Call of Duty: Modern Warfare 2 Campaign Remastered
【こーるおぶでゅーてぃー もだんうぉーふぇあつー きゃんぺーん りますたーど】
ジャンル
|
FPS
|
|
対応機種
|
プレイステーション4 Xbox One Microsoft Windows(Battle.net)
|
発売元
|
Activision
|
開発元
|
Beenox
|
発売日
|
【PS4】2020年3月30日 【One/Win】2020年4月30日
|
定価
|
2,462円
|
レーティング
|
CERO:D(17才以上対象)
|
備考
|
全機種でダウンロード専売
|
判定
|
良作
|
Call of Dutyシリーズ
|
概要
『Call of Duty: Modern Warfare 2』のプラットフォームを変え、キャンペーンのみをリマスターした作品。
開発は前作の『CoD4』のリマスターである『Call of Duty: Modern Warfare Remastered』を担当したRaven Softwareではなく、近年では『クラッシュ・バンディクー レーシング ブッとびニトロ!』を手掛けていたカナダのActivisionの子会社であるBeenoxが担当している。
リマスターによる変更点
-
グラフィックなどはもちろんのこと、旧作は当時としては綺麗なグラフィックだったが、今見ると左右対称で手抜きだった銃のグラフィックや旧作で大問題だった誤訳も大幅に修正されている。
-
吹替声優は旧版と同じキャストを起用しており、オリジナルとリマスター版との演技力の差も確認できる。
-
また、マルチプレイヤーとスペシャルオプスが本作には存在しない。
-
旧作のスペシャルオプスで登場していた重装兵「ジャガーノート」は今作ではミュージアムにのみ登場。
-
デザインも固有のアーマースーツからロシア兵に近いものに変更されている。受付のベルを鳴らせば交戦も可能。
評価点
強化されたグラフィック
-
『Modern Warfare Remasterd』と同じく非常に綺麗なグラフィックになっている。
-
銃のモデリングやリロード動作には旧作では大きく間違っていた箇所等があったがそれらが修正されており、モデリングも『Modern Warfare(2019)』のように個々の弾薬にこだわった物に変更され、方向キー下で銃を眺めることもできる。
-
マスターキーを装着したAKのリロードをそのまま行うと指が挟まるのだが、その指を避けてリロードしているモーションに変更されるなど、かなり細かい部分も修正がなされている。
-
方向キー下で銃を眺める動作に伴い、旧版で存在していた方向キー下を用いた破壊工作のシーンが削除されている。
違和感があった部分の修正
-
最初の操作説明でグレネードを取るモーションが追加されていたり、撃たれたローチがDSMを奪おうとするシェパードの腕を掴むモーションが追加されていたりと旧版ではディテールが不足していた細かい動作が追加されている。
-
クリフハンガーの「プランBだ」のシーンは初見では何をすればいいかわからずにゲームオーバーになるプレイヤーが多かったためか、リマスターにあたって「プランBだ」の台詞の後に自動でローチが銃から起爆装置に持ち変えるようになった。
-
かの有名なNo Russianステージの最後ではオリジナル版はマカロフに撃たれる直前に逃げることができ、その際は弾が当たる距離でないにもかかわらずそのまま撃たれたことになっていたが、今作ではマカロフから離れすぎると「命令に従わなかった」扱いでのゲームオーバーになるよう変更された。
-
ロハスの右腕がピストルで敵兵士に早撃ちを行い、ローチたちに銃撃するシーンなども旧版ではピストルのまま撃っていたのだが、今作では倒した兵士からAKを拾ってローチたちを銃撃するなど、モーションがより自然且つリアルになっている。
細かい部分の整合性の追加
-
ゲームの時代背景は2016年に設定されているのだが、旧作では2009年に発売したゲームの都合上兵士がフィーチャーフォンを使っていたが、本作ではスマートフォンに変更されていたり、目標指示装置で戦車の銃撃を誘導する際に旧版では銃のレーザーサイトを使っていたが、今作ではハンドへルドレーザーマーカーに変更されていたりと細かいところを時代に整合性を合わせたリマスターされている。
-
また、「No Russian」にて一定のタイミングで引き返すと『MW3』で後付けされたユーリがちゃんと倒れていたりと矛盾点を解消している。
誤訳の大幅な修正
-
「殺せ、ロシア人だ。」→「いいか、ロシア語は使うな。」
-
「ここは荒野のウェスタンだぞ。」→「ここは無法地帯だ。」
-
「じゅうびょおおお」→「十秒だ!」
-
上記の変更になるなど、オリジナル版では目立っていた誤訳が大幅に修正されている。
英語音声日本語字幕でプレイできる(Win版除く)
-
少々面倒ではあるがゲーム機本体の設定で言語設定を英語に変えることで、より臨場感の強い英語音声でプレイできる。
-
Win版では英語音声日本語字幕にする方法は見つかっていない。少なくともBattle.netの言語設定やレジストリ編集だけでは不可能。
賛否両論点
銃声の変更
-
オリジナル版のMW2では銃声は合成音であり、実銃とはかけ離れた銃声であったが、本作では『Modern Warfare Remastered』準拠の音声に変更されているのだが、派手さがあったオリジナル版と比べてかなり地味になっている部分が一部プレイヤーから不評である。
-
FALなどは銃声、リロード音共にオリジナル版では非常に特徴的な音声だったのだが、今作ではかなり地味な音声になっている。
