本項目では、SFCソフト『ステイブルスター ~厩舎物語~』(判定なし)と、そのGB移植版(劣化ゲー)の紹介をしています。



ステイブルスター ~厩舎物語~

【すていぶるすたー きゅうしゃものがたり】

ジャンル シミュレーション
対応機種 スーパーファミコン
発売元 コナミ
開発元 KCE大阪
発売日 1996年3月22日
プレイ人数 1人
定価 11,800円(税抜)
判定 なし
ポイント 厩舎経営がメイン
弱い馬にも活躍の場がある

概要

コナミから発売された競馬シミュレーションゲーム第1弾。略称は「ステイブルスター」。
ダービースタリオン96』の後発という遅いスタートとなったが、内容は独自色が強く、他の競馬ゲームとの差別化はできている。

特徴

  • プレイヤーは調教師となり、馬主から預かった馬を調教し、レースに出走させていく。
    • 預かった馬をレースで勝たせると馬主がお礼を言いに来て、信頼度が上がっていく。
      • 信頼度を上げていくと、より強い馬を預けてくれる馬主が新たに登場する。
      • たまにセリ市や庭先取引で購入する馬を選ぶ助言を頼まれることがある。購入した馬は3歳*1になると入厩してくる。
    • 馬を預かるのを断ったり、馬主の引き留めを無視して引退させたりすると信頼度が下がる。
    • 経営資金の概念はなく、破産することもない。
      • 年末にはその年の成績と調教師ランキングが発表され、3年連続で最下位だとゲームオーバーになるが、全ての馬の入厩を断るという極端なプレイでもしない限り見ることはない。
+ 馬主紹介

市川(イチバン)、仁川(ニュー)、三井(サンクス)、志村(シネマ)

  • 通常の馬主。わかりやすい名前で、冠名のおかげで誰の馬なのかもすぐわかる。
    • ゲームスタート時は市川氏と三井氏の馬を既に預かっている状態で、他の二人もすぐに預託に来る。

後藤(ゴシック)

  • 海外産馬(マル外)を預託しに来る。当時の制度上、クラシックと天皇賞には出走権がない*2
    • 彼の馬を活躍させても新たな馬主が登場することはないが、強いので実績上げには利用できる。

赤井(マイケル)、青田(タウン)

  • 共同馬主。あまり強い馬ではないが、二人の信頼度が共有されており、上げやすい。

遠山(冠名なし)

