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星をみるひと - (2022/10/03 (月) 19:22:38) の編集履歴(バックアップ)


星をみるひと

【ほしをみるひと】

ジャンル RPG
対応機種 ファミリーコンピュータ
Nintendo Switch
メディア FC 1Mbit+64kRAMROMカートリッジ
Switch ダウンロード専売
発売元 ホット・ビィ
開発元 ホット・ビィ
アナザー
発売日 FC 1987年10月27日
Switch 2020年7月30日
定価 FC 5,300円(税抜)
Switch 990円(税込)
判定 クソゲー
ゲームバランスが不安定
ポイント 通常クリアすらやり込みの領域
全体的に不条理なバランス
常識を逸した移動速度の遅さ
ひっと力下1ケタの消失
戦闘はほぼ運ゲー
場合によってはゲーム進行不能
世界観やBGMは意外と好評


概要

コンピューターに管理された未来を舞台に、管理コンピューターに反抗するサイキッカーたちの戦いを描くSFRPG。
当時には珍しかったSFの世界観、印象的なBGMなどの要素を搭載していたものの、理不尽に過ぎるゲーム内容で多くのユーザーを落胆させ、『週刊ファミ通』に存在した、各種ゲームの凄腕プレイを募集・評価する企画で不定期掲載されていた「やりこみ大賞」にて、本作の通常クリアが「やりこみ」として表彰されるという珍事で伝説となった作品である。


ストーリー

未来のとある場所に存在する巨大都市アークシティでは管理コンピュータ「クルーIII」が人々の心さえも管理していた。
有害な心が芽生えた住民にはマインドコントロールによる矯正が施され、人々は「クルーIII」に関する記憶すらも消去されている。
しかし極一部の人々、「サイキック」(超能力者)にはマインドコントロールが効かないことが判明した。
「クルーIII」は、ロボット、遺伝子操作によって作った超能力者のデスサイキック軍団やモンスター、
アークシティの軍隊「ガードフォース」などを使い、サイキック狩りを行なって各地の超能力者たちをアークシティに連行していった。

「みなみ」という少年は、自分が誰なのかそこがどこなのか記憶がないまま、様々なものから狙われていた。
なぜなら彼は超能力者であったのだから……。


問題点

最初から不親切

  • 何も無いフィールド画面に、主人公がポツンと1人たっているところから始まる。
    • タイトル画面の美しい宇宙のイメージとは一変して森と平地のRPGにはありふれた風景である。オープニングもプロローグすらないため、何をすればいいか全くわからない。
  • 上記のストーリーや主人公を取り巻く状況や世界の現状は、説明書にしか書かれておらず、ゲーム中では明確なストーリーはエンディングまで語られることはない。
    明らかにされていく要素は説明書での解説があってこそなので、説明書なしだとストーリーが全く理解できず、基本的な設定がようやく説明されたという印象に留まってしまう。
    • とはいえ、当時のファミコンゲームには、ストーリーや世界観、主人公の状況の説明を説明書に任せてゲーム中で明確に描写していないというゲームは少なからず存在した。
      また上述のストーリー解説からもわかるように主人公が記憶喪失の状態でゲームが開始されるため、主人公の状況とプレイヤーをリンクさせようという意図的なものともとれる。
    • 問題なのは、そうした状況という前提に立たせた上でこれから何をどうすればいいのかが全くわからないという、不親切な点である。
      • 初代ドラゴンクエストにおける『ゲーム開始直後に強制的に王様から旅の目的を聞かされる』という仕様のように、せめて道しるべになるような要素が含まれていればまだよかったのだが。

