*林海峯九段の囲碁大道 【りんかいほうくだんのいごたいどう】 |ジャンル|囲碁|&amazon(B000068HA6)| |対応機種|スーパーファミコン|~| |発売元|アスク講談社|~| |発売日|1996年3月22日|~| |定価|14,800円|~| |セーブファイル|登録数は3人分&br()オートセーブ仕様|~| |周辺機器|スーパーファミコンマウス対応|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |ポイント|初心者から上級者まで大歓迎&br()日本棋院推薦&br()多数の棋譜と詰碁120問|~| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 SFC囲碁はプロ棋士の監修とともに『[[対局囲碁ゴライアス]]』から始まっている。~ 本作は林海峯九段による監修のもと日本棋院推薦のお墨付きであり、3年間近く続いて来たSFC囲碁の有終の美を飾った作品である。~ 非常に充実した内容で、初心者から上級者まで支持されている。 **特徴 -入門、対局、道場の3つのモードが用意されている。 --ルールを覚えたり、CPU対局、詰碁、実戦譜などに触れる事ができる。 -記録方式 --登録 ---最初にプレーヤーネーム((全部で6文字。平仮名、カタカナ、アルファベットの大文字小文字、記号が使える))を決める。 ---作中で詰碁などをこなしていけば進行状況は自動でセーブしてくれるようになっている。 --ファイルも3つ用意されているので、プレーヤー毎にセーブファイルを使い分ける事ができる。 **評価点 //本作のモード自体が評価点と考えております。 ''初心者~上級者まで非常に充実した内容'' ''入門'' SFC囲碁では今まで初心者お断りだったが、本作でようやく初心者向けのモードが登場した。~ -「1見学室」、「2ルール」、「3打ち方」、「4用語集」、「5卒業試験」と、全くの初心者から徐々にレベルアップしていけるように構成されている。 --5つのステップは長いが好きな個所から始めたり、良く分からなかったものは繰り返し反復出来るので快適。 -''1_見学室'' --ルール説明の前にCPU同士が囲碁を打つところを見ることができる。使う道具の説明から始まり対局するところが見られるので流れをつかめるだろう。 -''2_ルール'' --基本ルールを覚える。 -''3_打ち方'' --講座の後に簡単な問題が出題されていく。内容も充実している分長くなるので時間をかけて取り組みたい。 -''4_用語集'' --25種類の用語が実際の盤面で実演されながら解説されるので分かり易い。そして好きな所から見られるのも快適。 -''5_卒業試験'' --全部で30問出題される。一定数の正解数で合格。長くなるので時間を取って望みたい。目安としては10分あたり。 --卒業試験とのことで合格基準点は高い。尚、記録は残らないし満点でも特に何もない。 --成否の判定だけでは終わらず、正解すると丁寧に解説まで行われる。 -このように、囲碁について全く知らない初心者でも本当に初歩的な事から徐々に慣れて行けるように構成されている。 --そして、囲碁を得意とするプレーヤーには全く違った付加価値が用意されており退屈させることはない。 ''対局'' -CPU対局。当然ながらルールをしっかり覚えてから挑戦すべき。 -相手は織田信長、豊臣秀吉、徳川家康の3人から選べる。弱中強のハンデも用意されており、置き石は9個までの白番~黒番まで幅広い腕前に対応。 ''道場'' -CPUと戦えるようになってきた、もしくはSFCの棋力では物足りない上級者に対しての要素。 -詰碁道場 --「中級者向問題」「上級者向問題」「有段者向問題」「実力問題」のそれぞれ30問、合計120問の詰碁が用意されている。 ---盤面も全体図ではなく、一部を大きく表示する仕様なので見易い。 --相手の石を殺したり、猛攻に耐えて生きたり、コウに持ち込んだり色々な状況が用意されている。 ---こちらの方も説明文が充実しており、プレーヤーの誤答に対してはどう悪く変化するのかを実演してくれる。 ---どうしても解けない際はヒントで解答が見られる。ただし、実力問題では一切表示されないので自力で解くしかない。 --クリアマークも3段階で用意。 ---『対局囲碁ゴライアス』でも3段階のクリアマークが実装されていたが、本作でも時間内に解く・ヒントに頼らない・ミスをしないなどに応じて大判、小判、銅銭のアイコンが表示されていく。 -古典名局集 --本因坊算悦、本因坊道悦による名局が10局見られる。 ---開始前には解説が用意されており、当時の状況を軽く説明してくれる。 ---対局中は解説無しで進むが、「研究」を選ぶとプレイヤーなりの変化をやる事ができる。その後戻って本筋に合流。 ''細部までこだわっているグラフィック'' -水墨画 --タイトル画面では、水墨画の世界に手前の木と奥から飛んでくる鳥が鳴き声まで用意。奥行きと立体感がある。 --あらゆるモードでは岩場、桜の木、戦場、釣りなどの場面が用意。しかもそこにカエルや雀や武士や魚が生き生きと動く。 -囲碁で使う道具、子供と師匠の多彩な動作、戦国武将の顔、メニューの文字も筆体で構成されているなど細かい。 -先生がアニメーションで解説をしてくれる。 **問題点 -林海峯九段の要素がない。 --CPU相手には望めるはずもなく、棋譜再現は昔の人の棋譜のみである。 --林海峯九段の棋譜を望む方は、本作の2ケ月ほど前に発売された『囲碁倶楽部』の棋譜閲覧に収録されている。こちらは現在のところかなり安価で取引されている。 -メッセージの早送りが出来ない --Bボタンで戻る仕様が用意されているが、1手だけ戻す事は出来ず、メニューに戻る仕様。このため、うっかり読み飛ばすと大変である。 -入門に若干不便な点がある --''3_打ち方'' ---充実しているが、その分長丁場で時間がかかるので贅沢を言えば細分化して欲しかった。 --''5_卒業試験'' ---解説が付くのは正解した場合のみで、不正解の場合はどこが悪かったのか分からないのは難儀である。 ---シチョウの解説では1手1手打っていくので時間がかかる。 -詰碁 --最初から全問選ぶ事ができない。 --それぞれ30問全て解いてからでないと次へは進めない。解いた際も、おめでとうの文章が出るが一度きりで二度と見れない。 --クリアマークの取り回し ---クリア済みの問題に再挑戦して、お手付きや時間切れでクリアするとクリアマークが下位に置き換わってしまう。しかもオートセーブされる。 --全問クリア? ---実力問題の30問目のみ、ノーミスで正解しても下位のクリアマークしか付かない。 ---強引に解釈するなら、これは意図的に満点を取らせずに作者から詰碁に終わりは無いんだぞというメッセージと言えない事もない。 -メニュー画面のバランスが少し悪い。 --入 門&br()対 局&br()道 場&br()と並んでいるが空白が開きすぎており若干横に読みづらい。 **総評 -囲碁を始めたい方から腕に覚えがある上級者まで、色々な要素が細部に至るまで丁寧に作り込まれた作品。まさに、SFC囲碁の最終作として有終の美を飾った作品と言えよう。 **余談 -現在のところSFC囲碁も殆ど投げ売りされている中で、本作のみ定価以上で取引されている。それゆえ入手困難な方なので初心者や上級者から配信が強く望まれている。 -次世代機でもプロ棋士監修で囲碁ソフトが発売される。 //-囲碁のゲームを開発したい企業・囲碁教室を構えている方々は多少の無理をしてでも本作を入手して大切に扱って頂きたいところである。 //直接作品自体に関連ない余談だからCO。 //**コンピュータ囲碁将棋について //-多くの名作を生みだし人々に感動を与えて来たスーパーファミコン。それを以てしてもまだまだプロ棋士には遠く及ばなかった。その一方で初心者に対しては評価点であるはずの棋力が問題点として牙を剥くという面もあった。 //--ファミコン時代から、棋力の向上だけではなく、付加価値についても取り組まれてきている。 //***SFC将棋 //-SFC将棋の方も、プロ棋士による監修から始まり、囲碁とはまた違った盛り上がりを見せている。『[[初段 森田将棋]]』で詳しく綴られている。 //-アスク講談社は『[[伊藤果六段の将棋道場]]((詰将棋365+αという質も量もハイレベルな貴重な作品。))』も発売しており、本作と合わせて、SFC囲碁将棋に最も貢献したメーカーと言っても過言ではないだろう。 //-SFC将棋は引き続き、他のメーカーから発売されて翌年97年にプロ棋士監修第8弾『[[加藤一二三九段 将棋倶楽部]]』でSFC将棋最終作となる。 //記事内にむき出しにして置いておく理由はないので隠しておく。