不思議のダンジョン 風来のシレンDS

【ふしぎのだんじょん ふうらいのしれん でぃーえす】

ジャンル ローグライクRPG
対応機種 ニンテンドーDS
メディア 128MbitDSカード
発売元 セガ
開発元 チュンソフト
発売日 2006年12月14日
価格 4,800円(税別)
廉価版 お買い得版
2008年8月21日/2,800円(税別)
判定 劣化ゲー
ポイント 変更点は多いが基礎部分は堅持
バランスと底意地の悪い調整
バグに注意
風来のシレンシリーズ


概要

SFCで発売された『不思議のダンジョン2 風来のシレン』をDSにリメイクしたもの。
キャッチコピーは「1000回では遊びつくせない奥深さ!」「今度の冒険……1000回どころじゃ終わらない!」など。*1
リメイクに際し、大幅に改定・追加が行われている。
しかし、下記の問題点により、幾多のプレイヤーから批判を買った。


変更点・追加要素・評価点

詳細はこちらこちらなどの攻略サイトを参照のこと。
中でもゲームバランスは大幅な調整を受け、簡単になった部分もあるが、全体的にSFC版に比べ難易度が上昇する作りとなっている。

アイテム関係

  • オリジナルにあったアイテムの効果変更や強力すぎるアイテムの削除。
    • 「分裂の壺」の削除。これと「吸い出しの巻物」の組み合わせでアイテム無限増殖できたので削除はやむなしだろう。
    • ゲイズ系・ガイコツまどう系・きり仙人系の特技を反射する「やまびこの盾」の消滅。代わりに効果対象が細分化され、ゲイズ系の特技だけを無効化する「ゲイズの盾」と、ガイコツまどう系ときり仙人系の特技を10ダメージ化する「プリズムの盾」が追加された。
      • しかし、最難関ダンジョンである「フェイの最終問題」では、この代用アイテム2種は出てこない。SFCではやまびこの盾が出たのだが。
    • 「壺増大の巻物」の削除。壺の最大容量が5に変更された事が関係していると思われる。
    • 「レベル固定の腕輪」も削除されているが、これを削除した理由は不明。
      • レベルダウンを防げる「ドレインよけの腕輪」が新たに追加されたからという説がある。
    • 「白紙の巻物」は1度でも読んだことがある巻物でないと効果が発揮しないようになった。
      • これにより、SFC版フェイの問題にあった「白紙の巻物」を使った問題が別の問題に差し替えられている。
      • SFC版にあった隠し要素「聖域の巻物」と「全滅の巻物」は本作でも使用可能。
    • 大半の武器・盾に強化限界が付いた。
  • 原作では呪われなかった、装備品以外のアイテムも呪われる仕様に変更された(呪われたアイテムは使用不可、装備品は装備すると外せない)。
    • ノロージョ系の特技は、Lv1~Lv4まで「所持アイテムをランダムで1つ呪う」能力に変更された。
    • 「呪いのワナ」が追加され、持っているアイテムが突然呪われる可能性が出てきた。
    • 呪いを防ぐ装備「呪いよけの腕輪」が入手困難になった。(救助の褒美でしか入手できない)
    • 解呪アイテム「おはらいの巻物」はたまに所持アイテムすべてを解呪できるが、基本的に選択したアイテム1つしか解呪しか出来ない。
      • 一方で「ノロージョの肉」を食べた時は、必ず所持アイテム全ての呪いを解く効果がある(Lv1のノロージョの肉でも全解呪)。おはらいの巻物より強い。
    • 拾うアイテムが呪われたものばかり、というのもよくある。これらの事から、呪いに対するリスクがSFC版よりも高まった。
    • 一方で、『GB2』より実装されていた、呪いの逆となる「祝福(通常のアイテムよりもお得な効果付きの状態)」状態は受け継がれていない。
  • 持ち込み可能ダンジョンの追加により、SFC版で問題だった「最強装備を作っても使いどころがない」という事態がやや解消された。
  • 倉庫に置いた壺の中身が消滅しなくなり、預けられるアイテム数が飛躍的に増えた。
    • これに伴い、山頂の町の倉庫の番人の願い事の台詞が変化している。
  • 壺に道具をまとめ出し入れできようになった。
  • 転ばぬ先の杖など、SFC版では存在しなかった便利アイテムが追加。
  • 交換コマンドを利用してアイテム欄にギタンを持てるようになり、保存の壺が無い状態でもギタン投げ用にギタンを持ち運べるようになった。
    • ただし、アイテム欄を整理すると自動的に所持金に加算されてしまう仕様は不評。これは『シレン5』でも改善されていない。
    • SFC版では、壺に入れないとギタンを持ち運べなかった。
  • 風来救助成功のご褒美でしか手に入らないアイテムが存在する。
    • 「長巻改」「鉄甲の盾改」などの改装備。通常の長巻や鉄甲の盾より強化限界が増えている。
      • まあ、結局は秘剣カブラステギやラセン風魔の盾を使った方が強いのだが。
    • 2つの能力を持った腕輪。
      • 識別の腕輪と値切りの腕輪の効果を併せ持つ「商人の腕輪」、回復の腕輪としあわせの腕輪の効果を併せ持つ「超回復の腕輪」などが存在する。
    • その他、前述した呪いよけの腕輪に加え、「まもりの腕輪」も救助の褒美でしか手に入らないレアアイテムとなっている。

