このページでは2009年発売の『Call of Duty: Modern Warfare 2』と、その日本語版について解説します。&
【こーるおぶでゅーてぃ もだんうぉーふぇあ つー】
ジャンル | FPS | ![]() ![]() |
対応機種 |
プレイステーション3 Xbox 360 Windows XP/Vista |
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発売元 | Activision | |
開発元 | Infinity Ward | |
発売日 | 2009年11月10日 | |
価格 | 59.99$ | |
レーティング | ESRB:M(17歳以上対象) | |
備考 | PC版のみ要ネット接続及びSteamクライアント | |
判定 | 良作 | |
ポイント |
難解なストーリー&何故か生きてたキャラクター オフラインのボリュームは減少 マルチプレイヤーのバランスは世紀末 しかし、それをすっ飛ばしても面白いゲーム性 本作で『CoD』シリーズの最盛期を迎えた |
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Call of Dutyシリーズ |
特殊部隊タスクフォース141出動せよ。
2007年に発売された現代戦FPSの傑作『Call of Duty 4: Modern Warfare』の続編(*1)。
前作の戦争映画的な作風からアクション映画に近い方向性に急転換したことで賛否両論を生み、大味気味であった『CoD4』と比べても武器バランスが崩壊していたが、派手な演出や良質な楽曲で現在でも非常に人気が高い。
評価が鰻登りとなっていた『CoD』シリーズは本作と次作の『BO』で最盛期を迎えることになった。
2011年にロシア超国家主義派が実行したアメリカ本土ミサイル攻撃作戦はアメリカ海兵隊とイギリスSASとの合同作戦により阻止され、
超国家主義勢力の指導者イムラン・ザカエフも激しい攻防の末に殺害された。
だがアメリカ海兵隊はザカエフに協力する中東対抗部隊のリーダー、アル・アサドを捕獲する為に中東に展開した際、
対抗部隊の核自爆を受けて一瞬で3万人を、イギリスSASはマクタヴィッシュ軍曹を除く、隊長のプライス大尉を含めた部隊全員を失うといった大きな傷を負った。
しかし超国家主義派自体は作戦後も勢力を失っておらず、ウラジミール・マカロフがザカエフの後継者となり活動を継続。
そしてザカエフが英雄となって銅像化し、モスクワにザカエフ国際空港が完成するなど、ロシア世論は次第に超国家主義派支持へと傾いていった。
事件から時は流れて2016年。
CIAを通じてマカロフの計画の情報をキャッチしたアメリカ軍はアメリカ陸軍、ネイビーSEALs、イギリスSASなど
世界中から精鋭部隊を召集し、
シェパード将軍を指揮官とするタスクフォース141を結成。
その中には5年前の英雄、大尉となったマクタヴィッシュの姿もあり、シェパードも5年前のアメリカ海兵隊の指揮官であった。
タスクフォース141は手始めにロシア国内に墜落したアメリカ軍衛星のACSモジュールの回収作戦を計画する。
その一方アメリカ軍はアフガニスタンに軍事介入している最中であったが、
タスクフォース141の人材を求めて、シェパードは現地のアメリカ軍基地を訪れた。
従来の『CoD』シリーズにはない音に注力した作り。
+ | ネタバレありのため折りたたみ |
さらにWin版でも、以下に述べる仕様により、不買運動・販売中止・その他多くの非難と混乱が巻き起こった。
ストーリーや展開
+ | ネタバレを含むので格納 |
マルチプレイヤーのバランスこそ世紀末であるものの、映画的なストーリーや良BGM、現在まで続く人気キャラを作った功績は非常に大きい。
本作の売り上げはギネス級のものであり、結果として『Call of Duty』シリーズの名を全世界に轟かせ、名実共に世界最高峰のFPSとなった。
【こーるおぶでゅーてぃ もだんうぉーふぇあ つー】
ジャンル | FPS | ![]() ![]() |
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対応機種 |
プレイステーション3 Xbox 360 Windows |
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発売元 | スクウェア・エニックス | ||
開発元 | Infinity Ward | ||
発売日 | 2009年11月10日 | ||
価格 | 7,980円(税込) | ||
レーティング | CERO:D(17才以上対象) | ||
