アースライト

【あーすらいと】

ジャンル シミュレーション
対応機種 スーパーファミコン
メディア 8Mbit+64キロRAMロムカートリッジ
発売・開発元 ハドソン
発売日 1992年7月24日
定価 8, 900円(税別)
プレイ人数 1人
セーブデータ 2個
判定 良作
ポイント ネクタリス』の流れを汲む宇宙が舞台の戦略SLG
見た目はポップ、中身は骨太
ゲームにマッチしたクラシックBGM


本気にさせる、ベビーフェイス。




概要

ハドソンから発売されたSFウォーシミュレーション。
一般的なターン制の戦略シミュレーションを下地に、ZOC、支援効果、包囲効果などのシステムを採用したルール。 プレイヤーは様々な種類の兵器を活用し、ガルト軍の野望を阻止する。

同社が1989年に発売した『ネクタリス』の流れを汲んでおり、共通点やシステムを発展させたものが多い。


ストーリー

(説明書4~7ページより引用)

22世紀…。
人類は、その生活圏を宇宙にまで広げていた。
地球の衛星軌道上には、ファクトリーと呼ばれる開発小惑星を利用したコロニーが築かれ、全人類の2/3が宇宙で過ごしていた。

だが、第3ファクトリー「ガルト」が突然、地球政府からの独立を宣言。
統治官アーリマン・アヴェスターは、自らを皇帝と名乗り「ガルト帝国」を建国!!
同時にその軍事力をもって、侵略戦争を開始した。

ガルト軍は、わずか数週間で5つのファクトリーを制圧。アーリマンは、地球政府に対して降伏を迫った。

一方、ガルト軍の攻撃を逃れた各ファクトリー軍は反ガルト連邦をつくり、アーリマンの野望を打ち砕くため、「ガルト帝国」に反撃を開始!!

今、人類最大の宇宙戦争が始まろうとしていた。


特徴

基本システム

  • 全30面。ステージ中のセーブが可能。
    • 自軍(連邦軍)のユニットを操作し、敵軍(ガルト軍)のユニットを全滅させるか、各マップに設定された勝利条件を満たすとマップクリア。逆に自軍のユニットが全滅するか敗北条件を満たすとゲームオーバーとなる。
    • 勝利・敗北条件はいつでも確認可能。
    • 勝利時はそのマップでの戦績に応じた勝利ポイント(ゲームスコア)が加算され、通算の勝利ポイントに応じた階級が表示される。
  • マップはヘックス型(六角マス)を採用したターン制。1マスが周囲最大6マスに接する。
    • マップは各ステージは最小で1画面、最大で2×4(横長)、4×2(縦長)画面で形成される。
    • 小惑星、星間物質帯、重力帯などユニットによっては進行ができなかったり、通常よりも移動範囲が狭くなる地形が存在する。
    • 登場する兵器はマップごとに固定。新規生産の概念はなく、次のマップへの持ち越し・引き継ぎといった要素はない。従って勝利条件を達成できるのであればそのマップにおける損害を過度に気にする必要はない。*1

登場兵器(ユニット)