モンスター関係

  • ほとんどのモンスターにレベル4が追加された(SFC版は基本的に上限レベルが3だった)。
    • 以降の作品でも常連になっている凶悪モンスター、「アビスドラゴン」や「みだれ大根」などが初登場した。
      • ちなみに「ヘンクツ戦車」「ウルトラゲイズ」「ローグトド」は本作限りの登場で、以降の作品では「ゴウジョウ戦車*2」「ゲンナマゲイズ」「しょうめつトド」に出番を取られている。
    • SFC版ではレベル1しか存在しなかった、ぼうれい武者系・やみふくろう系・くねくねハニー系・カラクロイド系・エーテルデビル系にもレベル2~4が追加された。
      • しかし、これらのモンスターはレベルアップしても特技が変わらない。カラクロイド系以外は戦闘能力もあまり高くない。
      • 何故か「いやしウサギ」というモンスターだけはレベル4まで追加されていない。『GB2』には上位種がいたのにもかかわらずである。
    • モンスターの攻撃力が下げられた関係もあり、レベル3の能力はSFC版より低く、概ね「レベル4になってSFC版のレベル3相当」である。
  • 他シリーズから4種、完全新規3種のモンスターが追加された。
    • SFC版では序盤で登場した小僧天狗系はリメイク版では敵に偽装する能力が加わった事から、同等レベル帯のモンスターはチンタラ系に置き換えられている等、オリジナルとモンスター配置が変わっているものもある。
    • 中でも「ヒーポフ」系の敵はかわいい見た目と特技を失敗する愛らしさから、『3』~『5』に続けて登場、今や常連になっている。
    • SFC版では没モンスターだったパルテノス系が正式に実装されて登場している。
      • パルテノスはファンサイトでも話題になっていた没モンスターだったため、実装に関しては驚きの声が多かった。
  • ンドゥバ系はSFC版だと拾おうとすると正体を現していたが、本作では使用しようとしたりフロアを下りるまで正体を現さなくなっている。
  • オヤジ戦車系の砲弾の爆風で、床に落ちているアイテムが消えるようになってしまった。
  • SFC版ではボスキャラクターは魔蝕虫のみだったが、DS版では新たなボスが追加された。
  • 新しい特殊モンスターハウスとして、ドラゴンハウスとスカイハウスが追加された。
  • 序盤の特殊モンスターハウスにはレベル1モンスターしか出なくなった。
    • これにより、パワーハウスのデブートンに為す術もなくやられるといったことは少なくなった。
    • とは言ってもドラゴンやギャザーのようにLv1でも強いモンスターはいるので、結局やられてしまうことも多いが。
  • モンスターの弱点属性に「浮遊系」と「爆弾系」が追加され、それに対応する武器「斬空剣」と「三日月刀」も追加された。
    • 特に該当敵が多い斬空剣が追加されたのは嬉しい点。悪名高いカラカラペンペン種の数少ない弱点である。
    • SFC版では弱点属性が2種類あるモンスターは吸引幼虫種のみだったが、本作では2種の弱点を持つモンスターが増えた。
      • 死の使い種は幽霊系と浮遊系を併せ持つ、ドラゴン種はドラゴン系と浮遊系を併せ持つなど。
      • ドラゴン種に浮遊系が付いているのはシリーズ中でも本作のみ。ドラゴンキラーと斬空剣を両方合成した武器ならば大ダメージを与えられる。
  • ガイコツまどう種が幽霊系になり、おばけ大根種が無属性になるなど、一部モンスターの属性がSFC版と変化している。
    • SFC版ではガイコツまどう種が幽霊系ではないことに疑問の声が多かったため、妥当な変更と言える。

