爆闘士パットンくん
【ばくとうしぱっとんくん】
| ジャンル | 対戦型シューティング |  | 
| 対応機種 | ファミリーコンピュータ ディスクシステム | 
| 開発・発売元 | ソフトプロ | 
| 発売日 ()は書換開始日
 | 1988年8月5日(1988年10月4日) | 
| 定価 | 2,980円 | 
| プレイ人数 | 1~4人 | 
| 判定 | なし | 
| ポイント | ファミコン初の4人同時プレイが可能なゲーム シンプルイズベストな対戦ゲーム
 豊富なバトルフィールドと自由度の高いカスタマイズ
 演出不足と少々気の利かないシステムが玉にキズ
 ゲーム内でもサバイバルゲームであって殺し合いではない?
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概要
1988年8月にソフトプロから発売された対戦型シューティングゲーム。
戦車に乗って4人で戦うゲームだが、ゲーム内でやっているのはあくまで「サバイバルゲーム」であって「殺し合い」ではないとのこと。
ファミコン初の4人同時対戦可能なゲームである。
世界観
時は10年後の昭和73年。テクノストレスが渦巻くコンピュータ社会で「自然に帰ろう」というスローガンが掲げられ休日には山奥にサバイバル生活を求める者が増えていった。
そして昭和63年頃ブームだったサバイバルゲームが再び流行することとなった。無論あれから10年を経ている時代では、それも進化した。
それが「サバイバルゲーム用戦車」である。これは一人で操縦できるもので荒地だろうが水中だろうが進める万能戦車なのだ。
あくまでゲーム用なので、被弾したり地雷を踏むことでバラバラになるが、再び組みなおすことが可能な作りになっている。
また、専用のコンバットスーツまで開発され、撃たれると血飛沫が噴き出すと言う凝ったものになっている。
内容
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基本的に複数人で対戦するゲームで、1人でプレイする場合は、CPU3名を相手に戦うことになる。
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メーカーこそ違うものの『バトルシティー』(1985年・ナムコ)を発展+対戦特化させたようなゲームと言ったほうがわかりやすいだろう。
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プレイヤー同士の対戦は2人から4人まで自由に対戦できる。ただしCPUを交えて複数人での対戦は不可。
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説明書では4人プレイの場合アスキースティックが必須と書かれているが、ジョイペアなどにサブコントローラー2つ接続することでも可能。
 
システム
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プレイヤーは戦車に乗った状態から始まる。
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戦車状態の移動は上下で前進・後退(スピード調整)、左右で旋回するというラジコンのような方式。
 攻撃はAボタンで戦車砲を発射し、Bボタンで地雷を設置する。
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戦車砲は真正面に発射される。ただし1発のみで連射は不可(基本的には射程を飛びきるか、何かに命中して消えない限り次の砲弾は発射できない)。
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砲弾が命中すると耐久力が1減り、ゼロになると破壊される。
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CPUプレイヤーはハンデとして自分の弾に当たっても無効。人間は自分の弾でもダメージを受ける。
 
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地雷は戦車のすぐ後ろにセットされる。
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地雷を踏んだ戦車は無条件で即座に破壊される。歩兵状態ならば無関係。
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自分で置いた地雷でも自分に有効なので上記のセット位置の関係上、セットしてスグバックすると実質自爆になってしまうので注意。
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一度に使える地雷は1人につき1つのみで、誰かが踏んで爆発させる前に新しく置くと前に置いたものは自動的に無効となる。
 
 
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破壊されると歩兵状態となり、移動は普通に前後左右に移動する方式。
 攻撃はAボタンでピストルを撃てるが戦車にはダメージを与えられない(壁は壊せるし歩兵には有効)。手榴弾を取るとBで使えるようになる(有限)。手榴弾なら戦車にもダメージが与えられる。
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歩兵状態のプレイヤーがいると空から輸送機が現れることがあり、パラシュートで新しい戦車を降ろしてくる。戦車は地面に着くと乗れるようになる。
 歩兵状態で被弾すると脱落となり、その場に倒れる。倒れている状態のプレイヤーは6発被弾すると復活する。
 
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戦車のステータスは下記4通りで、30ポイントをそれぞれに振り分ける。()の数値はそれを1上げるのに必要なポイント。
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SPEED(2)→移動速度
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TURN(2)→旋回性能
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RANGE(1)→砲弾の射程
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ARMOR(3)→耐久力(基本的な最大値にもなっている)
 
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このパターンを10通りまで保存できる。もちろん30ポイントフルに使わなくても問題ない。
アイテム
特定箇所を撃つと出現する場合がある(下記9種類)。
    
    
        | + | アイテム一覧 | 
鉄甲弾砲弾がブロックを貫通するようになる。
誘導弾(笑った顔のついた白い砲弾)砲弾が敵を自動で追尾するようになる。
鉄甲誘導弾(『スーパーマリオブラザーズ』の「キラー」のような砲弾)上記「鉄甲弾」「誘導弾」の性能を併せ持った最強装備。
無線機歩兵状態のプレイヤーが取ると輸送機がすぐ来る(ただし、既に無人状態の戦車がある場合は来ない)。
強化のり戦車の耐久度が6に回復(「ARMOR」のステータスが5以下でも)。
修理(スパナ)戦車の耐久度が最大値(「ARMOR」の値)まで回復。
手榴弾歩兵状態のみ有効で、手榴弾を使えるようになる。
爆弾歩兵状態のプレイヤーが取ると、全員の戦車を破壊できる。
?何が起こるかお楽しみというナゾのアイテム。
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評価点
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豊富なバトルフィールド。
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マップの数は1Pでも対戦でも56通りと豊富で、いずれも固有の特徴を持つものばかりで構造で被るものがほとんどない。
 