  • 登場する兵器はメインとして「機動ユニット」「艦船ユニット」の二つに分かれており、さらに特殊な「構造物」を加えた3カテゴリに分類できる。以下に大雑把に分類、詳細は後述。
機動ユニット
HU兵器 人型のロボット兵器。HUはハードユニットの略。「射撃」「白兵」の両方を備え、多くの場合マップの主戦力となる。
砲撃艦艇 長射程・高威力の武器を持つ後方支援ユニット。移動後の攻撃ができない。
戦闘機 高い移動力を持つが、「白兵」を持たない。通常の戦闘機の他に、対艦重爆撃機、輸送機が存在する。
固定砲台 移動できない代わりに、砲撃艦艇よりもさらに長い射程と高い威力を持つ。
輸送機によって積み下ろしを行う(一度設置すると以後移動不可)。
特殊 宇宙機雷が存在。機雷と言っても攻撃力はなく、ZOCによる移動妨害の効果のみ。
艦船ユニット
戦艦 高い攻撃とHPを併せ持つが、数が少なく、撃沈が敗北になるマップがある。
巡洋艦 代表的な艦船ユニット。小型なためドックに収容できる。
駆逐艦 小型で高い攻撃力と低い耐久力という性質を持つ。巡洋艦と同じくドックに収容できる。
攻撃後に再移動が可能な特徴を持つ。
機動母艦 機動ユニットを内部に収納・発艦させる事ができる。収納したユニットはHPが回復する。
構造物ユニット
浮きドック 内部にユニットを初期格納した基地。HPを0にすると破壊ではなく占領する。
要塞・司令塔 破壊が勝利条件・敗北条件になるユニット。
  • 各ユニットはそれぞれに固有の能力や移動力・射程範囲・武装・防御力といったパラメータが設定されている。
    • 他にもZOC(範囲効果)の要素があり、敵ユニットの進路を塞いだり、敵と隣接した味方ユニットの攻撃力が割合加算される「支援効果」や、敵を複数のユニットで挟んで防御力を半減させる「包囲効果」といった要素が存在する。
    • 機動ユニットは1ユニットにつき8機で構成、これが体力値に該当する。機数が減ると攻撃力が減少し、Oになるとそのユニットは撃破される。自軍の浮きドックや機動母艦に格納することで機数を最大まで回復できる。
    • 艦船ユニットはHP(ヒットポイント)として直接体力値が表示され、ユニットによって最大値が異なる。HPが減ると機動ユニットと同様に攻撃力が減少し、Oになると撃破。一部の艦船ユニットを除いて自軍の浮きドックに格納することでHPを最大まで回復できる。
    • ユニットは戦闘を行う事で経験値を獲得し、攻撃力・防御力が強化される。1戦闘毎に経験値を表す星が1つ、敵ユニットを撃破するとさらにもう1つ増え、最大10*2まで育つ。敵側も同様に成長する。
+ ユニット詳細
  • 機動ユニット
  • HU兵器
    • SD体型の人型ロボット兵器。対機動攻撃と白兵攻撃ができる戦闘の中核兵器。
    • 標準型の「マルス」、鈍足な高防御・白兵特化型「タロス」、間接射撃型の「ティタン」、移動力が高めの「メデゥサ」の4種。
    • ゲーム終盤からは可変型のCHU兵器「アテナ」が登場。間接対機動射撃・白兵・爆撃機形態での爆撃をこなすマルチファイターとして活躍する。*3
  • 戦闘機(FF兵器)・爆撃機(FB兵器)
    • 移動力に優れる戦闘機および爆撃機。高攻撃力の対機動攻撃専門の「ロブスター」、攻撃力は控えめだが対機動・対艦両用で防御力が高い「クレーネ」が存在。
    • 爆撃機「ブロンテス」は最強の対艦攻撃「爆撃」を使用可能。再使用するには浮きドックか母艦に格納しての補充が必要。
  • 砲撃艦艇(CU兵器)
    • 間接攻撃専門のユニット。長射程だが移動後攻撃はできない。
