ちびまる子ちゃん4 これが日本だよ!王子さま

【ちびまるこちゃんふぉー これがにほんだよおうじさま】

ジャンル バラエティーゲーム(RPG*1
対応機種 ゲームボーイ
発売元 タカラ
開発元 KID
発売日 1992年8月7日
定価 3,800円(税別)
書換 ニンテンドウパワー
2000年11月1日/1000円(税別) F×1・B×0
プレイ人数 1人
判定 なし
ポイント マルチエンディングあり
ミニゲームのバリエーションが豊富
ゲームに慣れない初心者への救済措置あり
ちびまる子ちゃんシリーズ


概要

まる子が町内を駆け巡って、花輪くんの家に来日する王子様に渡すプレゼントをかき集めるゲーム。
パッケージ記載のジャンルは「バラエティーゲーム」だが実際にはRPGであり、クラスメートや家族からの頼み(ミニゲーム、お使い)を引き受けてこなすことでプレゼントが揃っていく。
ストーリーは基本的に一本道だが、途中に挟まれるミニゲームの結果によって結末が変わるマルチエンディングを採用した作品。

あらすじ

ある日の放課後、先生に呼び出されたたまちゃんを教室で待っていたまる子は、花輪くんから日本を訪れている王子様へのプレゼントを集めてきてほしいと頼まれる。
花輪くんいわく、自分は「日本らしい物」を持っておらず、王子様を招待する準備で忙しいので日没までに代わりに「日本らしい物」を集めてきてほしいとのこと。
早速学校を飛び出すまる子であったが、たまちゃんは誰もいない教室の中でまる子に忘れ去られたことに落ち込むのであった。

特徴

  • ストーリーはほぼ一本道で、基本的にその時点で何かイベントがある家・場所にのみクラスメートやまる子の家族が登場する。
  • それ以外の場合は、クラスメートの家などを訪ねても何も起こらなかったり、自宅の場合はお母さんに宿題をやるよう注意されて「今はそれどころじゃない」とまる子が言い訳するだけで全体マップに戻る。
+ 家・施設等の一覧

