糸井重里のバス釣り No.1

【いといしげさとのばすつりなんばーわん】

ジャンル 釣り(シミュレーション)
対応機種 スーパーファミコン
メディア 32MbitROMカートリッジ
発売元 任天堂
開発元 ハル研究所
ダイス
発売日 1997年2月21日
定価 7,800円(税別)
備考 サテラビュー対応
判定 賛否両論


概要

本作は開発元のハル研究所において当時、取締役監査役の糸井重里氏が監修を務めた、本格的なバス釣りシミュレーションゲームである。
プレイヤーは、架空の湖である「赤星湖」に訪れ、日々移り変わる自然の中で、現実世界に極めて忠実で巧妙なバス釣りを楽しめる。

ゲーム内では、BAC(バスアングラークラブ)主催のトーナメントにエントリーし、赤星湖のNo.1アングラーを目指すもよし、様々な登場人物との交流を通しながら、マイペースでゆったりと気ままな釣りに没頭するもよしで、本作をどのように楽しむかは全てプレイヤー側の意思に委ねられている。


ゲームモード

  • 本作にはゲームの肝となる「BACモード」と、「フリーフィッシング」の2つのモードがある。
    • タイトル画面で「START」の項目を選ぶと「BACモード」が、「FREE FISHING」を選ぶと「フリーフィッシングモード」が開始される。
  • 「SATELLAVIEW」「MEMORY PACK」の項目は発売当時実施されたサテラビューのデータ放送へ対応した機能となる。
    • SATELLAVIEW:リアルタイムで実施された時間限定イベントへ参加するモード。ラジオと連動した「サウンドリンクゲーム」として放送されたほか、ラジオなしのイベントも実施された。
    • MEMORY PACK:攻略情報などを掲載した本作専用のデジタルマガジンを閲覧するモード。こちらはデジタルマガジンのデータをサテラビュー付属のシステムカセットで受信、専用記憶媒体のメモリーパックに記憶させ、当カセットに差し込み閲覧するもので、放送時間外にも利用できた。


BACモード

  • タイトル画面で「START」を選ぶと、BACモードが開始される。
    • プレイヤーはまず最初に、BAC(バスアングラークラブ)というバス釣り協会に入会することとなる。
      • この際、BACの会員になるかどうかを受付嬢に「YES」か「NO」で問われるが、何度「NO」を選択しても、 結局は「YES」を選ばざるを得ない状況になる。 入会後「BACカード」という会員証が発行され、8文字以内で名前を入力するが、一度決めた名前は変更不可。
    • 入会すると特典として釣り具と、赤星湖でお金の代わりとなるFSというポイント(後述)が貰える。
  • BACへの入会が完了すると、以後プレイヤーは自由に行動することが可能となり、NO.1のバスプロを目指して奮闘するのも、マイペースでのんびり釣りを楽しみながら釣り道具を揃えていくのも、自分の足と耳で良ポイントを探すのも、全てプレイヤー自身の選択に委ねられる。
  • BACでは、ローカル(セミプロ)とプロの大会が年間を通して、それぞれ計5回ずつ催されているが、これら大会にエントリーするには、ローカル・プロ共に一定の参加資格を満たしている必要がある。
  • 一定の条件を満たすと、赤星湖の「ゴミ拾いキャンペーン」に参加することが可能となり、集めたゴミの数に応じて引ける「ゴミくじ」に挑戦することができるが、このくじで同じ絵柄のカードを一度に揃えられれば、フィールドの陸上移動を高速化できる「マウンテンバイク」や、一部の場所を除いて、ボート小屋を経由せず陸から湖へ直接入れる、手漕ぎの「カヌー」が入手できる。
  • 赤星湖で釣りが可能な時間は、朝6時から夕方の18時までとなっている(18時を迎えると自動的に帰宅する)が、パーキングから車に乗ればいつでも帰宅することは可能。
  • セーブスロットは全部で3つあり、セーブはゲーム内タックルボックス画面の「SAVE」から行え、タイトル画面の「CONTINUE」から再開できる。
  • 特定の条件を満たすことでスタッフロールが流れる(ゲーム自体はそれ以降もエンドレスで続く)。


