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ファイアーエムブレム 封印の剣 - (2018/01/18 (木) 21:59:08) の編集履歴(バックアップ)


ファイアーエムブレム 封印の剣

【ふぁいあーえむぶれむ ふういんのつるぎ】

ジャンル シミュレーションRPG

対応機種 ゲームボーイアドバンス
発売元 任天堂
開発元 インテリジェントシステムズ
発売日 2002年3月29日
定価 4,800円(税別)
プレイ人数 【GBA】1~4人
【WiiU】1人
セーブデータ 3個(製造時期によって電池版,フラッシュ版が存在)
レーティング CERO:A(全年齢対象)
※バーチャルコンソール版より付加
周辺機器 GBA専用通信ケーブル対応
配信 バーチャルコンソール
【WiiU】2015年9月2日/702円(税8%込)
判定 良作
ポイント ついに幕を開けた「若き獅子」ロイの戦い
保守的ながらも新要素を盛り込んだ作り
『紋章』のオマージュ多め
GBA1作目故かバランスがやや荒削りで大味
ファイアーエムブレムシリーズ関連作品リンク


概要

SRPGというジャンルの火付け役となった『ファイアーエムブレム』のシリーズ6作目。
FEの産みの親である加賀昭三氏が任天堂から離れた後の作品であるということもあり、シリーズの転換点とも言える作品。

今作は初代作のシステムや内容をベースとしながらも、『聖戦』の「武器の三すくみ」や「支援システム」、『トラキア』の「担ぐ」をアレンジした「救出システム」、外伝ステージへの分岐など、過去作の集大成を目指した作りとなった。

