アイドルマスター SP パーフェクトサン / ワンダリングスター / ミッシングムーン

【あいどるますたー えすぴー ぱーふぇくとさん/わんだりんぐすたー/みっしんぐむーん】

ジャンル 育成シミュレーション


対応機種 プレイステーション・ポータブル
メディア UMD 1枚
発売元 バンダイナムコゲームス
開発元 バンダイナムコゲームス、メトロ
発売日 2009年2月19日
定価 各5,800円
レーティング CERO:B(12才以上対象)
廉価版 PSP the Best: 2010年1月28日
同DL版: 2010年10月28日/各2,800円
判定 なし
ポイント AC版に『箱マス』の新要素を追加したリメイク
携帯機ではどう考えてもマシンパワー不足
雑な扱いの星井美希
細かいイベントの削除やストーリー改変が不評
単品では全キャラを攻略することができない
新キャラクターなど本作独自の追加要素は好評
アイドルマスターシリーズ


概要

シリーズ初の携帯機向け作品で、アーケード版(以下『アケマス』と表記) に360版『アイドルマスター』(通称箱マス)の要素、また本作独自の新要素を追加したリメイク。
プレイヤーはアイドル事務所「765プロダクション」の新米プロデューサー(以下Pと表記)となり、所属するアイドル候補生のプロデュースを任され、トップアイドルに育てあげる。
聞いた事在る様な3バージョンが同時発売され、どのバージョンでも3人の中から1人のアイドルを選ぶ事になる。
プロデュース可能なアイドルとライバルはバージョンごとに違う。以下、詳細。

  • 3バージョン全てを購入することで、『アケマス』と同じアイドル9人*1のプロデュースが可能となる。逆に言えば、選べるキャラが3人だけという点に我慢できるのであれば、1バージョンのみの購入で十分に楽しめる。
    • ソフトは3バージョンだが、セーブデータは1つのファイルを共有して使用する。主人公であるPの名前は共通となるし、入手した衣装やプレイ履歴なども各バージョンで共有される。つまりUMD交換の手間などはかかるが、これらは実は1本のゲームであると言える。
      • 後にDL版も配信された。定価が安く、ソフト交換の手間が省ける上にPSVでもプレイ可能。PSVだと多少画質が良くなるので現在はこちらが推奨されることが多い。
  • 他の『アイマス』シリーズ作にない、本作だけの最大の特徴は「ストーリープロデュース」と「フリープロデュース」の2つのモードを選択できる事である。
    • 「ストーリープロデュース」では、プレイヤーが担当するアイドルと、ライバル事務所「961プロダクション」所属のライバルアイドルとの、対決と交流を軸としたストーリーが展開される。
      • 基本のシナリオやゲームシステムの根本は360版『アイドルマスター』(以下『箱マス』と表記)と同様だが、追加イベントによって高い物語性を備えており、固定されたシナリオを味わうADVに似たプレイ感覚である。プロデュースしているアイドルによって、それぞれシナリオの内容は大きく異なる。
    • 「フリープロデュース」は『箱マス』のほぼ忠実な移植。幾つかの変更点を除けば同じ内容と言える。ライバルは登場しない。
  • ネットワーク通信対戦機能は非搭載。代わりにアドホック通信を用いた通信対戦が可能。