フリーフィッシングモード

  • タイトル画面で「FREE FISHING」を選ぶと、赤星湖の環境を自由に設定した釣りが行える。
  • 変更できる項目は、日時/一昨日~当日の天候(魚の分布に影響)/水温/風向および風速と、非常に細かい。
  • タックル(釣り道具)は最初から全てを所持した状態であるため、BACモードで買う予定のタックルも先んじて試用することができる。
  • 唯一の制約として、ボート小屋以外の施設に入ることができない。
  • セーブデータは独立しており、BACモードのデータとは競合しない。

特徴・システム


BACカード(会員証)

  • カード表側にはブラックバスの絵柄が刻印されているほか、会員の氏名、赤星湖でお金の代わりに使うFP(フィッシュポイント)の所持数が確認でき、片や裏面にはカードのランクアップに必要な、FS(フィッシュスタンプ)を押すためのスペースが設けられている。
    • カードにはランクがあり、GREEN→SILVER→GOLD→PLATINAの順に進化し、カードの色も変化。ランクに対応した大会の参加資格を得る。
    • さらにある条件を満たすことで特別なランクに達するが、このランクにのみ付与される秘密の特典が存在する。
  • 自分がこれまでに釣った魚の最高記録は魚種ごとに全て記録されており、それを更新するたびにカード上でブラックバスの絵柄が光り輝く。
  • メニュー画面(タックルボックス画面)からこのカードを選択すると、これまで獲得したFSの累積状況が確認でき、さらに次のランクに必要な残りFSのほか、現在所持しているアイテムや、これまでに獲得した大会トロフィーなども一覧することができる。


FP(フィッシュポイント)

  • ショップでの買い物や、ボートを貸してもらう際に必要な、お金の代わりとなるポイント。
    • ブラックバスは全部で6種類存在するが、どの種類を釣ってもその重量と同じだけのポイントが、BACカードに付与される。
      • ただしブラックバスではない魚、いわゆる「外道」は重量に関係なく、魚種ごとに設定された固定値の分だけしか加算されない。
  • 魚を釣り上げる以外にも、アマチュアやプロの大会で入賞することにより、順位に応じたFPを入手することができる。
    • 大会参加中に釣ったバスやその他外道に関しては、通常時と異なりFPが付与されない。


FS(フィッシュスタンプ)

  • BACカードのランクアップに必要なスタンプで、バス釣りのトーナメント(大会)で入賞することにより、順位に応じたFSを得ることができる。
    • スタンプは年をまたいで持ち越すことはできないが、一年の間に規定の数を獲得すると、BACカードのランクが翌年の元日に昇格する。
      • 逆に言えば、ポイントが規定数に満たない場合、年内に獲得したFSが翌年時に全てゼロに戻されることとなる。
      • また一方で、ランクアップに必要な規定数以上のFSは、獲得不可能になる(あなたにはもう必要ないと言われる)。


タックルボックス

  • 本来は「釣り用具の収納箱」の意味だが、本作では主にメニュー画面としての役割を果たしている。
    • ここから使用する釣り具の変更が可能で、所持しているロッドやリール、ハードルアーとソフトベイト、リグなどが選択できる。
    • 「LIVEWELL」では、お気に入りの魚を5匹まで常に入れておくことができる。
    • 「RANK」ではこれまでに釣った魚の重量ベスト3、「Special RANK」では3種存在する特殊バスの種類別重量ベスト3を確認できる。
    • 「?」の項目を選択すると「アドバイスこぞう」を呼び出すことができ、様々な情報を教えてもらえる。
    • BACカードを選択すると、累積FSポイントの詳細、ランクアップに必要なFS、所持アイテム、獲得したトロフィーなどが確認できる。
    • セーブ機能も備えており、タックルボックスが開ける場所ならいつでもどこでもセーブが可能。


アドバイスこぞう

  • タックルボックス画面の「?」や、BAC入会後に手に入る「ケイタイ電話」があれば、フィールド上でSTARTボタンを押すことで呼び出せる。
    • タックルボックスとケータイ電話でそれぞれ違う情報が聞けるが、ゲーム全般にまつわるQ&Aから釣り方までレクチャーしてくれる。
    • 本ゲームやバス釣り自体の初心者は、ここでしっかり情報を得ることで、このゲームで出来ることが大方把握できるようになる。


