジッポライターや百円ライターなどのように砥石を回して着火するものだが、タバコを吸わない人にとってはそもそもどんなものかイメージできず、作中でも説明されない。
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加えて、ライターを左手で扱うことが左利きとなる根拠についても「このタイプのライターは利き手でないと扱いづらい」というもので、やはりタバコを吸わない人には知りようがない。
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パスワード関連
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本作では本編中でパスワードを入手した時点で(パスワード画面で入力しなくても)自動解禁になる。
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そのため、タイプライターを使うのは最初のページとヒントページ、公式サイトで入手できるパスワードを入力するときだけとなっており、やや味気ない。
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ヒントページで教えてくれるパスワードの入手シナリオに1か所間違いがあり、ヒント通りに探しても絶対に見つからない。場所は合っているので、別のシナリオで同じ場所を探せば見つかりはする。
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グラフィック
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例によって例のごとくだが、シナリオごとにキャラクターのグラフィックが大きく異なる。
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特に洋子の外見はシナリオによって別人レベルで異なる。
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システム
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こちらも良くも悪くも前々作以前に回帰している。目新しい部分がないと見るかいつものシステムと見るかは人それぞれだろう。
総評
開発元は変わったが、シナリオやBGMはいつもの神宮寺シリーズと呼べるほどの安定の出来。
基本がアプリ版の移植のため移植元の作品をプレイ済かどうかでボリューム感は変わるものの、表題作単独で見ても致命的なボリューム不足で批判を浴びた前作と比べれば十二分にボリュームアップしており、見事汚名返上に成功したと言える。
余談
本編と異なり容姿が安定していた謎の事件簿版の洋子は、本作で容姿が大幅にリファインされ、最早美少女と呼んでも良いくらいに可憐なものへと変わった。
次回作である『PRISM OF EYES』でも本作に準拠した容姿となっている。
その後の展開
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本作をもってモバイル版のCS移植が一通り完了したこともあり、以降はPS4/Switch向けのリメイク『探偵 神宮寺三郎 PRISM OF EYES』や完全新作『DAEDALUS:The Awakening of Golden Jazz』などが展開されている。
最終更新:2022年04月02日 13:29