花輪くんの家以外は学校を北として時計回りの順に位置している。

  • 学校
    • 学校の先生から「あんごう」を教えてもらえる。「あんごう」をメインメニュー画面から入力することで続きから再開できる。
      • パスワードコンティニューのためのいわゆるセーブポイントであり、シナリオ中にここを訪れる必要のあるイベントはない。
  • 公園
    • お姉ちゃんや丸尾くんがいることが多い場所。
    • お姉ちゃんはまる子がミニゲーム「みずきりあそび」をしたいと勝手に解釈することが多い(そして遊ばされる)。
    • 丸尾くんの素顔が見られる場所でもあるが、メガネをなくした理由はとある伏線になっていたりする。
  • 丸尾くんの家
    • イベントがあるときは丸尾くんが出てきて、手がかりを教えてもらったりミニゲーム「なんびきとおったでしょう?」に付き合わされることもある。
  • ブー太郎の家
    • 「竹馬」などのアイテムをくれることが多いが、そのたびに竹馬の出来具合の確認としてミニゲーム「たけうまきょうそう」をするよう誘ってくる。
  • はまじの家
    • ここでのはまじとのイベントはエンディングへのちょっとした伏線となっている。
    • ミニゲーム「かきくりとり」のクリア報酬で「まごの手」をもらえるぐらいしかいいことはないが、シナリオ終盤で本人ではないものの重大な役目を担ってくれる。ただし、そのイベントは「この家では」起こらない。
  • みつや
    • 「くじけん」を持っているときにくじ引きで遊ぶことができる。
    • シナリオ終盤でとあるハプニングが起きてしまい、集めたプレゼント全てをなくしてしまう強制イベントが起こる場所でもある。
  • みぎわさんの家
    • みぎわさんが出てくるたびに何故かミニゲーム「にもつはこび」を頼まれる場所。
      • しかも「くじけん」を持っているので、くじ引きでハズレを引き続けると嫌でも荷物運びを手伝わざるを得なくなる。
      • ただし、くじ引きで当たりを引いた後は「くじけん」をくれなくなり、次の強制イベントまで荷物運びを手伝わされなくなる。
  • 神社
    • 誰もいないことが多いが、友蔵にミニゲーム「おどりのけいこ」をつけてもらう場所でもある。
    • さすがに孫にタダ働きさせるのはまずいと思われたのか、ミニゲームをクリアすると何かしらご褒美がもらえる。
  • まる子の家
    • まる子の自宅で、あまり日が暮れていないにもかかわらずお父さんが帰ってきている。
    • まる子が自分に心当たりがあると思ったときはここで何かイベントがあることがほとんど。意外にも友蔵はここでは登場しない。
  • たまちゃんの家
    • ここでの最初のイベントではたまちゃんが自分を置いてけぼりにしたことに対し文句を言ってくる。
    • それ以外のイベントでは何故か笛(リコーダー)の練習として、ミニゲーム「きょくあてクイズ」に付き合わされる。
  • 花輪くんの家
    • 町のど真ん中にある大きな家で、本作のゴール地点。
    • プレゼントを集めきるまでは門が閉まっており入れず、プレゼントを集めきってようやく入れるようになる。
  • 色々とツッコミ所があるシナリオ
    • 最初に遊ぶミニゲームは「カードあてゲーム」で、下校の時間に花輪くんが本作の目的の切り出しも兼ねて誘ってくるという展開なので失敗しても話は進むのだが、ツッコミ所が1つある。
      • 花輪くんいわく「イタリア製のカード」なのだが、ミニゲーム一覧の記載通り絵柄はまる子と丸尾くんである。しかも、仕様上明らかに丸尾くんのカードの枚数が多い。……丸尾くんの選挙活動はイタリアにも広まっているのだろうか?
      • もっとも、ミニゲームの使いまわしだからと言ってしまえばそれまでなのだが…
    • また、シナリオ中に王子様を迎える準備で忙しいはずの花輪くんが登場するシーンがいくつかある。もちろん協力なんてしてくれない。何をしに来たのだ、花輪くんよ。
    • 他にもミニゲームをクリアしたのに何も情報や報酬が得られない展開もある。なんという骨折り損。
  • マルチエンディング
    • シナリオの途中でプレイしたミニゲームでクリアに失敗した回数によって、エンディングが分岐する。
    • 同じミニゲームを連続でクリア失敗しても1カウントとみなされ、くじ引きでハズレを引いたときはノーカウントとなる。
      + エンディング内容。ネタバレ注意!
    • ミニゲームのクリア失敗回数4回以下…王子様からのプレゼントが南の島特製フルーツの盛り合わせ+プサディー*2からの手紙になる。
      • エンディングとしてはこれがベストエンドとなる。プサディーが登場するのもこのエンディングのみ。また、シナリオ序盤ではまじが見せたとある特技の伏線も回収している。
    • ミニゲームのクリア失敗回数5~7回…王子様からのプレゼントがゲテモノ料理*3になり、それを食べたまる子たちは翌日学校を休む。
      • バッドエンドの1つ。王子様の容姿は美男子だが、料理のチョイスとそれを食べたまる子たちのことを考えると…
      • また、王子様の容姿の関係上ベストエンドと漬物石エンドで回収されるはまじの特技の伏線が回収されないまま終わってしまう。
    • ミニゲームのクリア失敗回数8~10回…王子様からのプレゼントが漬物石(自称。ナレーションいわく本当は高価な宝石)になる。
      • バッドエンドの1つ。まる子がプレゼントを渡すまでの流れがベストエンドと同じなだけに、タチが悪い。漬物石という名の宝石を誰が受け取ったかは不明。
      • エンディングのランクとしてはこちらが下なのだが、内容とオチ、伏線回収等を考えるとゲテモノ料理エンドの方がよりバッドと言えなくもない。
    • ここまではまだ感動的・ギャグ的なエンディングで済むが、あまりにもミニゲームでミスしてしまうと…?