  • 新たに馬主・牧場主となったばかりの人物で、まだ馬の事をよくわかっていない。
    • 主人公は助言という形で種付けする馬を選ぶ。言い換えればプレイヤーが自由に生産できるということである。
      • ただし信頼度が低いうちは種付け料の安い馬しか選べない。
      • 牝馬のインブリードも考慮されている。
    • 不受胎になっても、6月までなら再度種付けできる。
    • 牝馬は引退後に預けて、繁殖牝馬にすることが可能。なお初期馬として必ず遠山氏所有の現役牝馬がいる。
  • 厩舎の所在地を関東(美浦)・関西(栗東)から選べる。
    • 関東は新潟・福島、関西は中京・小倉競馬場に滞在なしで出走可能。選べる騎手も違いが出る。
  • 馬を預託される際に厩舎に所属している10人の厩務員から担当厩務員を選ぶ。厩務員にはそれぞれ特別な能力があり、担当した馬の特定の能力を向上させたり補うことができる。
    • 各厩務員は馬房にて担当馬の馬体重や調子についてコメントしてくれる。なお厩務員ごとのコメントの言い回しはほぼ同じで、分かりやすさが異なることはない。
    • 各厩務員が担当できるのは同時に2頭までで、担当馬が引退しない限り新たな馬を担当することはできない。
    • また、これとは別に調教助手が3名所属しているが、こちらは特に担当馬を設定することはできない*3
  • 種牡馬とコースレコード*4の馬名は実名で、繁殖牝馬やライバル馬、騎手・ランキングを争う調教師の名前は実在のもじりとなっている。
    • 特に騎手と調教師は全て漢字表記であるが、「読み」ではなく「書き」を似せるようにしているのが特徴で、元ネタが分かりやすいと同時に初見では「まさか実名!?」と思わせる絶妙な表記になっている*5
  • 1年は52週あり、1月・4月・7月・9月は5週にわたってレースが開催される。
  • レースは『武豊 G1メモリー』と同様に最大18頭立てで、当時西日本地域の競馬中継で実況を担当していた杉本清アナウンサー*6の実況つき。
    • さすがに馬の名前までは読み上げることはできず、字幕の該当箇所は帽子の色や番号に置き換えて呼ばれる。
    • スタート後にXボタンを押すと道中を飛ばして最後の直線シーンになる。
      • 直線で18頭揃っていても処理落ちしたりすることはない。
  • 競馬場ごとに最後の直線の長さが違い、短いと逃げ指示有利、長いと追い込み指示有利となっている。
    • もちろん馬のスタミナやダッシュ力にもよるので、この指示だけしていればいいというわけではない。
      • 優秀な騎手は何らかの指示を出すよりもお任せしたほうが良いこともある。
  • 調教は調教助手に指示しておけば毎週自動でやってくれる。
    • ダート(スタミナ)、ウッド(スピード)、坂路(ダッシュ)が基本で、週1回か2回行う。
      • プールはダートほどではないがスタミナを補強し、脚部への負担や疲労が少ない。
      • インターバル、角馬場、引き運動は効果が低いものの疲労が回復する。
    • 追い切りは主にレース前の体重調整に使う。調教助手が仕上がりについてコメントしてくれる。
  • 馬の特性
    • 預託される馬は入厩時に素質に関するコメントが表示され、ある程度能力や成長曲線について把握することができる。
    • ダート適性のほかに芝適性もあり、父親の遺伝の影響が強い。ダートも芝も得意という馬もいるが、どちらも苦手という馬はいない。
      • ダートだけが得意な馬は入厩時に「パワフル」と評価される。芝だけが得意な馬は芝レースで勝つと騎手が「芝のほうがいい」*7と評する。
    • 馬具*8の装着による矯正が可能。
      • 脚部不安の馬には自動的にバンテージが装着される。他の馬具と一緒に装着も可能。
    • ベスト体重は馬の成長に合わせて時々変動する*9
    • 故障以外にも、熱発やフレグモーネなど突発的な病気が発生することがある。
    • 芦毛の馬は見た目が黒いのもいるが、馬齢が進むほど白くなっていく。
  • 放牧できる牧場は3種類。
    • 通常牧場は疲労が早く回復するが、能力が少し下がる。
    • 育成牧場は疲労回復が遅めだが、能力が少し上がる。
    • 治療牧場は故障した馬専用。
  • 最終目標は海外G1競争*10の優勝。初めて優勝したときエンディングになる。
    • 出走するには、世界を目指す馬主*11から預かった馬で特定レースに勝つ必要がある。
      • 出走条件さえ満たせば出走を翌年に持ち越し可能*12。なお、海外に行けるのは生涯に一度きり。
      • エンディング後はどの馬主の馬でも海外G1に出走できるようになる。
  • 育成した馬を「オリジナルステークス」に登録することで対戦させることができる。
    • 登録できる馬は30頭まで。
    • パスワードを取って他人の馬と対戦することも可能。