その他

  • こばみ谷関係
    • モンスターのステータスや出現フロアの調整。
      • SFC版で強敵だった火炎入道は攻撃力が下がった。逆に、キグニ族やデブーチョなど強化されたモンスターもいる。
      • 山間渓流におばけ大根が出ない、天馬峠にハブーンが出ない、ミノタウロスはテーブルマウンテン後半から出る、といったように出現フロアが調整。
    • 奇岩谷(14F後)以前であれば階段で前のフロアに戻れるようになり、初心者でも攻略しやすくなった。
      • 戻ったフロアにはアイテムが落ちていないが、レベル上げをしたり、街の店まで戻ればアイテムを補充できる。
      • 本作は帰還アイテムが存在しないが、こばみ谷15Fまでなら「戻る」コマンドを使えば渓谷の宿場に帰ることができる。
    • 町に辿り着く度に、シレンの所持品が全て識別されるようになった。
    • 新規ダンジョン追加に伴い、SFCでは車屋で行けなかったところもショートカットが可能になった。
    • 新規ダンジョン開放イベント以外にも、幾つか街でのイベントが追加された。
      • 専用グラフィックがありながら何のイベントもなかった鍛冶屋の娘のイベント、繁盛した後のがけっぷちで料理が食べられる、等。
    • 二面地蔵の谷でイベント「バンジージャンプ」が追加された。
      • 成功すると経験値2000を得られるが、失敗すると冒険失敗になり所持品を全て失う。挑戦するかは任意で選べる。
    • エンディング後、地下水脈の村の住人のセリフが変化するようになった(SFC版ではセリフが変わらなかった)。
    • 落とし穴に落ちても旅仲間がついてくるようになった。
    • タイムアタックモードが挑戦できるようになった。
      • 倉庫から持ち込めるアイテムが1つだけ*3、クリア時に10000G持っていないとペナルティとしてタイムが10分追加される*4、といったルールがある。また、このモードではラスボスと再戦できる。
  • 掛軸裏の洞窟関係
    • 「ワナ師の腕輪」装備時のシステムがオリジナル版から大幅に変更された。
      • 罠を拾って別の場所に設置し直したり、拾った罠を敵に投げる事で作動できるようになった。『外伝』に近い仕様。
      • 罠に掛けた上で敵を倒さないと、どんな敵を倒しても経験値が1しか手に入らなくなった。
        その一方で複数の罠を連続して踏ませる(罠を連鎖させる)と、連鎖数に応じた倍率の経験値を得られるようになった。『シレン2』に近い仕様。
    • 目的の人物に話しかけた際、引き続きダンジョンを潜るか、ダンジョンから脱出するか、任意で選べるようになった。(食神のほこらも同様)
    • こばみ谷の町に辿り着くと、シレンが所持している罠は全て「こわれたワナ」になってしまい使えなくなる。
      • 渓谷の宿場のフェイに話しかけると、こわれたワナを別のアイテムと交換してくれる。20個のこわれたワナがあれば、白紙の巻物や復活の草と交換してもらえることも。
  • フェイの問題関係
    • 大半の問題はSFC版そのままだが、一部の問題(前述した白紙の巻物が出る問題など)は仕様変更により差し替えられている。
    • 好きな順番で問題を解けるようになった。どの問題を解いたかも判別できるようになっている。
    • 上画面にヒントが表示されるようになった。
    • フェイの最終問題出現後も、フェイの問題に挑戦が可能になった。
  • フェイの最終問題関係
    • 掛軸裏の洞窟と食神のほこらをクリアしなくても、各1回ずつ挑戦すればフェイ最終問題に挑めるようになった。
    • モンスターのバリエーションが増えたため、モンスター分布が大幅に変更された。
