桃太郎活劇

【ももたろうかつげき】

ジャンル アクションRPG
対応機種 PCエンジン
メディア 4MbitHuカード
発売・開発元 ハドソン
発売日 1990年9月21日
定価 7,150円
プレイ人数 1人
判定 良作
ポイント シリーズ異色のアクションゲーム
誰でもクリアできる難易度
桃太郎シリーズ


概要

桃太郎伝説』と『ターボ』の世界観を引き継いだスピンオフに近いアクションRPG。ターボからわずか2か月で発売されている。誰でもクリアできる難易度というキャッチコピーがついており、比較的易しめに作られているのが特徴。

目的は他のシリーズと同じく鬼ヶ島にいる閻魔大王を倒すこと。


特徴

  • Iボタンでジャンプ、IIボタンで攻撃という基本的な操作スタイルで、ジャンプはIボタンを押す長さで高さが変わり、横に動きながら(助走をつける)だとさらに高く跳べる。
    • 基本的に敵の頭には乗ることができ、足場に使ったりすることができる。
  • 桃太郎の攻撃手段は剣から出る弾で、武器を変えると射程が伸びたり大きくなったりするが、攻撃力そのものが上がることはない。
  • 桃太郎のライフは体の桃という表記で画面左上にピンクの桃が並ぶ形で表示され、術を使うのに必要なものは技の桃という表記で右上に黄色い桃と数字で数が表示される形になっている。
    • ダメージは基本的に桃1つ個分だが、防具によって最大1/4個まで減らすことができる。
    • 死ぬと最後にパスワードを聞いたところから再開となり、残機がなくなるとゲームオーバーになる。コンティニューは何回でもできる。
  • 難易度は4段階あるが最初は最高難度が選べない。ライフの最大値や落下時のペナルティーが異なっている。
    • 一番易しい「かんたんモード」ではライフがの最大値が8あり落下してもライフが減らない、とやさしい。
    • 「ふつうモード」では最大値6で落下するとダメージを受ける。この難易度からは宿に泊まっても技の桃の回復量は1止まり。
    • 「むずかしモード」は最大値4で落下すると即死、所持金も減ってしまう。敵の弾が速かったりもする。
    • むずかしモードをクリアすると出現する最高難度「ゲロゲロモード」は最大値が3、落下は即死で所持金も0になる、とかなり厳しい。
  • ステージは全8面で、スタート地点に村があり*1十字キーの上を押すと中に入ることができる。
  • 村に入ると村のフィールドに切り替わり、村の人に話を聞いたり店に入って買い物ができる。
  • 村の中にある店には種類があり、村によってどの店があるかが違っている。店の画面は『ワンダーボーイ モンスターランド』や『ビックリマンワールド』とほぼ同じで品物が2つあり、真ん中に出口アイコンが配置されている。
+ 村にある店(カッコ内は店主)
  • 武器屋(金太郎)
    • 武器を2種類売っていて、買っていくと次からはさらに高いものが並んでいく形になる。これもビックリマンワールドなどと同じシステム。
  • 防具屋(浦島太郎)
    • 防具を2種類売っている。基本的なことは武器屋と同じ。
  • 茶店(さいとうゆき*2)
    • からだのオニギリやきびだんごといった回復アイテムを主に売っている。ユキのオニギリも健在。
  • 道具屋(花咲かじいさん)
    • 攻撃用アイテムやステージ攻略に役立つかんじき等のアイテムを売っている。
  • 術屋(一寸法師)
    • 技の桃を回復する技のオニギリを売っている。まとめ買いすると少し安くなる。
  • 宿屋(舌切りすずめ)
    • シリーズおなじみのすずめのお宿で、一泊すれば体の桃と技の桃が全回復(技の桃が全回復するのはかんたんモードのみで、ふつう以上は1個分のみの回復)する。
  • 3匹のお供もしっかり登場し、ステージ1クリアで犬、ステージ2クリアでキジ、ステージ3クリアでサルがお供に加わる。
    • お供はきびだんごを使うと呼び出すことができ、それぞれの能力で助けてくれる。犬はダイナマイトで攻撃、キジは桃太郎を連れて空を自由自在に跳べる、サルはその時の桃太郎と同じ能力で攻撃する。
      • ステージ7と8のボス戦(風神、閻魔大王)に限り、自動的かつ常時キジが桃太郎を連れてくれる空中戦形式になる。
  • 最終面以外には仙人の庵があり、仙人から術を教えてもらえる。修行はクイズとあっち向いてホイの2種でどちらになるかはステージによって決まっている。かんたんモードのみ術を覚えた後にもう一度会うと回復してくれる。
    • クイズは5問出題され、全問正解でクリアとなる。大抵は昔話からの出題だが、たまにアイテムの値段や村人の人数を聞いてきたりする。
    • あっち向いてホイは3本勝負で2本先取すれば合格となる。仙人はあまり強くない。
  • ステージの最後にはボスがおり、倒せばステージクリアとなる。このとき5人組の『ばんざいぐんだん』が現れ励ましのメッセージをくれる。桃太郎も正面向きで踊っている。
  • ステージのボス前など要所に地蔵がおり、重なって上を押して話しかけると地蔵の歌(パスワード)を聞かせてくれる。
  • 今作の福の神と貧乏神は、隠しのボーナスステージのみの登場にとどまっている。

