地帝国バグナラク

登録日:2023/03/29 Wed 10:34:28
更新日:2023/06/01 Thu 16:09:32
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我らは増殖する、故に無限。

我らは死を恐れず、故に無欠。

藻掻き、足掻け。

望み絶たれるその日まで、森羅万象の区別なく、我が深淵が喰らい尽くそう!


地帝国バグナラクとは、スーパー戦隊シリーズ第47作『王様戦隊キングオージャー』に登場する悪の組織である。



【概要】

奈落王デズナラク8世が禍々しく治める異形の民の国。
2000年前に5人の英雄と守護神キングオージャーによって打倒されたが、地底で戦力を増強した現代になって地上に再び出現、人類を駆逐して自分達が地上の覇権を握ろうと目論む。
王城は地下深くに存在する殺風景な洞窟であり、そこから地下トンネルを通じて各国に神出鬼没に姿を現す。

2000年もの長きに渡り暗い地底で息を潜めていたからか、国全体を陰鬱で殺伐とした雰囲気が支配している。
特に自分達を地底へ追いやった人類への憎悪は並大抵のものではなく、一人でも多くの人間を殺すためには手段を選ばない。
それは「100人死んでも101人殺せば問題なし」という、宰相カメジムが掲げる脳筋理論苛烈かつ狂気的な思想にも表れている。
そのため同胞がどれだけ死のうとも全く気にも留めず、平時でも蟲毒の如く仲間同士で殺し合う光景がたびたび見られるなど、人間とはまるで違う、ある意味では実に「虫」らしい価値観の下に動いている。
現状の侵攻作戦では専ら怪ジームとサナギムの大軍を動員した力押しをメインとしつつ、その裏で密かに策謀を推し進めるパターンが多い。

とはいえ種族全員が邪悪な精神を持っているというわけではなく、中には人間と愛を育んだ穏健な者も存在。
さらに(この手のファンタジー作品のお約束で)人間との間に子を成す事も可能であり、その場合生まれて来た子供は人間とほぼ変わらない外見でありながら、バグナラクの長命さと能力を受け継ぐ。
しかし人類を憎む事を是とするバグナラクにおいてその行為は当然禁忌であり、本人が裏切り者として国を追われるのは勿論の事、子供も「半端者」と蔑まれ肩身の狭い思いをする事となる。

過去作では
といったタイプの敵は数多く登場していたが、彼らのように「人間を純粋に憎んでいる」というのは何気に歴代でもかなり稀。
それゆえ仮にも「国家」の体を成していながら、一切交渉の余地のないシリアスな悪役として描かれている。


【構成員】

国王

  • デズナラク8世
人類を殺せェ…己が死すとも殺せ……!
死を恐れるな!チキューの秘宝『三大守護神』を手にし、チキューを我らが埋め尽くすまで……

CV:志村知幸
スーツアクター:清家利一

「奈落王」の異名を取るバグナラクの帝王。
全身に赤や青のミミズのような触手を纏い、その上から漆黒のマントを羽織る佇まいはまさに魔王
一人称は「我」もしくは「私」。また臣下からは主に「様」付けで呼ばれている模様。

2000年の眠りよりバグナラクを復活させると、人間への憎悪を原動力としてチキューへ侵攻開始した。
声を荒げる事こそ少ないながらも気性は苛烈かつ冷酷で、民には容赦ない犠牲と殺戮を強いる。
人類を敵視し五大国には酷薄で残酷な反面チキューに対しては配慮を見せ、チキューの大地を傷付ける作戦を行う前には「許せチキューよ…」と詫びる辺り、チキューの大地に直接ダメージを与えるような作戦はあまり気乗りしないらしい。
憎む人間相手であろうと、取引を持ちかけられれば侵攻を止め取引に応じようとする王らしい理知的な一面もあるが、一方でジェラミー・ブラシエリから聞いた絵本じみた伝承を一字一句間違えずに読み上げるなど、意外とピュアな一面も見せている。

凶暴なバグナラクの頂点に立つだけあってその強さも半端なく、立ちはだかる者に対しては相手が王だろうと側近だろうとその触手で完膚なきまでに叩き伏せる。
大ミミズの特性を持っており、土壌から養分を吸い上げてエネルギーに変える能力を持つ。
全身の触手はそのまま武器であり、先端を三又の口のように開いたエロい状態で敵に食らいついたり、鞭のように広範囲を薙ぎ払ったりして攻撃する。その一撃はビル群をまとめて瓦礫の山にしてしまうほどの威力を有する。
さらにいざとなれば体内に仕込んだ剣での接近戦もこなす。
また地中から噴き出すマグマを通じて遠隔地へ一瞬へ移動する事も可能。
そして必要とあらば自ら前線に出て王様戦隊と戦う事も厭わない、歴代敵首領の中でも類を見ないほどのフットワークの軽さも特徴。

現在は「世界をひっくり返す秘宝」こと三大守護神の強奪を当面の目的としており、またギラがシュゴッドと対話出来る事を知った後はその身柄も狙うように。
尚、第5話のサイバーン城での裁判に出席していた者しか知り得ない筈のギラのフルネームも知っている等、何やらただならぬ雰囲気も嗅ぐわせているが……?