評価点

  • レッスンやオーディションの難易度・操作性に一層の配慮が見られ、バリエーションも増加。さらに「約束」システム(プレイ上の様々なノルマや縛り)の導入によるボーナスやペナルティの付与など、システム面の強化・改良は好評。
    • 難易度も『アケマス』に比べて易しく、万人向けとなっている。
    • キー入力へのレスポンスも軽快で、プレイの快適さは『箱マス』を上回っている。『箱マス』にあった「オーディションの度に約2分間も待たされる」という欠点も解消された。
  • 「ストーリープロデュース」への肯定的な評価としてまず挙げられるのが、ライバルである新規キャラクター「我那覇響」と「四条貴音」の存在である。いずれも魅力的であり高評価を受けた。
    • 厳密には『アケマス』企画段階の没キャラを復活させた形であり、復活にあたって設定がリファインされている。
  • シナリオ内容に目を向けると、従来作品にはほとんど無かった「アイドル達がP以外の人間と会話する場面」を見る事ができるのも、「ストーリープロデュース」の評価すべき点である。
    • 従来の『アイマス』は、Pとアイドルとの対話を通じてアイドルの魅力を描く事を原則としていたが、本作の「ストーリープロデュース」ではそこにライバルアイドルという第三者が絡む。そしてアイドル達はPに対するものとは異なる言動を取り、それが新たな魅力の構築へと繋がっていく、という構造が成立している。
      • 具体例としては、以前よりダンスが得意という設定があった「菊地真」が、ダンスのライバルとして「我那覇響」と巡り会えた事により、その個性をいっそう鮮やかに表現する機会に恵まれた。
      • また「秋月律子」が年少のライバルである「星井美希」に対して母性的な面を見せた事なども挙げられる。これは今までの「年長の男Pと若い女アイドル」という関係下では描かれなかった姿であり、魅力をいっそう増してくれる描写である。
      • 時にはPと、961プロ社長「黒井崇男」が直接対話をする場面もある。普段はアイドルのご機嫌取りに追われるPも、相手が悪党の黒井社長となればキツい事もふざけた事も平気で言える。基本的には笑いを誘う場面であり、シナリオ上で良いアクセントとなっている(ここで黒井社長役の声優・子安武人氏の熱演が光る)。かと思えばそんな黒井に対して見事な啖呵を切ってのけるアイドルもいたりと、従来以上にバラエティに富んだキャラクター描写を味わえる。
  • 批判点(詳しくは後述)も多い「ストーリープロデュース」を行わずに、ひたすら「フリープロデュース」だけをプレイし続けるのもプレイヤーの自由である。逆に「ストーリープロデュース」が気に入ったのならば全員分のストーリーを遊べば良いだろう。新要素である「ストーリープロデュース」をプレイヤーに無理強いせず、プレイスタイルを自由に選択できる仕様は高く評価できる。
  • 「ストーリープロデュース」では、プレイの腕前で最終スコアが左右されるが、シナリオは一本道でゲームオーバーもない。誰がプレイしても確実に唯一のエンディングに辿りつける。
    • これは初心者にとって親切な設計と言えるし、熟練者にとってもコミュ(会話選択肢)でわざと妙な選択肢を選んで反応を楽しむという楽しみ方がやりやすくなっている。
    • それではゲームとしてヌルすぎると思うかも知れないが、そう感じる人はより手応えのある「フリープロデュース」を遊べばよい。
  • そのバージョンでプロデュースできないアイドルも、「事務所モード」でステージシーンを鑑賞する事は可能である。さらに条件を満たせば、ライバルたちのステージも鑑賞可能となる。
  • ステージを記録する「写真」や「ビデオ」の保存最大数が、『箱マス』に比べて大きく増加している。
  • ステージシーンのカメラワークに「縦」が追加されている。
    • 画面が90度回転し、歌い踊るアイドルの全身が常に画面全体に収まるカメラワーク。PSPを縦に持って、まるでライブコンサートの最前列のような視点でアイドル達の姿をじっくり観る事ができる。携帯機ならではのユニークな仕様である。
  • 765プロの女性事務員「音無小鳥」が登場する。
    • 彼女は元々『アケマス』時代からの公式サイトのナビゲーター役だったが、ファンからの人気に応えて、既発売のXbox360用ファンディスク『アイドルマスター ライブフォーユー!』(以下『L4U!』と表記)においてゲーム初出演を果たしているという経歴を持つ。
    • 本作の小鳥はプレイヤーにルールの詳細を伝える役どころ。アイドル達のような3DCGモデルは用意されず、2Dグラフィックで描写されている。しかし音声はフルボイスであり存在感はそれなりに高い。プレイヤーにも好評であり、より人気が増した。
  • 『アイマス』の誇る豊富な楽曲のうち、本作と『L4U!』だけにしか収録されていない曲が多い。『L4U!』はライブシーン鑑賞&音ゲーソフトなので、プロデュース(育成ゲーム本編)となると本作だけでしか使えない曲がかなり多くなっている。
    • 現在『ワンフォーオール』に次ぐ数のプロデュース楽曲を備えた作品であり、同作には未収録の楽曲も多数収録されている。人によっては楽曲目当てでプレイする意義があると感じるかもしれない。
    • 例えば、本作ミッシングムーンでは「三浦あずさ」のお別れコンサートの曲として「隣に…」を選択できるのだ。これがどれほど素晴らしい事なのか、彼女をプロデュースした事のあるPなら、きっとわかるだろう。
  • PSPは大容量のメモリースティックを内蔵可能なハードであり、衣装・アクセサリー・楽曲などといった豊富なDLCが配布・販売されている。その内容には賛否が分かれる箇所もあるが、DLCに対する積極的な姿勢はひとまず評価点として挙げておく(批判点・賛否両論点は後述)。

