スター・ウォーズ 出撃!ローグ中隊
【すたーうぉーず しゅつげき ろーぐちゅうたい】
ジャンル
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3Dシューティング
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対応機種
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Windows 95/98 ニンテンドウ64
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発売元
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LucasArts(北米) 任天堂(日本64版) エレクトロニック・アーツ・スクウェア(日本PC版)
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開発元
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LucasArts
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発売日
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【Win】1998年12月8日 【64】1998年12月3日(北米) 1999年8月27日(日本)
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判定
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良作
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ポイント
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カジュアル操作のSWフライトシューティング 迫力の大規模空中戦 歯応えのあるゲームバランス 豊富な隠し要素も魅力
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スター・ウォーズシリーズ
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ストーリー
A Long Time Ago, in a Galaxy Far, Far Away...
遠い昔、遥か彼方の銀河系で…
「ヤヴィンの戦い」から6ヵ月後。
先の戦いにおいて反乱同盟軍は銀河帝国の巨大秘密兵器デス・スターの破壊に成功したが、それと引き換えに同盟軍の主力であるレッド中隊・ゴールド中隊の殆どが壊滅してしまった。
深手を負った銀河帝国もその勢いが衰えることはなく、更なる軍勢を率いて同盟軍の打倒のため動き始めつつあった。
デス・スター迎撃に参加して生き延びた若きパイロットであるルーク・スカイウォーカーとウェッジ・アンティリーズは、壊滅したこれまでの部隊にかわり新たに先鋭戦闘機部隊「ローグ中隊」を結成。
12人の腕利きパイロットたちは反乱同盟軍を勝利に導くべく、銀河の各地で帝国軍に打撃を与えていく。
概要
ニンテンドウ64を主軸に開発された、映画スター・ウォーズシリーズのスピンオフとなるフライトシューティング。
北米版の原題は『Star Wars: Rogue Squadron』。PC版はタイトルに『3D』が付く。
映画『新たなる希望』から『帝国の逆襲』の間の時期を舞台に、ローグ中隊とその隊長ルーク・スカイウォーカーの活躍を描く。
家庭用機向けに、同じくフライトシューティングである過去作『X-Wing』よりも大幅に簡略化されたシステムが特徴。
開発はいつものルーカスアーツに加え、ゲームエンジン部分を『タリカン』シリーズやゲームボーイ版『魂斗羅スピリッツ』でおなじみFactor 5が担当している。
ゲームシステム
ゲーム概要
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全4章、計16ステージ+3つの隠しステージで構成される、ステージクリア型のフライトシューティングゲーム。
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プレイヤーは反乱同盟軍の若きパイロットでありローグ中隊の隊長「ルーク・スカイウォーカー」となり、銀河の各地で帝国軍を打ち破っていく。
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基本操作は射撃、移動/旋回、加速/減速といった、3Dフライトシューティングではおなじみの構成。
かつての『X-Wing』にあったエネルギーの振り分けなどの複雑なシステムは撤廃され、更に機体を傾けても自動で水平に戻してくれる「オート・ロール」「オート・レベル」が実装されたことで初心者でも事故りにくくなった。
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通常面16ステージのうち15ステージまでは『帝国の逆襲』以前の出来事を描いているが、最終章である16ステージ「カラマリの戦い」のみ大幅に時代が飛んで『ジェダイの帰還』後の新共和国体制下での出来事となり、主人公がルークからウェッジへと変わる。
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デフォルト視点は背後からの視点だが、ズームイン・アウトで調整したりコクピット視点に切り替えたりも可能。コクピット視点に切り替えるとやや視界は妨げられるが、過去作のような臨場感のある雰囲気で遊ぶこともできる。
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64版は「振動パック」および「ハイレゾパック(現:メモリー拡張パック)」に対応。前者は装着状態で攻撃を受けるとコントローラーが震え、後者はゲームの解像度が640×480pxに向上してキレイな画面で遊べる。
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セーブはファイル形式で行われ、記録は自動。それぞれのファイルで進行状況と獲得メダルが記録される。
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メダルランキングも用意されており、ファイル内で腕を競い合うこともできる。
ステージ評価・機体性能
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各ステージにはデフォルト機体の概念が存在し、初回プレイ時は必ずその機体のみ使用できる方式。
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ステージをクリアすると、クリアタイムや撃墜スコアなどに応じて「メダル」が手に入る。メダルは「なし」→「ブロンズ」→「シルバー」→「ゴールド」の順で評価が高い。
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一度クリアしたステージはステージ選択画面からいつでも選択することが可能で、クリア後は別の機体を選択して出撃させることもできる(一部ステージは武装の関係で機体の制限あり)。
