このページでは、『ソフトでハードな物語』及びその続編である『ソフトでハードな物語II』(判定はIが「
良作
/
バカゲー
」、IIが「
不安定
/
バカゲー
」)を取り扱う。
ソフトでハードな物語
【そふとではーどなものがたり】
| ジャンル | ノベルウェア |  | 
| 対応機種 | X68000,PC-9801,FM-TOWNS | 
| メディア | PC98,X68K:フロッピーディスク TOWNS:CD-ROM
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| 開発・発売元 | システムサコム | 
| 発売日 | 1988年7月30日 | 
| 定価 | 7,800円 | 
| プレイ人数 | 1人 | 
| 配信 | プロジェクトEGG 【X68000】2005年4月19日/770円
 【PC-9801】2023年2月7日/無料
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| 判定 | 良作 | 
| バカゲー | 
| ノベルウェアシリーズ | 
 
概要(I)
ノベルウェアシリーズの第2弾で、業界モノのジャンルでゲームソフト業界を舞台とした初のゲーム。
システム(I)
ストーリー(I)
「宏志!大変よ!」
早朝から母親にたたき起こされた大学生・西城宏志はゲームソフト開発会社「モカシステム」を経営している父親が倒れたことを告げられる。
原因は激務による過労。幸いにも無事に意識は取り戻したものの、起き上がることはできず半年間の休養が必要と宣告されてしまう。
結果、株主総会という名の家族会議にて「モカシステムの社長代理」を両親から指名されてしまう羽目になり、そのまま魑魅魍魎が跋扈するモカシステムの舵取りを任せられてしまうことになった…
評価点(I)
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当時のゲーム業界を赤裸々に再現したシナリオ
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こういったゲーム業界の舞台裏を体験できるシナリオは本作が初とも言ってよく当時としてはかなり斬新。シナリオは『DOME』でのシナリオを担当した多摩豊氏が担当。
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一緒に仕事に携わるスタッフも一癖も二癖もある非常に個性的な人物ばかりで彼らとのやり取りが非常に楽しい。
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また、シナリオのアクセントとして恋愛要素も追加されており、シナリオが開発一辺倒にならないようにも工夫されている。
 
 
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自重しないパロディ
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とっつきやすい難易度
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本作も過去作同様時間制限の選択肢はあるものの、あからさまなミス選択肢がわかりやすくシナリオ区切りごとの必要条件もかなり緩めに設定してあるためとっつきやすい。
 
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高品質のBGM
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斎藤学氏によるBGMは過去作同様非常に評価が高い。
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BGMはほとんどがクラシックのアレンジ曲であるが、シナリオの雰囲気に非常にあっており評価は上々。
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前述の自重しないパロディにおいて自社のゲームのみならず他社のゲームの音楽もアレンジされており、こちらもネタ的に評価は高い。
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ネタ曲の極めつけがエンディングで流れるオリジナル曲の「プログラマー音頭」。その哀愁漂うメロディと凄まじくブラックな歌詞は必聴モノ。
 
問題点(I)
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宏志の彼女である美奈子の扱いが若干悪い。
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シナリオの主軸がソフトハウスの話のためこうなるのは仕方がない側面もあるが…
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その上後述の続編ではさらに扱いが悪くなっている。
 
総評(I)
当時珍しかったゲーム業界の舞台裏を舞台とした初の作品であり、ある意味後の『セガガガ』や『NEW GAME!』などの遠いご先祖様ともいえる作品。
当時の懐かしいネタや業界あるあるネタをふんだんに盛り込み、パロディ要素も自重しておらず、飽きさせないシナリオ進行にしているのは見事。
難易度もクリアするだけであれば非常に簡単であるため、お手軽に当時のゲーム製作状況を楽しみたいならお勧めの逸品。
ソフトでハードな物語II -Return of ISHIDA-
【そふとではーどなものがたり つー りたーん おぶ いしだ】
| ジャンル | ノベルウェア |  | 
| 対応機種 | X68000,PC-9801,FM-TOWNS | 
| メディア | PC98,X68K:フロッピーディスク TOWNS:CD-ROM
 | 
| 発売・開発元 | システムサコム | 
| 発売日 | 1989年6月16日 | 
| 定価 | 7,800円 | 
| プレイ人数 | 1人 | 
| 配信 | プロジェクトEGG 【X68000】2005年5月24日/770円
 【PC-9801】2023年3月14日/550円
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| 判定 | ゲームバランスが不安定 | 
| バカゲー | 
 