始めて5分で分かる凶悪な難易度

  • 実は、主人公のスタート地点から左に一歩進んだところに最初の村が存在する
    • そこに辿り着けば様々な情報が手に入り、冒険の準備もできるのだが、この村は「超能力で隠れている」という設定でフィールド上には表示されない
      最初からそれはないだろう…。
    • この設定も説明書に書いてあるが、説明書を読まずに「ノーヒントの隠れ里を探す」のが正解と気づける人はリアル超能力者だけなので、冒頭でプレイヤーにできることは、あてもなく移動することしかない。
      運良く左方向のキーを押せば必ず村に入れるが、それ以外の方向のキーを押すともう村を見つけるのは至難の業。
    • 最初の村にはこのゲーム唯一の宿屋として機能する「癒しの力を持つ町人」がいる為、これに気づけなかった場合は修行やお金を貯める事すらもままならない。
  • とりあえず移動をはじめると、主人公の歩くスピードがやたらと遅い
    • その速度は1秒に約2歩ペース*1と、ドラクエなど一般的なRPGの約半分のスピードしかない。
    • なお主人公が街中で足を止めると、その間に村人などのNPCが何故かものすごい速さで移動する。プログラムのバグなのかどうかは知らないが、これだけ速く動かせるなら主人公の移動速度もなんとかしろと言いたくなる。
  • このゲームはランダムエンカウント式のRPGであり、フィールドを移動していると戦闘に突入する…のだが、なんとこのゲーム、最初のフィールドでもLv0*2ではどうしようもない強敵が出ることが多々ある
    • 原因は、ゲーム全体でエンカウントテーブルがわずか3パターンしか存在しない*3というデタラメなモンスター出現設定にあり、「序盤レベルの敵」といってもかなり幅が広い。
    • ドラクエ3で例えるなら、アリアハン出発からイシス到着までの地域全域で、「アリアハン~イシスの敵全てが出現する可能性がある」という闇鍋状態。つまり最初の一歩でいきなりあばれザルやかえんムカデ級の敵が出る事もある。
      • その中でも序盤の敵のクセにゲーム中最強のESP(呪文)「さいこふぁいなる」を扱う「ふっかつしゃ」は特に凶悪で、冒頭に遭遇すれば死亡確定。ドラクエ3の感覚で言えば、アリアハン周辺でミニデーモンがメラミ*4をぶっぱなすような光景である。
  • そして下記するように、戦闘システムがあまりに酷いことと相まって「最初の村に辿り着く前に死ぬだけのゲーム」という伝説が生まれたのである。

アンバランスすぎる戦闘システム

村に辿り着く前に即死というなら、運良く隠れ里に着けたプレイヤーはそこからまともにプレイできるのだろうか?

