超人ウルトラベースボール
【ちょうじんうるとらべーすぼーる】
| ジャンル | スポーツ(野球) |  | 
| 対応機種 | ファミリーコンピュータ | 
| 発売元 | カルチャーブレーン | 
| 発売日 | 1989年10月27日 | 
| プレイ人数 | 1人~2人 | 
| 定価 | 6,500円 | 
| レーティング | 【VC】CERO:A(全年齢対象) | 
| 配信 | バーチャルコンソール 【Wii U】2016年10月26日/524円
 プロジェクトEGG:2019年6月11日/550円
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| 判定 | なし | 
| ポイント | ファミコン球界の「平成の怪物」はNPBより先んじていた もはやスポーツゲームというよりアクションゲーム?
 普通の野球ではあり得ないハチャメチャ暴走野球ができる
 必殺技が一部使いにくかったり先バレが隠せないシステムが残念
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概要
『飛龍の拳シリーズ』や『スーパーチャイニーズシリーズ』で御馴染みのカルチャーブレーン初の野球ゲーム。
文字通り「超人」による様々な必殺技が飛び交うというウルトラでトンデモな野球ゲーム。
野球ゲームブームもいよいよ終焉という不遇な時代の中で異彩を放った。
内容
野球ゲームなので、基本的には野球のルールに準じている。
実在するセ・パ12球団をモデルとするチームの他に「ウルトラリーグ」というものがあり、これが本作の目玉でこのリーグのチームは必殺技を使うことができる。
『究極ハリキリスタジアム』や同年発売の続編『究極ハリキリスタジアム平成元年版』にも必殺技があったが、それが更に常識外れのトンデモなものになっている。
当然と言えば当然だが、ウルトラリーグのチームと、セ・パ12球団モデルのチームで戦えばまるで相手にならないワンサイドゲームになる。
また選手の名前はもじられている。
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必殺技は「ウルトラポイント」を消費して使うことができる。
    
    
        | + | 本作の目玉、ウルトラリーグのチーム | 
グローリーズ(GL)
 
センターズ(CE)
 
パシフィスツ(PA)
 
アメリカンズ(AM)
 
スポーツスターズ(SP)
 
野球以外のスポーツ選手のチーム。
ロッキーのような架空の選手や、ジャッキー・チェンのような本来スポーツ選手でないのも多少混じっている。
 
ヒーローズ(HE)
 
アニメや特撮キャラのチーム。
ウルトラポイントが最も多いので実質的に最強チーム。
 
ウルトラポイントは「ヒーローズ」が150、「グローリーズ」が120で、他は100。
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        | + | ピッチング技 | 
ライトニングボール
 
マックス250km/hオーバーの超スピードボール。
 
ファイアーボール
 
ライトニングボールほどではないが超スピードボールで相手のバットをへし折る。スピードで劣る代わりにボール自身が燃えている。
 
分身魔球
 
ニンジャボール
 
スネークボール
 
アクセルボール
 
ストップボール
 
消える魔球
 
アイアンボール
 
スローボールながらも非常に重く、必殺バッティングでなければ打てず(打ってもへし折られる)打っても飛びにくい。
 
ミラクルボール
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        | + | バッティング技 | 
いずれもセットしてからバットを振る格好で、振るごとに消費される。
 
ハイパー打法
 
グルグル高速回転しながら打つ。
長打力は最強で当てればまずホームランだが、クセが強く打ちにくい。
 
爆発打法
 
地面に落ちると爆弾のように爆発して爆風に巻き込まれた相手の野手は動けなくなる。
合わせて長打力も大幅アップする。
バントすると、目の前の地面で着弾して爆発する(安全な状態で相手投手に取られる)ので、何の意味もない。
 
ミサイル打法
 
打つと打球が低空で飛び、それに触れた野手はボールとともに、外野フェンス一杯まで引きずられぶつかって動けなくなる。(そのままホームランすることもある)
これもバントするとすぐ打球が落ちてしまい何の意味もない。
 
