魔導物語I 3つの魔導球

【まどうものがたりわん みっつのまどうきゅう】

ジャンル ロールプレイングゲーム
対応機種 ゲームギア
発売元 セガ
開発元 コンパイル
発売日 1993年12月3日
定価 5,500円(税別)
プレイ人数 1人
判定 良作
魔導物語・ぷよぷよシリーズ関連作品リンク


概要

魔導物語シリーズ初の家庭用ゲーム機への移植作品。
魔導物語1-2-3』のエピソード1のみをアレンジした内容となっている。


特徴・システム

従来のエピソード1と同様、基本のシナリオは「6歳の幼女アルル・ナジャが魔導幼稚園の卒園試験として、様々な仕掛けが施されたイリュージョンモンスターの待ち構える魔導塔での試練に挑む」というもの。
原作同様の3Dダンジョンとファジー・パラメーターシステム。
マップも8×8、ただし中身は別物となっている。

その他、さまざまな変更点。

  • 前作(?)のPC-98版ではグラフィックがリアルかつグロテスクだったが、今作では『ぷよぷよ』ヒット後のリリースということもあってか、MSX2版のような可愛いデフォルメ絵柄に戻った。しかし、終盤のとあるイベントでは…?
  • 移動中でも攻撃魔法が使えるようになり、これを使った謎解きやギミックが存在する。
  • PC-98版の「渾天石」に相当する「方向石(ほうこうせき)」が登場、入手するとアルルが現在向いている方向が「東西南北」の漢字で示されるようになる。
  • モンスターの名称は7文字制限のため一部簡略化されている。例として「トリオ・ザ・バンシー」→「バンシートリオ」等。
  • アイテムや魔法が文字ではなく絵で示すアイコン形式になった(例として「ファイヤー」が炎の絵など)。スタートボタンを押せば細かい説明も見られる。
  • 本作オリジナルキャラ「カミュ」が登場。本来なら一人で卒園試験に挑んでいたはずのアルルの前に突如現れ、共に試験に挑むライバルという立ち位置で行く先々で出会う事になる。
    • もたもたしているとカミュに先を越されて魔導球を取られてしまったり、展開によってはカミュを助けたり助けられることもある。その正体は…
  • 使うとランダムでいろんな効果が出る「るいぱんこ」の魔法が初登場。ドラゴンクエストシリーズで言う「パルプンテ」に相当。ただし、使えるのは1戦闘中に1回のみ。
    • 魔法名は「コンパイル」の逆読みである。

評価点

  • 難易度は難しすぎず簡単すぎず比較的ちょうどよい。魔導物語独自のシステムにさえ慣れれば誰でも楽しめる敷居の低さ。
  • マップが新規に用意された事でMSX2版、PC-98版経験者でも新鮮な気持ちで楽しめる。
  • 元々が小規模なスケールの物語の分割移植であることもあり、携帯機であるゲームギアのゲーム性とマッチしている。
    • 携帯ゲーム機であるゲームギア用ソフトなので、移動中はいつでもセーブできるのもありがたい。ゲームギアは電池の減りが早いし…
  • 『ぷよぷよ』発売後の作品であるためか、戦闘中に敵のぷよが仲間を呼ぶ要素が追加された。緑ぷよや赤ぷよは積み重なっていき、4つ重なると星になって消えてしまう。時系列的にはまだオワニモが解放されていないはずだが気にしてはいけない。
    • 他の色のぷよも仲間を呼ぶことがあるが、そのまま去っていったり仲間が来なかったりなどそれぞれ個性を見せている。

賛否両論点

  • 使うと経験球*1がたまるアイテム「おうごんリンゴ」がとあるザコ敵のドロップアイテムになっている。
    • 本作ではレベルが上がると戦闘で手に入る経験球が少なくなるが、このアイテムはレベルに関係なく「画面のフレームの半周分」の経験球が手に入る。つまり、理論上はほぼ無限にレベルを上げることができてしまう。
    • もっとも、このアイテムでしか経験球がたまらなくなったのであればラスボスに苦戦することはまずないだろうし、肝心のザコ敵の登場時期も終盤、そしてエンドコンテンツのようなやり込み要素も存在しないのだが。