残念ながら答えはNOである。
装備を整えたとしてもある程度のレベルに達するまでは戦闘が凶悪な難易度を誇り、このゲームで最も有名な問題点となっている。

  1. 通常攻撃の威力は「素手の場合は敵の強弱に関係なく0~3のダメージ」「武器を持っていた場合は味方の攻撃力-相手の防御力 (0以下ならノーダメージ)」と設定されているため、攻撃力の弱い武器を装備してしまうと通常攻撃でダメージを与えることができなくなる
    一般的なRPGならばダメージの揺らぎや、クリティカルヒットといったギャンブル要素があるが、本作ではそういった要素は一切ない為、武器を装備して攻撃力が足りなかった場合は通常攻撃では絶対に倒せない
    つまり、素手ならば無駄に高いHPを生かせば、いずれは倒せる可能性があるのだが、全員が武器を装備してしまい、誰一人ダメージが通らない状態でさいこ力(MP)が枯渇すると詰み
    特に後半の敵には、最強武器の「じゃいろSP」か「素手」以外では通常攻撃が通じないため、攻撃手段としてはESP(呪文)がメインとなる。
    • 「じゃいろSP」は、本来はゲーム中で2番目に強力な武器。
      最強武器の「ぷらずまほう」は、熟練度が一定の値以上になると「じゃいろSP」より強くなるはずなのだが、何かの手違いなのか、システム上その一定の値以上になることは絶対に無い。*5
    • なお、このゲームの通常攻撃の攻撃力の基礎になるパラメータの名称は、武器の扱いのうまさを表す「じゅくれんど」
    • 装備の変更は新しい武器を購入したときのみ自動で行われ、手動で変更することができないことも留意しておきたい。
      最序盤でいくらか手に入れたわずかなお金で「まずは」と言って弱い武器を買おうものなら、一部の敵にダメージが入りづらくなり、その後が非常に厳しくなる。この弱い武器を外すには他の武器を買わなければならないので戦って金を稼ぐ訳だが、先述の通り、通常攻撃で与えるダメージが固定されてしまう為、場合によってはESPを使わなければ嬲り殺しの憂き目にあう。
    • こんな仕様なのにレベル0ではESPが一切使えない脳筋なので、敵が二匹以上出たら死亡、「ふっかつしゃ」が出たら死亡と死ぬ要素が多すぎる。レベル0のうちは最弱の「じゃんく」か「ふらっか」が単体で出る事を祈るしかない。
    • 最弱の武器「れいがん」は1段階目の敵の最弱クラス「じゃんく」「ふらっか」ならば確実に、中級クラスの敵でも数発で倒せる威力があるが、強めの「ちぇいさ」「くらっしゃ」「ふっかつしゃ」には1ダメージしか入らなくなる。これらの敵のHPは8~12もある上に複数で出る事もあるので、「れいがん」を買った直後に出会ってしまうとほぼ死亡確定買っていなくとも死亡率はさほど変わらないが
      • 1ダメージさえ入れば問題ないのでは?という考えもやはりNOである。敵はHPが残り少なくなると高確率で逃げやがるか「はいぱーでHPを回復する」ので、殺されなくとも無駄にHPを減らされるだけになるケースが非常に多い。
      • 一応、「れいがん」を買えるだけのお金が溜まればレベルが1か2になり、最初のESP攻撃である「さいこぼーる」を使えるようになる為、ある程度ダメージを与えたら全さいこ力かける事で勝機が見えてくることもある。
      • 悪夢の序盤をくぐりぬけたとしても、敵の強さが2段階目になると、序盤最強の武器の「らぐらんじゃ」を買っていたとしても「じゅくれんど」が足りないと全くダメージが入らなくなる。そういう意味では武器を購入した場合に本当に恐ろしいのは中盤以降かもしれない。
    • ちなみにパスワードを毎回書き留めてセーブ&ロードによってこれを突破する事はできない。セーブ&ロードすること自体はできるが、後述のパスワードの仕様によりお金が255G単位でしか保存されないため、セーブ&ロードするたびに所持金が0に戻ってしまい、意味が無くなってしまう。
      • それどころかわずかながら経験値まで減ってしまう事があるので労力を無駄にするだけになりがち。
  2. 「逃げる」というコマンドが存在しないため、どんなに強い敵が現れても逃げられない
    • 敵は平気で逃げるくせにこちらは敗北確定のバトルでも逃げる事は出来ない。
    • 一応、「てれぽーと」というESPを使えば逃げられるのだが、最初は使えないし、一定確率で失敗することもある(失敗した場合は、戦闘開始した地点ではなく、戦闘に入った場所に応じて特定の地点に飛ばされる)。
      • しかもこの「てれぽーと」はパーティ全員を逃がすものではなく「パーティのうち一人を戦闘から離脱させる」という効果なので、戦闘をやめたい場合は一人ずつ離脱させていかないといけない。「にげる」にMPが必要な上に、ケチると失敗して変な所に飛ばされてしまうという物。燃費もよくないので多用は出来ない。
      • 本気で逃げたい場合はわざとテレポートに失敗するほうが良い。変な場所に飛ばされてしまうが、全員が脱出できるので全滅する(はまる)よりはましである。
      • 行動不能状態(後述)になった味方だけを離脱させて残りで戦うという使い方も可能なのだが、普通に逃げるコマンドがなぜ無いのか…。
  3. コマンドのキャンセルができないため、一度の入力ミスが致命傷になることがある。
    • しかもESPを使おうとしてさいこ力(MP)が足りなかった場合、「さいこ力がたりません」と表示された上でターンがすっとばされる
    • このゲームでは戦闘コマンドの一番上が「ESP」なので、誤爆する事が非常に多い。先述の通りキャンセルも出来ないのでESPが尽きるとただのサンドバッグと化す。「たたかう」コマンドは2番目なのでいちいち選び直さなければならない。
    • 戦闘画面上にさいこ力が表示されないので選んだあとに足りなくなることはよくある。戦闘中に確認するには「ちから」コマンドで事細かにステータスを確認する必要があり、テンポが悪い。
  4. 自分のひっと力(HP)の下1ケタが表示されない。例えばHPが「50」のときは「5」と表示される。
    • この為、はじめての戦闘で16ダメージといった表示を見ると面食らう事になる。(実際には1しか減らないが結構な確率でそのまま負ける)
  5. 必ず先制攻撃ができて攻撃の順番も選択できるため、「すばやさ」のパラメーターの意味がない。
  6. 「攻撃をかわす」「はずす」という概念もない模様。
    • この点については、「じゅくれんど」が命中のしやすさとダメージの与えやすさを総合的に扱ったパラメータとして解釈されてるのだと思われる。要するにこのゲームで頻出する「0ダメージを与えた」という状況は、攻撃をかわされたという状況なのである
  7. レベルアップしても、ピピピピ…とSEが鳴るだけでメッセージは表示されない。誰のレベルが上がったのか、どんなパラメーターがどのくらい上がったのかも、一切説明されない。

上記の仕様を頭に入れた上で、弱い敵をなんとか倒していけばレベルアップはできる。
このゲームはレベルアップの能力上昇が極端で、1レベル上がるごとにHPが倍々ペースで増えていくので、序盤を乗り切れば以降の冒険はだいぶ楽になる。
ただし、HP以外の能力はさっぱり上がらないため、終盤でも通常攻撃はほとんど効かない。万が一ESPを切らしてしまうと攻撃もできず逃げる方法もなくなる。超能力が攻撃手段の全てというイメージは、まあらしいといえばらしいのだが…。
わざと全滅しようにも向こうの攻撃でも10程度しかダメージを食らわないため、このころには4~5桁に達するHPが仇となって、全滅するだけでとてつもない時間がかかるという無間地獄に陥る*6

+ パーティが全滅すると、以下のように叱られる。

この みじゅくもの!
ぜんいん、しぼうしてしまうとは…
もういちど でなおしてこい!

