「戦場のヴァルキュリア」の編集履歴(バックアップ)一覧に戻る

戦場のヴァルキュリア - (2018/04/15 (日) 20:32:33) の編集履歴(バックアップ)


修正依頼」が出ています。対応できる方はご協力をお願いします。
依頼内容は「PS4版とWin版の内容補強」です。



戦場のヴァルキュリア (PS3)

【せんじょうのう"ぁるきゅりあ】

Valkyria Chronicles (Win)

【う"ぁるきゅりあ くろにくるず】

戦場のヴァルキュリア リマスター (PS4)

【せんじょうのう"ぁるきゅりあ りますたー】

ジャンル シミュレーションRPG


対応機種 プレイステーション3
Windows Vista/7
プレイステーション4
メディア BD-ROM 1枚
発売元 セガ
開発元 【PS3】セガ
【Win】Little Stone Software
【PS4】メディア・ビジョン
発売日 【PS3】2008年4月24日
【Win】2014年11月11日
【PS4】2016年2月10日
定価 【PS3】通常版:7,980円 / 限定版:9,980円
【Win】19.99ドル
【PS4】4,990円
レーティング CERO:B(12歳以上対象)
コンテンツアイコン 恋愛・暴力・犯罪・言葉・その他
廉価版 PlayStation3 the Best
2009年3月5日/3,990円
判定 良作
備考 ベスト版はDLC一部収録
Win版はおま国
PS4版はDLC全収録
戦場のヴァルキュリアシリーズ1 - 2 - 3

概要

サクラ大戦』で有名な制作スタッフ陣が送る全く新機軸のシミュレーションRPG。
アニメと水彩画を融合させた様な独自のグラフィックと、SRPGにアクションゲームの要素を取り入れた「BLiTZ」システムが最大の特徴。
既存の枠組みに収まらない新しいゲームシステムによって国内外問わず高い評価を受けている。


ストーリー

征暦1935年。専制国・東ヨーロッパ帝国連合(通称「帝国」)と共和制連邦国家・大西洋連邦機構(通称「連邦」)の間で始まった第二次ヨーロッパ戦争は、帝国と連邦の両者に挟まれた緩衝国・ガリア公国へ飛び火した。帝国は鉱物資源「ラグナイト」を豊富に産出するガリア公国への侵攻を開始。ラグナイトは燃料や兵器、治療行為等に使われる重要な資源であり、それを大量に入手して戦争を優位に進めようと目論んだのだ。

ガリア公国に住む大学生ウェルキン・ギュンターは、故郷ブルールに帰郷した際、自警団をしている町娘アリシア・メルキオットと出会う。そして彼らはブルールでの戦闘に巻き込まれたことをきっかけに、自らも戦争へ参加することになる。
そしてウェルキンは義勇軍第3中隊第7小隊長に就任。亡父が遺した戦車・エーデルワイス号を駆り、祖国を守る戦いへと臨んでいく。


特徴・評価点

「CANVAS」システムによる美しいグラフィック

アニメと水彩画を融合させたような独特のグラフィックであり、美しさと独創性を両立している。
ゲームの内容があまり好きになれなかった人であっても、このグラフィックに文句を言う人は滅多にいなかった。それだけ本作のグラフィックが素晴らしいといえる。

  • アニメーションを題材にしたゲームに良く使われている「トゥーンレンダリング」と似ているとも言えない訳ではないが、郭線から色がはみ出たり、遠くにあるものは線がかすんだり歪んだりといった水彩画のような独特な映像処理がなされており、それまでのCGとは一線を画す表現が実現されている。

魅力的なキャラクター

全部で50人程のキャラクターが登場する。キャラクター重視の人でも納得の質と量であり、特に女性キャラはかわいいのでそっち目的の人でも十分に楽しめるのではないだろうか?

