KotoDama: The 7 Mysteries of Fujisawa
【ことだま ざ せぶん みすてりーず おぶ ふじさわ】
ジャンル
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ADV + 脱衣パズル
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対応機種
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Windows 7/8.1/10 PlayStation 4 Nintendo Switch
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発売元
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PQube Limited
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開発元
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PQube Limited, 下町ギルド |
発売日
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2019年5月31日
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定価
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3,090 円
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プレイ人数
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1人
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レーティング
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PEGI: 12 ESRB: Teen(13歳以上)
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判定
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なし
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ポイント
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日本語ボイス付きだが日本語テキストなし
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概要
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脱衣パズルゲーム付きADV。
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基本的にはちゃんとしたストーリーのあるADVだが、推理ではなくパズルゲームをクリアすることで容疑者に真実を語らせるという手段で解決する。
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レーティングからわかるように、脱衣パズルゲームでもせいぜい下着姿のCGしかなく、脱衣パズルゲーム以外のADV本編ではいかがわしい描写はまったくない。
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ミステリーADVであり、キャラ攻略のギャルゲーではない。
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日本語なし。
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PS4/Switch版も本作と同時発売となっているが、それらにも日本語版はない。
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水樹先生は「Mizuki-sensei」と表記されているが、英語として果たしてそれで良いのか?という疑問が湧く。
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もちろん、主人公の担任の先生であることは最初に説明されている。
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C.V.は完全に日本語である。「クラスメイト1」程度の端役にもC.V.が付いている。なのに日本語テキストがないのはかなり奇妙である。
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実は使用されていないデータファイル内に会話文の日本語テキストデータが忍ばせてあるが、それを利用するには自作ツールが必要。
なお、本稿ではこの日本語テキストデータにおける表記を基に記述している。
ストーリー
悪魔モンちゃんと契約した主人公が藤沢学園に転入するところから物語が始まる。
始業前に女生徒(神楽ナナミ)から学園の七不思議の一つである「ミコトの呪い」について話を聞かれるが、主人公は知るはずもなく、何も答えられない。
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藤沢学園は神奈川県藤沢市にあるのではなく、創立者が藤沢さんだから藤沢学園とのこと。
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年齢不詳の「学園モノ」ではなく、高校3年生とキッチリ設定されている。
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校舎は元はASHIYA製薬という会社の土地と建物を改装したもの。
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藤沢学園の七不思議
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校長先生
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校長先生を見た生徒はいないらしい。入学式や卒業式でも教頭がスピーチしているらしい。
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英知の図書館
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秘密の地下通路の先に秘密の図書館があり、たどり着けると素晴らしい英知が得られる(という噂)。
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ミコトの呪い
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かつて学校から飛び降り自殺をした"ミコト"が今も学園を呪っているという。
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さまよう紳士
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夜の校舎を金髪の紳士が徘徊しており、出会うとお茶会に誘われる。お茶会を拒否すると異次元へ連れ去られる。
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時計塔の天使
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時計塔には天使がおり、恋を叶えてくれる。しかしその話を漏らすと天使の怒りを買い、その恋は壊されてしまう。
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白狼
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学園に白いオオカミが住んでいる。
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未来を映す鏡
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夕暮れにその鏡に自分の姿を写すと、鏡の中の自分が10個の質問をしてくる。これに正しく答えると輝かしい未来が与えられるが、1つでも嘘を付くと深い挫折を味わうハメになる。
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登場人物
