本記事は3DO版を解説しています。PC版以降(Steam版含む)の内容とは若干の相違があるため御了承ください。
【とざされたやかた】
ジャンル | FPS | ![]() |
対応機種 | 3DO interactive multiplayer | |
発売・開発元 | スタジオ3DO | |
発売日 | 1995年12月22日 | |
定価 | 7,480円 (税込) | |
プレイ人数 | 1人 | |
レーティング | 3DO用審査:16(16歳未満不適) | |
備考 |
英語圏のみPC移植あり(Win/Mac) Steam/gog.comにて原語版・リマスター版配信中(PC版準拠、日本語非対応) |
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判定 | 良作 | |
ポイント |
3DO社が自社ハード末期に自ら送り出したホラーゲーム オープンワールドの館を探索するメトロイドヴァニアFPS 少しずつ核心が明かされる演出面が見所 最低難易度でも難所があるシビアな設計 フレームレートと操作性に難あり |
YOU SHOULD NOT HAVE COME.
《あなたは、この島に来るべきではなかった……》
3DO末期に版元の3DO社から直々に発売されたFPS。原題は『Killing Time』。同ハード最後の年末商戦タイトルのひとつでもある。
舞台は1930年代、アメリカ東部の孤島に建てられた巨大な豪邸。プレイヤーはこの屋敷に潜入し、エジプトの呪いに蝕まれた血なまぐさい事件の謎を紐解いていく。
当時の海外市場は『DOOM』の成功によってFPSが盛り上がりを見せていたが、今作も数あるフォロワーの一つに当たる。
開発元のスタジオ3DOは名前の通り、3DO社自身が3DO規格向けのゲームを開発するために設けた部門である。
海外ではハード事業撤退後もそれなりのソフト供給も行っていたが、日本での活動はほとんど行われておらず、今作は3DOブランドで日本に発売された数少ないタイトルの一つである。
メイン州(*1)の岸を後にして、私はマティニカス島(*2)へと向かっている。
エジプト学者である我が恩人・ハーグローブ博士は、ラムセス王朝(*3)に伝わる水時計を求めて数回に渡っておこなった、北アフリカへの発掘調査のことをよく話してくれたものだ。
その時計は、永遠の生命を約束してくれる魔力を持つとされ、博士は、一度はそれを発見したと言っていた。
ところが、発掘のスポンサーとなっていたテス・コンウェイの訪問を受けたのち、博士は不思議にも、突然消えてしまったのだ。
私は、博士が消えるまでの足跡をたどり、テス・コンウェイの島までたどり着いた。
コンウェイの館は、その全盛期には贅を尽くした華やかなパーティで賑わった。しかし、1932年の夏至の夜、テスとその取り巻きたちが忽然と姿を消して以来、館は打ち捨てられたままだ。館の全貌が私の目に入ってきた!天気が悪くなってきたが、もう少しで岸に着く。生命の危険に晒されるかもしれないという不安はあるが、覚悟はできている。
……ん?おかしいな。腕時計が止まってしまった。
(オープニングムービーより)
+ | 壺の能力一覧 |
+ | ネタバレ注意 |
+ | 詳細 |
+ | 例(ネタバレ注意) |
+ | 詳細 |
+ | ... |
FPSという新ジャンルが模索される中、探索要素やシナリオ演出を盛り込んで独自の魅力を切り拓いた一作。
実写ムービーによるADV要素はゲームを進める動機付けとして上手く機能しており、3DOらしいコンセプトとゲーム性を両立した数少ない作品の一つと言えるかもしれない。
ゲームバランスも厳しめながら丁寧に調整されており、そのスリルはホラーシナリオとの相性も抜群である。
海外プレイヤーからは3DOの思い出深い良作のひとつにしばしば挙げられており、数少ない日本のプレイヤーからも「難しいけれど面白いシューティング」として時たま3DO関連のコミュニティに名前が挙がる。
荒削りな部分もいくつか指摘されているものの、総合的には比較的良好な評価を得ており、3DO限定のFPSをオススメするうえで外せない一本である。
*1 アメリカ最北東部に位置する州。
*2 実在の島としてメイン州南部に「マティニカス・ロック島」が存在するが、そちらと同じものかは不明。
*3 B.C.1185-B.C.1070に実在したエジプトの王朝。
*4 日本語版説明書での表記。人によっては幼稚園や保育園で使う画材でしか見ることのない色では……
*5 この移植計画はあまりにも無軌道だったため、肝心の内容は「最低の移植版」と称される惨状に陥っており、レベッカ氏が残した功績は「破綻寸前の計画を奇跡的にまとめてくれた」という部分にある。後年氏が語ったことによると、手がけた仕事の中で一番思い出したくないほど酷いプロジェクトだったのだとか……
*6 遭難した宇宙船の中でシェフがひたすら戦うFPS。奇ゲーとしてもっぱらカルトな評価を受けており、日本ではPS版のみ発売された。