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シンプルでわかりやすいルール。
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戦車を撃って破壊して耐久力がなくなった戦車は破壊され、人間だけになった状態で撃たれたら終わりとストレートに飲み込みやすい。
 
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状態によって変わる操作法。戦車搭乗時は特殊なものに。
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戦車に乗っている場合左右で向きを変えて、上下で前進交代(加速・減速)というラジコンにも似た操作法になるので少々クセがある。
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片や乗っていない状態では普通に4方向に走る。
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ただ裏を返せば戦車がやられた歩兵状態ではスイスイ移動できるので逃げやすくなり、相対的に次の戦車が支給されるまで粘れる確率が高くなり、必然的に脱落が起こりにくく白熱した展開になりやすい。
 
 
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地形が豊富で特性もわかりやすい。
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例えば水にしても「浅瀬(影は見えるので現在位置は視認できる)」と「深瀬(まったく見えなくなる)」がある。
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上に乗ってBボタンで回すことができる(Bボタンを使うのでこの上では地雷が置けない)「回転タブレット」は、弾を向いている方向に補正する。
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ブロックにしても壊せるものと壊せないものがある。また弾が当たって消えるものと跳ね返るものもある。
 
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4人対戦に初めて対応。
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今までのような最大2人での対戦では味わえない大人数での対戦は白熱必至。
 
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自由度の高い戦車の設定。
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いろいろ個性が出せる。
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しかも、それでいてポイント消費のバランスも取れている。
 
 
問題点
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バトルフィールドの選択時、事前に確認することができない(説明書にも載っていない)。
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そのため、画面の写真でも撮っておかないと確認する術がない。
 
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出撃の画面で戦車を選ぶときに、名前は表示されてもそれぞれのステータスは表示されない。
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登録された戦車のステータスを見たいならば、いちいちコンストラクションのモードで見なければならない。
 
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演出面が不足している。
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1Pの場合、全マップをクリアしてもエンディングが味気ない。
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あくまで対戦本位のようなゲーム性のせいか、あるいはゲーム内でも「サバイバルゲーム」という設定のせいなのかはさだかではないが勝利の演出すらないというのはこの時期のゲームにしては物足りない。
 
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対戦でも最後に残った1人が勝者なのだが、その勝利演出のようなものが全く行われない。
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フィールド数を減らしてでも、このような演出や上記のフィールド確認や選択時の性能表示は入れるべきであっただろう。
 
 
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「人間プレイヤーVSCPU3人」または「人間同士2~4人」の対戦に限られプレイヤー複数人対CPUの対戦ができない。
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4人対戦ができるのはいいが、CPUを交えての対戦ができないので2人しかいない(サブコントローラーがない)ならその2人の対戦しかできない。
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当時サブコントローラは誰もが持っているものではなかった。更に4人対戦を可能とするアスキースティックやジョイペアなどの所有者は更に限られた。
 
 
総評
自由度が高く、アイテムも豊富で純粋なお手軽路線の対戦ゲームとしては非常に盛り上がれるものになっている。
バトル用のフィールドに関しても非常に豊富で、時折出現するアイテムで優位に進めたりと、操作性にしても脱落のピンチ状態である歩兵状態の方が慣れた操作性のため逃げやすかったりと対戦ゲームとしてはシンプルながら盛り上がれるものになっている。
ただし演出が極端に乏しく1988年のゲームにしては少々物足りなく感じられる。更にこのゲームの醍醐味である複数人対戦は、そのツールの普及率が高くなかったこともあってか、それができる者が限られていた。
そのためプレイヤーが2人や3人の場合にCPUプレイヤーで4人中の残り人数を補填できないのは折角のゲーム性をフルに活かせなくしている。
また、フィールドの事前確認ができなかったり、使用する戦車選択でそのステータスが確認できなかったりと、システム面で気の利かない一面もある。こういった部分のケアさえできていれば対戦用ゲームとして文句なしに良質なものと言えただけに勿体ない部分ではある。
余談
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ゲームの中でも、「戦争ごっこ」「ゲームをしている」というのはある意味非常に珍しい世界観である。
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この当時のゲームはほぼ全てがゲーム中の世界観では真剣勝負。
 
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ロード画面では「INSERT TO FUCKING BOX!」とメッセージが出る。
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戦車がやられた歩兵の状態でしばらく放置しておくと、なんと自分の頭をポーンと真上に投げるという奇怪な行動に出る。
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一応、サバイバルゲーム用コンバットスーツとのことで生首ではないのだろうが、とすると本物の頭はスーツの胴体にでも隠れているのだろうか?
 
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昭和73年とはまさに「昭和が終わる」という想定など考えられなかった当時らしい設定である。
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昭和天皇は翌年1月7日に崩御して平成となったため「昭和73年=1998年=平成10年」にあたる。
 
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偶然か意図的かはさだかではないが、後にアニメ『金田一少年の事件簿』(1997~2000年に日本テレビ系放送)で、サバイバルゲームを題材にしたストーリー「墓場島殺人事件」(全3話)が放送された。
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しかもその放送日まで1998年8月~9月と、まさに昭和73年にあたる年で本作の発売時期とほぼ被ったタイミングであった。
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とはいえ、この話のネタ要素と言えば「檜山が檜山を演じる」というシンプルでわかりやすすぎるものが盛り込まれているので、これにばかり注目が集まる傾向にあり、上記のような本作との合致はかなりマイナーなネタである。
 
 
最終更新:2024年07月10日 20:32