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依頼内容は「ゲームシステムの変化がシリ不判定に当たるのかどうかの明確化」です。


テトリス ザ・グランドマスター エース

【てとりす ざ・ぐらんどますたー えーす】

ジャンル 落ち物パズル
対応機種 Xbox 360
発売元 AQインタラクティブ
開発元 アリカ
発売日 2005年12月10日
定価 5,280円
プレイ人数 1~2人
レーティング CERO:全年齢対象
備考 Xbox Live対応
判定 スルメゲー
シリーズファンから不評
ポイント 『TGM』シリーズ初の家庭用作品
AC版とは全く別物と化したゲームシステム
Xbox Live無しでは満足に遊べないモード群
テトリスシリーズ
テトリス ザ・グランドマスターシリーズ
TGM / TA/TAP / Ti / TGM-ACE


概要

アーケードで『テトリス ザ・グランドマスター』(以下、TGM)シリーズを手がけていたアリカが初めてリリース*1までこぎつけた家庭用『TGM』作品。
開発を担当したアリカのホームページで「テトリスTGMシリーズの家庭用新シリーズである『T4(仮称)』の開発予定」という告知が行われ、この『T4(仮称)』が後の『テトリス ザ・グランドマスターエース』(通称TGM-ACE)として360がローンチして間もない2005年の12月に発売された。
発売元はAQインタラクティブ(現:株式会社マーベラス)。


『TGM』シリーズからの変更点

基本的なシステムは『テトリス ザ・グランドマスター』を参照。
直近で稼働したAC版最新作『テトリス ザ・グランドマスター3 -テラー インスティンクト-』(以下、Ti)といくつか共通する部分はあるが、ゲームシステムが全体的に大きく違っている。
全体的に版権元のザ・テトリス・カンパニー社が定めたガイドラインに合わせたゲームシステムとなっている。

  • ミノの操作性の変更
    • 本作ではTiに該当するクラシックルールは「ARS」、ワールドルールは「SRS」にそれぞれ名称変更された。名称の変更だけでなく操作性周りも違っている。
    • 「SRS」ではTiのワールドルールとは違いミノをほぼ無限に回転ができる「インフィニティ」が導入された。これまで移動10回・回転8回制限だったものが移動・回転共に128回に緩和されている。
    • 一方「ARS」ではTiのクラシックルールとは大幅に違っており、これまでのアーケードのTGMシリーズとは違った操作性となっている。
      • 回転法則そのものはTiのクラシックルールと同じなのだが、ハードドロップの仕様がTiのワールドルールと同じ「上ボタンを入力すると即硬直する」仕様になったほか、移動・回転の制限が「SRS」と同じ128回転に緩和。さらにミノの色が「SRS」と同じ配色*2になった。
      • アップデートを適用することでハードドロップが『テトリス ジ・アブソリュート ザ・グランドマスター2』(以下、TA)と同じ「上ボタンを入力すると地面に接地する」仕様になった「ARS2」が追加される。
    • また下ボタンによる落下速度がTi以前の作品よりも遅くなり、当時定められていたガイドラインに近い落下速度となった。
      • ただし、左右移動の仕様は変わっておらずこれまで同様にどちらか押しっぱなしで高速移動することができる。
    • I.R.S.の仕様が変更となり、「次のミノが出現するまでに回転ボタンを押した分だけ回転する」仕様となった。
      • これにより過去作で行えなかった次のミノの180度回転の状態で出現させることが可能となった*3
      • また、I.R.S.の入力に応じてNEXTブロックの時点でミノが回転するようになった。
  • レベルシステムの変更
    • 本作のレベルシステムが『TGM』シリーズでお馴染みとなっていた「1ミノごとに1レベル上がり、列を揃えると更にレベルが上がる」ものではなく、従来の『テトリス』ゲームと同じく「10ラインごとに1レベル上がる」システムとなった。
      • つまりミノを接地するだけではレベルが上がることはなく、ラインを消す事を意識しないとレベルが上がらない。
      • このレベルシステムの変更に伴い最終レベルが999レベルから15レベルに引き下げられている。
  • ミノの出現位置とデッドラインの変更
    • ミノの出現位置がこれまでのTGMシリーズと違いフィールド外から出現するようになった。
      • Ti以前はフィールド内上部中央にゲームオーバー判定があったのだが、本作は若干ではあるがフィールド内が埋まっていても従来より猶予がある。
  • MASTERモード・G.R.S.(段位認定システム)、スコアシステムの廃止
    • 本作では『TGM』シリーズのメインモードである「MASTER」に相当するゲームモードは存在していない。
      MASTERモードの機能の一つでもあった「プレイ内容に応じて段位が判定される」G.R.S.も実装されていない。
      • 「昇段審査」モードやランクシステムは存在するが、いずれもコース制による全く違ったゲームシステムとなっている。
    • もともと『TGM』シリーズ内でもスコアの概念は形骸化している節があったが、これも今作では一切実装されておらず、クリアにかかった時間(トータルタイム)の自己ベストのみが記録される仕様である。
      • 本作ではどのモードもエンドレスで遊べないという点と過去『TGM』シリーズのスコアが影響するモード*4が全て無いことから、スコア自体に意味を持たなかったため廃止されたとも考えられる。
  • 制限時間の追加
    • 本作では全モードに制限時間が追加された。
      • 制限時間自体は『TGM』シリーズにおいて「一定時間経過すると強制的に20Gになる」システムや、『テトリス ジ・アブソリュート ザ・グランドマスター2 PLUS』(以下、TAP)の「T.A.DEATH」モードや『Ti』の「MASTER」モード・「SHIRASE」モードに「足切りタイム」が存在していたが、これらとはまた違う仕様となっている。
    • 制限時間内にレベルを上げるかミッションを突破しないと、ミノが埋まっていない状態でも即座にゲームオーバーとなる。
      • レベルを上げるかミッションをクリアすることで制限時間がリセットされる。
      • なおリセット後の制限時間は常に固定であり、到達時間や成績によって増減することはない。
  • 「T-Spin」が未実装
    • 同年に稼働した『Ti』ではT-Spinは判定だけ実装していたのに対し、本作では未実装となっている。
      • 当然、対戦でもT-Spinを使う事で送れるラインが増加するなどの有利になる要素はない。
    • 元々『Ti』でもT-Spinによる見返りはあまり無く*5、本作では得点も存在しないため実装を見送られた可能性が高い。
      • なお、ガイドライン基準のもののうち「Back To Back」も実装されていない。

