モンハン日記 プリプリプーギーレース
【もんはんにっき ぷりぷりぷーぎーれーす】
| ジャンル | 汗かき体感レースゲーム |  | 
| 対応機種 | アーケード | 
| 発売元 | カプコン | 
| 開発元 | カプコン アンダミロ
 TongLi Animation
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| 稼働開始日 | 2013年8月 | 
| プレイ人数 | 1〜2人 | 
| 判定 | 良作 | 
| ポイント | 『 アイルー村』のプーギーレースが3Dに プーギーの尻がコントローラー
 見た目に反してレースゲーとしての完成度はなかなか
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| モンスターハンターシリーズ | 
| ぽかぽかアイルー村シリーズ アイルー村 / G / DX / パズルー / プリプリプーギー
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概要
モンスターハンターシリーズのスピンオフ作品、『モンハン日記 ぽかぽかアイルー村』に収録されている2D横スクロール型のレースゲーム「プーギーレース」をベースに、3Dの体感レースゲームとしてアレンジした作品。
後述の通り、全身を使ってプーギー型コントローラーを動かし、モンハンでお馴染みのマスコット、「アイルー」が跨る子ブタの「プーギー」を操りレースをするゲームとなっている。
なお、以下より原作の『アイルー村』及び『アイルー村G』で遊べるミニゲームのプーギーレースを「原作プーギーレース」と表記し、区別することにする。
操作方法
本作で最も目を引くポイントであり、最大の特徴は筐体に取り付けられた一抱えほどあるプーギーのフィギュアがコントローラーという点である。
プーギーはお尻を持って上下左右に振ることができ、振ることで加速やハンドルといった操作を行う。
以下に基本的な操作を列挙する。なお、
下線
は操作説明では説明されない、1人プレイ時にプレイしていない方のモニターで流れるデモおよび公式サイトでのみ触れられている隠しテクニック。
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走る
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プーギーを上下に振ると加速する。激しく振るよりは一定のリズムで上下に振ることがコツ。
 
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曲がる
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プーギーを左右に動かすとハンドルを切ることができる。
 
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ジャンプ
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プーギーの背中についているボタンを押すとジャンプする。なお、ジャンプボタンはアイテム使用ボタンも兼ねているため、アイテムを持っている時はジャンプと同時にアイテムを使う。
 
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タックル
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プーギーを左右に素早く振るとタックルを出せる。タックルを当てたライバルは気絶させることができるほか、素早く進行レーンを変更するのにも使える。原作プーギーレースでもお馴染みの操作。
 
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ドリフト
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プーギーを下に下げて押しつけた状態でハンドルを切るとドリフトとなり、急なカーブも曲がることができる。
 
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ローリングアタック
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ジャンプ中にもう一度ジャンプボタンを押すと、前方にローリングアタックを繰り出す。ローリング中はプーギーが無敵になり、ライバルの攻撃を防いだり、ライバルや小型モンスターや障害物を弾き飛ばすことができる。本作の走りのキモとなるテクニック。アイテムを使う時にはローリングができない。
 
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スタートダッシュ
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スタートカウント中にプーギーを上下に振りまくることで、ロケットスタートができる。
 
    
    
        | + | 操作説明動画。実際に見た方がプーギー人形コントローラーのインパクトもわかりやすいだろう。 |  | 
システム
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コースには「どんぐり」が配置されており、触れることで取得できる。ジャンプ台を踏んで飛んだ先にはどんぐりが大量に配置されていることが多い。
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どんぐりを一定数(店側の設定により個数は異なる)集めることでもう1レース遊べるようになるほか、ゴール時には順位とコースの難易度に応じた順位ボーナスのどんぐりが加算され、プレイの最後には累計どんぐり獲得数に応じた「プリプリレベル」と評価が表示される。
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なお、原作プーギーレース同様コースは一周のみとなる。
 
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「ハテナタル」を通過すると、レース中に使用できるアイテムを取得できる。
    