CMの構成や登場キャラクターの大まかな特徴、シナリオの雰囲気等、過去作の『紋章の謎』のオマージュ要素も数多い。

また、『大乱闘スマッシュブラザーズDX』で先行登場したロイが満を持して主人公を務めた作品でもある。


評価点

  • オートセーブ機能の搭載
    • 本作を含むGBA版のFEのみ、マップ攻略中は常に中断データが作られている。そのため、電池切れなど不慮の事態で電源が切れてしまっても、途中から再開することができる。
      電池残量の懸念に晒される携帯機との相性は抜群で、不測の事態で今までの攻略がパアになる…という事態が大幅に激減した。スリープ機能が常設されたためであろうが、DS以降の携帯機シリーズに引き継がれなかったのが悔やまれる。
      • この機能を知ってしまえば、いちいち「中断」を選択しなくてもお構いなしに電源を消せるので、交通機関での移動中などの片手間にプレイする際などに非常に便利である。
    • 闘技場での対戦でもこれは有効。それを利用したテクニックも存在する。
  • 王道路線ながら緻密なストーリー
    • 本作のストーリー構成は、当シリーズのオーソドックスなスタイルで抜きん出た壮大さやインパクトにこそ欠けるが、小さな諸侯の息子でしかなかったロイが激戦と大国の陰謀を乗り越えて世界規模の軍勢の将に成長する経緯、大陸を巻き込む戦争の発端から集結、その裏にある太古の「人」と「竜」との間で繰り広げられた「人竜戦役」の真実や両種族の共存の可能性を信じるロイ…等、それぞれの過程を余すことなく描ききっており、夫々の要素が緻密に関係し合う、王道シナリオの鑑とも言える完成度となっている。
      • 様々な立場にあるキャラクターの描写も豊かで、章前会話等のボリュームもかなりのもの。
  • 簡単すぎず難しすぎない難易度
    • 今までのシリーズ作品より仕様の緩和などにより難易度は低くなっているが、節々の難しさは十分健在であり、程よい難易度調整と言った所。
      • ただし、その中でクリアできない人も少なくなかった事実からか、次回作の『烈火の剣』ではチュートリアルを大幅に強化している他、敵のパラメーターも軒並み下がっている。
    • ステータスの基本は今まで通りだが、今作では『紋章の謎』にあった魔防が復活しており、力と魔力は名称が違うだけで同じパラメーターとして扱われている。
      • その関係で「トルバドール」が剣を使えなくなり、上級クラスの「ヴァルキュリア」は魔道騎兵になるなどの変更が加えられている。
    • 前作とは異なり、移動力や体格がレベルアップで上がらなくなった。
  • クリア後も遊べる要素の充実
    • クリア後に挑戦できる「トライアルマップ」の追加。これまで育てたキャラを末永く活躍させられるようになった。
      • 周回プレイを重ねると、トライアルマップ限定ではあるが、本作のボスキャラ達やストーリー上での重要なキャラが味方ユニットとして使えるようになる。これにより初代からあった「あの敵将が使えたら…」という願いが叶えられた。ただし一部のキャラの装備を変えられていたり、限界以上の能力値を持つキャラの能力は限界値まで下げられている。
    • GBAの仕様を最大限に活用した「通信闘技場」の追加。
      • 育てたキャラ同士をいくつかのルール上で対戦させるというものであり、シンプルなルールでありながら本編とは違った意味で中々戦略性がある。
    • 2周目からは難易度が上がった「ハードモード」が選べるようになっている。
      • 敵の能力が1章からかなり引き上げられている他、各章の増援数が全体的に多くなっている。(配置面では全25章中3章程度だが)
      • 序盤だといわゆる「お助けパラディン」のマーカスをうまく使うと、敵のHPがギリギリ残るよう調整されており他のユニットが育成しやすくなるなど、彼の力をもいかに借りるかで難易度が大きく変わる。
      • また、本作ではハードモードでしか出現しないボスが1体だけ用意されている。*1
  • 「支援会話システム」の追加
    • 「特定のキャラ同士が近くにいると能力がアップ」という仕様はシリーズ3作目の『紋章の謎』にて実装*2されており、その後シリーズを重ねていくにつれ発展していったのだが、本作にてその集大成と言えるシステムが確立された。
    • 支援を組めるユニット同士を隣接させてターンを終えるとポイントが貯まり、それが一定値に達すると会話イベントが発生し、それにより支援効果が発生するようになる。支援効果はキャラクターごとの「属性」の組み合わせにより変わる*3
      • 支援効果が攻撃力や防御力に及ぶようになった。
      • 攻撃面が強化される属性、博打性が強いが爆発力が稼げる属性など、やや被りがみられるものの属性効果はなかなか個性的である。満遍なく強化するも良し、同じ属性同士で長所を伸ばし合うも良し。
      • 主に主従・友人・血縁など何らかの接点のあるユニット同士だと必要ポイントも少ないが、多くのポイントを要しながらもまったく接点がないユニット同士で発生する事もある。
      • 支援レベルはA/B/Cの三段階で、一人のキャラに五段階分までの支援をつけられる。例えば支援Aがついているユニットには、支援Bを1つか支援Cを2つつけられる。
      • 『トラキア』まではキャラの組合せが固定であったが、本作では1人のキャラに対し複数の支援発生枠が存在し、その中からプレイヤー側で支援効果を発生させる組合せを選べるようになった。
      • 一線級のユニットに集中してつけて大幅に強化するもよし、効率度外視でキャラ設定に準じて付けるもよしと、選択の幅がこれまでの作品よりも大幅に広がった。
      • 会話自体もバリエーション豊かで見ていて楽しい。空気になりがちだった脇役キャラ達の個性が増し、見せ場ができたという点でも非常に好評であった。
    • また、主人公含む一部のキャラは、支援キャラの組み合わせに応じてエンディング後の後日談も変化する。
  • 従来の炎雷風魔法の系統は全て「理」魔法の1種類に統一された。
    • 特に今作は従来は実質敵専用魔法であった「遠距離魔法」の要求武器レベルが下がり、性能的にも味方側が利用しても十分実用レベルに改良された。更には光魔法にも遠距離魔法が登場した。
    • 逆に前作では猛威をふるっていた状態異常杖は、射程に制限が入る、命中率の低下、状態異常が一定ターン経過後に自然回復するなどで弱体化された。
  • 戦闘アニメーションのクオリティの高さ
    • 中割カット数こそ少ないがメリハリが効いており、スピーディかつダイナミックに動く。
      盾から武器を取り出して攻撃する勇者、その場から動かず鎖でつないだ武器で攻撃するジェネラル、瞬間移動して斬るソードマスターなどは印象深いところだろう。
    • 必殺の一撃を出した時は上の例よりもさらに派手な動きをし、効果音も爽快で今なお好評。
  • コンパクトにまとめながらも完成度の高いチュートリアル
    • 一つのマップを攻略しながら基本的な操作を学んでゆく。
    • 「『カーソル』の意味すらわからない初心者を意識した」と豪語する通り、語りすぎず非常に丁寧。前作までで培われた直感的なインターフェイスもあり、全く気張らずにシミュレーションゲームの世界へ入っていける。
      • のだが……以降は問題点の項にて。
    • ちなみにその内容は「留学先のオスティアで駐留武官のセシリアの教授の下、側近のウォルト・幼馴染のリリーナと共に仲間であるボールス率いる敵軍と模擬戦を行う」という1章の前日談になっていて、ストーリー的にも自然になっている。
    • 意外に、マニアックなシリーズファンのツボを付く小ネタを多数盛り込んでいたりする。
  • 決め細やかなUI
    • 各項目でRトリガーを押すとその項目の説明が表示され、いつでも気軽に内容を復習する事が出来る等、気軽にプレイ出来る工夫が目立ちこそしないが練られている。なお武器や道具のスペック等もこの操作で確認できる。
    • その他システム設定等も細かく、プレイスタイルごとに快適な環境づくりが可能。
  • 会話の演出も強化された。
    • 今までは1画面中に2人しか表示されなかったが、今作では3人以上表示されることも多くなったほか、左右移動や上下の揺れなどのちょっとした演出が追加。突き飛ばされたら後ろに引きながらガクンと揺れたりするなどの表現でキャラの生き生きさが増した。
  • 「特定ユニットには絶対攻撃しない」類のAIが組まれているステージ・ユニットが存在する。
    • クラリーネを絶対に攻撃しない4章の敵全員、ララム/エルフィンを狙わないダグラスが該当)。
    • 逆に「リリーナのみに攻撃するガレット」…等々、キャラの設定に準じた緻密なAIが用意されている。
    • ただし、一部のUIは不可解な行動をする。詳細は問題点の項にて。

