ガルフォース ETERNAL STORY

【がるふぉーす えたーなるすとーりー】

ジャンル シューティング
対応機種 ファミリーコンピュータ ディスクシステム
発売・開発元 ハル研究所
発売日
()は書換開始日
1986年11月20日(1987年1月10日)
定価 3,300円
プレイ人数 1人
判定 良作
ポイント 撃って破壊する数では当時のシューティングの中でもトップクラス
自由に多彩な変形
スコアアタック要素で弱い


概要

1986年11月にHAL研究所が発売したファミコンディスクカードのシューティングゲーム。
これまで『ゴルフ』や『マッハライダー』など任天堂発売ソフトの開発を手掛けてきたHAL研究所が、自社ブランドとして発売したファミコンソフト第1号である。

同年7月発売された同名タイトルのOVA作品とのタイアップであり、MSX版『ガルフォース カオスの攻防』も同時発売されている*1
パッケージでのタイトルは上記の通りだが、文献などでは『ガルフォース』のみの表記が圧倒的に多い。


内容

作戦指令(ストーリー)

さて、諸君らに指令を伝える。
6つのブロッサムスペースに捕らえられている6人のクルーを助け、合流し、彼女たちの力を借りてスターリーフの基本兵器を増やし、7つ目のカオススペースに存在するパラノイド大要塞を破壊するのが今回の指令である。
各地には我々のスパイがパワーロータパネルを持って待機している。では成功を祈る。

システム

  • 攻撃のビーム発射をAボタン、操作は方向十字ボタンとここまでは一般的なシューティングゲームそのもの。
    • 本作の独特のシステムとしてセレクトでクルーを選択し、Bボタンでクルー毎に決められたウイングに変形し、それぞれ固有の攻撃が行えるようになる。
  • 自機「スターリーフ」は「左ウイング」「本体」「右ウイング」3つの部位で構成されている。
    • まずダメージはウイングに蓄積され、耐久力がなくなるとウイングが片方ずつ失われる。
      • 両方のウイングを失った状態で被弾するとミスとなり1機失うことになる。
    • あと一発被弾するとウイングが失われる状態では、対象のウイング周辺に爆発のエフェクトが出る。
      • ウイングを失うとルフィ、パティ、エルザで戦っている場合(後述)、失った方からビームが出なくなるため攻撃に支障をきたすようになる。
  • 最初はプラネットステージ(地上)から始まり、カタパルトを介して進む6つのスペースステージ(宇宙)がセットの構成になっている。
    • プラネットステージの最後にはカタパルトがあり、そのカタパルトにある赤い矢印が並んでいる数が、行先のスペースステージに対応している。
    • スペースステージをクリアーすると捕らわれているクルーを救出できる。
      • 救出したクルーの能力を使うことで様々な新しいビームや特殊なアイテムを使えるようになる。
      • 既にクリアーしたスペースステージに行くこともできるがクリアーしても、もう対象のクルーは救出しているので何の意味もない(スコア稼ぎのみ)。
    • スペースステージのボスとのバトルでやられるとプラネットステージに戻される。
    • プラネットステージでカタパルトに乗ったりスペースステージをクリアすれば、ウイングがどんなに破損していても本体さえ残っていれば再び両方のウイングが戻ったバッチリな状態から始まる。

アイテム

  • レベルアップ(Aの上に↑)
    • ウイングをはじめとした攻撃効果を上げる(ウイングが全くない状態でも)。
  • フルパワー(Aの周囲に放射線)
    • 一定時間「ワイルドブラスター」のフルパワー状態になる(ルフィがいなくても有効時間内は使うことができウイングが欠落していてもこれで左右とも復活できる)。
  • スピードアップ(Aの後ろに加速線)
    • スターリーフの移動速度が速くなる。
  • オールクラッシュ(☆)
    • 画面上の敵を全滅させる。
  • バリア(○で囲んだA)
    • 一定時間無敵になる。
  • ワンアップ(1UP)
    • スターリーフの残機が1機増える。
  • スロー(時計)
    • 敵の動きが一時的に遅くなる。
  • ブロン-Dアップ(ブロンディ)
    • ブロンディを同時に出せる数が上がる。(最初は1のみだが最大3まで)
  • クルーは最初はラビィのみ。以下救出するクルーとその能力。

