*終わらない夕暮れに消えた君 【おわらないゆうぐれにきえたきみ】 |ジャンル|孤島伝奇ADV| |対応機種|iOS 8.0以降, Andoroid 5.0以上| |メディア|ダウンロード| |開発元|シュウプロデラックス| |配信開始日|2017年3月31日| |定価|無料(広告視聴あり)| |プレイ人数|1人| |セーブデータ|30個| |レーティング|全ユーザー対象| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''| |ポイント|ストーリーに特化したアプリ&br;フラグ回収、プレイヤーの誘導が丁寧| #contents(fromhere) ---- **概要 スマートフォン向けのゲームを中心に開発する、株式会社シュウプロデラックスが送る一作。~ 切ないシナリオで好評だった『[[彼女は最後にそう言った]]』のシステムを踏襲している。 **あらすじ >舞台は伝奇がつたわる孤島。~ ~ 孤島の子供たち同士でかくれんぼをした。あの日のかくれんぼで僕は「鬼」だった。~ しかし、あの日友達のイヅルひとりが最後までみつからず、行方不明になってしまった。~ ~ 10年後の同窓会でかつて埋めたタイムカプセルを探すも見つからず、代わりに木箱に入れられた手紙を見つける。~ 手紙には「10年前の続きをしよう」と書いてあった…。 **システム -マップおよびキャラクターはすべてFC調のドット絵で表現される。 -ゲームの流れ --プレイヤーは主人公「シュウヤ」を操作し、様々な人物に話しかけたり、物を調べたりする。 --スマホ画面をタップすると、そこに向かってシュウヤが歩いてくる。シュウヤに隣接する人物や物体をタップすると話しかけたり調べたりする。 -その他メニュー --ジンブツ:シュウヤが出会ったことがある登場人物を軽く説明してくれるコーナー。 --キオク:物語全体に関連する設定や、現在進行しているストーリーが1~2行程度の短文でまとめられる。 --マップ:『[[彼女は最後にそう言った]]』には無かった新要素。シュウヤが立っている周囲の広い範囲の地形を確認できる。ストーリーを進める上での目的地は赤いピンで表示される。 -やりこみ要素 --特定の人物に話しかける・場所を調べることで「実績」としてセーブデータに記録される。 -その他 --選択肢を選ぶ一幕はあるものの、基本間違えた選択肢を選んでも選択肢を選びなおさせられるだけ。 --その他、文字を入力して問いに対して回答させる一幕もある。(間違えた文字を入力すると再度答えなおしになるだけ。) --章をクリアして、新たな章を見ようとすると広告を閲覧することになる。 ---- **評価点 -物語構成 --行方不明になってしまった友人イヅルが今どうなっているか、ということが本作の最大のテーマとなっているのだが、序盤からかなり伏線がちりばめられており、真相に気づけたときの感動は大きい。 --いくつかの回想シーンで、イヅルとシュウヤはとある理由からライバルになりつつも、厚い友情に結ばれていることが説明される。 --主人公の友達への掘り下げも必要最小限ではあるが行われており、ストーリー自体はシンプルな構成となっている。無料ゲーとしてはかなり利便性が良好。 -失踪事件の顛末について --ネタバレなので詳細は伏せるが、失踪してしまった友人イヅルと残された子供たちや家族のすれ違いの描写が絶妙。 --イヅルが味わってきた孤独を、主人公シュウヤが理解したうえで、悲劇を回避するために行動することになる。そのため前向きな気持ちでストーリーを読み進めることができる。 -便利機能が高い --前作からの改良要素といえる点。 --キオクのシステムのおかげで、いつセーブ・中断しても、次にしなくてはならないことが分からないことはない。前作は、ロードすることでキオクが消失するバグがあったが、本作はきちんと重要な記憶は覚えていてくれる。 --マップで周囲を見渡すことが可能になった。目的地も赤いピンでナビゲートしてくれるので迷うケースはほぼない。 -BGMが良い --よく闊歩することになるエリアのBGMが和風テイストの切ないもの。佳境に入るときちんと盛り上げてくれる。 --「第零章」をクリアするとシュウヤの自室で、いつでも好きなBGMを聞ける。 **賛否両論点 -理屈で説明できない展開がある --島の神社にあるご神体に、とある非科学的な能力が秘められている。友人の失踪もこの能力が関係しているのだが、ストーリーのオチとして納得がいくものかどうかは意見が分かれると思われる。 **問題点 -一本道構造であること --プレイヤーが能動的にストーリーの展開に干渉でききるわけではない。 --いろいろな人に聞き込みすることになるが、こちらが提示できる質問の内容は固定されている。 --ゲーム性が特にない。簡単なクイズがいくつかある程度。あくまでシナリオを楽しむことを目的としたアプリといえる。 -やりこみ要素に特にゲーム性がない --やりこみ要素として「実績」というシステムが搭載されているが、結局特定の場所や人物を調べれば達成されるケースが多い。ときおりストーリーの内容にまつわるクイズや、とんちのクイズが出される程度。間違えたところで特にペナルティも無い。 --やりこみ時は、マップに目的地が表示されないのである意味地形を覚えるゲームとしては使えるかもしれないが。 -イベントスキップ機能が搭載されていない --エンディングまでひととおりクリアすると、シナリオを最初からニューゲームすることになる。このとき1周目に見たシナリオを再度見ることになるが、これを飛ばすことができない。 ---- **総評 ゲーム性が弱い点はあり、実質読み物として機能しているアプリである。シュウヤと失踪した友人イヅルの友情、イヅルの抱えた孤独の描写が良好であり、ストーリーは好評価できる。