  • こんな絶望的な難しさで死ぬのも無理はないのにわざわざ叱る必要は無かったのでは…
    • ちなみに誰がこのセリフを言っているのかは不明なのでよく考察がなされる。

また、このゲームには「かりう」という最凶の技がある。

  • 「かりう」とはときどき敵が投げてくる薬の名前で、これを食らうと「びょうき」状態…いわゆるマヒ状態になり、行動できなくなる。他にもフィールドでは一歩ごとにダメージを受けてしまう。
    • 「にゅうえあ」というESPがあれば回復できるが、使えるキャラクターは1人だけで、覚えるのは割と後半。
      にもかかわらず、ゲーム開始直後に出てくる敵も「かりう」を使ってくる。攻撃をかわすという概念がないので100%食らってしまう。
      • 物語が進むとびょうきを回復する「くらっと」という薬が入手できるが、こちらは戦闘中には使用できない。
  • しかし、本当に恐ろしいのは「びょうき」状態は戦闘中に自然回復できないということである。
    • 当然ながら序盤の一人旅の状態で「かりう」を食らうとゲームオーバー確定
    • 特に後半で全員が「びょうき」状態になってしまった場合、全滅するまで敵の攻撃を受け続けるしかない(1人くらいならそのまま戦うなり「てれぽーと」で脱出するなりすればいい)。
      しかし前述のとおり最終的なHPが5桁にもなるこのゲームでは、そんなことをやっていたら下手をすると1時間超えもありえる。
      潔くリセットボタンを押しましょう。
      • 他の一般的なRPGでは、こうした「全員がマヒ・石化等して自然回復不可能」な場合には即座に全滅扱いとなり、少なくともやり直す手間だけは省けている。
  • ちなみに、物語が進むとある方法で「かりう」を入手することができ、戦闘中に使用することもできるが…。
    • 「かりうをのむと からだじゅうに さむけが おそった。」と出て自分が「びょうき」になる。投げろ。
      • ちなみに、同じく敵の技で、眠らせる効果のある「とれろ」も入手可能。こちらは戦闘中に使用するとちゃんと敵に向かって投げる。何故かりうは投げないのか。
  • この「かりう」が一体何なのかも現在に至るまでのままである。
    • 「さらまんど(サラマンダー?)」が投げてくるので「火竜」という説や、「ナトリウム-カリウム合金」という説があるが、「火竜」だと「さむけが おそった」の意味が通らず、「ナトリウム-カリウム合金」も空気に触れると爆発・炎上する危険な合金なのでやはり意味が通らない。
      • 薬剤師に作ってもらえるので「顆粒」だ、というのが一番妥当な線であろうか。
      • もっとも、「とれろ」や「くらっと」など、他の薬も何なのかはよくわからないが。

意味不明な接続

命からがら最初の村に到着した後も、何をやっていいのか、むしろ何をやっているのかわからないことが多い。

  • マップ間の繋がりがおかしい場所が多く、入った場所と出てくる場所が一致しない場所(例:2番目の町から外に出ると、なぜかスタート地点にいる)が複数ある。
    また、出入り箇所は合致しているのだが、なぜそこに繋がっているのかが理解できない場所(例えて言うなら、トイレのドアと学校のドアが繋がったような不一致感)もある。
    • なおこれについては一応法則性があり、「MAPの外周から外に出て別MAPに移動した場合、その時いるエリアに応じた特定の場所に飛ばされる」と言う仕様によるもの。最初の世界における「特定の場所」とはスタート地点なので、2つ目の町やら途中の洞窟やらで外に出るとここに戻される。
      町やダンジョンから外に出る場合、最初の世界の「発電所」を除いてMAPの端から外に出るものばかりなので必ず変なところに出る一方、階段などの特定の移動マスに入って別のフロアに直接飛ぶ移動についてはこういったチグハグは無い。
  • 問題は最初のフィールドの何の変哲もない森を歩いていたら突然フロアが切り替わってしまい、出るとスタート地点に戻される事があるという事であろうか…