賛否両論点

ゲームバランス

  • 昔からの「初見殺し」の要素が少なくない。
    • 初代から本作まで、敵軍の増援ユニットが出現と同時に行動する。
      そのため「増援で寝返りキャラが出現し、そのユニットをうっかり反撃で殺してしまう」「友軍NPCが同時に出現した敵増援に1ターンで殺される(=そのNPCを守る時間すら与えられない)」という事態が発生する。
      • 代表的な例は7章に登場するNPCユニットのトレック。登場と同時に敵に突っ込んで死亡するのはあまり笑えない。ハードモードでは同時に出現する上官のゼロット(パラディン)ですら集中攻撃を受けると1ターンのうちにやられる事も。自軍とある程度離れた位置に出現する上、合間には敵も多く配置されている為、一筋縄では救出出来ない。
      • 自軍の近くに出現した場合、初見では対策がほとんど取れないと言う問題もあってか、以降の作品では増援が出た直後に行動することは基本的になくなった。
    • 本作で真のエンディングを見るためには、6か所全ての外伝マップをクリアして、ストーリー上でも重要な最強武器「神将器」を全て集める必要がある。
      • 神将器を1つでも集め損ねた場合、また持っていたキャラが途中で死亡or使い切って消滅していた場合(使い切る前ならハマーンの杖で処置可能)、特定のステージ以降に進むことはできなくなる。
      • 外伝マップへ行くためには条件を満たす必要があるのだが、それは基本的にターン数制限などの条件なので素早く進軍する必要がある。
      • 集められなかった場合のエンディングは後味が悪く、「条件を満たさないと真のラスボスとエンディングは見られない」という仕様は新規ユーザーには辛いものがあった。
      • この構成は『紋章の謎』のオーブと欠片集めを意識していると思われるが、さすがにこれはマズイと考えられたか『烈火の剣』以降の作品では何かしらの隠し要素がある場合はあれど少なくとも無条件で終章までたどり着けるようになっている。
    • 一部の寝返りキャラは「仲間にするのが面倒」「誰で説得していいのか分かりにくい」といった難点がある。
      • 後者のようなキャラには各章の会話イベントやステータス画面でそのキャラの説明が見られるなどのヒントも用意されており、大半のキャラはわかるようになってはいる。
      • 16章のダグラスは誰で説得しても仲間にならず、倒さずにマップをクリアしないと仲間にならないが、向こうは狭い城内で大量の増援と共にお構いなしに突撃してくる…というノーヒントではかなり難易度が高い加入条件になっている。しかもこの加入は外伝マップに進む条件。エルフィンもしくはララムには攻撃してこないが、これを利用するのはかなりの応用力が必要。
  • ハードブースト
    • ハードモードでは「増援で登場する寝返りキャラ」に対して敵と同じ能力上昇補正がかかり、そのまま仲間に加えられるため、章が進むほど普通に仲間になるキャラよりも頭一つ抜けた強さになる。これがいわゆる「ハードブースト」と呼ばれる現象である。
      • これにより難易度ハードではキャラの格差が更に広がってしまい、「お気に入りのキャラを育てて攻略する」という本作の王道的な楽しみ方を否定してしまっている。
    • 特に15章で仲間になるパラディンのパーシバル*4は、ノーマル時でさえ高かったパラメーターが更に輪をかけて高くなっており、同じLVまで育成した序盤参戦のソシアルナイトのアレン&ランスの期待値とほぼ互角。HP・守備・魔防に至っては彼のほうが高い事が殆ど。成長率は低いが、初期値の時点で充分エース級の活躍が可能。
    • ただし序盤でハードブーストがかかるキャラは4章の剣士ルトガーくらい。次に出てくるハードブーストのキャラは9章の剣士フィルと遊牧民シンで、特に苦しいマップが多い序盤はあまり恩恵にあやかることが出来ず、歯ごたえのある詰将棋的なマップが続く。
      • また、「イベントで敵ユニットとして扱われるが、敵として戦闘する前にイベントで仲間になる」ためにハードブーストが適用されないはずのミレディも何故か対象に入っているので、ただでさえ強力なドラゴンナイトが更に強力になり、結果としてペガサスナイトの存在を奪ってしまった。
    • なお開発スタッフはこのことを「設定ミス」と言っているため仕様ではない。「最初から出現している寝返りキャラ」にハードブーストが適用されないのもこれを裏付けている。
      • 余談だが、敵のパラメータに同様のランダム性を採用していた『トラキア』に「増援で登場する寝返りキャラ」は登場しない。そのため能力補正の除外条件の抜け漏れに気付かなかったのは決してあり得ないことではない。
  • (ごく極まったレベルになると)通信闘技場のバランスが悪い。
    • 終盤のある章で能力強化アイテムが秘密の店で無限購入出来るため、金を稼ぎに稼いでアイテムを使ったカンストキャラ同士の頂上決戦になってしまい、面白みの欠ける試合になってしまうのである。
      • そして前述の通り通信闘技場では「クラス間のバランスが悪い」と言う問題がそのまま発生する。
        つまり強いパーティには4人で四角支援を組める遊牧騎兵3人+ソードマスター1人がほぼ固定されてしまう…という、別の意味で面白みに欠ける試合になりがちでもある。
    • 兵種のバランスについては次回作で解決されたが、ドーピングアイテムの購入が改善されるにはもっと後の作品を待つこととなる。
  • ハードモードの難易度調整について
    • 難易度上昇の措置が敵の能力の引き上げや単純な数の増加による比率が大きくなっており、後のように配置や敵装備や行動等にはさほど手が加わっていない。こちらが弱い序盤ならまだしも戦力が整ってくる中盤以降はその影響が小さくなりがち。人によっては「中盤からはノーマルと変わらない」の意見も。闘技場による育成に抵抗が無い場合、8章からノーマル同然の感覚で進められる。
    • 但し序盤の3~5章の不意打ちの如く現れる新規の増援など、トリッキーな要素はまったく無い訳ではない。