賛否両論点

  • DLC衣装やアクセサリーは、漫画家やイラストレーターにデザインを依頼したり、他メディア(自社の他ゲームやアニメ『マクロスF』など)とコラボしたものが多く、よくも悪くもユニークで独特なラインナップとなっている。学校制服や水着などの「定番衣装」もちゃんとあるにはあるが…。
    • こういった本作ならではのユニークな衣装・アクセは「面白い」「可愛い」という意見と、「『アイマス』の世界観にそぐわない」「アイドルのステージ衣装としては不自然」という否定的意見があり賛否両論。もっとも、DLCなので気に入らなければ買わなければいいだけの話ではあるが。
  • コミュの新規追加と削除
    • 本作では『箱マス』にはなかったコミュが新規追加されており、特にAランク限定のコミュが多数追加されている。ほとんどはアイドルがPを信頼しきった(デレた)状態での交流を描いたものであり、Pたちを大いに喜ばせると同時に、高ランクを目指すモチベーションともなった。
    • しかし一方で削除されたコミュもあり、特に『箱マス』において追加された「休日イベント」などは、残念なことに全削除となってしまった。
      • 公式の見解では、本作は箱マスの移植ではなくアーケードからの移植ということになっているので、箱マスでの追加要素がこちらに反映されていないのも筋が通っていると言えるが、理屈はどうであれ残念であることは確かである。
  • 選択肢&タッチコミュにおける制限時間カウントダウンの数字がオミットされた。不可解な変更点である。おかげで緊張感は増したとも言えるが…。