    • 対機動攻撃専門の「ガンナー」、対艦攻撃専門の「スナイパー」、前2つより攻撃力は低いが、対機動・対艦両用かつ射程が1長く、ミサイル属性で射線の融通が利く「ランチャー」の3種が存在。
  • 固定砲台(SG兵器)・宇宙機雷(SBB兵器)
    • 移動不能の砲台・進路妨害のユニット。後述の輸送艦艇か機動母艦で輸送する必要がある。設置後の回収は不可能。
    • 対機動ミサイル砲台「ハイドラ」、対艦ビーム砲「ドラゴン」、対機動・対艦両用のレール砲台「ラハブ」はレール地形のみ移動可能で、高い移動力と移動後長射程攻撃でレール上の広大な範囲をカバーできる。
    • 「ウィスプ」は『ネクタリス』のヤマアラシ同様の進路妨害用ユニット。攻撃能力は無いが防御力が非常に高い。
  • 輸送艦艇(CR兵器)
    • 機動ユニットを1つだけ搭載、高い移動力で遠方に輸送できるユニット。
    • 機種は「クラブI」1つのみ。一応対機動攻撃能力があるので支援効果次第で戦闘参加も可能。
  • 艦船ユニット
  • 戦艦(BB兵器)
    • 強力な間接対艦攻撃が可能で対機動攻撃力も高い、艦隊戦におけるメインユニット。浮きドックに格納することができないのでHPの回復ができない欠点を持つ。戦艦の撃沈が敗北条件になっているマップもあるため無理は禁物。
    • 長射程の標準型「ティアマト」、高移動力・攻撃力の「アスラII」の2種が主な戦艦。
    • 終盤から登場する「ノーデンス」は最大のHPと高い攻撃力・防御力を持つが移動力が低く、対機動攻撃ができない。
    • 後述する機動母艦の能力も兼ね備える敵専用の「ハスター」も存在。
  • 巡洋艦(CG兵器)
    • 標準的な艦船ユニット。巡洋艦と下記の駆逐艦は浮きドックに格納することでHPの回復が可能。
    • 間接対艦攻撃がメインの「ハンニバル」、直接対機動攻撃がメインの「レグルス」、対機動・対艦両用の上にHU兵器以外で唯一白兵攻撃が可能な「コルバス」の3種。
  • 駆逐艦(DDG兵器)・ミサイル艦(MS兵器)
    • 攻撃後再移動が可能な艦船ユニット。その分HPは低く、戦艦の攻撃一発で撃沈することも珍しくない。
    • 対機動専門で移動力が最も高い「フェンリル」、対艦攻撃がメインの「グラント」、移動力が低めだがそれなりの対機動攻撃・対艦間接攻撃能力を持つ「ヘルハウンド」の3種。
    • ミサイル艦「アバドン」は核爆弾による爆撃が可能で、着弾点と周囲のへクスをユニット・地形もろとも消滅させるという凄まじい能力を持つ。それ故に登場するマップは数えるほどしかない。
  • 機動母艦(CV兵器)
    • 機動ユニットの搭載・輸送能力を持つ艦船ユニット。浮きドック同様にユニットの機数の回復ができるため、中盤以降のマップでは最重要のユニット。戦艦同様HPの回復はできず、敵から最優先で狙われるため慎重な位置取りが必要。それなりの対機動武装を持つので場合によっては攻撃参加もできる。
    • 標準性能で間接攻撃ができる「イリス」、2へクス先までユニットを発進させられる「アルテミス」、高い移動力を持つ「セレネ」、母艦形態と戦艦形態に変形可能な「サイレン」の4種。
  • 司令塔・軍事要塞
    • 部隊のコントロールを司り、撃破が勝利・敗北条件になっているユニット。対艦・白兵攻撃で破壊可能。司令塔は攻撃能力が無く、軍事要塞も反撃のみ。
    • 司令塔は「ブレイン」と特定面のギミック用の「アッザム」の2種、軍事要塞は標準型の「ソロモン」、反撃力が高い「ゴリアテ」、HPの高い「カルタゴ」の3種。