      • ミニゲームのクリア失敗回数11回到達…全体マップに戻った時点でまる子がすっかり夜になっていることに気づき、王子様とも会えないままスタッフロールへ…
        • ゲームオーバーであり、最悪のバッドエンド。花輪くんとの約束を破ってしまい、王子様へのプレゼントを渡せなかったことを考えると、花輪くんに合わせる顔がないことは明白だろう。まる子にとっても苦労が水の泡である。

評価点

  • 豊富なミニゲーム
    • 8つのミニゲームに「やさしい」「むずかしい」と2種類の難易度があり、加えてシナリオ中のみ遊べるくじ引きが用意されている。
    • くじ引き以外のミニゲームはメインメニュー画面から入れるフリーゲームの項目で練習できる。
      + ミニゲーム一覧 順番はくじ引き以外、フリーゲーム欄でのもの。
    • たけうまきょうそう
      • 竹馬に乗ってブー太郎とゴールまで競争するゲーム。
      • AボタンとBボタンを交互に押すことで進み、同じボタンを連続で押してしまうとバランスを崩して倒れてしまい、タイムロスとなる。
      • ブー太郎がゴールするタイムは完全に固定されており、「やさしい」で21カウント(秒)、「むずかしい」で10カウントとなっている。
    • おどりのけいこ
      • 友蔵の踊りのお手本を覚えて、お手本と一致するアイコンをお手本通りの順番に選ぶ暗記ゲーム。
      • 成功するごとにアイコンを選ぶ個数が1つずつ増え、間違えた場合はお手本をもう一度繰り返し見せられる。
      • 5回目の踊りまでに間違えた回数が2回以下ならクリア、3回間違えた時点で即座にクリア失敗となる。
        • なお、クリアの成否は間違えた回数のみ関わっているため、無理に5回連続での成功を狙う必要はない。
    • なんびきとおったでしょう?
      • 左右の壁の間を通る動物の数を数えるゲーム。出題者は丸尾くん。
      • やさしい・むずかしいともに7問中4問以上正解すればクリア。4問間違えた時点で即座にクリア失敗となる。
        • クリアの成否が間違えた回数のみを見ているのは「おどりのけいこ」と同じだが、間違えても答えは教えてくれない。
      • 難易度の違いは動物が通る速さのみで、選択肢は5匹から13匹までの9択。
        • 余談だが、普通は6「ぴき」13「びき」と読む選択肢も「ひき」で統一されている。また、何故か数える単位が「匹」ではなく「羽」のニワトリも混ざっている。それでいいのか、学級委員。
    • にもつはこび
      • 画面左側に置いてある荷物を画面右側の倉庫に運ぶゲーム。依頼人はみぎわさん。お前も手伝えと言うのは禁句である
      • 荷物をA・Bボタン連打で持ち上げ、十字キーで左右に移動して右の倉庫に運ぶのを繰り返すゲーム。
      • 難易度によって制限時間が変わり、「やさしい」は99カウント、「むずかしい」は80カウント以内に10個以上運べていればクリア。
    • みずきりあそび
      • 石を画面両側にある旗より遠くに投げるゲーム。石は10個あり、投げ終えた時点で5個以上遠くに投げられていればクリア。
      • 十字キーで左右に移動して、Aボタンで石を投げる。画面右側のバーが基準線より上にある時でないと届かないが、左から流れてくる流木に当たってもミス。
      • 「むずかしい」になると流木の数が増え、流れる速さも上がる。
        • 石が沈んでから次に石を投げられるようになるまでのタイムラグはほぼないため、上手くタイミングが合えばボタン連打で数を稼ぐことも可能。ただし、バーの動きは周期性があるとはいえ流木を回避できるタイミングと合うとは限らないため、過信は禁物。
    • きょくあてクイズ
