スーパーファミスタ2

【すーぱーふぁみすたつー】

ジャンル スポーツ(野球)
対応機種 スーパーファミコン
発売・開発元 ナムコ
発売日 1993年3月12日
定価 7,900円
プレイ人数 1~2人
判定 なし
ポイント 前作のシステムを引き継いで順当な発展形
漢字表記の導入とナムコスターズ女子解禁
ちょっと変わったオリジナルキャラ作成
ファミスタシリーズリンク


概要

1993年3月にナムコから発売された人気野球ゲーム『ファミスタ』シリーズのスーパーファミコン作品『スーパーファミスタ』の続編で『スーパー』シリーズ第2作目(他にファミコンで8作品、ゲームボーイで2作品あり)。
選手のステータスデータは1992年シーズン終了時準拠で、メンバー構成の年度では1992年・1993年の中間あたりになっている。
ファミコンやゲームボーイを含めた並びとしてはファミコンの『'93』とゲームボーイ『ファミスタ3』の中間に位置する。
根本的なゲーム性は前作『スーパーファミスタ』から引き継いでいるため、本項目では主に相違点を扱うものとする。


内容

主な変更点

  • DH制を導入。
    • パ・リーグのチームが後攻の場合のみ適用される。これは直前のファミコンシリーズの『'93』で導入済み。
    • ただ『'93』では2リーグ制が導入されていたが本作は旧来通り1リーグ制。
  • 今までは必ず1P時はプレイヤーが先攻だったが、後攻になることもある。
    • それに伴って各チームのユニフォームデザインもホーム用ビジター用と2パターン用意さた(前回ではスペシャルチームがビジターユニフォームを着ていた)。
  • ステータス表示の進化。
    • 選手の名前に漢字が使われるようになった。ナムコスターズの選手にもカタカナや漢字表記が使われるようになった。
      • ナムコスターズは今までキャラグラのせいか男性しか出ていなかったがワルキューレやワンダーモモなど女性選手も登場している(ただしグラは他と同じ)。
    • チーム表記が現実で使われているロゴがそのまま使われるようになった。
      • 従来の汎用フォントによる略号表示はイニング間のスコアボードでのみ使用されている。
  • スペシャルチームが12球団のOB再現(ステータスのみ)ではなく完全オリジナルとなり、その連合が専用チーム「アッシーズ」「カットバス」「ヤクタターズ」の3枠になっている
    • この3チームは、枠こそ3枠だがその中身は1枠につき4チームが入っており、その中身は選択するまでわからない。
      「アッシーズ」俊足な選手が集まっている。中にはあの「ピノ」を凌駕するほどの足を持っている選手もいるほど。また投手も速球派が多い。
      「カットバス」4番クラスの強打者がズラリ並んでいるパワーチーム。反面投手は球速が遅めでパワーのイメージとは正反対。打たせて打つスタイルと言った方がわかりやすい。
      「ヤクタターズ」名前の通りダメなヤツ下位選手の集まり…のように見えるが、守備は上手かったり球速や変化球が強かったりとチームによっては光る部分もある。
  • ドラフトの選手ランクは前作通りだがSランクの選手は本当に超強力で、かなり限られた人数しかおらずリストに並ばないことも当り前にある。
  • 試合後の新聞による結果告知の画面でセーブも記録されるようになった。
  • 監督まで12球団での実名が取り入れられている。オリジナルチームの監督は下記の通り。
    • ナムコスターズ → まさやん(ナムコ社長の中村雅哉氏)
    • アッシーズ → ひでぼう(プログラマの佐々木英隆氏)
    • カットバス → おはやし(ゲームデザイナの林幸人氏)
    • ヤクタターズ → しましま(ゲームデザイナの島本昌弘氏)
      • いずれもナムコのスタッフをルーツとしている。
  • 前作では開発時期の都合により架空デザインとなっていた千葉ロッテマリーンズの球団旗・ユニフォームが、本作では当時のデザインに則したものとなった。

新モード「きみがヒーロー」

  • オリジナルの選手を作り12球団の中から好きなチームに入れて公式戦を行うモード。
    • ファミコンシリーズの『'90』のリーグモードでの助っ人機能にも似ているが、その発展形のようなものになっている。
  • ①最初に「めざせ!エース!」「めざせ!4番!!」からモードを選択。
    • 前者はピッチャー、後者は野手になる。
  • ②名前を入力(5文字まで)。
  • ③誕生日、利き腕、打席、好きな色を決める。
  • ④5問の性格テストが行われる。
    • 3択式で聞かれるが、性格判断にしてはネタに近いのも多々ある。
      質問例
      好きな野球選手の写真が手に入りました。どこに飾る?「机の引き出し」「テレビの上」「ベッド」
      お風呂に入る時どこから入る?「右足から」「左足から」「頭から飛び込む」
    • これらをもとに能力が決定されていく。進行しながら顔マークが変化し笑顔になるほど能力が上がり、怒った顔ほど能力が下がる。
  • ⑤完成した選手が発表される。既存のどの選手と入れ替えるかを決めて*1試合開始。
    • ドラフトと違って既存ポジションのレギュラーと強制入れ替えではないので、あからさまに穴になっている選手を外すことができる。
    • 1P時は選手が発表されたタイミングで気に入らなければやり直しが可能。またパスワードが発行されるので、これをメモしておけばいつでも同じ選手で始めることができる。
  • このモードでの試合は1試合のみでコンティニュー用パスワードも発行されない。
    • しかし、上記のパスワードを「よびだせ!ヒーロー(1・2)」で名前と一緒に入れることで公式戦のチームに紐づけることができる。
      • ヒーローに入ったチームは金色の選手の顔アイコンが付加されている。
      • これにより公式戦を行うことが可能。

