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不思議のダンジョン 風来のシレンDS2 砂漠の魔城
【ふしぎのだんじょん ふうらいのしれんでぃーえすつー さばくのまじょう】
ジャンル
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ローグライクRPG
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対応機種
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ニンテンドーDS
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メディア
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256MbitDSカード
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発売元
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セガ
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開発元
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チュンソフト
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発売日
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2008年11月13日
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定価
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4,800円(税別)
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判定
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劣化ゲー
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ポイント
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ハード変更で性能向上 一方で一部に見られる改悪の数々 改善点も多いので一概には劣化と言えない面も
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風来のシレンシリーズ関連作品リンク
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概要
不思議のダンジョン風来のシレンシリーズのDS第二作目。2001年発売の『風来のシレンGB2 砂漠の魔城』(以下、GB2)の移植作である。
『GB2』をベースにバランス調整が行われ、新ダンジョンの追加や、新しい仲間、レベル4モンスターの追加などの新要素がある。
特徴と評価点
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ハードがGBCからDSに変わったこともあり、GB2の不満点(操作性やレスポンス等の不満)が大幅に解消された。
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グラフィックやサウンドが前作『風来のシレンDS(以下、DS1)』と同程度に向上した。
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操作性の向上。GB2は移動や攻撃が非常に遅く、ややストレスが溜まりがちであったものが改善された。
向きの変更もし易くなり、矢の発射やマップ表示がワンボタンで可能になった。
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マップが通常画面、あるいは上画面に表示させられるようになった。
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メッセージの履歴を見られるようになった。
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通路での視界が他のシリーズと同じように暗くなった(これについては若干の賛否あり)。
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新ダンジョンの追加。新たに3つの新ダンジョンが追加された。
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新ダンジョンでは、『GB2』では入手が困難だったアイテムや遭遇が難しかったモンスターの一部が登場し、アイテム収集や「もののけ手帳」の完成が簡単になった。
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モンスター面
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レベル4のモンスターの追加。『DS1』に登場しなかった種族のモンスターにもレベル4が追加され、追加ダンジョンのモンスターテーブルに反映された。
「もののけ手帳」の収集のしがいもある。
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一部モンスターの能力が調整された。特にノコギガッターの弱体化は注目される点。
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『DS1』はアイテムやモンスターテーブルなどがかなりいじられており、「移植でありながら最早別のゲームである」という批判を呼んだ。
その反省を生かしてか、今作では既存のダンジョンについてはアイテムやモンスターはほぼ完全に移植されている。
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救助システムも当然搭載。
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『GB2』も救助システムは搭載されていたが、Wi-Fi通信が可能な本作のほうがより気軽に救助できる。
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Wi-Fi環境がなくても、従来通りパスワードや本体同士の通信といった手段で救助が可能になっている。
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「ビッグモアイ様」から貰えるアイテムが非常に豪華になった。『GB2』では能力しか存在しなかった激レアアイテムも貰えるように。
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そのほか修正点
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レアアイテムである秘剣カブラステギが、1つのカートリッジで手に入るようになった(『GB2』では最低2つのカートリッジが必須だった)。
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『GB2』に存在したバグが全て修正された(イベント暴発によるセーブデータ破損、倉庫のアイテム消失など)。
問題点
『DS1』に比べると少ないが、些細なものからかなり致命的なものまである。
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長時間電源を付けていると、フリーズしてしまう可能性が高くなる。
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フリーズすると電源を切るしかないが、このゲームでは「電源を切る=冒険の失敗」であるため致命的。
持ち込みありのダンジョンでは当然、メインの装備を失ってしまう。
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逆にまったくフリーズしない人もいる。ROMによってフリーズしやすいか否かの違いがあるようである。
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レベル4のモンスターが空気。
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前述の通り、『GB2』で既出だったダンジョンは基本的にモンスターの出現テーブルをいじっていないため、レベル4のモンスターは出現しない。
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GB2にあった既存ダンジョンではレベル4モンスターはレベル変化を利用しない限り発生しないし、
わざわざ発生させるのは「もののけ手帳」を完成させたいプレイヤーくらいである。
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追加ダンジョンにも一部のレベル4モンスターしか出現せず、しあわせの杖などを利用しないと「もののけ手帳」の完成が難しい。
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ただし「ウツボカズラ」系レベル4モンスターの「強化カズラ」は祝福カズラに匹敵する驚異的なバランスブレイカーで、
意図的に発生させて利用するとクリア難易度が大幅に下がる。
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さらに『DS1』同様レベル4モンスターのステータス・能力はレベル3モンスターとほぼ一緒であり、変わり映えもしない。
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『DS1』ほどではないが、やはり新規追加モンスターのネーミングに手抜き感が否めない。
「もののけ手帳」の一言コメントも、既存のモンスターからの流用や、一部改編しただけのものが多い。
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「おばけ大根」系レベル4モンスターである「みだれ大根」は前作では「キグニ族の種」を投げてきたが、
本作ではレベル3のねむり大根と同じく「睡眠草」を投げてくるようになっており、「キグニ族の種」は投げてこない。
これでは、何が「みだれ」なのか分からない。特技を変えたのなら、それに合わせて名前も変えるべきではないだろうか?
