ファイヤーロック

【ふぁいやーろっく】

ジャンル アクション
対応機種 ファミリーコンピュータ ディスクシステム
発売元 ユース
開発元 システムサコム
発売日
()は書換開始日
1988年6月20日(1988年8月19日)
プレイ人数 1人
定価 3,400円
判定 良作
ポイント 実は忍者アクション「壁登り」の先駆者
一筋縄ではいかない奥深さ
BGMはゲーム史でも隠れた名曲



キミの勇気が、いま地球を救う。



概要

ディスクカードがピークを過ぎた1988年6月にユースから発売されたアクションゲーム。
当時としては珍しく、壁を登るという忍者のようなアクションを取り入れたり、武器が松明だったりと、非常に個性的な部分を多く持っている。
このようなゲームながら主人公の名前は設定されていないという珍しい一面もある。


内容

ストーリー

西暦2102年、北の空から真っ白なひとすじの光線が地上に落ちた。だが、これが地球の運命を大きく左右する出来事と気づいた者は誰一人としていなかった。

そして1年後……

2103年最初の夜、地球に大異変が襲いかかった。マグマは吹き出し、モンスターが暴れ出した。すべては地球侵略を目論む未知なる侵略者の仕業だったのだ。
ひとすじの光とともに地球に降り立ったヤツらは地底深くに基地を築き、ついに侵略を開始したのだ。
人類が築き上げてきた歴史が、文化が、そして愛までもが踏みにじられようとしている。地球を、そして人類を救うためには、ヤツらの地底基地の心臓部を破壊しなければならないのだ。
地球の運命は、今キミの手にゆだねられた。

システム

  • 4つのクリアアイテムを集めながら、4体いる中ボスを倒し、紫色のゴール用のワープゲートを目指す。
    • ストーリーとしては、このゲートに入ることで目指すべき「心臓部」に近づいていくという設定になっている。
  • クリアアイテムの中には高い位置に合って最初は取れないものが多いが、後述の通りパワーアップアイテムの肉を取ることでジャンプ力が上がり取れるようになる。
    • ステージのエリアを移動するのにはワープゲートを使用する。
    • またパワーアップアイテムの松明を取ることで連射力が上がるので、それまでは苦しかった中間ボスを倒しやすくなる。
      • つまり全体的には、上記の目的のためにパワーアップアイテムを探索して入手し、パワーアップしてクリアアイテムを集めることになる。
      • ステージクリア時、松明の連射数、ジャンプ力、生命力は初期状態に戻るが、同時に残り人数も4人に戻る。
    • 至る所に噴出しているマグマに落ちると生命力が1ダウンし、まるで熱がるように跳ね上がる*1
      • この跳ね上がった間に岩場などに着地できればいいが、再び落ちてしまうと重ねてダメージを受ける。

ステージ

  • ステージ1
    • デビル・ケイブ
    • 岩だけでできた洞窟。
  • ステージ2
    • メタリック・ケイブ
    • 岩の洞窟に一部機械のようなものが垣間見える。
  • ステージ3
    • サンダー・ドーム
    • ステージ2とあまり変わらない。
  • ステージ4
    • デッドリー・トラップ
    • 巨大な樹木の枝の間をかいくぐるようなステージ。落とし穴や抜けられる壁が多い。
  • ステージ5
    • デス・ルーインズ
    • まるで蔦が絡まる神殿のような造り。
  • ステージ6
    • ダーク・エンパイア
    • ラストステージだがステージ5とあまり変わらない。

アイテム

  • 命の水(青いツボ)
    • 生命力が1増える(最大16)。
    • ジャンプ力が上がる。
  • 松明
    • 松明の連射可能な数が1つ増える。
    • たくさん集めると威力も上がる。
  • ハート
    • バリアを張れる。
      • バリアは敵の体当りを4回まで防いでくれるが、マグマに落ちると1発でやられてしまう。
  • ステージクリアアイテム
    • ビシャス(羽のついた女神像のようなもの)
    • レーギア(羽のついたガギ)
    • ザローク(コウモリのような見た目)
    • エグス(丸い盾のようなもの)