オフライン用モード

本作ではオフライン用モードと「Xbox Liveゴールドメンバーシップ」に加入することで遊べるXbox Live専用モードが存在しており、オフライン用モードでは起動時に最初から選択可能なモードとなっている。

テトリス

  • 本作のメインモード。「10ラインごとにレベルが上がり150ラインを突破するとクリア」というここ近年の『テトリス』作品にある「マラソン」モードに近い。
    • 各レベルに制限時間が設定されており、レベルが上がると制限時間がリセットされる。
      • 制限時間内に10ラインを消さないとミノが積み上がっていなくても強制的にゲームオーバーになる。
    • 特定のレベルから開始することはできないが、代わりにそれぞれのスピードテーブルが違う「ノーマル」「ハイスピード1」「ハイスピード2」が存在する。
      • 「ハイスピード2」を選ぶと最初から20Gの状態で始まる。
    • このモードでは『TGM』シリーズではお馴染みとなった「ビッグ」モードも選択可能*6。上記3モードとは別に存在している。
      • さらに後述するエキストラモードとして条件を満たすと「アナザー」モードと「アナザー2」モードが追加される。
    • このモードで150ラインに達成するとエンディングとなりフィールド内にスタッフロールが流れるが、過去作と違いスタッフロール中にミノが出現することはない。
      • そのため、過去作で存在していた「シャドウスタッフロール」も併せて廃止となった。

ダブルス

  • TA/TAPにあった「ダブルス」モードと同じ、「2人で協力し、広いフィールドでクリアを目指す」モード。本モードも『TA/TAP』の「ダブルス」モードのシステムとはいくつか異なっている。
    • 「テトリス」モードとと同じく10ラインレベルが上がり150ラインでクリアとなる。
    • 『TA/TAP』と違いレベルとライン数は「2人別々」ではなく「共用」となっている。
      • そのため、どちらか片方がミノの設置やライン消しを進めることでレベルが上がり、極端にミノが加速することはなくなった。

マッチ

  • オフライン用の2人対戦モード。
    • 先に20ラインを消すか相手のフィールドが埋まれば1本、2本先取で勝ちとなる。
    • 対戦前には「アイテムあり」と「アイテムなし」を選択することができる。
      • 「アイテムあり」の場合、アイテムゲージが登場しゲージが貯まるとアイテムブロックが出現する。
    • アイテムの種類も含め、レベルシステム以外の対戦要素は『TA/TAP』の対戦モートとほぼ同じである。