備考 | PC版のみ要ネット接続及びSteamクライアント | ||
判定 | 劣化ゲー | ||
ポイント |
エキサイト翻訳使った奴出てこい 日本語吹き替えなのを発売の直前まで公表せず |
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Call of Dutyシリーズ |
ゲーム自体の内容は海外版からほぼ変わりなし(後述する一場面を除いて)なのだが、誤訳だらけのローカライズで発売前から大不評を買ってしまった。
なぜこのような事になったのかについては、こちらに顛末が書かれている。
オンラインオフライン共に大量に存在する誤訳
誤訳の形態は「文意、スラングを無視した直訳」「複数の意味を有する単語を不適切な方に訳した物」「単語本来の意味や文章を完全無視」と多い。
加えて、分類もまた「弱音と化したなど意味が逆転した」「かっこ悪い言い回しと化したもの」「ネタバレと化したものや逆にシナリオの正確な理解を妨げるもの」「ゲームの攻略にまで支障をきたすもの」と様々である。
以下にその一例を記載しておくが、それ以外は攻略Wiki内の記事を参照してもらいたい。
英語 | 本来の意味(*14) | 本作の和訳 | 解説 |
Pfc (Private first class) | 上等兵 | 二等兵 |
本来の階級から降格させられたアレン氏&ラミレス氏&ダン氏。 しかも『兵長』は現代アメリカ軍には存在しない階級である。 |
Cp (Corporal) | 伍長 | 兵長 | |
this is the Wild West. | この辺りは無法地帯だ | ここは荒野のウエスタンだぞ | 直訳過ぎて全く意味が伝わってこない。 |
strung out! | 隊列が延びてる! | 頭がどうにかなりそうだ! | もう1つの意味である「麻薬が切れて苦しんでいる」と履き違えたその頭が本当にどうかしている。 |
It will cost you a piece of yourself. | (犠牲には)君自身も含まれるかもしれんがな | 犠牲には君も含まれるがな |
作戦前のブリーフィング。未来形である「will」の意味を主観性のある「起こると予想していること」では無く「(客観的な)断言」と間違えてる。 些細な言い間違いだが、全く意味が異なってくるのは言うまでもないだろう。 ただし、「will」は助動詞ゆえに主観的だが確信度が高い予想なので『キャンペーン リマスタード』の訳である「かもしれんがな」という訳も弱すぎて本来の意図から離れすぎているか。客観的に聞こえないように訳す前提なら「だろうがな」のほうがより適切だろう。 |
Remember - no Russian. | いいか…ロシア語は使うな | 殺せ、ロシア人だ |
Russianの「n(対象)」を間違えており、述語としての「no」も間違えてる。 そしてこの誤訳が巻き起こした重大な問題もあり、それについては後述する。 |
He supplied the assault. | (奴は)武器の調達人だ | テロの実行犯だ |
「assault」はまだ「テロ」と読めそうだが、supplied(供給)をどう読んだら「実行犯」になるのやら。 しかもこの誤訳が出るのはよりにもよって↑の直後の話なので…。 |
PRINCE GEORGE'S COUNTY RESIDENTS(略) | プリンスジョージズ州にお住いの皆さんは(略) | 緊急警報放送 |
日本版に限り、下部のテロップが表示された時に字幕が出る。 だが、その字幕が「EMERGENCY BROADCAST SYSTEM」の訳になっているため、肝心の本文が分からなくなっている。 |
We will cut off all avenues of escape. | あいつの逃げ道を完全に塞ぐぞ | 背水の陣で臨もう | 「誰の」退路を断つのかを言っていなかったからとりあえず自分達と決め付けた可能性あり。 |
Take out the guard having a smoke,or wait for him to move along. | あの煙草を吸ってる警備をやるか、やり過ごせ | スモークを持っている警備をやるか、やり過ごせ |
一概に「スモーク」と言われたら煙幕か発煙筒かを連想してしまうが、 当の警備はその類の煙を発するものを持っていないため混乱を招く。 |
Overgrown | Overgrown | 「草生す廃墟」 | 何故かこの2つのマップ名だけ翻訳した結果がこれである。 |
Crash | 墜落地点 | 「クラッシュ」 | |
Danger Close | デンジャークローズ(友軍近くへの爆撃) | 危険察知 | 敵の設置した兵器を透視できるPerkが別にあるので紛らわしい。 |
