スター・ウォーズ レベルアサルト

【すたーうぉーず れべるあさると】

ジャンル STG
対応機種 MS-DOS
メガCD
Mac
3DO interactive multiplayer
発売元 LucasArts
開発元 LucasArts
発売日 1993年11月25日
判定 なし
ポイント 高品質CG映像を多用したSTG
頻繁に変化するゲーム性
当時としてはリッチな映像表現
整合性ガン無視のパラレル展開
スター・ウォーズシリーズ


ストーリー


A Long Time Ago, in a Galaxy Far, Far Away...
遠い昔、遥か彼方の銀河系で…


銀河帝国の創立から19年後。

帝国の圧政に反抗する人々は反乱分子として各地の帝国軍に反旗を翻し、後に彼らは結集して「反乱同盟」を名乗った。

対する帝国軍は、惑星をも破壊する巨大兵器「デス・スター」を建造。反乱同盟軍を打ち破るべく、強大な艦隊を率いて内戦の弾圧を目論む。

戦乱の広がる中、惑星タトゥイーンの砂漠で暮らすある水分農夫の息子もまた反乱軍パイロットへの道を歩み始めていた。

彼に与えられたコードネームは「ルーキー・ワン」。上官と共に訓練飛行を続けていたある日、タトゥイーン上空で反乱同盟軍の艦艇「タンディヴIV」が帝国軍に拿捕される事件が勃発する。

訓練を通じて頭角を現したルーキー・ワンはタトゥイーン基地防衛のため出撃。帝国軍のスター・デストロイヤーを迎撃するが、反撃により基地を破壊されてしまうのだった。

痛手を被ったルーキー・ワンたちは各地の反乱軍拠点を転戦しながら、帝国軍の軍勢に立ち向かっていく。


概要

スター・ウォーズシリーズ第一作『新たなる希望』を題材に、『スペースハリアー』のような疑似3D操作と当時北米ゲーム業界で流行していた「FMV(フル・モーション・ビデオ)」を組み合わせたシューティングゲーム。
予め録画されたFMV映像を背景に流すことで臨場感のある展開を実現しており、MS-DOSやSEGA CDといったディスク媒体を想定して開発されている。
「ヤヴィンの戦い」と同時期の銀河を舞台に、新人パイロット「ルーキー・ワン」たちの活躍を描く。

開発・発売はスター・ウォーズシリーズのゲームを数多く手がけるルーカスフィルムのゲーム部門ルーカスアーツが直々に担当しており、映画由来の映像や音声も一部盛り込まれている。


ゲームシステム

ゲーム概要

  • 全15ステージで構成された、主にスターファイターに搭乗しての戦闘で構成されたシューティングゲーム。
    • 随所でチェックポイントが用意されており、到達時にパスワードが表示される方式。
      入手したパスワードをタイトル画面で入力することでチェックポイントから再開できる。
    • また、このパスワード入力画面はチートコード入力欄でもある。この要素は後に『出撃!ローグ中隊』などに受け継がれている。
  • 難易度はイージー・ノーマル・ハードの3種類があり、腕前に合わせて選択可能。
    • 難易度によって、チェックポイントで表示されるパスワード内容が異なる。このため、途中で難易度を変えることはできない。
  • 体力はHPバー制で、無くなるとゲームオーバー。一部ステージでは専用のムービーが流れる。
    • シューティングということでアーケード的な要素も盛り込まれており、残機とスコアが用意されている。残機は反乱軍マークで表現される。

基本操作

  • ゲーム中は各チャプターごとに頻繁に視点が変化し、合計4つのゲームスタイルが随時切り替わる。
    • 三人称視点
      • 『スペースハリアー』のような後方視点で機体を操作していくパート。
        背景映像には当たり判定が用意されており、射撃に加えて操縦スキルが要求される。
        一部箇所ではルート分岐が用意されており、曲がった方向によって展開が多少変化する。
    • 俯瞰視点
      • 『ゼビウス』のような上空からの視点で機体を操作していくパート。
        破壊可能オブジェクトは地上に配置され、斜めに射撃して破壊していく。
    • 一人称視点
      • 普通のガンシューティングのような視点で射撃だけを行うパート。機体は自動で操作され、プレイヤーは射撃だけを行う。
        敵の攻撃を避けることが出来ず、攻撃する前に敵を倒さなければならない。
    • 徒歩
      • 惑星ホスのガンマ基地編でのみ行われる、徒歩で帝国軍を迎撃していくパート。
        通路を進んでいき、出現するストームトルーパーをブラスターで排除する。
        ルート分岐が存在しており、間違ったほうを選ぶとトルーパーに囲まれて強制ゲームオーバーになる理不尽な展開も。

評価点

気合の入った迫力満点のFMV映像

  • 人間は実写取り込みからのトレース、背景は3DCGを組み合わせて当時最新のPCで録画・レンダリングを行ったFMV映像が使用されており、表現力はかなり高め。
    • 特に艦隊戦の表現は臨場感が高く、超巨大なスター・デストロイヤーの周囲を飛ぶパートなど後年までゲームでは実現の厳しかった展開も盛り込まれている。
    • 終盤では、おなじみデス・スターに急行してのトレンチ・ランも再現。同年発売のフライトシム『X-WING』のものと比較しても臨場感という点では本作の方が上。

