熔鉄のマルフーシャ
【ようてつのまるふーしゃ】
ジャンル
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ハイテンポシューティング
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対応機種
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Nintendo Switch プレイステーション4 プレイステーション5 Xbox One
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発売元
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PLAYSM
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開発元
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hinyari9
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発売日
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2023年4月6日
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定価
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1,180円(税込)
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プレイ人数
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1人
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レーティング
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IARC12+(12才以上対象)
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判定
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良作
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ポイント
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ハイスピードハイテンポSTG スキマ時間にピッタリのハイスピード構成 徹底したディストピア世界観
マルチバッドエンディングも完備
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概要
スチームパンクな世界観による架空のディストピア国家を舞台とした美少女シューティングゲーム。
主人公マルフーシャを操作して防衛対象である門を破壊されないよう、日々敵国家の部隊を迎撃していく。
ゲーム中のグラフィックはポリゴンモデルにドット絵を貼り付けた2.5Dスタイルが特徴であり、キャラクターやイベントスチルもドット絵で表現されている。
大本となるSteam版は2021年8月27日に発売された。Steam版はパブリッシャーを介さない個人販売形式のため、記述は最小限に留める。
ストーリー
隣国との争いが続く国家カゾルミア。パン屋の店員であるマルフーシャは人員不足から軍に徴兵される。
最愛の義妹スネジンカの為にも、マルフーシャは戦場へ趣き外壁の防衛任務を遂行する。
システム
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防衛対象となる門を続々と襲ってくる敵から守り抜くディフェンス式のシューティングとなる。
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Steam版ではキーボードとマウスで操作するシステムだが、CS版ではコントローラー操作となっている。右スティックで照準を合わせるなど、操作感覚はTPSなどのシューターに近い。
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敵を全て倒すと給与明細が表示され資金を獲得できる。続いてカードの選択場面が表示され、3つのカードのうち1つを購入する事でマルフーシャを強化できる。そして日にち(ステージ)が変わりまた敵を倒していく。
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攻撃力や弾速、集弾性能、マガジンなどのパラメータの他、武器の変更、使い切りの特殊武装「ガジェット」の獲得や仲間の雇用なども可能。有料だがカードの引き直しも出来る。
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ガジェットは壁となる「バリケード」や罠である「スパイク」「地雷」など設置型の緑枠と所持金の多さで威力が変わる「クレジットショット」や攻撃範囲は狭いが非常に強力な「パイルショット」など射出型の青枠の二つが存在する。
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チャンスカードというカードも存在する。給付金や攻撃力の増大などハイリターンの内容がランダムに選ばれる。
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何故か「犬」というカードも存在し、選択すると宿舎内に犬が増える。
それだけ。
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初期装備はハンドガンだが、武器カードを購入する事でサブマシンガンやアサルトライフル、軽機関銃やスナイパーライフル、ショットガン、グレネードランチャーなどの武器を扱う事が出来る。
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武器にもそれぞれ攻撃力や連射性能などがあり、性能格差もハッキリしている。グレネードやスナイパーライフルは攻撃力は高いが連射力は無く、逆にマシンガンやアサルトライフルは一発ごとの火力は低いが連射に優れている。
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武器には耐久値が設定されており、1面クリアするごとに1つずつ減っていく。0になると武器が強制的にハンドガンになってしまうので、早めの武器購入を心がける事。
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仲間は自動で近くの敵を迎撃してくれる。強化は今いる仲間と同じカードか仲間のレベルアップカードを選択する事で行う。なお、雇える仲間は一人までであり、仲間がいる状態で仲間カードを選択すると、その仲間に入れ替えとなる。
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10ステージ(チャレンジモードでは5ステージ)ごとに宿舎を利用する事が出来る。宿舎内では「電話」でステータスを確認できる他、「配給機」による食事を摂る事でパラネータがランダムに上昇、「冷蔵庫」の飲み物を飲んでマガジンサイズのアップや「シャワー」を浴びて集弾性能とリロード速度が上昇する。
入浴シーンはしっかり脱ぐ
「ベッド」で寝る事で次のステージの戦闘が始まるが、他の施設を利用しなくても選択できてしまえるので必ず何らかの施設を利用する事。
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ストーリーモードでの1周ごとの総ステージは100面だが、最初の40面のうちにリトライ回数が多いとバッドエンドとなってしまう。なお、リトライの回数に限度は無い。
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チャレンジモードは何日間門を防衛できるかを競うスコアアタックであり、門を破壊されるとリトライできずそのままゲームオーバーとなる。
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このモードのみマルフーシャ以外のキャラクターも操作可能。各キャラクターの解放には条件があり、それを満たせば操作が出来る。
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各キャラクターには性能差がある他、固有のアビリティを持つ。基本的にはキャラクターの肩書き通りの手持ち武器を持てば攻撃力がアップする性能。
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特定のキャラクター同士の組み合わせだと、宿舎画面にてイベントが発生し特定のパラメータが上昇する。
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一定期間を生き残れば武器カードが続々と解禁する。
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コレクションは登場する武器やキャラクターのプロフィールを閲覧出来る他、ストーリーモードの各エンディングやチャレンジモードの成績を見る事も出来る。
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ギャラリーはイラストや設定資料の閲覧。
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Steam版のDLCであるアートブックを内包した機能である。
キャラクター一覧
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長いので折り畳み
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各キャラクターの名前は宇宙開発実験でロケットに乗せられた動物が由来である。
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マルフーシャ
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主人公。中流階級出身の少女でパン屋の店員。義理の妹であるスネジンカが唯一の家族。
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主人公らしく性能はオールラウンダー型。
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チャレンジモードでは仲間として登場しない。