評価点

  • 実力の低い馬でも、条件戦に勝たせることで厩舎実績や馬主の信頼度を上げるという使い道がある。
    • 新馬戦は4歳3月3週まで開催されている*13。クラシックを目指さないのなら、できるだけ鍛え上げてから遅めのデビューをさせると良い。
    • 同じクラスでもローカル競馬場のレースのほうがライバル馬が弱め。直線の短い競馬場で逃げさせるとあっさり勝てる事もある。
    • 出走登録すると厩務員が「勝てる」「微妙」「辛い」と3段階評価してくれるので、実際に出走するかどうかの目安になる。
    • 小規模な馬主は馬が勝つたびにお礼を言いに来てくれるので達成感がある。
  • 最後の直線では自分の馬の真上に勝負服と同じ色のマークが出て、位置取りを把握しやすい。
  • 自家生産馬には自分で名前をつけることになるが、「アアアアアアアアア」という名前にすると厩務員や調教助手がランダムに登場し代わりに名付けてくれる。
    • 名付ける厩務員や調教助手によって冠名が違ってくる。冠名が厩務員の持つ能力のヒントになっていることも。
  • 新人騎手の存在。
    • 厩舎経営が軌道に乗り始めた頃に雇われる。来た当初は出遅ればかりで弱いが、乗せ続けることで成長していく。
      • 最終的には日本代表騎手になる。彼を育成することが海外G1優勝への近道になる。
    • 厩舎専属なので騎乗依頼を断られることがない。
      • 当然だが違う競馬場で同じ週に乗せることは不可能。一度騎乗依頼すると、その週は他の競馬場のレースに乗せられなくなる。

賛否両論点

  • セーブせずにリセットすると、通常の秘書が「休暇を取った」という理由でオバチャン秘書が登場する。不正をしたプレイヤー自身への直接的なペナルティである。
    • このことから、本作はリセットを駆使して良い結果を厳選していくようなゲーム性にはなっていないと言える。この辺りは好みが分かれるところだろう。
    • 馬の故障も騎手のポカも全て受け入れる寛容な心を持たなければならない。
    • なお、秘書が交代しても話す内容や言い回しは全く同一のため、内容によっては違和感を感じずにはいられない場合も。
    • ただし、年を越せば何事もなかったように元に戻るためやむを得ずリセットしても一定期間我慢すれば済む話でもある。
  • 特定のレースに突発的に強い馬が出走してくる。
    • 槍玉に挙げられやすいのが青葉賞のサマーサスピシオン*14。ダービーを取った馬も青葉賞だけは勝てなかったなんてこともザラ。
    • 逆に、強い馬がほとんど出走してこない穴場レースもある。こういうレースを見つけられれば、弱い馬でも勝てて実績を上げられる。

問題点

  • 厩舎のセーブデータが1つしか作れない。
  • 前述したとおり各厩務員は同時に2頭までしか担当できず、引退しない限り担当馬を変更することはできない。
    • 未勝利馬としても引退まで1年半ほど、長く活躍する馬だと4年以上担当し続けることになるため、「今年来たこの馬にこの厩務員を割り当てて、この能力を向上させたい」というような場合でもその厩務員が空いているタイミングに合わないと割り当てることはできない。
    • 優先度の低くなった馬を強制的に引退させる手もあるが、信頼度を失うリスクもあるのでおいそれと使える手ではない。
  • 4歳10月時点で未勝利の馬はもう出られるレースがないが、引退させようとすると馬主に「早すぎやしませんか」と止められる。
    • どうあがいても引退させるしかないので信頼度が下がる。晩成馬は特にこのパターンに陥りやすい。
  • 条件戦の1500万下*15で突然ライバル馬の強さがハネ上がる。
    • 900万下をギリギリで勝てるような実力では、とても1500万下レースで勝つ事はできない。引退まで1500万下クラスのまま*16という馬も多い。
      • 1500万下条件レースは夏以外のローカル競馬場で開催されていないため、夏を逃すと更に厳しい中央場所の1500万下で勝たなければいけなくなる。
    • 逆に、1500万下さえ勝ってしまえばあとはもう楽なもの。ローカル競馬場のオープンレース*17にも除外されずに出走できるし、重賞で2着なら本賞金が増えるのでもう降格も恐くない。
  • レース当日の天気予報がない。
    • 道悪巧者の馬もいるが、出走させてみないと天気がわからないので生かしようがない。また道悪を苦手とする馬もいるので、肝心なレースで雨に降られて負けということもありえる。
  • 馬主との信頼関係を保つ以上、簡単に預託を断ったり弱い馬を切り捨てることができない。
    • 一度に複数の馬を同時に育てることになり、管理するのが大変。最大で20頭にもなるのでメモ書きがほぼ必須。
  • ハンデ斤量の計算がおかしい。
    • レースの格よりも着順が重要視され、一度も掲示板を外していない馬はハンデがきつくなってしまう。
    • 重い斤量を背負ってしまったら、次のレースにハンデ戦を使えなくなる*18
      • 格上挑戦で妙な指示をしてボロ負けさせるとハンデを軽くすることができる。
  • エンディングは海外G1初勝利時の一度しか見られない。
    • 海外G1を全種類勝っても、重賞カップを全制覇しても何も演出がない。