GBAシリーズに共通する賛否両論点

  • 『聖戦の系譜』より続く回避(支援)ゲー。
    • 実は本作以降、 乱数による命中率判定は常に二重に行われる仕様 となっている。つまり、「実効命中率」*5と呼ばれる隠し仕様によって、ゲーム中表示されている命中率が50%以上なら表示されている命中率よりも当たりやすくなり、逆に50%以下は当たりにくくなる補正をなされたこになる。
      • 命中率と言う戦略ゲーム中で最も重要な数値が表示と異なることは明らかに問題である。このせいで確率を誤解したり、体感の違いで真っ当な確率の方が嘘であると勘違いするユーザーが数多く現れることになる…
        と思われたが、人間の体感とは得てして負の事柄、例えば「こちらの命中が高いのに外れた」「相手の命中が低いのに当たった」という事の方が印象に残りやすく、正規の確率通りに計算するほうが「敵に有利な確率操作をされてるのではないか」と感じる人も少なくない。この仕様はこれを見越したものだったため、一概に批判をしがたい面もある。
      • つまり、この仕様はどちらかといえばプレイヤー側に有利な補正なのである。GBA作品はマップの大きさの割に敵が多めなので、無かったら無かったで余計に不利だが、これがあっても当たる時は当たるため「100%と0%以外は信用するな」というSLGの通説は無視できない。
    • 問題なのは、武器全体の命中率がシリーズ全体を見ても最低クラスに入ること。
      • 特に、敵の方は「はがね系」「てやり・ておの」といったことさら低命中な武器を好んで使う傾向にあるので敵の命中率を50%以下に持ち込みやすい。
        前述したように敵は命中率が0%でも突撃してくるので、攻撃を回避して敵を次々と薙ぎ倒す「地雷キャラ」が誕生しやすく、SRPGとしては大味で戦略性に欠ける。
      • その結果、速さが高い剣士系などのユニットが優遇、その逆のアーマー系などの重歩兵ユニットが冷遇という軽業一辺倒のバランスになってしまっている。
  • 支援効果が強力すぎる。
    • 支援は1マップに上げられる量は限られているが、ターンさえかければ組む事が可能であるため、上げてさえしまえば難易度が大幅に下がる。
    • 例として初期メンバーのロイとアレンを支援A、ロイにウォルト(かマーカス)を支援Bにすれば、回避率はそれぞれロイが25%、アレンが15%、ウォルト(マーカス)が10%上がり、他の確率や攻撃防御などのステータスもアップする。ここまで回避率が上がれば、敵の平均的な命中率と実効命中率の関係でほとんど攻撃が当たらなくなる。
      この支援関係はやろうと思えばごく序盤から組むことができるため、敵もそこまで強くない序盤でここまで強化すればバランスブレイカーにもなってしまうし、終盤でも十二分に機能する。プレイングや支援の組み方にもよるが使いすぎると簡単になりすぎる。
    • 極めつけに、なんと闘技場での対戦時でも支援効果は発動するのでレベル上げや金稼ぎがお手軽に。流石にやりすぎと判断されたのか次回作以降では適用されなくなっている。
    • 弱点を挙げるならば、「支援効果は周囲3マスに支援を組んだユニットがいないと発動しないため、キャラの位置や歩調に気を配りながら共に運用していないと意味がないこと」「組み合わせにもよるが支援が成立するまでのターンが長く、その間は粘り強く何度も隣接させないと支援自体を組めないこと」「支援は組める回数に限界があること」「1つのマップで組める支援の数には限界があること」である。
  • 支援会話の状況が一部不自然
    • 支援会話の中には「(主君を失って自暴自棄になっているとはいえ)戦場で酒を飲んで咎められる」「唐突に(その場での)手合わせを申し込む」「(因縁があるとはいえ)いきなり仲間に斬りかかる」「互いの頭の中でチェスゲームを展開する」等、戦場で行うには場違いな内容のものが散見され、人によっては戦場の緊張感が削がれるように感じられてしまう。
      • しかし、これでもGBAのシリーズ作品の中では一番マシな方である。続く『烈火』および『聖魔』ではシステムはそのままで更にはっちゃけた内容の会話が多くなったため、寧ろ悪化している。今迄の作品でおざなりになりがちだった脇役キャラの個性を引き出すという目的には大きな貢献を果たした一方、行き過ぎ感も拭えない。
    • 制作陣も思うところはあったのか、GBAシリーズより後の作品での支援会話は自軍の拠点で行うシステムになったことで解決している。