評価点

  • 看板通りの誰でもクリアできるアクション
    • かんたんモードかふつうモードなら、本当に誰でもクリアできる難易度になっており看板に偽りなしといえる。
      • 特にアクションゲームではありがちな落下ミスかないのは、かなり良心である。
    • 熟練者に対しても、むずかしモードとゲロゲロモードが用意されており、こちらはしっかりした難易度になっていて幅広く楽しめる。
    • ボスには的が用意されていて、どこを攻撃するか非常に分かりやすくなっている。
  • 豊富なギミックで飽きさせないステージ構成
    • 各ステージには様々な仕掛けが用意されていて、プレイしていて楽しくなってくる。
    • ステージ3(寝太郎の村)のすべる氷の床やステージ4(浦島の村)の海の中といった定番はもちろん、ステージ6(いっすんぼうし村)の鬼の体内ステージはかなり個性的。
    • 最終面では今までの敵が総登場するステージになっていてここまで来たかという気持ちにさせてくれる。
  • シリーズ伝統の明るい雰囲気
    • 基本的に明るくギャグテイストもあり、ステージが進んでも恐怖感を感じさせない。
  • 雰囲気に合っていて見どころがある、キャラクターデザイン
    • 敵キャラもステージにあった雰囲気のデザインになっており、最初のステージでは鬼が笑みを浮かべていたりラインダンスを踊っていたりする。
    • ほかにもステージ3に出てくる雪女が後の夜叉姫に少し似ていたり、フリチン鬼やフンドシ鬼など下品な奴もいたりと個性豊か。
    • ボス前でさえ「ようこそ」と書かれた笑顔の鬼の看板付きのアーチが置いてあり、わかりやすくかつボスというシリアスな雰囲気を感じさせない。
      • ボスを撃破した時も、桃太郎を応援するようなメッセージを用意したりと、楽しげな雰囲気にさせてくれる*3
    • エンディングも難易度によって異なっており、低い難易度なら楽し気にスタッフや敵紹介をするもの、高難易度ならシンプルなスタッフロールに変化する。
  • 音楽も名曲揃い
    • 特にステージ3の曲は評価が高く、他にもステージ5(カチカチ山の村)の炎ステージのアップテンポな熱い曲、ステージ6鬼の体内のじめじめした雰囲気の曲などいい曲が揃っている。
    • 最終面も背景は暗いが、鬼ヶ島に上陸した桃太郎を応援するような明るい行進曲風の曲になっていて、これまた評価が高い。
      • 隠しパスワードでは、キャラクターグラフィックが自由に見られたり、BGMが鑑賞できるモードも用意されている。