  • あるキャラクターは、その人気からDLC(ベスト版には収録されている)でスピンオフが作られてしまうほど。
  • また、『エターナルアルカディア』からゲスト参戦しているキャラもいる。

BLiTZシステム

SLGにアクション要素を組み込んだ、本作独自のシステム。
「コマンドモード」でマップ全体を把握して、キャラクターを選択する事によって「アクションモード」に移行する。この際に「CP」を使用する事になるのだが、CPがある限りは同一ターン上で同じキャラクターを何回でも動かすことができる。

  • 「アクションモード」では「AP」を消費することによって行動が可能で、APが無くなるまでは自由に行動可能だが、無くなった時点でそのキャラクターのターンは終了する。敵に接近したり、遮蔽物に隠れたり、敵を狙う事自体もプレイヤーが直接操作できるので従来のSRPGよりも自由度が高い。
  • SRPGにアクション要素を足すと、柔軟な行動は可能でも戦略性という部分でどうしても大味なゲームになりそうな物だが、非常に上手く料理されていてバランスも悪くない。

そこそこハードな難易度

序盤こそ簡単だが中盤以降の難易度は比較的難しいレベルに入る。熟練者でもフリーバトルで経験値と資金を稼がないでクリアするのは相当に難しいと思われる。
逆に言えばフリーバトルで経験値と資金を貯めれば誰でもクリア可能なので調節はご自由に。

  • シチュエーションも多彩であり、「極めて早いターン数での速攻制圧」「一見勝ち目の無い巨大戦車と戦わされる」と様々で、プレイヤーを飽きさせない。ボリュームも十分すぎるほどある。
    • 大半のマップの敗北条件に「一定ターン経過」が含まれている。これは「敵本隊が来る前に早く倒さないといけない」という戦争での決まりごとを表現しているとともに、いわゆる「待ちゲー」で敵を一体一体ずつ慎重に倒していくチキンプレイへの対策でもある。
  • 追加DLCで遊べる「HARD-EXモード」は笑える程に難しい。

芸術的な演出

  • 今作のBGMはFFTで有名な崎元仁氏が担当しており、「戦場」という雰囲気と見事にマッチした曲の数々はいずれも高い評価を得ている。
  • この重厚なBGMと上記のCANVASシステムによる美しいグラフィックで展開される人間ドラマは、内容の良さもあいまって多くのプレイヤーに感動を与えた。
  • ムービーも挿入されるが、そのムービー部分もCANVASシステムを使用。従来のような写実的な美しさのムービーとは違い、まるで水彩画で描かれたアニメーションを見ているかのような感覚が体験できる。

賛否両論

  • ヴァルキュリア人
    • ヴァルキュリア人は設定や世界観がファンタジー要素が強い。そのため単純な戦略シミュレーションを求めていた層から不満が出やすい。

問題点

ストーリー

  • ストーリーは王道な作りで人種差別問題を取り入れたりと評価する点もあるが、メインストーリーに関しては王道を通り越して陳腐、戦争なのにノリが軽すぎるという意見も多い。SLGはストーリーが複雑になりがちでプレイヤーを選ぶ面があるが、最初に張られた伏線の時点で、戦記物や歴史物をかじったことのあるプレイヤーならその後の展開をぴたりと言い当てることも可能なのは果たしていかがなものか。
  • ボスキャラである帝国の皇子は、卓越した才覚で成り上がっていった有能な人物という設定なのだが……。作中の描写からは超兵器やヴァルキュリア頼みの無理・無茶・無謀な脳筋キャラにしか見えず、ラスボスとしての風格に乏しい。
  • シナリオの関連で必ず死んでしまう仲間がいる。どちらかというと味方一同安心しているところに唐突に挿入される展開(実際の戦場ではよくあることかもしれないが)なため、死亡するまでの流れが陳腐な印象を受ける。周囲で取り残されたキャラクターの心理的な成長はもちろんあるため完全なる無駄死とは言い切れないが、変化前と変化後の差にもこれといった真新しさがない。
  • 終盤にメインキャラクターが覚醒する展開になるが、能力をマトモに制御できていないにもかかわらずベテランの敵将をアッサリと撃破する。才能の差と言ってしまえば身も蓋もないが、単なるご都合主義でしかなく拍子抜けな展開である。