志村氏がニチアサ作品のレギュラー悪役を演じたのは、『スマイルプリキュア!』のウルフルンから11年ぶり。
渋めの声質ながら饒舌だったウルフルンとは打って変わって、押し殺したような声で声で重々しく喋る本作での演技のギャップに驚いた視聴者は少なくない筈。


幹部

公式サイトのキャラ紹介にはまだ二つ空欄があり、カメジムの他にも最低二人の幹部が居ると思われる。

  • カメジム
お取込み失礼。秘宝を渡すか?さもなくば虫ケラのように死ぬか?

CV:三木眞一郎
スーツアクター:蔦宗正人

デズナラク8世に仕える宰相。一人称は「わたくし」
黄土色のローブを着込み、カメムシのような平たい頭部を横切るバイザー状の目*1が特徴の怪人。虫ピンを模した形状の「長針杖ムシマルピン」を常に携えている。

デズナラク8世の右腕として、不敵な笑みを浮かべながら悪趣味な作戦を立案するミステリアスな知性派。
昆虫型機械生命体を研究している科学者でもあり、同時に怪ジームが巨大化するための「アレ」も管理しているなど、バグナラクの地上侵略を支援する重要な役目を担っている。
慇懃無礼な態度にねっとりとしたトーンの丁寧な口調で喋るが、優雅な物腰の端々からは明らかな陰湿さと狂気を感じさせる。
「虫ケラ」「虫のいい話」など、虫と付く慣用句を多用するのが口癖。自分も虫の癖に。

普段から指揮官・参謀として徹している事もあり一見インテリ風だが、実際はかなりの武闘派。
ジコクジームの掘ったトンネルを利用し、ゴッカンのザイバーン城に単身乗り込みゴッドスコーピオンのシュゴッドソウルを強奪した様子が描かれていた。
王様戦隊との直接対決でも、オージャカリバーの斬撃をやすやすといなしつつ隙を縫ってムシマルピンを用いた杖術で反撃するなど実力は高い。
また三大守護神捜索のために独自の情報網を有しているようであり、シュゴッダム王室で交わされた会議の内容をほぼ同時期に知るなど、怪しい描写も見られる。

名前はカメムシのアナグラム。
CVを務める三木氏は特撮作品では『仮面ライダー電王』のジーク役でおなじみだが、スーパー戦隊シリーズへの出演は本作が初となった。


怪ジーム

今作の怪人枠かつ巨大戦力。
カメジムの手で昆虫や節足動物の遺伝子情報「BNA」を組み込まれた虫型怪人であり、サナギム軍団を率いて地上侵攻に赴く前線指揮官。
各々BNAの元になった虫由来の武装や特殊能力を備え、またいわゆる必殺技である「昆虫最終奥義」という技を持っている。
喋れないわけではないが例年の怪人に比べると総じて無口で、黙々と任務を遂行する者が多い。前3作の怪人がネタに走った連中が多かった反動だろうか。
もちろん巨大化も出来るが、そのメカニズムは今のところ不明。ただフンジームの発言やグンダジームが巨大化するシーンによると食物もしくは薬品を用いる様子。

造形は『魔進戦隊キラメイジャー』以降の一般怪人同様下半身周りを共通デザインとし、上半身を新規造形していくタイプ。
怪人に回せる予算が増えたのか、今回は頭部・胴体だけでなく両腕も新規造形でデザインされるようになっている。




戦力

  • サナギム
ガイ・ガイ・チュー!