自宅

  • 18時になる、パーキングから車で帰る、参加した大会が終了する、このいずれかの状況になった場合、プレイヤーは赤星湖から帰宅する。
  • 自宅には翌日朝までスキップする「ベッド」、指定した日付まで飛べる「カレンダー」、メニュー画面である「タックルボックス」が選択可能。
    • カレンダー上では、自分がエントリーしている大会がある場合、その日付部分が赤い丸印で示されている。

トーナメント

  • トーナメントには、誰でもエントリーできる「ショアトーナメント」、BACカードがSILVERランク以上で出場可能な「ローカルトーナメント」、GOLDランク以上のみ参加資格がある「プロトーナメント」、さらにPLATINAに達した者のみが出場できる「ビッグトーナメント」が存在する。
  • いずれの大会も開始時刻は6時、 ウェイイン(計量)の刻限は17時45分までとなっており、以降は1分遅れるごとに200gのペナルティが課され、18時を過ぎてもウェイイン会場に現れなかった場合は、自動的に失格となる。
  • 釣り上げた時に表示されるバスの重量と、ウェイイン時に計測される実際の重さは多少前後する。
  • 自宅のカレンダー上では、自身がエントリーしている大会の開催日は赤い丸印で示されているが、この日付を越えてスキップしようとすると、大会の出場を棄権するかどうかを訊ねられる。大会を棄権しても特にペナルティはない。


ショアトーナメント

  • サウスエリアとノースエリアにそれぞれ存在する、特定のレストハウスでエントリーが行え、競う条件を1匹の重量か3匹の総重量か、プレイヤー側の意思で設定でき、またその場で時間を大会開始日時までスキップすることが可能。
  • 3匹の総重量で競う場合のみ、ビッグフィッシュ賞(大会内で一番重いバスを釣り上げた人に贈られる賞)が設けられる。
  • それぞれのレストハウスで行われている特別ルールを敢えて採用することもできるが、これもまたプレイヤーの自由。
  • 1年を通していつでも開催されているが、ローカル以上のトーナメントが行われている日には開催されない (日付スキップを行った際には当該トーナメント開催日の翌日までスキップされる)。
    • 釣りが可能な場所は赤星湖全域で、湖内はもちろん陸からの釣りも可、「ボウズ池」や「なまず池」といったノースエリアの池も対象。
    • 入賞できなかった場合でも参加賞として、ランダムなルアーが貰える。
    • 優勝するとFSやFPとは別に、優勝者の証であるキャップが貰え、これが累計10個目になるとゴールドキャップが獲得できる。


ローカル/プロトーナメント

  • 毎年3月~12月の10日、奇数月にローカル、偶数月にプロの大会が催されている。
    • 釣りが可能なエリアに制限が加わり、赤星湖全域の場合もあれば、サウスエリアやノースエリアに限定される大会も存在する。
    • バスボートとGPS、デプスファインダー(魚探)などは、BAC側が各大会ごとに用意してくれる。
    • ショアと異なって陸からの釣りは不可 となり、ボート小屋に戻るとウェイイン(計量)会場への移行が可能。
    • 5匹の総重量で競うが、シェアと同様、ビックフィッシュ賞というものが設けられている。
  • ローカルのみダブルス形式の大会も催され、この場合はパートナーとボーター権(ボートの操縦権)を一定時間ごとに交代することとなる。
    • 選定される相手は毎回ランダムなため、もし実力が低い選手と組まされた場合、ボーター権が自分に移る時刻になるまで、ろくに釣れないポイント間を連れ回される。 なお最初のボーター権がペアのどちらに移るかは、コイントスで決定される。
  • 優勝するとFSやFPに加え、大会ごとに用意されている専用のトロフィーやオブジェ、リングなどが獲得できる。
    • プロトーナメントを勝ち進むと、特別な「ビッグトーナメント」への参加資格を得ることができる。