吹き替え声優の演技力
字幕と音声の不一致
海外版は破天荒なストーリー、バランスと動作安定性の悪いオンラインと多くの問題点を抱えながら「雰囲気ゲー」として辛うじて良作判定を得ていた。
だが、スクエニのローカライズにあたり生じた大量の誤訳と棒読み吹き替えによりその雰囲気が台無しになり、結果ただの悪い冗談のような代物と化してしまった。
しかも、日本国内ではWin海外版のSteam認証が悉く拒否されてしまうなど、英語音声のハードルを不必要に高めたことが事態を深刻化させてしまった。
吹き替えそのものの是非について
*1 世界観やキャラクターを引き継いだ続編という意味で。『CoD4』と本作の間には、太平洋戦争を舞台にした日本未発売の『World at War』(開発は『BO』のTreyarch)が存在するが、ストーリー上の繋がりはない。
*2 グレネードランチャーの発射音から。
*3 日本語版は規制のため「戦術爆撃」に変更されている。
*4 要は特定国からのアクティベーションを弾いているというもの。ただし、ある手段を用いればすり抜けることは可能。
*5 これも現在で言うところの「おま国」の一種である。
*6 本職故に彼ら軍人達の中においても『CoD』シリーズのファンは多い。
*7 一台のPCをマルチプレイ専用のサーバーとして使用する機能。PCでゲームサーバを作るときの一般的な方法。
*8 Win版のマルチプレイヤーでは最低でも24人以上が主流。
*9 こちらも同じActivision傘下のデベロッパー。
*10 実際、アメリカ侵攻の理由付けとして企図された自作自演のテロではある。なお、こうした戦術は「偽旗作戦」と呼ばれ、現実のロシアも相手国を侵略する口実として歴史的に幾度となく行ってきた。
*11 『BO』では作品内時系列上の前作にあたる『WaW』のソビエト編主人公を化学兵器の実験台にして登場からモノの数分で退場させている。
*12 核ミサイルを意図的に上空で起爆し、強力な電磁パルスを発生させる攻撃。核爆発による放射能の影響は無いが、一定範囲内の電子機器を破壊しつくすため、攻撃を受ければ「一瞬で原始時代に戻る」とされている。これは電子機器に依存した現代社会においては致命的な被害となりうるため、核EMPは直接的な核攻撃よりも脅威だとされている。
*13 前作でアル・アサドの仕掛けた核攻撃で海兵隊が大きな損害を出したにもかかわらず国内の厭戦的な風潮に失望し、ロシアとの軍事的衝突を起こして愛国的な世論でアメリカを誘導しようという理由。そのため利用するつもりで敵である筈のアル・アサドと手を組んで事を謀っていた。
*14 後述の『キャンペーン リマスタード』からの引用も含む。
*15 マルチプレイヤーでのブラジル民兵アナウンサーは原音では威厳のある黒人司令官の声なのだが、なぜか日本語版ではさわやかな青年ボイスになっている。ほかにもTF141のアナウンサーは原音ではゴーストが行っているのだが、本作でゴーストの吹き替えを行っている佐藤拓也氏はアナウンサーとして起用されていない。
*16 Activisionが『トランスフォーマー』のゲームを開発していたことにちなんだと思われる実績「Transformer」が「ザ・ムービー」にある。
*17 その「ぬいぐるみ」自体を「子供の犠牲者」の代役とするのは各界隈でもメジャーな技法である。
*18 この件で退職した者の多くは、後にIWの元創業者たちによって設立されたRespawn Entertainmentに移っている。
*19 こちらは公式に謝罪され、回収騒動にまでなった。
*20 外国人ゲームショップ店長のつぶやき No.12『2009年に売れた洋ゲー』- ファミ通Xbox360 2010年 02月号より。
*21 2013年に発売された『Call of Duty: Ghost』のみ、一切の規制が無い状態でレーティングはCERO:D(17歳以上対象)である。
*22 例外として、発売の時期が遅れた『Black Ops 2』のWiiU版は吹き替えのみ。また、『Ghost』の場合はWiiU版が字幕のみで、PS4/One版は吹き替えのみである。
*23 ゴーストの台詞「ヤンキー共め!」→「アメリカ軍め!」などの蔑称も修正されている他、地味に「ビューティフル」を「ビューティフォー」と発音するファンサービスも加わっている。一部キャラクターの名前を間違えるなどのミスも所々存在しているが。
*24 声優は基本的には当時担当していた声優となっており、旧作とリマスターとの演技力の差も確認できる。
*25 ただし、ナンバリングの数字が英数字からローマ数字に変更されている。また、本作とストーリーの繋がりは一切ない。