      • 60F以降からアークドラゴンとイッテツ戦車ばかり出現し続けるということはなくなった。
      • ねむり大根、妖怪にぎり親方、吸引虫などSFC版では自然出現しなかったモンスターが分布に追加。
      • それでいて46Fからスカイドラゴンやグレートチキンが出現するなど、SFC版をある程度踏襲している部分もある。
    • 分裂の壺はなくなったが強化の壺は健在なので、SFC版のように武具を鍛えまくってのクリアも可能。
  • 新規ダンジョン(宿場への道・魔蝕虫の道・死者の谷底・儀式の洞窟)が追加された。
+ ダンジョン詳細
  • 宿場への道
    • 最初に挑むことになるチュートリアルダンジョン。全5Fで、一度クリアすると二度と挑戦できなくなる。
    • SFC版ではトルネコの「ちょっと不思議のダンジョン」のような明確なチュートリアルが存在せず、最初から難しいこばみ谷に挑まなければならないため初心者には厳しかった。しかし、本作ではこのダンジョンで簡単な操作や基礎知識を確認できる。
  • 儀式の洞窟
    • こばみ谷クリア後、奇岩谷から入れるダンジョン。アイテム持ち込みは無制限に可能で、レベルも引き継げる(魔蝕虫の道、死者の谷底も同様)。
    • 特殊ルールはないが、10~12F以外の全階層にキグニ族と火炎入道が出現するのが特徴。
    • 10~12Fはこばみ谷の瀑布湿原をアレンジしたようなシャッフルダンジョンになっている。
    • 全30Fで、このダンジョンの深層のギタン部屋にしか出現しないレア装備がある。
  • 魔蝕虫の道
    • こばみ谷クリア後、黄金都市のコンドルの壁画から入れる。『シレン4』のプラチナパラダイスに近い、本編の延長ダンジョン。
    • 一度クリアするまでは、10フロアごとに大部屋モンスターハウスが出現する。特にスカイドラゴンやガイコツまてんがいると危険。
    • 全99Fで、最深層には魔蝕虫の亜種と思われるボスが出現する。魔蝕虫と同様に状態異常に対する耐性を持っていないので、アイテムを使えば倒すのは難しくない。
  • 死者の谷底
    • こばみ谷クリア後、二面地蔵の谷から分岐するダンジョン。『トルネコ2』の試練の館に近い立ち位置。
    • 最初から敵が強い上に落ちているアイテムもギタンばかりで、追加ダンジョンの中では最も難易度が高い。
    • 必中の剣・ゲイズの盾・プリズムの盾はこのダンジョンの深層でしか手に入らない。手に入れてもンドゥバ系が化けた偽物の可能性がある嫌がらせ付き。
    • アビスドラゴン、ヘンクツ戦車、ウルトラゲイズ、フォールギャザーなど、このダンジョンの深層にしか自然出現しない最強クラスのモンスターもいる。
    • 全50Fだが、50F以降はループして無限に続くエンドレスダンジョン。
    • 目的は26F以降に出るペケジを助け出すこと。ペケジ救出後は転送の方印が出現し、乗ることで帰還できるが、これに関連したバグがある。
  • 『GB2』で好評を得た救助システムの搭載。Wi-Fi通信でパスワードを使わずに他のプレイヤーからの救援を呼べる。
    • 泥棒中やボス戦で倒れた時以外はどのダンジョンでも利用でき、初心者救済システムとして機能している。
  • 「階段のワナ」が初登場したのも本作。見た目は階段だが、乗ると別のワナに変化して作動する。死者の谷底などに頻出する厄介なワナ。
    • 一時しのぎの杖を振ったモンスターは本物の階段に飛ぶので見分けが付くし、ワナ師の腕輪を装備することでも判別可能。
    • ダッシュを利用すれば本物と見分けが付くという仕様も本作からあった。階段の横を目掛けてダッシュ移動し、階段の斜めの位置でダッシュが止まった場合は本物、上下左右の位置で止まった場合は偽物と分かる。
  • 最大HP上限が伸びた。最大値は999だと思われる。