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主な登場機体は万能機体のXウイング、爆撃特化のYウイング、スピードに優れるAウイング、AT-ATを倒せるスノースピーダー、新共和国時代の超強力なVウイングの計5種類。
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それぞれにSフォイル機能やイオン砲、連射速度切り替えといった固有の能力が存在しており、これらを使いこなしてミッションを攻略する。
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また、隠し機体としてTIEインターセプターやミレニアム・ファルコン、ナブー・スターファイターなども存在しており、隠しコードを入力すると選択できるようになる。
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ステージ各所には「ボーナスアイテム」と呼ばれる隠しパーツが存在。これを拾った状態でステージクリアすると、対応する機体のサブウェポン性能が強化される。
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体力はHP+残機制で、無くなると撃墜され残機が1減る。残機が無くなるかミッション目標に失敗するとゲームオーバー。
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原作準拠でアストロメク・ドロイド(というかルーク機なのでR2-D2)の載っている機体(XウイングとYウイング)は徐々に修理されるようになっているが、ダメージを一気に受けすぎるとR2-D2が破壊されてしまい回復できなくなる。それ以外の機体はアストロメク用ソケットが存在しないため回復しない。
レーダー
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画面右上にレーダーが表示されるようになっており、敵機位置(赤)・味方機位置(緑)、中立存在位置(青)が表示される。
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また、ミッション目標となるもの(破壊すべきターゲットなど)は距離に応じて扇形のオレンジ枠で表示されるようになっている。
評価点
遊びやすくて気持ちイイ、出来の良い操作性
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それまでのルーカスアーツによるフライトシューティングは『X-Wing』シリーズや『レベルアサルト』シリーズ、『帝国の影』などが存在したが、本作ではそれらの良い所を抜き出して大幅ブラッシュアップ。
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自動水平機能のおかげで墜落しにくく、高性能レーダーのおかげで迷いにくく、立体照準のおかげで射撃も行いやすい。程よい簡略化と適度なシステム追加によりこれまでの作品よりも遊びやすくなり、プレイの敷居が大幅に下がった。
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もちろん過去作でおなじみのコクピット視点からの操縦も健在。オプションで位置補正および照準のオンオフも切り替えられるので、全部遮断すれば過去作のように本格的な状態で戦うこともできる。
限界を攻めた、賑やかな集団戦
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ハード性能を活かし、これまでは厳しかった完全3Dの空中戦を実現。ローグ中隊の12人も基本的に全員参戦し、敵のTIEファイターと賑やかに撃ち合う姿が見られる。
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機体を増やせば描画的な負荷はもちろんのこと、操縦に必要なAI分の負荷も要求されるため処理が重くなりがちだが、本作はそこを「敵が決まったルートのみを周回する」とする形で強引に解決している。
あまりに単純な解決法であり一見すると違和感が生じそうなものだが、ミッション内容は「仲間を守れ」「施設を守れ」など攻撃対象の動きがある程度固定されるものがメインなため、プレイ中は意外と気にならない。
嬉しい原作再現
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それぞれの登場機体は映画における仕様をきちんと再現しており、状況に応じてポジションの変化するSフォイル、機体を傾けた際に展開されるエアブレーキ、爆撃機だけが使える強力な爆弾など各特徴をきちんと造形やゲームバランスに落とし込んでいる。
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敵側も巨大なAT-ATや厄介なTIEボマー、デススターに配備されていたターボ・レーザー砲台といったおなじみのメカが参戦。
人間キャラクターもルーク、ウェッジ、『帝国の逆襲』で早くも壊滅するローグ中隊メンバー、クリックス・メイディンやハン・ソロが登場し、分かるプレイヤーにはかなり嬉しいサプライズ。
歯ごたえのあるやり込み要素
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通常プレイでクリアを目指すほか、クリアタイム・撃墜数・命中率・救出数・ボーナスアイテム獲得などを極めることで「ゴールドメダル」を獲得することが可能。
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一部ステージでは取得難度がかなり高く、やり込みには相当の操縦スキルが求められる。メダルの取得数に応じて解禁される後述の隠しステージも存在。
盛り盛りのお楽しみ機体
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ちょうど公開間近だったエピソード1『ファントム・メナス』の花形機体であるナブー・スターファイターが収録されているほか、隠しコマンドによりさまざまな機体を選択可能。
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中にはシールド性能が貧弱すぎるTIEインターセプターやそもそも飛行できないAT-ST、空飛ぶアメ車といった明らかなネタ機体も混じっており、色々試して楽しめるようになっている。
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また、ベガースキャニオンでの飛行訓練やデス・スターの「トレンチ・ラン」、前作『帝国の影』でおなじみ「ホスの戦い」などの隠しステージも用意されており、こちらも意外とクオリティが高め。
クオリティの高い音楽
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流石にディスク媒体ではないためオーケストラ音楽をそのまま収録するわけにはいかなかったが、内臓音源で巧みにスターウォーズ関連楽曲の雰囲気が再現されている。
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場面に応じて緊張感を高めたり、おなじみのテーマで展開を盛り上げたりとそれぞれの楽曲は効果的に使用されている。合計40分と総楽曲時間も多め。
賛否両論点
一部の設定的矛盾