    
        | + | アイテム一覧 | 
ギンガダケ
短時間の間加速し、完全に無敵になる。原作プーギーレースにも登場したアイテム。
ニトロダケ
一定時間加速し、ぶつかったライバルをぺちゃんこにできる。原作プーギーレースにも登場したアイテム。
ハチの巣
攻撃アイテム。前方のライバルをハチが追尾し、当たったライバルを停止させる。ローリングアタックで弾き飛ばせる。
大ハチの巣
ハチの巣の上位互換。より多くのハチが攻撃し、ライバルの追尾中およびヒット時の攻撃範囲がハチの巣より広い。こちらもローリングアタックで弾き飛ばせる。
サツマノイモ
原作ではプーギーの大好物で、本作ではトラップアイテム。使用すると後方に設置し、接触したプーギーはサツマノイモを食べ始めてしまい一定時間止まってしまう。
タル爆弾
シリーズお馴染みのアイテムであるタル爆弾を投げて、前方のライバルやモンスターを爆発で吹き飛ばすことができる。ただし自分も爆風に巻き込まれる場合があるので注意。原作プーギーレースでは緑、青、赤の性能の違う3種類のタル爆弾が存在したが、本作では前方向に投げる1種類のみとなっている。
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評価点
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体感レースゲームとしての完成度
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大きなプーギーのフィギュアを振ってレースをする体験は唯一無二であり、非常にユーモラス。『アイルー村』のコミカルな世界観にも合致している。
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操作方法や筐体はユニークな一方で、レースゲームとしてのゲーム性は練られており王道。コースの難易度も程よく、若年層から大人までレースを気軽に楽しむことができる。
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一部の草むらなどの減速地帯を除いてコースアウトしても減速せず、操作がおぼつかない初心者でも遊びやすい。
 
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3D化したことにより、原作プーギーレースにはなかったドリフトなどのテクニックも生まれ、ゲーム性が増している。
 
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見事に再現された原作プーギーレースのプレイ感覚と戦略性
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原作『アイルー村』のプーギーレースのエッセンスはきちんと受け継いでいる。
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原作プーギーレースに関する詳細はこちらに譲るが、原作プーギーレースにおいて重要な「タックル」による攻撃やレーン変更、「ジャンプ」の無敵時間による障害物への対処など、テクニックは形を変えて本作にも受け継がれている。
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「タックル」は本作では攻撃面での優位性は薄れたが、ハンドルの切り方によっては前方や後方にも素早くステップできるようになったため、コース取りに役立てたり、回収しそびれたどんぐりを回収するのにも使える。
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原作プーギーレースにおけるジャンプ中の無敵時間は、本作では「ローリングアタック」中の無敵時間として形を変えて受け継がれた。タイミングを見計らってローリングを行えば小型モンスターや転がる大岩などの障害物やライバルの攻撃も対処しながらスムーズに突き進めるし、攻撃範囲は狭いが接戦時にライバルを出し抜く際にも有効。
 もちろん、むやみやたらにローリングすればいいわけではなく、ジャンプ前後に隙が発生するし、アイテムを持っている時はローリングができないため、タイミング良く使う必要がある。
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そのため、アイテムは保持しておくよりは積極的に使う方がいい場面が多い。ダイナミックなレース展開にも貢献している。
 
 
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モンハン及びアイルー村ならではの世界観
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コース中にはモンハンシリーズに登場する小型モンスターがうろついており、時には「ジンオウガ」「リオレウス」「ティガレックス亜種」などの大型モンスターもレースの邪魔をしてくる。ギミックとしても、仰向けに寝ていてお腹に乗ると大ジャンプできる「ババコンガ」や、乗ると加速できる「ガーグァ荷車」など、モンハンでお馴染みのモンスターが多数登場し、雰囲気はアイルー村らしくコミカルで賑やか。
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アイテムもタル爆弾やニトロダケなど、モンハンシリーズや原作プーギーレースでもお馴染みのものが揃っている。
 
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アツいスコアアタック
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ゲームの最後に集めたどんぐりが評価されるため、良い評価を目指してスコアアタックをすることができる。
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レベル15、どんぐり200個で最も良い称号が得られるが、それ以上のレベルも存在する。どんぐり200個に到達するにはコースを把握してどんぐりをできるだけ回収し、かつ1位でゴールして順位ボーナスのどんぐりも手に入れなくてはならないため、上級者でもなかなか遊びごたえがある。
 
 
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BGMも良質。
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爽快感溢れる「アイルー村」コースの曲を初め、新規の曲が多く使われている。
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効果音もアイルー村シリーズ特有のものが多く使われており、原作の雰囲気を崩していない。
 
賛否両論点
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アイルー村のキャラゲーとしてはやや物足りない面も。
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参戦アイルーのうちアイルー村シリーズに登場しているのは『アイルー村』の主人公であるマイアイルーに相当する「マイルー」と『アイルー村G』に登場した「モモ」、『MHP2G』の「ネコート」さんと『MHP3』の「ニャン次郎」。残りは本家モンハンのオトモアイルーの装備を身に纏ったオリジナルのアイルーであり、原作ファンからしてみれば愛着が湧きづらい。
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一応、ステージ背景には原作プーギーレースでお馴染みの装飾やギルドなどのアイルー村の施設が存在したり、ゴールには教官が旗手として待ち構えているなどファンサービスもなくはない。
 
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小さな子供が遊ぶゲームとして見た場合、プーギー人形コントローラーは子供の体格にはやや大きく感じられる。
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おそらく、子供と親が一緒になってプーギーを振るというスタイルも想定されているのだろう。
 