エキストラ

特定の条件をクリアすることで追加される隠しゲームモード。
前述の「テトリス」とは違い、一部のモードに限りレベル選択ができる。
基本的にこれらのモードの解禁条件の難易度が高いことから、全体的に上級者向けのモードとなっている。

イレイサー

  • ノルマが設定されており、特定のラインを消す事でノルマが加算され規定数を突破するとクリアとなるモード。『テトリスワールド』における「ホットライン」モードに近い。
    • ノルマとなるラインはすべて表示されているのではなく、1ラインから複数ラインごとに小分けに表示される。
      • 例えば3ライン表示されていた場合、指定の3ラインを消す事で次のラインが表示されるというもの。
    • 「指定のライン」のみノルマが増えるため普通にラインを揃えるだけではクリアが難しく、考えて配置しないとすぐに制限時間に到達してしまう。
      • 中にはターゲットとなるラインが最上段から2段目という凶悪なノルマも存在している。
      • 「いかに指定のラインまでミノを早く配置できるか」が攻略のポイントとなる。

レベルスター

  • 「設定された制限時間内に指定されたライン」を消すシステム自体は「テトリス」モードと同じ。
    • このモードでは1レベル区切りで終了するが、代わりに制限時間とライン数が「テトリス」モードとは大きく違っている。
    • 全10レベル存在し、レベルが上がれば上がるほど制限時間が短くなり、ミノも大きく加速するようになる。
      • レベル後半になると制限時間も増える代わりにライン数が増えていく。
    • 最大レベルから始めると20Gの状態からスタートしたり、早く積んで消さないとすぐに制限時間に到達するため「テトリス」モードよりも難易度が高い上級者向けのモードとなっている。

ターゲット

  • 事前にフィールドが形成されており、そのフィールド内にある宝石ブロックを全て消す事でノルマ達成となるモード。Tiにある「SAKURA」*7モードとほぼ同じ。
    • 『Ti』の「SAKURA」モードの大きな違いは宝石の位置とツモが固定ではなくランダムとなっている。
    • こちらも「イレイサー」モードと同じく「いかに早くターゲットとなるブロックを消す」かがポイントとなってくる。

アナザー

  • 最初から20Gで始まり150ラインを目指すモード。後述する「テトリスロード」モードの「アナザーロード」をクリアすると「テトリス」モードに追加される。
    • 20Gから始まること自体は「テトリス」モードの「ハイスピード2」と同じだが、こちらはTA以降と同様にレベルが上がれば上がるほどライン消去時とミノの接地時間が短くなる。
    • 「SHIRASE」モードとは違い「せり上がり」や「ご先祖様」といったギミックはなく、「T.A.DEATH」モードと同様にギミック無しで完走を目指す。
    • 難易度自体は「T.A.DEATH」以上「SHIRASE」未満といったところではあるがそれでも激烈に難しい事に変わりはなく、他のモードと比べても一線を画す。

アナザー2

  • 本作最後に登場する隠しモード。こちらも「アナザー」モードと同じく「テトリス」モードの一つとして追加される。
    • 「アナザー」モードとの違いは最初から「アナザー」モード最高レベルの速度の状態から始まるというもの。
    • このモードの出現条件は隠しモードを含めた1人用オフラインモードの全クリアとテトリスロードの全ステージ、昇段審査の全コースクリアと解禁のハードルが非常に高い。

Xbox Live専用モード

「Xbox Liveゴールドメンバーシップ」に加入することで遊べるXbox Live専用モード。
基本的にこれらのモードはオンラインかつXbox Liveに接続していないと遊ぶことができない。

対戦テトリス

  • オフライン用モード「マッチ」のオンライン版。
    • 「マッチ」とは違い対戦ランクが導入されており、成績によってC~A・Sまでランクがプレイヤーに付与される。
      • ランクの昇格に応じて実績が解除される。

テトリスロード

  • 同一フィールド内で様々なステージをクリアするゲームモード。
    • このモードでは「ビッグロード」を初めとした様々なコースを選び、指定されたステージをすべてクリアするのが目的となる。
      • 各ステージで制限時間内に設定された条件を達成すればクリアとなり、一部または全てのフィールドが消去された状態で次のステージに進む。
      • ステージはエキストラを含めた各モードがベースとなっているほかに、オフライン用モードにはないシングル・ダブル・トリプル・テトリスを全て行う必要がある「サイクル」が存在する。
    • 各ロードの最終ステージでは各ステージの課題とは別に「最後のラインでダブルを決める」という別の条件が設けられており、両方達成する事で「EXステージ」に突入することができる。
      • EXステージをクリアすることでオフライン用モードのエキストラモードが追加される。
    • 対戦『テトリス』同様、クリアの状況に応じて実績が解除される。