理不尽な仕様

  • 特定のドアをくぐるには「IDかーど」というアイテムが必要なのだが、この「IDかーど」は値段が異常なまでに高く設定されており*7、しかも片道ぶんの効果しかない
    つまりドアを往復するには「IDかーど」が2枚必要であり、1枚しかなかった場合はドアの中に閉じ込められて、それっきりゲームの進行は不可能になってしまう(詰みが確定する)
    • なお「IDかーど」を何枚も消費し、幾つかのフラグを立てることによってようやく仲間になるキャラクターがいるのだが、手順の煩雑さから仲間にする方法が分からず、仕方ないので結局仲間にしなかったというプレイヤーも多かった(しかもこのキャラ、仲間にしなくてもさほど問題なくクリア可能)。
    • そのキャラクターはパーティで3人目のポジションを占めているのだが、普通にゲームを進めている限り4人目のほうが先に仲間になる
      そのため、プレイヤーは不自然な空欄を抱えたままゲームを進めていくことになる。
      • このことについてはさすがにメーカー側も重く受けとめていたらしく、「あのキャラクターはどうやったら仲間になるのかとメーカーに質問してみたところ、親切に攻略の手順を記した手紙を返信してきてくれた」という当時の体験談がいくつか報告されている*8
  • クリアに必須な「さんそぱいぷ」の入手が非常に困難。
    • ある地点から先に進むのに「さんそぱいぷ」が必要である事自体はゲーム内で知る事が出来る(さんそぱいぷを持たない状態で先に進もうとするとメッセージ表示される)が、それがどこにあるのかは完全なノーヒント。そもそも重要アイテムなのにその辺の道端に落ちており、落ちている場所に行ってもアイテムのグラフィックが何もないので、偶然真上を通過して拾うまでどこに落ちているのかを知る手段が無い
      運よく拾えたとしても入手時に小さなSEが鳴るだけなので、いつ手に入れたのかも分からない。と言うか拾った事に気づかない場合さえある。落ちている場所が目で見えないと言うのは他のアイテムでも同様だが、入手時のメッセージはただの小銭ですらちゃんとある。
    • テレポートで逃げるとよくその場に行かされることや幅1マスの通路に接する2×2マスの曲がり角の隅っこに落ちているおかげで、何も知らず拾う可能性は高い。
      + MAP
      (曲がり角の隅を通れば入手できる)
      • じゃんぷしたり、曲がり角で直進&直進ではなくジグザグ歩くのが自然体なプレイヤーには見つけられない。
  • ダメージ床が存在するのだが、特にエフェクトがなく、気がつかないうちにHPがガンガン減り、気づいたころには死んでいるということが多い。
    • 当然これで全滅する可能性もある。回避するには「しーるど」の能力が必要。
  • お金は何故か個人管理。これ自体は悪い事ではないのだが、集金や分配システムがない為、新しい仲間が加わった後もすぐに装備を与える事が出来ない。先述のIDカードも一人に集金できれば幾分か楽なのだが…

変なパスワードのシステム

  • パスワードの入力が不便で、区別のつきにくい文字がいくつもある(例:数字の1と英語のIがほぼ同じフォント)
    • ドラクエのように文字表の上をカーソルを移動させて文字を選んでいくのでなく、ゲームセンターのゲームの名前入力欄のシステムと同じ十字キーを上下することでA,B,C,D…と順番に表示されていくシステム。しかもこのゲーム、パスワードに使われる文字が平仮名・片仮名・アルファベット・数字・記号、と100種類以上あるため、文字を探すのに非常に時間がかかる。
  • パスワードにはカタカナが使えるのに、本編ではすべてひらがなとアルファベット。
    • その割には、ゲーム中でのメッセージに誤字・脱字が非常に多い。「ちょし(調子)」「おおじさま(王子様)」など思わず笑ってしまうような文言のオンパレード。
      挙句の果てには、エンディングのメッセージにさえ誤字・脱字が存在する。
    • 台詞にカタカナを使わないことで台詞の使用容量を減らせるので、これは仕方ない面もある。
  • パスワードを入力しても前回のデータを完全に再現できない。パスワードの文字数を減らすための工夫と思われるが、反面お金を個別管理するなどの無駄も見られる。
    • 説明書によると、「ごーるどは多くて255ごーるど引かれます。けいけんちは多くて3引かれます。」とのこと。
      • 物価がインフレしていない序盤では、これがかなりのロスとなってしまう。
    • ゲームの再開時に(悪いものだとポーズからの再開時でも)軽微な情報が切り捨てられ、プレイデータが完全に再現できないゲームは他にもあるが、ここまで切り捨てられるものは珍しい。この後に発売される同社の歴史シミュレーションではさらに切り捨てられる事になるのだが…

その他不可解な仕様

  • 終盤のダンジョンはなぜか壁抜けが可能。
    • 壁の中を歩いている時は敵が出ないので低レベルでも強引に進むことができる。この仕様がなければクリアはさらに困難だったと思われるのでありがたくはあるのだが特に説明はない。
    • 一応正規ルートと思わしき道は用意されており、「みなみのぶれいくで壁を壊して進む」「みさのしーるどでダメージ床を突破する」といった本作の集大成と呼ぶべき構造になっている。せっかくこのゲームにしては凝った作りになっているのにかなり勿体ない。デバッグモードの消し忘れだろうか。
  • ESPの効き目は敵の残りHPにより左右される。
    • ダメージを与えればそれだけ効きやすくなるということで、この仕様自体は悪くないのだが、説明がないせいで「状態異常攻撃は弱い」と誤解されやすい。実際はある程度までHPを削れば目に見えて通用するようになり非常に強力なのだが。
    • 「ばどえあー」といったダメージを与える、もしくは動けなくする効果のESPは敵のHPとESPのパワーでどちらの効果が出るか判定される。この仕様に気付かないと「ダメージを与えたいのに敵を固めてばかり」といったような無駄撃ちが多くなってしまう。