      • たまちゃんが笛で吹く曲を覚えて何番目の曲と同じ曲を吹いたか当てるゲーム。
      • 5問目が終わった時点で間違いが2回以内ならクリア。3回間違えた時点で即座にクリア失敗となる。
        • 覚えるのが曲のフレーズであること以外は「なんびきとおったでしょう?」とほぼ同じ。
      • 曲は最大で6曲吹く。曲名ではなくあくまで「何番目の」曲と同じかを当てるゲームである。とはいえ、曲名で暗記するのも作戦の一つでもある。
        • なお、何曲吹いたとしても選択肢は必ず1~6番目の6択で、仮に2曲しか吹いてないのに3~6番目と答えた場合は当然間違いとなる。
    • かきくりとり
      • はまじが落とす柿と栗をそれぞれ黒いカゴ、白いカゴで受け止めるゲーム。柿と栗と2つのカゴの色はそれぞれ一致しているため、同じ色のカゴで受け止めると考えればいい。
      • 十字キーで左右に移動、カゴはAボタンまたはBボタンで入れ替えられる。
      • 地面に落としてしまうか、間違ったカゴで受けてしまうとミス。3回ミスした時点で合計20個以上受けられていたらクリア。
      • はまじは一定個数柿と栗を落とすと一気にスピードアップするため、初めのうちにミスが重なるとクリアが厳しくなる。
    • カードあてゲーム
      • 8枚のカードのうち最初にめくられた当たり(まる子)のカードを覚え、シャッフルされた後に当たりのカードがどの位置に移動したかを当てるゲーム。
      • 当たりのカードは「やさしい」で1枚、「むずかしい」で2枚あり、「むずかしい」の場合は2枚とも当てて正解となる。
      • 間違ったカードを選んでしまうとお手付きとなり、当たりのカードの位置を教えられる。
        • 覚えるのが当たりのカードの位置であること以外は「おどりのけいこ」とほぼ同じで、3回お手付きで即座にクリア失敗となる。
      • カードのシャッフルの速度は正解するごとに上がっていくが、一度に動くカードは2枚で固定。「やさしい」なら指で追うのも手だが、「むずかしい」だとその作戦では厳しくなる。
        • 余談だが、ハズレのカードの絵柄は丸尾くん。『おこづかい大作戦!』の時といい、ズバリ、この扱いは理不尽でしょう
    • くじ引き
      • シナリオ中に「くじけん」をもらって町の南側にある「みつや」に行くと遊べるゲーム。
      • みつやのおばさんいわく、「当たりは3つある」とのことだが、実は裏がある。詳細は問題点にて。
  • フリーゲームの項目でミニゲームを練習してもスコアなどは記録されないが、ミニゲームのクリア失敗回数がエンディングに関わってくるため練習する意義がないとは言えない。
  • 会話シーンの演出について
    • 主要キャラクターは基本的にバストアップのグラフィックが用意されているほか、表情のパターンもそれなりに豊富。
    • 特にみぎわさんは専用のBGMが、花輪くんには専用のフレーズが用意されているという優遇っぷり。BGMのイメージもそれぞれのキャラクターとマッチしていて飽きさせない。
      • ちなみにナレーションは当然セリフのみではあるが、ツッコむ所はBGMを止めてまでしっかりツッコむので存在感は失われていない。
    • 丸尾くんや友蔵がショックを受けた際に背景にでかでかと「ガーン」の文字が降ってくる演出もインパクト大。
  • ミニゲームの救済措置
    • フリーゲームの項目から遊べる「むずかしい」に該当するミニゲームは、一度失敗すると「やさしい」に難易度を下げてくれる。
    • さすがに「やさしい」より簡単にはならないが、リトライはすぐにかつ、いくらでもできる。ただし、ミニゲームクリアに失敗すると見えないペナルティが加算されていく。