ビッグトーナメント

  • プロトーナメントを勝ち進んだ選手のみが参加する特別な大会で、毎年4月7日~8日の計2日間に渡って行われる。
  • この大会に優勝するとFP以外にも、ひときわ特別な褒賞が得られる。

フィールド関係

フィールド(陸と湖)

  • 赤星湖はサウスエリア・ノースエリアの区分が存在し、東西のパーキングエリアから二点間の固定移動が可能(途中降車は不可)。
    • 岸辺から釣りを行ういわゆる「オカッパリ」はもちろんのこと、手漕ぎやバスボート(貸しボート含む)による船釣りも可能。
    • フィールド上では、日時と天候に加え、気温、さらに風向と風速が常時確認できる。
    • 釣り具屋の糸井店長曰く、雨に濡れないシステムが完成しているとのことで、フィールド上で落雷を受けることもないが、現実の釣りにおける雷の危険性については、ゲーム内といえどしっかり注意喚起を行っている。
    • 鉄橋(フルミ大橋)の上からは、釣りが行えない仕様になっている。
  • 徒歩での長距離移動はゲーム内でも言及されている通り(親指の付け根が云々)結構大変だが、BAC本部で挑戦できる「ゴミくじ」でマウンテンバイクを入手すると、以降の陸上移動はかなり快適になる。
    • 手漕ぎボートは店で販売されているものと、マウンテンバイク同様にゴミくじで得られる「カヌー」があるが、 後者は陸上からそのまま乗船できる性能を持っている(一部をのぞく)。
    • バスボートの購入まではハードルが高いが、 ボート小屋でバスボートをレンタルすれば、水上の高速移動も序盤から行えるようになる。
    • 水中のストラクチャー(障害物)も巧妙に配置されており、魚探を通して様々な構造物も把握することが可能で、沈没船や浚渫跡(しゅんせつあと)さえも存在する。


赤星湖の施設

  • 入場可能な施設には、B.A.C.、ショップ(釣り具屋)、両エリアのパーキングとボート小屋、レストハウス、V.I.P.がある。
    • B.A.C.では、大会へのエントリーやゴミ拾いキャンペーンの参加などが行える。
    • バスショップでは非常に多種多様な各種買い物のほか、糸井店長との豊富な会話に加え、レイクレコード(赤星湖で釣れた最大級のバスと釣った人の名前)を専用のディスプレイから確認できる。
    • ノースエリアとサウスエリアにそれぞれ存在するパーキングでは、車による二点間移動が行えるが、自分の車が反対側のパーキングにある場合は利用不可。
    • レストハウスは、ショアトーナメントにエントリーできる所、単純に会話と時間スキップのみ可能な所、クイズに全問正解するとルアーが貰える所など様々なタイプがある。
    • ノースエリアの左側最下部には「V.I.P.」という施設が存在するが、ある特殊な条件を満たしていない限り、門前払いを受ける。


赤星湖以外の釣り場

  • ボウズ池
    • ボウズ池はノースエリアの左下部に存在する全8箇所の茶褐色をした溜め池のうち、一番右上のものを指す。
    • 基本的に全く何も釣れないか、あるいはニジマスしか釣れない奇妙な場所だが、ある一定の時期と時間帯にのみ、ボウズ(釣果なし)とは程遠い、極めて特異な現象が起きる。
  • なまず池
    • ボウズ池からさらに南東方向に位置する、深場がほとんど存在しない浅い池。夏場のマヅメ時のみナマズが釣れるが、ごく稀にランカ―クラスのバスが現れることがある。
  • 鉄馬湖
    • 鉄馬湖は、説明書内などでも言及されているが、ボート釣りが禁止されているプライベートポンドで、ある条件を満たさないと入れない。

釣りシステム


キャスト(投げ込み)