わかりにくい当たり判定

  • 画面上では遮蔽物に隠れているのに敵の攻撃がヒットしたりと当たり判定に少し難がある。とはいえ、これに関しては独特の映像処理のこともあるので仕方が無い部分ではある。

面白いからこそ目立つ粗

  • 今作はSRPGに新風を巻き起こした斬新なBLiTZシステムと徹底したマップ構成が織り成す面白さゆえにこれでもかと遊び続ける人が続出。しかし、それゆえに遊び続けると「これって実はバランスブレイカーじゃね?」と思えるようなものが出てきてしまった。
    + よく話題に挙がるバランスブレイカー
  • 偵察兵:アリシア
    • 人呼んで「ガリアの赤い悪魔」「最強のパン屋」。メインヒロインかつストーリー上の重要人物でもある本作の看板娘なのだが、その能力は全キャラ中でもトップクラスの能力値とチート級のポテンシャルが揃っているというふざけた性能。熟練者の操るアリシアが単騎で敵陣を蹂躙する「アリシア無双」なる言葉が生まれた程。
  • 突撃兵:リィン
    • 彼女も性能の高さが他のキャラから頭一つ抜けている。一部のポテンシャルはかのアリシアを上回りかねない反則級の物を所持しており、超絶難易度のHARD-EXも彼女を上手に使うと敵は木偶と化す。一応隠しキャラ的存在ではあるため初回プレイでは加入困難なのだが、2周目以降なら苦もなく加入させられる。こちらも「リィン無双」なるキーワードで検索すると大暴れしている様子が何件かヒットする。
  • 対戦車兵:オードリィ
    • バランスブレイカーと呼称されるに相応しいチート級のポテンシャルを多数所持しており、彼女もまたHARD-EXで大いに暴れてくれる。リィンと同じく隠しキャラ的存在だが、出現させるためのハードルは低く、1周目中盤になればいつのまにか加入している。「オードリィ無双」(以下略)。
  • 狙撃兵:マリーナ
    • 狙撃兵に最も求められる「射撃能力」そのものが他の追随を許さないほど高い。ポテンシャル関係は上に挙げた方達から見れば「まぁ標準」で片付けられるレベルであり、狙撃兵には少なからず弱点が設定されているのだが、マリーナに設定されている弱点がほとんど弱点にならないこと、1マップに狙撃兵が2名以上必要な場面がほぼ皆無であることから、「マリーナ以外の狙撃兵は不要」とまで言われている。
  • 支援兵:ポテンシャル「ノーダメージ」や「連続行動」を持つ数人
    • いずれのポテンシャルも非常に強力であり、特に「ノーダメージ」は超絶難易度マップを1ターンクリア可能にする程のぶっ壊れ性能。一応、開発スタッフもわかっていたのか、この2つのポテンシャルを同時に持つキャラはさすがにいないが…。
  • 「オーダー」の異常なほどの有用性
    • 「CPを消費して能力を上げる」という一見無駄に見えるコマンドで、初回プレイでは敬遠されがちなのだが、実はその効果は凶悪極まりないものばかり。よく指摘されるのが「『絶対防御』と『警戒進軍』の重ねがけが強すぎる」という点。だからといって他のオーダーが弱いかというと決してそうではなく、どれもCP消費量の割に有用すぎる性能を発揮する。
    • あまりにも強力すぎたため、HARD-EXモードでは「オーダーそのものが使えなくなる」という制限までかけられた。それほどまでのバランスブレイカーであることを公式が認めたことからもその異常性はわかるであろう。
  • いかれた強さの「戦車」
    • 主人公のウェルキン自体が戦車長であり、実際に作中のイベントシーンで戦車を駆って活躍する。そしてゲーム上でも戦車が本当に強い。
      • 本作での戦車は「背部に弱点が設置されているが、そこ以外を攻撃しても大半の武器ではかすり傷程度のダメージしか与えられない」という特徴がある。しかし、敵側は弱点を狙って攻撃してこないので、戦車の修理ができる支援兵とセットで運用すると事実上無敵の存在と化す。
      • こちらもHARD-EXモードでは「味方側に戦車そのものがない(ウェルキンは兵科が歩兵に変更されている)」という制限を課せられている。
      • 続編の2では対戦車用武器が大幅に増え、3では敵が弱点を狙うようになるなど、シリーズを経るにつれて戦車はどんどん弱体化していった。
  • しかし、本作は数々の実験的要素が投入された第1作目であるというハンデがあるにもかかわらず、バランスブレイクする要素をこれだけで留めていることはむしろ評価すべきである。「PS3史上最高のSRPG」の称号は伊達ではないのだ。
  • また、これらは「隠しキャラクターを出現させ」「各キャラのポテンシャルをすべて解放し」「各兵科のレベルをMAXにした」状態の話であり、ある意味では「やり込んでくれたプレイヤーへのご褒美」ともとれる。アリシアとオーダーを除いて。