-
その割にSCAR-H等はオリジナルから銃声の変更がなされていない。
問題点
リマスターしたことでより悪化した部分が存在する。
-
旧作のソープや他の兵士のプレートキャリアにはエアソフトガンのマガジンが刺さっており、最終ステージの「エンドゲーム」でソープが自分の体に刺さったナイフを引き抜くシーンでは、非常にシリアスなシーンにもかかわらずエアガンのマガジンが見えてしまい興覚めしてしまうプレイヤーが多かったのだが、今作では修正するどころかより綺麗にしてしまっている。
-
また、兵士のピストルのマガジンが刺さっている部分にもCO2エアガンのマガジンが刺さっている等、悪化している部分がある。
-
細かなところでいうとゲーム内で最も人気の高いACRは何故かマガジンが中途半端に刺さったまま止まるようになっており、銃の人気と眺める機能があることも相まって非常に違和感がある。
-
上述のユーリは持っている銃が『MW3』ではP99だったのに対し、本作では新規にモデリングを作る余裕が無かったのかM1911になっておりグレネードを投げつけると何故か立ち上がるなど、モデリングをそこにそのまま置いた感が強い。
-
その割にミュージアムでしか使えないM1911のモーションはわざわざ作られている。
マルチプレイヤーが存在しない
-
『Campaign Remastered』である上、『MW(2019)』の人口が分散する可能性がある以上搭載しなかったのもやむを得ないといえるが、現代のグラフィックで『MW2』の世紀末バランスなマルチを遊びたかったという意見も多い。
-
補足しておくと一応データ内にマルチのマップを作ろうとしていた痕跡は存在している。
吹替の演技にバラつきがあり少々違和感がある
-
同じ声でも流石に旧録は10年以上前であるため、声質と演技の仕方が変わっている声優がほとんどであり、場面によっては感情の入り方や声に違和感がある部分が存在する。
-
また、録音機材の違いによるものなのか、旧版そのままの音声なのか、音質も明らかに異なるシーンがあり、その音声だけ浮いてしまっていることもしばしば。
誤訳が修正されていない箇所や新たに増えた誤字がある。
-
最初のオープニングで「イムラン・ザカエフ」を「イフラン・ザカエフ」と誤記している。
-
流石に1作目の敵役の名前を間違えるのは如何なものだろうか。
-
メニュー画面に表記されている「For The Record」が、誤訳だらけの旧版ですら「歴史を記すもの」と題名らしく訳されていた一方で、本リマスターでは「記録用」と改悪されている。
一部表現を差し替えられた箇所がある
-
「テイクダウン」にてロハスの右腕をゴーストが拷問することを示唆するシーンで旧版ではカーバッテリーによる電気ショックだったが、本作ではバーナーの火炙りに変更されている。
-
旧版では派手に電気の放電を行っていたため、地味になってしまったと言わざるを得ない。
-
また、「強制労働収容所」にて海軍に誤爆されかけたゴーストが「ヤンキーめ」と差別用語を使ってキレるシーンがあるのだが今作では表現規制により「アメリカ野郎め」と変更されている。
上記のミスが修正されていない
-
本作では修正を念頭に置き開発されていない、もしくは予算が組まれていないらしく上記の細かい誤訳やディテールのミスが一切修正されていない。
日本語版では「No Russian」で民間人を殺害するとゲームオーバーになる規制が残っている。
-
誤訳で殺せと言われないだけ旧作よりマシだが、仲間と一緒に殺そうと思ったら自分の弾やナイフが民間人に当たった瞬間ゲームオーバーになって唖然とする可能性は否めない。
-
必然性のない大量殺人や暴行だとCEROの禁止表現に抵触する(=CEROの審査拒否)が、旧作でも味方NPCは民間人を虐殺している以上、プレイヤーができてもCEROが審査を通していた可能性は否定できないだろう。
-
ストーリーの流れを考慮すると不自然なこの規制を取り除くことを検討したのか疑問である。
-
Win版でも居住国が日本に設定されているBattle.netアカウントから購入した場合は規制版なので同様である。
-
そもそも近年の『CoD』シリーズはWin版でも日本から購入したバージョンはCS版同様の規制がされているが、CS版と違ってCEROによる審査が事実上強制されているわけでもなく、なおさら規制が理不尽に感じられる。
-
海外アカウントで購入すれば当該シーンを無規制かつ日本語でプレイできることが確認されている(参照)。技術的に日本語版を無規制にできないというのはこれで否定されるので、CEROによる審査が不要なWin版で頑なにCS版準拠の規制をする必要性はないと言えるだろう。
総評
キャンペーンのみのリマスターとしてはかなり良くできた部類だが、キャンペーンのみであることが災いし、内容も薄く細かい部分の詰めが甘い作品となっている。
ただし、この時代に現代戦の金字塔をもう一度よみがえらせた功績は非常に大きいといえる。
余談
-
発売からたったの5ヶ月でPS Plusのフリープレイで無料配信されたため、わざわざ買ったプレイヤーは「金を返せ」と言わんばかりの状況になった。
-
一応擁護すると、このフリープレイ版には本来購入特典として漏れなく付属する、『MW(2019)』と無料のバトルロイヤルゲーム『Warzone』で『MW2』のゴーストが使用可能となるDLC「UDT Classic Ghost」が同梱されていない。
-
また、「UDT Classic Ghost」バンドルのOne版は発売当初何故かDLしても反映されないバグがあり、修正も一カ月以上放置された。
最終更新:2024年06月13日 16:16