評価点

  • BGMは全体的に出来が良い。
    • 特にパスワード入力画面のBGMは現在でもファンの間で神曲として語り継がれている。再生時間も長く聴き応えがある。このBGMのおかげで上記のパスワード入力時の苦痛がどれほど軽減された事だろうか…
    • 中盤以降の戦闘曲も このゲームにはもったいない 神曲として人気が高い。
    • ただ、街のBGMだけは非常に前衛的でカオスさを醸し出している。それに対してフィールドの曲は穏やかでBGMの設定を逆にした可能性もある。
      • Rom Cassette Disc in Hot-Bでの初CD音源化に際して、この曲にはブレインコントロールという曲名が付けられた。つまり、間違えていたわけではなかったようだ。
  • SF的な独自の世界観・ストーリーは実はしっかりと構築されている。ゲーム内での描写がそれに追い付いて行っていない感は否めないが。ドラクエを始めとする代表的なRPGとは一線を画するSF的な世界観を持ったRPGは当時の家庭用ゲーム機においては珍しく、それに魅力を感じるユーザーは少なくない。
  • 敵キャラのデザインもSF世界をしっかり表現した秀逸な物が多く、さらにドット絵の書き込みもファミコンとしては高水準。一部よくわからない敵もいるが。
  • 通常の台詞とは別に「心の中の台詞」があるというファクター。テレパシー能力によって心の声を読むこともできる。
    • あいさつしてくる人の心を読むと「おれはすりだ!」だったり、主人公達を回復してくれる女性が実はトイレに行きたがっている等、モブキャラの意外な一面を窺うことが出来る。
    • 「けけけ」などとしか喋らない入院中の狂人たちも、実は機密に触れて口を聞けなくされてしまった人々で、しっかりとした思考を持っていたりする。
    • 機械の心の声も読めるが、それは16進数の文字コードになっているので、変換サイトを使わなければまず読めない。
  • Lvが上がると戦闘中のキャラグラフィックが変わる(成長する)微妙に芸の細かいところがある。
    • キャラの成長は全部で3段階ある。敵の強さも3段階あって同じ段階で戦うと良い勝負になるように調整されており、外見の変化が次のエリアに進む目安になる。
  • パーティーメンバーの4人は「強力な攻撃ESPを持つ」「スピードアタッカー*9」「武器戦闘が得意」「魅了などの状態異常に長けている」と何気にバランスがしっかり取れている。
    • 移動時も「ぶれいく」(レベルに応じて特定の障害物を壊せる)が得意なキャラ、「じゃんぷ(レベルに応じて障害物を飛び越えれる)」が得意なキャラ、「てれぱし」で心を読むのが得意なキャラ(特にクリアする際には一定数のてれぱしレベルが必須)と個性がはっきりしているので状況に応じて先頭キャラを切り替える楽しみがある。「しーるど」はダメージ床のダメージが減るだけと微妙な能力なので空気気味だが
      • 通路が複雑な迷路になっているダンジョンもあるが、「じゃんぷ」で飛び越せたり、「ぶれいく」で壁を壊す事で大幅にショートカットが出来る*10
  • ゲームバランスは非常に悪いもののRPGとしての面白さは健在。
    • キャラクターはレベルが上がれば着実に強くなっていく。なすすべのなかった敵に次第に応戦できるようになりついには倒せるようになっていく過程は成長を実感できる。
    • ESPのレベルが上がるごとに進める場所が増える、大幅なショートカットが可能といった探索の楽しさも備えている。
    • 超絶な難易度の中、死に物狂いでエリアを突破し新しい場所にたどり着いたときの感動は計り知れない。ロングジャンプにその場所を登録することで、次からは簡単に来られるのも嬉しいところ。
  • 好きな位置を登録していつでもジャンプ(瞬間移動)が可能だったり、素材を組み合わせて薬を調合したりと前衛的なシステムも少なくない。
    • ある薬を調合する事で村に充満する病気を治すイベントがあるが、主人公達が薬を破棄した途端に村中がもう一度病気まみれになるのはよくネタにされる。
  • 「けさ の ちょうしょく の けろっぐ は、 なっとう の あじ で、 うまかった。」に代表されるように、とてつもなく謎な台詞が多い。
    • ネタであれば、ある意味かなりいいセンスといえる。