賛否両論点

  • トルネコの大冒険3』と同様に、呪われた武器・防具・腕輪は印などの特殊効果が発動しなくなった。
    • 合成して強化した装備や「透視の腕輪」も呪われると一気に無力化するため、呪いのワナやノロージョ系がかなり危険になった。
    • 「たれ流しの腕輪」や「痛恨の腕輪」はSFC版では「未識別の腕輪を装備したら呪われていて、これらの腕輪だったら危険」というリスクを増やすために存在するマイナスアイテムだった。しかし本作では呪われていた場合は効果が発揮されないため、そのマイナス効果が意味を成さない。
    • 一方で、「使い捨ての盾」をわざと呪わせることでマイナス効果をなくすというテクニックも生まれた。
      • SFC版では使い捨ての盾は呪われていると非常に困る盾だったのに、本作では真逆の立場になっている。
    • なお、この仕様は次回作の『シレン3』にも引き継がれている。
  • 「掛軸裏の洞窟」と「食神のほこら」はSFC版と同様にアイテム持ち込み不可だが、レベルを上げた状態で挑戦できるようになっている他、旅仲間の同行も可能。
    • 時間はかかるものの、理論上はレベル99まで上げてから入る事も可能。
      • 掛軸裏の洞窟は内部でも簡単にレベルアップできるテクニックがあるが、食神のほこらでは大きなアドバンテージになる。
    • 救済措置の一つとも見て取れるが、制限ダンジョンとして中途半端ではないかという意見がある。
    • 風来人番付(スコアランキング)も、レベル1で挑戦した記録とレベルを上げて挑戦した記録で共通。
    • レベルを上げたまま入れる事について言及するNPCはいないため、SFC版経験者は気づきにくい。
  • また、「こばみ谷でモンスターをジェノサイドして持込不可ダンジョンに入るとモンスターがジェノサイドされたまま」という裏技がある。しかもこの技はフェイの最終問題でも使用可能。
    • ジェノサイドの巻物・白紙の巻物・各モンスターの肉などを用意する必要があり、難易度にそこまで多大な影響を及ぼすわけではないが、道具持込不可ダンジョンへの持込要素となってしまっている。

問題点

バランス関連

  • SFC版と比べて、プレイヤー側が一方的に不利になる調整が多い。
    • 軽度な例は、呪い関連の「より厄介になる仕様に強化+祝福不採用」。祝福は、『GB2』の攻略本で「強化した呪いに対してのバランスを取るため(意訳)」*5と表現されており、実際バランスが取れていた要素だったため、これには不満の声が見られる。
      • おはらいの巻物も『GB2』では「手持ちのアイテム全解除(例によって壺の中身は除く)」だったが、今回は前述したとおり基本的に単体解除しかできない。
    • 目立つ例は、新規モンスターの「カラカラペンペン」系。手持ちのアイテムを帯電させて使用不能にしてくるのだが、それを防ぐ手段がない
      • 同じく手持ちのアイテムを強制的に雑草に変え、かつ防ぐ手段の存在しない「物荒らし」というモンスターもSFC版から存在はしていた。しかしこちらはLv3モンスターであり、フェイの最終問題の深層でしか自然発生しなかったのに対し、カラカラペンペン系はこばみ谷を含むあらゆるダンジョンに幅広く分布するため、遭遇頻度が段違いである。また、物荒らしは体力がかなり低く、遠距離からの矢1本で簡単に倒せる。しかし、カラカラペンペン系は普通の敵並みの体力があり、1撃で倒せないことがしばしばある。浮遊系なので武器「斬空剣」が特効なのが唯一の救い。
      • 帯電したアイテムは使うことも捨てることも出来ない上に、次のフロアに入ると強制消滅する。実質、「アイテムロスト+枠1つ圧迫」という二重に迷惑なデメリット効果。雑草には「食べて満腹度を5%回復させる」という最低限の使い道があるのに比べ、帯電したアイテムにはメリットへ転化できる要素が一切無い
      • 下位レベルならアイテムを壺に入れれば回避出来るのでまだいいが、最上位レベルはむしろ壺を狙って帯電させてくる。通路で遭遇したら悪夢の一言。
      • せっかく「電気」という±共に様々な使い道が想像できる能力を持つモンスターを出しておきながら、何一つ攻略上役に立たない上に「帯電からの消滅」といういまいち納得のいかない謎原理。肉を食べても特技は空を飛ぶだけ*6。こんなものを完全新規要素として、鳴り物入りで追加したセンスの悪さには、多くの古参プレイヤーが閉口、蛇足と感じ、開発への不信感を募らせた。
    • その他の変更点に関しても、元々SFC版シレンは自由すぎるほど自由なシステムやゲームバランスが好評を得ていたため、「ゲームバランスが見直された」というよりも「遊びの幅が狭くなった」という批判を受けることになった。
  • 装備品の強化限界の設定バランス。特殊能力がある武器・盾のほとんどは、強化上限が+8しかないというあんまりな仕様。
    • 「元の攻撃(防御)力が高い装備ほど限界値も高い。ただし特殊な能力を持つ装備の限界値は一律で+8」*7という、装備の強弱格差を助長する仕様で、+99まで鍛えられるのは最強クラスのレア装備(火迅風魔刀・秘剣カブラステギ・ラセン風魔の3つ)のみ。ただでさえ印専用的存在だった特殊効果持ちの武器は使いにくさが増した。
    • 同じく強化限界が存在する『GB2』では、様々な装備の組み合わせにより特殊な効果が発生する「共鳴システム」や、「強化限界が高い武器は合成できる能力の数が少ない(またはその逆)」という仕様があったために下位の装備でも使い道はあったが、今作ではそのどちらもない。上位の武器を手に入れたら、下位の武器は強化値を合成するくらいしか使い道がなくなってしまう。
  • ゲイズ系の特殊能力「睨んでシレンの行動をランダムに決定し、運が悪いと貴重なアイテムを無駄遣いさせる」の使用率が上昇している。一部では「ずっと俺のターン!」とも呼ばれている。
    • 『シレン5』発売当時のチュンソフトの公式ツイッターは「確率的には初代シレンのゲイズの方が荒れ狂ってる」と主張していたが、それについての出任せ説も根強い。解析では初代50%、本作68%とされている。
    • しかも、「ゲイズの特殊能力により壺にアイテムを入れるとフリーズ」というバグが発生する可能性がある。
    • 催眠術を跳ね返す「やまびこの盾」の消失、代わりの催眠術を防ぐ「ゲイズの盾」が一部ダンジョンの深層でしか手に入らないのもゲイズの凶悪化に拍車をかけている。
  • 同じ部屋にいるだけで、寝ている敵が高確率で目を覚ますようになった。
    • 今までの作品では、寝ている敵が目を覚ます可能性があるタイミングは「隣接した時」「シレンが部屋に入った時」「シレンが部屋から出た時」だけだったので、運が良ければ寝ている敵を起こさずに部屋を素通りする事が可能だった。
    • しかし、本作では敵に隣接しなくても寝ている敵が高確率で目を覚ますので、敵を起こさずに素通りすることがほぼ不可能になってしまった。駆け引きの要素が一つ減ってしまったと言える。

