がんばれ!大工の源さん
【がんばれ だいくのげんさん】
ジャンル
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アクション
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対応機種
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スーパーファミコン
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発売・開発元
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アイレム
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発売日
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1993年12月22日
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定価
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8,900円
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プレイ人数
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1人
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判定
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良作
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ポイント
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SFCによりサウンドやグラフィックが大幅グレードアップ 新しく必殺技も追加 後のセカンドヒロイン「刃渡ミカ」のデビュー作
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大工の源さんシリーズリンク
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概要
1993年12月にアイレムからスーパーファミコンで発売されたアクションゲームであり『大工の源さんシリーズ』6作目にあたる。
またシリーズ最初で最後のスーパーファミコン作品でもあり同時にアイレム最後のスーパーファミコンソフトとなった。
2ヶ月前の10月22日に発売されたファミコン作品『大工の源さん2 赤毛のダンの逆襲』、1992年7月発売のゲームボーイ作品『大工の源さん ゴーストビルディングカンパニー』ではシューティングのモードがあったが本作は完全にアクション一本に戻っている。
ストーリーはFC版2作品から続いている形でGB作品とは直接の繋がりはない。
内容
あらすじ
源さんの手によって新築された家に、どこからかミサイルが撃ち込まれ新築の家は瞬く間にバラバラに破壊された。
あまりの思わぬ出来事に放心していると源さんの上から爆風に乗って紙切れがヒラヒラと落ちてきた。
手に取ってみるとそれは以前、源さんのよって地上げの企み阻止されたことで改心したはずの黒木組社長からの挑戦状。
どうやらドクターパラレルにそそのかされた社長の子孫「雷蔵」が未来からやってきて泣きつかれたことで社長は再び悪の心がよみがえり源さんへの復讐に乗り出したものだった。
源さんは再び黒木組と戦うことになるのだった。
システム
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上記の通りストーリーまわりはFC版から引き継がれておりGBのシリーズとの関連はない。
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初のSFC版ということでこれまでの操作を受け継ぎつつ、様々な技も加わっている。エネルギー消費の方式で必殺技も新たに追加。反面、十字の下ボタンで木槌を構えての防御はできなくなった。
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FC・GB版から引き続きライフ制だが、ダメージが常に均一だったFC版と違い敵の攻撃の種類や、源さん自身の装備によってダメージに差異が出るようになった。
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そのためライフ表示はマス目から、ゲージ表示に変更されている。ボス戦ではボスのライフも見ることができる。
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今までは源さんの「いくぜぃ!」「てやんでぃ!」だけだったが敵キャラにもボイスがかなりふんだんに使われるようになった。
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アイテムが一部変更。
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ハンマーを360°高速で一回転させるアイテムは、それまでの薬のようなものからハンマーを回しているようなパネルに変更。
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1UPはそれまで源さんの人形だったのが「1UP」と書かれたハンマーになっている(一見すると立て札のようにも見えるが)。
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体力回復アイテムが「おにぎり」に統一。小さいものと大きいものがあり、大きい方が回復量が多い。
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木箱を壊すとアイテムだけでなく敵が飛び出してくることもある。
カエルなどはまだしもドリルを持ったおっさんがどうやって入っていたのかなんてツッコムのはヤボなので気にしないこと。
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従来の「ハイパー木槌」や「デカハンマー」などと名称を変えてきたパワーアップ武器は金属製の「メタリックハンマー」となった。
相棒の木槌が金槌に。
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ジャンプ中に地面を殴ると地震ではなく左右に衝撃波を放つようになった。メタリックハンマー装備時に地面を殴れば標準で衝撃波が起こる。
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これまでの作品と異なり、ステージとエリアによる2弾構成になっている。
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1エリア目には中ボスがいて、2エリア目にステージボスがいる。
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ステージ「1-2」「3-1」では源さん愛用のスクーター「源チャリ」で進むことになる。止まることはできないが前後でスピードをコントロールできる。特定のポイントで段差にぶつかって消える(必ず)。