バグナラクの雑兵で、今作の戦闘員枠
名前の通りハチやチョウ、テントウムシなど様々な昆虫の蛹を掛け合わせたような姿で、見ようによっては防弾チョッキを着ているようにも見える。
専用武器はライフルや近接武器になるスコップのような長槍「ガンショベル」。ちなみに弾には銃弾サイズの超小型サナギムを用いる。
「ガイ・ガイ・チュー!」の掛け声で行動し、第1話で地平線を埋め尽くす程の数で行軍する様は滅茶苦茶気持ち悪い圧巻。
2~3話の様子を見る限り、体内には黒い血が流れており、虫らしく天井であろうと立ち上がって移動することもできる様子。
他にも戦闘員としては珍しく巨大化能力を持っており、雑魚と言えど油断ならない存在。

気質としては非常に好戦的であり、人間と見れば子供相手であろうと嬉々として襲い掛かる。
バグナラクの地底の本拠地では、カメジムの宣言でテンションが上がった余りガンショベルを乱射して味方を撃ち落とした者までいた。
またカタコトではあるが人語を介してコミュニケーションもこなせる。

  • 巨大繭
第6話にて地底トンネルを通じて五大国の都市部及びその地下に設置された超巨大な繭。
触手を持つ巨大なバグナラクを培養しており、時が来ると某ジブリ作品で見たようなイメージ図で羽化して地上を蹂躙する。
さらに内部で膨大なエネルギーが渦巻いているため、無理に破壊しようとすると大爆発するという質の悪さを兼ね備える。
よって被害を出さず確実に除去するには、キングオージャーで地上から引き剥がし上空で破壊するか、もしくはゴッドスコーピオンの毒で爆発させずに倒すかの二択のみ。

「解除して欲しければギラ・ハスティーをバグナラクに差し出せ」と各国を脅迫するための手段として運用。
勿論、差し出そうが差し出すまいが解除するつもりなどさらさらないのは言うまでもない。何ならタイムリミット前に巨大化したサナギムの手で意図的に破壊して起爆させる。


その他の国民

  • ネフィラ

クモの特性を持つバグナラクの女性で、ジェラミー・ブラシエリの実母。
紫の外骨格で覆われた頭部に四つの目を持ち、黒いレースの衣類で身を包んだたおやかな雰囲気の女性。

2000年前の戦いの後に6人目の英雄と禁断の恋に落ち、バグナラクから脱走した後はゴッカンで家族3人で隠れ住んでいた。
しかしある日、ジェラミーが自分の能力を受け継いでいる事を知り、このままでは息子が不幸になってしまうと危惧。そして、自分達夫婦の都合に我が子を振り回してしまった事を涙ながらに詫びながらジェラミーに仮面を被せ、その力を封じさせた。
現在の消息は不明だが、2000年間ジェラミーが独りで旅をしていた事を考えると、既に故人の可能性が高い。

名前の由来はジョロウグモの学名「トライコネフィラ・クラヴァタ」から。
シリアスな背景のキャラなのだが、人妻の女怪人(しかも人間と交配可能)という属性に一部界隈が大いに沸いた。

【余談】

キャラクターデザインは『アクメツ』や『真マジンガーZERO』、コミカライズ版『ニンジャスレイヤー』等で知られる漫画家・余湖裕輝氏。
近年の怪人は子供から見てもあまり怖くないコミカル寄りなデザインの者が多かったが、本作ではそれとは打って変わって禍々しさを全面に押し出したシリアスなデザインが特徴。
ニンジャスレイヤーには「ナラク・ニンジャ」という主要キャラが居る事もあり、発表当初ネタにされたのは言うまでもない。
名前の由来は英語で「虫」を意味する「bug」と「奈落」からだと思われる。また人類の駆逐という点から、「ラグナロク」にもかけているのかもしれない。

虫をモチーフとした敵組織は『天装戦隊ゴセイジャー』の宇宙虐滅軍団ウォースター以来。
何気に脳筋であるところと若干影が薄いところも似ている。
なお「羽のある昆虫」でモチーフが統一されていたあちらとは異なり、ミミズやダンゴムシなども含め広義で「虫」と呼ばれる生物全般がモチーフとなっている様子。
(『ゴセイジャー』には複数の悪の組織が登場しており、ミミズなどの地を這う無脊椎生物は地球犠獄集団 幽魔獣の、貝などの水棲無脊椎生物は機械禦鏖帝国マトリンティスの担当だったりする。)

余湖氏は自身のTwitterアカウントにて、「デザイナーが勝手に想像する〇〇」としてバグナラクの面々の裏設定を色々と語っている。
あくまでデザイナーの想定なので非公式の設定だろうが、知っておくと違った一面も見えてくるかもしれない。


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規制を恐れるな!アニオタWikiの秘宝『アカウント』を手にし、アニオタWikiを良項目が埋め尽くすまで……

100ページ削除されても、101ページ作成すれば……問題ナッシ!ムッフッフッフッフ……♪

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最終更新:2023年06月01日 16:09

*1 見ようによっては大学式服と学生帽に見える。

*2 テレビ放映時はカットされたものの、この戦いの直後、ゴッドカブトが手に入らず激怒したデズナラク8世が自分を巨大化させるようカメジムに命じ、それに対し「秘宝はあと二体ある」とカメジムが宥める一幕があったという。