新モンスターのネーミング

  • シレンシリーズのモンスターはレベルごとに名前遊びをしているコミカルさが特徴的だが、本作で追加されたLV4モンスターのネーミングが、単純で手抜き、これまでの法則を無視しているような印象を受ける。開発スタッフのボキャブラリー不足を露呈しているとも見て取れる。
    • 例えば、「シューベル」というベルを持った音楽家のようなモンスターは「シューベル」「メンベルス」「ベルトーベン」と、「音楽家の名前に『ベル』という文字を組み込む」という法則があったのだが、新しく加わったレベル4は「ショーパン」と法則をガン無視している。
      • 一応、「ベル→鐘→ショー(音読み)」や「ショーカン(召喚)」とかけたダブルミーニングだと思われるが、「モーツベルト」「ドベルザーク」など法則を無視しない名称はいくらでもあっただろうに。
    • 他にも「パコレプキン」「パコレプキーナ」「パコレプキング」に対し、「キ」と合わさっていない「パコレプゴッド」、
      「まわるポリゴン」「おどるポリゴン」「うたうポリゴン」に対し、動詞でなく名詞な「らんぶポリゴン」、
      「ドレムラス」「マッドレムラス」「ハードレムラス」に対し、○○ドレムラスから外れた「ヘビーレムラス」など。
      • 「パコレプキッド」「さけぶポリゴン」「ゴッドレムラス」など、レベル3までの法則を無視しない名称にした方が良かっただろう。
    • 「豆山賊」「山賊」「山賊親分」に対し「山賊大親分」、「畠荒らし」「壺荒らし」「物荒らし」に対し「大物荒らし」など、小学生でも思いつくような手抜きネーミングも目立つ。「山賊首領」や「宝荒らし」では駄目だったのだろうか。
    • 「吸引幼虫」「吸引虫」「吸引成虫」に対し「吸引老虫」、「ナイフゲータ」「サーベルゲータ」「ブレイドゲータ」に対して「ソードゲータ」など、統一性は取れているがレベル3のモンスターより弱そうな名前も多い。
      • 無理にレベル4として追加せずに、「妖怪にぎり見習い」や「ふんかウニ」のように下位種として追加した方が良かったのではないか?という意見もある。
    • 『外伝』のまわるポリゴン系には「わらうポリゴン」という下位種がいたのに前述のらんぶポリゴンが追加され、『GB』にはヤミウッチー系に「ダマシウッチー」がいたのにカゲウッチーが追加されている。あくまで外伝作ということで無視したのか、それとも自分達が新しく考えた名称の方が秀逸と判断したのだろうか。
      • エーテルデビル系の追加された上位種に関しては「ファントムデビル」「ミラージュデビル」「アストラルデビル」と『外伝』にいたモンスターと同じ名称だが、本作では3倍速能力や壁抜け能力を持っていないため名前負け感が咎めない。
    • 「小僧天狗」「カラス天狗」「天狗師匠」に対し「天狗開祖」、「ハブーン」「マムーン」「ニシキーン」に対し「アナコーン」、「死の使い」「地獄の使者」「死神」に対し「冥王」など、悪くないネーミングのモンスターもいる。全てのLv4モンスターがこれらと同じくらいのネーミングなら良かったのだが。