問題点

  • 敵将がラスボス以外拠点守備型のみ。
    • これ自体は『外伝』などを例外として他作品も基本的にそうなのだが、それでも『暗黒竜』時点でミシェイルやガーネフ(本物)のように城門や玉座にいない敵将もいたのに、今作はラスボス以外比喩ではなく全員拠点守備型である。
      • ここで問題なのが「今作が回避ゲー」で「敵将のいる拠点には強力な回避補正がある」&「大半の敵将が持つ直接&間接の双方攻撃可能武器は低命中」のため、
        敵将に攻撃が当たりにくく、敵将からの攻撃も当たりにくい という無駄にターン数が長引く現象が起きやすい。
      • 敵将は他に近接用の武器を持っていることもあるが、こっちは旧作の敵にあった「間接攻撃時は敵は自動的にそっちに対応した武器に換える」という仕様がないので、救出と組み合わせれば敵将の武器を切り替えさせずに間接攻撃でノーダメージ撃破もできてしまうという別の問題がある。
  • 敵も味方も一部のCPUのAIが非常にお粗末だったり、不可解。
    • 顕著なのがクレインに雇われたティトの率いる天馬騎士団。イベントで「南に攻める」と言った傍から東側に向かったり、こちらに寝返ったクレインに攻撃したり、ティト自身も近寄ってきたり来なかったりと行動が読みにくい。なぜこうなっているのかというとティト(とクレイン)の行動は特別に乱数で判定されている。つまり、行動が読めないのは仕様である。ストーリー的にも矛盾が生じる上流石に悪意を感じざるを得ない。
    • 基本的には突撃型のAIを採用しているため、周囲に回復できる相手がいない時の敵のトルバドールや、ある一部のボスは攻撃しないでこちらと隣接して来る謎の行動をとってくる。
      • この内、終盤の増援部隊隊長であるゲイルは他を無視して主人公を狙うはずが、突撃優先の影響でとりあえずプレイヤー軍の近くに走り、近くに主人公がいないなら攻撃はしないという怪奇行動に陥っている。
  • 光・闇魔法の扱いの悪さ
    • 光魔法は上級職の司祭限定。司祭になれるユニットはエレンとサウルの2人がおり、しかも序盤から使えるが、クラスチェンジした時点での光魔法のレベルは最低の状態なため、光魔法の神将器(最強武器)を使用するためには後衛ユニットながら相当な戦闘参加を要する。
      • お助け要員として終盤で加入する司祭のヨーデルもいるが、こちらは加入時点でレベルが最大に達していながら光魔法のレベルは最大でないため、結局は戦って武器レベルを上げなければならない。
      • そもそも回復役ユニットには、魔力は低いが回避と移動力に優れるトルバドールが存在し、序盤から加入するその1人のクラリーネが非常に優秀な性能のため、普通にプレイしているとそもそも僧侶を育てず、神将器どころか光魔法そのものを持て余すことが多い。
      • 光魔法自体も殆どが理や闇魔法のような特徴が無く、威力も命中も低め、特殊効果を持った物もないという微妙な性能。
    • 闇魔法は下級職から使えるものの、使い手に難が。
      • 平均的な性能のレイ以外に、レベル1で中盤加入するため育成難易度が高く技・幸運の成長率が悪いとクセの強いソフィーヤに、お助けユニット的存在だがHPが極端に低いニイメと、光魔法よりは扱いやすくとも選択の狭さは否めないところがある。
      • ついでに、闇魔法には攻撃エフェクトが無駄に遅いと言う難点もある。シャーマンやドルイド同士が戦うと一度の戦闘が30秒以上かかる事もザラ。
    • 対照的に理魔法は光・闇の不遇っぷりに反して非常に性能が高い。使い手の数や質も光・闇魔法に比べると汎用性の差は歴然。
      • 全体的に重量が軽く命中が非常に高い、上位武器である「エイルカリバー」は飛行系特効あり…と至りつくせりな性能。威力そのものは低めだが、今作の敵は全体的に魔防が低く問題になってない。
  • 主人公のクラスチェンジが遅い
    • ロイは能力値、成長率自体は平均的なのだが、クラスチェンジが全25章中21章or21章外伝終了後*6とあまりに遅すぎるため長いこと足を引っ張る。ハードモードに至ってはお荷物同然。
      • 平均的な成長率と言う事は成長がヘタれやすいと言う事にも繋がったり、専用武器のレイピアは必殺率がやや高く、特効対象は殆どが三すくみで不利な槍を持っているので「やっつけ負け*7」しやすい、と使いやすいとは正直言い難い。
    • しかし、クラスチェンジと同時に手に入る専用武器「封印の剣」は使用回数が20回しかないものの、あらゆる性能が優れている。「封印の剣」の性能に隠れがちだがマスターロードになったロイの性能も高く、CCまでにLV20まで育成していれば大抵大した支障なく活躍できる。
      下級職の頃は「器用貧乏」な印象が否めないが、マスターロードになるとそれは「隙の無い高水準なバランス型」という強みに昇華する。
  • 仲間になるマムクートの極端な扱いの悪さ
    • 中盤の終わり頃でマムクートのキャラクターが加入。武器の代わりに「神竜石」という強力なアイテムを消費する事で神竜に変身し戦う事が出来る。なお敵のマムクートが持つ「火竜石」と違って回数は30回と有限…とここまでは良いのだが、使用回数を復元させる「ハマーンの杖」が使用不可能な上、これ1つしか自軍側で「竜」に変身するアイテムが入手できない。
      そのため、実質彼女が攻撃(反撃)出来るのは30回だけであり、非常に使いどころが限られてしまう。彼女の初期ステータスは竜石の補正込みでも時期的にキツく、最低限の育成にも宛てたい所なので尚更。
    • また、このキャラは真EDルートで強制出撃になっている。真EDを見るために彼女の生存が必要だが、最終ステージはロイと彼女を除くと八人と枠が狭い。
      • まあ、後述の理由があるので実際のところは問題ないと言えばないのだが。
    • 「神竜」のパラメーター補正とドラゴン系特効は非常に強力で、敵と同じ回数無限にすると大きなバランスブレイカーになってしまうが、いくらなんでもここまでキツくする必要はあったのだろうか。攻略本でもこの事が指摘されている。せめてハマーンでの修理が可能だったり、『紋章』のように複数個や複数種類を入手できたなら、まだ充分活用の余地はあったのだが。