総評

競走馬育成というよりは、厩舎経営シミュレーションゲーム。
ひたすら最強馬を生産するのが目的の人には向かないので、ダビスタの亜種のつもりで購入すると痛い目を見るだろう。
強い馬1頭だけを育てていても調教師ランクはあまり上がらない。弱い馬もしっかり鍛え上げ、活躍させることができてこそ名調教師と言えるのである。
複数の馬に対して調教パターンの設定、他の馬とかぶらないような出走スケジュールの管理、果ては馬の生産助言から新人騎手の育成まで、調教師としての仕事は非常に多い。
厩舎の実績を上げ、馬主との信頼関係を築き、そしていつの日か日本の馬で世界の頂点に立つという夢を持つ馬主と出会い、共通の夢を叶えよう。

その後の展開

  • 続編として以下の作品がある。
    • ポケットGIステイブル(GB、1999年4月28日)
    • 実況GIステイブル(N64、1999年4月28日)・(PS2、2000年9月28日)
    • 実況GIステイブル2(PS2、2002年3月28日)

余談

  • 本作の外箱表面ではタイトルが「実況競馬シミュレーション ステイブルスター〜厩舎物語〜」となっており、タイトルロゴも上部「Stable Star」が「実況競馬シミュレーション」になっている。そのため、サイトや攻略本によって正式名称(及び掲載ロゴ)に表記揺れが見られる。
    • 本記事はタイトル画面の表記にならっている。
    • この当時コナミは『実況パワフルプロ野球'94」を皮切りに実況機能搭載のゲームソフトを複数発売しており、サッカーの『実況ワールドサッカー』や横スクロールSTGの『実況おしゃべりパロディウス』など野球以外のジャンルにも活用されていた。本作はこのタイトル表記からその競馬バージョンと言える。
  • ライバル馬のキョーエイコロナ*19が2頭いて、同じレースに参加してくることがある。

ポケットGIステイブル

【ぽけっとじーわんすていぶる】

ジャンル シミュレーション
対応機種 ゲームボーイカラー(全GB共通)
発売元 コナミ
開発元 KCE名古屋
発売日 1999年4月28日
定価 4,500円(税抜)
プレイ人数 1人
判定 劣化ゲー
ポイント メイン部分は大幅に劣化
新モード追加も劣化点カバーには至らず

概要(GB)

SFCステイブルスターのGBCリメイク作品。
ROM容量が半分になり、規模が大幅に縮小されている。
N64版『実況GIステイブル』と同時発売で、連動要素もある。
開発元は『悪魔城ドラキュラ 漆黒たる前奏曲』や『がんばれゴエモン ~黒船党の謎~』などコナミの看板シリーズを次々とクソゲー化してGBでリリースし続けたKCE名古屋。