  • キャストポイントを決定すると、ルアーのキャスト(投げ込み)画面に移行する。
  • キャスト画面では、ルアーを投げる前と後とで確認できる情報が変化する。
    • キャスト前は現在時刻と水温に加え、風向と風速が確認でき、キャスト後は自分からルアーの距離と水深が把握できる。
    • 仕様上、30m以遠には飛ばないようになっている(魚にひっぱられてもこの距離を越えることはない)。
  • 逆三角型の白いキャスティングカーソルが投げ込む目標位置となるが、風が強い場合はその影響を考慮する必要がある。
    • ベイトリールを使用している場合、サミング(ゲーム内では着水直前にAボタン)しないと、現実同様にバックラッシュ*1が起きる。
    • バックラッシュすると、絡んだ糸を治すのに時間を消費してしまう(画面上部にテロップがでる)。
  • L/Rボタンを押すと、プレイヤーの立ち位置を、左右側それぞれにある程度まで調整することができる。
  • キャスト画面中に雨が上がる、もしくは逆に雨が降り始めた時は、上部にテロップが音を伴って出現し、画面が遷移する。
  • 画面左上にはワイプ状のイメージウィンドウが表示され、現在のルアーがどんな状態で動いているかを視覚的に確認することができる。
    • ルアーが水底に着底した際はウィンドウが左右に揺れ、独特な音が鳴る(構造物があった場合はそれぞれ独特な音がする)。
    • 魚が針にかかると、ルアーの姿がそのままバスのグラフィックへと変化し、魚の動きが把握できるようになる。
  • 画面右側には、ラインのテンション(釣り糸の張り具合)を示すゲージがあり、テンションが強まっていくと【青→黄→橙→赤】の順にゲージの色が変化し、 同ゲージが赤のまま一定時間放置すると、ラインブレイク(糸が切れる)してしまい、ルアーをロストしてしまう。
  • 通常、ルアーを換装するにはタックルボックス画面を経由する必要があるが、BACランクがSILVERに達した際に貰える「ルアーケース」があれば、予め設定した6種のルアーに限り、キャスト画面上で素早くルアーを交換することが可能。


リトリーブ(誘い)とアワセ

  • キャストしたルアーの着水後、ルアーの種類やストラクチャー周りに応じた適切なアクション(トウィッチング、ヴァーチカルジギング等)を行うことで、魚を効果的に誘うことができる。なおこれらの誘い方は、ゲーム内で「アドバイスこぞう」によるレクチャーや、別冊扱いの解説書からも学ぶことができる。
  • Bボタンを押すとスプールフリー*2状態となり(ルアーとの距離アイコンが変化)、糸を再び巻くまでリールから自動的に出ていくようになるため、ルアーを目標の水深に素早くフォール(沈下)させる際や、 大物とのファイトで糸のテンションが限界を迎えた時に有効な手段となる。
  • パワーボタン(L/Rボタン)を押したまま糸を巻くと、高速で引き寄せられる。
    • AとBボタンを同時押しすると、強制巻き取り状態になり、一定の障害物も無視してルアーを瞬時に手元に戻せる。
  • ルアーケースを所持している場合、Yボタンを押すことでタックルボックス画面を経由することなく、設定した6種のルアーをその場で交換できる。
  • リトリーブ中、水上の杭や葦の根など、一部ストラクチャーにルアーが引っ掛かってしまうことがある。
    • ルアーを水底に着底させたあと、底をズルズルとひっぱってこれる場合、底の材質や状態に応じた独自の音を感じ取ることができる。
      • 急に深くなっている場所や湖底の音が変化するポイントを把握することで、大物との遭遇へと繋がる可能性が高まる。
  • 魚がルアーにヒットすると「プルン」というアタリ音が鳴る が、そこでアワセ(フッキング)を行うことにより、初めて魚が針にかかる。
    • アワセの成功度に応じて専用の音が鳴り、この時に生じる音が高ければ高いほど、完璧なアワセとなる。
    • ランカークラス(50cm以上)のバスなら、完璧なアワセでないと、十中八九釣り上げるまでにバレてしまう(針が外れてしまう)。
      • 目安として「ピーン」なら完璧、「ポーン」ならそこそこ、「ボーン」という低い音なら極めて針のかかりが浅い、ということになる。
    • アタリは一度だけとは限らず、状況によっては一度目のアタリのみでは巧くアワセに持ち込めない場合もある。
  • アワセは、前者はA+Xボタンの同時押しで自動的に行われ、発動するまでに若干タイムラグが生じるが、パワーボタン(RかLボタン)を押したまま十字キーを素早く下に入れてアワセを行えば、ロッドが高速でしゃくられることでラグが最小限となり、完璧なアワセを実現しやすい。
  • 的確なアワセのタイミングは、アタリのきた水深や使用しているルアーがハードプラグかワームかによっても変化するため、慣れが必要である。