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FC版2作品は2ループだったが、本作は1ループでエンディングとなる。
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エリアクリア時、残り体力がスコアに還元されるようになった。
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タイトル画面でセレクトボタンを押すとオプションが表示され、難易度も「BEGINNER」「NORMAL」「EXPART」の三段階から選択可能。
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ただし、イージーモードにあたる「BEGINNER」でクリアしてもスタッフロールが見られなくなっている。
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ステージ間にはイベントデモと会話シーンが追加。更にステージボス前にはボスと源さんのやり取りも描かれる。
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特殊な技が追加
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男の木槌シュート(必殺技カード不要)
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上から右へ1/4回しながらYで発動。木槌を投げて遠くの敵を倒す技でブーメランよろしく戻ってくる。
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男の木槌ボンバー(必殺技カードを1つ消費)
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ジャンプしてXで発動。地面を叩くと同時にフォースが爆発し画面内の敵全部にダメージ。
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男の花火(必殺技カードを1つ消費)
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立ったままXボタンで木槌を投げ上げ、その木槌から火花が飛び画面内の敵全部にダメージ。
新しいアイテム
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ハッピ
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攻撃によるダメージを軽減(数回有効)。赤と緑があり緑の方が強力。
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桐島組の印
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毒の壺
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必殺技カード
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カンナちゃんの愛(「LOVE」の文字がある赤いハート)
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カンナちゃんがやってきて触れると弁当をくれて体力が全快する(木槌で叩くと怒るが弁当を渡すまでは帰らない)。
ステージ
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1章 前編「町を守れ!!」 後編「走れ、源さん!!」
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ステージは「てやんで町」。鎖鉄球があるぐらいで他に際立った特殊なギミックはないが足場が、基本は道路の上を足場とし、建物の屋根などにも上がることができる。
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ボスは「なにわ大介」。野球好き(恐らく阪神ファン)ということでロケット風船や応援用のプラメガホンを飛び回りながら投げてくる。「なにすんねん!」というダメージボイスも印象的。
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2章 前編「森があぶない!」 後編「やつらの目的!」
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ステージは「べらんめ森林」。木や金網を登ったりして進む。また杭が出ているところがありこれを叩いて引っ込めると対応した別の杭が飛び出し実質的な足場の切り替えや、木にはハチの巣がぶら下がっている個所があり数回叩いて落とさなければ進めない(もちろんハチが出て襲ってくる)。
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ボスは「刃渡ミカ」。黒木組の女大工で、チェーンソーを振り回して襲ってくる。直接斬りかかるだけでなくジャンプでチェーンソーを岩盤に入れて岩を落としてくる。
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3章 前編「走れ!!走れ!!」 後編「来い!勝負だ!!」
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ステージは「がってん谷」。1エリア目は「源チャリ」を使うだけで大したギミックはない。2エリア目は落ちる足場が多い。
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ボスは「ダイナマイト・ダン」。ご存じ前作でライバルキャラとしてその地位を固めた「赤毛のダン」こと「八波弾」が改名。
巨大なガスコンロの上で戦い、ダン自身は左右の柱の上を飛び交いながらダイナマイトを投げてくる。床にあたるガスコンロは火の出ている上に立っているとダメージ。
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4章 前編「時をこえて!」 後編「未来の戦い!」
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ステージは「黒木アジト」。上り下りが多く、針山床や平行に滑って来たり高速で叩くハンマー状や放電機などダメージ系ギミック道中が盛りだくさん(大多数は破壊可能)。リフトは上から乗る分には足場だが下からぶつかると棘になっているのでダメージ。
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マグマだまりのような溶鉄の池があり落ちると実質的な即死その中に落とそうとするコンベアのような足場がある。
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エリア1をクリアするといつの間にかカンナちゃんを捕まえた黒木社長を追い、タイムマシンで未来の黒木アジトに移動する。それにより、エリア2は雰囲気もBGMも大きく異なっている。
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ボスは「ドクターパラレル」。FC『2』のラスボス。1・2エリアどちらでもマシンに乗ってビームなどで攻撃してくるが、彼自身が乗っているコクピットを叩くことでダメージを与えられる。