賛否両論点

  • 丁半博打に必勝パターンが存在する
    • 具体的には、所持金の100の位が偶数か奇数かによって結果が変化する。
      • これのせいですぐに最強装備が揃ってしまい、興醒めにはなるが難易度の緩和に一役買っているという声もある。
  • 「かくれみの」が強すぎる。
    • 使うとしばらくの間無敵になるアイテムであるが、任意で使えるアイテムな上に有効時間が長いため非常に強力。
    • ボスに至っては、これを使って攻撃し続けることであっという間に倒せてしまう。
      • 強めに調整されていることは、どうしてもクリアできない人への救済処置としても機能している側面もある。
  • シリーズ伝統のお約束「温泉」
    • ある場所で穴に落ちると温泉「オニのゆ」に入っている3人の鬼娘のCGが見られる。
    • お約束を忘れていない点で喜ぶファンもいたが、PCエンジンにしては、またシリーズ過去作と比べてもお色気度は控えめなので、期待していた人は物足りなさを感じたかも知れない。
    • 見つければその場で体力が回復するため、攻略としては必要無いわけでもない。

問題点

  • かぐや姫の扱いがひどい
    • 今作のかぐや姫はステージ7の竹取の村に行っても会えない。ではどこにいるのかというと、なんと博打場で壷振りをやっている。村人の中にも「最近ギャンブルを覚えてしまってあちこちで腕試しをしている」という話が聞けるほど。
    • かぐや姫のセリフや服装*4なども完全に壷振り師のそれになっており、昔話や桃太郎伝説に登場したかぐや姫のイメージからかけ離れてしまっている。
    • しかも今作の博打場は村にはなく、ステージのどこかに隠されているため、場所を知らないと会わずに終わってしまう。
  • メッセージが読みにくい
    • 今作では村人や地蔵のメッセージが縦書きになっていて少し読みにくい。仙人との会話やゲームオーバー時のパスワード表示やパスワード入力は横書きで統一感がない。
  • 最終面のボスラッシュが不完全
    • 最終面では少し進むごとにボスと再戦になるのだが、2面の「あしがら山の鬼」だけが再登場しない。その場所にはどういう訳か7面ボスの風神があてがわれている。
  • お供の性能に差がある
    • というより、キジがあまりにも高性能すぎて他2匹が完全に用なしになってしまっている。
    • 桃太郎と同じ火力が出せるサルはまだしも、犬は完全に使いどころがない。
    • なお、最終戦のえんま大王に至っては、高い所にいる都合上でキジが常に出ている状態となってしまっている。
  • ボーナスステージや温泉の場所がほぼノーヒント
    • いずれも、どこかの穴の落ちることで行くことができるのだが、ノーヒントなため分かりづらい。
    • 落下ペナルティがない「かんたんモード」では探すのは容易だが、ダメージやミスになってしまう他の難易度で探すのはリスクがある。

総評

シリーズ特有のコミカルで明るい雰囲気はそのままに、アクションが苦手な人や上級者まで、幅広い層に遊びやすいアクションゲーム。
アクションゲームが初めてという人にも親切で遊びやすく、誰もが楽しみやすい設計となっている。
RPGである『桃太郎伝説ターボ』と『II』の間に出された、いわば繋ぎの作品ながら手ぬかりなく仕上げられた良作であるといえる。


余談

  • 元々は桃太郎伝説をモチーフにした『R-TYPE』のパロディSTG『P-TYPE』として企画が立っていたものを横スクロールアクションとして変更されたものである。
  • シリーズの中でも数少ない、一寸法師が登場する作品である。
  • 桃太郎シリーズのアクションゲームとしては、GBソフト『桃太郎電劇』『桃太郎電劇2』も発売されている。
    • 『桃太郎電劇』では本作のBGMがアレンジされたり、ワールド構成が本作と似ているなど共通点が多い。
最終更新:2023年12月15日 14:43

*1 ステージ1のみスタート地点にたびだちの村、中間地点にはなさかの村と2つある。

*2 女優の斉藤由貴がモデルで、キャラクターデザインの土居孝幸氏が『FC版伝説』や『ターボ』の作中で斉藤由貴のファンであることを公言している。

*3 メッセージはランダム。中には某特撮ヒーローの台詞のパロディも。

*4 片肌を出し、さらしを巻いている。