概要(II)
ノベルウェアシリーズの第4弾で、前作の好評を受けて制作された続編。
プレイヤーは今度はアルバイトとしてモカシステムにかかわっていくことになる。
基本的なシステムは前作とは変わりない。
ストーリー(II)
モカシステムの社長代行から解放されて再び学生生活に戻った宏志は、ひょんなことからモカシステムの日々を思い出して久しぶりに顔を出そうと思い立つ。
懐かしい面々との再会に話を弾ませていた折、社長業に復帰した父親から宏志が書いたゲームの説明書がきっかけで入社を希望する見学者が来ると告げられる。
それが再び激動の日々へ飛び込むきっかけになろうとは、この時の宏志には予想もつかなかった…
評価点(II)
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シナリオ内容の更なるパワーアップ
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シナリオは前作の多摩豊氏から佐藤浩一氏に変更されたものの、シナリオの雰囲気は前作同様のノリで安心。
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前作の社長代理という立場からスタッフの一人という立場になったものの、相変わらずシナリオの完成度は高い。
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当時問題になっていた違法コピーなどについても触れられており、さらに奥の深いシナリオとなっている。
 
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さらにパワーアップしたパロディ要素
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高品質のBGM
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斎藤学氏によるBGMは前作同様非常に評価が高い。
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BGMはほとんどがクラシックのアレンジ曲であるが、曲の選択はメジャーどころをあえて外しているもののゲームの雰囲気にも相変わらずのマッチぶり。
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他社のゲームの音楽もアレンジについてももちろん健在。
 
問題点(II)
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あまりにも極悪な難易度
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本作をある意味悪い意味で印象付けてしまった元凶。本作の難易度は完全に熾烈を極める。
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会話対象の人物を特定時間内に正しく選択するというのは前作同様ではあるものの、その条件が常軌を逸するレベルで極悪そのもの。
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それでいてエンディング達成条件のフラグパラメータにもほとんど余裕がなく、中には一度他のフラグパラメータを減らしておかないと最終的な達成値に到達しないという選択肢も多いうえ、時間制限のせいで総当たりでコマンドを試していくのも困難。
 
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しかも前作と違い選択肢のミスが非常にわかりにくく、一見正解に見えるようで実は不正解という選択肢も非常に多い。
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さらに言うと前作同様恋愛関連のフラグも存在しているのだが、そちらを満たすと絶対にベストエンドが見られないという罠まで。
 
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その難易度たるや、フラグ管理がランダムで行われていると疑われたりグッドエンドを見るためにはゲームデータの解析が必要とまで言われるレベル。
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難易度は先発のX68000版が一番高く、PC98版がそれに続く形。FM-TOWNS版は先述の2機種よりは簡単にはなっているものの、それでも高難易度であることには変わりはない。
 
 
総評(II)
前作に比べパロディ要素が大幅に強化されつつシナリオの完成度も大幅に向上しておりこの部分は正当な進化を遂げている。
しかしあまりにも極悪な難易度は多くのプレイヤーを脱落させてしまい、せっかくの本作の魅力を大幅に削いでしまう結果となってしまった。
もう少し難易度を下げていれば親しみやすくなっていただけに残念である。
余談
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本作の舞台となるモカシステムは実はシステムサコムのアナグラムであり、本作の登場人物の中には当時のシステムサコムの社員をモチーフとしている人物も存在する。
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本シリーズはノベルウェア作品の中では唯一続編の発売を果たした作品である。
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また、本作は出版社を舞台にした更なる続編も企画されていたものの、実現することはなかった。
 
最終更新:2025年01月31日 22:01