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終章 「改心しやがれ!!」
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ステージ自体は前のステージの簡易版のような作りでギミックはない。少し進むとすぐにラスボス戦が始まるので、実質ラスボス戦専用のステージのようなもの。ステージ名はラスボスの名前の「らいぞう」になっている。
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ボス「黒木雷蔵」。黒木社長の子孫で本作のラスボス。まるでバトルスーツのようなものを身にまとい、半ばワープのような高速の体当りやビームで襲ってくる。
評価点
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アクションは多彩化しつつも、ちゃんととっつきやすい操作性など良い部分は継承。
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FC版やGB版でアイレムらしいスムーズな操作性も相変わらずで、技の出し方もやりやすいなど初心者でも慣れやすく直感的で複雑な操作がほとんどない。更に新しく必殺技が追加され、それもまた扱いやすいものになっている。
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様々なギミックも見た目通りで、ややこしいものがない。
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個性豊かなキャラ達。
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エリア1にも見た目から個性的なキャラが多く、それらがボイスを交えて繰り出す特有のアクションはいずれも被るものがなくいずれも個性が光っている。
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従来のような黒木組の作業員達は勿論、ポリバケツから手足を出して走ってくる変人や一輪車で源チャリに追いついては鉄球を投げてくる敵が居たりと、グラフィックが進化した事もあって従来以上に濃い敵が襲い来る。
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ボスも黒木一族に加えて従来シリーズで戦ってきた八波弾やドクターパラレルも登場し、FCシリーズの総決算のような内容となっている。
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新キャラでは特にステージ2のボスでありボスの中で紅一点「刃渡ミカ」のキャラの濃さは後述の通りで、人気が出るのも道理。
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他にもステージ1の中ボスで猫の着ぐるみを纏ったのに妙に素顔が厳つい「猫吉」、ボスの阪神ファンそのものな外見の「なにわ大介」と、際立った個性を持つ。この二人も後のシリーズに登場している。
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やられた後のアクションまでも、そんな個性が多彩に現されており単なる消化演出であっても抜け目がない。
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エンディングでそんな彼らがオールスターで顔を見せてくるのだが、それを見ているだけでも改めてキャラの個性の多さを実感できる。
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ステージ1.2は自由度が高く、それでいてお手軽でチュートリアルにもなっている。
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まず始まりのステージ1は基本は道路上を走っていくだけでもいいのだが、屋根の上にアイテムの入った木箱があったり階段の上や軒先に乗れたりといろいろ気が向いた寄り道ができる。
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ステージ2では1ほどではないものの迷路状に入り組んだ中で、行く道を選択できる余地がある。
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更にこの2ステージはかなり難易度が低く、慣れのない初心者でもクリア自体簡単ということもあってモチベーションを維持しやすい。
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また王道なギミックである金網や源チャリなどもこの2ステージでしっかり網羅できるため以後のステージにも対応しやすい。
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いろいろテクニックが活かせる部分や、それらによる発見が多い。
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何の気なしにやっていると、どうしても届かない所に木箱があり、壊せてもアイテムが取れないなど悔しい思をすることが多々ある。
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だが、それは直前にソノチャンスを逃していることがわかると、新たなる発見につながる。
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いい例が「源チャリ」でギャップにぶつかって源さんが今まで通りの走りに切り替わるタイミングで勢いを抑えることで、意識しないプレイでは上記のアイテムを取れる足場を確保するにつながる。
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これらが生きてくるのが「1UPハンマー」で、それらを意識しなければならない所に多く隠されている。こういったものがセカンドプレイなどの楽しみにもなる。
問題点
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必殺技の2つが同じカード1消費でどちらも効果の差異があまり感じられない。
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「男の木槌ボンバー」と「男の花火」は見た目こそ違うものの、どちらも画面内全部にダメージと効果が実質同じ。
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ここはもう片方が狙う必要がある代わりにダメージ特大のような仕様であれば、もっと確定的な差別化ができていただけにもったいない部分。
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アクション一本に逆戻りしたことやボーナスステージがなくなり単調になった一面も否めず。
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相対的ではあるが『ゴーストビルディングカンパニー』や『赤毛のダンの逆襲』では簡易的ながらシューティング、FC2作品ではボーナスステージなどを搭載していたにもかかわらず、それらが一切不採用でレギュラーステージのみというのは寂しいものがある。