攻撃方法

  • 攻撃には「対機動射撃」「対艦射撃」「白兵攻撃」の3つが存在し、対機動射撃は機動ユニット、対艦射撃は艦船ユニットにしか攻撃できないルール。白兵はどちらにも可能。
  • 攻撃は一定の条件を満たすと反撃(両者同時攻撃)が発生する。
    • 攻撃側が射程1マスの攻撃で仕掛け、かつ防御側が(射程1マスの)射撃に対し射撃、白兵に対し白兵を持っている事が条件。対機動射撃と対艦射撃のルールも適用されるので、ある艦船が射程1の対機動射撃で攻撃した時、防御側は対艦射撃をもっていなければ反撃できない。
  • 武装にはタイプと属性が存在する。
    • タイプには分類なしの通常攻撃の他、間接射撃I・間接射撃IIがある。射程1マス以外の攻撃は全て間接射撃のどちらかが付与される。なお間接射撃は攻撃時に反撃を受けないが、防御時に反撃に使用する事もできない。
      • 通常攻撃は射程1マス固定の接近戦で、移動後の攻撃が可能。
      • 間接射撃Iは移動後の攻撃が可能。反撃不可。
      • 間接射撃IIは移動後の攻撃ができない。反撃不可。
    • 属性はビーム(B)・ノーマル(N)・ミサイル(M)の3つの属性があり、地形によって与ダメージが減衰したり、射線に制限を受ける。また間接攻撃には射線の概念があり、射線を通さない地形が攻撃対象の間に存在すると射程内でも攻撃範囲外となる。直接攻撃なら射線を通さない地形上のユニットも攻撃可能。
      • ノーマル属性には物理的な格闘武装やレールガンといった実弾系が含まれる。
      • ビーム属性は地形「磁気帯」の上では使用不能になり、射線も全く通らなくなる。
      • ミサイル属性は射線を通さない地形を回り込んで攻撃する「迂回」の性質があり、他の属性より融通が利くようになっている。

浮きドック(ペルガミノ)

  • 『ネクタリス』の工場に相当する施設。
  • 自軍と敵軍のほか中立(行動しない)の浮きドックが存在し、内部にユニットを初期保有した状態でマップ上に配置されている。 通常のユニットと異なり、HPを0にすると「占領」となり自軍の物になる。逆に言えば破壊する・される事はない。
    • 最大の特徴は、占領時に内部にユニットが格納されていた場合まるごと自軍のものとなる事で、特に中立の浮きドックを早期に占領して内部のユニットを得る事がマップ開始直後の戦略となる。
    • ユニットを格納することで修理・補給が可能で、格納したユニットはHPが最大まで回復する。機動母艦のそれと違い、巡洋艦や駆逐艦も収容可能。
  • 浮きドックは属性としては「移動しない機動ユニット」扱いなため、占領するには対機動射撃か白兵が必要。また非力ながら射程1の対機動射撃を持っており、接近戦で射撃を仕掛けると反撃が発生する。