オールスター

  • ご存じ、セ・パ12球団の選手が連合して戦う球宴。
    • ファミコンシリーズの『'92』にも存在したが、方式が若干異なっている。
    • まず、各ポジションごとに投票状況が表示される。
      • そのまま放っておけば1位の選手が出場することになるのだが、プレイヤーも 100万票 持っており、1万票単位で投票できる。これにより順位を入れ替えることができる。 現実でやったら酷い不正だ
    • ファン投票が終わったら、監督推薦の選手が発表される(これは自動且つ強制)。
  • オールスターの試合では現実同様にピッチャーは3イニングを投げると強制交替となる。

球場ラインナップ

球場名 モデル球場 両翼 中堅
神宮の森 明治神宮野球場 91m 120m 人工
六甲山 阪神甲子園球場 97m 120m 天然
アメリカン オリジナル 100m 125m 天然
  • 六甲山は前作の「ろっこう」と同じモデルなので事実上の続投。

廃止されたもの

  • 1つのチームを2分して行う「紅白戦」が前作限りで廃止。
  • 上記の通りスペシャルチームが一新され、OB再現(ステータスのみ)のスペシャルチームや、アメリカンズ(メジャーモデルの選手だが名前はアメリカの地名)が廃止。
    • アメリカンズは後に『スーパーファミスタ5』(1996年3月発売)で再登場。

評価点

  • 相変わらずのシンプルイズベストな設計。
    • 基本的なシステムは前作のままなのでサクサク進められる試合テンポは良好。
  • 漢字表記の導入で実名らしさが増した。
  • 過去作からもしっかり良い部分を取り入れ、それも発展形に進化している。
    • ただのオールスターチームはFCの『'93』、GBの『2』にもあり、選出式のシステムは『'92』にも存在したが全自動だったのとは違いプレイヤー自身にも投票権があり、候補者をから選ぶような形を取っているなど新しい趣向も取り入れられている。
  • オリジナルキャラ作成の「きみがヒーロー」は、ファミコンでのエディットやリーグモードの助っ人オリジナルキャラとはまた一味違った楽しみ方がある。
    • 自由が効かない点は否定的に見える一面もあるが、これまでにない試みで正直に答えると「どんな選手ができるのか?」といった楽しみ方に転化できている。質問の内容もなかなかユニークなものが多い。
      • また、質問の答え方に応じて顔の表情が変化するなど、まんざら指標がないわけでもない。
    • ポジションを自由に選べるなど『スーパー』シリーズで前作から続投したドラフトとも差別化ができている。
    • 再開時の選手の登録はパスワード制ながら7文字と短いため手間が小さい。
    • 質問の答え方によっては球速15~40キロくらいの投手ができることもあるが、実際に登板させると十字キーの左右で滅茶苦茶に変化させることができたりとこれも楽しい。

問題点

  • 捕球エラーの多さ。
    • 前作に比べると捕球時のエラーが出る確率がかなり増している。
      • 微妙なバウンドなどで起きる分にはリアルっぽくて何ら問題ないが、イージーなフライや何でもない内野ゴロまでポロポロエラーするのはプロらしくない。
  • 自由のきかないオリジナル選手作成。
    • 評価点とは裏腹に「何を答えればどの能力が上がる」という目安がないせいで自分のイメージ通りの選手にならないことが当り前にある。上記の顔変化も事後報告でしかない。
    • 何が出るわからないビックリ箱的要素なので仕方ないと言えば仕方ないが。
  • 自由に選べないスペシャル3チーム。
    • 前作のようなOB再現から一転「アッシーズ」「カットバス」「ヤクタターズ」と完全オリジナルになったわけだが、中身が4チームずつ入っているのでその自由がきかない。
    • 「きみがヒーロー」に準えた何が出るわからないビックリ箱的要素を狙ったとしても、チーム選択でそのような趣向はかえって不便なだけに感じられる。
  • 相変わらず球場ラインナップが少なく、特徴も際立たないものが多い。
    • これは『'90』をピークに以後退化気味でファミコンの『'92』以降横ばい傾向。
  • 漢字表記導入の反動というのもあるが、ドラフトや「きみがヒーロー」による架空選手が平仮名・片仮名表記のため、名前によっては周りから浮いて見えやすい一面もある。
  • 福岡ダイエーホークスのみ、ユニフォームのホーム・ビジターの設定がアベコベになってしまっている。