問題点

  • まずは、3バージョンを同時発売したこと自体が「信者に3本すべてを買わせるための分割商法だ!」と非難されることが多かった。ソフト一つでも結構な値段であり、安売りを目当てにかえって購入を控えてしまうユーザーもいた。
    • それだけならまだしも、悪いことに3バージョン全てのアイドルの「ストーリープロデュース」をクリアしなければ真アイドルマスターの称号が得られず真エンディングも見る事ができない。この仕様も分割商法への批判をいっそう強めた。
    • 因みに『アイマス』と比較されやすいD3パブリッシャー(しかもバンナムの子会社)の『ドリームクラブ』のPSP版はUMD1枚で発売されている。これを見る限り内容次第では『アイマス』もなんとかなったのでは?
  • ステージシーンのグラフィックは『箱マス』に比べると劣化は歴然。PSPと360では3D表示能力に大きな差があるのだから仕方ないのだが、見た目の低下が嫌でも目立つ。
    • さらに一見してわかる部分だけでなく、省力化やデータ軽量化のための措置(悪く言えば「手抜き」)も多い。
      • 『アケマス』や『箱マス』では全アイドルの体型の違いをきちんと描き分けていたが、本作では首から下は3タイプのモデルを使いまわしている
      • ステージでのリップシンク(いわゆる口パク)が全くのデタラメであり歌詞と合わせていない。テンポの速い曲では誤魔化せているが遅い曲では違和感が大きい。
      • 曲を歌い終わった後、会場に向かってアピールするモーションが、『箱マス』では各アイドルで違っていたが、本作では全アイドル同じ(微笑んで両手を振る)になっている。
    • 一応擁護しておくと、「PSPの性能を考えるとこの3Dグラフィックはよく頑張った方だ」と言われる事もある。よく見ると乳揺れまでちゃんと再現されており、これは評価すべき点。
  • ユニットプロデュースができなくなり、同時に1名のアイドルしか育成できなくなってしまった(過去作では2・3名のユニットも結成できた)。
  • ここで述べてきた問題点についてはPSPの性能限界上仕方がなかったと諦めているファンもいる。
  • 一部のアクセサリの装着位置がおかしい。ブローチやアンクルなどは宙に浮いてしまっている。
    • 実はアイドルや衣装によってはちゃんとくっ付いている。例えば胸の大きいあずさにブローチを付けると正常な位置になるが、小さい千早に同じ物をつけると宙に浮く。つまり表示位置をモデルに合わせて調節していないのだ。
  • 大きなセールスポイントであるはずの「ストーリープロデュース」は、シナリオと人物の性格描写の両方において問題が多い。評価すべき点は先述したが、それ以上に激しく批判を浴びた点も多かった。
    • 最も不評だった点は、『箱マス』において追加された765プロアイドル「星井美希」が961プロに移籍してプロデュース対象でなくなりNPCライバルの1人となったこと。そして性格描写も『箱マス』からのファンには違和感のあるものになっており、「性格を改変された」と騒がれた。
      • 更に、その移籍の理由が「765プロ社長が美希のお握りを勝手に食べてしまったから」と言うお粗末の極みだった事も批判に拍車をかけている。これでは芸能界なめてんのかと言われても仕方ないだろう。
      • その上好評だった、美希の地毛・ショートヘアー形態である通称「覚醒美希」が無かった事になっている
    • 美希以外の人物に関しても「こんなキャラだっけ?」と思ってしまうようなシーンが少なからずある。
      • 「ストーリープロデュース」中盤における「天海春香」の極端な取り乱しぶりは普段の彼女とはかけ離れた姿でありそうなってしまう必然性もあまり感じられないため唐突で異様な印象を受ける*2
      • ある時春香は遂に激情を爆発させて走り去ってしまうが、数シーン後に見つけた頃には一人であっさり冷静さを取り戻している
    • 新キャラにも問題あり。両者に共通しているのは、演出が過ぎている事。
      • 響の愛犬は地響きを上げる程巨大。世紀末にでも生まれたのだろうか?
      • 貴音は時々意味深な発言をする為「実は異星人なのではないか?」と思うプレイヤーが続発した。これにはミステリアスの意味を履き違えているとの声も…。
  • 961プロの存在も、議論の的になりやすい。
    • まず『アイマス』の世界に明確な敵を登場させる事自体に批判の声が上がっている。
    • 「アイドル達に罪はなく全て黒井社長が悪い」という物語展開でありながら、肝心の黒井社長に悪役としての威厳があまり感じられない。前述の通り道化役としては逸材であり数々の名場面を生み出してくれたのだが、物語の柱となる悪役としては小物臭がして、打倒時のカタルシスも薄い。
    • 過去作では、アイドルごとに千差万別な姿が丁寧に描かれていた「アイドルの成長」という要素が、本作の「ストーリーモード」では「ライバルと戦って勝つ」という単純な形に集約されてしまっている点にも、不満の声は大きい。
      • 当時は「『アイマス』の真髄は対人対戦にある」という意見も根強かったので、ストーリー上のライバル対決を強制されるゲーム内容は賛否両論を招いた。
    • また、上記のゲームの仕様や美希が『ミッシングムーン』のみライバルになる事から、「アイドルユニットとしての“プロジェクト・フェアリー*3”を見てみたい」と望むファンも多い。
  • 「ストーリーモード」の舞台となる“アイドルアルティメイト(IU)”の設定は「滅茶苦茶」としか言いようがない。
    • 5回の予選と3回の本戦が行われ毎回6人ずつが参加、このうち優勝者のみが次の試合に進むことができる。となると計算上、参加者の総数は27万9936人となるが、優勝者以外の者はほとんどの場合、引退に追い込まれるのだそうだ。「新人」とはいえ愛情と資金を注ぎ込んで育て上げてきたアイドルをそんなものに出場させる方がどうかしているが、それが27万9936人も集まっているのだから、もはや正気の沙汰ではない。
    • そして、これが毎年開催されているのである。現在の1年間の出生人口が約120万人だから、つまり同世代で4~5人に1人はアイドルとなってIUに出場し平均1年で引退していることになる。まさに日本人総アイドル時代である。
    • …という設定のはずなのに、一度敗退したNPCが再び舞い戻ってくることもある。まあ約28万人も参加しているのだから、中にはたまたま同じ芸名の者だっているのだろう。
  • 作中の文章、特に台詞が所々おかしい。
    • 今作でも、相変わらず、読点が、不自然に、多い。
    • 「大ミエ切っちゃた」といった明らかな誤字脱字がある。因みに「大ミエ切っちゃた」は『箱マス』の頃から存在している(つまり修正もせずに使い回している)。
    • ラタトスク*4な感じ」と訳の分からない喩えがあったりする。
  • 他のギャルゲーと違い既読スキップができない。
    • 〇ボタン連打する以外の選択肢がない。ボタンおしっぱでは無理。次回作でも改善されていない。
  • 対人モード兼ステージ鑑賞モードである「事務所モード」にも問題あり。
    • ライバル達にエクステンド衣装しか着せる事ができない。美希の通常衣装も無かった事になっている。
      • 一応彼女達の持ち衣装それぞれ3着が収録されているが、どういう訳かライバル間での互換性が無い。つまり彼女達が着れる衣装はDLC無しだとたった1着だけである。ネット環境が整っていない人は楽しみがかなり薄れる。
      • そのエクステンド衣装も1着ライバルに着せられない物がある。
    • 真美が自由に使用できない。と言うのも「ストーリープロデュース」のアイドルアルティメイト予選もしくは決勝で真美が出場する際それをクリア→セーブして終了すると、次の週にならない限り亜美が真美に変わるのだ。ややこしい上によく分からない仕様である。
  • 信じられない事にポーズメニューの「Favorite」画面(アイドルごとのクリア回数表示)で千早とあずさのイメージカラーが逆になっている。千早は青、あずさは紫のはずなのだが修正されていない。ここまで来るとちゃんとテストプレイしたかどうかも怪しいと邪推されても仕方ない。
  • 有料DLCに対する数々の批判。
    • DLCの価格は、同時期・同ハードのゲームのDLCと比べても、総じて高額な印象を受ける*5。しかも非常に数が多くリリースのペースも早かったため、夢中になって全部買うファンがいた一方でウンザリしてしまった者もいた。
      • 『L4U!』と重複する内容のDLCも多かったが、一方を購入すれば他方が無料なり割引なりといったサービスはなかった。そのため熱心なファンからも、「両方に金を払うのはつらい」という声が聞かれた*6
    • 『箱マス』同様、本作でもアイドルからの「メール」が有料DLCとなっている。なくてもプレイは十分可能でありゲームバランスに与える影響も本作では軽微だが、キャラの魅力を味わう上では重要な要素なのでこれを別売としたことには批判の声が多い。
    • 『箱マス』の無料DLC衣装や『L4U!』のデフォルト衣装ですら有料。
    • DLC衣装とアクセは「カタログ第○号」という形で、ある程度の数がまとめてリリースされたのだが、ひとつの号の衣装・アクセをすべて購入すると「コンプリート特典」として、『ぷちます!』(後述)のキャラを模したアクセがもらえた。このコンプリート商法に対して嫌悪感を抱いた者もいた。
    • 上でカタログとは言ったが、本作では360での物とは違ってアイテムのリストと実際に購入したアイテムは別々にダウンロードされる*7
    • 一部のDLC(具体的には『カピバラさん』および『マクロスF』とのタイアップ品)が期間限定であり、2011年3月末を最後に購入できなくなってしまった。こればかりは契約の関係上、仕方がない事なのかも知れないと擁護の声もある。
    • 曲選択画面で殆どの楽曲のジャケットイラストが何故か描かれていない。プレイには問題ないが不満意見が出ている。