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ライカ
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上官である監査官。ストイック
だがポンコツな性格でマルフーシャにはつっけんどんな態度を見せるが、なんだかんだで面倒見が良く
わざわざ自作の看板まで用意してアドバイスもしてくれる。
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性能は「上級ショットガン兵」らしく、連射に優れた散弾で弾幕を張っていく。
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なお、ストーリーモードでは終盤でしか仲間にならない。
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ベルカ
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連射性に優れたツンデレな「サブマシンガン兵」。
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集弾性能は低いが、レベルアップするとそれなりに弾がまとまる。早めにレベルアップすれば序盤の支援役として最適。
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チャレンジモードでのプレイヤー選択時の能力は連射が特に秀でている。
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ストレルカ
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飛び級で大学を卒業した学歴を持つ「上級サブマシンガン兵」。
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ベルカの上位互換的な性能だが、上級らしく雇用カードの出現率は低め。
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ビオン
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下層階級生まれの「アサルトライフル兵」。その育ちから卑屈な性格であり、何かとすぐに謝る。
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性能は後述のアリビナの下位互換だが、チャレンジモードではスパイクの設置数が増加するアビリティを持つ。
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アリビナ
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元気で明るい性格の「上級アサルトライフル兵」。
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その火力の高さにより、仲間雇用時とプレイヤー選択時の両方で扱いやすい。
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エノス
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ぼんやりとした性格の「軽機関銃兵」。
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仲間としては一番弱い性能だが、チャレンジモードでは「門が毎日微回復する」アビリティを持つため、十分選択肢に入る。
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フェリセット
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怠け者な性格だが、天才的な腕前を持つ「上級狙撃兵」。良家の生まれであり、キャラクターたちの中では一番国民の階級が高い。
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仲間としては攻撃力の高さで頼りになる反面、狙撃兵らしく足が遅めでありチャレンジモードで選択した際は遅さをカバーする事が攻略のカギとなる。
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ちなみにスナイパーライフルのみ上級しか用意されていない。
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スネジンカ
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NPC。マルフーシャの妹でオープニングと一部のエンディングでのみ登場。
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評価点
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ハイテンポシューティングに相応しいスピーディなゲーム進行。
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1面にかかる時間は非常に短く、ストーリーモード1周にかける時間も約1時間程度。空き時間にちょっと遊びたい時などにもちょうど良い。
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爽快感も高く、キャラをしっかり強化していけば気軽に一騎当千を味わえる。
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徹底したディストピアの表現。
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ステージクリアごとに表示される給与明細には家賃や税金、生活費などから間引きされ雀の涙しか残らない事が描かれる。
さらにステージが進むにつれ徴収される税金が増えていき、ステージ開始時にはわざわざその事を知らせ、さらにその度に「おめでとうございます!」と宣告され神経を逆撫でさせていく。
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宿舎での食事もブロック状の食料や肉のような塊、薬剤のようなサプリメント?と味気なく貧相ないかにもディストピア然としたもの。
テレビニュースも激戦の内容が語られることがほとんどでかなり殺伐としている。
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敵がなぜ機械兵ばかりなのか、犬の存在はなんなのかも一部のエンディングで答えが匂わされ、そのどうしようもない内容に背筋が震えるだろう。
賛否点
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ストーリーモードの難易度は低め。
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強化を怠らずしっかりこなせていけばノーリトライはしやすく、前情報無しでも1周目でグッドエンドに到達しやすい。
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意図的に強化をしない事で難易度を疑似的に上げる事は出来る。
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救いの無いストーリー展開。
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バッドエンドは当然ながら、個別エンディングはどれも後味が悪い終わり方をし、グッドエンディングも不穏な空気を残して終わるなど、
キャラクター達に明確な救いは訪れない。
問題点
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強化カードの獲得は完全に運であり、強化が偏る事態もそれなりにある。
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引き直しは可能だが、資金の少ない序盤のやりくりは特に大変かもしれない。
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仲間キャラの強さに露骨な格差がある。
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賃金は高いが上級兵が押しなべて優秀な性能のため、お金が足りない以外に敢えて下級兵を選ぶ必要性が薄い。
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敵の動きは基本的にほぼ突進しかないなどワンパターンであり、特にボス相手では冗長な消化試合になりがち。
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各仲間キャラクターごとの個別エンドの条件が少しややこしい。
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最初の40日間の成績でエンディングのルートが決まるのだが、ライフゲージを黄色にまで一度も行かないようにクリアすると必然的にグッドエンドとなる。
裏を返せば
仲間との個別エンドを見るには全ステージパーフェクトは諦める必要がある。
総評
非常にハイテンポなゲーム進行により一騎当千の爽快感を気軽に味わえるガンシューティングである。
暗く退廃的な独特の世界観や美少女たちの可愛さなどに惹かれたらプレイしてみても良いだろう。
余談
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サブタイトルは「Sentinel Girls」であり、ロゴにも小さく入れられている。
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作者のhinyari9氏は影響を受けた作品に『Papers,Please』『ドールズフロントライン』『ガンスリンガーガール』『ダンジョンメーカー』などを挙げている他、好きなゲームに『ブレス オブ ファイアV ドラゴンクォーター』を挙げている。
つまり本作の世界観はそういう事である。
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2024年8月28日にはSteamにて続編である『救国のスネジンカ』が発売。マルフーシャの妹であるスネジンカが主人公となる。
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翌2025年2月13日にはSwitch/PS5/XSXでも配信が開始された。
最終更新:2025年02月19日 01:17