Project: Snowblind
【ぷろじぇくと すのーぶらいんど】
ジャンル
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FPS
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対応機種
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Windows(Steam) Playstation 2(海外のみ) Xbox(海外のみ)
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発売元
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Eidos Interactive
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開発元
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Crystal Dynamics 【Xb/Win】Nixxes Software
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発売日
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【PS2/Xb】2005年2月22日 【Win】2005年3月15日
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定価
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【Steam】609円
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配信
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Steamにてダウンロード販売中
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判定
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なし
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ポイント
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元『Deus Ex』スピンオフ 自由度のあるレベルデザイン グラフィックは家庭用機相応
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概要
後に『トゥームレイダー』シリーズを手掛けることになるCrystal Dynamicsが贈る、2005年にEidos Interactiveから発売されたFPS。
元々は同社が発売していた『Deus Ex』シリーズのスピンオフタイトル『Deus Ex: Clan Wars』として開発が進められていた。
その後『Deus Ex: Invisible War』の不振が切っ掛けでオリジナル作品として発売されることになったが、オーグメント技術に関する基本的な設定や各種機器・メカデザインといった要素は『Deus Ex』のものを受け継いでいる。
ストーリー
2065年。香港はヤン・ロー将軍率いる「共和国」と名乗る過激派政権の攻撃を受け、泥沼の市街地戦を繰り広げていた。
事態の収束を図り国連平和維持軍が投入され、島の防衛に当たっていたが、新兵ネイサン・フロストは共和国軍の爆撃に巻き込まれ瀕死の重傷を負ってしまう。
医務室に運び込まれたネイサンは、試験的に開発されたバイオ・オーグメント技術により、サイボーグとして生まれ変わる。
平和維持軍に復帰し、新たな能力を駆使して仲間と共に共和国軍に抵抗していくネイサン。しかし、ヤン将軍率いる共和国軍は世界規模の極秘テロ作戦に向け着々と勢力を拡大していた。
全世界の秩序を揺るがすとされる「スノーブラインド計画」を阻止すべく、ネイサンたちは過酷な戦闘に挑む。
ゲームシステム
ゲーム進行
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香港の国連平和維持軍軍曹ネイサン・フロストとなり、銃とバイオ・オーグメント(特殊能力)を駆使して進むFPS。
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一般的なシングルプレイFPS同様に直線型のマップを採用しているが、一部マップではダクトを通る、ハッキングを行うなどして複数のアプローチで攻略することが可能。
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武器はプライマリ攻撃とセカンダリ攻撃が存在し、それぞれで発射する弾丸の特性が異なる。
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ピストルは弾倉全部を消費した遅延爆発弾、アサルトライフルはグレネードランチャー、ショットガンは爆発散弾といった具合にバリエーションは多め。
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セーブはチャプターごとのオートセーブまたは各所に配置された端末で行う。端末は専用のマークが書かれた各所のセーフルームに存在し、アイテム補給場所も兼ねている。
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主人公以外にも、ハッキングすることで小型~中型ボットが、各地に配置されているものに搭乗することでタレットや武装自動車が操作可能。
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ボットや自動車はそれぞれ武装と耐久値が存在し、耐久値が0になると破壊される。これらを適切に運用していくことで、より少ない損傷でステージを突破していくことができる。
ステータス
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本作ではダメージを負うと減少する体力ゲージ(赤)と、オーグメント使用時に消費するバイオエネルギーゲージ(青)が存在。
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体力は木箱などから出現するメディキットを使用することで回復でき、エネルギーもエネルギーセルを拾うことで回復が可能。また、携行可能なアイテムであるナノブーストを使用することでも回復することができる。