その他

  • 新規ダンジョンは全て持込可能、レベル継続の物のみで、『外伝』で言う「裏白蛇」のような持込なしダンジョンの追加を期待していたユーザーからは不満の声が出た。
    • 追加ダンジョン自体に問題があるわけではない。元々本作は「一本の大きな持込可能ダンジョンの道中に別ダンジョンへの入口があり、そこから分岐する」という仕様であるため、上述のような制限の多い追加ダンジョンは用意しにくかったのだろう。
      • さらに初代はクリア後ダンジョンが全て持込不可、レベル1からのダンジョンしかなかったためせっかく鍛えた装備品を使う機会がまったくなかった。その意味ではバランスをとったとも言える。
    • あくまで初代のリメイクである本作は「持ちかえりの巻物」にあたるアイテムが存在せず、追加ダンジョンで手に入れたアイテムはクリアするか倉庫の壺を使わない限り持ち帰れない。そのハードルの高さは、エンディングクリア程度の腕前の持ち主ではまだまだ厳しい。
    • 上記のような仕様の変更や「分裂の壺」や「やまびこの盾」がなくなったこともあり、元からあった持ち込み不可の最難関ダンジョン「フェイの最終問題」は決して簡単にクリアできるような難易度ではない事を追記しておく。
  • フェイの最終問題クリアで「ボーグマムル」というキャラが旅仲間になるが、あまり強くない。
    • 要求するアイテムを与えないとレベルアップしない。さらに、レベルが上がってくるにつれて「[地]印のついた呪われているトドの盾」とか面倒なものを要求してきたり、最終的には最強装備すら要求してくる。
    • レベルが低いとすぐに死ぬし、育てても特技がないので戦闘は肉弾戦オンリー。本作の旅仲間は「最初は弱いがレベルアップすると強くなるペケジ」「あまりアテにはならないが指圧をしてくれるケチ」「目つぶし攻撃ができるお竜」と役に立つ特殊能力所持者自体が少ないのだが、追加キャラクターとしてはどうか。しかもコンセプトがペケジとかぶっている。
    • また、レベル最大まで育てても特にこれといった要素が出るわけでもないため、オマケ要素にしてはやや物足りない。
      • レベル99まで育てても大して強くはならず、瀑布湿原のギャザーにタイマンで負ける程度の実力である。