昇段審査

  • 指定された段位で決まった課題をクリアしていくゲームモード。
    • 「テトリスロード」と同じくコース形式で決められたステージを全てクリアすることで合格となる。
      • 一級までは1ミッションクリアするだけでいいが、初段からミッション数が増え始める。
    • 「テトリスロード」とは違い段位を自由に選択することはできない。
    • 段位は九級~一級、初段~十段に加え、最高段位にTMが存在する。
      • また、これらの段位の合格状況で実績が解除される。
    • このモード以外で段位を上げる事はできないので、アーケード版TGMのG.R.S.とはまた違ったゲームシステムとなっている。

タイムアタック

  • 「テトリス」モードをベースとしたオンラインモード。
    • 「テトリス」モードとの違いはオンラインランキングに自己タイムが記録されるという点。
      • これ以外は基本的に「テトリス」モードと同じ。
    • 選べるモードは「ノーマル」「ハイスピード1」「ハイスピード2」「アナザー」のみとなり、オフライン用モードにあった「ビッグ」と「アナザー2」は選べない。

評価点

  • 家庭で最高速の『テトリス』が気軽に楽しめるようになった
    • これまでアーケードでしか遊べなかった『TGM』シリーズが本作で初めて家庭用ゲーム機で遊べるようになり、気軽に最高速の『テトリス』が楽しめるようになった。
      • 本作は操作性自体はAC版『TGM』と違えど、「速度に慣れる」という点ではアーケードの練習用としても使えるようになっている。
      • 最高速度の20Gとその速度に特化した操作性により快適に遊べるように調整されており、難しいながらもやりがいを感じる事ができる作品となっている。
      • またアーケードとは違い好きなコントローラーを繫げて遊べるため、AC版『TGM』シリーズで問題に挙げられていた「店舗のメンテナンスや店員の知識次第で操作性が左右される」という点は解消されている。
  • HD画質化に伴うビジュアルの進化
    • 当時の360の売りでもあったHD画質に対応。D端子もしくはHDMI端子*8を使ってテレビに接続することで綺麗なグラフィックで楽しむことができる。
    • かと言ってSD画質だと楽しめないというわけではなく、低解像度でもゲーム性が損なわれないように設計されている。
    • なお本作の背景はTiと同様に宇宙がテーマとなっており、HD画質で惑星や銀河といった背景が綺麗に描写されている。
  • (いい意味で)クセを感じる新規BGM
    • 本作のBGMは『Ti』の既存曲に加え、『テトリス』シリーズではお馴染みとなった「カリンカ」「コロブチカ」「カチューシャ」のアレンジが新規収録されており、これらの曲の評価は高い。
    • サウンドは『Ti』に引き続き株式会社スーパースィープ社所属の細江慎治氏と佐宗綾子氏が担当。新規4曲のうち3曲が「ロシア民謡の曲をゴツゴツのテクノ曲に変貌させる」という大胆なアレンジが行われている。
      • 「カリンカ」を『リッジレーサー』の「ROTTERDAM NATION」のようなロッテルダムテクノにアレンジしたBGMを採用したのは『テトリス』シリーズの中でも本作ぐらいだろう。