総評

「SLG愛好家、もしくはPS3を持っているなら、これは絶対プレイしておけ」と言われるほどの高評価を受けた作品。
あまり注目を受けずにひっそりと発売された本作だが、口コミで評判が広がりジワ売れ、シリーズ化やアニメ化を果たすほどの人気を獲得した。
その優しい絵柄からライトなゲームと判断する人も多いが、実際はバランス面においても「流石セガ」と言いたくなる作り込み様であり、マニアックな作りのSRPGを好む人はもちろん、SRPGを遊んだ事が無い人にも十分にオススメできる作品に仕上がっている。


海外での評価

  • IGN - Playstation 3 Strategy Game of 2008
  • Gamespot - Best Artistic Graphics of 2008
  • GameSpy - Best Original Soundtrack2008・Strategy Game of the Year2008
  • VG Chartz - Best Japanese Role-Playing Game2008・Strategy Game of the Year 2008・Best Game No One Played 2008
  • ギネス協会から「PS3史上最高のシミュレーションRPG」として認定されている。

その後の展開

  • 2009年に、続編である『戦場のヴァルキュリア2 ガリア王立士官学校』がPSPで発売されている。題名から察せるように学園ものになってしまったり(というかガンパレ)、好評だったグラフィックの仕様変更(こちらはハードの性能差による問題)や、やや粗いゲームバランスなど前作ファンには所々不満な点もあるが、ゲームの出来としてはほとんど問題なく、こちらも高い評価を得ている。また、続編とはいっても、前作を知っていればより面白い程度なので、「PS3は持ってないけど、PSPなら……」という人は買って損はない。
  • 同じく2009年にアニメ版が全26話、2クールで放送された。登場人物は主要キャラは全員登場するが小隊のメンバーは流石に全て出せなかった。物語全体の流れは概ねゲームと同じだが終盤の展開が大きく変わっているなどアレンジされている。
  • 2014年11月にSteamにてPC版の配信が開始されたが、「日本語ボイスは収録されているが、文章は全て英語」さらに「日本からの購入不可」という「おま国」状態となっている。尚、PC版の移植を担当したイギリスのデベロッパー、Little Stone Softwareは2017年に配信が開始された『VANQUISH』のPC版の移植も担当している。
    • 後述のPS4版の変更点に近いが、1080p以上の解像度及び60fps対応、PS3版で配信されたDLCも全て収録。マウスとキーボードでの操作にも対応している。
  • 2016年2月10日にPS4移植版『戦場のヴァルキュリア リマスター』が発売された。ハード性能の向上により、1080p、60fps、ロード短縮が行われている。PS3版のDLCも全収録され、さらにトロフィーも対応され、初回封入特典として『蒼き革命のヴァルキュリア』の体験版がダウンロードできるプロダクトコードが付属された。このリマスターはメディア・ビジョンがPS4タイトルの開発経験を積むために開発されたものである。
    • 2018年4月15日のセガフェスによりswitchにも今作が移植されることになった