クルーの詳細

  • ラビィが基本スタイルで他の6人の持っているウイングを使うことでビームのパターンなどが変わる。
  • ラビィ
    • スタンダードな直線的なビームだが連射力が強い。
    • パワーアップを取得することで連射数が上がり、最初は2連射だが→3連射→4連射→6連射→8連射と増していく。
  • ポニィ
    • ブロンディと呼び出すことができる。
    • 彼女のみ、パワーアップが関係なくブロン-Dアップを取ることで同時に使えるブロンディの数を最大3まで上げることができる。
  • パティ
    • サイドへの強力なビーム攻撃。
    • パワーアップを取得することで同時発射本数が増え、最初は1本だが→2本→3本→4本→5本と増していく。
  • ルフィ
    • 前方に広範囲ビーム「ワイルドブラスター」。
    • パワーアップを取得することで同時発射本数が増え、最初は1本だが→2本→3本→4本→5本と増していく。
  • エルザ
    • 後方へのバックファイヤー。ルフィの後方発射版である。
    • パワーアップを取得することで同時発射本数が増え、最初は1本だが→2本→3本→4本→5本と増していく。
  • ラミィ
    • 360°へ放射状にバラまくような攻撃。
    • パワーアップを取得することで同時発射数が増え、最初は3発だが→4発→5発→6発→8発と増していく。
  • キャティ
    • バリアを強化しダメージが軽減。ラビィパワーアップ4段階目(準最強)からラディのブラスターが貫通するようになる。
    • パワーアップを取得することで防御力(ウイングの耐久性)が増し、最初は通常の2倍だが→3倍→4倍→5倍→6倍と増していく。

評価点

  • シューティングの醍醐味、撃ちまくって破壊しまくる爽快感。
    • 特にスペースステージでは地上物が非常に多く、連射しまくってガンガン破壊していく爽快感はトップクラス。
    • 当時のシューティングはステージクリア以上に連射でハイスコアを狙っていく傾向にあったので、連射による破壊とスコアアップの連動と言う意味では文句なし。
    • 更にアイテムも地上物を撃って破壊するほど出現し、また地上の敵キャラでないものでも撃って出てくることもある。
    • 破壊音も非常に響きが良く、爽快感を高めてくれる。
  • ウイングの変形を駆使して多彩で変幻自在な攻撃ができる。
    • 当時はパワーアップはできても、それを自由に選択は出来た例は少なく、ステージ毎の敵の出現パターンと相性の良いウイングパターンを見つけ出すことで、より一層高い爽快感を得ることができる。
    • この辺りはただ撃って撃って撃ちまくるスタイルだった当時のシューティングとは一線を隔している。
  • 自機のタフさ。
    • 敵にもよるが左右のウイングは大抵の敵の体当りには何発か耐えられる。
    • 当時のシューティングはバリア等、装備がなければ一発の被弾で即ミスだったことを思うと、かなり心強い。
    • 後述の通り、ステージが後半になるとかなりキツくなりすぎる難点もあるとはいえ、このタフさがなければそもそも成り立たない。
  • タイトルデモにおけるキャラグラの美しさ。
    • 当時は元より現在の視点から見ても登場キャラのグラフィックが描き込まれており、原作キャラの魅力が存分に伝わるほどの出来。
  • スターリーフの変形アクションが、細かい所で作り込まれている。

