ゾロ ザ クロニクルズ
【ぞろ ざ くろにくるず】
ジャンル
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アクションアドベンチャー
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対応機種
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Windows(Steam) プレイステーション4 プレイステーション5 Nintendo Switch
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発売・開発元
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3goo
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発売日
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【Win】2022年6月16日 【PS4/PS5/Switch】2022年8月4日
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定価
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4,500円
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レーティング
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CERO:B(12歳以上対象)
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判定
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なし
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ポイント
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あの有名作品がゲーム化 キャラゲーとしてはガッカリ 遊べないことはないが、全体的に微妙な出来
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概要
日本では主に『怪傑ゾロ』として知られるジョンストン・マッカーレー原作の小説のゲーム化作品。
何度も映画化・舞台化がされており知名度こそ高い『怪傑ゾロ』だが、意外なことに、単独でのゲーム化は本作が初である。
設定的には、同名のTVアニメがベースになっている。
システム
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ステージ選択式の3Dアドベンチャー。ステージごとに見張りの兵士を撃退しながらミッションの達成を目指す。
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ステージ突入前に兄のディエゴと妹のイネスからプレイヤーキャラを選ぶ。ディエゴは必殺技ゲージの総量が多く、イネスはライフが多め。アクション面での相違点はほぼない。
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また、序盤のステージ以外は突入時に「戦闘エントリー」か「隠密エントリー」かを選べる。前者は敵に見つかって戦闘で倒していくことが前提になるような配置になっており、後者は隠れてこっそり敵を排除していくことが前提になるような配置。とはいえステージを進めればどちらのエントリーでも目的地は収束するため、あくまで「突入時の状況が異なる」程度の差である。
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ステルス要素が強めで、「高所に登って敵の配置を探る」「高所から石を投げて敵を誘い出し、上空からの一撃で倒す」「背後から忍び寄って一撃KO」などのアクションが可能。ただ、『メタルギアシリーズ』とは異なり、無理にステルスを使わなくても正面突破も可能なバランスである。
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鞭を使って高所に移動することが可能で、目標達成のためには重要なアクションになる。
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戦闘時は、剣と鞭を使いこなして見張りをKOすることを目指す。
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基本的には剣でしかダメージは与えられず、鞭は相手を一時スタンさせるだけ。ただし、一部の装備を取り上げる効果もある。
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相手の頭上を飛び越えて背後に回るアクションや、カウンターもできる。特に盾持ちの強敵は普通にやっても攻撃が通らないため、重要。
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炎やサボテン、手すりの向こう側などに相手を突き落とすと残り体力に関わらず一撃で倒せる。
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必殺技ゲージを消費して一撃で相手を倒せる「スーパーKO」という技もある。必殺技ゲージは通常攻撃の他、カウンターを成功させると多く貯まる。
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敵を倒すと経験値が入り、経験値を消費することで新しいスキルを習得できる。スキルにはアクション追加の他、ライフ強化や必殺技ゲージ拡張などの効果もある。
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経験値は、ボーナスミッション(一定範囲内の敵をステルスKOする、スーパーKOするなど)を達成することでも貰える他、各所に隠されたポスターに悪戯書きすることでも増える。
評価点
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ゾロのモーションはスタイリッシュかつコミカルでなかなかよくできている。
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敵を倒したときの撃破モーション自体に複数の種類があり、いずれも凝っていて見ているだけで楽しい。スーパーKOに至っては、かなりツッコミどころ満載の唐突かつ笑えるものも。
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本作のゾロは不殺主義を徹底しており、倒した敵はいずれも気絶もしくは戦意喪失状態であることが強調されている。また、ゾロ自身の体力が0になっても、「アディオス!」のセリフと共に煙玉で消え去る、というカッコいい退場モーションであり、「ゾロは無敵のヒーロー」ということがわかりやすい。