総評

はっきり言って開発中のものをそのまま出したレベルである。町とフィールドの出入り口を合わせるのは町を開発する作業において最初に行うようなことである。
以上のように非常にクソ要素の多いゲームではあるものの、SFチックな世界観でシリアスなストーリーやシュールさと美しさを兼ね備えた音楽、外見は『ドラゴンクエスト』の真似に見えながらもオリジナリティに溢れたゲームシステムなどは一部から支持されており、今でも熱狂的なファンが存在する。そのため全てにおいてクソというわけではない。

最後までプレイして世界観やストーリーを完全に理解できれば、このおかしなゲームバランスや鬼畜難易度が世界観に即した表現の一種であることに気づけるため、そういう意味では手抜きで狂ったバランスになったゲームとは一線を画する。*11
惜しむらくは、ゲームを通じて英語モチーフの固有名詞が全部ひらがなでわかり難いなど、世界観を伝える演出が致命的に下手なことと、世界観に即したバランスがゲームとしての面白味に繋がっていないことである。


余談

+ 世界観について
  • おかしなエンカウント率は、「強力なマザーコンピュータが統率する世界で、徹底した超能力者狩りがされている」というディストピアを表現している。
  • また、ドラクエ的な感覚では違和感のある戦闘の仕様は「剣や鎧といった肉体を駆使した武器を使うのでなく、超能力と科学兵器という使用者の身体能力と無関係な部分で戦っている」ということを表現していると思われる。
  • 少なくともただの手抜きでバランスが崩壊したのではなく、はじめっからこういうバランスでゲームを作ろうとした意図はゲーム中に多々感じることができる。
+ ストーリー展開について
  • 都市の名前が方舟(Ark)だったり管理コンピュータの名前が第三者たるクルーだったりと、この世界は人類が移住可能な惑星を探して旅立った巨大な移民船である。
  • ちなみにサイキック狩りの真相は、「人間よりも進化して超知性を得たイルカ」が同じく人間よりも進化したサイキックと共に「旧人類を排除した新世界」で仲良く過ごそうと考えて、マザーコンピュータを使ってサイキックだけを移住予定の惑星アクアに一足早く送っていたというもの。
    • 強引なやり方ではあるものの、旧人類を絶滅させて世界の支配者になろうというような手段をとるわけでなく自分たちが外に出て行こうとしているという意味では最低限の筋は通っている。そもそも惑星アクアは海ばかりの星であるため旧人類の移住には適さないと判断されていて、どのようなエンディングを迎えても移民船は新たな惑星を探して旅を続けることになる。
    • また、サイキック達の意志をまったく無視する気もなく、サイキックの中から代表者を選んでその判断に委ねるつもりでいた。そしてイルカたち全員と心を読み合った主人公たちがサイキック全体の代表者として選ばれた上で、これからのサイキックがイルカと共に生きるか、人類と共に生きるかを、重大な責任を負って返答することになる。この時の選択によってエンディングが変化する。
  • マルチエンディングシステムは当時はまだ珍しかったので先進的と言えるが、本作のエンディングは一画面のメッセージが表示されるだけで、イベントシーンなどもないので味気ない。 戦犯リスト スタッフロールも無い
    • ちなみに用意される選択肢は、「イルカと戦う」「サイキック達を連れてイルカとともにアクアに移住する」「人類の一員としてアークCITYに残る」の三つ。
    • 「イルカと戦う」を選んでも実際に戦闘になるわけではなく、主人公たちが戦いには勝てなかったことが簡潔に説明されて物語は幕を閉じる。いわゆるバッドエンド。必ずしもクソ要素とは言えないが、ラスボスと戦わないRPGというのは珍しいかもしれない。
    • 「移住する」だと「あかるいみらいがひらけてる。」というメッセージで終わるため、おそらくグッドエンドに一番近い。しかし、考えようによってはあまり後味の良くない最後といえる。*12
      • またイルカ側も意見は2種族で二分されており、片方はサイキックに不信感を持っているので不安の残る結末でもある。
    • 「残る」のエンディングだと先にアクアに送られていたサイキック達も含めてアークCITYに送還される。市民はサイキックをテロリスト扱いしているため、サイキックを迫害・非難する可能性があり「じんるいどうしのたたかいをおもうと こころはくらくおもい」とメッセージが表示されて、後味はとても悪い。
      • ガードフォースは密かにイルカやシャチこそが敵と考えているため、サイキックvs旧人類という展開にはならず誤解が解けてサイキックが市民に受け入れられる可能性は残されている。しかし、人類同士の戦いの歴史が繰り返されることは示唆されているため、旧人類&サイキックvs旧人類&サイキックという構図になるだけでハッピーエンドとはとても言い難い。