ファイト

  • アワセの成功度に関わらず、魚がフック(針)がひっかかるとファイト状態となり、専用の音楽が流れ始める。
    • 相手がブラックバスの場合、フックを外そうとジャンプしたりエラ洗いをしたりするが、その瞬間にスプールフリーなどにして糸を弛ませてしまうと、たとえアワセが完璧であったとしても、途端にフックが外れてしまい、そのままバラしてしまうことになる。
      • 外道に属する魚種は、こういった糸を外そうとするアクションを起こさない。
  • ファイト中に魚が動いて、杭などに糸が引っ掛かった場合、距離アイコンが変化し、引っ掛かったことを示す状態に変化する。
    • 引っ掛かった場所が葦の根だった場合、最悪そのまま根がかりした状態へと移行してしまう場合もある(ルアーをロストしてしまう)。
  • 相手が大物の場合、当然ラインに負荷がかかりテンションゲージも上がっていくが、性能が高いリールはこの負荷がかなり軽減される。
    • ある程度慣れてくると、このラインのテンション度合いだけで相手の魚種やサイズがほぼ判別できるようになる。
    • 正攻法としては、テンションが限界を迎えるたびにリールをスプールフリー状態にし、魚を敢えて遠方まで泳がせることで体力を奪う、という動作を何度か繰り返して、イメージウィンドウ内の魚の動きがスローになったら、一気に引き寄せるという手法が推奨されている。
      • 十分に性能の高いリールであれば、ロッドを立てて魚を引き寄せつつ、次にロッドを倒しながら糸を巻き取るという「ポンピング」というテクニックを、パワーボタンを押した状態のまま高速で繰り返すことにより、負荷を分散しながら一気に引き寄せることが可能。
  • 魚がフックから外れないよう手元にまで引き寄せられれば、水深のアイコンが赤と黄色に点滅する魚のマークに変化し、そこでXボタンを連打することでランディング(釣り上げる)が初めて可能となる。
  • ランディングに成功すると、釣り上げた魚の詳細画面へと移行し、魚のグラフィックと共に魚種名、重量、体長が表示され、キャッチするかリリース(放流)するかを選択することができる。

評価点

  • 限りなくリアルに近いバス釣りの醍醐味
    • 朝マヅメや夕マズメの概念、スポーニング、マイグレーション、ターンオーバー、気候や季節ごとに大きく変化する活性やタナ、各種ストラクチャー環境など、現実におけるバスの習性や自然の動きまでもが、驚くほど精緻に再現されている。
  • 多彩なタックル(釣り道具)
    • ロッドやリールはもちろん、晴れ用と悪天候用のカラーが用意された多種多様なルアーとワーム(リグも5種用意)、その他にも手漕ぎボートやバスボート、GPSやデプスファインダーに至るまで存在しており、それを自分で稼いだFPで徐々に揃えていく楽しみもある。加えてこれらタックルには、SFCとしてはリアルな個別グラフィックが用意されている。
  • 初心者への手厚いサポート
    • 現実のバス釣りに限りなく近い仕様のため、難解な概念もあるが、それでも初心者がなるべく困らないように、ゲームの内の「アドバイスこぞう」や専門用語の解説書などが用意されており、実際のバス釣りにまで応用できるほどの深い知識を学ぶことができる。
  • 環境への配慮
    • 本作のパッケージには動物キャラが「水鳥を大切にしよう」「ゴミは持ち帰ろうね」とフキダシ上で語り、ゲーム内でもゴミ拾いキャンペーンを通して、移動速度を向上させるアイテムが景品として得られる仕組みにしてあるなど、釣り人のマナーや環境への配慮が感じられる。
  • ユニークなセリフ回し
    • 本職がコピーライターである糸井重里氏が監修しているだけあり、登場人物のセリフ回しにはユニークなものが多く、NPCと話しているというより、実際の人間と話しているようなリアルさが随所から感じられる。なお、施設内などで対面するキャラには、それぞれ個別の顔グラフィック(実際の顔写真データを反映したもの)が用意されている。
  • カントリー調のBGMが多い
    • タイトル画面、フィールド上、レストハウスやバスショップなどの施設内、大会の会場、BAC本部など、多くの場面でカントリー調のBGMが流れており、好みの差はもちろんあるものの、どこにいてもゆったりとした雰囲気に浸ることができる。