総評

スーパーファミコンとしての基本形となった前作のシステムを引き継いで、漢字表記の導入や新しいモードなどを追加し『スーパーファミスタ』最初の発展形。
派手に変わった印象はないものの、とりあえず基本形だった前作から順当なグレードアップをしており、またオリジナルキャラの作成やオールスターなど、過去作のファミコンシリーズからも良い部分は取り入れている。
前作との比較観点では旧来のファミコンナンバリングでの進歩ペースと同程度でどちらかといえば「マイナーチェンジ+α」という程度だが、良くも悪くもファミスタらしさは健在。


その後の展開

  • 直近では1993年10月29日にゲームボーイでの3作目『ファミスタ3』を発売。
    • 周辺機器「バーコードボーイ」に対応し、バーコードデータを選手データ化してオリジナルチームを作ることができる。
    • またバッテリーバックアップもゲームボーイシリーズでは初搭載している。ファミコンを含めても『'90』以来。
    • 他に本作で登場する「アッシーズ」のうちの1チームが隠しチーム「ダイナミック関西」として登場する。
  • ファミコンでの年度ナンバリングでの続編は1993年12月1日に『ファミスタ'94』を発売。
    • ファミコンの年度ナンバリングでは最終作であり、ナムコのファミコン用ソフトとしても最後の作品となった。またファミコンの野球ゲームという観点でも最後の作品となった*2
    • ゲームそのものは野球のみのシンプル路線になり前作『'93』でスリムになった選手は本作同様元通りずんぐり体形に戻っている。
  • 『スーパー』のシリーズでは3作目『スーパーファミスタ3』を1994年3月4日に発売。
    • 前作と本作はさほど差がない「マイナーチェンジ+α」程度だったが、この作品では選手のグラフィックが旧来を踏襲しつつ一新し、BGMが歓声混じりになったりファインプレーなどのアクションもスムーズになるなど試合のシステムそのものまで進化したものになっている。
    • またファミスタシリーズ初の130試合のリーグ制を導入している*3。それに合わせてバッテリーバックアップを『スーパー』シリーズ初導入。またデーゲームとナイターを選択できるようになるなどリアル路線を追求している。その反面球場のバリエーションは2つと更に減少した。
    • 上記『'94』でファミコンの年度ナンバリングシリーズが終焉を迎えたためこの作品以降『スーパー』のシリーズに一本化される。

余談

  • 本作も前作同様選手データは発売時期の都合で1992年オフをすべて網羅できていない。
    • そんな中で、さっそく後の巨人のスター選手「ゴジラ」こと松井秀喜が収録されている。
      • プロでは専ら外野手だったが当時は高校時代に準じて三塁手扱いとなっている。
  • 本作のナムコスターズに『カニカニパニック』(1991年から稼働している筐体ゲームで『ワニワニパニック』のスピンオフ)から「カニカニ」が登場している。
    • '87』にいた「かにかに」は『さんまの名探偵』のカニカーソルなので、はじめてナムコスターズで「同名の別人」が登場したことになる*4
  • 本作の対応年度より横浜大洋ホエールズ(略語:W)が横浜ベイスターズに改称したことで、オリックス・ブルーウェーブ(及び前身の阪急/オリックス・ブレーブス)、近鉄バファローズと合わせて頭文字Bのチームが3つ存在することとなった。
    • 各チームの略号は現実の慣例ではベイスターズ=YB、ブルーウェーブ=BW、バファローズ=Buとしていたのに対し、本作や以降暫くのシリーズ作品ではベイスターズ=Bs、ブルーウェーブ=B(前作及びブレーブス時代から継続)と扱われた(バファローズ=Buはそのまま)。また、ブルーウェーブのBW表記はシリーズ全体で見ても非常に稀であった。
    • 2004年オフにオリックスと近鉄の合併により誕生したオリックス・バファローズは、2005〜2018年度まで略号をBsとしていたため、奇しくも本作とは真逆の事態となっていた。
      • 横浜は2011年オフに球団運営権がTBSからDeNAに譲渡され、2012年度からはDBを略号としている。
      • 2019年度より、オリックスは略号を本作やブレーブス時代と同じBに改めている。
最終更新:2024年08月13日 12:58

*1 完成した選手の能力と入れ替える選手の能力によって監督の表情が変わる。

*2 他のスポーツも含めると『Jリーグウィニングゴール』(1994年5月27日発売)が最後。

*3 因みにこれはファミコン時代のライバルシリーズは既に1991年あたりに実現していたのでかなり遅い。最速は1987年7月発売の『燃えろ!!プロ野球』(ジャレコ)。

*4 実際のNPBでも過去例として日本ハムファイターズに1986年から1989年まで「田中幸雄」という同姓同名の選手がいて「オオユキ」(1959年生の投手)「コユキ」(1967年生の野手で後の「ミスター日ハム」)と呼ばれていた。1990年シーズンから「オオユキ」の方が中日ドラゴンズに移籍したことで解消。