総評

『箱マス』と比較して「グラフィック劣化」「美希ライバル化」などが目に付く。それらが旧来からのファンの一部にとって受け入れがたいものであったため、彼らからは評判が悪い。「『箱マス』をPS3に移植した方がもっと売れた」とまで言われる様になる始末(今でも言われるがあながちいい加減でもない)。
しかし旧来からのファンの中にもPSP対応である事による利便性や改善されたプレイ感覚、豊富かつ独自性ある楽曲やDLC衣装などに注目して本作を肯定的に評価している者もいる。リファインキャラの響と貴音は高い人気を獲得しており、二次創作の場においても当時からきちんと市民権を得ていた。
ファンから最も非難の強かった美希の一件も、過去作未経験者から見れば一応これといって重大な欠陥にはなっていない。
その反面、「問題点」で述べたようなケアレスミスなど擁護困難な欠点を数多く抱え込んでいることも事実である。とくに分割商法や高価で多量なDLCは批判の対象となりやすい。
本作を一言で総評するならば「長所も短所もはっきりしている賛否両論を招きやすいゲーム」といったところだろうか。残念な事に過去作の様に万人受けする内容ではなかった為過去作で築き上げたブームが覚め始める事となった。
ただ短所の多くはゲームプレイに支障をきたすような性質のものではないので、「アイマスというものを手軽に体験してみたい」という765プロ入社希望者にはオススメできる作品とも取れるかもしれない。