問題点

  • ラインの太さが変えられない
    • 現実のバス釣りでは、ラインの太さ選択も非常に重要な要素の一つだが、本作ではこれを変更することができない(本作以前に発売されたバス釣りゲームでも、ラインの太さが変更できる作品は存在していた)。ロッドのテーパー(調子)まで考慮されていた本作においてこの概念が無かった点については、リールのドラグ調整機能の導入などで解決できた余地もあり、今なお疑問が残る。
  • 釣り可能な湖が基本的に赤星湖しかない
    • 実際は赤星湖以外にも釣りが可能な場所はあるが、いずれもフィールド面積や条件がかなり限定されている。
    • 他のバス釣りゲームでも、複数の湖にアクセスできることは多いため、人によっては不満を感じる可能性がある。
  • トーナメントで上位入賞者が大体いつも同じ顔触れになる
    • ダブルス形式の大会で上位入賞の常連と組んだ場合は、その相手と競うことがなくなり、ボーター権が移った際も変なポイントに連れていかれることが少なく、場所を頻繁に変えない限りは相手が勝手に釣ってくれることも相まって、割と楽ができるという恩恵もある。
  • パッケージに多数存在する擬人化された動物
    • 本体のパッケージには、ひこねのりお氏がデザインした動物を擬人化したようなキャラクターが多数描かれているが、これら動物キャラがゲーム内で登場することはない(N64版は別)。
      • 全く気にならない人もいれば、当時どうぶつの森的な要素を期待した人が購入した場合、マイナス評価となり得る。
  • イメージウィンドウに移る魚が常にバス
    • キャスト画面に移行すると、左上にルアーの動作状態を移すワイプ画面が現れ、魚がヒットすると内容がルアーからバスの姿へと移行するが、針にかかっている魚がブルーギルであろうとニジマスであろうと、そこに映っている魚は常にバスのグラフィックで固定されている。
      • バス釣り自体の再現度は極めて高い分、この一点がかえって気になってしまう場合がある。

賛否両論点

  • 現実のバス釣りに極めて忠実であるため、大物を釣るためには相応の知識や洞察力が必要になる
    • このため、他の釣りゲームでしばしば見受けられる、釣りの知識がなくとも大物が簡単にバンバン釣れるといった状況がまず起こらない。
    • 何も考えず、ただやみくもに釣っていても、小物や外道ばかりで大物との駆け引きを楽しむことが難しい。
    • 大物がいる場所でも、同じ場所で釣りを続けていると、徐々に魚がスレる(警戒する)ため、次第に小物や外道しかかからなくなる。
    • 正攻法で大物と格闘する場合、魚を釣り上げるまでにかなりの時間がかかってしまう。
  • アワセ(フッキング)が非常にシビア
    • いわゆるランカー(50cmオーバー)のバスと格闘する際、自動アワセだけでは中々難しい 完璧なアワセが身についていないと、ランディング(釣り上げ)までにほぼ必ずバラしてしまう(針が外れる)。
    • 実際の釣りでも向こうアワセ(魚の方から針にかかってくる)や、アワセ自体が甘い場合は本当にそうなるため、これもリアルに忠実であるが故の仕様ではある。
  • ゲーム内でのメタ発言
    • これは各プレイヤーの好みに左右されるところながら、ゲーム開幕時にBAC本部で受付嬢からの入会勧誘を拒否し続けると、最序盤から遭遇できる。その他バスショップの糸井店長から、割とメタな発言が聞ける。
  • 水中の様子を目視することができない
    • 水上であれば魚探を利用することである程度、湖底の環境が把握できるが、陸上からの釣りでは自分で底を取るなりして確認する以外に、水面下の環境を探る術がない。なお後発のN64版では水中の様子も確認することができるようになっている。
      • 水中が見えた方がやり易いという意見と、見えないからこそ自分で試行錯誤する楽しみがあるという意見があり、評価が分かれる。
  • ゴミくじという運ゲー要素
    • フィールド移動を快適にするためには、BACのゴミ拾いキャンペーンに参加し、ゴミくじに挑戦する必要があるが、ゴミを最大限まで拾うのに結構な時間がかかる上、ゴミくじは18枚あるクジの中から、特定の絵柄をマウンテンバイクなら3枚、カヌーなら2枚を連続して開ければ成功だが、相当な枚数があるクジの中から限られた挑戦回数内で揃える必要があるため、 運が悪いと何度もゴミ拾いをするハメになる。
      • ただし、プレイヤー側に釣り場での環境意識を訴える手段としては、他の釣りゲームには類を見ない斬新な手法であり、評価もできる。