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新ダンジョンのラインナップが微妙。
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「オババの家の隠し穴」は、『DS1』でも「誰得」と評されたタイムアタックである。
しかもフロア数が50Fとそれなりに長いのにプレイ中は中断出来ず、冒険失敗しても救助依頼が出来ない。
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タイムアタックという要素を差し引いて普通のダンジョンとして見ても、多少他のダンジョンより敵が強いというだけであり、
腕試しダンジョンとしても『GB2』のころから「鍛冶屋のかまど」というダンジョンが存在するため、空気。
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一応多少のレアアイテム、モンスターが出現するため潜る意義はゼロではないが、
いずれも他のダンジョンで入手、遭遇できる上、前述の「中断&救助禁止」という仕様も相まってデメリットのほうが大きい。
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「マムルのほら穴」はいわゆる「不思議のダンジョン」的なポジションであり、『GB2』には類似のダンジョンは無かった。
また、それなりにレアなアイテムやモンスターが出る上に中断・持ち込み制限もないため、オババの家の隠し穴よりは利用価値は高い。
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ただし、難点はダンジョンに潜る際、『DS』で追加された仲間の「ボーグマムル」が強制同行すること。
このボーグマムルが非常に弱く、初回クリアまでは彼が死んでしまった場合も冒険失敗となる上、救助依頼も出来ない。
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30階には強力なボスキャラがおり、初期配置と敵の移動速度の関係上、1ターンで冒険失敗となる可能性がある。
対策を練ればそこまで難しくないのだが、前情報なしで潜るとアイテムをなくしてしまう可能性が極めて高い。
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ボーグマムルは「本人が要求するアイテムをぶつけるとレベルアップ」という特性を持つが、
レベル21まで能力値は初期値のままである上、苦労してそれ以上レベルを上げても戦力には程遠く、守りながら進めざるを得ないことには変わりない。
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「遺跡の奥底」はダンジョン内に通路がなく、壁を掘って進むダンジョン。
『外伝』に存在した「ギトーの試練」とほぼ同じシステムで、深層ではかなり貴重なレアアイテムが入手できる。
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しかし最初に支給される壁を掘る道具が「つるはし×3」のみ。つるはしは1回の壁掘りで壊れる可能性もあるため、支給品だけでは隣の部屋にすらたどり着けないまま詰んでしまうことさえある。そのため、結局は壁を掘る道具か壁を掘らずに移動できるアイテムを持ち込む必要がある。
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「ギトーの試練」では壊れない壁掘り道具が支給されていたし、本作の「天下一ワナ道会」「トンファンの穴」というダンジョンでは、クリアに必須だが壊れてしまうことのあるアイテムが例外的に壊れないよう設定されている。なぜ遺跡の奥底では同じ仕様になっていないのか謎。
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またこのダンジョンではマップを見ることができず、階段は総当たりで探さなければならないため非常にテンポが悪い。
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そもそも「ギトーの試練」は泥棒をしながら進めることを前提としたダンジョンであるため、通路が無いことには攻略上に大きな意味があった。
一方遺跡の奥底において通路が無いことはプレイ時間とターンの水増しに過ぎず、何の面白みもない。
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『DS1』 同様「持ち込みなしのダンジョン」が追加されていなかったため、コアなユーザーからの批評が強い。
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「オババの家の隠し穴」と「マムルのほら穴」は持ち込みなしで突破できるバランスなので、プレイヤーが任意に持ち込みなしで挑戦することはできる。
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ただし、「遺跡の奥底」は事実上持ち込みなしではクリア不可能なバランスである。
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原作からの改悪点。『DS』で改悪と指摘された箇所が本作にも引き継がれている。
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「天下一ワナ道会」の大幅な仕様変更
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ワナダンジョンの「天下一ワナ道会」のルールが全くの別物。しかもよりによって評判の悪かった『DS1』と同じ仕様である。
元々ワナダンジョンは新しいナンバリング作品が出るたびにルールが異なっており、具体的なルールはこれといって存在しないのだが、
仮にも「移植」の作品でルールを変えるというのはどうなのだろうか?