    • 実は、バサークを食らった味方の盗賊が敵のマムクートから「火竜石」を盗めるバグがある(通常は盗めない)。この方法で火竜石を使っても戦闘はできるが、正規の手段ではないのでグラフィックが乱れたりする上、セーブデータに不具合を起こす可能性がある。
  • 特に敵専用にするべき性能でもないのに、一部上級武器が入手出来ない
    • 今作では敵は一切アイテムを落とさない(道具は盗める)のだが、そのせいで一部の強力な武器が敵専用アイテムと化し、手に入らない。
      • 攻速関係なく2回攻撃が可能な「勇者」系の武器も、何故か剣のみ敵専用で入手出来ないというちぐはぐな状態に。
    • これだけなら本編で不便なだけで特に問題にはならないのだが、今作には通信対戦があり、かつ神将器は1つしかない。そして、敵専用武器と化している武器を使えないことで、神将器が渡らなかったユニットは必然的に下級武器を使わなければならないのだが…当然力不足もいいところで、メンバー構成にかなり気を遣わないとまともに戦えなくなる。特に神将器か他職の鋼クラスの低威力武器しかない魔法系で顕著。
    • 特にリザーブの杖は、説明書にも記載があるのに本編では入手どころか登場すらせず、トライアルマップでのみ参戦する敵将キャラの初期装備でようやくお披露目という不可解な扱い。そのキャラを出現させるには本編を6周クリアしなければならず、ハードルも非常に高い。
  • ラスボスが非常に弱い
    • 50近い攻撃力と20近い必殺率に加えて封印の剣と神竜石しか特効を受けないという、一見すれば手ごわいスペックを持っている…が、射程1の攻撃しか出来ない
      速さも16と低めで追撃も容易。このためロイが封印の剣で間接攻撃を仕掛けて追撃が出ればほぼ確実に倒せ、必殺が発動すれば一撃で倒せてしまう。HPも79と味方側の限界値を一応超えてはいるが、封印の剣に何度も耐えられる値ではない。
      • ロードLV1の時点でCCさせた上級職LV1のロイでも、封印の剣を持たせ必殺重視の支援を組んで必殺を発動させれば一撃で撃破可能…と言えば、その脆弱っぷりがお分かりだろうか。
      • 守備や魔防も高くはあるが理不尽な領域ではなく、前作までのラスボスが持っていた攻撃力半減効果もない為、相応に育てたユニットを用意すれば他の武器で倒す事も不可能ではない。ただし封印の剣以外でトドメを刺すと真エンディングが見られなくなるので注意。
      • うまくゲームを進められなかった場合の救済措置としても見れるが、その程度の実力では真ルートに達すること自体が難しく、いまいち調整がうまくいっていない。
    • それより前に戦う大ボスの方が特効も無く、間接攻撃も可能な威力の高い武器を持ち、強力な特殊効果を受けられる玉座に居る為、手ごわわさは高い。
  • 輸送隊の使いにくさ
    • 『紋章の謎』のように主人公や主人公に隣接したキャラが輸送隊を使えるのではなく、輸送隊のマリナス本人がユニットとして参加するが、アイテムの出し入れ以外に戦闘能力などは一切持たない上、初期レベルのままだとHPが低い。
      アイテム出し入れを利用しようと思っても真っ先に倒されてしまうので、必要そうなアイテムを手の空いたユニットに持たせたほうがずっと使いやすい。なのにこれだけのために出撃枠を喰ってしまう。見た目も大きな馬車なのに救出値が0なので他ユニットの救出にも使えない……など、初心者・経験者問わずほとんど使い道のないユニットになっている。
    • しかもレベル上げも不可能に近い*8ため、低い初期能力で終盤まで使う必要がある。
      • オマケに全キャラ中唯一支援会話が無い為、他キャラのブースト役としての使い道も無い。
    • 「輸送隊」コマンドのヘルプのメッセージが妙。「主人公やその隣のユニットが持ち物を輸送隊で整理します」と書いてあるが、これではロイとその隣接ユニットが輸送隊コマンドを使えることになる。これに加え、輸送隊だけ戦闘グラフィックがない。当初は主人公の能力だったのが納期直前で分離された可能性もある。
    • 一応、ストーリーでは『紋章』のモロドフのような指南役としてそれなりに存在感を示している。ゲーム的にはいなくてもかまわないが、ストーリー的な存在意義は小さくない。
    • ストーリーに絡んでくる都合からか彼のみ倒されても次のステージで復活するので、倒されても大したデメリットの無い彼を囮にするという使い道がある。外部書籍のあるきかたシリーズでは堂々と「ハードモードでは彼を囮にして時間稼ぎが出来る」などと書かれている。
  • やり直す目的でリセットした場合も中断データが残る。再開時に中断データの破棄をいちいち訊かれるので、やり直しが億劫。
    • よりによって、自軍キャラの死亡時はおろか、ゲームオーバーになった際も中断データが作成される。
      • その戦闘の直前に中断データが作成される関係上、そうしないとリセットによる回避が容易に出来てしまう為仕方がないのだが。
    • ただし、評価点で述べたように、不慮の電源落ちでデータが消えない利点の方がはるかに大きい。
  • 後日談のバグ
    • ロイとヒロイン候補(リリーナ・シャニー・スー・ララム・ソフィーヤ・セシリアのいずれか1名)の支援がAになっているとゲームクリア後の後日談が変化、メインヒロインのリリーナはエンディングの会話も変化するというお得な要素があるのだが、ロイと支援を組めるフェレの騎士(アレン・ランス・ウォルト・マーカス)はロイと支援Aにしたうえでが最終章で出撃すると後日談がまっさらになってしまうというあんまりな不具合が存在する。
    • 恐らくは「ロイとの支援Aで文章変化」のフラグが組まれているのだが、男性キャラには変化後の文章が用意されていないことが原因。プログラミングミスと言えよう。決して後の作品の同性婚を先取りしようとして消されたわけではない。決して
  • 前述のとおりシリーズでも最高レベルのチュートリアルを備えるが、これが「エキストラ」項の下に配置されてしまっている。初心者が最初からこんなところを覗くのかということにはNOと言わざるを得ない。
    • 反省を受け、次回作からは本編に組み込まれることとなったが、今度はチュートリアルどおりの操作を強要される事への批判や不満が経験者から出た。
  • 進撃準備でクラスチェンジやドーピングアイテムが使えないなど、一部のかゆいところには手が届かないUI
    • 続編以降では改善された。