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基本となる「ステルスアクションアドベンチャー」の部分に関しては、割としっかり作り込まれており、手軽にこの手のジャンルのエッセンスを味わえる。
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高所から望遠鏡を使って敵や目標物をマーキングしておくことで、対処法を考えやすい。
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ただ、ゾロ自身がかなり強めに設定されているため、何も考えずに正面切って切り込んでも割となんとかなるレベルでもある。ある意味自由度は高い。
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難易度バランスはそれなりに適正で、正面突破を挑むよりはちゃんと偵察やステルスを活用したほうが難易度は下がるように設計されている。
問題点
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シナリオ要素が皆無に近い。
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一応は、ステージごとに背景がキチンと設定されているのだが、そのシナリオがステージ内で語られることはほぼ皆無。細かいことは異なるが「悪役が悪いことをしているので、それを阻止しよう」で終わるような単純な筋書きである。
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まぁ元々の『怪傑ゾロ』自体がシナリオよりはゾロのキャラクター性で人気が出たような作品でもあるので、この方向性が間違っているわけではないが……。
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セリフが出るシーンも皆無に近い。悪役がゾロにしてやられて「ゾロー!」と憤るシーンと前述のゲームオーバーぐらい。
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前述のシナリオ要素の薄さとも絡むが、ステージごとにやることがあまりにも変わらない。
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目標地点に移動する→見張りがいるので撃退する→次の目的が示される……の繰り返し。ボーナスミッションの存在や、複数のウェーブで襲いかかる敵など、頑張って差別化していることはうかがえるがそれでも単調さは否めない。
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「さらわれた人質を助ける」ミッションでも、「悪役がクーデターを企んでいるので武器を壊す」ミッションでも、「奪われた宝物を奪い返す」ミッションでも、ほぼ同じ。
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ステージのデザインも単調。
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『怪傑ゾロ』自体が水戸黄門のような諸国漫遊ものではなく、一つの街で完結するストーリーなので仕方ないと言えばそうなのだが、どのステージに行っても似たような背景にコピペのような建物だらけであり、ステージを進めても変化に乏しすぎる。
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敵のバリエーションはそこそこ多いが、一度に出る敵の数が多めなのもあって同じような組み合わせの敵が何度も出てきてしまう。これもミッションの代わり映えのなさに拍車をかける。
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ガードが硬い敵は「背後に回ってチクチク突く」の繰り返しを余儀なくされる。スーパーKOはそう何度も使えるほどゲージに余裕はない。
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また、最終ステージ以外にボス敵はいない。一応、体力が強化された中ボス格の雑魚もいるが、体力の強化以外は普通の雑魚と変わらないので、スーパーKOやギミックを使った一撃KOが通じてしまう。
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結局、序盤から出てくる狙撃手が「遠距離から割り込んでダメージを与えてくる」という特性から終盤まで一番厄介な雑魚だったりする。ほとんどの戦闘は、狙撃手を最優先で片付けて、あとは1体ずつチマチマと削っていく単調な流れになる。ゾロのメイン武器はレイピアであり、突き攻撃ばかりで範囲攻撃がないのも辛い。
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全てのスキルを取ってしまうと、以降経験値の価値がなくなる。
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ステージごとにボーナスミッションとポスターの達成状況は記録されているのだが、コンプリートしても経験値が入るだけで特に特典はなし。「ゾロの衣装を変える」や「追加ステージ」などのお楽しみ要素もなし。
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せっかくのやりこみ要素なのに、やりこむ意義が薄すぎる。経験値は、そこそこ真面目に稼いでいけば、一周クリアで全スキル解放できるかできないかぐらい溜まってしまう。
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また、結局のところ基本アクションだけで十分攻略できてしまうため、ステータスアップ系のスキル以外の価値はかなり薄め。アクション自体は多彩なのだが……。
総評
ゾロのイメージぶち壊しな演出やアクションがあるわけではなく、キャラクター性そのものはよく再現されており、ゲームの根幹部分に関しても致命的な問題があるわけでもない。
しかし、一応は原作付きのキャラゲーにもかかわらず、シナリオがあまりに薄すぎるのが致命的。
遊べない作品ではないが、「キャラゲーとしては薄味」「アクションアドベンチャーとしても際立った評価点がない」と取り立ててオススメできるポイントにも乏しい、なんとも評価しにくい一作。
余談
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本作の元になったアニメ『Zorro The Chronicles』は比較的低年齢層が対象のヒーローアニメと言った風情の作品であり、実際本作でも上述のように流血描写・死亡描写は徹底して避けられている。
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その割には、CERO判定はBとなぜか微妙に厳しい。原語版のIRACは7+とそこまで厳しくもないため、恐らく日本における判断基準に引っかかったものと思われる。
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主人公が義賊とはいえ盗賊という犯罪者であることがネックだったのだろうか。
最終更新:2024年08月25日 13:36