賛否両論点

  • AC版『TGM』シリーズとは全く別物と化したゲームシステム
    • 「『TGM』シリーズからの変更点」で触れていた通り本作は基本的なゲームシステムがAC版『TGM』シリーズとは全く別物となっており、これがシリーズファンから不評を買っている一因にもなっている。
      • 前述したレベルシステムの変更やG.R.S.といったアーケード版にあった独自システムの廃止や、『TAP』『Ti』までの回転法則システムの変更はアーケードで遊んでいたユーザーにとっては違和感を感じやすい。
    • 特に「ARS」のシステムは回転法則が過去作と同じとはいえその他の操作性が全く違っており、これまでのテクニックが通用しない*9
      • ミノの固定時間リセットの導入やミノの配色も変えられていることから、「ARS」の仕様はTAP以前から入った『TGM』シリーズファンからの不評点としてよく挙げられやすい。
    • しかし、『TGM』シリーズのウリである「超高速プレイでのタイムアタック」という概念はまだ破綻しておらず、クリアタイムを極めようとすると練習が必要になってくるのは本作も同じ。
      • 『TGM』シリーズを手がけたアリカだけのことはあり『テトリス』としての完成度は高い。「あくまでAC版『TGM』シリーズと別物」と思えば『TGM』シリーズ経験者でも充分に楽しめる内容となっている。
  • 初心者やライトユーザーには厳しい難易度設計
    • 本作は概ねガイドライン仕様でありながらTGMユーザー経験者前提の難易度設計となっており、「テトリス」モードの「ノーマル」ですらある程度レベルを上げると他の『テトリス』作品よりも加速するため、『TGM』のようなスピード性に慣れていないユーザーにとっては難しい印象を受けやすい。
      • 全モードに制限時間が設定されている関係もあり、「インフィニティ」による無限回転を利用した時間稼ぎも通用しない。
      • 「ノーマル」以下の難易度も無く制限時間もオフにできないため、じっくり考えて進めるユーザーにとっては厳しいゲーム性となっている。
    • しかし元々『TGM』シリーズは「スピード性のある高難易度のテトリス」をウリにしており、これでも本作は過去の『TGM』シリーズよりも難易度が低く設計されている。
      • アーケード版TGMと比べるとだいぶ遊びやすくはなっているが、それでも他の『テトリス』シリーズと比べると難易度が高いことに変わりは無い。

問題点

  • Xbox Live接続無しでは満足に遊べないモード群
    • 本作ではXbox Live専用のゲームモードが存在しているのだが、「昇段審査」「テトリスロード」「タイムアタック」の1人用モードも対象となっており、オフラインで遊ぶことはできない。
    • 1人用モードのうち「昇段審査」と「テトリスロード」の2つが最もゲームボリュームが多く、後者の「テトリスロード」のミッションをクリアしないとオフラインモードのエキストラモード群が追加されない仕様となっている。
      • エキストラモード群はオフラインで解禁する手段が無いため、オフライン接続の場合だと1人用の「テトリス」と2人用の「ダブルス」「マッチ」の合計3モードしか遊べない
      • さらにオフラインの場合だとプレイデータが記録されない。そして本作の実績のほとんどがオンライン接続を利用して解除できるものとなっている。
    • 以上の事情から攻略サイトやレビューサイトなどで「本作はXbox Live利用したオンラインプレイ専用ゲーム」という記載があるほど、オンライン無しでは楽しめないものとなっている。
      • この仕様を既知してるかどうかで本作に対する評価が大きく違ってくる。実際レビューサイト等で最低評価と最高評価が極端なのはこのため。
      • とはいえXbox Liveに加入していれば他の『テトリス』作品と同様に充分満足できるボリュームとなっている事は確かである。

総評

AC版『TGM』とは別物になりかつXbox Liveが無いと全てのモードが遊べないとはいえ、ゲーム自体は破綻しておらずむしろ『テトリス』の作品としての完成度は高い。
難易度は高いもののライトユーザーに向けてのある程度配慮も行われているので、Xbox Live接続によるオンラインプレイ前提ではあるもののしっかりと楽しめる『テトリス』となっている。
2023年時点で「『Ti』のワールドルールに近い操作性で遊べる家庭用『TGM』」は今のところ本作だけ*10なので、Tiの「ワールドルール」に馴染みのある方には楽しめるだろう。