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撤退しなければ次作品で搭載する予定もあったとして「あくまで基本形」というスタイルを取ったのかもしれないが。
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シリーズ恒例だったエンディングの一枚絵が無くなった。
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オープニングをはじめ各種演出は強化されているものの、エンディングのラストはイベントシーンを映していたアルバムを閉じる演出が入るだけ。余韻は残るものの寂しさも否めないラストになった。
総評
シューティングステージやボーナスステージこそなくなったもののアクションに関してはFC2作品から順当に継承+進化しライフの細分化や新しく必殺技の搭載、もちろんグラフィックやサウンドまわりもハード性能のアップで順当進化系に間違いない。
キャラクター面においては更にFC版よりも多彩化し、特に敵ボスキャラをはじめ皆いずれも個性的なものばかりで見ているだけでも面白いものばかり。
ストーリー面は「自分が建てた家を壊される」「黒木組を改心させる」という初作を繰り返していることになるが、それに関してもSFの要素を織り交ぜており事実上全く別物のような形にアレンジできている。
それだけに、これが「基本形」ということでアクションゲームとしてベーシックな作りに仕上げたとしたら「発展形」を見られないまま終わったことは残念の一言に尽きるだろう。
その後の展開
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まだまだスーパーファミコンが主役の時代はこの後3年ほど続くのだが、翌年にアイレム自身がゲーム開発事業から撤退したため概要の通りスーパーファミコンのシリーズ作品は本作のみに終わる。
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この次は1994年3月25日発売の『大工の源さん ロボット帝国の野望』がゲームボーイソフトとして発売。
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1992年に発売された『大工の源さん ゴーストビルディングカンパニー』から続いたストーリーになっており、やはり左記の作品を受け継いでかなりぶっ飛んだ世界観になっている。
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上記撤退の都合により本シリーズはこれを最後に一旦ストップとなる。
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本作と同時期に『源さんのクイズ・トライアスロン』がファミコンソフトで発売される予定だった。
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開発中の情報では4人対戦可能なアクションゲームを織り交ぜたクイズゲームとのこと。
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本作発売時点では1994年1月に予定されていたが、そのままお蔵入りとなり発売されることはなかった。
余談
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今では恒例の源さんのスタイルである青の半被や、カンナちゃんのセーラー服といったスタイルは本作で確立された。
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ただこの後発売される『ロボット帝国の野望』では、それ以前に発売された『ゴーストビルディングカンパニー』から続いている関係か、まだ定着しきってはいない。
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本作のステージ2のボス、チェーンソーを振り回す黒木組の女大工「刃渡ミカ」はへそ出しの大胆な格好、イカれた顔でチェーンソーを振り回して飛び回り、それでいて攻撃を受けると「きゃう~ん」と妙にかわいい声を出すというこのギャップでかなり濃いキャラとなりコアな人気を得た。
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後述のアニメではチェーンソーに快感をおぼえている描写もあるが、本作中ほどヤバイ顔はしていない。
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「刃渡ミカ」がパチンコシリーズで登場したのは、スピンオフ2機種を挟んで再び『CR大工の源さん』(M3・M56)として登場した2004年の4作目。通常大当りした後お祭りのような大団扇で図柄を吹き飛ばして確変に昇格させるという役目で、それが転じて次作にあたる2005年の『CR新大工の源さん』(M56Z・M61)では「どんな場面でも出るだけで確変確定」という要素が付加され、出れば一番嬉しいキャラ(演出)という美味しいポジションを獲得した。以後のパチンコ作品でもそのスタイルは受け継がれている。
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大本のゲームでは敵方の立ち位置だったが、パチンコで敵方だったことは一度も無く、いつの間にかすっかり源さんの仲間キャラとして定着した。それに合わせて設定も「黒木組に嫌気が差して桐島組に移籍した」というものへと変わっていった。
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なお上記2004年機種はアイレムのパチンコシミュレーターパチパラシリーズの一作『三洋パチンコパラダイス10~源さん おかえりっ!~』(2004年5月27日発売・PS2)に収録されている。
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2008年3月からアニメが放送され、その中では敵方だったがその期間は3ヶ月と短い上に表立ってライバルとして戦った話は少なく、そもそも地上波ではなくGyaOでの放送のため地上波放送ほど視聴の幅は広くない。
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そんなわけで彼女が元々は敵方で、しかもチェーンソーを振り回していたヤバイお姉ちゃんであることはパチンコ・パチスロで知った世代からはあまり知られておらず、本来のヒロインであるカンナちゃんとは性格が相反した「気が強い姉御肌なセカンドヒロイン」のような立ち位置になっている。
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それはゲーム作品でも逆輸入され2008年5月15日に発売された『いくぜっ!源さん~夕焼け大工物語~』(PSP)では仲間の扱いになっている。
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片やパチンコやパチスロではいつも大団扇ばかり持っており愛用のはずのチェーンソーを手にすることは2020年の『P大工の源さん 超韋駄天』までないという、ちょっとかわいそうな一面もある。
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また本作ではアイマスク型の仮面をして登場(戦う前に外して投げ捨てる)するのだが、そのような姿は本作のみで以後ゲーム、アニメ、パチンコでも一切見られない。
最終更新:2023年11月17日 18:06