レインボーシックス ベガス2
【れいんぼーしっくす べがす つー】
ジャンル
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FPS
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対応機種
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Windows Playstation 3 Xbox 360
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発売元
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Ubisoft
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開発元
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Ubisoft Montreal
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発売日
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2008年3月19日 2008年4月24日(日本語版)
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判定
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良作
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ポイント
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『ベガス』完結編 『ACES』システム登場 豊富なカスタマイズ要素 高難度な単独潜入パート
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トム・クランシーシリーズ
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ストーリー
5年前 フランス共和国 ピレネー山脈
ピレネーの山頂に位置する科学観測所がテロリストに占拠され、欧州連合の要人が人質となった。
国際的特殊部隊レインボーのドミンゴ・チャベス率いるアルファチームと、リーダーのビショップ、新人隊員のローガン・ケラーとガブリエル・ノワックの3名で構成されたブラボーチームが現場に急行し、交渉にあたる。
しかし、新人のガブリエルは焦りからアルファチームの作戦位置への到着を待たずにテロリストとの交戦を開始。ビショップの活躍により鎮圧されたものの交渉人は射殺され、ガブリエル自身も発砲により負傷する事態となった。
2010年7月2日 アメリカ合衆国 ネバダ州 ラスベガス
人質事件から5年後。かつて新人だったローガンとガブリエルは成長し、今やレインボーのアルファチーム隊員として作戦に従事するようになっていた。
アルファチームがテロリストのイレーナ・モラレスを逮捕するためメキシコに向かっていた最中、国家安全保障局(NSA)は密売業者のカブレロ兄弟がラスベガスに大量の武器を持ち込んでいるという情報を察知。
ブラボーチーム隊長のビショップは、新たな仲間であるマイケル・ウォルターとジャン・パクと共にカブレロ兄弟の目論見を調査すべく工場の制圧に向かう。
だが、カブレロ兄弟は武器だけなく爆弾と化学兵器も持ち込み、ラスベガス全域を標的とした大規模テロを画策していた。ブラボーチームの奮戦虚しく、穏やかなラスベガスの市街地は次第に過酷な戦場と化していく。
概要
同名小説を題材とした、特殊部隊による屋内突入作戦をリアルに描くタクティカルシューター『Rainbow Six』シリーズのメイン第6作目(スピンオフ含め14作目)。
元々は前作『レインボーシックス ベガス』のDLCとして開発されていたが、最終的に単独作品となった。このため、ゲームシステムはおおむね前作のものを踏襲している。
ストーリーは主に前作の裏で起こった出来事を描いており、メキシコで作戦行動中のアルファチームの代わりにラスベガスへと向かったブラボーチームの動向を描く。
開発はUbisoft Montreal、エンジンはUnreal Engine 3とこちらも前作同様となっている。
ゲームシステム
基本操作
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基本操作および仲間との連携といった部分は前作と共通しており、体力の自動回復制やカバーアクションといった要素もそのまま受け継がれている。
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戦略的要素として壁抜きが採用されており、一部の遮蔽物が弾丸を貫通する。後述のACESでも使用が推奨されている。
ゲーム進行
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全7章構成のFPS。各章は連続しており、個別に選択することはできない。
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1章のみ5年前を描き、2章~5章が前作の1章と同時期(昼)、6~7章(夜~朝)が前作以降の話と、時系列は前作を挟んで前後している。
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難易度はカジュアル、ノーマル、リアリスティックの3種類に増加した。
PECシステム
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『Lockdown』から採用されているマルチプレイ時のキャラクターカスタマイズ要素であるPresistent Elite Creation、通称「PEC」がシングルプレイにも適用されるように。
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プレイヤーはキャラクターの迷彩パターン、鎧、衣服、マスク、ゴーグル、ヘルメットといった細かい外見を好みに応じて好きにカスタマイズして遊べるようになり、より戦略性や没入感が増した。
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また、前作のように最初から解放されているわけではなく、ACESシステムの達成量に応じて徐々に解放されていく方式に変化している。
ACESシステム
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Advanced Combat Enhancement and Specialization、通称「ACES」が新たに登場。
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マークスマンシップ(射撃技能)、アサルト(通常戦闘)、CQB(近接戦闘)の3カテゴリに分かれており、プレイヤーの行ったキルの種類に応じてこれらのカテゴリのスコアが上昇する。
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例えばヘッドショットを行えばマークスマンシップのスコアが上昇し、爆破で倒せばアサルトのスコアが上昇し、近距離で倒せばCQBのスコアが上昇する…といった塩梅。