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随所に落ちている専用アイテムを取得することで、青色はバイオエネルギー、赤色は体力のゲージ上限が上昇する。
オーグメント
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『Deus Ex』同様にバイオエネルギーを消費して発動する特殊能力。Qキーで選択し、Altキーで発動・解除を行う。
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使用できる能力は暗視、スローモーション、無敵、透明化などさまざま。一度使用するとクールタイムが発生し、その間は再起動することができない。
ハッキング
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道中に落ちているアイスピックという専用の自動ハッキング装置を端末またはボットに打ち込むことで、対象へのハッキングが可能。
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アイスピックは消費式のため乱用はできないが、新しいルートを開いたり、ボットを操って敵を蹂躙したりと戦闘をより有利に進めていくことができる。
評価点
デウスエクス譲りの自由度
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大まかな内容こそ一般的な家庭用機向けFPSと同等だが、複数のルート選択や本来必要のないエリアの探索による追加報酬獲得、ハッキングを駆使した巧妙な立ち回りなど簡略化は多いもののデウスエクス譲りのシステムを採用している。
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とはいえ本家のように小難しいわけでもなく、わりとごり押しでもどうにかなるカジュアルな調整。ランボープレイも巧妙なステルスもどちらも許容されている。
デザインの改善
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ロボコップめいたデザインが多く古臭さの目立った本家から一新され、戦闘ヘリや車両、ボット、武器などのデザインはよりハードSF調の造形に変更された。
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敵勢力もよりイカした造形に変更されており、特に禍々しいステルス兵士や全身メカニカル・オーグメントのヤン将軍などの造形は共和国軍の異質さに一役買っている。
賛否両論点
ごり押しが通じる難易度
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本作のネイサンは最初からある程度の機動力・戦闘力を兼ね備えており、ゲームスタート時のJ・C・デントンのようなトロさはない。
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武器も火力の強いものが揃っており最初から真向からの銃撃戦が可能なのだが、それに加えてごり押しに適したオーグメントばかり揃っているためかなり難易度は低い。
家庭用機相応のグラフィック
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PS2としては妥当な範囲ではあるが、当時主流のPCタイトルと比較すると見劣りする内容。
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当時のPS2ゲームにありがちな画面エフェクトも当然のように乱用されており、クオリティは高いとは言えない。
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リードプラットフォームがPS2だったことから、PC版は半ばベタ移植のような出来だったりと評価は芳しくない。
問題点
PC版の移植度の低さ
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PC版も発売されてはいるのだが、グラフィックは家庭用機版とほぼ同一。マウスの操作性がやたら不自然だったりと操作性にも疑問符が付く。
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また、OSによっては頻繁にクラッシュするためプレイが困難になる。パッチリリースの要望も多かったのだが、本作の売上が芳しくなかったのか途中でパッチ制作もキャンセルされている。
ストーリーの単調さ
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根本的なストーリー内容はありきたりなテロリスト集団vs特殊部隊のそれであり、特に意表を突く展開は存在しない。
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味方組織壊滅などの起伏はあるが、結局毎回単独で殴りこむゲームバランスのため悲壮感には欠ける。
総評
銃撃戦を主体にした、本家デウスエクスの要素を盛り込みつつも『Invisible War』とは別のアプローチで簡略化した作品。
ただ撃つだけではない複数のアプローチ方法で進むことができる、本家譲りの自由なレベルデザインは評価点だが、家庭用機準拠のグラフィックや低すぎる難易度、PC版の操作性の問題などの欠点も存在する。
現在もPC版は配信されており、気軽に購入することが可能。
良くも悪くもPS2相当ではあるが、カジュアルながらも幅の広いゲームプレイは当時の一般的なFPSに勝ると言える一作である。
余談
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結局デウスエクスシリーズの系譜は本作を最後に一旦途絶え、Eidos interectiveも続編を作ることなく2009年にスクウェア・エニックスに買収された。
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その後、2011年にスクウェア・エニックスから『デウスエクス』としてシリーズ新作が発売。その後続編や複数のスピンオフが発売されるなど、新たな体制でシリーズの再出発が行われた。
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もともと『Deus Ex』でもアンナ・ナバラとガンサー・ヘルマンの二人によって僅かながら前時代の技術であるメカニカル・オーグメント技術が語られていたのだが、本作は前日譚である『デウスエクス』に先駆けてこのメカニカル・オーグメントの設定とその問題点を掘り下げていたりする。
最終更新:2022年03月19日 12:30