余談

  • AC版と比較されがちな本作だが、元々「AC版『TGM』とは別物」アリカのホームページで告知されていた。
    • アリカの開発予定の初告知時に「今までに稼動しているアーケード版TGMシリーズの移植でなくアーケード市場に影響がない新作タイトル」と明記してるので、同年1月に稼働していたTiと差別化を図る意味も込めて本作が制作されたとも考えられる。
  • 本作は360がローンチ直後でまだサードパーティ製コントローラーがあまり無かった時期だったこともあり、発売直後は「本作と純正コントローラーは相性が悪い」という話題がよく挙げられていた。
    • というのも初期の360コントローラーは方向キーが誤操作しやすく、繊細な操作が求められる本作においての操作性の相性は最悪であった。
      • 2chのスレッドでその誤操作が問題視され、「方向キーに紙を挟むと誤動作が低減する」「方向キーではなくアナログスティックの操作で慣れる」などといった対策法が共有されていたほど。
    • その後はアーケードスティックをはじめとしたサードパーティ製コントローラーが発売され、純正コントローラー自体も方向キーに改善が入った「Xbox 360 ワイヤレスコントローラー SE」が発売されたため、発売当初と比べると操作性の相性に悩まされることはなくなった。
  • 当時販売されていた360のセットのうち「Xbox Live プレミアム ゴールドパック」に本作が同梱されていた。
    • 1年分のゴールドメンバーシップ、ヘッドセット、200MSポイント、そして本作が入手できたというもの。
    • 当時の価格は7,140円(税込)と、セット内容の製品をそれぞれ単品で購入するもかなり安く買うことができた。
    • このことから察するに、本セット品は問題点の「Xbox Liveに加入していないと満足に遊べない」に対してのフォローとなっていた可能性が考えられる。
  • その後の展開
    • 『TGM』シリーズの制作・開発は本作以降も続けられていたが、本作が最新作の状況が長く続いた。
    • 後に『テトリス ザ・グランドマスター4 -THE MASTERS OF ROUND- (仮題)』や『TGM2015 (仮称)』*11といったアーケード向けの作品が開発中であることを発表している。
      • いずれもロケテストまでは行われていたのだが、ライセンス元もしくは販売会社との交渉の折り合いが付かず開発が中断していた。
        2024年9月27日にアリカから「ザ・テトリス・カンパニーと新作テトリスについてのライセンス契約を締結した」とXで発表。同年12月3日に真の4作目でありTGM3から20年ぶりの新作『TETRIS THE GRANDMASTER4 -ABSOLUTE EYE-』が正式発表された。対応機種はSteamで2025年4月4日に配信された。
    • 一方、家庭用向け『TGM』作品では本作とは別にPSPで『TGM-K(仮題)』の開発が予定されていた。
      • 2004年7月にアリカ参入作品として『TGM-K』が発表されのたが以降続報が無く、その後発表された本作が先に発売されたことから「本当に発売できるのか」とファンの間で心配されていた。
      • 発表から約8年後の2012年5月頃に開発中止が正式発表され、発売には至らなかった。
    • 『TGM2015 (仮称)』以降アリカ社は新しい『TGM』シリーズを発表していないものの、『テトリス』の作品としては後に任天堂がNintendo Switch Online用に配信した99人同時に対戦するバトルロワイヤル形式のテトリス、『TETRIS 99』の開発を担当することとなる。
      • 当時のインタビュー記事で『TETRIS 99』のディレクターである中田氏が試作品制作の話において「『テトリス』といえば……ということでアリカさんにお話を持っていき,プロトタイプを開発してもらうことになりました」と発言している。この発言は『TGM』シリーズで築きあげた評判が『TETRIS 99』の開発を手掛けることに繋がったとも考えられる。
      • 『TETRIS 99』は『TGM』シリーズとは全く異なる、ガイドライン仕様対戦『テトリス』の流れを汲んだゲームではあるが、『TGM』シリーズ発祥の20G自体は実装されている*12
最終更新:2025年04月06日 12:25

*1 TGMの移植を始めとした家庭用版の開発はいくつか行っていたが、様々な事情で開発中止となり発売まで至らなかった。

*2 『TGM』シリーズのミノの配色は『旧セガテトリス」と同じだったのだが、本作では当時のガイドラインルールに定められた配色に変更されている。

*3 外伝作の『テトリス with カードキャプターさくら エターナルハート』のみD-I.R.S.という180度回転させた状態で出現するシステムはあったのが、『TGM』シリーズに導入されていない。

*4 「MASTER」モード、TAの「NORMAL」モード、Tiの「EASY」モードが該当する。

*5 よくて「EASY」モードでライン消去による花火の数が増える程度と言われてる。

*6 発売当初は隠しモードだったが、アップデートを適用することで最初から追加される。

*7 このモードも元ネタがあり、過去にアリカが発売した『テトリス with カードキャプターさくら エターナルハート』のストーリーモードとほぼ同じであることから「SAKURA」モードとなった。

*8 ただし、初期の360本体には搭載されていなかった。

*9 『TA』の有名テクニックとして「ザンギ入れ」があるが、ハードドロップの仕様変更で使えなくなった。アップデートで追加された「ARS2」を使えば「ザンギ入れ」自体はできるものの、下キーの落下速度が遅いため違和感を感じやすい。

*10 アーケードアーカイブスで『TGM』とTAPが配信されているが、いずれもガイドラインが制定される前に作られた作品のためワールドルールに沿った回転法則で遊ぶことはできない。

*11 当時公開されていたスクリーンショットやロケテスト映像のグラフィックは一見『TGM4』と同じだが、内容は最初から作り直した完全新作であり別物。

*12 マラソンの999ライン、「TETRIS 99 VIP」で20Gが発動する。