魔導物語III 究極女王様
【まどうものがたりすりー きゅうきょくじょおうさま】
ジャンル
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ロールプレイングゲーム
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対応機種
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ゲームギア
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発売元
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セガ
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開発元
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コンパイル
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発売日
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1994年12月30日
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定価
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5,500円(税5%込み)
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プレイ人数
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1人
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判定
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良作
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魔導物語・ぷよぷよシリーズ関連作品リンク
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概要
ゲームギアで発売された魔導物語シリーズの第3作目。
『魔導物語1-2-3』のエピソード3が原作だが、かなりアレンジが加わっている。
特徴
GG版の前2作『魔導物語I 3つの魔導球』『魔導物語II アルル16才』は細かい違いこそあれど大筋はPC版の原作通りだったのに対し、今作ではオープニングとエンディングのラストが共通するくらいで他は本作オリジナル展開になっており、ラスボスすらも異なる。
『III』と名乗ってこそいるが、物語の中身が別物と言えるほど原型を留めていないため、ほぼ新作と言って良い内容。
作風、及び画風も前2作から変わり、かなりギャグ色の強い世界観になった。
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GG版の前2作のプランナーやデザイナーがMD版『魔導物語I』の開発に移ったため、本作はメインスタッフが交代している影響もある。
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イラストレーターもねこにゃん氏に代わっているため、魔導シリーズ全体で見ても雰囲気が大きく変わっている。
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今作はカーバンクルが仲間として同行し、一定歩数ごとにお腹がすいて「らっきょ」を求めてくる。もしらっきょを持っていないと他の食べられるアイテムを食べてしまう。そのためらっきょの重要性があがった。
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原作や前2作と違い、本作はシンボルエンカウント方式に変更。敵シンボルは見えないが近くまで行くと専用のメッセージが出る。
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「ひかるツクシ」というアイテムを取れば敵の位置がマップで見えるようになる。
評価点
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敵が強かった前作と違い今作は敵の強さがマイルドになった。
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マップに階段が表示されるようになり、利便性がアップした。
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戦闘ではアルルのファイヤーやアイスストームが玉となって発射されるようになり演出力が上がっている。
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前2作では少しずつ魔法を覚えていくスタイルだったが本作ではほぼ全ての魔法が最初から使える。前作から3日後の設定だし。
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前作では使えた「ばよひひひー」等がなかったり、前作にはなかった「イリュージョン」が使えたりするが細かい事はつっこまないであげよう。
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前2作ではラスボス以外は全て共通の戦闘BGMだったが本作では新たに「中ボス用」のBGMが追加された。しかし…(後述)
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新たに追加された魔法?「おどる」が意外と使える。
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踊ると低確率で経験値が1ポイントだけ上がる。次のレベルまであと1ポイントだけ足りない、なんて時に使うと役に立つ。
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ランダムで失敗することも多々あるが、消費魔導力0のため移動中に何度でも使える。
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イベントにも組み込まれており、「おどる」を使わないと先に進めない箇所も存在する。
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なお、元ネタは『魔導物語』のルーツでもあるMSX2『魔導士ラルバ』の同コマンド。
賛否両論点
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原作PC版エピソード3、及びGG版前2作から大きく変わった世界観や作風。
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元々コミカルな世界観ではあったものの、今作は少し「やりすぎ」感もある。
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PC版のシリアスな雰囲気は薄れ、ドタバタギャグ気味な展開になっており、シュールな表現も多い。コミカルというよりも、スラップスティック気味であり、良くも悪くも好みが分かれる作風。
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とはいえ見方を変えればPC版経験者でも新鮮な気持ちでプレイできるとも言える。
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ストーリーの違いの例(ネタバレ)
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PC版では迷いの森を抜けてルルーの居る遺跡へと進むが、本作ではルルーの仕掛けた落とし穴からカエル王の治める迷宮に落ち、そこを脱出した後にルルーの屋敷へ乗り込む展開。
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進むダンジョン自体が完全に別物のため、当然ながら起こるイベントも全く異なる。
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PC版のラスボスであったミノタウロスはルルーにオシオキされて屋敷の外にぶっ飛ばされてしまうため、原作と違いルルーがラスボスとなっている。
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このルルーは後期設定を反映して魔法を一切使えない普通の人間のはずなのだが、女王様っぽくムチで攻撃してきたり、クロスさせた腕からルルービームを出したり、さらにはわんだふりゃ魔導砲までも跳ね返すこともあるなど、とんでもない能力を持つ。
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なお、ルルーは前作であるGG版『II』の時点で、高所から落下しても服が多少汚れた程度で無傷といった、まるで超人のような描写がなされていた。
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問題点
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謎解きが難しめ。
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というのも本作は通り抜けられる「偽の壁」や、死角に隠された「スイッチ」の類の仕掛けが多いため。特にダークゾーンの脱出には相当な数のプレイヤーがてこずらされたと思われる。
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新たに「中ボス用」のBGMが追加された一方でラスボスのルルー戦は通常BGMなのでラストバトルが盛り上がらない。
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隠し要素のサウンドテストで未使用曲と思われる曲が聞ける。その曲調からラスボス用として用意されていた可能性があるがなぜ使われなかったのかは不明。
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シンボルエンカウントへの変更に伴い、敵とのエンカウントが頻繁に起きる。
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「ひかるツクシ」で敵が見えるようになるものの、ダンジョンが狭く敵をよけて通れないことが多い事、そして敵を倒しても復活が早い事が重なり、敵とのエンカウントが頻繁に起こるようになってしまっている。
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欠陥が目立ったためか、後述の携帯アプリ版やGG版次回作の『魔導物語A ドキドキばけ~しょん』ではシンボルエンカウントが廃止され、従来通りのランダムエンカウントに戻っている。
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ショップの店員が今作ではカエルのみ。前2作の個性豊かな店員たちに比べると物足りない。
総評
前2作から作風が大きく変わったため戸惑った人はいただろうが、ゲームとして大きな問題点はない。
前2作経験者なら細かい演出なども進化している事を感じる事が出来るだろう。
もちろん今作から始めても何の問題もない。
ちょっとクセは強くなったが今作も間違いなく良作RPGと言える。
移植
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今作も2009年に携帯電話アプリ(ガラケー用)として移植。前2作のアプリ版と同様に新要素が追加されている。2021年末にサービス終了。
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シンボルエンカウントは廃止され、前2作と同じランダムエンカウントに変更された。それに伴い「ひかるツクシ」が別のアイテムに差し替えられた。
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敵キャラの「ちょっぷん」の表現が一部修正されている。
そりゃそうだ。
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原作の「ぷよまん」が登場するシーンは「昔広島県で売っていた」「ボクのことわすれないでね」といった悲哀を誘うメッセージに置き換えられている。
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2018年9月28日発売のWindows用ソフト『魔導物語 きゅ~きょく大全 よ~ん GG I-II-III&A』、および2023年4月7日発売のWindows用ソフト『魔導物語 超きゅ〜きょく大全 ぷよぷよ入り』に再録。どちらも現在は販売が終了。
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2021年2月15日より、D4エンタープライズが運営するiOS向けレトロゲーム配信月額サービス『PicoPico』にて、前2作とともに配信された。同年7月27日よりAndroid版もサービス開始。
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2023年11月14日よりプロジェクトEGGにて配信開始。
最終更新:2025年07月14日 20:41