    • 本来ならもうひとつエンディングを用意するつもりだったのか、本編に使用されていないエンディングメッセージ(ボスとの戦いに勝った際のものと思われるイベントデータ?)がロムに残っている。一応は未来に希望がありそうなメッセージになっているものの、最後の一文が「ほんとうに これでよかったのだろうか?」で終わるため、やはり後味が良くない。 このことについては、こちらのサイトで言及されている。
      • 後述のNintendo Switch版では全てのエンディングを見ると、この未使用エンディングを閲覧する事ができるようになっている。
    • 記事冒頭にもある通り、本作はクリアしただけでやりこみを評価されたタイトルとされている。間違ってはいないのだが、ネットではやや誤解されて広まっている。
      • 「やりこみ大賞を受賞した」といっても、普通に投稿したわけではない。なんと、 全く関係ない『ロマンシング サ・ガ3』の企画に投稿した物が採用されたのである。
      • 当初、投稿者は企画の通りに『ロマサガ3』のやり込みに挑戦したものの、断念。おまけとして『ファイナルファンタジーVI』『ミネルバトンサーガ*13』の縛り失敗動画、そして本作のエンディングをくっ付けて投稿したところ、 河津氏を含む担当者に「『星をみるひと』をクリアするほうが大変」(意訳)と評価され、そのまま紹介されてしまった。
      • いずれにせよ、本作の無理ゲーっぷりを示す逸話である事には変わりない。
    • 本作は同社が1984年にPC-8801及びFM-7で発売したRPG『サイキックシティ』*14と世界観が共有されていることを示唆する部分が見受けられる。
    • 2013年にホット・ビィの多数のゲームのサントラ『Rom Cassette Disc in Hot-B』が発売された。
      • 本作を含む22作品のBGMが収録されている中、ジャケットを本作が飾っている。
    • ホット・ビィの倒産後、版権はスターフィッシュ・エスディが保有していたが、2016年頃に上記サントラを出した株式会社シティコネクションに もつ鍋屋と一緒に 売却されている。
      • なおシティコネクションに売却された権利は『サイキックシティ』『星をみるひと』の2作品分のみ。
    • 2020年7月30日にNintendo Switch版が発売。(公式サイト
      • 「さいこうぉーく」(移動速度2倍)*15、「さいこめもりー」(クイックセーブ・クイックロード)、「さいこりばーす」(巻き戻し)、「にゅうがめぷらす」(強くてニューゲーム)など、便利な機能が追加されている。
        • 参加型企画として、イラストの募集(優秀作はゲーム内の壁紙として実装)が行われたのだが、 応募者には上記のやりこみの投稿者もいた。
        • 投稿されたのは当時使用したと思われる機材やパスワードを撮影した写真。公式サイトに掲載される「さいきっく賞」を受賞している。(No.74 「おもいで」)
    • その難易度の高さやクソ要素から話題になりやすく、ネット上にたくさんのプレイ日記や動画がある。
      • ツッコミどころ満載で 見るだけなら楽しいゲーム なので、特に本作プレイ動画は高い人気を誇り、数十万回再生された動画も少なくない。
    • 「もしかしたらクソゲーにはならなかったかもしれない」、若しくは「クソゲーではなくなった『星をみるひと』を見たい」という声は多く、そんな意見を現実にしたのが、フリーゲーム『STARGAZER』である。 これは原作を元に有志がリメイクした作品であり、『魔界塔士Sa・Ga』や『Sa・Ga2 秘宝伝説』を参考にしたゲームシステムに作り直されている。
      興味を持った人は、まずはこれをプレイしてみよう。
      • 作者が独自に追加した要素は多いものの、おおまかなストーリーラインや主要キャラクターはオリジナルと同じ。
        オープニングも説明書に書かれているストーリーそのままの引用である。(引用である旨も併記されている)
        操作性、グラフィックなどは改善されている。主人公たちのデザインは独自要素多め。戦闘に関わる部分はSa・Ga色がかなり濃い。
        • それでも難易度は高めだがせいぜい死んで覚えるレベル。添付のヘルプを見れば序盤詰まることはないのでかなり遊びやすくなったといえる。
          オリジナルでもむしろ好評だった部分はそのままで、独特の世界観からプレイヤーを選ぶものの、全般に遊べるゲームになったといえる。
        • ただし、原作と関係のないパロディネタ(主にアニメや他ゲームのネタ)の多さは賛否が分かれるところ。
    • ロマサガ』や『サガフロ』など、SFC以降のサガシリーズ風に星をみるひとをリメイクした『ロマンシングステラバイザー』というフリーゲームもある。