問題点

  • ボスのみならずザコ敵まで結構タフで、連射パッドなしでは結構きついところがある。
    • 最初のステージでは大したことはないが、中盤以降でやられてレベルが最低に戻ると連射パッドなしでは、そのまま押せ押せでやられやすい。
    • 宇宙面の地上物が厄介で、ぎっしりと敷き詰められるように配置されているため、ショットが阻まれて敵を倒しにくいのもきつい。パワーアップするとショットが貫通するようになるので楽になるが、後述するパワーアップの問題がある。
  • パワーアップの不親切さ。
    • パワーアップアイテムは特定の地上物や地形を撃つことで出現するのだが、ありかが一目でわかるように差別化されていないため、何がどこにあるかを覚える必要がある(『キングスナイト』と同様)。
    • 宇宙面では面が進むごとにアイテムの配置が少なくなっていくため、後半面では一度ミスすると、初期段階に戻されたままパワーアップできずにまたミスするという悪循環に陥りやすい。
  • 自機の大きさ
    • 自機のグラフィックは良いのだが、サイズが大きく当たり判定も見たままなので、スピードアップしないと攻撃を避けづらい。
    • ライフ制なので1発でやられる事はないが、ライフ表示がない事と、体当たり1発でパーツが破壊される敵もおり、難易度の上昇に拍車をかけている。
  • ゲーム中は上記のキャラグラが残念な表示。
    • こればかりは、さすがに上記のようなグラをゲーム本編で出せと言うのは無理筋なので仕方ないと言えば仕方ないが、まるでアイコンのような顔であり、最初からいるラビィ以外は誰がだれだかわからないほど。一応、救出時に名前が表示されるが英語表記なのでわかりにくい。
      • MSX版でも救出したクルーのアイコンは簡素ではあるものの、クルー救出時にはアニメーション付きの再現度の高いポートレートが表示されるためこの点ではFCD版のほうが見劣りする。
    • しかも、そのゲーム中のアイコン顔が誰なのかは説明書にすら載っていない(説明書でも原画のみ)。
    • タイトルデモの出来が秀逸なため、その反動でセコく見えてしまう。
  • ボスよりもザコが強く感じる逆転現象に見える部分もある。
    • 特にスペースステージも4以降になると、見えづらい上に数が多く、そんなのにガンガン突っ込んでこられてやられることも多々ある。
    • 反面ボスは黒一色の宇宙空間で他に阻害するものもないので攻撃を察知しやすいため戦いやすく感じられる。
  • クリア後にループプレイがなく、この頃のシューティングにしては完全なステージクリアのスタイルでハイスコアを目指すには不向き。
    • 実際、シューティングの醍醐味の1つであるボーナス要素が少ないのは物足りなく感じられる。
    • ハイスコアを目指すだけならばスペースステージ反復すればいいのだが、そのような形でスコアを稼ぐのは明らかに本来のスタイルではない。
    • それでいてアニメのストーリー性などを感じない点は少々物足りなく感じられるかも。
  • BGMの出来そのものは悪くはないが最初から最後まで1つしかない。

総評

難易度に関しては高めな部類に入るものの、シューティングゲーム特有の撃って破壊する爽快感に関しては非常に高く同年のシューティング代表作『スターソルジャー』(ハドソン)『ツインビー』(コナミ)などと比べても決して見劣りしない。
BGMが乏しかったりアニメのゲーム化作品ながらストーリー性を感じにくかったりする点は気にはなるものの、当時のシューティングゲームとしてのユーザーのツボはしっかり押さえておりゲーム部分の完成度は目を見張るものがある。
これまで任天堂作品の開発を手掛けてきたハル研究所の自社ブランド発売第1号として恥ずかしくない出来。


余談

  • 本作はCMが制作されたが以後はハル研究所発売の作品はCMが制作されなかった*2
    • 以後の作品もゲーム自体の出来は秀逸なものが多かったものの、CMがなかったことが災いしてソフト売上げはいずれも低くとどまったことが惜しまれる作品が多い。
+ CM

  • アイテムでやたら「A」の形が目につくが、これはスターリーフの形を簡略化しているものと思われる。
  • エンディングの最後に"SEE YOU AGAIN IN THE NEXT GAME,AIR BUSTER,."と表示されるが恐らく1987年8月に発売された『エアー・フォートレス』と思われる。*3
  • 星のカービィ』『大乱闘スマッシュブラザーズ』の生みの親で知られる桜井政博氏は、今作がきっかけでHAL研究所に入社した。
    • 決め手となったのはスタッフロール。
      • この時期のファミコンソフトはプレイヤーを称えるだけの簡易なエンディングが少なくなかったのだが、今作は劇場映画よろしく「カットシーンを一つ一つ出しながらスタッフ名を併記する」という、当時としては力の入った演出が施されていた。(参考リンク:エンディング動画)
      • これを見た桜井氏は「スタッフが本当にゲームが好きで、エンディングまでしっかり見てくれるプレイヤーを信じている証拠だ」と感銘を受け、HAL研究所の志望に至ったという。
      • ソース:『若ゲのいたり』(KADOKAWA刊)第6話より。
    • こうした経緯もあってか、桜井氏が手がけるゲームではスタッフロール中にミニゲームを盛り込むなど、力の入ったエンディングが多い。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2023年08月25日 15:58

*1 こちらも開発元はHAL研究所である。

*2 『ファイヤーバム』についてはCMが製作されていた。

*3 当初は「エアバスター」のタイトルで各種媒体でも告知されており、商標も取得していたのだが発売前にタイトルが変更になった。この影響でカネコのAC版STGである『エアバスター』がMD/PCE移植版では『エアロブラスターズ』に改題されている。