問題点

  • セリフの早送りの操作が不便
    • セリフの早送りはBボタン押しっぱなしでできるのだが、次のセリフに進むボタンはAボタンでしかできず、逆に早送りはAボタンではできない。そのせいでセリフ送りの操作で指を動かすひと手間が挟まってしまい、テンポがやや悪くなっている。
      • せめてオプション機能を用意してセリフ送りの速さを調節できればよかったのだが。後述の問題点を考慮しても、再開するたびに設定しなおせるだけでも違ったであろうに。
    • ただし、一度終わったイベントの会話は後で読み返せないので、読み飛ばしの抑制という意味では親切設計とも言える。とはいえ、情報の再確認ができないのはRPGとして問題があるが…
  • 「くじ引き」の仕様について
    • 「当たり」は3つあると毎回言われるが、実は当たりの数は必ずしも3つあるとは限らない。
      + 検証により確認できたくじ引きの割り当て。ネタバレ注意
    • 「いちご大福」のくじ…当たり5つ、ハズレ1つ、もう1回2つ
    • 「甘納豆」のくじ…当たり4つ、ハズレ2つ、もう1回2つ
    • 「だるま」のくじ(1回目)…8つ全部ハズレ
    • 「だるま」のくじ(2回目)…当たり3つ、ハズレ3つ、もう1回1つ
      • シナリオ上最後に引くくじになってようやく言ったことが本当になるのだが、「いちご大福」のくじが接待しているのかと思うほどの当たりの数だったり、8つ全部ハズレにしておきながら当たりの数は3つだと言い張ったりと、このおばちゃん、侮れない。
      • また、どれが当たりかは実際に引くまでわからないほか、1回でも当たりを引いた時点で残りのくじの割り当てはうやむやにされるため、「嘘」をついているという証拠は残らない。なかなか狡猾な手口である。
    • なお、くじ引きに必要な「くじけん」はミニゲームをもう一度クリアすることでまたもらえるので、くじが引けなくなることはない。
    • また、一度引いたハズレ・もう1回のくじは除外されるほか、景品を先に取られて詰むこともない。
  • 手がかりが途絶える場面がある
    • RPGとしてはかなり痛い問題点。少なくとも途絶えた場所はもちろん、「学校」「花輪くんの家」「みつや」は特定の状況でないと用がないので除外されるが、それ以外は基本的に総当たりするしかない。
    • 特に「だるま」探しまで進めるとクラスメートから「知らない」「持ってない」とばかり言われて余計な手間と時間がかかる。
    • そうでなくともセリフを読み飛ばしてしまう、「あんごう」で久しぶりにプレイを再開するなどして意図せず手がかりが途絶えてしまう場合もある。
      • 一応立ち寄れる場所がそこまで多くないのが救いか。
  • メインメニュー画面のカーソルの操作方法が何故かSELECTボタン
    • ある意味中古対策、コピープロテクト……になっているかは不明だが、恐らくメインメニュー画面に情報を詰め過ぎたのが原因だろう。
    • 発売から8年以上経ってニンテンドウパワーで取り扱うようになったため、十字キーでカーソルを動かそうとして戸惑ったプレイヤーもいたと思われる。
      • ちなみに「あんごう」は十字キーの左右で文字入力カーソルの移動、上下で文字の切り替え、Aボタンで確定する方式。そう考えるとメインカーソルの移動の役割としてはSELECTボタンが適任ではある。
  • セーブ機能がパスワードコンティニュー形式
    • 本作は「あんごう」という形で学校の先生から8文字の文字列をメモして再開時にそれをメインメニュー画面で入力する、というパスワードコンティニュー形式となっている。
      • そもそも発売当時ですらRPGでのセーブ機能はバッテリーバックアップが主流となってきているのにパスワードコンティニュー形式を採用するというのが大きな問題点であるが、マルチエンディングを採用していることを考えると「簡単にセーブ&ロードを繰り返されるとベストエンドに辿り着いた達成感が損なわれる」というスタッフの意図もあるのかもしれない。
    • 幸いにも「あんごう」の長さは8文字で固定、文字も「あ」~「み」の32文字しか使わない、と比較的良心的ではあるが、それでもRPGで電池切れの恐怖におびえなければならないのはなかなか厄介。
      • この「あんごう」は『まる子デラックス劇場』にも「パスワード」という形で受け継がれたが、あちらは意味のある文字列となっており、少し覚えやすくなっている。
    • フォローするなら、バッテリーバックアップを採用していないということはセーブ機能が劣化しないというメリットがあるのだが、テンポよく進めれば1~2時間もあればクリアできるので…