バグ

  • 妙にいろんなバグがある。下記は一例。
    • 長時間中断なしでプレイし続けるとフリーズする可能性が高まる。
      • 「ゲームは1日1時間」ではないが、2時間ほど連続プレイしたら中断セーブすることが攻略Wikiなどでは推奨されている。
    • すでに記したが、ゲイズに操られて未識別の壺にアイテムを入れるとフリーズする可能性がある。
    • 死者の谷底では26階以降、「転送の方印」なる踏むと帰還できるオブジェクトがあるが、このオブジェクトが階段と重なってしまうバグがある。
      • 転送の方印と階段が重なると階段が使えなくなってしまうため、次のフロアに進む方法がなくなり、帰還するしかなくなる。
      • 対策は底抜けの壺を持ちこむことのみ。底抜けの壺は割ると落とし穴が発生するアイテム。死者の谷底は自然に落とし穴が出現せず、普通の落とし穴を持ち込もうとしても「こわれたワナ」になってしまう。
    • 一部ダンジョンにある「通路がなく、バネの罠で移動する」「隠された通路を探して歩く」などの構造が、仕掛けが存在していない場合があり、詰むことがある。
    • 「冒険の足跡」の「1回の攻撃で与えた最大ダメージ」の記録が正常に表示されないことがある。
      • 1024以上のダメージを与えた後にDSの電源を入れなおすと、冒険の足跡の最大ダメージが1024未満になってしまう (厳密には1024で割った余り)。
      • 恐らく、最大ダメージはデータ上は16ビット(ないしは32ビット)で扱われているにもかかわらず、セーブ領域では10ビット分しか用意されていないためと思われる。
    • 風来人番付の記録を消すと、既存の番付がバグっておかしな文字列が表示されてしまうことがある。
    • 草・種の中で胃拡張の種と胃縮小の種のみ、飲んでも満腹度が5%回復しない。これにより、胃縮小の種を飲むメリットは完全に無くなった。
    • ガンコ戦車の肉の説明文で「食べるとオヤジ戦車に変身できる」と、明らかに誤記が書かれている。

Wi-Fi関連

  • 公式サーバー上でスコアアタック(自分の風来人番付の記録を投稿できる)を実施していたが、発売直後にチートを用いたあり得ないスコアの記録が大量に投稿されて、ランキング上位が不正な記録で占領されてしまった。
    • どれだけありえないかというと、通常では作ることが困難な理論上最強装備でスコアがカウンターストップするほど。
    • Wi-Fiなどの通信サービスの利用における、ユーザーモラルの問題の一端が浮き彫りになった例と言えよう。
  • 一応チートプレイヤーのランキングが削除されることもあったが頻度が少なく、実質放置と同じようなものであった。
    • 無論盛り上がることもなく、荒らし行為は結局修正もされなかった。
  • 引き続き搭載された救助システムも、助けられっぱなしでお礼をしない、報酬にレアアイテムを催促するなど、モラルの欠けるユーザーが少なくなかった。

総評

追加要素やバランス調整、フリーズの存在と、リメイクにあたって(良くも悪くも)変更点が多く賛否が分かれている。
難易度の上昇自体はバランス調整におけるひとつの方向性ではあるものの、プレイヤー有利に導けるような工夫の余地の無い調整は、その遊びの幅の狭さが問題視されている。


余談

  • 2019年3月12日に本作がiOS/Androidスマートフォン向けに移植された。(公式サイト)
    • 意地悪なバランスが修正されているのを期待して、「カラカラペンペンがいなければ買う」などという声が発売前から多数挙がっていた。
      • しかし残念ながら、上記の問題点をほとんど改善していないベタ移植だった。
    • タッチパネル式で最も注意を払わねばならないUIに「反応」から「並び」まで様々な不満が上がっていたが、アップデートで多少は改善された。
  • DSで発売されたシレンシリーズの中では、唯一のCERO:Aになっている。泥棒システムがあるのにいいのだろうか。
    • そのためか、本作では会話シーンの一部の漢字にふりがなが振られている。
    • 同じく泥棒ができる『ポケモン不思議のダンジョン』シリーズもCERO:Aなので、泥棒は関係ないのかもしれないが。
  • 本作の開発には『トルネコの大冒険3』に関わったスタッフが多く参加しており、実際に呪い関連のシステムなどがトルネコ3に近い仕様になっている。
    • お金を拾った時の効果音、つるはしを振った時の効果音はトルネコ3の使い回しになっている。
    • しかし、本作はトルネコ3のようにマニアック的人気を得ることはできなかった。
  • 「やまびこ」と名の付く装備品は、リメイク版で削除されるジンクスでもあるのだろうか?
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最終更新:2024年02月07日 19:39
添付ファイル

*1 パッケージ裏に記載

*2 イッテツ戦車と入れ替わりでレベル3になった

*3 中身が入った壺でもいいので、実質5個まで持ち込める

*4 ただし、倉庫内で10000G稼いでも不正にならない。具体的には、ギタンマムルが落とす2000Gを倉庫に5個保管しておく

*5 公式パーフェクトガイドブック202P辺りから

*6 例えば、装備品を弾くセルアーマー系は、肉として使えば装備品集めに利用できるなど、特技持ちのモンスターの肉は何かしらの固有能力を持つのが特徴であった。「空を飛ぶ」事ができる肉はいくらでもある

*7 何故か皮甲の盾のみ例外で+15