新モード「ジーワン牧場」

  • ゲームを進めると「ジーワン牧場」モードが選択できるようになる。セーブデータは本編と独立して記録される。
  • このモードではランダムに選出された繁殖牝馬に種付けを行い、出産直前から3歳になって入厩するまでの世話・育成・調教を行い、最終的には本編に育てた馬を入厩させレースに出走させることができる。
  • 1月につき4週で進行し、1日は午前5時にスタートし、行動の結果20時に到達した時点でその日は終了。1行動あたりの経過時間は1時間単位で決まっており、ある程度計画的に行動する必要がある。
    • 仮に19時(残り1時間)に2時間以上要する行動を実行したりしても寝坊したりはしない。
  • 主な行動は以下の通り。
    • 餌やり(1時間)
      • 母馬(仔馬)に食事を出す。「あおくさ」「リンゴ」「ニンジン」などの複数から選んで(仔馬は乳離れするまで「ぼにゅう」のみ)馬ごとの満腹度を表す「まんぷくメーター」を参考に食べさせるが、馬ごとに好みがあり嫌いなものは拒否することもある。だからといって好物ばかり出すと体調不良の原因になったりする。
    • 掃除(1時間)
      • 馬たちが過ごす「うまや」、牧場内の「まきば」の清掃を行う。箇所分だけAボタンを押して整備する「ボロ*20ひろい」「ならし」「ゴミひろい」に加え、「うまや」に寝藁を補充する。全て行うには5時間を要する。
    • 手入れ(3時間)
      • 「ブラシ」「みずあらい」「つめそうじ」で馬をキレイにする。
    • 治療(1時間/2時間)
      • 体調不良を起こした馬を「さする」「あたためる」「ひやす」で看病するが、合わない治療法だと回復しない。「いしゃ」にお願いすれば2時間かかるが確実に治る。
    • 放牧(2時間)
      • 馬を放牧地に出す。出発で1時間、帰厩で1時間を必要とする。放牧中は掃除のみ可能。
  • また、仔馬の成長に合わせ訓練や調教、牧場内の管理をミニゲーム形式で行う。これらを行うことでクリアに必要な馬自身のステータス上昇や入厩後に必要な競走馬としての能力を向上させる。
    • ともだちつくろうゲーム
      • 神経衰弱の要領で6種類いる動物の絵柄のカードを最初に全部配置を見て覚えてから4枚めくり(全24枚)、全て一致すればその動物と友達になり後から遊ぶことができる。1度でもお手付きすればその時点で失敗、次回挑戦時に最初からやり直し。ただし失敗するまでに友達になった動物は有効。
      • 友達になった動物とは別のコマンドで遊ぶことができ、馬の精神面の成長に影響する。
    • 牧草刈りゲーム
      • 牧草をトラクターで刈り取る。時間内に全部刈り取ればクリア。トラクターは 左右ボタンで旋回 という癖のある操作法で難しい。失敗してもそのシーズン中は続きから始めることができ、7~9月の間にクリアできないと冬の間エサの「あおくさ」が1日1回しか出せなくなる。
    • 雪下ろしゲーム
      • 雪の降った日に厩舎の屋根から落ちてくる雪塊を一輪車で受け止め、厩舎の端に積み上げる。3回ミスで失敗。その日中にクリアしないと馬を不安にしてしまい気分を悪化させる。
    • 引き運動ゲーム(スタミナ強化)
      • ドットイートゲームの要領でフィールド内を歩き、制限時間内に全ての点を取ったらスタート地点へ戻る。他の馬もフィールド内を歩いており、すれ違うことはできない。
    • チキンレースゲーム(勝負根性強化)
      • ボタン連打で馬を走らせ、崖際でストップさせ相手の馬よりギリギリで止まれば勝ち。止まれないと崖下へ転落する。
    • 走行練習ゲーム(スピード強化)
      • 画面下の指示タイミング通りにABボタンを交互に押し、馬をゴールまで走らせる。クリア回数を重ねるたびにウォーク→トロット→キャンター→ギャロップと速度が上がっていく。
  • 最終的に3歳の7月4週までに目標ステータスを超え、入厩試験(走行練習ゲームと同じ操作方法)をクリアすれば本編へ入厩することができる。達成できなかった場合ゲームオーバー。

問題点(GB)

劣化した点

  • 厩務員が10人から6人に減少。預かれる最大数も6頭に大幅減。
  • 馬主との信頼度の概念がない。
    • 新たな馬主はゲームを進めていれば自動的に来るようになっている。来る順番も決まっている。
  • レースの実況がない。
    • 音声はもちろん字幕すら一切出ず、ただ馬が走っているのを真上から見るだけ。
  • 海外レースがない。
    • 最終目標は日本の全てのG1制覇に変更されている。
  • 馬の命名を厩務員に任せられなくなった。
  • 過去の出走記録を見れなくなった。
  • 専属騎手育成要素がオミットされ、通常の騎手に頼むしかなくなった。
  • 馬の成長によるベスト体重の変動がなくなった。
  • 1年が48週になった。
  • 牝馬のインブリードがなくなった。
  • G2・G3カップの収集要素がなくなった。