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走破タイムは計測されない。
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そのため、タイムアタックというレースゲームでは一般的な遊び方には向いていない。一人プレイでのやり込みは前述のスコアアタックが担っている。
 
問題点
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知っているかどうかで大きく差がつく隠しテクニックの存在。
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特に先述の通り走りの要となるローリングアタックに関する説明がプレイ前にはされないというのが不親切。
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ローリングアタックはほぼ全ての障害物を無効化できるため、1人プレイでも知っているだけで難易度を落とすことができるし、2人プレイでは知っている方と知らない方で大きく差がついてしまう可能性がある。
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とはいえ、そこまで難しい操作でもないため、適当にジャンプボタンを連打すれば知らなくても発動できる可能性はある。
 
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なお、CPUもスタートダッシュやローリングアタックといった隠しテクニックを普通に使ってくる。とはいってもローリングは主に接近時のライバルやモンスターへの攻撃に使うため障害物やアイテムによる攻撃をCPUに弾かれることはあまりないのだが。
 
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コース数が少ない。
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コースは「アイルー村」、「火山」、「雪山」のコーステーマにそれぞれ3つの難易度が用意されているため、全9コース。レースゲームとしては少ない部類である。
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原作プーギーレースでは存在した「密林」「海岸」「砂漠」のコーステーマが実装されていない。「密林」と「海岸」に関しては森と海のロケーションが用意されている「アイルー村」コースに統合されたという見方もできる。
 
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その他、プレイ中に躓きやすい点。開発側もこれらの問題点は認識しているのか、筐体に注意書きと対処法がプリントされている。
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走行中に木の幹などの地形に引っかかる場合がある。その場でドリフトをして左右に曲がれば抜けることができる。
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山など凹凸のある地形に引っ掛かると、思い切りプーギーを曲げ続けないと抜けられない場合もある。
 
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原作プーギーレースと異なり、ジャンプ台に乗る際はジャンプボタンを押す必要がなく、ジャンプボタンを押してしまうとジャンプ台には乗れなくなってしまう。原作の経験者が混乱しやすい点。
 
総評
知名度の低さと見た目のインパクトがネタにされがちではあるが、体感レースゲームとしては意外なまでに王道でありアイルー村原作のプーギーレースのプレイフィールをしっかりと受け継いでいる一作である。
家族や友人同士でアトラクション感覚でプーギーを動かして楽しむのもよし、一人でどんぐり集めのスコアアタックを極めるのもよしと、ライト層からガチ勢まで楽しめる。
完成度に反して稼働数がかなり少ないのは難点だが、運よく見かけたらコインを投入しぜひプーギーをプリプリしてみてはいかがだろうか。
ただしカプコンによる筐体整備などのサポートは2018年3月に打ち切られている(参考)ため、できる限りプーギーは優しく扱って欲しいのニャ。
余談
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知名度が非常に低い
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大人気のモンハンシリーズの一作にもかかわらず、本作は『アイルーでパズルー』以上に一般層どころかモンハンファンからも知名度が非常に低い不遇の作品である。
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カプコン公式からも積極的な宣伝はされておらず、2015年にアイルー村シリーズの最新作である『アイルー村DX』が発売された際も本作の宣伝は特にはなされなかった。
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加えて、稼働している店舗もごく少数に限られるのが現状。筐体が大きく、またプーギーコントローラーは折れやすい耳を掴んで振られるなど乱暴に扱われやすく壊れやすいため、整備費などの店側の負担も大きいものと思われる。
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上記の事情で、筐体の入れ替わりが激しいゲームセンターよりは旅館やボウリング場などのアミューズメント施設でひっそりと稼働していることが多い傾向になる。
 
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2024年7月から開催された「モンスターハンター20周年-大狩猟展-」の展示や図録で公開されたシリーズ年表には、アイルー村シリーズなどの家庭用スピンオフはもちろん、従来型携帯電話やスマートフォン向けのアプリゲームまでもれなく記載されていたのだが、他のAC作品やメダルゲーム、遊技機などと共に本作の名前は記載されていなかった。そのため、もはや公式からも忘れ去られた作品になりつつある。
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一応、2024年初頭に開催されたカプコン40周年記念イベント「カプコン超選挙」の好きなカプコンタイトル投票には、本作の名前もリストアップされていたのだが…。
 
 
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ディレクターへのインタビューによると、開発当初はプーギーを激しく振れば振るほど加速する仕様だったらしい。
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しかしお子さんや女性が遊ぶことを想定したため、現在の激しく振るよりはリズミカルに上下することが重視される仕様に変更された。仮に激しく振れば加速する仕様のままだとしたら、余計筐体の摩耗も激しくなっていた可能性があるのでこの仕様は理にかなっていると言える。
 
最終更新:2024年08月12日 18:27