流星打法
 
打つと必ずバットが折れてボールの回りを回転しながら飛んで行く。
そのボールに野手が振れると、捕球できず動けなくなってしまう。
 
フジヤマ打法
 
打つとボールの影がグルングルン回転しながら飛ぶので、野手はキャッチのポイントを定めにくい。
ただし、普通に直接捕球できる。
 
影法師打法
 
打つとボールの影が大量に出るので、これも野手はキャッチのポイントを定めにくい。
ただし、普通に直接捕球できる。
 
大地震打法
 
打ったボールが地面に落ちると同時に長時間地震が起きる。
地震の間は相手の野手は誰も動けないので、その間自軍は走り放題。
ただ、フライになった場合普通に捕球できるので、地面に落ちる前に捕球されては何の意味もない。
また、バントなら確実に地面に落ちるが、その場合ほんの一瞬グラッとしてすぐ止まるので、何の意味もない。
 
スピン打法
 
打ったボールが不規則な回転ゴロになり、外野フェンスにぶつかるまで捕球できない。
バントすると無効。
 
イレギュラー打法
 
打ったボールが地面に弾むたびにイレギュラーバウンドしてジグザクに蛇行するので、捕球しにくい。
 
ミラクル打法
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        | + | 守備技 | 
スーパーチャージャー
 
スーパースライド
 
横っ飛びの強力バージョンで長い距離のダイビングキャッチ。
 
ロケットジャンプ
 
とんでもなく高いジャンプでホームラン性の打球をキャッチできる。
 
ハイパースロー
 
ミラクルキャッチ
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評価点
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必殺技が豊富で、しかもそのほとんどがド派手なものばかりで常識外のプレーができるので盛り上がった試合になる。
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両軍使いまくれば何十点という大乱打戦になる。
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見ているだけでも非常に派手で面白く、超人らしいネタも盛り込まれている。
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剛球系の「ライトニングボール」「ファイアーボール」「アイアンボール」がデッドボールになると、打者が爆発する。
 なのに次の瞬間には、しれっと平気な顔で塁に出ている。さすが超人…
 
 
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リーグ戦がかなり本格的で、リーグ表もなかなか細かくできている。
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単に長くて多い試合を戦うだけでなく、試合のない移動日などもあり無条件でピッチャーのスタミナが回復するのもリアル。
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打率、本塁打、勝利、セーブなど各種成績が記録されている。
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セーブの付き方なども非常に細かい所まで現実のプロ野球が再現されている(もちろん野球そのものは現実を思いっきり逸脱しているが)。
 
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球場も6種類と豊富で、しかもそれぞれ広さ以外にも特徴があり、固有の演出がある。
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スコアボードを直撃すると「バコン!」と割れたり、場外ホームランが海に落ちると波紋が出たりと、細かい演出まで凝っている。
 
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ウルトラリーグの選手も野球だけにとどまらない幅広い選手が揃えられており、ネタ要素も満載。
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ノーマルでも最高球速200km/hなど、飛びぬけており、それまでの160km/h前後が最高だった常識では味わえない爽快感。
 
問題点
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必殺技の中には使いにくいものやまるで使えないものがある。
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例えば「スネークボール」や「分身魔球」はバットを出さなければ大体デッドボールになるので、自損行為な技になりがち。更にロクにストライクにならない。
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「ライトニングボール」「ミラクルボール」もそのグルグル回りながら大外に大きく振るモーションのせいでボールやデッドボールになりやすい。
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「ハイパー打法」「ミラクル打法」もグルグル高速回転しながら打つというクセが強すぎて使いこなすには相当慣れが必要。
 
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あまり特徴を活かせない必殺技もある。
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例えばストップボールは「途中で任意に一度ストップできるので意図的にタイミングを外せる」アクセルボールは「スピードを自在にコントロールしてタイミングを外す」というものだが、打者は必殺技を使わない限り、バットを出せば必ずきりきり舞いして空振りしてしまうので、あまり特徴が生かせていない。
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必殺バッティングの方でも影法師打法やフジヤマ打法は、そのド真中に陣取っておけばまず捕球できる(一応CPUは素直に引っかかってくれるが)。
 