問題点

  • 序盤に初見殺しがある。
    • 序盤の特定の場所で登場する敵「スケルトンT」と「ナスグレイブ」はけっこう強くレベルの低いうちはまず勝てない。うっかり遭遇すると高確率でゲームオーバーになるので序盤は特に慎重に。
    • 特にぷよぷよでの最弱キャラとしてのスケルトンTしか知らないプレイヤーは、本作での強さに驚いたのでは?
  • マップに階段やお店は示されない。慣れて覚えるしかない。
  • ボイス再生時にBGMが途切れる。
    • 後述の携帯電話アプリ版でも修正されていないことから、仕様だと思われる。が、戦闘中はアルルと敵のボイスがとにかく飛び交うため、BGMが途切れ途切れになるという悲惨な状況に…

総評

原作の良さは残しつつ、遊びやすくいろいろ改良も加えられた良移植。
何より、それまでPCという当時はまだまだ普及していなかった代物でしかプレイできなかった魔導物語がようやく家庭用ゲーム機でプレイできるようになったというのは大きい。本作で魔導物語を知った人も多いのではないだろうか。
エピソード1は本作以降、スーパーファミコンメガドライブ、PCエンジンにもアレンジ移植されているが「家庭用ゲーム機における原点」と言える本作も、機会があればプレイして損はない。



余談

  • 一部、旧作のマップを知っている人を狙ったような引っ掛けトラップもある。
    • 該当箇所は5階の隠し部屋。PC-98版ではここに魔導球があったのだが、今作では意味ありげな宝箱が置いてあるものの中身は空っぽになっており、アルルが「こんなところに隠してあるのに空っぽっていうのはおかしいなぁ」と訝しがる。
  • 本作に登場する商人の「タウタウ」は他作品では揉み手が特徴的な猫の獣人の姿だったが、本作ではなんと口調はそのまま「パララ」の姿をしている。
    • 実はスタッフの取り違えによるミスであり、この件で当時の仁井谷社長に怒られ、後の『ぷよぷよ通』で元に戻ったという逸話がある。
    • この取り違えの一件もあってか、元々のタウタウはぷよぷよシリーズに一度も登場せず、本来ならタウタウが使っていた喋り方を、元々は無口なはずのパララがそのまま継承していることもしばしばある。
  • カミュはメガドライブ版『魔導物語I』にも再登場することになるが、そちらでは設定が変更され、「園長先生の孫でアルルより2歳年上の試験官」という立ち位置になっている。

移植

  • 2008~9年にセガから携帯電話アプリ(ガラケー用)として移植。マップを表示したままで移動できるようになっているほか、設定でマップのスクロールを滑らかにすることもできるようになった。
    • 新要素として「魔物図鑑」が追加され、一部のバグが修正されている。
    • ただし容量の都合でボイスはアルルのみになり、一部のBGMも削減・差し替えされている。表現規制の関係で敵のミニゾンビに一部修正が加えられている。
    • 残念ながらスマートフォンには未対応で、原作GG版もバーチャルコンソール等では配信されていない。
      • このため、ガラケーを継続契約している人向けであったが、いずれも2021年末にサービス終了。
  • 2018年9月28日にD4エンタープライスよりWindows用『魔導物語 きゅ~きょく大全 よ~ん GG I-II-III&A』としてゲームギア版『I』『II』『III』、そして初移植となる『A』が期間限定で復刻された。パッケージや当時のマニュアルがほぼ再現され、GG版4作品のサントラも付属するなどコレクションアイテムとしても充実している。
    • こちらはゲームギア版そのままの復刻のため、携帯電話アプリ版独自の追加・変更要素は反映されていない。
    • 当初から期間限定復刻と銘打っており、在庫完売のため2019年6月1日をもって販売終了。
  • 2021年2月15日より、D4エンタープライズが運営するiOS向けレトロゲーム配信月額サービス『PicoPico』にて、GG版『I』『II』『III』がまとめて配信された。同年3月22日からは『A』も配信され、同年7月27日よりAndroid版もサービス開始。
  • 2023年に『魔導物語 超きゅ〜きょく大全 ぷよぷよ入り』に再録。
  • 2023年11月14日よりプロジェクトEGGにて配信開始。
最終更新:2025年07月20日 02:02

*1 他のRPGでの経験値に相当。画面のフレームに表示されている