*魍魎戦記MADARA 【もうりょうせんきまだら】 |ジャンル|ロールプレイングゲーム|&image(http://ec2.images-amazon.com/images/I/51FjeKJBduL._SL160_.jpg,http://www.amazon.co.jp/dp/B000068HY4,width=160)| |対応機種|ファミリーコンピュータ|~| |メディア|4MbitROMカートリッジ|~| |発売・開発元|コナミ|~| |発売日|1990年3月30日|~| |定価|8,500円(税抜)|~| |判定|なし|~| |ポイント|ファミコンの限界に挑んだBGMとビジュアル・演出は素晴らしい&br()癖の強いゲームバランスがネック|~| ---- #contents(fromhere) ---- **ストーリー 遥か昔、アガルタと呼ばれる神の国があった。~ アガルタの神人たちは、人類に知識と文明をもたらした。~ しかし、やがて人類はアガルタの力に溺れ、争うようになった。~ アガルタは地中に消え去り、同時に人類の文明は洪水に襲われた。~ しかし、一部の神人はアガルタを脱出、アガルタ消失後の人間たちの復興に協力した。 永い時が流れた。~ 幾度かの戦乱の後、ウガヤ王朝がこの地を統合し、平穏な時代が続いていた。~ しかし、東方の大陸フダラクからミロク帝と名乗る巨人が魍鬼を伴って来襲し、ウガヤ王朝は滅亡してしまう。~ 新たな支配者となったミロク帝は、魍鬼によって人間たちを支配する“金剛国”を建国した。 ある嵐の夜、かろうじてミロク帝の支配を逃れていた“ニソの杜”に、手足をはじめ身体の八か所がもぎ取られた赤子が、雨の河の蓮の花に乗せられて流れ着く。~ ヒジュラの長老タタラ(汰々羅)は、この赤子にギミックを装着し、マダラ(摩陀羅)と名付けて、タタラの孫娘キリン(麒麟)と共に姉弟のように育てた。~ そして15年後、平和なニソの杜にもついに金剛国の魔の手が伸びてきた。~ 本当の身体を取り戻し、呪われた運命の秘密を探るため、マダラの旅が始まった。 **原作漫画の概要 -原作は「マル勝ファミコン」(角川書店)で連載された漫画。東洋の神話を下敷きにした、伝奇ファンタジー漫画。原作:大塚英志、作画:田島昭宇 -続編、派生作、CDドラマ等のメディアミックス展開が多数発行された。 -当該FCソフトは、マル勝で連載された漫画の最初のシリーズ作(いわゆる「摩陀羅壱」)に準拠した世界のRPG。 -108のMADARAワールドについて --MADARAワールドは、原作者の弁では「108回の転生(=108シリーズ)を経て最後の戦いに臨む」ということであった。しかしながら、シリーズ作品発行108個は実現していない。 --本編8個と外伝100個とされる。 --しかし、「壱」以降も「MADARA弐・BASARA(SFCのMADARA2とは別)」「MADARA赤」「転生編」など、本編とされる作品が8個発行されてはいない。 --各作品の巻末などに設定資料や相関図を記載して名前だけ付けられてる外伝エピソードが大量にあるが、発表済の内容を全部集めても100個はない。 --また8番目の本編「転生編」(漫画版1巻で未完)のその後にして最終章と銘打った「天使編」は、小説4巻が未刊行。更に後、発刊済みの転生編から分岐するパラレル展開によりエピソードを収斂させたような体で「僕は天使の羽根を踏まない」と改題して刊行、「シリーズ完結」とした。 **このゲームの概要 -ゲーム面ではオーソドックスなRPGで、戦闘はFC版ウルティマのごときタクティカル風味のバトルとなっている((プレイヤー側のPTキャラと敵キャラが戦闘フィールドを歩き回っている仕様。))。 --それでも人に話しかけるボタンがBボタンだったりと、ひねくれた部分も多い。 --こうしたゲームデザインは『天下統一』や『戦国大名』で知られる黒田幸弘によるもの。 -ゲームオーバーがない。 --戦闘で全滅すると「おお なんということじゃ せめて マダラだけでも たすからんものか せいれいよ マダラをすくいたまえ」というタタラのメッセージが表示された後、最後にセーブした樹木に戻される。 -ゲームオリジナル要素が多数ある。 --原作では決着を付けることすらなかった((異世界へ逃亡したミロクと、それを追いかけたマダラを追うように仲間たちは転生を繰り返す、というのが原作シリーズの流れである。)) ((もっとも、本作発売は原作になった漫画第1シリーズ完結とほぼ同時期。開発時には構想が違ったり、アナザーエンドとしてのゲームシナリオであってもさほど不思議はない。))ミロク帝との戦いが存在する上、ラスボスはゲームオリジナルの存在になっている。((なお原作では、もし倒された魍鬼八大将軍の力が1つに融合したら、かつて初代ウガヤ王に退治されたヤマタノオロチに戻るという設定だった。)) --「ナユタ」はファミコン版MADARAのオリジナルキャラクター。後に「幼稚園戦記まだら」ラジオドラマ・漫画にて再登場する。 ---- **原作漫画との比較 -「原作漫画では設定資料には載っていたが、漫画中で描写されなかった」ような設定上の存在の場所が、ゲーム内では実際に登場する。 -原作漫画と出番の量に差があるキャラ --原作漫画では3ページで殺されたチョウリョウバッコ((初登場シーンですでに瀕死。聖神邪との一騎打ちに敗れたようだが、最高幹部の一人が手傷ひとつ負わせられずに殺されるなんて…。そのことは後に度々ネタにされ、「僕は天使の羽根を踏まない」で登場した彼の転生・蝶野初男も車に轢き殺されて死ぬというあんまりな扱いだった。))に出番が多い。 --残念ながら、「原作でも出番がなく、本作でもまったく活躍できなかった」ヒョウブ((最高幹部の一体だが、影王に埋め込まれた「ブラックギミック」という生体義肢の一部として登場。原作では勝手に肩から飛び出そうとして「黙れぇ!!」と影王に一喝されるシーンくらいしか出番がなかった。本作では名前さえろくに出ない。)) のようなキャラも少数いる。 -セイシンジャ(聖神邪)((原作漫画ではイズモ族の戦士。リョサンの人々を守るために自ら虜囚として金剛国軍に所属していたが、チャクラを暴走させたマダラが持っていた光のクサナギを手にした事を機に金剛国を裏切る。戦いの後は真の名である「ゲド=ユダヤ」を名乗り、ミロクを追って転生の流れに飛び込んだマダラを探し旅を続ける。「魍魎戦機MADARA赤」「死海のギルガメシュ」では主人公。)) --髪の色が、原作漫画では赤色だが、本作では何故か青。 --本作のゲームアレンジCD「魍魎戦記MADARA Special」の1曲目、「聖神邪~Escape Road」は、このCD用の書き下ろしオリジナル曲トラック。 -カオス(夏凰翔)((【原作漫画】金剛国に滅ぼされた亡国ホウライの皇子。自分の半身を金剛国に人質として出し、バイオギミックを半身に装着して金剛国に仕えていた。マダラとの戦いや伝説の巨人を得た事を機に、金剛国を離反し、反乱軍を組織する。【原作漫画1以降】マダラを探すために自らの半身を再びバイオギミックに変えるが、アガルタの魔に取りつかれ狂気を宿し、親友である聖神邪に7度殺されねば罪が浄化されなくなった。【死海のギルガメシュ】狂気に支配されたカオスは「ギルガメシュ」と名乗り、エッセネに混乱をもたらす。)) --ゲーム序盤の一時期とラセン城到着後に仲間に加わる。 --しかし他の仲間と違い、離脱している間のレベルアップの恩恵がない。そのため次に加わる頃には戦力外になっている((この時点でのマダラ達の平均レベルが20前後、カオスの初期レベルが10で別れる頃のレベルが大体11~12。)) --ヨミの城でヨウエンコウボイスを撃破した後、「反乱軍の指揮をとる」と言ってパーティーから離脱し、その後二度と仲間に加わらない。 --離脱フラグがノーヒント。「しばらくしたら反乱軍に戻らねばならん」的な事も一切一言も言わない。あまりにも唐突。そもそも反乱軍の存在自体が説明不足。別にお前が直接指揮とらんでも大丈夫だろ。 --道中の町や敵の本拠地の「天の都」にて、カオスの動向は一応いくつか語られているが…。 ---- **評価点 -BGMは好評 --『悪魔城伝説』同様に、コナミ製の拡張チップ「VRC6」が(拡張音源はコナミでは初)搭載されており、そこから奏でられるBGMはファミコンの限界を超えたかのようなハイクオリティ。 --サントラもゲームオリジナル音源&アレンジCDの2枚組みと、アレンジCD2枚が発売された。 -ビジュアル・演出にも力が入っている。 --特に道中で戦っていくボス敵「魍鬼八大将軍」との戦闘前に披露されるアニメーションビジュアルは、一見の価値あり。 --原作同様の東洋ファンタジー的な世界と設定も、類似作の少ない独特の作風を醸し出している。 -戦闘:移動距離が長くないので、射程を活かして弓や魔法で接近される前に倒すこともできるのは評価出来る。 --近接は一撃が大きいが、接近するまでに時間がかかり、殴り合えばこちらもダメージを受けるので弓や魔法にもメリットはあった。((2では移動距離がやたらに伸びて、弓の射程が長くても、敵の近接攻撃圏内という涙目仕様+威力もカスの罠武器)) **問題点 &bold(){魅力的な世界観を持つにも拘わらず、ゲームとしての評価を落としてしまった原因は、偏(ひとえ)に劣悪なゲームバランスにあるといっても過言ではない。} -攻撃した時のダメージ量に、大きなばらつきがある。 --「高いダメージを与えられればさっさと倒せるはず」と意気込んで、パーティ数人がかりでかかった結果、微妙なダメージしか与えられず、倒しそびれた敵から手痛い反撃を食らう…なんてのは日常茶飯事。 --攻撃力をアップさせる補助魔法もあるのだが、それで強化してもなお、ダメージ量のばらつきは改善できない。 --中盤~後半は、一部のザコやボス敵が厄介な全体攻撃を所持しており、難易度上昇に拍車をかける。早期決着を望みたくとも、前述のダメージのばらつきでなかなか倒せない。 -ゴウリキふ --更にゲームバランスを崩すのが、ある程度までダメージを防ぐ霊術「ゴウリキふ」の存在。 --これだけで終盤までほとんどの攻撃を遮断できてしまう、壊れ性能。 --ラスボスに限らず、中盤以降は必ず1人以上は「霊術」使い(ハクタク・ナユタ・セイシンジャ)を入れ、常に「ゴウリキふ」を唱えておくといい。 --ただし「ゴウリキふ」の効果が消えたタイミングで攻撃されると、ダメージ軽減はされずに直撃扱いとなる。 --また「ゴウリキふ」の効果は、1000以上程度のダメージで一撃で粉砕される可能性がある。終盤の雑魚の最強クラスの攻撃は1000越えのダメージが出てくるため、ここまで来ると使いにくくなる。 -終盤雑魚対策 --霊術「アシュラふ」(攻撃力UP、戦闘をまたいでも一定回数効果がある)が終盤雑魚対策に有効。やっぱり霊術使いははずせない。 -対ラスボス戦 --ラスボスは、一撃で1000近いダメージの「りゅうせい」ばかり使用してくる。 --このクラスの攻撃はラストダンジョンの雑魚敵も行ってくるので、雑魚戦よりもボスの方が楽になる場合すらある。 -魔法の使用制限 --霊術:移動中、戦闘中共に使用可。 --掌妙勁:移動中使用不可。戦闘中使用可。 --シャーマン魔法:移動中使用不可。戦闘中使用可。 ---上記3種類の魔法のうち、唯一の回復技である「ソーマの秘術」はシャーマン魔法。移動中には使えない。 ---回復魔法を使いにくい(移動中に使えない)ことは自ずとプレイ難易度を上げる。ダメージを回避して如何にこちらの損害を抑えるプレイが出来るかが肝要となる。中盤以降は霊術「ゴウリキふ」なしで突破するのは非常に難しい。 ---上述した通りの回復魔法難に加え、アイテムの所持限界数は全員共通で8(装備品含む)。そのためソーマ(回復アイテム類)を満足な量持ち歩きにくく、どれが不要なアイテムでいつ捨てていいのかも分からないまま、アイテム欄を圧迫してしまいやすい。 -魔法の習得方法が面倒。 --掌妙剄:仙人の祠で習得 --シャーマン魔法:古い書物で習得 --霊術:古いお札で習得 -ブラフマーのまなこ --古墳で入手できるアイテム「ブラフマーのまなこ」(落とし穴に落ちなくなる)は、「フダラクの古城」と「エゴンの砦」の落とし穴を無効化できる強力なアイテム。 --しかし通常アイテム扱いであるため、普通に売ったり捨てたりが出来てしまう。 --「ブラフマーのまなこ」を持たない場合、フダラクの古城では一箇所だけ落とし穴が存在しない床があるので、そこを見つけられれば進むことができる。 --上記2つのダンジョンを過ぎた後は、もう落とし穴のあるダンジョンはないため不要になる。これを知らないでいるとずっと所持したまま、アイテム欄を圧迫するという上述の問題につながる。 -キャラ戦闘不能・キャラ離脱で所有アイテムが消失 --「ヒジュラビトの館で生き返らせる」あるいは「宿屋で他の仲間と交代」をすると、そのときに持っていたアイテムはリセットされ、その時点での初期装備しか所持していない状態になる。 --これは「初期装備を売っても復活する」ということなので序盤は金策として有効活用できるが、「持たせていたアイテムが消失する」ということでもあるので大変にリスキー。 --主人公のマダラとキリンは固定メンバーで、残り2枠の仲間は自由に入れ替えられる。しかし中盤の一時期はマダラorキリンが一時的にパーティーから離脱するため、その時にうっかり高価なアイテムを持たせたまま離脱させると当然消失してしまう。 - 序盤からレベルアップまでの必要経験値量が異常 - コナミ製RPGの悪癖の一つとしてエンカウント率がかなり高めなど、プレイしていて疲れる要素が多い。 ---- **総評 あまりRPGのノウハウのないコナミ発ということもあり、高い難易度、独特なシステムなど、粗やとっつきにくさもあるが、BGMやグラフィック、東洋神話的世界観など見るべき部分も多く、単なる「バランスの悪いキャラゲー」とは言えない作品である。 ---- **余談 -本作の雑誌広告でのキャッチコピーは''「ドラクエしながら待ってなさい。」''という非常に挑発的な一文だった。 --また、箱に書いてある文句は「コナミ初の本格RPG」。どちらかといえば本作の直前に発売された『がんばれゴエモン外伝』のほうがオーソドックスなRPGなのだが…。 -FC版の雑誌向けのCMで、田島昭宇がマダラのコスプレをしていた。顔出しはなく、シルエットのみの出演。 -SFCで『[[魍魎戦記MADARA2]]』が発売された。 --そちらはシステムが大幅に改良されており、だいぶとっつきやすい。 --ストーリーは完全にオリジナル。MADARA1や他漫画作品との連続したストーリーの繋がりはない。 //-戦闘で仲間が死亡したままタタラに話しかけると「う そこにいるのは だれじゃな おや キリン どうしたのじゃ なんと これはたすけてやらねば なるまい ハロンベリカン アロンデリサン」のメッセージが出て、仲間を生き返らせてくれるが、医者に「こら おまえたち びょうにんに めいわくをかけてはならん!」と怒られる。 //これだけなら特に余談に書く内容でもないのでCO //-実は上記のカオス(夏凰翔)はヨミの城でヨウエンコウボイスを撃破後以降も仲間にできるという噂もある。その方法はカオス(夏凰翔)はラセン城で仲間になってからパーティーに入れっぱなしにしておく、または彼の部下に反乱軍の指揮を任せて最後まで一緒に仲間にできるというフラグがあるらしいがどうも怪しいため過信は禁物である。 //ただの噂なので書くとしても余談。加えて噂自体存在が怪しいのでCO ---- #co{{**裏技 -イカルガの村(秋)・ラセン城(冬)・シーファンの町(春) ・海竜の村(夏) それぞれの時季にこれらの場所を訪れると巡回市が開かれており、その中に体力を上げる道場と知恵を上げる学院がある。一度教えてもらうと次の季節まで教えてもらえないが、霊術「シュンテン符」を4回使うか、町の外に出たら何もせず季節が1周するのを待てばまた教えてもらえるので、お金が許す限り何度も繰り返せば、序盤から体力と知恵を最大150まで上げる事が可能。 --ただし本作はレベルアップ時、知恵の値が上がると同時に最大MPの値が増えるという仕様なので、レベルが低いうちに知恵を上げすぎると、逆に高レベル帯で知恵の値がカンストしMPが伸び悩むという罠が存在するため、この方法での知恵の上げ過ぎは厳禁。 -仲間の一人、ロキはコシの村(ゲーム中最後のセーブポイントが存在する村)まで辿り着いた頃に仲間に加えると、「竜のうろこ」というファイター用の盾(非売品)を装備している。離脱前に装備から外しておくと便利。}}