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必殺技を出す場合、必ずアイコンが表示されてしまうので打者にバレバレ。
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スネークボールならわざと手を出さないことでデッドボール狙いが容易に判断できる。
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最大4種類なら、十字ボタンとの複合などでも良かったのではないか?
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尚、続編の『スーパーウルトラベースボール』ではアイコン非表示の設定が可能になり、互いの手の内を読めないプレイに徹することもできるようになった。
 
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守備技が非常に使いにくい。
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特に「ロケットジャンプ」や「スーパースライド」などは、相当慣れていないと使いこなせない。
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ヘタに使っても見当外れなプレーになり単にポイントの無駄遣い+大珍プレーになりかねない。
 
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リーグ戦のCPUチーム同士の消化試合に時間がかかる。
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フル観戦せず内部的に試合をする場合でも1試合を消化するのに数分かかってしまう。
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また放っておくと、自分がプレイするはずのチームの試合も勝手にオートで始まってしまう。
 
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ピッチャーは4種類の技が装備できるが、野手はバッティングと守備1つずつしか装備できない。
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ファミスタ同様10点差でコールドとなるのだが、ホームランの場合、そのホームインの途中でコールドが発生してしまう。
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例えば後攻のチームが8-0の状態で満塁ホームランを打てば12-0でコールド成立となるのが正しい流れだが、ゲームでは2人がホームインして10-0の時点でそれが成立して打ち切られてしまい、残りの2人がホームインできない。
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これはサヨナラの場合でも同じことで例えば1点差で負けから満塁ホームランを打つと、逆転となる2人目の時点で打ち切られてあとの2人がホームインできない。
 
総評
野球ゲームブームが終焉間近ということも災いして売上げも知名度も今一つ上がらなかったが必殺技がガンガン飛び出しまくる、そんな野球は型破りで非常に斬新なもので見た目の面白さでは文句なしのレベル。
ただし必殺技の大部分は強力でも、コツを掴まなければデッドボール乱発になるような自損行為になることも多いので、かなりやり慣れてはじめてフルに使いこなしての対戦ができる。
また、持ち味である必殺技の中には使えなさが目立つものもあれば、それを抜きにしても使う場合確実に先バレする点はさすがに致命的欠陥。
ゲームの完成度としては今一つだが、野球ゲームブームが終焉に近い不遇な時期で人気を獲得した「暴走した野球」という発想は見事といえる。
その後の展開
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1991年7月12日にスーパーファミコンで続編『スーパーウルトラベースボール』が発売される。
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この頃には野球ゲームブームもすっかり今や昔で、あまり話題にもならなかった。
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その後1995年まで続編は出たものの、最終的に覇権を握れないままだった。
 
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2014年に3DS用DL配信ソフトとして『超人ウルトラベースボール アクションカードバトル』がリリースされ(名目上)シリーズ復活となるが、タイトル通りアクション要素のないカードバトルだった。2016年発売の3DS用DL配信ソフト『超人ベースボールスタジアム -エキサイティングアクション版-』で旧来のアクション要素が復帰したことで、往年の超人ベースボールも本当の意味での復活を果たした。2017年にはストーリモードも加わった続編、『超人ベースボールスタジアム -熱血ストーリー版-』も同じく3DS用DL配信ソフトとしてリリースされた。
 
余談
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後にテレカ付きの限定版も発売された。
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この限定盤はパッケージ及びラベルシール、タイトルロゴも通常版とは異なっており(ゲーム内容は通常版と同じ)以降の続編はこちらのタイトルロゴをベースとしている。
 
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見た目の派手さでは、他の野球ゲームの追随を許さずやはりそのインパクトは大きかったようで、『ファミリーコンピュータMAGAZINE(通称「ファミマガ」)』の「1989年度ファミマガゲーム大賞」スポーツゲーム部門では『究極ハリキリスタジアム 平成元年版』や『新・燃えろ!!プロ野球』といった定番シリーズの続編を抑えて『ファミスタ'89 開幕版!!』に次ぐ2位を獲得した。
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北米NES版である『Baseball Simulator 1.000』も日本版発売の翌年に発売された。発売元はカルチャーブレーンの米国法人であるCULTURE BRAIN USA。
最終更新:2024年08月06日 13:36