総評

メインスタッフの加賀昭三不在の中初めて作った作品故、ゲームデザイン自体は過去作の範疇を抜け出さない保守的な作風となったが、三作に渡るGBAシリーズの土壌を作った点では、一つの岐路といえる作品となった。

シリーズ最高難易度を誇る前作『トラキア776』を踏まえ、本作は高めながらも、ライト層でも攻略が見込める難易度のバランスに仕上がっている。
また、支援会話システムや難易度設定搭載など、既存の枠組みから脱却しようとする意欲的な面も見られる。

SRPGというジャンルの火付け役でありながらFC/SFCそれぞれの末期にひっそりと商品展開されるなど、比較的機会に恵まれなかったFEシリーズであったが、GBAというハードの時流に乗って発売された事や、主人公のロイが本作の発売に先んじた『スマブラDX』出演、事前に漫画版とのコラボレーション展開が用意されるなど、本作から売り込みに力が入っていく。

『紋章』『トラキア』のシステムに大掛かりなテコ入れを施した初回作故かゲームバランス等に多くの粗こそあれど、プレイに致命的な支障をきたすレベルのものではなく、あえて大味な部分を楽しむ者も居る。
これらの粗は次回作で多く改善されており、より安定して遊びやすくなっている。


余談

  • 『封印の』の読みは「ふういんのつるぎ」である。
    • 続編の『烈火の』は「れっかのけん」と読むので勘違いされやすい。
  • このタイトルの発売経緯はやや複雑である。
    • 当初は任天堂64用ソフト『ファイアーエムブレム64』として開発されていたらしい。
      この段階では次世代機である64に期待を寄せていた加賀氏も関わっていた様だが、彼による構想の話以外の情報が全く分かっていないうえ、前作の発売寸前に加賀氏がISを退社し、そして『エムブレムサーガ』=後の『ティアリングサーガ』開発に着手するため、実作業はほとんど進んでいなかったと思われる。
    • 加賀氏の退社後も残ったスタッフで制作を続けていたが、64の売り上げ不振故か、GBA用ソフト『ファイアーエムブレム 暗闇の巫女(仮称)』として作り直すことになった。その後正式タイトルが『封印の剣』と決まり、現在に至る。
      • 携帯機への移行は、『エムブレムサーガ』騒動のためにファイアーエムブレムの新作を一刻も早く出す事を迫られ、開発期間が長くなりがちな据え置き機を避けた結果かもしれない。飽くまでも可能性の話である。何はともあれGBA発売からちょうど一周年近い時期に発売され、記念すべきタイトルの一つになった。
    • 今作の開発期間は構想含め2年のため、この作品に加賀氏は一切関与していない。FE64時代の加賀氏のアイディアが採用されている可能性もあるだろうが、新生FEの幕開けを告げる作品となったことに違いはない。
      • これが開発初期の画像である。等身の高いキャラグラフィック、クォータービューという、FEらしからぬ画面が印象的である。ちなみにこの少女の台詞は次回作で使われている。
+ 画像
  • ほぼ全てのFEシリーズに登場する女性アンナはGBA三部作では「中断コマンド」選択時に登場。
    • 前述したように、このコマンドを選ばず電源を切っても中断データは残るので、彼女の存在意義が薄い。
  • 今作を含むGBA3部作では「ファルコン法」と呼ばれる方法で乱数調整が簡単にできる。最短攻略やタイムアタックでフル活用されている。
    • GBA版の戦闘結果や成長の乱数はユニットの座標(マス)によって決められており、どう移動したかによっても変わってくる為、そのパターンさえ覚えればある程度戦闘結果や成長を操れる。
      「ファルコン法」という名称は、多くの地形を無視できる飛行系で移動力が高く、かつ早い段階からクラスチェンジ出来る(移動力が更に上がる)ファルコンナイトでよく吟味されていたところから付けられている。
    • レベルアップを粘っても結果がほとんど変わらなかった人、逆にファルコン法をフル活用してレベルアップでステータスをがつがつ上げた人も多いのでは?
  • 輸送隊マリナスのレベルをカンストさせた猛者も存在する。
    • 経験値の入手法は敵に攻撃された時に入る命中・回避を問わない1ポイントのみ。つまりレベルを1上げるならば100回攻撃を受けることが求められる。
    • 砦に居座って、命中率の低い攻撃をかわし続けるのが経験値稼ぎの定石。1,900回も戦闘する必要があるが……
    • 一応HPや速さ・幸運の成長率が高く(何故か攻撃の出来ない彼には無意味の「技」もかなり上がる)、それなりにレベルを上げれば倒されにくくもなるのだが、上級職がないのでどんなに頑張って幸運に恵まれてもHP34・それ以外は20が上限。そこまでの多大な時間をかけて育成する程のメリットはない。完全にやりこみの領域である。
    • 『烈火』では輸送隊のマリナスの仕様が変わり、『聖魔』では輸送隊はマップに出撃できないので、本作独自の苦行やりこみである。
    • 実際、外部書籍の「あるきかたシリーズ」では彼をLV20まで育成する企画が行われ、LV20時のステータスも掲載されていた。複数のておの持ちの攻撃をよけ続ける事で、LV1からでも380ターンでLV20達成が出来るとしている。DS版以降のようなターンスキップ機能も無いので、それでも多大な時間が必要だが。