余談

  • 公式の見解では本作は『箱マス』からの孫移植ではなく、前述の通りあくまで「『アケマス』の移植作」という位置付けになっている。『アケマス』のアイドルしかプロデュースできなかったり、休日イベントなどが無かったりするのもその為だろうか?
    • 実際『アケマス』と本作がメトロ制作であるのに対して『箱マス』はバンナム自社内での制作であり、その意味で上記の主張は正しい。だがほとんどのプレイヤーは制作した会社などには無関心であり、本作と『箱マス』を直接比較して批評する意見が多くあがった。
    • ソフト内には、『アケマス』のデータが未使用データも含めてそのまま残っていることが解析で判明。特に、『アケマス』正式稼働時に削除されたエンディングの一つ、通称「Zエンド」のボイスデータが発掘された意義は大きい*8
    • 「星井美希」の存在自体も『箱マス』での新規追加要素なので、それが『アケマス』移植作である本作でプロデュース対象ではないのも一応筋は通っている……のだが、そんな理屈で納得できたファンは当時ほとんどいなかった(そして現在でも)。
      • ほぼ全ての旧来ファンに失望と不満を与えたのは事実なのだから、美希をプロデュース不可にする判断は大きな誤りであったと断ぜざるを得ない。
  • なんと日本ゲーム大賞2008・フューチャー部門受賞。また、『電撃プレイステーション』にて2009年度「すんゲー10本。PSP」に選ばれた。
    • また、当初の発売日は2009年1月22日だったが延期された。その理由は「ユーザーの皆様にご満足していただける内容にするため」だったらしい。
  • 実は響には「琉球空手の経験がある」と言う設定があるのだが、本作でそれが語られる事は何故か無かった。
    • また、バストが大き目な設定だが立ち絵や3Dグラフィックでは小さ目にされている。
      • これに関してはスタッフ間で響の設定に関して相当揉めたらしい。そのせいか『アイドルマスター2』で響のみスリーサイズがマイナス修正された。
  • 961プロとしての「プロジェクト・フェアリー」が本編で登場するのは今作のみであり、初登場となる響と貴音は次回作以降は765プロアイドルとして登場し、美希含め961プロとの接点は全く無くなっている。
    • そして以降の作品における所属メンバーも設定が不安定であり、『2』のジュピターは最終的に脱退し『SideM』では315(サイコー)プロダクションへと移籍しており(プロジェクト・フェアリーとは違って設定は残っている)、今でも所属していることが明確にされているのは『OFA』の玲音と『ステラステージ』の詩花だけである。
    • しかしながら、2024年8月24・25日に行われたライブ「961 PRODUCTION presents『Re:FLAME』」で久しぶりに961プロとしての3人が登場し、ファンを驚愕させた。
  • 実はライバルアイドルには漫画『アイドルマスターrelations』の魔王エンジェル*9も候補にあった。この件に関して、同作作者が自身のツイッターで嘆いている。
  • 本作を原作とした漫画。
    • 『アイドルマスターブレイク!』
      • かつて講談社から刊行されていた月刊少年ライバルにて連載。作者は『魔法少女リリカルなのはViVid』を連載した藤真拓哉。
      • 主人公が765プロ社長の孫で高校生*10、主人公が765プロアイドル達と同居など同人誌でもやらない様なあまりの原作無視っぷり、キャラの一人称も原作と違うなど、ファンからの評価は概して低い。
      • 単行本特装版に付属した楽曲入りCDは非常に好評なため「単行本はCDのオマケについてくる鍋敷き」と酷評され、『ブレイク!』という作品の愛称自体が「鍋敷き」になる始末。
    • 『ぷちます!』
      • 響と貴音を含む765プロの面々がアイドル及び小鳥にそっくりな縫い包みの様な謎の小生物“ぷちどる”と織り成す4こまギャグ(?)漫画。
      • 驚愕の内容だが、『2』発売以降も765プロの面々の設定が変わっていない事も在ってこちらの評判は良い。
      • 少なくとも『ブレイク!』よりは評価は高く、現在も連載中で単行本化もされてるので気になる方は是非。
  • 本作以降の『アイマス』は『ディアリースターズ』『2』とストーリー性・対決色の強いゲームへとシフトしていく。
    • 特に『2』には本作の抱える「765プロからプロデュース不可能アイドルが出る」「961プロが登場し作中で大きな比重を占める」といった批判点がより顕著な形で引き継がれている。
    • また、『グラビアフォーユー!』『シャイニーフェスタ』など分割商法も引き継がれてしまった。
    • 後の『学園アイドルマスター』ではアップデートにおいて961プロが作品の垣根を越えて登場し、ライバルとなるアイドルたちもより悪役感を増して登場する。
    • これらを踏まえると、本作は『アイマス』の歴史の中で一つの大きなターニングポイントとなっていたと言えるかもしれない。
  • それまで『アイマス』シリーズの家庭用機版はXbox360でしかリリースされておらず、ハードを代表する独占タイトルと言える存在であった。それがPSハードであるPSPに登場したことは、ゲームの内容とは関わりのない別の騒動を巻き起こしてしまった。
    • 俗な言い方をすると、XboxユーザーとPSユーザー間のゲームハード論争の材料のひとつにされてしまったのである。
      現在は本作を冷静に批評する言説が増えているが、当時の熱狂の中で書かれたテキストもまだネット上などに存在しているので、読む時はそれを踏まえていただきたい。
    • なお以後の家庭用機『アイマス』シリーズは、唯一の任天堂ハード作である『DS』を挟んで『2』が360で発売されるもしばらくしてPS3に移植され、それ以降は一貫してPS系ハードだけで発売されていた。
  • 『ミリオンライブ!』春日未来役の山崎はるか氏*11や 『SideM』【神速一魂】紅井朱雀役の益山武明氏*12など後に別のアイマスブランドに関わることになる演者の中にも初めて触れたアイマスとして本作が挙げられている。
    • 上記のように問題点も目立つ本作であるが、結果的に新規を掴んだという点でPSPでの展開は間違ってはいなかったと言えるだろう。
最終更新:2024年12月19日 01:58