高品質なオーケストラBGM・効果音

  • CD-ROM媒体であることを活かし、MIDIではなく映画さながらのオーケストラ音楽を実現。ジョン・ウィリアムズのおなじみの音楽も流れ、シリーズらしさは十分。
    • 更に、音声はフルボイスであり、各種効果音も映画で使われたものを同じ音を再現。特徴的な射撃音や機体が飛び去る際のエンジンの音、雪原を闊歩するAT-ATの重厚な歩行音などもきっちり再現されている。

賛否両論点

無茶苦茶なパラレル展開

  • 当時はまだ「整合性を意識した外伝作品」という意識があまり重視されていなかったものあって、原理主義のスター・ウォーズファンからすれば驚愕の展開が多め。
    • 主人公であるルーキーワンのキャラクター造形は露骨に映画版主人公のルーク・スカイウォーカーを意識しており、物語も概ね映画でのルークの功績を上書きする形で進んでいく。
    • 悪名高いファミコン版の「サソリベイダー」ほどではないものの、ヴェイダーの旗艦「デヴァステイター」が冒頭でいきなりボコボコに破壊されたり、『帝国の逆襲』で発見されるまでは未調査の惑星だったはずの惑星ホスに既に反乱軍基地が建造された上、発見されて帝国軍のAT-ATが攻撃を行っていたり、ミレニアム・ファルコンの代わりに上官がTIEアドバンストX1の猛攻から主人公を救いに来たり、挙句の果てにルーキー・ワンがフォースなしで排熱孔にプロトン魚雷を撃ち込んでデス・スターを破壊するという映画のテーマをガン無視した展開が繰り広げられる。
    • 一方で別にルークがいないわけではなく、なんやかんやしているうちにいつの間にかレイア姫はデススターから救出されている。しかもエンディング映像は映画の流用なので、本編では影も形もないルークやハン、チューイが表彰されているという謎の展開に。
  • ほかの部分はギリギリ整合性が取れないわけではなかったため、レジェンズ時代には「ルーキー・ワンというパイロット自体は存在した」「ホスにあったのはガンマ基地であり、映画のエコー基地とは別」といった苦し紛れの後付け設定により本編と同じ世界観に組み込まれている。
    しかし流石にデス・スター破壊パートは史実と一致しなさすぎたため、2006年には公式に非正史であることが明言されている。
    • 更に現在ではレジェンズ時代の作品は映画以外概ね全て非正史扱いであるため、現在のスター・ウォーズシリーズにはルーキー・ワンや惑星ホスのガンマ基地といった本作独自の設定は存在しない。

問題点

非常に高い難易度

  • 映像だけ見れば迫力はあるが、その弊害として肝心の射撃パートが非常に劣悪なものとなってしまっている。
    • 基本的に背景が固定のFMV映像としてグリグリ動くため、それに合わせて照準、レーザー、自機、敵機などもプレイヤーの意志に反して頻繁に前後左右へ流されていく。このため、普通のSTGに比べて射撃が非常に困難。
      ロックオンシステムもあるにはあるのだが、あまり効果的に働いているとは言い難い。
    • また、実際に3Dオブジェクトがあるのではなく録画した映像に疑似的に当たり判定を被せているため、遠近感が分かりづらく障害物を避けるのが困難。狭い渓谷を進んでいく疾走感溢れるパートなども用意されてはいるものの、遊んでいて気持ち良さよりもストレスが溜まるようになってしまっている。
    • 総じて映像に反してゲームプレイ部分の質が悪く、実際に触るとあまり面白いと感じられるものではない。

総評

迫力のある高品質プリレンダ映像を用いる事で、ハード性能的には低スペックながらもリッチなシューティング体験を実現した野心的な作品。
スター・ウォーズのスピンオフゲームとしては初期のタイトルでありシナリオの整合性や難易度の高さでは難があるものの、その臨場感のある映像表現によって一定の評価を得た。

現在から見ると「操作できる部分のあるビデオ映像」といった内容であり、ゲーム単体としては他作品に比べ単調さ・ショボさが否めない。
また、肝心のシューティング部分の欠陥は無視できる要素ではなく、同年の『X-Wing』と比較しても面白さという観点では今一つといったところ。

本作を起点とする直系のシリーズ展開はあまり広がらずに埋もれていったが、実写とCGを組み合わせたリッチなFMV表現自体はその後も同社の『ジェダイナイト』シリーズや『帝国の影』などに応用されていった。


余談

  • 移植
    • 基本となるPC版のほか、性能に合わせて多少の映像削減を行いつつSEGA CDと3DOに移植された。
    • 3DO版は概ねPC版と同等のグラフィックを維持しているが、SEGA CD版はスペックに合わせて色数が減少し、かなり色褪せた見た目となっている。
    • また、SEGA CD版のみ洞窟を突破するチャプター7が省かれ、ホス編開始直後にAT-ATとの戦闘が開始される。
  • 続編
    • 2年後の1995年には、続編となる『スター・ウォーズ レベルアサルトII』が発売された。
    • システム部分は共通ながら映像クオリティが向上し、また物語自体も外伝としての整合性を意識したものに進化している。
    • 主人公は本作から引き続きルーキー・ワンが担当。帝国軍が新たに製造する謎の新型機「TIEファントム」を巡る攻防を描いている。
最終更新:2025年04月20日 13:14