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スコアが一定以上に上昇するとカテゴリごとに報酬がアンロックされ、装備品ボックスやヘリでの事前準備時に選択できる項目が増える。ただし、アンロックされていないタイプの武器であっても敵が落としたものを拾って使うことはできる。
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狙撃銃が欲しければ丁寧な射撃を心掛ける必要があり、派手な立ち回りが得意ならより新しいアサルトライフルが解放される…といった、プレイヤーの遊び方に応じてプレイの幅が広がるようになっている。
評価点
変わらず美しいグラフィック
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前作から引き続きエンジンはUE3が使用され、ピレネーの美しい雪山からラスベガスの薄汚い裏路地まで様々なロケーションが美しく描かれる。
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破壊表現も更に強化され、これまでのシリーズ作品では考えられなかった豪快な演出も魅力。
楽しい武器選び
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ACESシステムの登場により、選択できる初期武器に制限が追加。戦闘をこなしてスコアを稼いでいき、徐々に選べる装備が増えていく方式となった。
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報酬の提供頻度が増えたことで、本来ゲーム的には単調な場面でも嬉しさが増加。これまで通り敵の武器を拾って使うもよし、欲しい武器のために意識してスコアを稼ぐも良しと遊び方に幅が生まれている。
更に強化された装備カスタマイズ
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マルチプレイのみならずシングルプレイにおいても外見のカスタマイズが奥深くなり、ヘルメットから足元までさまざまな部位の装備を変更できるようになった。
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種類だけでなくカラーリングも調整可能。ゴツい装備は性能が上がる反面ダッシュ速度が低下するなどのデメリットを有し、戦略性もやや向上している。
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前作主人公ローガン・ケラーとは異なり「ビショップ」には性別や外見が設定されておらず、ベテランの特殊部隊隊員であるということ以外の背景情報が存在しない。このため設定に縛られるキャラを弄ることができる。
変わらず臨場感たっぷりのストーリー
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ムービーを使用せず全てリアルタイムで演出する手法が引き続き採用されており、臨場感は抜群。
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スタジアムでの毒ガス散布の大惨事や緊迫感溢れる鉄道爆弾事件など衝撃的な場面も多く含まれ、手に汗握る激闘が繰り広げられる。
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前作では解決しなかった物語も過去から描き、レインボーを巡る長く続いた因縁の終わりをインパクトある形で締めくくっている。
賛否両論点
代わり映えしないロケーション
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前作から引き続きラスベガスを主な舞台としており、見覚えのある光景が多め。元々DLCだったのもあって、小規模な内容という印象は否めない。
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また、時系列的に昼間の出来事というのもあって夜ほど「ラスベガスっぽさ」を感じられる場面は多くない。オフィスや工場、ホテルといった閑静な立地がメインとなり、前作のようなカジノでの派手な撃ち合いは減少してしまった。
問題点
シビアな単独潜入パート
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前作で主人公ローガン・ケラーがブラボーチームと合流する時間帯には、本作の操作キャラであるビショップは入れ替わりでブラボーチームを外れ工場への単独潜入を行うことになる。
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この単独潜入パートはかなりの物量戦であり、チームメイトの援護抜きで四方八方から攻めてくるテロリスト軍団を捌ききらねばならずかなりの難所。
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使える遮蔽物もあまりなく、安全に行動しようと思っても立ち回りが難しい。
理不尽なラスボス戦
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最終決戦はこれまでとは異なり大型兵器との戦闘となるが、攻略法が分かりにくく初見で突破するのは難しい。
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機銃の威力も桁違いに高い上、ミサイルによる爆撃なども行われるため適切に立ち回らなければすぐに死んでしまう。
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プレイヤー自身が応戦して倒せる状況でもないため、好機が訪れるまでひたすら耐えなければならない。
総評
戦略性とエンタメ性を両立して高い評価を得た『ベガス』の続編。
前作で明かされなかった事件の背景をもうひとつのチーム視点から描き、物語をより深く掘り下げている。
システム部分ではおおむね前作と共通しており、良好な操作性や美しいグラフィックは本作でも健在。
元はDLCということでややこぢんまりとした内容の部分はあるものの、物語を綺麗に締め括ることには成功しており完成度は高い。
マルチプレイ部分も強化が図られており、前作と並んでファンから高い評価を受ける作品となっている。
余談
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続編
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良好な評価を受けた本作だが、その後の続編として開発されていたニューヨークを舞台とする『Rainbow 6: Patriots』は開発延期の末にキャンセルとなってしまった。
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同時期に展開されていた『スプリンターセル』『ゴーストリコン』両シリーズもトム・クランシー氏の急逝などの影響もあって一旦休止状態となり、レインボーシックスシリーズは新作『Rainbow Six: Siege』までに7年の間が空くこととなる。
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また、それに伴い本編内設定でも「2012年に旧レインボーは解散、2015年に新レインボーとして再結成」ということになり、旧作シリーズの登場人物の殆どが本作を境としてシリーズに登場しなくなった。
ただし頓挫した『Patriots』含め設定としては現在でもトムクランシーシリーズ内に存在しており、たまに言及されたり過去作キャラが再登場したりすることもある。
最終更新:2025年03月17日 12:48