総評

ミニゲームをこなしてクリアを目指すRPGというコンセプトは『おこづかい大作戦!』と大差ないものの、ミニゲームの数は前作よりも多く、運要素がほとんど無く初心者への救済措置もあったりと、ゲーム内容に関しては大きく改善された。
一方で、RPGとしては次のイベントへの手掛かりが途絶える場面がある、意図的に無駄足を踏まされる、などあまり質は高くない。 ミニゲーム集としては良好だが、RPGとしては今一歩上手く落とし込めなかった作品と言える。

その後の展開

  • テレビアニメが1992年9月をもって一旦終了となり、『ちびまる子ちゃん』のゲーム作品のリリースも本作で一旦打ち止めとなった。
    • その後の同放送枠は1994年までの『ツヨシしっかりしなさい』を挟んで1995年1月から『ちびまる子ちゃん』を再開し現在に至っている。

余談

  • 無事に花輪くんの家まで辿り着けると王子様からお返しとしてプレゼントがもらえるのだが、その中にはよくよく考えると入国時に検疫を受けたのかどうか怪しいモノがある。*4
    + エンディング内容に関わるためネタバレ注意
  • ベストエンドのフルーツ盛り合わせは何のフルーツを使っているのかぼかされているものの、はまじが知らないフルーツを使っていることははっきりしているため、解釈次第では結構グレーな表現だったりする。
  • ゲテモノ料理のバッドエンドに至っては、まる子たちは料理を食べた翌日にお腹を壊して学校を休んでいるため、集団食中毒を起こした可能性がある。
    • 一応ゲテモノ料理のラインナップはどれも実在してかつ加熱調理する料理ではあるが、王子様側が用意した「大トカゲの丸焼き」は本当にただ焼いただけのような見た目(雑に刺したナイフとフォーク付き)である。
      • 仮にも入国先へのプレゼントであるため、描写しきれてないだけで骨や内臓の処理ぐらいはしてあると思いたいが、他の料理も似たような調理方法だと考えると、こんなモノを食べたまる子たちがお腹を壊すのも無理はないだろう。
      • ちびまる子ちゃんの舞台の1974年やこのゲームの発売年の1992年は検疫が厳格化した2019年以降とはまた検疫の厳しさや事情が異なるのだが、まる子たちが立場上ゲテモノ料理を食べざるを得なくなった結果お腹を壊したことを考えると、最悪国際問題に発展しかねない事案である
  • ミニゲーム「なんびきとおったでしょう?」はシナリオ中では「やさしい」しかプレイする機会がない。スタッフの見落としだろうか?
  • ファミ通クロスレビューでの点数は40点満点中20点。『おこづかい大作戦!』から2年弱経っても点数が伸びない辺り、スタートダッシュでこけた影響は大きかったようだ。
  • 次回作である『まる子デラックス劇場』はミニゲームの数が減ったものの、本作の反省も兼ねてかゲームジャンルをRPGからアドベンチャーに切り替えている。
  • スタッフロールはまる子が読み上げるのだが、その中に「けっこん おめでとう」という内輪ネタがあったりする。
最終更新:2023年11月08日 13:09

*1 ファミ通191号クロスレビューより

*2 まる子がタイに行ったときに友達になった女の子

*3 大トカゲの丸焼き、こうもりのスープ、カエルの唐揚げetc...

*4 伝染病や外来種が日本に蔓延するのを防ぐため、海外から入国・帰国する際には検疫を受ける義務がある