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『DS1』も移植でありながらワナダンジョンのルールがSFC版と別物であったが、SFC版のルールは「ワナを使って攻略する」という要素がやや薄い節があったため、一応「良い変更点である」という意見もあった。しかし『GB2』のルールはそれなりに評判が良かったため、猛烈な批判を浴びることに。
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一方でアイテムやワナ、敵のテーブルなどは原作から殆ど調整されていない。
これだけ大きくルールを変えたらそれに従ってバランス調整を行ってしかるべきなのに、奇妙なところで忠実なリメイクを貫き通している。
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同じ部屋で寝ている敵が、いきなり目を覚ますようになった。『DS1』で不評だった変更点を、今作も採用している。
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この仕様により、敵との戦闘を回避しながら進むダンジョン「壺の洞窟」の難易度が高騰してしまった。
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ただし、ウツボカズラ系やにらみヘビ系など隣接しない限り目を覚まさない敵もいる。
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敵の視界が2マスになった。
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こちらも『DS1』で不評だった変更点。同様に「壺の洞窟」の難易度が高騰した原因となっているほか、逃走するモンスターを倒すのが困難になっている。
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未識別の杖の使用回数が表示されなくなってしまった。
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投げた道具で罠を発動させることができなくなった。
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木の矢のワナやデロデロのワナを用いた稼ぎテクニックが使えなくなり、投げた道具が命中しなくなる「あたらずの腕輪」も完全マイナスアイテムになった。
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部屋の入口に罠が配置されるようになってしまった。
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『SFCシレン』『シレン2』『外伝』でも部屋の入口に罠が配置される事はあるが、原作である『GB2』では入口には罠が発生しなかった。
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ミニマゼルン系やウツボカズラ系に投げたアイテムが外れる事があるようになってしまった。
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従来の作品では、こういった「投げられたアイテムを飲み込むモンスター」に対しては投げたアイテムが必ず当たるように設定されていた。
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外したアイテムを再度飲み込ませたい場合に、そのモンスターの足元に落ちたアイテムを回収する必要があるため面倒。
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オヤジ戦車系やウルロイド系の砲撃の爆風によって、床に落ちているアイテムが消滅するようになってしまった。
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『外伝』までに発売された作品では、地雷で床に落ちているアイテムが消える事はあっても、オヤジ戦車系の砲撃では消える事はなかったのだが、
『DS1』以降の作品ではオヤジ戦車系の砲撃でもアイテムが消し飛ぶようになり、アイテムロストの要因が増えている。
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ゲイズ系の催眠術の行動に「道具を投げる」が追加されてしまった。
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ただし、特技の使用率は『DS1』や『シレン3』と比べて低下し落ち着いた。
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ゲイズ対策の「やまびこの盾」は相変わらずレアアイテムだが、これは原作のGB2と同様である。
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最強装備候補の「火迅風魔刀」が一度きりしか入手できなくなってしまった。
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『GB2』ではイベントでの入手の他に、難関ダンジョンの店で無制限に購入できるアイテムだったが、今作ではイベントで貰える1つしか入手できなくなった。
そのため、紛失すれば再入手は不可能(他の作品のように鍛えたカタナを昇華して作る事もできない)。
「死んで覚える」がコンセプトのゲームで、死んだらやり直しが効かない事態が存在するのは絶対にあってはならない事と言えるため、批判が続出した。
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アイテム交換や救助を用いれば複数入手可能であるが、そんな誰にとってもレアなアイテムをくれる人がいるわけもないので、
複数入手したいならもう一つソフトを購入するしかない。
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ちなみに「妖刀かまいたち」「必中の剣」「強打の腕輪」「紙一重の腕輪」も1つしか入手できないが、これらは『GB2』では「印」という形でしか存在せず、
今作も「印」としてなら再入手可能なので大きく批判されることはなかった。
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ただし、これらはWi-Fiサービスの利用が必要であるため、サービスが終了してしまった現在では絶対に入手することができなくなった。
今となっては火迅風魔刀以上のレアアイテムに……
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倉庫の中身を更新して倉庫を出たり、ダンジョンをクリアするor失敗するたびにセーブ画面が発生する。ハードの仕様上仕方ないとも言える。
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ビッグモアイ様のご褒美を貰う方法が他作品との連動という形に変更されたのだが、よりによって評判の悪い『3』である。
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ただし一人の人間の貯めた救助ポイントを何人利用しても構わない仕様のため、2chでは発売後すぐに自身のコードを晒してくれた人が出現し、多くの人がプレイせずに恩恵を受ける人が出来たようだ。現在でもまとめwikiで公開されている。
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『DS1』と同じく完全なソフトリセットが出来ず、冒険の履歴や番付が削除できない。ある意味中古対策なので仕方がないとも言えるが、やはり残念な仕様。
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もっとも、強引にやれば出来ないこともない。ROMが壊れる可能性があるが……
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ちなみに『GB2』では普通に削除が可能だった。
総評
「改変しすぎである」と言われた『DS1』での反省を生かしており、全体的には落ち着いた内容としてまとまっている。
『GB2』の短所も改善されており、良リメイクと言っても差し支えはない。
しかし『DS1』と同じ不満点が生じる、一部インターフェースが過去作品より劣化するという不可解な仕様は相変わらずであり、
ワナダンジョンの仕様変更と壺の洞窟の高難易度化、再入手不可能なアイテムの存在はいかんともしがたい。
これらの仕様に目をつぶれるのであれば十分に楽しめる作品であるのだが、『シレン3』や『DS1』によって被せられたシリーズの汚名を返上させるには至らなかった。