評価点

  • 攻撃の自由が効きやすい。
    • 少々ガーブを描いた弾道だが、横、真上、斜め上と松明を投げる方向は自由自在。
  • 壁を登るアクション。
    • 本作を代表するアクションがこれで、壁に捕まって垂直どころか、手前に少々鋭角に倒れていても登ることができる。これにより、今までにない行動パターンを生み出している。
    • また、ただ単に上を押して登るような形ではなく、適度に連打するというのもまたリアルなアクションである(連射パッドでスイスイ登れるわけではない)。
  • 探索型のゲームとして、非常に良いバランス。
    • ステージ自体は狭いものの、今は取れないものを肉でジャンプ力を上げた後で戻ってくることで、取れるようになる。
    • 敵の攻撃もボス以外はそこまでハードではない。
      • ステージは少なく、エリアもそこまで広くないが、これにより行動範囲の距離は決して短くはない。
  • 戦略的な判断を求められる部分もある。
    • 上記の通り、敵やマグマを避けながらアイテムを集めるのだが、マグマは単純に避ければいいというものではないというのも奥深い要素ではある。
      • ステージが進むと、ハートによる無敵を利用して、マグマに飛び込まなければならない箇所が出てくるなど、敢えて一時しのぎ的な無敵の使い方が必要になるなど、一筋縄ではいかない点も見どころの1つと言えるだろう。
  • BGMが3曲しかないものの非常に良好で、いずれも気分を盛り上げてくれる。
    • 普段は哀愁を感じさせつつも勇壮なもので、まるでタイムボカンシリーズや70年代ロボットヒーロー系アニメのようで、気分を盛り上げてくれる。
    • また中間ボスが登場するエリアでは、更に危機感たっぷりの曲に変わり、それはステージ3以前と4以降で2曲用意されている。
    • タイトルの曲も、同等で同じような曲調で非常に良い出来である。

問題点

  • 移動に少々クセがある。
    • 移動時に少々慣性が働くので若干止まりにくく、勢い余ることが多々ある。そのままマグマに突っ込んでしまうことも…
    • ジャンプ着地時には若干ながらバウンドのようなアクションを伴うため、特にこの慣性が強く出やすい。
      • ジャンプ力を上げる肉を取ると、この慣性も少しずつながら強くなる。
  • 地形の中で薄い足場は落ちてしまう部分があり、それはノーヒント。
  • 評価点と被るが上記の通り、BGM自体は非常に良い出来だが最初から最後まで3曲しかないのは少々物足りない。
    • 例えるなら『ロックマン』でいう「カットマンステージ」の曲とボスの曲が時折切り替わりながら最初から最後までプレイする感覚と言えばわかりやすいだろうか。
    • いくら名曲でもあまり長く聴いているとその良さを感じにくくなる。

総評

当時はRPGばかり求められていた上に、ディスクソフトはロムカセットに対し容量的に不利でありロード時間もあることから衰退期に入っていた。しかも発売元もカプコンやコナミ等といった大手ブランドではなかったこともあって評価は極端に低かった。
しかし実際には、少々高難度だが過剰なものでもなく、移動に多少のクセがあるものの壁登りという独特なアクションを取り入れ、更に主に肉を取ることでジャンプ力が上がってそれまで取れなかったものも取れるようになっていくなど、探索型のゲームとしてなかなか完成度が高いものになっている。
ボスは高耐久が多いが、攻撃に関してはアイテムで強くなることでムラのない攻撃ができるようになり、それで対処できるなどジャンプも含めて「やりごたえ」に昇華できている。
移動や独特のアクションには慣れることが必要とはいえ、序盤のステージでは敵の攻撃が緩めで、順序立てて慣れていけるというバランスも決して悪くなく、かなり良くできたアクションである。


余談

  • 裏技で無敵コマンドがあり、タイトルでロゴが15回目(色が白と黒)に出た時、IコントローラのA・Bを押しながらスタート。
    • これは「ファミリーコンピュータMagazine」1988年15号の裏技コーナーで紹介された。当時売れなかったゲームが「横綱技」を取るのは非常に珍しかった。
    • 「ファミマガVIDEO」の創刊9月号(発売は1988年7月21日)でも、横綱技として紹介された。
最終更新:2022年02月24日 14:02

*1 後の『スーパーマリオ64』で溶岩に落ちたマリオにそっくりな挙動