その他の問題点

  • 馬体重が554キロまでしか増えない。
    • ベスト体重がこれよりも重い馬はどうやってもベスト状態に持っていくことができない。
  • SFC版に比べてランダム要素が強く、ゲーム進行が安定しない。
    • 週2日調教をしても馬体重が全く減らなかったり、週1日調教でガッツリ減ったりする。
    • 調子がピークに達すると、以後はかなり長い間調子が落ちることなくピーク状態が続く。
      • その代わり不調からピークに達するまでが約半年と非常に長く、調子が落ち始めてもうかつに放牧できない。
    • 繁殖で親の能力の影響をあまり受けない。
      • 芝向けの馬からダート馬が産まれたり、長距離馬から短距離向けの仔が産まれたりする。
    • 大逃げ・まくり指示ができるようになったが、その指示をしてもほぼ通常通りに走る。
  • オリジナルステークスのパスワードにSFC版との互換性がない。
  • ジーワン牧場は1頭を育てきるまでの手間や時間が非常にかかるうえ、不親切なシステムも多い。
    • 餌やり、掃除、手入れといったいずれの行動もデモが長くスキップできないうえ、ミニゲームも回数を重ねる必要がある割に1回が長めなのでとにかく時間がかかる。
    • 治療についてはアイコンで体調不良が知らされるものの、原因(腹痛、ケガ、病気など)がわからないため3種類ある治療法のどれが適切か判断できない。結局医者に任せる方が確実で簡単だが、そこで初めて注射や絆創膏が表示されどういう体調不良だったのかが分かるというもの。
    • 総じて「ボリューム豊富で長く遊べ本編と違った楽しみがあるが、面倒な点も多く所々練り込み不足」といったところ。

賛否両論点(GB)

  • セリ市での馬の購入及び自家生産がなくなった。
    • 種付けアドバイスは馬主が持つ牧場にいる繁殖牝馬に対して行う。
    • 特定のG1を狙う場合、その特徴に合った馬を種付けすることで狙いやすくなる。
      • もっとも前述通りランダム性が強いため、特徴の合った馬が生まれるとは限らない。
  • 出走除外がなくなった。
    • ゲームとしては計画が狂いにくくて楽になったが、リアル感が薄れてしまった。
  • 騎手の名前が一部実名になった。
    • なぜか全員ではなく、実名になったのはトップジョッキーである岡部や武などの他、大西(大西直宏)*21や和田(和田竜二)*22とややマイナーよりな騎手にも実名になった者がいる一方で、知名度・実績共にある騎手の一部(福長(福永祐一*23)、藤多(藤田伸二)、植村(上村洋行)など)は変名のままとかなり中途半端な印象を受ける。

評価点(GB)

  • 厩務員の特徴がはっきりしており、そこから隠れ能力を連想しやすい。*24
    • 一人で何頭でも担当できるようになり、この厩務員に預けたいのに手一杯で預けられないということがなくなった。
  • 信頼度を気にせず馬を引退させられるようになった。
    • 特に狙うレースが限られてくるゲーム終盤は、特徴の合わない馬を即引退させることで時間短縮になる。
  • フェブラリーステークスが新たにG1競争に格上げされ*25、ダート馬の最終目標になった。
  • 競馬場ごとに解説が追加され、有利な脚質をはっきり示してくれるようになった。
  • 自分の馬が勝利した直後、スポーツ新聞の一面という体裁でゴールした瞬間の位置取り写真が表示されるようになった。
  • ジーワン牧場モードにより、ストイックに勝ち鞍を重ねることを目指す本編とは対極である仔馬を育成するという新たな楽しみ方ができるようになった。
    • 前述する難点はあるものの、シリーズのマスコットキャラクターと同じデフォルメキャラの馬が元気に走り回ったり砂の上をゴロゴロ転がる様、ブラシ掛けされて喜ぶ姿はとても可愛い。本編との連動を無視して育成を楽しむだけでも十分に遊べる。
    • また、ミニゲームの存在自体もGBという低年齢層が多いハードを考えれば競馬というどうしても年齢層の高い題材を上手く受け入れられるようにゲーム全体での雰囲気を柔らかくしたと考えられる。
    • 一方でやろうと思えば思い通りの配合に必要な能力を伸ばした馬を本編に送り込むことも不可能ではなく、カジュアルに楽しむか本気で必要な馬を生産するかこの辺りはプレイヤーが自由に決められる。