その後の展開

  • 2003年4月25日に『ファイアーエムブレム 烈火の剣』が発売。
    • 時系列は本作の20数年前で、若かりし頃のロイの父親エリウッド、リリーナの父親ヘクトルが主役となって活躍する。また、本作をプレイしていなくても単体の作品としてストーリー等を問題なく理解できるつくりになっている。
  • 発売と同時期に漫画『ファイアーエムブレム 覇者の剣』が月刊少年ジャンプで連載を開始。
    • オリジナルの主人公アルが旅立ち、様々な出会いや戦いを経てリキア同盟軍と巡り会い、共にベルンと戦う中で漫画版ならではの独自の展開*9を進めた。
    • 漫画とのコラボの一環として、漫画の主役3人組の使っていた武器という設定の「アルの剣」「ガントの槍」「ティーナの杖」がゲーム中に登場する。性能的には中級の性能をもった下級武器、と序盤戦のお助けアイテムといったところ。
    • この漫画自体はなかなか好評であったのだが、意外なことに次のFEシリーズ漫画化作品とは10年近くの歳月を隔てた。オリジナル要素と原作の双方を上手く調和させた良作なので、一度手に取ってみては如何だろう。
      • ちなみに作者の山田孝太郎氏は連載を経て凄まじく画風が変化しており、素朴な少年漫画風だった初期と描き込みの著しい美麗なタッチになった終盤での同じキャラクターの姿を比べるともはや全くの別人である。
    • 同時に、ゲームでも登場したベルン王国の将軍ナーシェンも出てくるが、彼の壊れた描かれっぷりが話題になった。
      • ゲームでも自分の任務や失敗を部下に押し付けたり、その結果降格宣言を受けたりと人望の無い人物として描かれ、対戦時のセリフのインパクトで存在感を発揮したが、この漫画版では突然部下を惨殺しながら怒り狂うなどの暴挙を繰り返したり、奇声を発しながら襲いかかったり、主人公アルを息子呼ばわりして斬り捨てられ、挙句ゲーム以上に無惨な死を遂げたりと、かなり強烈な人物となっている。
  • ファイアーエムブレム 覚醒』のDLCにてロイのアレンジキャラクター「異界のロイ」が登場。
    • クラスは傭兵。本作より成長しており、ややワイルドさを感じさせるデザインになっている。
  • 『スマブラDX』での先行参戦の際、発売前でキャラ付けが決まっていなかったのか、はたまたマルスとのキャラ被りを避けるためか本作のような落ち着いた少年ではなく「叫びまくる熱血少年」なキャラ付けをされていた。
    • マルスとの対比で「重くて使い慣れない封印の剣に振り回される」という設定もあったが、これは本作には引き継がれなかった。
    • スマブラX』は欠場*10、『スマブラfor』ではDLCファイターとして遅れて復活参戦を果たした。上記「異界のロイ」の要素が濃く出たデザインに変化して「爽やかなお兄さん」というキャラ付けに。ここまでキャラ付けが安定しない主人公も珍しい。
  • 2015年9月2日にWiiUのバーチャルコンソールで配信予定。GBA三部作のうち、最後にバーチャルコンソールで配信開始。
    • 『烈火の剣』『聖魔の光石』は2014年の5月・8月に配信された。今作はこれら2作と違い海外展開されていないので、VCにする優先度が低かったのかもしれない。
  • 2016年6月にTCG「ファイアーエムブレムサイファ」への参戦が決定。
    • スターターデッキとブースターのみならず、ロイとリリーナのキャラクタースリーブも発売。
    • スターターに収録されているロイとリリーナは上記漫画版の山田孝太郎氏がイラストを手掛けている。
  • 2017年2月2日に配信されたスマホアプリ『ファイアーエムブレム ヒーローズ』に一部のキャラクターが登場する。