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AT-ATの破壊方法である「ローグ・ドクトリン」がホスの戦いより前に採用されていたり、最終ステージで登場する(設定上は)無敵のワールド・デバステーターがなんかちっちゃい上に普通に破壊できたり、既に別のゲームで描かれていたはずのクリックス・メイディンの亡命がまた描かれたりといくつか他作品との矛盾がある。
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もっとも、こういった矛盾はレジェンズ時代のスター・ウォーズ関連作品にはよくあること。そもそも本作はルークが親父殿のナブー・スターファイターで飛んだりハンからファルコン号を借りたりキャディを乗り回したりするお祭りゲーでもあるので、さほど問題視はされなかった。
地上戦オンリーのステージ構成
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スター・ウォーズ映画のスターファイター同士の戦いといえば宇宙空間で行われる大規模艦隊戦だが、意外にも本作ではそのようなステージは存在しない。
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先述の通り敵AIには三次元的な挙動を行わせるのが厳しいというスペック的事情があったため、仕方ない部分ではある。また、一応「小惑星に隠された基地」「タロロアンの浮遊都市」といった浮遊感のあるステージ自体は存在する。
問題点
一部ステージの難易度の高さ
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洋ゲーということで通常攻略もなかなか歯ごたえのある内容。とにかく「護衛対象を防衛しろ」系のミッションが多く、慣れないうちはすぐに対象を破壊されてしまいストレスが溜まる。
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特に難しいステージと言われるのが、脱走兵を守りつつ3連続でAT-ATを破壊していかなければならないステージ12「脱出(惑星フェスト)」。本作のAT-ATはケーブル巻き付けでしか破壊できないので、映画でも失敗しまくったアレを急いで三回成功させなければならない。
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そのほか民間のガスボンベを避けつつ帝国のガスだけを破壊する「空戦(タロロアン上空)」、救出作業にかなり時間のかかる「捕虜収容所(惑星ケセル)」など難易度の高いステージは多め。
ちょっと単調なメインストーリー
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当時はどの外伝ゲームシリーズも「ダーク・トルーパー」「犯罪組織ブラック・サン」「最新鋭機TIEファントム」といった何かしらのオリジナル要素を引っ提げていたが、本作の敵勢力は過去に別媒体で登場したものが殆どで本作独自の要素が少ない。
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メインストーリー上のラスボスであるモフ・シールドンもやっていることは主に圧政と反逆者の鎮圧行為であり、乗っている機体も(大幅強化しているが)普通の帝国輸送船とややショボめ。
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もちろん3Dで動くワールド・デバステーターなどは原作コミックの読者にとっては魅力的ではあるのだが、そもそもコミック『ダーク・エンパイア』三部作の日本での知名度は…
描画距離の狭さ
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当時としてはかなり頑張っている方とはいえ、やはりスペック限界により描画範囲が狭いのはネック。前方が霧に覆われたステージなど飛行が難しい展開が比較的多めで、そのせいでルートも覚えにくい。
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流石に処理能力を考えれば仕方ない部分ではある。性能で勝るPC版でもこの点はあまり改善されていない。
総評
シリーズとしては第一作ながらこれまでの同社の知見が適切に活かされており、直感的な操作性と白熱の空中戦を両立した良質なフライトシューティング。
おなじみの機体から当時映画公開間近だったあの機体まで様々なマシンを操作し、映画本編さながらのローグ中隊の活躍を味わえる。
洋ゲーということでややステージ難易度の部分には難があるものの、それを補って余りあるクオリティは北米の原作ファンを中心に支持を集め大ヒット。
北米のN64版だけでも100万本以上を売り上げ、以降の任天堂ハードを主軸としたシリーズ展開にも繋がっていった。
余談
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バージョン
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本作は販売会社の違いにより、同じ内容のゲームにもかかわらず64版とPC版で邦題が異なる。
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Star Wars: Rogue Squadron
北米64版。発売はルーカスアーツ。
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Star Wars: Rogue Squadron 3D
北米PC版。発売はルーカスアーツ。
現在Steamなど各種サイトで販売されているもの。
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スター・ウォーズ 出撃!ローグ中隊
日本64版。発売は任天堂。
ローカライズが行われており、日本語字幕付き。
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スター・ウォーズ ローグ スクワドロン3D
日本PC版。発売はエレクトロニック・アーツ・スクウェア。
ローカライズは行われておらず、本編内容は北米PC版と同一。
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続編
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本作の成功を受け、任天堂ハードでのシリーズ展開が行われた。
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『ローグ・スコードロンII』は北米におけるゲームキューブのローンチタイトルに抜擢され、より優れたグラフィックで本作以上の激戦を描いている。
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また、Factor5とルーカスアーツのコンビは本作の開発経験を活かし、同じくニンテンドウ64で『Star Wars Episode I: Battle for Naboo』を発売した。
おおむね『出撃!ローグ中隊』の精神的後継作と言ってもいい内容だが、こちらは残念ながら日本語版は発売されておらず、現在Steamなどでも配信されていないためプレイは非常に困難。
最終更新:2025年04月20日 14:08