評価点

  • 良好なゲームバランスとそれを支える豊富なユニット・マップシチュエーション
    • 初心者でもとっつきやすい配慮が随所にあり、難易度も戦略SLGとしては低め。
      • 各マップの冒頭では全体マップの表示とともにマップ攻略のアドバイスが表示され、攻略の方針をプレイヤーが立てやすくなっている。ストーリー背景の解説も兼ねており、ゲームへの没入感を高めてくれる。
      • また、マップが進むごとに新たなユニットが解禁していく上に、大抵は新兵器を活用しやすいチュートリアルを兼ねているため非常に分かりやすい。新兵器の多くはガルト軍が先に投入する事になるが、ユニットの使い方や敵対時の対処法を実践形式で自然と覚えていくことができる。ユニットの解説をゲーム内でいつでも確認でき、しかもスタンダードな使い方が載っているので迷う事も少ない。
      • 武器属性・射線の概念や母艦の運用など『ネクタリス』よりも覚えることは増えたが、基本的な操作はユニットの移動と攻撃のみで、地形効果やZOCの利用など、ウォーシミュレーションの体裁は保たれている。
        ウォーシミュレーション初心者でも気軽にゲームに入り込んでいける点は大きな評価点と言える。
      • 戦場での駒となるユニットの総数は30を超え、それぞれに個性と役割が与えられている。後述のデザインの良さもあり、プレイしていく内に愛着の湧くユニットが出てくるだろう。
    • また、宇宙戦争という題材を生かし、様々なシチュエーションのマップが用意されている点もプレイヤーを飽きさせないつくりになっている。
      • 地球の大気圏ギリギリでの攻防、斜線上のユニットを消滅させる要塞砲を掻い潜りながらの要塞攻略、彗星が通過し崩壊した拠点の攻略といった専用の地形・ギミックのあるマップも。最終マップのギミックは初見殺し要素もあり、インパクトは絶大。
  • ポップで馴染みやすいユニットデザイン
    • ウォーシミュレーションは一見でお堅い印象になりがちなゲームジャンルだが、全体的に丸みを帯びたポップなユニットデザインのおかげで馴染みやすさに貢献していると言える。
    • わかりやすいデザインゆえ、マップ上でのアイコンでも各ユニットの識別がしやすい。
    • 唯一の人間キャラである皇帝アーリマンは「生ト会の腕章をつけた世紀末風グラサンパンク男」というインパクト絶大のルックスで否が応でもプレイヤーの印象に残る。
  • ゲームにマッチしたクラシックBGM
    • 本作のBGMの多くは著名なクラシック楽曲を基に柔らかい音色とポップさに合った絶妙なアレンジがされており、質・曲数共に良好。
      • 自敵フェイズのBGMがシナリオの区切りごとに用意されており、バッカニア砲などの山場を挟んで切り替わっていく。自軍の勝利が近くなると流れるBGMは特に印象に残りやすく、盛り上がりに寄与している。
    • アレンジ元のクラシック楽曲としては、勝利画面に「ニュルンベルクのマイスタージンガー」、増援イベントで「ワルキューレの騎行」、敵側優勢で「禿山の一夜」など、シチュエーションに合った選曲がなされている。
      • オープニングに「マーラーの交響曲第3番・第1楽章」を使うなど、1988年から劇場版アニメ・OVAを展開していた小説『銀河英雄伝説』シリーズの影響が見られる。また、出典がショスタコーヴィチの楽曲が多い。スタッフにファンがいたのだろうか?
      • オリジナルスコアと思わしき楽曲もいくつかあり、それらも著名な曲に劣らない内容になっている。
    • 作曲は前野知常。
  • 部隊表の確認や敵ユニットの移動範囲が確認できるなど、PCE版『ネクタリス』よりもUI面での改善が部分的に見られる。