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モンちゃん
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C.V. 水桐けいと
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主人公が契約した悪魔。
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主人公いわく黒い狐姿。ただし、それは世を忍ぶ仮の姿。と言いつつ、普通の人には見えない設定。主人公(およびプレイヤー)からは見えるが、黒というほど黒くない濃紺に見えるし、狐というよりはネコっぽい。
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神楽ナナミ
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C.V. 村田綾野
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主人公の隣の席になる活発な女子生徒。3-D組。オカルト研究部部員で「ミコトの呪い」の噂の究明にどっぷりとはまり込んでいる。
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朝霧ワカバ
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水樹カオリ
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C.V. 大川ゆず香
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主人公のクラス 3-D組の担任教師。
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蜂須賀チナツ
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椿ユキノ
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C.V. 高木遥香
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3-C組の女子生徒。事あるごとに神楽ナナミにつっかかってくる。
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佐々木ミコトの幼馴染。
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一ノ瀬ホノカ
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C.V. 櫻庭由加里
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3-A組の女子生徒。動物好きだが、動物からは好かれていない。母親は女優の一ノ瀬アスカ。
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佐々木ミコト
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C.V. 白鈴ももか
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神楽ナナミの元クラスメイト。1年次に屋上から転落死している。
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システム
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実はタイムループものである。
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なお、最初の2回は強制的にバッドエンドを踏まされる一本道である。
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3ループ目以降は前回選んだ選択肢は灰色で表示されるが、選んだことによってバッドエンドとなり再ループが確定することになった選択肢は特に
青文字
になる。
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コトダマ
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モンちゃんから授かった主人公の能力。「対象者の精神のハザマを作り出して心に干渉できる」とのこと。発動の呪文は「
汝
の真実をここに示せ」(主人公なのでC.V.なし)。
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発動するとミニゲームが始まる。
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8x8のパネルと対象者が表示される。
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パネルの下の数字は残りの行動回数である。
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いわゆるマッチ3パズルの亜流である。
パネル内の色付きの丸い玉をクリックするとそのパネルは一番上の列へワープし、その間のパネルは1つ下へ移動する。この時、同じ種類のパネルが縦か横に3つ以上並ぶと消える。一度に多くのパネルを消すとコンボ判定され、より多くのHAPPYポイントとチャレンジポイントが得られる。
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下から2番目、左から3番目にある爆弾は特殊パネルで、行動力を消費せずに発動出来、そのパネルの縦横すべてのパネル (8 - 1) x 2 = 14 パネルを消すことができる。
他にルーレット(特定の1種類を消す。種類は指定できずランダム)などの特殊パネルがある。
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消した玉の数やコンボ判定により"チャレンジ"ポイントが貯まる。上の画像では1回分のチャレンジポイントが溜まっている。緑の球、赤い羽根、黄色い爆弾、青い結晶の攻撃手段をクリックすることでチャレンジとなる。対象者のCGに投下する。攻撃方法ごとに成功確率が定められており失敗する可能性もある。攻撃が成功すると、右上のHAPPYゲージが増える。失敗すると相手からの妨害が起こる。攻撃に成功した場合、行動力が規定回数回復する。攻撃の成功確率が低い手段で成功した場合は攻撃回復回数が多い。なお、わざわざチャレンジをしなくともクリア可能である場合が多い。
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HAPPYゲージは4分割されており、1段階進むごとに行動回数が規定数回復する。また、対象者の衣服も脱がされる。女性だけでなく男もである。最終的にHAPPYゲージを満タンにすればクリアである。
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なお、脱ぐといっても脱いだCGは肩より上だけのCGである。
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ストーリーで攻略済みのキャラはメインメニューの[PUZZLE]ボタンからコトダマでプレイ可能となる。
もしくは本編プレイ中の自由行動時間に学生寮に戻り[妄想する]を選ぶことでプレイが可能。
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こちらのモードで勝つことで、さらにストーリー内とは別の下着姿が解禁される。
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Quacker
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ゲーム内の(実在しない)コミュニケーション用スマホアプリ。
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ゲームプレイ中のMENU画面内にある。
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アヒルのキャラクターが不規則に「クワックワッ」と鳴く。
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任意の場所をクリックするとアヒルのキャラクターがクリックした場所に鳴きながら集まってくる。