総評(GB)

実況なし海外なし等、SFC版から大幅に劣化しているのは否めないが、ゲーム内容はそれなりに充実しており、クソゲーと言えるほど出来が悪いわけではない。
むしろ半分しかない容量で、ここまでゲーム性を再現させることができているのは評価されるべきだろう。
オリジナルであるジーワン牧場モードもあり、他社製では見られない「競走馬になる前の馬」を育てるというGB版独自の楽しみもある。
どうもSFC版は馬が多すぎて管理が大変という人には、よりコンパクトなこちらのほうが向いているかもしれない。

最終更新:2023年06月30日 13:20

*1 旧馬齢表記。数え年で、誕生した年が1歳。

*2 出走可能になったのは2000年以降。

*3 預ける厩務員によって誰が担当するかが決まる。それぞれ短距離馬が好き・長距離馬が好き・どんな馬でも可という特徴があるが、担当した馬がそういう特徴の馬に育つわけではない。

*4 ゲーム中でレコードが出た場合はその馬に置き換わる。

*5 解りやすい例として騎手では式豊(武豊)・的揚(的場均)・樺山典(横山典弘)・蛇名正(蛯名正義)など、調教師では藤択(藤沢和雄)・僑口(橋口弘次郎)・伸藤雄(伊藤雄二)など

*6 西日本で放送していた「ドリーム競馬」の関西テレビ版に出演。なお東日本地域でも「スーパー競馬」の中で関西GIを中継する際はドリーム競馬の映像音声が放送されていたため、杉本アナウンサーの実況はほぼ全国で視聴可能だった。

*7 ダートレースで負けると「ダートでは走らない」

*8 メンコ:落ち着きがない馬、ブリンカーor去勢:気性難の馬、シャドーロール:根性のない馬

*9 成長すると、以前と同じ体重でも「重い」と言われなくなる。

*10 ケンタッキーダービー・ブリーダーズカップ(5種類)・凱旋門賞のどれか

*11 最初は登場しておらず、馬主の信頼を得ることで新たに登場する。

*12 4歳限定のケンタッキーダービーを除く。

*13 もしアクシデントで出走できなくても、5月2週の新潟まで未出走馬専用レースが用意されている。

*14 モデルは95年度優勝馬のサマーサスピション。

*15 現在で言う3勝クラス。

*16 5歳の夏に本賞金が半減するので再度900万下レースに出る事は可能。

*17 厩務員の3段階評価から判断するに、中央場所の1500万下レースよりもレベルが低い。

*18 65kgを超えてくるとまず予後不良。

*19 モデルは93年フェニックス賞を制したキョウエイコロナ。

*20 いわゆる糞のこと

*21 重賞制覇数はもちろん勝ち鞍自体が少なかったが、1997年サニーブライアンで二冠を達成してその実力が再評価された。それでも当時の知名度は「実力派のベテラン」くらいのものだった。

*22 当時はまだ「期待の新人」程度の知名度しかなく、発売直前に1999年皐月賞をテイエムオペラオーで制してGI初勝利を得たことで知られるようになり、その後の活躍は説明するまでもない。

*23 和田竜二と同期デビューだが、昭和期に大活躍した福永洋一騎手の二世であることや、1998年にキングヘイローでクラシック戦線に出ていたこともあり知名度は群を抜いていた。

*24 元気→健康、ベテラン→息が長い、真面目→気性が良い、理論派→切れ者、あわてんぼ→速い、体育会系→根性。

*25 現実では1997年から。ちなみにこのソフトの発売された99年のフェブラリーSはメイセイオペラが史上初かつ現在も唯一の地方所属馬としてGIを制した歴史的なレースとして知られる。