賛否両論点

  • 全体的に難易度が低く、初心者でもとっつきやすくプレイしやすいのは評価点なのだが、逆に言えば手応えを求めるプレイヤーには物足りない。
    • 敵のAIは弱くはないが、セオリーを踏んだ戦術を優先するためクセを掴みやすく、戦略SLGに慣れたプレイヤーならばちょっとした囮や誘導も簡単に仕掛けられる。
    • 常に寡兵での戦いを強いられ、立ち回りに工夫が必要だった『ネクタリス』のコアなプレイヤーからは本作をあまり評価しない声も聞かれる。
    • 低難易度故に武器属性や地形要素といったものを生かして戦う必要性がある場面はそこまでなく、結果的にただ煩雑なだけのシステムと化している面がある。
      • 移動一つにしても地形への侵入の可否や移動コストがユニット種別毎に細かく設定されているため覚えるまで時間がかかる。普通にプレイしているとシステムを全て理解する頃には終盤になってしまうだろう。
      • システムを理解した上で地形を生かして戦うと圧倒的優位に立ち回ることができ、ほぼ全ステージをノーデスでクリアすることも可能になるほどで、やりこみ要素として見るとかなり奥深い。
  • 局所にバランスの大雑把さが気になる箇所がある。
    • 本作は中盤以降は戦力が充実したマップが多く、間接攻撃が可能なユニットが豊富で、ゲーム中盤以降は支援・包囲効果が軽視されがちになる。
    • 戦闘結果が乱数に左右されやすい傾向が見られる。中立ドッグの攻撃時にHPが僅かに残って占領ターンが伸びてしまうなど、戦略面に大きな影響を受けることも。
      • ただし、運の要素を採り入れることで臨機応変な立ち回りをプレイヤーに求め、ワンパターンな攻略にならなくする工夫とも取れる。また、戦闘結果の乱数は+-1の範囲(艦船ならHP+-2)の範囲で収まっているので計算不能なレベルというわけでは無い。
      • 『ネクタリス』に於いては同じ攻撃でも撃破無しから8体撃破までバラつくこともあるほど異常な乱数幅であったため、それと比べるとかなり真っ当に調整されていると言える。
  • 一部のユニットが便利すぎたり、活躍させづらい物がある。
    • 爆撃機「ブロンテス」は爆撃後は全ユニット最大の移動力を持ち、防御力も上昇するという特性があるのだが、敵のAIは爆撃後の活用が下手なため、実質的にプレイヤー側が有利な仕様となっている。*4
    • 巡洋艦「レグルス」は逆に最も活用しづらいユニットとして有名。多くのプレイヤーが「レグルスだけは上手く活用できなかった」と声を揃えるほど。
      • 対となるハンニバルよりも移動力が低く、他のユニットと足並みがそろわずに戦線に間に合わないことが多い。対機動攻撃は強い方だが、移動力の低さが災いして攻撃の機会に恵まれない。対艦攻撃の攻撃力は雀の涙で相手にダメージを与えられず経験値を献上してしまうことも。
    • HU兵器群は性能・使い勝手にややバラつきがある。
      • 敵側のリーサルウェポンである「アテナ」は別格としても、防御力に優れ白兵戦では無類の強さを持つ「タロス」や移動しながら遠距離攻撃のできる「ティタン」は前線の肝と言っていい重要ユニットなのに対して、標準的な性能で器用貧乏な「マルス」や機動力は高いものの装甲が弱い「メデゥサ」はどうしても最前線での包囲や壁役といった使い捨て要員になりやすい。もちろん切り込み隊長として必要な存在ではあるものの、修理・経験値上げの重要度が高い本作に於いてはやや使いづらいユニットと言える。
  • 『ネクタリス』ではクリア後に配置ユニットが変化する裏面がプレイできたが、本作のクリア後要素は敵味方の攻撃力が2倍になるモードのみで、裏面を期待したプレイヤーにとってはガッカリ気味な内容となっている。本編の長さから容量的に収録が厳しかったとも考えられるが。
    • 今作では各ステージにおける背景ストーリー・それに沿ったギミックや演出が設定されている為、その前提を崩さないようなステージの改変が難しかった面もあったと思われる。

問題点

  • セーブデータが消えやすい。
    • 攻略サイトでも注意喚起がされるなど、SFCのゲームの中では消えやすい部類に入っている。
  • 操作上に幾つか難点がある。
    • この時代の戦略SLGにもかかわらずユニットの移動キャンセルができない*5。正確には移動先マスを指定した時点で戻せなくなる。なお実際にキャンセルをしようとすると「移動後の攻撃選択」をキャンセルする事になり、そのまま行動終了になってしまうという更なる罠もある。
    • マップ上の画面スクロールがカーソルの移動と同期せず、段階的にスクロールするため、広いマップでは画面スクロールに時間がかかる。
    • ユニット移動時、移動可能場所のヘックス表示にラグがある。移動力の高いユニットの移動時に顕著。
    • これらに追い打ちをかけるかのような謎仕様が、移動中などの待機時間にも次の操作入力の受付がされている点である。つまり移動中にBボタンを押してしまうと移動後即座に行動終了扱いとなってしまい、上記のように攻撃行動ができなくなる。
      • 一般的にそのような仕様にするとは考えづらく、恐らくバグの部類だと思われるが、ついボタン連打する等の癖を持つプレイヤーにとっては致命的とも言えるUIの悪さである。
  • 終盤マップの大規模化による攻略時間の増大。
    • 終盤のマップは広大になり、敵味方合わせて100近い数のユニットが入り乱れる。当然、自軍・敵軍共に1ターンにかかる時間は増大する。
    • 敵軍の思考はターン開始時にまとめて行われる形式なのだが、状況によって長い時は30秒以上かかることがある。
    • おまけに狭い地形・悪路を行軍させるといった、まともな戦闘が始まるまで時間がかかる作業感の強いステージがいくつかある。
  • ボタンが少なかったPCE版『ネクタリス』を継承してか、十字キーとA・B・スタートしかボタンを使用しておらず、ショートカットボタンなどの便利な機能はない。この時代のゲームでは仕方のない部分でもあるが。
    • ターンエンド時もウィンドウを開いて右端までカーソルを合わせる必要*6があり、微妙に煩わしい点も。