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新着メッセージがあるとゲーム画面左上にアヒルのアイコンが出現する。クリックすると直接Quacker画面が開く。
評価点
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ストーリーはよく練られている
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七不思議の謎の半数は実は二重底となっており、ループに突入する前にたどり着いた真実の裏に、さらなる真実が隠されている場合がある。
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ストーリーと連動してゲーム内のSNS(Quacker)が更新される。
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ちゃんとQuackerを既読チェックしないとストーリー内にも影響してくる。
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なお、ADV内にストーリーを補強するネット掲示板画面があるゲームとしては既に『ツキビト』がある。
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脱衣パズルゲームはそこそこ面白い
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ADV本編を終えても、脱衣パズルゲームでそこそこ遊べるため、お得感がある。
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ただし、パズルのハードモードクリアの特典で男性キャラの水着姿CGが出て萎えることも。
問題点
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説明されない点がある
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そもそもの主人公とモンちゃんの出会いや契約内容は全く触れられていない。
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主人公が前の学校でいろんな事に首を突っ込みすぎたために転校するハメになったとされるが、それ以上の詳しい説明はない。
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ループ中は少々ダルさがある
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ループ中も、最初の行動とあからさまに違うことをすると周囲から目をつけられるという理由で極力同じ行動を取る必要があるとされているため、何周もループすると、さすがに飽きてくる。
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ゲーム中、モンちゃんも「何度も同じことを聞くのは疲れるね」と言う。
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skip機能があるが、Quackerの既読チェックと連動したストーリー分岐があるためskipのまま放置できない。
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ループ後も、脱衣パズルゲームはスキップできない。
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ループによって生じた、既に1度経験しているイベントで発動する脱衣パズルゲームはループするたびにちゃんとクリアしなければならない。
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プレイヤーが薄々真実に気づき始めても、どの選択肢で解明ルートに入れるのかが分かりづらく、もどかしさが生じる。
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中盤までに犯人に不審に思われるような行動を取ると殺されるため、そういう選択肢は死に覚えとなる。
なお、一部のバッドエンドは強制であり、「殺されたのでセーブファイルからやり直したが、どうやっても死ぬので詰んだと思ってプレイを止めてしまった」というユーザーレビューもあるが、死んだ後にメインメニュー戻らなかった場合(エンドロールが流れ
か
け
た
場合)はおそらくエンドロールが巻き戻って2日目へループするはずである。
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最終ループは犯人が完全に分かっている状態であり、蛇足気味である。
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日本語テキストがない
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C.V.は日本語なのに、会話文テキストは英語のみとなっており、ちぐはぐな状態となっている。
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C.V.のセリフと全く同内容のテキストデータのデータファイルがあるが、そのままでは利用できない。
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QuackerやTipsの日本語テキストの隠しデータもある。
賛否両論点
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オブラートに包んだネタバレ
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途中からモンちゃん以外の悪魔が登場する。その悪魔の望みが達せられない限りループさせられることになる。
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悪魔が望んだ結末なのだから、真エンドはろくでもない終わり方である。
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その悪魔に反抗的な態度を取ると、強制ループさせられる。
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なお、悪魔が何を望んでいるのかは真エンドまで明かされないため、プレイヤーは何が目的だか分からないまま手探りで模索することになる。
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一応、謎を解き続けていけば真エンドに到達するはずである。
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そもそも、主人公自体が悪魔モンちゃんと契約した立場であり、他のキャラの悪事を責めたりできるような立場ではない事がエンディングのモヤモヤ感を強めている。
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エンディング後のおまけパートで屋上に行くとモンちゃんとの会話となり、「さすが悪魔」としか言えないような、さらなるネタバレをしてくれる。「お主も悪よのう」としか言えない。
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総評
レーティングからわかるように、脱衣パズルゲームでもせいぜい下着姿のCGしかなく、脱衣パズルゲーム以外ではいかがわしい描写はまったくない。
パズルゲームは、脱衣演出がある分アツいが、パズル自体はそこそこ面白いものの熱狂するほどの中毒性はないため、男性キャラ攻略時は少し冷める人もいるかもしれない。制限時間はないが行動回数の縛りがあるため、手当たりしだいではなく、ちゃんと考えてプレイする必要がある。
ADVパートはしっかりとしたシナリオがあり、似たようなジャンル&システムの『ツキビト』に比べると、構成、ボリュームともに上回っている。ただし、他のPC向けADVの発売当時の相場で考えて本作が価格に見合うかと問われると、微妙に物足りなさを感じる。
ボリューム以外では、ループ中に同じイベントを同じように進める部分で中だるみを感じる点がプレイの満足度を下げている。
ループ突入前は、まさに学園モノという雰囲気だったのが、ループを重ねるたびに、どんどん学園内の闇が暴かれてゆき、最終的に振り上げた拳を下ろす場所がない結末へ至るストーリーは、その落差が大きい分、好き嫌いが分かれるポイントになっている。
余談
PC版の実績名はリリース当初、なぜか
『Tropy **』
と連番かつスペルを間違えて表記されていたが、2022年5月に修正された(SteamDBの履歴参照)。
最終更新:2023年11月04日 10:47