総評

本格的なバス釣りに特化した本作は、本作以後に発売された釣りゲームと比較してもなお、極めて高い完成度とリアルな釣りの再現度とを誇っているが、発売時期が97年2月というPSなどの第5世代機が既に投入されたSFCの最後期であったことに加え、現実に忠実であったが故の難しさがあり、イメージ通りに魚を釣るという実質的な成功体験を得られるまでには現実同様に時間がかかる。このためか、バス釣りブーム時期の最中にもかかわらず売り上げ自体は芳しくなかった。

しかし本作は、バス釣り初心者に対する配慮もゲーム内外を問わず非常に手厚く、ゲーム内では「アドバイスこぞう」を通してチュートリアル的なものから現実にまで応用可能な情報が得られたり、ゲーム外でも初心者には馴染みのない専門用語を解説した別冊まで用意されていたりと、他の釣りゲームとは様々な面で一線を画すつくりとなっていた点が評価に値する。そして現実のバス釣りを知っているユーザーにとっては、本作がいかに実際のバス釣りに近いかがよく解る仕様となっているため、今現在プレイしても遜色がないほどの面白さ・奥深さがあるといっても過言ではない。

一方で本作はサテラビューに対応しており、衛星放送セント・ギガによるオンライン大会が開かれるなど、現在でいうマルチプレイの先駆者でもあったが、環境構築のハードルが当時としてはかなり高く、サテラビュー自体の普及も進まなかったため、その利点を活かすことは叶わなかった。


余談

  • 本作では「オリジナルルアー・プレゼントキャンペーン」というプレイヤー参加型の企画が、1997年の2月21日~4月30日まで存在した。
    • これはランカークラス(50cm以上)のラージマウスバスを釣り上げると、タックルボックスの「RANK」画面から発行されるパスワードがあり、これを応募はがきに記入して専用窓口に送付すると、本作パッケージデザインを手がけた「ひこねのりお」氏がデザインした「くまペンシル」と「かえるポッパー」のルアーセットが抽選で1万人に当たるというもの。当選者には当選証書と共に同ルアーのセットが贈られた。
  • なお安全面への配慮から、これらルアーには最初からフック(針)が付けられていない状態で箱に収められている。 加えてこのルアーセットにはスタッフが個別に塗装を施した別カラーが存在し、サテラビューで開かれた「春の全国トーナメント」で好成績を収めたプレイヤー達に贈られている。
    • また、本作で登場する「赤星湖」と「鉄馬湖」という架空湖の名称は、1925年に日本で初めてブラックバスを芦ノ湖に移入させた、「赤星鉄馬」という人物の苗字と名前からそれぞれ取られている。
  • 2000年3月31日には、リメイク版となる『糸井重里のバス釣りNo.1 決定版!』がNINTENDO64で発売された。
最終更新:2024年06月21日 21:22

*1 ベイトリールから出る糸の速度よりも、スプール(糸を巻く部分)の回転が速い場合に糸が絡まってしまう現象

*2 リールの糸が巻かれている部分から自然に糸が出ていく状態