*1 正確には双子である「双海亜美」と「双海真美」は二人一役でアイドル活動をするので、アイドルの総人数は10人。

*2 もっとも、本作は過去作とは設定が異なっており、それに応じたアイドル達の新しい一面の描写として肯定的に捉える向きもある。また声優陣の演技力向上(『アケマス』から3・4年経過している)もあり「単純にセリフから受ける印象が変化している点も考慮すべき」との意見もある。

*3 美希&響&貴音から結成されるユニット。元々は961プロでの新人アイドル企画を指すが、今では『アケマス』には登場しない彼女たち3人をまとめて呼ぶ際に使われる。

*4 神話に登場する架空の生物。ファンタジーゲームなどにも登場する。

*5 発売から月日が経った頃に、ほとんどの衣装とアクセサリーが半額に値引きされている。

*6 もっともハードメーカーが異なるコンシューマゲーム同士でそのような連携サービスが行われた前例はなく、仮にバンナムがやりたいと思っても不可能だったと思われるが…。

*7 360ではカタログとしてのファイルの中に個別アイテムのエントリーポイントも用意されており、購入すると表面上は同じファイルのダウンロードが行われるが実際には一瞬で終わる(ちなみに後のPS3作品では後者においてはキーとなる小さなファイルがダウンロードされる形となっている)。

*8 あくまでもシナリオ・音声データが残されていただけであり、チートツールを使用してもZエンドに到達できるようにはならない。動画サイトなどで探すと、この音声データを元にしてビジュアルを補った「Zエンド再現動画」を見つけることができるだろう。だがこのZエンドは大変衝撃的な内容のため、あくまでも自己責任で検索・視聴されたし

*9 シリーズお馴染みの、最強のNPCユニット。同漫画で深く掘り下げられた経緯を持っていた。後に『スターリットシーズン』で漫画版における容姿が(シルエットではあるものの)逆輸入されている。

*10 高木順一朗が55歳に対して孫の裕太郎が16歳である為、単純計算で社長が39歳の時に孫ができた計算になってしまう。

*11 https://www.famitsu.com/matome/imas_ofa/140514.html

*12 アイマスエキスポスペシャルトークショーDAY2