総評

シンプルでとっつきやすいゲームデザインを取り入れて上手く昇華された戦略SLG。
宇宙戦争という題材を生かしたマップ、豊富で馴染みやすいユニット、良質なクラシックアレンジBGMなどがそれを支え、
「本気にさせる、ベビーフェイス。」のキャッチコピーに恥じない内容に仕上がっている。

優しめの難易度はヘビーユーザーには物足りない意見もあるだろうが、逆に言えば苦手な人でも手が出しやすく、 SFCのウォーシミュレーションを語る上では外せない一作と言えるだろう。是非遊んで欲しい。


その後の展開

  • 1996年7月26日に本作の続編『アースライト ルナ・ストライク』が発売された。
    • リアル頭身化したメカデザイン、SRPG色の濃い指揮官の成長要素など本作のファンからは賛否が分かれる内容になっている。
    • ニンテンドウパワー*7では本作を差し置いて、この続編のみがラインナップに名を連ねた。
  • かつてポータルサイト「i-revo」の有料サービス「i-revoゲーム」で本作が配信されていた。

余談

  • 本作の未使用BGMの中に東宝特撮映画でおなじみの「怪獣大戦争マーチ」のアレンジが存在している。
    • 権利的にアウトな楽曲だが、裏技で入れるデバッグモードで視聴できてしまう。
  • 本作のwikipediaでの記事において、一時期(2017年10月7日から2023年7月25日の間)開発会社が工画堂スタジオと記載されていた。恐らく続作の『ルナ・ストライク』と混同していたものと思われる*8
    • その件に関し、元ハドソンのグラフィックスタッフのるら坊(RURURIRA HIDEBO)(Hideki Yamaguchi)氏が「1作目は完全内作でした」と証言している。
    • 当wikiでも記事作成時には上記の誤情報が掲載されていたが、検証依頼を経て修正された。
最終更新:2025年03月25日 11:39

*1 スコアには影響するが、ゲーム進行には影響しない。

*2 表示はA。攻撃力・防御力が初期値の2倍になる

*3 タイトル画面やターン終了時の演出にも登場し、ゲームのパッケージ裏には模型写真が掲載されている。

*4 そもそもプレイヤーとしては敵のブロンテスには絶対に爆撃させたくない上、それを防ぐ戦略も比較的容易なので尚更である。

*5 ファミコンの戦略SLGですら珍しくない機能である。

*6 左側に十字キーを押してもカーソルがループしない仕様。

*7 ローソンで1997年9月30日~2002年8月31日まで行われたゲームソフトの書換えサービス。空状態の専用メモリカセットを3,980円購入して別料金で書換て入れる必要がある。割高な上に端末の操作がわかりにくくスーパーファミコン自体が時代遅れ同然だったこともあって普及しなかった。しかもこういった既存タイトル専用タイトルに比べると書換え料が安かったが中古カセットを購入した方が安かったため尚の事利用されなかった。

*8 『ルナ・ストライク』ではスタッフロールに工画堂スタジオくまさんチームがクレジットされている。